JPH06228170A - ホスファチジルクロマノール誘導体、その製造方法、抗酸化剤及び乳化剤 - Google Patents

ホスファチジルクロマノール誘導体、その製造方法、抗酸化剤及び乳化剤

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JPH06228170A
JPH06228170A JP5039269A JP3926993A JPH06228170A JP H06228170 A JPH06228170 A JP H06228170A JP 5039269 A JP5039269 A JP 5039269A JP 3926993 A JP3926993 A JP 3926993A JP H06228170 A JPH06228170 A JP H06228170A
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phospholipid
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phospholipase
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JP5039269A
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Takuo Koga
拓郎 古賀
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NODA SANGYO KAGAKU KENKYUSHO
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NODA SANGYO KAGAKU KENKYUSHO
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    • C07F9/65522Heterocyclic compounds, e.g. containing phosphorus as a ring hetero atom having oxygen atoms, with or without sulfur, selenium, or tellurium atoms, as the only ring hetero atoms the oxygen atom being part of a six-membered ring condensed with carbocyclic rings or carbocyclic ring systems

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (R1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和若しく
は不飽和脂肪酸残基、nは1〜5の整数、Xは1価の陽
イオン)で表わされるホスファチジルクロマノール誘導
体、並びにリン脂質と対応するクロマン誘導体とをホス
ホリパーゼDを用いて転移反応させるホスファチジルク
ロマノール誘導体の製造方法、並びにホスファチジルク
ロマノール誘導体を有効成分とする抗酸化剤及び乳化
剤。 【効果】 ホスファチジルクロマノール誘導体は抗酸化
剤及び乳化剤として極めて有用であり、上記方法によ
り、高変換率で得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なホスファチジル
クロマノール誘導体、その製造方法並びにこのものを有
効成分とする抗酸化剤及び乳化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リン脂質は、生体構成成分として天然に
広く存在し、その分子中には疎水性部分と親水性部分と
が存在していて両親媒性を示し、天然の乳化剤(界面活
性剤)として主に食品分野において広く用いられてい
る。また、リン脂質は、それがもつ種々の生理的、栄養
学的な作用が注目されるにしたがい、食品用の乳化剤と
してだけでなく、様々な機能性をもった物質として、医
薬、化粧品などの分野での利用が研究されている。
【0003】一方、ビタミンEは、脂溶性のラジカル捕
捉型抗酸化物質として、極めて有効なものである。その
抗酸化作用は、クロマン環上6位のOH基の水素の反応
性が極めて高く、速やかにラジカルを捕捉して安定化す
ることによる。このことから、ビタミンEは、天然のす
ぐれた抗酸化剤として広く食品、化粧品、医薬品などに
用いられており、特に食品においては、食用油の酸化安
定剤として使用されている。また、ビタミンEとリン脂
質との単なる混合物が、油脂に対し、ビタミンE単独よ
りもより強い抗酸化活性(いわゆる相乗効果)を示すこ
とも知られている[ディ.エッチ.ヒルデブランドら、
ジャーナル・オブ・アメリカン・オイル・ケミスト・ソ
サイアティ(D.H.Hildebrand et a
l.,J.Am.Oil Chem.Soc.)、第6
1巻、第552ページ(1984年)]。しかしなが
ら、いずれの場合も油脂などに対する抗酸化活性は必ず
しも満足すべきものでなく、よりすぐれた抗酸化剤が望
まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のもの
よりも顕著にすぐれた抗酸化作用を有する抗酸化剤とし
て、さらには、乳化剤として好適な新規化合物及びその
製造方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、リン脂質とクロ
マン環上の2位にアルコール性水酸基が付与された特定
のクロマン誘導体との反応物である新規なホスファチジ
ルクロマノール誘導体が、極めてすぐれた抗酸化作用を
有すること、しかも乳化作用をも兼ね備えていること、
さらに、該ホスファチジルクロマノール誘導体が、リン
脂質とクロマン誘導体とからホスホリパーゼDを用いた
ホスファチジル基転移反応により、温和な条件下で、し
かも高い変換率で得られることなどを見出し、これらの
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)リン脂質のリ
ン酸と一般式
【化4】 (式中のnは1〜5の整数である)で表わされるクロマ
ン誘導体における2位のアルコール性水酸基とのリン酸
エステル結合物であるホスファチジルクロマノール誘導
体、(2)一般式
【化5】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またnは1〜5の整
数、Xは1価の陽イオンである)で表わされる前記
(1)記載のホスファチジルクロマノール誘導体、
(3)リン脂質のリン酸と前記一般式(I)で表わされ
るクロマン誘導体における2位のアルコール性水酸基と
をリン酸エステル結合反応させることを特徴とする前記
(1)記載のホスファチジルクロマノール誘導体の製造
方法、(4)リン脂質と前記一般式(I)で表わされる
クロマン誘導体とをホスホリパーゼDを用いて転移反応
させることを特徴とする前記(1)記載のホスファチジ
ルクロマノール誘導体の製造方法、(5)一般式
【化6】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またR3は水素原
子、又は水酸基を有する塩基の1個の水酸基を除いた有
機残基、Xは1価の陽イオンである)で表わされるリン
脂質の少なくとも1種と前記一般式(I)で表わされる
クロマン誘導体とをホスホリパーゼDを用いて転移反応
させることを特徴とする前記一般式(II)で表わされ
るホスファチジルクロマノール誘導体の製造方法、
(6)前記一般式(II)で表わされるホスファチジル
クロマノール誘導体の少なくとも1種を有効成分とする
抗酸化剤、及び(7)前記一般式(II)で表わされる
ホスファチジルクロマノール誘導体の少なくとも1種を
有効成分とする乳化剤である。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。先
ず、本発明の新規なホスファチジルクロマノール誘導体
は、リン脂質のリン酸と、前記一般式(I)で表わされ
るクロマン誘導体における2位のアルコール性水酸基と
のリン酸エステル結合物であり、中でも前記一般式(I
I)で表わされるホスファチジルクロマノール誘導体が
好ましい。なお、前記一般式(I)において、化学式の
クロマン環に付した数字は命名法での位置を示すもので
ある。また、前記一般式(II)で表わされるホスファ
チジルクロマノール誘導体においては、該数字に「’」
を付して命名する。そしてまた、前記一般式(II)に
おいて、R1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよい。さらにまた、前記一
般式(II)において、Xは1価の陽イオンであって、
例えば水素原子、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ
金属イオン、アンモニア、トリエタノールアミンなどの
有機アミン、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸
などが挙げられる。リン脂質としては、通常大別される
グリセロリン脂質(glycerophospholi
pids)、スフィンゴリン脂質(sphingoph
ospholipids)のいずれでもよく、また、こ
れらは化学合成によって得られたものでも、天然物等か
ら抽出などして得られたものでもよい。
【0008】中でも、前記一般式(III)で表わされ
るリン脂質が好適であり、これらは単独又は組合せのも
の(混合物)でもよい。そしてR1及びR2の脂肪酸残基
としては、前記のごとく炭素数2〜24の飽和若しくは
不飽和脂肪酸残基のいずれでもよいが、例えばミリスチ
ン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン
酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの炭
素数10〜22の脂肪酸残基が好ましい。また、該R1
及びR2の脂肪酸残基は、目的化合物自体の保存安定性
の観点から、飽和のものが好ましく、このことから不飽
和のものはあらかじめ水素添加などの処理をして用いる
のが望ましい。またR3は水素原子、又は水酸基を有す
る塩基の1個の水酸基を除いた有機残基であるが、その
例としては−(CH22+(CH33(コリン残
基)、−(CH22NH3(エタノールアミン残基)、
−CH2CH(NH2)COOH(セリン残基)、−C6
6(OH)5(イノシトール残基)、−CH2CH(O
H)CH2(OH)(グリセロール残基)、−H(水素
原子)などが好適なものとして挙げられる。
【0009】さらに、リン脂質として特に好ましいもの
としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファ
チジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールな
ど、あるいはこれらの混合物が挙げられる。また、卵
黄、大豆から製造されるいわゆる卵黄レシチン、大豆レ
シチンは、各種のリン脂質の混合物であるが、本発明に
おいては、特に好適なものとして挙げられる。さらに他
の天然のリン脂質、例えば菜種レシチン、コーンレシチ
ン、サフラワーレシチンなど、あるいは改質レシチン、
例えばリゾレシチン、転移レシチンなども好適である。
【0010】次に、前記一般式(I)で表わされるクロ
マン誘導体において、nは1〜5、好ましくは1〜3の
整数であり、nが1又は2である2,5,7,8−テト
ラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ク
ロマン、2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキ
シ−2−ヒドロキシエチル−クロマンが特に好ましい。
これらのクロマン誘導体は、例えば市販のもの、公知の
方法で化学的に合成して得たもの[例えばリチャード・
バーナーら、ヘルベチカ・キミカ・アクタ(Richa
rd Barner et al.,Helv.Chi
m.Acta)、第62巻、第2384ページ(197
9年)、特開昭56−145282号公報、特開昭58
−201775号公報、特開昭61−210029号公
報など参照)などのいずれでもよく、特に制限されな
い。
【0011】そして、本発明の新規なホスファチジルク
ロマノール誘導体は、前記のごとくリン脂質のリン酸と
前記一般式(I)で表わされるクロマン誘導体における
2位のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物で
あるが、例えば該リン脂質が飽和脂肪酸残基をグリセロ
骨格の1位と2位に有し、該クロマン誘導体が2,5,
7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキ
シメチル−クロマンの場合は、次のようなものが例示さ
れる(この例示化合物名において、「−GPMC」は
「−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’−ヒドロキシメ
チル−2’,5’,7’,8’−テトラメチル−6’−
ヒドロキシ−クロマン」の略記である)。例えば1,2
−ジラウロリル−GPMC、1,2−ジミリストイル−
GPMC、1,2−ジパルミトイル−GPMC、1,2
−ジステアロイル−GPMC、1,2−ジアラキドニル
−GPMC、1−ミリストイル−2−パルミトイル−G
PMC、1−ミリストイル−2−ステアロイル−GPM
C、1−パルミトイル−2−ミリストイル−GPMC、
1−パルミトイル−2−ステアロイル−GPMC、1−
ステアロイル−2−ミリストイル−GPMC、1−ステ
アロイル−2−パルミトイル−GPMC、これらの塩な
ど。また、該クロマン誘導体が2,5,7,8−テトラ
メチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエチル−クロ
マンの場合は、「GPMC」を「−sn−グリセロ−3
−ホスホ−2’−ヒドロキシエチル−2’,5’,
7’,8’−テトラメチル−6’−ヒドロキシ−クロマ
ン」と置き換える以外は前記例示化合物と同様のものが
例として挙げられる。
【0012】次に、本発明の新規なホスファチジルクロ
マノール誘導体の製造方法におけるリン酸エステル結合
反応は、例えば化学的方法(化学合成法)、酵素的方法
(転移反応)などのいずれでもよいが、特にホスホリパ
ーゼDを用いる酵素的方法が好ましい。そして、前記リ
ン酸エステル結合を、ホスホリパーゼDを用いてのホス
ファチジル基の転移反応を適用することにより行えば、
温和な条件下で、しかも高い変換率で本発明の目的物質
を製造することができる。
【0013】本発明において用いられるホスホリパーゼ
Dとしては、ホスファチジル基の転移活性を有するもの
であればいずれでもよく、例えばストレプトミセス・リ
ディカス(Streptomyces lydicu
s)由来のもの[ホーネンコーポレーション(株)
製]、ストレプトミセス・エスピー(Streptom
yces sp.)由来のもの[シグマ社製商品名:ホ
スホリパーゼD TypeVII]、ストレプトミセス
・クロモフカス(Streptomyces chro
mofucus)由来のもの(ベーリンガマンハイム山
之内社製)などが挙げられる。
【0014】次に、ホスホリパーゼDが反応するリン脂
質及び前記一般式(I)で表わされるクロマン誘導体か
ら本発明の目的物質であるホスファチジルクロマノール
誘導体を製造するための酵素的方法を例示する。酵素反
応を実施する際の反応系は水系、有機溶媒系あるいはこ
れらの混合系などのいずれでもよい。そして、リン脂質
及び前記一般式(I)で表わされるクロマン誘導体をモ
ル比として1:1〜1:10の割合で溶剤に溶解若しく
は懸濁させ、これにホスホリパーゼDを0.1〜100
単位/ml(反応液)となるように添加し、攪拌しなが
ら、適当な条件下でホスファチジル基の転移反応(リン
酸エステル結合反応)を行わせて、目的物質を含む反応
物を得る。この反応に用いられる溶剤としては、リン脂
質を溶解若しくは懸濁させるもので、酵素活性を著しく
低下させないものであればいずれでもよく、例えばn−
ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、クロロ
ホルム、酢酸エチル、アセトニトリル、tert−ブタ
ノール、これらの任意の混合溶剤などが好適なものとし
て挙げられる。
【0015】また、酵素反応条件としてはホスホリパー
ゼDが作用する条件であれば特に制限されず、勿論、用
いるホスホリパーゼDの好適作用条件が採用されるが、
通常、例えばpH2〜10、好ましくはpH4〜7、温
度5〜80℃、好ましくは10〜50℃で10分〜10
0時間、好ましくは30分〜60時間である。そして、
例えばホスホリパーゼDとしてシグマ社製の商品名:ホ
スホリパーゼD Type VIIを用いた場合には、
この酵素反応条件はpH3〜8、好ましくはpH5〜
6、温度10〜50℃、好ましくは20〜40℃で15
分〜48時間、好ましくは1〜10時間である
【0016】この酵素反応終了後、反応物から本発明の
目的物質である新規なホスファチジルクロマノール誘導
体を精製して得るのであるが、この精製法は特に限定さ
れず、適宜の方法が採用される。その例としては、先ず
溶媒、例えばクロロホルム:メタノール混液、ヘキサン
などを用いて該目的物質を抽出し、さらにこの抽出物に
クロマトグラフィ、溶媒分画法などの単独又は組合せに
よる精製法を施して、高純度の目的物質を得ることがで
きる。このときのクロマトグラフィとしては、例えばカ
ラムクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィなどが挙
げられる。またカラムクロマトグラフィを採用する場合
には、その担体としては疎水性のものであればよく、例
えばシリカゲルなどが好適である。
【0017】本発明の目的物質である新規なホスファチ
ジルクロマノール誘導体は、このものの少なくとも1種
(単独又は混合物)を有効成分とするすぐれた抗酸化
剤、乳化剤として極めて有用であり、これらは、例えば
食品、化粧品、医薬品などに効果的に使用することがで
きる。この場合、該ホスファチジルクロマノール誘導体
は、その粗製物あるいは精製物のいずれでも用いられ、
また、そのままの状態で、あるいはこれを適当な溶剤、
例えば水、メタノール、エタノールなどに溶解又は懸濁
させた溶液、さらには常法により賦形剤、例えば糖類な
どを添加するかしないで乾燥、粉末化などして得た固形
物など、いずれの状態でも用いられる。
【0018】特に、本発明のホスファチジルクロマノー
ル誘導体は抗酸化活性が極めて高いという特性を有して
いる。すなわち、前記一般式(I)で表わされるクロマ
ン誘導体そのものも抗酸化作用を有しているが、このも
のに比し該ホスファチジルクロマノール誘導体は極めて
高い抗酸化活性を示し、さらに、従来知られているビタ
ミンEあるいはビタミンEとリン脂質との単なる混合物
の抗酸化活性よりも顕著にすぐれたものである。本発明
の抗酸化剤は、使用対象、使用方法などに制限はない
が、殊に脂溶性の抗酸化剤として、例えば食用油脂、他
の油脂系食品に極めて好適に用いられ、このときの添加
量は0.001〜1%(w/w)、好ましくは0.01
〜0.1%(w/w)である。また、化粧品、例えばク
リーム、乳液、化粧水、パウダー、オイル、軟膏などに
用いる場合には、その添加量は0.01〜10%(w/
w)、好ましくは0.5〜5%(w/w)である。
【0019】さらに、本発明のホスファチジルクロマノ
