JPH046388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車などの車輌に用いられ、乗員の
肩部及び胴部を拘束支持するシートベルトにおけ
るシヨルダーアンカ構造に関するものである。

（従来の技術） 座席に子供や背の低い人が座つたとき、標準タ
イプの大人用シートベルトを使用すると、そのウ
エビングの肩拘束部が子供などの首近くに達し、
不都合が生ずる。

そこで従来は子供用のシヨルダーアンカを特別
に製作し、子供などがシートベルトを使用すると
き、標準タイプのものと取替えて用いることが行
われていた。

又実開昭59−57959号公報に開示されるように、
シヨルダーアンカをガイド部材に上下摺動可能に
取付け、子供などがシートベルトを使用すると
き、前記シヨルダーアンカのスリツプジヨイント
を下方位置に設定する構造のものが知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、子供用のシヨルダーアンカを特別に製
作する場合には、部品コストの上昇を招くと共
に、取替え作業が煩雑であるという問題がある。

又シヨルダーアンカを上下位置調整可能にガイ
ド部材に取付ける構造のものは、構造が複雑にな
つて、大幅なコストアツプを招くという問題があ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するため、緊急時ロ
ツク式巻取装置から上方に繰出されたウエビング
を折返し状態でスライド自在に支持して下方のバ
ツクル部に導くシヨルダーアンカ部のスリツプジ
ヨイントを、ウエビングを案内する空間を備えた
上下１対のリング部と、前記空間を上下に連通す
る狭幅の連通空間を備えた接続部とから構成した
ことを特徴とする。

（作用） 上記構成によれば、通常の大人がシートベルト
を使用するときは、上側のリング部によつてウエ
ビングを案内支持でき、子供などがシートベルト
を使用するときは、下側のリング部によつてウエ
ビングを案内支持できる。そして後者の場合に
は、シヨルダーアンカ部のウエビングの案内点が
下方に移行されるので、子供などに対するウエビ
ングの肩拘束部の位置が適正なものとなる。

前記ウエビングが上側のリング部に案内支持さ
れるときは、このリング部によつてウエビング下
面を支持でき、しかも接続部の連通空間は狭幅に
形成されているので、下側のリング部に脱落する
ことが防止される。

更にウエビングを上側のリング部と下側のリン
グ部との一方から他方へ位置変更するときは、ウ
エビングを捩つて、その幅方向を上下方向にし
て、接続部における狭幅の連通空間を通過させれ
ばよい。

（実施例） 第１図及び第２図に示す本考案の第１実施例
は、フロントシートＡにおける３点式シートベル
トに本考案を適用したものに関する。

１はウエビング、２は緊急ロツク式巻取装置
（ELR）、３はシヨルダーアンカ部、４はラツプ
アウタアンカ部、５はラツプインナアンカ部、６
はタングプレート、７はバツクルである。前記巻
取装置２から繰出されたウエビング１は、シヨル
ダーアンカ部３のスリツプジヨイント８、タング
プレート６のスリツプジヨイント９を経由して、
ラツプアウタアンカ部４の支持金具１０に達して
いる。

シヨルダーアンカ部３のスリツプジヨイント８
は、第１図に示すように、ウエビング１を案内す
る空間１１ａ，１２ａを備えた上下１対のリング
部１１，１２と、前記空間１１ａ，１２ａを上下
に連通する狭幅の連通空間１３ａを備えた接続部
１３とからなり、上下１対のリング部１１，１２
及び接続部１３は棒材を屈曲形成するなどして、
一体形成されている。このスリツプジヨイント８
はブラケツト１４及び枢軸１５を介して、揺動可
能に車体２１に取付けられている。

上下１対リング部１１，１２は、夫々ウエビン
グ１を案内するのに適するよう、扁平な形状に形
成されると共に、これらは上下対称形状に形成さ
れている。他方、前記接続部１３はウエビング１
を捩つて、その幅方向を上下方向にしたとき、前
記連通空間１３ａを通過させることができる程度
の狭幅に形成されている。

かくして、第２図に示すようにフロントシート
Ａに背の低い子供Ｐが着座して、シートベルトを
使用するときには、下側のリング部１２にウエビ
ング１を挿通させて、これを案内支持させると、
前記子供Ｐの肩部の適正な位置にウエビング１を
セツトすることができる。他方、一般の大人がシ
ートベルトを使用するときは、第２図で仮想線で
示すように、上側のリング部１１にウエビング１
を挿通させればよい。

第３図に示す本考案の第２実施例は、シヨルダ
ーアンカ部３のスリツプジヨイント８を、上側の
リング部１１に対し下側のリング部１２が後方側
にオフセツトｅされるように形成している。この
ように構成すると、ウエビング１の肩拘束部から
スリツプジヨイント８に至るラインＨ，Ｌを、第
３図に示すように大人使用時の場合Ｈと子供使用
時の場合Ｌとで略平行にすることができ、子供使
用時の場合の肩拘束力の低下を防ぐことができ
る。

第４図に示す本考案の第３実施例は、前記スリ
ツプジヨイント８の接続部１３の上端にスロツト
ル部１６を設けて、上側のリング部１１に案内支
持されるウエビング１が落下しにくいようにして
いる。

第５図及び第６図に示す本考案の第４実施例
は、前記スリツプジヨイント８らおける上側のリ
ング部１１と接続部１３との接続箇所に、前記連
通空間１３ａを開閉するストツパ１７を配して、
ウエビング１の落下を確実に防止している。１８
はフオーク状のストツパー部１８ａ、操作用ピン
１８ｂ及び案内ロツド１８ｃを備えたストツパー
本体、１９は前記案内ロツド１８ｃを案内するガ
イド部材、２０はリターンスプリングで、これら
で前記ストツパー１７を構成している。

（考案の効果） 本考案は上記構成、作用を有するので、大人使
用時、子供使用時などにおいて、ウエビング案内
位置を上下に変更できるシヨルダーアンカ構造
を、簡単な構造にでき、安価に提供できると共
に、位置変更操作を容易にできる構造とすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例におけるシヨルダ
ーアンカ部を示す正面図、第２図は全体を示す正
面図、第３図は本考案の第２実施例におけるシヨ
ルダーアンカ部を示す正面図、第４図は本考案の
第３実施例におけるシヨルダーアンカ部を示す正
面図、第５図は本考案の第４実施例におけるシヨ
ルダーアンカ部を示す正面図、第６図はそのスト
ツパーを示す斜視図である。 １……ウエビング、３……シヨルダーアンカ
部、８……スリツプジヨイント、１１，１２……
リング部、１３……接続部、１７……ストツパ、
ｅ……オフセツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 緊急時ロツク式巻取装置から上方に繰出され
   たウエビングを折返し状態でスライド自在に支
   持して下方のバツクル部に導くシヨルダーアン
   カ部のスリツプジヨイントを、ウエビングを案
   内する空間を備えた上下１対のリング部と、前
   記空間を上下に連通する狭幅の連通空間を備え
   た接続部とから構成したことを特徴とするシー
   トベルトにおけるシヨルダーアンカ構造。 (2) 上側のリング部に対し下側のリング部が後方
   側にオフセツトされて配設されている実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のシートベルトにお
   けるシヨルダーアンカ構造。 (3) 上側のリング部と接続部との接続箇所に、接
   続部の連通空間を開閉するストツパを配設した
   実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載
   のシートベルトにおけるシヨルダーアンカ構
   造。