JPH0460878B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はLNG船のタンク保冷材運搬取付装置
に関するものである。

LNG船は、第１図及び第２図に示す如く、外
壁と内壁の二重構造とした船殻１の内側に、自立
式のタンク２を適数の間隔を置いて収納し、該タ
ンク２の底部は、船殻１内底面上に複数の支持台
３を介して設置すると共に、タンク２の天井壁と
船殻１の天井部との間にも支持台４を介装させ、
タンク２の上下方向の大きな動きを抑え且つタン
ク２が熱膨張・収縮するときの伸縮を許容できる
ようにしてある。

上記タンク２の外壁面には、タンク２内に収納
される低温液化ガスを保冷するため、保冷層が全
面に亘り設けられる。

上記保冷層としては、タンク２の外側に空間部
を形成して該空間部に保冷材を充填することによ
り構成される等、従来より保冷構造について種々
のものが提案されている。

近年では、保冷効果がよく且つ取り扱いが容易
な保冷材として、ポリウレタンフオーム（PUF）
をパネル状に成形してなるものが案出され、該パ
ネル状の保冷材をタンク外壁面に並べて取り付け
ることにより保冷層を構成するようにしたものが
提案されている。

上記最近考えられているパネル状の保冷材をタ
ンク外壁に取り付ける場合には、タンク２の外壁
面に、雌ねじを有するボルトを予め所定の間隔で
多数埋め込み、１本のボルトに１個の保冷材のパ
ネルの中央部を嵌合させ、保冷材の外側から木製
ボルトを挿入してタンク外壁の埋込みボルトに螺
合させることによつて保冷材を１個宛取り付けて
行く方法が考えられていた。

しかし、パネル状になつた保冷材を、船殻１に
設けた孔５から１個宛搬入して取付位置まで搬送
し、しかる後、タンク外壁の埋込みボルトに嵌め
て取り付けるという作業を繰り返したのでは、作
業性が極めて悪いし、又、作業の危険性も大であ
る。

そこで、本発明は、かかる保冷材の運搬、取付
作業を安全且つ高能率に行うためになしたもの
で、船殻内部に設けられたタンクの天井壁上に配
置可能で且つ船殻外より搬入される複数のパネル
状の保冷材をタンク外壁面への取付位置に合つた
間隔を保つて配列させるコンベヤ装置と、船殻内
部に設けられたタンクの天井壁上に配置可能で且
つ前記保冷材をタンクの天井壁と側壁との間のコ
ーナー部まで運搬するためのトランスフアートロ
リーを有する運搬装置と、前記配列された保冷材
をコンベヤ装置から前記トランスフアートロリー
上へ移すための移載装置と、船殻内部に設けられ
たタンクのコーナー部に配置可能で且つ前記トラ
ンスフアートロリーを傾倒させて保冷材をタンク
の側壁にわせるコーナー部案内装置と、船殻とタ
ンク側壁との間に形成される空間に配置可能で且
つ前記コーナー部案内装置により案内された保冷
材をタンク側壁の所定位置まで下降させてタンク
側壁に押付ける取付装置とを備え作業能率の向上
と作業の安全性が図れるようにしたものである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第３図乃至第１２図は本発明のLNG船のタン
ク保冷材運搬取付装置の一実施例を示すもので、
船殻１の孔５を通して船上からタンク２の天井壁
６上へ順次搬入される保冷材９を、タンク外壁面
への取付位置に合つた間隙を保つて配列させるコ
ンベヤ装置と、該コンベヤ装置１に配列された
個数の保冷材９をタンク２の側方へ運ぶトランス
フアートロリー上へ移するため移載装置と、移
載された保冷材９をタンク２の天井壁６と側壁７
との間のコーナー部８まで運搬するためのトラン
スフアートロリーを含む搬送装置と、該搬送装
置のトランスフアートロリーを傾倒させて側壁
７に沿わせるコーナー部案内装置と、該コーナ
ー部案内装置で案内された保冷材９を受けてタ
ンク外壁へ押し付けて取り付けるための取付装置
と、から構成される。なお、図面では舷側方向
のタンク側壁７に保冷材９を取り付ける場合を示
しているが、船首尾方向のタンク側壁に保冷材９
を取り付ける場合も同様の機構で行う。