ール誘導体は、原料のリン脂質が有する乳化作用をも併
せもつものであり、抗酸化作用を有する乳化剤として単
独あるいは他の乳化剤と組合わせて用いられる。このよ
うに、本発明のホスファチジルクロマノール誘導体は抗
酸化と乳化の両作用を有するので、乳化によって、水溶
液中で酸化され易い物質に対しても、抗酸化剤として効
果的に作用する。本発明の乳化剤の使用例としては、例
えばチョコレート、マーガリン、パン、ケーキ、ビスケ
ット、キャラメルなどの食品加工工程での使用などが挙
げられ、このときの添加量は0.001〜5%(w/
w)、好ましくは0.01〜1%(w/w)である。
【0020】
【発明の効果】本発明の前記ホスファチジルクロマノー
ル誘導体は抗酸化作用及び乳化作用を有する新規な化合
物であって、抗酸化剤、乳化剤として極めて有用であ
り、このものを食品、化粧品、医薬などに用いることに
より、これらの酸化安定性、乳化安定性を顕著に向上さ
せることができる。
【0021】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限され
るものではない。 実施例1 市販のジミリストイル−L−α−ホスファチジルコリン
(シグマ社製)50mg(73.8μmol)と2,
5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒド
ロキシメチル−クロマン(株式会社クラレ製)20mg
(84.6μmol)にジエチルエーテル1mlを加え
て懸濁させ、これにCaCl20.01Mを含む0.0
1Mクエン酸緩衝液(pH6.0)24mlを加えて3
7℃に保温したのち、市販のホスホリパーゼD(シグマ
社製商品名:ホスホリパーゼD Type VII)3
0単位を含む酵素液1mlを加えて振盪しながら37℃
で2時間反応させた。この反応物につき、高速液体クロ
マトグラフィにより分析した結果、目的物質への変換率
(用いたリン脂質に対する生成目的物質の割合)は95
%と高率であった。得られた反応物をクロロホルム:メ
タノール(2:1)で抽出処理したのち、ケイ酸カラム
に吸着させ、さらにクロロホルム:メタノール(95:
5)で溶出後、減圧乾固して目的物質35mg(43.
2μmol、収率58.5%)を得た。
【0022】この物質を薄層クロマトグラフィにより、
シリカゲルのプレート(SILICA GEL 60、
メルク社製、以下同じ)、展開溶媒としてクロロホル
ム:メタノール=80:20を用いて展開した結果、塩
化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で赤
色を呈し(クロマン環の存在を示す)、かつディットマ
ー試薬による発色法で青色を呈する(リンの存在を示
す)単一のスポット(Rf=0.43)が検出された。
このことから、同一分子中にリン脂質とクロマン環を有
する物質の生成が確認された。
【0023】この物質の質量スペクトル(SIMS)、
1H−NMRスペクトル及びIRスペクトルは次のとお
りである。 SIMSスペクトル:m/z=849(M+K+1 H−NMRスペクトル:[CDCl3/CD3OD
(2:1,v/v)、内部標準TMS]:δ(ppm)
0.89(6H,t,J=6.4Hz),1.27(4
3H,br.s),1.60(4H,m),1.83
(2H,m),2.06(3H,s),2.12(3
H,s),2.15(3H,s),2.30(4H,
t,J=6.4Hz),2.64(2H,t,J=6.
8Hz),3.84(2H,m),3.99(2H,
m),4.16(1H,m),4.35(1H,m),
5.22(1H,m) IRスペクトル(KBr disk)(cm-1):34
82、2924、2853、1745、1457、12
46、1027 これらの結果より、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこの物質はリン脂質のリン酸と前記クロマン誘
導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れ、そしてこの物質は前記一般式(II)において、R
1=R2=ミリスチン酸残基、n=1、X=K+の1,2
−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’
−ヒドロキシメチル−2’,5’,7’,8’−テトラ
メチル−6’−ヒドロキシ−クロマンであると確認され
た。
【0024】実施例2 2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシメチル−クロマンの代わりに、2,5,7,
8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエ
チル−クロマン(株式会社クラレ製)20mg(80.
0μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして目的
物質35mg(42.4μmol、収率57.5%)を
得た。なお、精製前の反応物につき、高速液体クロマト
グラフィにより分析した結果、目的物質への変換率は9
5%と高率であった。この物質を薄層クロマトグラフィ
により、シリカゲルのプレート、展開溶媒としてクロロ
ホルム:メタノール=80:20を用いて展開した結
果、塩化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色
法で赤色を呈し、かつディットマー試薬による発色法で
青色を呈する単一のスポット(Rf=0.48)が検出
された。このことから、同一分子中にリン脂質とクロマ
ン環を有する物質の生成が確認された。
【0025】この物質の質量(SIMS)スペクトル、
1H−NMRスペクトル及びIRスペクトルは次のとお
りである。 SIMSスペクトル:m/z=825(M+H+1 H−NMRスペクトル:[CDCl3/CD3OD
(2:1,v/v)、内部標準TMS]:δ(ppm)
0.89(6H,t,J=6.7Hz),1.27(4
3H,br.s),1.60(4H,m),1.83
(2H,t,J=6.8Hz),1.97(2H,
m),2.07(3H,s),2.11(3H,s),
2.15(3H,s),2.31(4H,t,J=7.
4Hz),2.62(2H,t,J=6.8Hz),
3.96(2H,t,J=6.8Hz),4.11(2
H,m),4.15(1H,dd,J=12.0,6.
5Hz),4.39(1H,dd,J=12.0,3.
5Hz),5.22(1H,m) IRスペクトル(KBr disk)(cm-1):34
82、2924、2853、1745、1457、12
46、1027 これらの結果より、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこの物質はリン脂質のリン酸と前記クロマン誘
導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れ、そしてこの物質は前記一般式(II)において、R
1=R2=ミリスチン酸残基、n=2、X=H+の1,2
−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’
−ヒドロキシエチル−2’,5’,7’,8’−テトラ
メチル−6’−ヒドロキシ−クロマンであると確認され
た。
【0026】実施例3 L−α−ホスファチジルコリン(卵黄由来、シグマ社
製)1g(平均分子量777として1.29mmol)
と2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−クロマン(株式会社クラレ製)4
00mg(1.69mmol)にジエチルエーテル20
mlを加えて懸濁させ、これにCaCl20.01Mを
含む0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)480m
lを加えて37℃に保温したのち、市販のホスホリパー
ゼD(シグマ社商品名:ホスホリパーゼD Type
VII)600単位を含む酵素液20mlを加えて振盪
しながら37℃で2時間反応させた。この反応物につ
き、高速液体クロマトグラフィにより分析した結果、目
的物質への変換率は95%と高率であった。得られた反
応物を実施例1と同様に精製して、目的物質の1,2−
ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’−ヒドロ
キシメチル−2’,5’,7’,8’−テトラメチル−
6’−ヒドロキシ−クロマン0.82g(0.90mm
ol、収率69.8%)を得た。
【0027】この物質を薄層クロマトグラフィにより、
シリカゲルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:
メタノール=80:20を用いて展開した結果、塩化第
二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で赤色を
呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色を呈す
る単一のスポット(Rf=0.43)が検出された。こ
のことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で得られ
たこの物質は、同一分子中にリン脂質とクロマン環を有
する物質であり、またリン脂質のリン酸と前記クロマン
誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れた。
【0028】実施例4 2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシメチル−クロマンの代わりに、2,5,7,
8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエ
チル−クロマン(株式会社クラレ製)400mg(1.
