JPH0465172B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、マンホールの上端部に積層配置さ
れ、該マンホールの受枠の高さ位置を調整する場
合に使用されるマンホール用調整リングの製造方
法に関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種のマンホール用調整リングは、上
面を開口した型枠内にコンクリートを打設するこ
とにより製造されている。しかしながら、このよ
うな方法で製造する場合には、各調整用リングを
それぞれ個別に作らなければならないため非能率
的であり、また、上面を平坦に仕上げるのが難し
いため、精度の高い調整リングを得るには上面の
仕上げに手間がかかる。

このような不具合を解消するために、上面枠と
下面枠とをリングスリーブを介して対向させ、こ
れら上面枠および下面枠を前記リングスリーブに
貫通させた長尺なボルトにより連結して内枠を構
成し、この内枠を遠心成形用外殻内に収容して遠
心成形方法により調整リングを形成するようにし
たものが開発されている。しかしながら、従来の
ものは、上面枠と下面枠とをそれぞれ長尺な複数
本のボルトにより連結した上で、前記外殻内に収
容しなければならないため、型枠の組み立てや、
成形後の脱型作業に手間がかるという不都合があ
る。また、このようなものでは、長尺なボルトを
挿脱させる必要から、比較的大きな作業スペース
が不可欠となる。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は、以上説明したような問題点、すなわ
ち、従来の製造方法では、型枠の組立てや脱型作
業に比較的大きな作業スペースが必要になるとと
もに、その作業に手間がかかり能率よく調整リン
グを製造するのが難かしいという問題点を解説す
ることを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、かかる目的を達成するために、次の
ような手段を構じたことを特徴とする。

すなわち、本発明に係るマンホール用調整リン
グの製造方法は、両面に複数の突起を有した仕切
板と、この仕切板とは別体に構成され前記各突起
にそれぞれ着脱可能に嵌合する複数のパイプ部材
とを交互に組み合せることによつて、複数の仕切
板が軸方向に対向配置された内枠を構成するとと
もに、この内枠を回転枠に螺合させた締付ボルト
により押圧して外殻に固定した固定部材に押し付
けることによつて軸方向に挾圧固定し、この内枠
と前記外殻とによつて構成される型枠を用いて遠
心成形法により調整リングを成形するようにした
ことを特徴とする。

［作用］ このような製造方法によれば、仕切板とパイプ
部材とを順次嵌合させることによつて内枠を構成
することができ、この内枠を外殻内において軸方
向に挾圧することによつて複数個の調整用リング
を成形するための型枠を一挙に完成させることが
できる。そして、この型枠を用いて遠心成形を行
なつた後、前記型枠の内枠に対する挾圧状態を解
けば、すべての仕切板とそれら各仕切板間に生成
された製品とが分離可能となる。そして、その製
品たる調整リングには、前記パイプ部材により補
強されたボルト挿通孔が形成されることになる。

すなわち、本発明によれば、嵌合組立てのみに
よつて構成した内枠を外殻内に収容し、回転型に
螺合させた締付ボルトを螺進させてその内枠の一
端を押圧することによつて、内枠を前記回転型と
固定部材との間で軸心方向に挾圧することができ
る。その結果、前記内枠を外殻内に固定し、複数
個の調整用リングを成形するための型枠を完成さ
せることができる。

そのため、貫通させた複数本の長尺なボルトに
より複数枚の仕切板を締め上げて内枠を組立て、
しかる後にその内枠を外殻内に収容して型枠を完
成させる場合に不可欠な長尺ボルトの挿入作業や
抜取作業が、本発明では一切不要となる。したが
つて、比較的狭い作業スペースしか確保できない
場合においても型枠の組立作業や、分解作業を無
理なく迅速に行うことが可能となる。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明
する。

このマンホール用調整リング１は、第１図に示
すように、所定の厚みを有した円環状のもので、
上面１ａから下面１ｂに貫通する複数のボルト挿
通孔２が円周方向に等ピツチに設けられている。
これら各ボルト挿通孔２は、金属製のパイプ部材
３を該調整リング１の軸心と平行に埋設すること
によつて形成されており、これら各パイプ部材３
の上端面３ａおよび下端面３ｂは該調整リング１
の上面１ａおよび下面１ｂにそれぞれ面一に表出
させてある。また、この調整リング１の上面１ａ
の内周近傍部分には、横断面長方形の凹陥溝４が
環状に設けてある。