次に、前記した個々の機構を説明する。

先ず、コンベヤ装置は、第２図乃至第６図に
示す如く、タンク天井壁６の中央部から船首尾方
向へ延びるよう設置して、船殻１の孔５を通して
船上から順次搬入される保冷材９を天井壁６へ配
列させる。この保冷材９の配列は、タンク２の外
壁に埋め込まれている多数のボルトに対して数個
の保冷材９を同時に取り付けることができるよう
にするために行うもので、所定間隔で埋め込まれ
ているボルトの間隔に合わせると共に、配列され
る保冷材９同士の間にタンク２の熱膨張、収縮を
吸収できるようにするための間隔を形成しておく
ようにする。そのために、コンベヤ装置は、チ
エンコンベヤ１０に沿い配列すべき保冷材９の数
と同数の箱形のストツパー１１をシーソー状に設
置し、チエンコンベヤ１０の最もタンク側壁寄り
の位置に別のストツパー１２を配置し、順次チエ
ンコンベヤ１０により送られる保冷材９が最先端
のストツパー１１上に乗つてストツパー１２に当
つて止つたときに、ストツパー１１が第６図の如
く水平になつて該ストツパー１１の後端片１１ａ
がチエンコンベヤ１０より上方へ突出して次に送
られて来る保冷材９をストツプさせるようにし、
且つ上記ストツパー１１の後端片１１ａの厚み寸
法により保冷材９同士間に間隙を形成されるよう
にしてある。

前記移載装置は。上記チエンコンベヤ１０上
に配列された数個の保冷材９を該チエンコンベヤ
１０上から後述のトランスフアートロリー２２上
に移すためのもので、チエンコンベヤ１０上の保
冷材を持ち上げるリフター１３と、持ち上げられ
た保冷材９を横移動させるシフター１４とからな
る。上記リフター１３は、第７図及び第８図に示
す如く、台車１５上に、軸心方向がチエンコンベ
ヤ１０の移動方向と平行となるよう配した複数本
のシフトガイドローラ１６を回転自在に支持する
と共に、台車１５の下部に複数個のカム１７を取
り付け、チエンコンベヤ１０の長手方向に平行に
配したバー１８に上記各台車１５ごとのカム１７
の下端を枢着し、シリンダ１９の伸縮動作により
カム１７を介して台車１５が昇降できるようにし
てある。又、シフター１４は、第２図、第９図に
示す如く、水平方向にパンタグラフ式に伸縮する
押出装置２０と、該押出装置２０を伸縮作動させ
るシリンダ２１とからなり、上記リフター１３で
チエンコンベヤ１０上方にリフトアツプされた数
個の保冷材９を同時にコンベヤ１０上から押し出
せるよう複数組（図面では４組）用意されてい
る。

又、前記搬送装置は、第２図、第４図、第１
０図に示す如く、コンベヤ装置とほぼ同じ長さ
を有するトランスフアートロリー２２と、該細長
いトランスフアートロリー２２をその横長の状態
で走行させるためタンク２の天井壁６上に置く数
条のレール２３とからなる。トランスフアートロ
リー２２は、第１０図の如く、走行方向の前後両
側に側板２４，２５をそれぞれ起立、倒伏自在に
設けて、車輪２６を介してレール２３上を走行で
きるようにしてあり、前後いずれかの車輪２６を
図示しないモータにより駆動させることにより自
走できるようにしてある。又、上記側板２４，２
５は、トロリー本体に回転軸２７とともに取り付
けられ、図示しないモータにより回転軸２７を回
転させることにより自動的に開閉できるようにし
てある。