60mmol)を用いた以外は実施例3と同様にして目
的物質の1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホス
ホ−2’−ヒドロキシエチル−2’,5’,7’,8’
−テトラメチル−6’−ヒドロキシ−クロマン0.86
g(0.93mmol、収率72.1%)を得た。な
お、精製前の反応物につき、高速液体クロマトグラフィ
により分析した結果、目的物質への変換率は95%と高
率であった。この物質を薄層クロマトグラフィにより、
シリカゲルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:
メタノール=80:20を用いて展開した結果、塩化第
二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で赤色を
呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色を呈す
る単一のスポット(Rf=0.48)が検出された。こ
のことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で得られ
たこの物質は、同一分子中にリン脂質とクロマン環を有
する物質であり、またリン脂質のリン酸と前記クロマン
誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れた。
【0029】実施例5 表1に記載のリン脂質50mgと2,5,7,8−テト
ラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ク
ロマン(株式会社クラレ製)20mg(84.6μmo
l)にジエチルエーテル1mlを加えて懸濁させ、これ
にCaCl20.01Mを含む0.01Mクエン酸緩衝
液(pH6.0)24mlを加えて37℃に保温したの
ち、市販のホスホリパーゼD(シグマ社製商品名:ホス
ホリパーゼD Type VII)30単位を含む酵素
液1mlを加えて振盪しながら37℃で2時間反応させ
た。各反応物につき、高速液体クロマトグラフィにより
分析した結果、これらの目的物質への変換率は、表1に
記載のごとく、いずれも高率であった。得られた各反応
物を実施例1と同様に精製して、本発明の目的物質の各
種ホスファチジルクロマノール誘導体(1,2−ジアシ
ル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’−ヒドロキシメ
チル−2’,5’,7’,8’−テトラメチル−6’−
ヒドロキシ−クロマン)を表1に記載の収量で得た。
【0030】
【表1】 これらの物質を薄層クロマトグラフィにより、シリカゲ
ルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:メタノー
ル=80:20を用いて展開した結果、いずれの場合も
塩化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で
赤色を呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色
を呈する単一のスポット(Rf=0.43)が検出され
た。このことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこれらの物質は、同一分子中にリン脂質とクロ
マン環を有する物質であり、またリン脂質のリン酸と前
記クロマン誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エス
テル結合物(ホスファチジル基の転移反応物)であるこ
とが確認された。
【0031】実施例6 2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシメチル−クロマンの代わりに、2,5,7,
8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエ
チル−クロマン(株式会社クラレ製)20mg(80.
0μmol)を用いた以外は実施例5と同様にして、本
発明の目的物質の各種ホスファチジルクロマノール誘導
体(1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホ−
2’−ヒドロキシエチル−2’,5’,7’,8’−テ
トラメチル−6’−ヒドロキシ−クロマン)を表2に記
載の収量で得た。なお、精製前の各反応物につき、高速
液体クロマトグラフィにより分析した結果、それらの目
的物質への変換率は、表2に記載のごとく、いずれも高
率であった。
【0032】
【表2】 これらの物質を薄層クロマトグラフィにより、シリカゲ
ルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:メタノー
ル=80:20を用いて展開した結果、いずれの場合も
塩化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で
赤色を呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色
を呈する単一のスポット(Rf=0.48)が検出され
た。このことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこれらの物質は、同一分子中にリン脂質とクロ
マン環を有する物質であり、またリン脂質のリン酸と前
記クロマン誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エス
テル結合物(ホスファチジル基の転移反応物)であるこ
とが確認された。
【0033】実施例7 実施例3及び4で得られた本発明のホスファチジルクロ
マノール誘導体(表3において、それぞれPMC、PE
Cと略記する)、リン脂質として大豆レシチン(東京化
成社製)を用い、実施例5及び6と同様にして得られた
本発明のホスファチジルクロマノール誘導体(該表にお
いて、それぞれSPMC、SPECと略記する)、実施
例3(又は5)及び4(又は6)で用いたクロマン誘導
体(該表において、それぞれMC、ECと略記する)、
並びに公知の抗酸化作用を示す物質などとの抗酸化活性
の比較を次の方法により行った。ガラスシャーレ中の精
製ラード(月島食品製)1.0gに表3に記載の各種物
質を0.4μmol[本発明のホスファチジルクロマノ
ール誘導体及びリン脂質については、リン(P)濃度に
より定量]添加してかきまぜたのち、これを60℃で遮
光して保存し、1日1回その重量を測定してラードの酸
化に伴う重量の増加をみた。ラードの重量の増加が始ま
るまでの期間を酸化抑制期間とし、その結果を表3にま
とめて示す。
【0034】
【表3】 表3から、本発明のホスファチジルクロマノール誘導体
は、いずれもその酸化抑制期間が、従来抗酸化作用が知
られているビタミンEや、抗酸化活性が相乗的に増大す
ることが知られているビタミンEとL−α−ホスファチ
ジルコリン(卵黄由来)との単なる等モル混合物に比し
て顕著に長く、極めてすぐれた抗酸化作用を有している
ことがわかる。さらに本発明のホスファチジルクロマノ
ール誘導体の抗酸化活性は、クロマノール誘導体に比し
ても、極めて高くなっていることがわかる。
【0035】実施例8 実施例3及び4で得られた本発明のホスファチジルクロ
マノール誘導体(表4において、それぞれPMC、PE
Cと略記する)、リン脂質として大豆レシチン(東京化
成社製)を用い、実施例5及び6と同様にして得られた
本発明のホスファチジルクロマノール誘導体(該表にお
いて、それぞれSPMC、SPECと略記する)などの
乳化活性をジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・ア
ンド・フードケミストリー(Journal of A
gricultural andFood Chemi
stry)、26巻、第716ページ(1978年)に
記載の方法により測定した。すなわち、水20mlに表
4に記載の各種物質を0.1g添加し、ホモジナイザー
(キネマチカ社製、CH6010)を用いて、1000
0rpmで30秒間乳化処理したのち、大豆油1gを徐
々に添加しながら、さらに1分間、10000rpmで
の乳化処理して乳化液を調製した。次いで、乳化直後及
び乳化後、25℃で72時間静置した各乳化液につき、
0.1%トリトンX−100水溶液で200倍に希釈し
たものの500nmにおける吸光度を測定した。その結
果を表4に示す。
【0036】
【表4】 なお、表4において、72時間静置のものは、無添加で
は油は完全に分離したが、その他では油の分離は認めら
れなかった。表4から、本発明のホスファチジルクロマ
ノール誘導体の乳化活性は、乳化剤として知られている
L−α−ホスファチジルコリンのそれとほぼ同程度のす
ぐれたものであることがわかる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ホスファチジルクロマノール誘
導体、その製造方法、抗酸化剤及び乳化剤
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中のnは1〜5の整数である)で表わされるクロマ
ン誘導体における2位のアルコール性水酸基とのリン酸
エステル結合物であるホスファチジルクロマノール誘導
体。
【化2】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またnは1〜5の整
数、Xは1価の陽イオンである)で表わされる請求項1
