JPH0463202B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車等の車両において内燃機関が例
えば荷台の下に高さ制限されることで傾いて搭載
される場合の潤滑装置に関し、特にクランクケー
スとオイルパン相互にまたがつて貯留するオイル
の貯留方法に関するものである。

〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕

高さ制限されることで水平に近く傾いて搭載さ
れる内燃機関において、垂直に搭載されるものと
同様にウエツトサンプ方式でクランクケースの底
部にオイルパンを取付けてそこに潤滑用のオイル
を貯えるものでは、クランクケースの傾きが大き
いため、オイルはオイルパンのみならずクランク
ケース側の相互にまたがつて貯留することにな
る。そのため、オイルの油面位置がクランク軸、
バランサ軸のウエブやロツカー室からのオイル戻
し通路の出口に近くなり、走行時の旋回、降坂、
登坂等により油面が変動すると、容易にクランク
軸ウエブ等がオイル中に没して攪拌抵抗の増大に
よる出力の低下、油温上昇を招き、オイル戻し通
路が塞がれてオイル吹きを生じる。また、ピスト
ン及びシリンダと油面位置も近づき、オイルの攪
拌によりオイルミストの発生が増し、ピストン及
びシリンダの間〓から漏れたブローバイガスとオ
イルミストとの接触が多くなり、オイル劣化が激
しくなる問題がある。

そこで、かかる問題を解消する方法として、オ
イルを機関本体と別置きしたオイルタンクに貯
え、このオイルタンクから機関各部に潤滑させる
ドライサンプ方式のものが考えられる。この方式
では機関本体のクランクケース等には各部いを潤
滑した後のオイルが溜つても、それは直ちにオイ
ルタンクに移されることでほとんどオイルの貯留
がないため、上述の欠点が解消され得るが、オイ
ルタンク、機関本体からオイルタンクにオイルを
移すスカベンジポンプ、各配管が必要で、構造が
複雑化し且つ高価になる。

また、ウエツトサンプ方式において油面の変動
を押えるものとして、例えば実開昭55−114305号
公報のようにクランクケースとオイルパンとの間
にバツフル板を設けたものが提案されている。し
かるに、これは内燃機関が垂直に搭載されてオイ
ルがオイルパン側にのみ貯えられる場合を対象と
しており、本発明のように大きく傾いて搭載され
るものにそのまま適用することはできない。

本発明はこのような事情に鑑み、傾いて搭載さ
れる内燃機関にウエツトサンプ方式を採用するこ
とで、クンクケースとオイルパンの相互にまたが
つてオイルが貯えられる場合において、クランク
ケース側の油面位置を下げて種々の問題を解消す
るようにした内燃機関の潤滑装置を提供すること
を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この目的のため本発明による装置は、傾いて搭
載されることでクランクケースとオイルパンの相
互にまたがつてオイルが貯留する内燃機関におい
て、上記クランクケースとオイルパンとの間に隔
壁を設けて、クランクケース側のクランク室に対
しオイルパン側のオイルパン室を分離し、且つそ
れらの両室をピストン背圧の存在するクランク室
からオイルパン室へのオイルの供給のみを許容す
る一方向弁を介して連通し、該オイルパン室には
オイルポンプ吸入側のストレーナを設け、且つ吸
気系に連通して、クランク室に対しオイルパン室
の油面を高く保持させることを特徴とするもので
ある。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本発明の一実施例を具体
的に説明すると、図面において、符号１は例えば
30度の鋭角に傾いて設置されるクランクケース、
２はシリンダ、３はピストンであり、クランクケ
ース１の底部にオイルパン４が取付けられ、これ
らのクランクケース１及びオイルパン４の相互に
またがつて潤滑用のオイルが貯留する。また、シ
リンダヘツド５の上部の動弁機構６にはロツカカ
バー７が被せてあり、このロツカカバー７内のロ
ツカー室８とクランクケース１のクランク室９と
の間に、オイルを自重落下するオイル戻し通路１
０、ピストン３とシリンダ２の間〓からクランク
室９に漏れたブローバイガスを還元する通路１１
が連通されている。