前記コーナー部案内装置は、第３図に示す如
く、タンク天井壁６上のコーナー部８寄りに設置
してあり、第１１図に示す如く、ガーダ２８の先
端にリンク２９を介してウイングガーダ３０を上
下方向へ回動自在に取り付け、該ウイングガーダ
３０上には、タンク天井壁上のレール２３と一致
するレールが設置してあると共に、ウイングガー
ダ３０上に乗つたトランスフアートロリー２２を
停止させるストツパーが備えてあり、ウイングガ
ーダ３０の先端に結着したワイヤロープ３１をウ
インチドラム３２に巻き取り、該ウインチドラム
３２を回転してワイヤロープ３１を繰り出すこと
によりトランスフアートロリー２２を乗せたまま
ウイングガーダ３０が下方へ回動して保冷材９を
タンク側壁７に沿うよう案内させるようにしてあ
る。３３はタンク２のコーナー部８に保冷材９を
沿わせるようにするとき、あるいはタンク２の側
壁７に沿わされたウイングガーダ３０をリフトア
ツプさせて既にタンク側壁７に取り付けてある保
冷材９との干渉を避けるようなときに、リンク２
９を上方へ回動させるためのシリンダである。

更に、保冷材の取付装置は、第１図乃至第３
図に示す如く、船殻１の内面とタンク側壁７との
間に置かれるもので、第１２図に示す如く、船上
に取り付けたゴンドラウインチ３４によりワイヤ
ロープ３５を介してゴンドラ３６を吊り下げ、該
ゴンドラ３６の上部には、門形にしたフレーム３
７が前後方向（第１２図で左右方向）へ移動自在
に支持させ、且つ上記門形のフレーム３７上に
は、下端部に保冷材９を１個宛受けるための受台
３９を複数個備えた小フレーム３８の上端部を、
車輪４０を介して左右方向へ移動自在に載置さ
せ、上記受台３９は、それぞれ下面に前後方向へ
延びるラツク４１を有し、小フレーム３８に取り
付けたピニオン４２をラツク４１と噛合させ、該
ピニオン４２をハンドル４３の操作で回転させる
ことによつて受台３９を前後進させることができ
るようにしてあり、全体はウインチ３４により自
在に昇降できるようにしてある。

なお、第１１図中、４４はタンク２の外壁に埋
め込まれている埋込みボルトであり、保冷材９の
中央部に設けられた孔が埋込みボルト４４に嵌合
して保冷材９の外側から木製ボルトを埋込みボル
ト４４に螺着することにより取り付けられるよう
にしてある。

本発明のLNG船のタンク保冷材運搬取付装置
は、上述した如き構成としてあり、タンク２の側
壁７に保冷材９を取り付ける場合は、次のように
して行う。

先ず、船上より保冷材９をタンク２の天井壁６
上に順次搬入し、コンベヤ装置のチエンコンベ
ヤ１０により数個の保冷材９を所定の間隔に配列
させる。

次に、上記配列された数個の保冷材９をリフタ
ー１３によりコンベヤ１０上より持ち上げ、次い
で、シフター１４を作動させてリフター１３のガ
イドローラ１６上の保冷材を同時にコンベヤ１０
上方より押し出す。上記コンベヤ１０に近接した
位置に搬送装置のトランスフアートロリー２２
を停止させておいて、上記同時に押し出される数
個の保冷材９をトランスフアートロリー２２上に
乗り移らす。この際、トランスフアートロリー２
２の後側の側板２５は第１０図の二点鎖線の如く
倒しておき、上記シフター１４により押される保
冷材９が円滑にトロリー２２上へ乗れるようにす
る。又、トロリー２２の前側の側板２４は起立さ
せたままとしておき、トロリー２２上に乗り移つ
て来る保冷材９のストツパーとして機能させる。

保冷材９のすべてがトランスフアートロリー２
２上に乗り移ると、レール２３上をトロリー２２
が自走してタンク２の側方へ保冷材９を運び、案
内装置におけるウイングガーダ３０上のレール
の終端のストツパーで停止される。この状態が第
１１図に示す状態であり、この状態から、ウイチ
ンドラム３２からワイヤロープ３１を巻き戻して
保冷材９をウイングガーダ３０とともに下向きに
なるよう動作させ、取付装置へ受け渡すことが
できる状態とする。