記載のホスファチジルクロマノール誘導体。
【化3】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またR3は水素原
子、又は水酸基を有する塩基の1個の水酸基を除いた有
機残基、Xは1価の陽イオンである)で表わされるリン
脂質の少なくとも1種と請求項1記載のクロマン誘導体
とをホスホリパーゼDを用いて転移反応させることを特
徴とする請求項2記載のホスファチジルクロマノール誘
導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なホスファチジル
クロマノール誘導体、その製造方法並びにこのものを有
効成分とする抗酸化剤及び乳化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リン脂質は、生体構成成分として天然に
広く存在し、その分子中には疎水性部分と親水性部分と
が存在していて両親媒性を示し、天然の乳化剤(界面活
性剤)として主に食品分野において広く用いられてい
る。また、リン脂質は、それがもつ種々の生理的、栄養
学的な作用が注目されるにしたがい、食品用の乳化剤と
してだけでなく、様々な機能性をもった物質として、医
薬、化粧品などの分野での利用が研究されている。
【0003】一方、ビタミンE(トコフェロール)は、
脂溶性のラジカル捕捉型抗酸化物質として、極めて有効
なものである。その抗酸化作用は、クロマン環上6位の
OH基の水素の反応性が極めて高く、速やかにラジカル
を捕捉して安定化することによる。このことから、ビタ
ミンEは、天然のすぐれた抗酸化剤として広く食品、化
粧品、医薬品などに用いられており、特に食品において
は、食用油の酸化安定剤として使用されている。また、
ビタミンEとリン脂質との単なる混合物が、油脂に対
し、ビタミンE単独よりもより強い抗酸化活性(いわゆ
る相乗効果)を示すことも知られている[ディ.エッ
チ.ヒルデブランドら、ジャーナル・オブ・アメリカン
・オイル・ケミスト・ソサイアティ(D.H.Hild
ebrand et al.,J.Am.Oil Ch
em.Soc.)、第61巻、第552ページ(198
4年)]。しかしながら、いずれの場合も油脂などに対
する抗酸化活性は必ずしも満足すべきものでなく、より
すぐれた抗酸化剤が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のもの
よりも顕著にすぐれた抗酸化作用を有する抗酸化剤とし
て、さらには、乳化剤として好適な新規化合物及びその
製造方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、リン脂質とクロ
マン環上の2位にアルコール性水酸基が付与された特定
のクロマン誘導体との反応物である新規なホスファチジ
ルクロマノール誘導体が、極めてすぐれた抗酸化作用を
有すること、しかも乳化作用をも兼ね備えていること、
さらに、該ホスファチジルクロマノール誘導体が、リン
脂質とクロマン誘導体とからホスホリパーゼDを用いた
ホスファチジル基転移反応により、温和な条件下で、し
かも高い変換率で得られることなどを見出し、これらの
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)リン脂質のリ
ン酸と一般式
【化4】 (式中のnは1〜5の整数である)で表わされるクロマ
ン誘導体における2位のアルコール性水酸基とのリン酸
エステル結合物であるホスファチジルクロマノール誘導
体、(2)一般式
【化5】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またnは1〜5の整
数、Xは1価の陽イオンである)で表わされる前記
(1)記載のホスファチジルクロマノール誘導体、
(3)リン脂質のリン酸と前記一般式(I)で表わされ
るクロマン誘導体における2位のアルコール性水酸基と
をリン酸エステル結合反応させることを特徴とする前記
(1)記載のホスファチジルクロマノール誘導体の製造
方法、(4)リン脂質と前記一般式(I)で表わされる
クロマン誘導体とをホスホリパーゼDを用いて転移反応
させることを特徴とする前記(1)記載のホスファチジ
ルクロマノール誘導体の製造方法、(5)一般式
【化6】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよく、またR3は水素原
子、又は水酸基を有する塩基の1個の水酸基を除いた有
機残基、Xは1価の陽イオンである)で表わされるリン
脂質の少なくとも1種と前記一般式(I)で表わされる
クロマン誘導体とをホスホリパーゼDを用いて転移反応
させることを特徴とする前記一般式(II)で表わされ
るホスファチジルクロマノール誘導体の製造方法、
(6)前記一般式(II)で表わされるホスファチジル
クロマノール誘導体の少なくとも1種を有効成分とする
抗酸化剤、及び(7)前記一般式(II)で表わされる
ホスファチジルクロマノール誘導体の少なくとも1種を
有効成分とする乳化剤である。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。先
ず、本発明の新規なホスファチジルクロマノール誘導体
は、リン脂質のリン酸と、前記一般式(I)で表わされ
るクロマン誘導体における2位のアルコール性水酸基と
のリン酸エステル結合物であり、中でも前記一般式(I
I)で表わされるホスファチジルクロマノール誘導体が
好ましい。なお、前記一般式(I)において、化学式の
クロマン環に付した数字は命名法での位置を示すもので
ある。また、前記一般式(II)で表わされるホスファ
チジルクロマノール誘導体においては、該数字に「’」
を付して命名する。そしてまた、前記一般式(II)に
おいて、R1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよい。さらにまた、前記一
般式(II)において、Xは1価の陽イオンであって、
例えば水素原子、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ
金属イオン、アンモニア、トリエタノールアミンなどの
有機アミン、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸
などが挙げられる。リン脂質としては、通常大別される
グリセロリン脂質(glycerophospholi
pids)、スフィンゴリン脂質(sphingoph
ospholipids)のいずれでもよく、また、こ
れらは化学合成によって得られたものでも、天然物等か
ら抽出などして得られたものでもよい。
【0008】中でも、前記一般式(III)で表わされ
るグリセロリン脂質が好適であり、これらは単独又は組
合せのもの(混合物)でもよい。そしてR1及びR2の脂
肪酸残基としては、前記のごとく炭素数2〜24の飽和
若しくは不飽和脂肪酸残基のいずれでもよいが、例えば
ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ア
ラキドン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸
などの炭素数10〜22の脂肪酸残基が好ましい。ま
た、該R1及びR2の脂肪酸残基は、目的化合物自体の保
存安定性の観点から、飽和のものが好ましく、このこと
から不飽和のものはあらかじめ水素添加などの処理をし
て用いるのが望ましい。またR3は水素原子、又は水酸
基を有する塩基の1個の水酸基を除いた有機残基である
が、その例としては−(CH22+(CH33(コリ
ン残基)、−(CH22NH2(エタノールアミン残
基)、−CH2CH(NH2)COOH(セリン残基)、
−C66(OH)5(イノシトール残基)、−CH2CH
(OH)CH2(OH)(グリセロール残基)、−H
(水素原子)などが好適なものとして挙げられる。
【0009】さらに、リン脂質として特に好ましいもの
としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファ
チジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールな
ど、あるいはこれらの混合物が挙げられる。また、卵
黄、大豆から製造されるいわゆる卵黄レシチン、大豆レ
シチンは、各種のリン脂質の混合物であるが、本発明に
おいては、特に好適なものとして挙げられる。さらに他
の天然のリン脂質、例えば菜種レシチン、コーンレシチ
ン、サフラワーレシチンなど、あるいは改質レシチン、
例えばリゾレシチン、転移レシチンなども好適である。
【0010】次に、前記一般式(I)で表わされるクロ
マン誘導体において、nは1〜5、好ましくは1〜3の
整数であり、nが1又は2である2,5,7,8−テト
ラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ク
ロマン、2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキ
シ−2−ヒドロキシエチル−クロマンが特に好ましい。
これらのクロマン誘導体は、例えば市販のもの、公知の
方法で化学的に合成して得たもの[例えばリチャード・
バーナーら、ヘルベチカ・キミカ・アクタ(Richa
rd Barner et al.,Helv.Chi
m.Acta)、第62巻、第2384ページ(197
9年)、特開昭56−145282号公報、特開昭58
−201775号公報、特開昭61−210029号公