かかる構成において、クランクケース１の底部
とオイルパン４との間に隔壁１２が略垂直に設け
られて、クランク室９に対しオイルパン４の側の
オイルパン室１３を分離するようになつており、
隔壁１２の下部に連通孔１４が穿設されて、ここ
にクランク室９からオイルパン室１３へのオイル
の供給のみを許容する一方向弁１５が設けてあ
る。そして、オイルパン室１３の下部にはオイル
ポンプ１６の吸入側に吸込管１７を介して連設し
たストレーナ１８が設置されて、オイルの汲み上
げを行うと共にその場合の吸引作用をオイルパン
室１３に及ぼすようになつており、更にこのオイ
ルパン室１３の上部が気液分離を行うオイルセパ
レータ１９を有する吸入通路２０により吸気系の
例えばエアクリーナ２１に連通してある。

このように構成されることから、機関運転時に
はエアクリーナ２１の吸引力、オイルポンプ１６
によりストレーナ１８からオイルを汲み上げる場
合の吸引力がオイルパン室１３内に作用する。ま
た、クランク室９にはピストン往復運動に伴う背
圧で正負の脈動圧が生じており、この場合の正圧
の加圧作用と上述の吸引作用で一方向弁１５が開
いてクランク室９からオイルパン室１３にオイル
が供給されるのであり、これによりクランク室９
はオイルが少なくてその油面が低く、これに対し
オイルパン室１３はオイルが多いことから油面の
高い状態に保持される。そしてこのオイル量の多
いオイルパン室１３からオイルポンプ１６により
オイルが汲み上げられて各部を潤滑し、潤滑後直
接又はオイル戻し通路１０を流下してクランク室
９に戻つたオイルは再びオイルパン１３に貯えら
れる。

一方このとき、旋回、降坂、登坂等の走行状態
によりオイルパン室１３等のオイルに種々の力が
作用しても、一方向弁１５が適宜閉じてオイルパ
ン室１３からクランク室９へのオイルの逆流が防
止される。また、ピストン３とシリンダ２との間
〓からクランク室９に漏洩するブローバイガス
は、隔壁１２によりオイルとの接触が制限されて
通路１１により還元され、オイルパン室１３のブ
ローバイガス等もオイルセパレータ１９で気液分
離された後にエアクリーナ２１に吸入される。

〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように本発明による
と、傾いて搭載される内燃機関にウエツトサンプ
方式を採用することで、クランクケース１とオイ
ルパン４の相互にまたがつてオイルが貯えられる
場合でも、クランクケース１側の油面が低くされ
てドライサンプ方式と略同様の状態になつている
ので、走行状態によりオイルがオイル戻し通路１
０を塞ぐことによるオイル吹き、クランク軸等の
ウエブがオイル中に没することによる出力低下、
油温上昇を防止することができる。また、ブロー
バイガスは隔壁１２によりオイルとの接触が防止
されるので、オイル劣化等も少ない。更に隔壁１
２によりオイルパン４の側にドライサンプ方式の
オイルタンクと同様のものが構成されるので、構
造が簡単である。オイルパン室１３の油面上昇保
持にクランク室９のピストン背圧、ストレーナ１
８からのオイル吸引力、吸気系の吸引力を利用し
ており、吸引のための専用の動力源を要しないの
で、構造が簡素化し、動力のロスもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明による装置の一実施例を模式的に
示す断面図である。 １……クランクケース、２……シリンダ、３…
…ピストン、４……オイルパン、５……シリンダ
ヘツド、６……動弁機構、７……ロツカカバー、
８……ロツカー室、９……クランク室、１０……
オイル戻し通路、１１……ブローバイガス還元通
路、１２……隔壁、１３……オイルパン室、１４
……連通孔、１５……一方向弁、１６……オイル
ポンプ、１７……吸込み管、１８……ストレー
ナ、１９……オイルセパレータ、２０……吸入通
路、２１……エアクリーナ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 傾いて搭載されることでクランクケースとオ
   イルパンの相互にまたがつてオイルが貯留する内
   燃機関において、上記クランクケースとオイルパ
   ンとの間に隔壁を設けて、クランクケース側のク
   ランク室に対しオイルパン側のオイルパン室を分
   離し、且つそれらの両室をピストン背圧の存在す
   るクランク室からオイルパン室へのオイルの供給
   のみを許容する一方向弁を介して連通し、該オイ
   ルパン室にはオイルポンプ吸入側のストレーナを
   設け、且つ吸気系に連通して、クランク室に対し
   オイルパン室の油面を高く保持させることを特徴
   とする内燃機関の潤滑装置。