取付装置は。受台３９が保冷材９を受けるこ
とができるような位置に来るようゴンドラ３６を
ウインチ３４の作動により調整し、傾倒する保冷
材９を受台３９で受けると、トランスフアートロ
リー２２の前側の側板２４を倒して保冷材９を取
付装置で受け取る。しかる後、ウインチ３４を
駆動してゴンドラ３６を一旦下降させ、ウイング
ガーダ３０を水平状態に復帰させる際に保冷材９
が干渉しないようにする。しかる後、保冷材９の
取付位置までゴンドラ３６を下降させ、所定の取
付位置まで保冷材９が移動させられると、ゴンド
ラ３６の下降を停止した後、門形のフレーム３７
を前進させて保冷材９をタンク２の側壁７に接近
させ、次いで、ゴンドラ３６上の作業員がハンド
ル４３を第１２図出時計方向へ回動させて受台３
９を前進させ、保冷材９の中央部の孔をタンク２
に埋め込まれたボルト４４に嵌める。この場合、
数個の保冷材９は、埋込みボルト４４の配設寸法
に合わせて予め所定の間隔に配列されているの
で、上記各受台３９を同時に前進させることによ
り数個の保冷材９を同時にそれぞれの埋込みボル
ト４４に嵌合させ、最後に木製ボルトを保冷材９
の外側から埋込みボルト４４に螺合させることに
より取り付けが完了する。

上記の操作を繰り返してタンク２の側壁７外面
に順次多数の保冷材９の１つのブロツクとして運
搬し取り付けて行き、第１図の右半分に示すよう
に保冷材９を並べて取り付ける。

なお、タンク２の底部への保冷材９の取り付け
は、同様に運搬されて来て保冷材９を底部まで運
び、テーブルリフター４５（第１図参照）を用い
て取り付けるようにする。

以上述べた如く、本発明のLNG船のタンク保
冷材運搬取付装置によれば、パネル状に成形され
た多数の保冷材を所定の間隔で配列させて、これ
ら多数の保冷材を同時に運搬して同時にタンク外
壁に取り付けるので、保冷材の取付作業を挟隘な
場所においても安全に行うことができると共に、
作業能率を向上させることができる。等の優れた
効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図はLNG船の横断断面図、第２図は第１
図の平面図、第３図は第１図のＡ部の拡大図、第
４図は第２図のＢ部の拡大図、第５図は本発明の
LNG船のタンク保冷材運搬取付装置におけるコ
ンベヤ装置の概略側面図、第６図はコンベヤ装置
上に保冷材が配列された状態を示す側面図、第７
図はリフターの平面図、第８図は第７図の側面
図、第９図はシフターの平面図、第１０図はトラ
ンスフアートロリーの側面図、第１１図はコーナ
ー部案内装置の側面図、第１２図はコーナー部案
内装置から保冷材を取付装置に受け渡す状態を示
す概略側面図である。 はコンベヤ装置、は移載装置、は搬送装
置、はコーナー部案内装置、は取付装置、１
は船殻、２はタンク、６は天井壁、７は側壁、８
はコーナー部、９は保冷材、１０はチエンコンベ
ヤ、１１，１２はストツパー、１３はリフター、
１４はシフター、１６はリフターガイドローラ、
１７はカム、２２はトランスフアートロリー、２
３はレール、２４，２５は側板、３０はウイング
ガーダ、３１はワイヤロープ、３４はウインチ、
３５はワイヤロープ、３６はゴンドラ、３７は門
形のフレーム、３９は受台、４４は埋込みボルト
を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 船殻内部に設けられたタンクの天井壁上に配
   置可能で且つ船殻外より搬入される複数のパネル
   状の保冷材をタンク外壁面への取付位置に合つた
   間隔を保つて配列されるコンベヤ装置と、船殻内
   部に設けられたタンクの天井壁上に配置可能で且
   つ前記保冷材をタンクの天井壁と側壁との間のコ
   ーナー部まで運搬するためのトランスフアートロ
   リーを有する搬送装置と、前記配列された保冷材
   をコンベヤ装置から前記トランスフアートロリー
   上へ移すための移載装置と、船殻内部に設けられ
   たタンクのコーナー部に配置可能で且つ前記トラ
   ンスフアートロリーを傾倒させて保冷材をタンク
   の側壁に沿わせるコーナー部案内装置と、船殻と
   タンク側壁との間に形成される空間に配置可能で
   且つ前記コーナー部案内装置により案内された保
   冷材をタンク側壁の所定位置まで下降させてタン
   ク側壁に押付ける取付装置とを備えてなることを
   特徴とするLNG船のタンク保冷材運搬取付装置。