報など参照)などのいずれでもよく、特に制限されな
い。
【0011】そして、本発明の新規なホスファチジルク
ロマノール誘導体は、前記のごとくリン脂質のリン酸と
前記一般式(I)で表わされるクロマン誘導体における
2位のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物で
あるが、例えば該リン脂質が飽和脂肪酸残基をグリセロ
骨格の1位と2位に有し、該クロマン誘導体が2,5,
7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキ
シメチル−クロマンの場合は、次のようなものが例示さ
れる(この例示化合物名において、「−GPMC」は
「−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’−ヒドロキシメ
チル−2’,5’,7’,8’−テトラメチル−6’−
ヒドロキシ−クロマン」の略記である)。例えば1,2
−ジラウロリル−GPMC、1,2−ジミリストイル−
GPMC、1,2−ジパルミトイル−GPMC、1,2
−ジステアロイル−GPMC、1,2−ジアラキドニル
−GPMC、1−ミリストイル−2−パルミトイル−G
PMC、1−ミリストイル−2−ステアロイル−GPM
C、1−パルミトイル−2−ミリストイル−GPMC、
1−パルミトイル−2−ステアロイル−GPMC、1−
ステアロイル−2−ミリストイル−GPMC、1−ステ
アロイル−2−パルミトイル−GPMC、これらの塩な
ど。また、該クロマン誘導体が2,5,7,8−テトラ
メチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエチル−クロ
マンの場合は、「GPMC」を「−sn−グリセロ−3
−ホスホ−2’−ヒドロキシエチル−2’,5’,
7’,8’−テトラメチル−6’−ヒドロキシ−クロマ
ン」と置き換える以外は前記例示化合物と同様のものが
例として挙げられる。
【0012】次に、本発明の新規なホスファチジルクロ
マノール誘導体の製造方法におけるリン酸エステル結合
反応は、例えば化学的方法(化学合成法)、酵素的方法
(転移反応)などのいずれでもよいが、特にホスホリパ
ーゼDを用いる酵素的方法が好ましい。そして、前記リ
ン酸エステル結合を、ホスホリパーゼDを用いてのホス
ファチジル基の転移反応を適用することにより行えば、
温和な条件下で、しかも高い変換率で本発明の目的物質
を製造することができる。
【0013】本発明において用いられるホスホリパーゼ
Dとしては、ホスファチジル基の転移活性を有するもの
であればいずれでもよく、例えばストレプトミセス・リ
ディカス(Streptomyces lydicu
s)由来のもの[ホーネンコーポレーション(株)
製]、ストレプトミセス・エスピー(Streptom
yces sp.)由来のもの[シグマ社製商品名:ホ
スホリパーゼD TypeVII]、ストレプトミセス
・クロモフカス(Streptomyces chro
mofucus)由来のもの(ベーリンガマンハイム山
之内社製)などが挙げられる。
【0014】次に、ホスホリパーゼDが反応するリン脂
質及び前記一般式(I)で表わされるクロマン誘導体か
ら本発明の目的物質であるホスファチジルクロマノール
誘導体を製造するための酵素的方法を例示する。酵素反
応を実施する際の反応系は水系、有機溶媒系あるいはこ
れらの混合系などのいずれでもよい。そして、リン脂質
及び前記一般式(I)で表わされるクロマン誘導体をモ
ル比として1:1〜1:10の割合で溶剤に溶解若しく
は懸濁させ、これにホスホリパーゼDを0.1〜100
単位/ml(反応液)となるように添加し、攪拌しなが
ら、適当な条件下でホスファチジル基の転移反応(リン
酸エステル結合反応)を行わせて、目的物質を含む反応
物を得る。この反応に用いられる溶剤としては、リン脂
質を溶解若しくは懸濁させるもので、酵素活性を著しく
低下させないものであればいずれでもよく、例えばn−
ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、クロロ
ホルム、酢酸エチル、アセトニトリル、tert−ブタ
ノール、これらの任意の混合溶剤などが好適なものとし
て挙げられる。
【0015】また、酵素反応条件としてはホスホリパー
ゼDが作用する条件であれば特に制限されず、勿論、用
いるホスホリパーゼDの好適作用条件が採用されるが、
通常、例えばpH2〜10、好ましくはpH4〜7、温
度5〜80℃、好ましくは10〜50℃で10分〜10
0時間、好ましくは30分〜60時間である。そして、
例えばホスホリパーゼDとしてシグマ社製の商品名:ホ
スホリパーゼD Type VIIを用いた場合には、
この酵素反応条件はpH3〜8、好ましくはpH5〜
6、温度10〜50℃、好ましくは20〜40℃で15
分〜48時間、好ましくは1〜10時間である
【0016】この酵素反応終了後、反応物から本発明の
目的物質である新規なホスファチジルクロマノール誘導
体を精製して得るのであるが、この精製法は特に限定さ
れず、適宜の方法が採用される。その例としては、先ず
溶媒、例えばクロロホルム:メタノール混液、ヘキサン
などを用いて該目的物質を抽出し、さらにこの抽出物に
クロマトグラフィ、溶媒分画法などの単独又は組合せに
よる精製法を施して、高純度の目的物質を得ることがで
きる。このときのクロマトグラフィとしては、例えばカ
ラムクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィなどが挙
げられる。またカラムクロマトグラフィを採用する場合
には、その担体としては疎水性のものであればよく、例
えばシリカゲルなどが好適である。
【0017】本発明の目的物質である新規なホスファチ
ジルクロマノール誘導体は、このものの少なくとも1種
(単独又は混合物)を有効成分とするすぐれた抗酸化
剤、乳化剤として極めて有用であり、これらは、例えば
食品、化粧品、医薬品などに効果的に使用することがで
きる。この場合、該ホスファチジルクロマノール誘導体
は、その粗製物あるいは精製物のいずれでも用いられ、
また、そのままの状態で、あるいはこれを適当な溶剤、
例えば水、メタノール、エタノールなどに溶解又は懸濁
させた溶液、さらには常法により賦形剤、例えば糖類な
どを添加するかしないで乾燥、粉末化などして得た固形
物など、いずれの状態でも用いられる。
【0018】特に、本発明のホスファチジルクロマノー
ル誘導体は抗酸化活性が極めて高いという特性を有して
いる。すなわち、前記一般式(I)で表わされるクロマ
ン誘導体そのものも抗酸化作用を有しているが、このも
のに比し該ホスファチジルクロマノール誘導体は極めて
高い抗酸化活性を示し、さらに、従来知られているビタ
ミンEあるいはビタミンEとリン脂質との単なる混合物
の抗酸化活性よりも顕著にすぐれたものである。本発明
の抗酸化剤は、使用対象、使用方法などに制限はない
が、殊に脂溶性の抗酸化剤として、例えば食用油脂、他
の油脂系食品に極めて好適に用いられ、このときの添加
量は0.001〜1%(w/w)、好ましくは0.01
〜0.1%(w/w)である。また、化粧品、例えばク
リーム、乳液、化粧水、パウダー、オイル、軟膏などに
用いる場合には、その添加量は0.01〜10%(w/
w)、好ましくは0.5〜5%(w/w)である。
【0019】さらに、本発明のホスファチジルクロマノ
ール誘導体は、原料のリン脂質が有する乳化作用をも併
せもつものであり、抗酸化作用を有する乳化剤として単
独あるいは他の乳化剤と組合わせて用いられる。このよ
うに、本発明のホスファチジルクロマノール誘導体は抗
酸化と乳化の両作用を有するので、乳化によって、水溶
液中で酸化され易い物質に対しても、抗酸化剤として効
果的に作用する。本発明の乳化剤の使用例としては、例
えばチョコレート、マーガリン、パン、ケーキ、ビスケ
ット、キャラメルなどの食品加工工程での使用などが挙
げられ、このときの添加量は0.001〜5%(w/
w)、好ましくは0.01〜1%(w/w)である。
【0020】
【発明の効果】本発明の前記ホスファチジルクロマノー
ル誘導体は抗酸化作用及び乳化作用を有する新規な化合
物であって、抗酸化剤、乳化剤として極めて有用であ
り、このものを食品、化粧品、医薬などに用いることに
より、これらの酸化安定性、乳化安定性を顕著に向上さ
せることができる。
【0021】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限され
るものではない。 実施例1 市販のジミリストイル−L−α−ホスファチジルコリン
(シグマ社製)50mg(73.8μmol)と2,
5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒド
ロキシメチル−クロマン(株式会社クラレ製)20mg
(84.6μmol)にジエチルエーテル1mlを加え
て懸濁させ、これにCaCl20.01Mを含む0.0
1Mクエン酸緩衝液(pH6.0)24mlを加えて3
7℃に保温したのち、市販のホスホリパーゼD(シグマ
社製商品名:ホスホリパーゼD Type VII)3
0単位を含む酵素液1mlを加えて振盪しながら37℃
で2時間反応させた。この反応物につき、高速液体クロ
マトグラフィにより分析した結果、目的物質への変換率
(用いたリン脂質に対する生成目的物質の割合)は95
%と高率であった。得られた反応物をクロロホルム:メ
タノール(2:1)で抽出処理したのち、ケイ酸カラム
に吸着させ、さらにクロロホルム:メタノール(95:
5)で溶出後、減圧乾固して目的物質35mg(43.