次いで、この調整リング１の製造方法について
説明する。まず、第２図に示すように、複数枚の
仕切板５を、パイプ部材３を介して軸方向に所定
の間隔をあけて配列させ内枠６を形成する。仕切
板５はリング板状のもので、前記ボルト挿通孔２
に対応する部位にそれぞれ円筒状のブツシユ７を
貫着することによつてその両面５ａ，５ｂに突出
する複数の位置決め用の突起８を形成している。
また、この仕切板５の一面５ａには、前記凹陥溝
４を形成するための環状の突条５ｃが一体に突設
してある。パイプ部材３は金属製のもので、両端
を対向する仕切板５の各突起８にそれぞれ嵌合さ
せてこれら両仕切板５間に介設される。

そして、このようにしてなる内枠６を回転枠９
に固定した外殻１１内に収容し、この内枠６を前
記回転枠９と前記外殻１１に固定した固定部材１
２とを利用して軸方向に挾圧し固定する。すなわ
ち、回転枠９はリング板状のもので、一端面９ａ
に突設した円筒状のキヤツシング部９ｂを図示し
ない支持輪に支持させて回転し得るようになつて
いる。そして、この回転枠９の一端面９ａには、
円筒状の固定壁９ｃと案内壁９ｄとを同心的に設
けており、この固定壁９ｃと案内壁９ｄとの間に
嵌合させた前記外殻１１の端部をこの固定壁９ｃ
にビス１３により固定することによつて該外殻１
１と回転枠９とを連結している。一方、固定部材
１２は、前記外殻11の内周に嵌合する円板状のも
ので、ボルト１４により外殻１１に固定されてい
る。そして、この固定部材１２と第３図中最右端
の仕切板５とを、例えば、円周方向に等配に設け
た３本のボルト１５により連結するとともに、前
記回転枠９に、例えば、３個のねじ孔１６を円周
方向に等配に穿設し、これら各ねじ孔１６に螺合
させた締付ボルト１７により第３図中最左端の仕
切板５を当金１８を介して右方に押圧することに
よつて、複数の仕切板５を対向配置してなる内枠
６に圧縮力を作用させる。これによつて、各仕切
板５は、前記パイプ部材３の長さ寸法に対応する
間隔をもつて平行に対向することになり、これら
各仕切板５と前記外殻１１とによつて遠心成形用
の型枠１９が構成される。しかる後、この型枠１
９を回転枠９とともに回転させながら、各仕切板
５間にコンスリート２１を打設し、遠心成形法に
よつて調整リング１を成形する。

第４図は、以上のようにして製造した調整リン
グ１をマンホールに適用した場合の一例を示して
いる。すなわち、マンホール本体２２の上端開口
面２２ａ上に複数枚の調整リング１を積み重ね、
その上にワツシヤ２３を介して受枠２４を載置し
ている。そして、この受枠２４、ワツシヤ２３、
調整リング１をボルト２５〜２８を用いて前記マ
ンホール本体２２に締付固定している。すなわ
ち、第１のボルト２５は前記マンホール本体２２
に埋設したアンカーナツト２９に螺合させ、第１
のボルト２５、第２のボルト２６、第３のボルト
２７および第４のボルト２８はそれぞれ円筒ナツ
ト状のカツプラ３１を介して接続し、第４のボル
ト２８の上端の受枠２４のフランジ部２４ａを貫
通させて外部に突出させている。そして、このボ
ルト２８の突出端部にナツト３２を螺着してい
る。なお、前記調整リング１の凹陥溝４には、弾
性部材たるゴム製のリング３３を収容しており、
これらのリング３３を前記ボルト２５〜２８の緊
締力により圧密して調整リング１間の止水および
緩衝を行なうようにしている。

しかして、このような調整リング１には、パイ
プ部材３が埋設されており、これら各パイプ部材
３の内周にボルト挿通孔２を形成しているので、
該ボルト挿通孔２を寸法精度が高く形くずれのな
いものにすることができ、ボルト２５〜２８の挿
通作業を円滑に行なうことができる。しかも、各
調整リング１の上面１ａには、凹陥溝４が設けて
あるため、この凹陥溝４内に止水および緩衝を兼
ねる厚手のゴム材を収容することができる。した
がつて、第４図に示すように複数枚積層して使用
する場合には、調整リング１間において漏水が生
じたり、繰り返し作用する上載荷重によつて各調
整リング１に衝撃が加わり傷みが発生するという
不都合を有効に防止することができる。