2μmol、収率58.5%)を得た。
【0022】この物質を薄層クロマトグラフィにより、
シリカゲルのプレート(SILICA GEL 60、
メルク社製、以下同じ)、展開溶媒としてクロロホル
ム:メタノール=80:20を用いて展開した結果、塩
化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で赤
色を呈し(クロマン環の存在を示す)、かつディットマ
ー試薬による発色法で青色を呈する(リンの存在を示
す)単一のスポット(Rf=0.43)が検出された。
このことから、同一分子中にリン脂質とクロマン環を有
する物質の生成が確認された。
【0023】この物質の質量スペクトル(SIMS)、
1H−NMRスペクトル及びIRスペクトルは次のとお
りである。 SIMSスペクトル:m/z=849(M+K+1 H−NMRスペクトル:[CDCl3/CD3OD
(2:1,v/v)、内部標準TMS]:δ(ppm)
0.89(6H,t,J=6.4Hz),1.27(4
3H,br.s),1.60(4H,m),1.83
(2H,m),2.06(3H,s),2.12(3
H,s),2.15(3H,s),2.30(4H,
t,J=6.4Hz),2.64(2H,t,J=6.
8Hz),3.84(2H,m),3.99(2H,
m),4.16(1H,m),4.35(1H,m),
5.22(1H,m) IRスペクトル(KBr disk)(cm-1):34
82、2924、2853、1745、1457、12
46、1027 これらの結果より、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこの物質はリン脂質のリン酸と前記クロマン誘
導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れ、そしてこの物質は前記一般式(II)において、R
1=R2=ミリスチン酸残基(C1327CO−)、n=
1、X=K+の1,2−ジミリストイル−sn−グリセ
ロ−3−ホスホ−2’−ヒドロキシメチル−2’,
5’,7’,8’−テトラメチル−6’−ヒドロキシ−
クロマンであると確認された。
【0024】実施例2 2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシメチル−クロマンの代わりに、2,5,7,
8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエ
チル−クロマン(株式会社クラレ製)20mg(80.
0μmol)を用いた以外は実施例1と同様にして目的
物質35mg(42.4μmol、収率57.5%)を
得た。なお、精製前の反応物につき、高速液体クロマト
グラフィにより分析した結果、目的物質への変換率は9
5%と高率であった。この物質を薄層クロマトグラフィ
により、シリカゲルのプレート、展開溶媒としてクロロ
ホルム:メタノール=80:20を用いて展開した結
果、塩化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色
法で赤色を呈し、かつディットマー試薬による発色法で
青色を呈する単一のスポット(Rf=0.48)が検出
された。このことから、同一分子中にリン脂質とクロマ
ン環を有する物質の生成が確認された。
【0025】この物質の質量(SIMS)スペクトル、
1H−NMRスペクトル及びIRスペクトルは次のとお
りである。 SIMSスペクトル:m/z=825(M+H+1 H−NMRスペクトル:[CDCl3/CD3OD
(2:1,v/v)、内部標準TMS]:δ(ppm)
0.89(6H,t,J=6.7Hz),1.27(4
3H,br.s),1.60(4H,m),1.83
(2H,t,J=6.8Hz),1.97(2H,
m),2.07(3H,s),2.11(3H,s),
2.15(3H,s),2.31(4H,t,J=7.
4Hz),2.62(2H,t,J=6.8Hz),
3.96(2H,t,J=6.8Hz),4.11(2
H,m),4.15(1H,dd,J=12.0,6.
5Hz),4.39(1H,dd,J=12.0,3.
5Hz),5.22(1H,m) IRスペクトル(KBr disk)(cm-1):34
82、2924、2853、1745、1457、12
46、1027 これらの結果より、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこの物質はリン脂質のリン酸と前記クロマン誘
導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れ、そしてこの物質は前記一般式(II)において、R
1=R2=ミリスチン酸残基、n=2、X=H+の1,2
−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’
−ヒドロキシエチル−2’,5’,7’,8’−テトラ
メチル−6’−ヒドロキシ−クロマンであると確認され
た。
【0026】実施例3 L−α−ホスファチジルコリン(卵黄由来、シグマ社
製)1g(平均分子量777として1.29mmol)
と2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−クロマン(株式会社クラレ製)4
00mg(1.69mmol)にジエチルエーテル20
mlを加えて懸濁させ、これにCaCl20.01Mを
含む0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)480m
lを加えて37℃に保温したのち、市販のホスホリパー
ゼD(シグマ社商品名:ホスホリパーゼD Type
VII)600単位を含む酵素液20mlを加えて振盪
しながら37℃で2時間反応させた。この反応物につ
き、高速液体クロマトグラフィにより分析した結果、目
的物質への変換率は95%と高率であった。得られた反
応物を実施例1と同様に精製して、目的物質の1,2−
ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’−ヒドロ
キシメチル−2’,5’,7’,8’−テトラメチル−
6’−ヒドロキシ−クロマン0.82g(0.90mm
ol、収率69.8%)を得た。
【0027】この物質を薄層クロマトグラフィにより、
シリカゲルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:
メタノール=80:20を用いて展開した結果、塩化第
二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で赤色を
呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色を呈す
る単一のスポット(Rf=0.43)が検出された。こ
のことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で得られ
たこの物質は、同一分子中にリン脂質とクロマン環を有
する物質であり、またリン脂質のリン酸と前記クロマン
誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れた。
【0028】実施例4 2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシメチル−クロマンの代わりに、2,5,7,
8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエ
チル−クロマン(株式会社クラレ製)400mg(1.
60mmol)を用いた以外は実施例3と同様にして目
的物質の1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホス
ホ−2’−ヒドロキシエチル−2’,5’,7’,8’
−テトラメチル−6’−ヒドロキシ−クロマン0.86
g(0.93mmol、収率72.1%)を得た。な
お、精製前の反応物につき、高速液体クロマトグラフィ
により分析した結果、目的物質への変換率は95%と高
率であった。この物質を薄層クロマトグラフィにより、
シリカゲルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:
メタノール=80:20を用いて展開した結果、塩化第
二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で赤色を
呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色を呈す
る単一のスポット(Rf=0.48)が検出された。こ
のことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で得られ
たこの物質は、同一分子中にリン脂質とクロマン環を有
する物質であり、またリン脂質のリン酸と前記クロマン
誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エステル結合物
(ホスファチジル基の転移反応物)であることが確認さ
れた。
【0029】実施例5 表1に記載のリン脂質50mgと2,5,7,8−テト
ラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−ク
ロマン(株式会社クラレ製)20mg(84.6μmo
l)にジエチルエーテル1mlを加えて懸濁させ、これ
にCaCl20.01Mを含む0.01Mクエン酸緩衝
液(pH6.0)24mlを加えて37℃に保温したの
ち、市販のホスホリパーゼD(シグマ社製商品名:ホス
ホリパーゼD Type VII)30単位を含む酵素
液1mlを加えて振盪しながら37℃で2時間反応させ
た。各反応物につき、高速液体クロマトグラフィにより
分析した結果、これらの目的物質への変換率は、表1に
記載のごとく、いずれも高率であった。得られた各反応
物を実施例1と同様に精製して、本発明の目的物質の各
種ホスファチジルクロマノール誘導体(1,2−ジアシ
ル−sn−グリセロ−3−ホスホ−2’−ヒドロキシメ
チル−2’,5’,7’,8’−テトラメチル−6’−
ヒドロキシ−クロマン)を表1に記載の収量で得た。
【0030】
【表1】 これらの物質を薄層クロマトグラフィにより、シリカゲ
ルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:メタノー
ル=80:20を用いて展開した結果、いずれの場合も
塩化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で
赤色を呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色
を呈する単一のスポット(Rf=0.43)が検出され
た。このことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこれらの物質は、同一分子中にリン脂質とクロ
マン環を有する物質であり、またリン脂質のリン酸と前
記クロマン誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エス
テル結合物(ホスファチジル基の転移反応物)であるこ
とが確認された。
【0031】実施例6 2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−
ヒドロキシメチル−クロマンの代わりに、2,5,7,
8−テトラメチル−6−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエ
チル−クロマン(株式会社クラレ製)20mg(80.
0μmol)を用いた以外は実施例5と同様にして、本
発明の目的物質の各種ホスファチジルクロマノール誘導
体(1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホ−
2’−ヒドロキシエチル−2’,5’,7’,8’−テ
トラメチル−6’−ヒドロキシ−クロマン)を表2に記
載の収量で得た。なお、精製前の各反応物につき、高速
液体クロマトグラフィにより分析した結果、それらの目
的物質への変換率は、表2に記載のごとく、いずれも高
率であった。
【0032】
【表2】 これらの物質を薄層クロマトグラフィにより、シリカゲ
ルのプレート、展開溶媒としてクロロホルム:メタノー
ル=80:20を用いて展開した結果、いずれの場合も
塩化第二鉄−バソフェナントロリン試薬による発色法で
赤色を呈し、かつディットマー試薬による発色法で青色
を呈する単一のスポット(Rf=0.48)が検出され
た。このことから、ホスホリパーゼDによる酵素反応で
得られたこれらの物質は、同一分子中にリン脂質とクロ
マン環を有する物質であり、またリン脂質のリン酸と前
記クロマン誘導体のアルコール性水酸基とのリン酸エス
テル結合物(ホスファチジル基の転移反応物)であるこ
とが確認された。
【0033】実施例7 実施例3及び4で得られた本発明のホスファチジルクロ
マノール誘導体(表3において、それぞれPMC、PE
Cと略記する)、リン脂質として大豆レシチン(東京化
成社製)を用い、実施例5及び6と同様にして得られた
本発明のホスファチジルクロマノール誘導体(該表にお
いて、それぞれSPMC、SPECと略記する)、実施
例3(又は5)及び4(又は6)で用いたクロマン誘導
体(該表において、それぞれMC、ECと略記する)、
並びに公知の抗酸化作用を示す物質などとの抗酸化活性
の比較を次の方法により行った。ガラスシャーレ中の精
製ラード(月島食品製)1.0gに表3に記載の各種物
質を0.4μmol[本発明のホスファチジルクロマノ
ール誘導体及びリン脂質については、リン(P)濃度に
より定量]添加してかきまぜたのち、これを60℃で遮
光して保存し、1日1回その重量を測定してラードの酸
化に伴う重量の増加をみた。ラードの重量の増加が始ま
るまでの期間を酸化抑制期間とし、その結果を表3にま
とめて示す。
【0034】
【表3】 表3から、本発明のホスファチジルクロマノール誘導体
は、いずれもその酸化抑制期間が、従来抗酸化作用が知
られているビタミンE(D−α−トコフェロール)や、
抗酸化活性が相乗的に増大することが知られているビタ
ミンEとL−α−ホスファチジルコリン(卵黄由来)と
の単なる等モル混合物に比して顕著に長く、極めてすぐ
れた抗酸化作用を有していることがわかる。さらに本発
明のホスファチジルクロマノール誘導体の抗酸化活性
は、クロマノール誘導体に比しても、極めて高くなって
いることがわかる。
【0035】実施例8 実施例3及び4で得られた本発明のホスファチジルクロ
マノール誘導体(表4において、それぞれPMC、PE
Cと略記する)、リン脂質として大豆レシチン(東京化
成社製)を用い、実施例5及び6と同様にして得られた
本発明のホスファチジルクロマノール誘導体(該表にお
いて、それぞれSPMC、SPECと略記する)などの
乳化活性をジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・ア
ンド・フードケミストリー(Journal of A
gricultural andFood Chemi
stry)、26巻、第716ページ(1978年)に
記載の方法により測定した。すなわち、水20mlに表
4に記載の各種物質を0.1g添加し、ホモジナイザー
(キネマチカ社製、CH6010)を用いて、1000
0rpmで30秒間乳化処理したのち、大豆油1gを徐
々に添加しながら、さらに1分間、10000rpmで
の乳化処理して乳化液を調製した。次いで、乳化直後及
び乳化後、25℃で72時間静置した各乳化液につき、
0.1%トリトンX−100水溶液で200倍に希釈し
たものの500nmにおける吸光度を測定した。その結
果を表4に示す。
【0036】
【表4】 なお、表4において、72時間静置のものは、無添加で
は油は完全に分離したが、その他では油の分離は認めら
れなかった。表4から、本発明のホスファチジルクロマ
ノール誘導体の乳化活性は、乳化剤として知られている
L−α−ホスファチジルコリンのそれとほぼ同程度のす
ぐれたものであることがわかる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン脂質のリン酸と一般式 【化1】 (式中のnは1〜5の整数である)で表わされるクロマ
    ン誘導体における2位のアルコール性水酸基とのリン酸
    エステル結合物であるホスファチジルクロマノール誘導
    体。
  2. 【請求項2】 一般式 【化2】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
    若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
    てもよいし、異なっていてもよく、またnは1〜5の整
    数、Xは1価の陽イオンである)で表わされる請求項1
    記載のホスファチジルクロマノール誘導体。
  3. 【請求項3】 リン脂質のリン酸と請求項1記載のクロ
    マン誘導体における2位のアルコール性水酸基とをリン
    酸エステル結合反応させることを特徴とする請求項1記
    載のホスファチジルクロマノール誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 リン脂質と請求項1記載クロマン誘導体
    とをホスホリパーゼDを用いて転移反応させることを特
    徴とする請求項1記載のホスファチジルクロマノール誘
    導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式 【化3】 (式中のR1、R2は水素原子又は炭素数2〜24の飽和
    若しくは不飽和脂肪酸残基であり、それぞれ同一であっ
    てもよいし、異なっていてもよく、またR3は水素原
    子、又は水酸基を有する塩基の1個の水酸基を除いた有
    機残基、Xは1価の陽イオンである)で表わされるリン
    脂質の少なくとも1種と請求項1記載のクロマン誘導体
    とをホスホリパーゼDを用いて転移反応させることを特
    徴とする請求項2記載のホスファチジルクロマノール誘
    導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のホスファチジルクロマノ
    ール誘導体の少なくとも1種を有効成分とする抗酸化
    剤。
  7. 【請求項7】 請求項2記載のホスファチジルクロマノ
    ール誘導体の少なくとも1種を有効成分とする乳化剤。
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