また、本発明に係る調整リング１の製造方法に
よれば、複数枚の仕切板５をパイプ部材３との嵌
合操作のみによつて連結され、外殻１１内で一挙
に挾圧してすべての仕切板５を所定の間隔をあけ
て固定配置するようにしているので、対をなす仕
切板５同志をボルト等によりそれぞれ緊締連結し
た後に外殻１１内に収容するようにしたものに比
べて型枠１９の組み立てを簡略化することが可能
である。また、同様な理由により遠心成形後の脱
型作業にも手間がかからない。

なお、同実施例では、仕切板を３枚用いて２個
の調整リングを同時に成形する場合を示している
が、本発明はかならずしもこのようなものに限定
されないのは勿論であり、例えば、４枚以上の仕
切板を使用して３個以上の調整リングを同時に成
形するようにしてもよい。

また、前記実施例では、ボルト挿通孔内に挿通
させるボルトをカツプラにより接合するようにし
ている場合について説明したが、本発明はこのよ
うなカツプラを用いないものにも同様に適用が可
能である。

さらに、パイプ部材は金属製のものに限らず、
例えば、プラスチツク製のもの等であつてもよ
い。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明に係る調整リング
の製造方法は、複数の位置決め用突起にそれぞれ
嵌合させたパイプ部材を介して複数枚の仕切板を
配列させ、これらを遠心成形用の外殻内で一挙に
挟圧固定して型枠を形成するようにしているの
で、寸法精度の高い型枠を最小限の手間で組み立
てることができ、また、分解することができる。
そのため、パイプ部材を内設した高精度の調整リ
ングを能率よく製造することができる。

すなわち、本発明によれば、複数本の長尺なボ
ルトの装脱を一切伴うことなしに、内枠を組立て
たり分解することができる。そのため、貫通ボル
トを使用する従来の方法のような長尺ボルトを挿
脱するための大きなスペースが必要になるという
不具合が生じない上に、型枠の組立作業や、分解
作業の工数をお大幅に低下させることができ、生
産性を無理なく有効に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は調整
リングの斜視図、第２図は内枠の分解した斜視
図、第３図は型枠の部分縦断面図、第４図は調整
リングの使用態様を説明するための説明図であ
る。 １……調整リング、１ａ……上面、１ｂ……下
面、２……ボルト挿通孔、３……パイプ部材、３
ａ……上端面、３ｂ……下端面、４……凹陥溝、
５……仕切板、５ａ，５ｂ……両面、５ｃ……突
条、６……内枠、７……ブツシユ、８……突起、
９……回転枠、９ａ……一端面、９ｂ……キヤツ
シング部、９ｃ……固定壁、９ｄ……案内壁、１
１……外殻、１２……固定部材、１３……ビス、
１４……ボルト、１５……ボルト、１６……ねじ
孔、１７……締付ボルト、１８……当金、１９…
…型枠、２１……コンクリート、２２……マンホ
ール本体、２２ａ……上端開口面、２３……ワツ
シヤ、２４……受枠、２４ａ……フランジ部、２
５〜２８……ボルト、２９……アンカーナツト、
３１……カツプラ、３２……ナツト、３３……弾
性部材（リング）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 両面に複数の突起を有した仕切板と、この仕
   切板とは別体に構成され前記各突起にそれぞれ着
   脱可能に嵌合する複数のパイプ部材とを交互に組
   み合わせることによつて、複数枚の仕切板が軸方
   向に対向配置された内枠を構成するとともに、こ
   の内枠を回転枠に固定した外殻内に収容し、この
   内枠を前記回転枠に螺合させた締付ボルトにより
   押圧して外殻に固定した固定部材に押し付けるこ
   とによつて軸方向に挾圧固定し、この内枠と前記
   外殻とによつて構成される型枠を用いて遠心成形
   法により調整リングを成形することを特徴とする
   マンホール用調整リングの製造方法。