JPH0453057Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、基板上に２つのトランスデユーサと
その間に挟まれて配置したゲート出力電極を有す
る弾性表面波装置の改良に関するものである。

［考案の概要］ 本考案は、入力用トランスデユーサ（IDT）に
継がる平衡回路の性能を高め、使用部品の専有面
積を減少し、小型化が容易に実現できるようにし
たものである。

［従来の技術］ 従来、弾性表面波コンボルバ装置として、第４
図に示すものが知られている。図面中、１は信号
源、２は信号源インピーダンス、３は平衡・不平
衡トランス、４はインダクタンス素子、５はトラ
ンスデユーサ（IDT）、６はゲート出力電極であ
る。

上記のように、平衡形トランスデユーサに不平
衡形信号源が接続される場合、外部不平衡形信号
源は平衡・不平衡トランスを介して電気的にIDT
に接続される。ここで使用される平衡・不平衡ト
ランスは入力側、出力側50Ωの巻線比１：１のト
ランス等である。しかしながら、上記トランスは
一次側及び二次側に50Ω負荷を接続した場合に初
めて、この平衡・不平衡トランスの挿入損失が最
小となるため、平衡・不平衡トランスとIDTとの
間に、平衡・不平衡トランスの二次側から見て
50Ωとするためにインダクタンス素子４を平衡回
路に２個必要となる。

上記のような場合、２個のインダクタンス素子
４はそのインダクタンスL₁，₂が等しい素子で実現
するわけであるが、それぞれ厳密に等しくなると
は限らず、さらに両素子の配置も等しくすること
も難しいので、結果的に平衡回路とは言い難くな
る。しかも両インダクタンス素子と平衡・不平衡
トランス間で混入したコモンモードノイズもイン
ダクタンスL₁，L₂が等しくないが故に、完全に
取り切れず、平衡回路の意味も失つてしまう。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は、上記問題点に鑑み、２つのインダク
タンス素子部品を１つにすることで、IDTに継が
る平衡回路の性能を高め、しかも部品の専有面積
が減少し、小型化が容易に実現できる弾性表面波
装置を提供することを目的としているものであ
る。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案の弾性表面波
装置はゲート出力電極及びその両側に配置された
トランスデユーサを備えた弾性表面波素子の上記
トランスデユーサと、不平衡外部信号源に接続さ
れた平衡・不平衡トランスと、の間に、上記信号
源からの信号電流により互いに同一方向の磁界を
発生し、互いに巻線方向の異なる、同一巻線回数
の第１及び第２のコイルから成る４端子コイルを
介装したことを要旨とする。

［実施例］ 第１図は、本考案の基本構成を示す回路図であ
る。図面において、１１は信号源、１２は信号源
インピーダンス、１３は平衡・不平衡トランス、
１４は４端子コイル、１５はトランスデユーサ、
１６はゲート出力電極であつて、前記４端子コイ
ル１４は、巻数が同じで逆巻きとした同一インダ
クタンス値を有する２つのコイルn₁，n₂で同一磁
界を共有する４端子コイルとされ、各コイルの線
長は使用周波数の波長の1/4以下にされている。

第２図及び第３図は前記４端子コイル１４の具
体的実施例を示したもので、第２図に示したもの
は、ボビン２０に同一巻数の２つのコイルn₁，n₂
を互いに逆方向に巻付け、入力端子２１、出力端
子２２に接続し、ボビンの中央にネジ型コア２３
を設けてインダクタンスを調整できるようにした
ものである。

第３図に示した４端子コイル１４は、トロイダ
ルコア２４に２つのコイルn₁，n₂を同一巻数で、
各コイルに流れる信号電流により上記トロイダル
コア内に生じる磁界が一致する方向に巻付けて構
成したものである。

上記の如く構成された弾性表面波装置におい
て、平衡・不平衡トランス１３から平衡回路を流
れる電流は、コイルn₁、トランスデユーサ１５、
コイルn₂の方向（またはその逆方向）に流れる。
従つて、４端子コイル１４には、端子ａから端子
ｂに流れる電流によつて発生する磁界の方向がａ
からｂに向かうとして（・印は極性を示すが、こ
の場合コイルの巻始めを示す）、コイル端子ｃ，
ｄ間では電流はｄからｃに流れ、コイルn₂に現わ
れる磁界はコイルn₁とは逆に巻かれているため、
コイルn₁と同一方向に発生する。すなわち、２つ
のコイルn₁，n₂は磁界を共有し、同一インダクタ
ンス値をもつ４端子コイルとして作動する。

上記のように４端子コイルを用いた弾性表面波
コンボルバ装置によれば、下記の効果が得られ
る。

(1) 高性能な平衡回路が容易に実現できる。

(2) コモン・モード・ノイズを従来よりも減少さ
せることができる。

(3) コイルの線路長及びコアを短くし、小型にす
れば、より高周波帯で使用可能となる。

(4) 従来の装置に比べ、インダクタンス素子が４
個から２個に半減し、小型化が容易に実現でき
る。

(5) インダクタンス素子を前記ボビン型トランス
としたものにあつては、中央のネジ型コアの調
整により、インダクタンス値を可変とすること
ができる。

(6) また、トロイダルコア型としたものにあつて
は、コアを小さくし、コイルの線長を短くすれ
ば、高周波帯の使用が可能となり、小型化の実
現に寄与できる。

［考案の効果］ 以上に述べたように、本考案によれば、入力用
トランスデユーサと、不平衡外部信号源との間
に、互いに同一磁界を共有する２つのインダクタ
ンス素子を介装したものであるから、IDTに継が
る平衡回路の性能の向上、部品専有面積の減少並
びに小型化が容易に実現できる弾性表面波装置が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す弾性表面波装
置の回路構成図、第２図はボビン型トランスに形
成した４端子コイルの斜視図、第３図はトロイダ
ルコア型に形成した４端子コイルの平面図、第４
図は従来の弾性表面波コンボルバ装置の回路構成
図である。 １１……信号源、１２……信号源インピーダン
ス、１３……平衡・不平衡トランス、１４……４
端子コイル、１５……トランスデユーサ、１６…
…ゲート出力電極、２０……ボビン、n₁，n₂……
コイル、２１……入力端子、２２……出力端子、
２３……ネジ型コア。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ゲート出力電極及びその両側に配置されたト
   ランスデユーサを備えた弾性表面波素子の上記
   トランスデユーサと、不平衡外部信号源に接続
   された平衡・不平衡トランスと、の間に、上記
   信号源からの信号電流により互いに同一方向の
   磁界を発生し、互いに巻線方向の異なる、同一
   巻線回数の第１及び第２のコイルから成る４端
   子コイルを介装したことを特徴とする弾性表面
   波装置。 (2) 前記４端子コイルが、同一ボビンに互いに逆
   巻きの２つのコイルで形成されていることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   弾性表面波装置。 (3) 前記４端子コイルが、トロイダルコアに２つ
   のコイルを巻いたもので形成されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の弾性表面波装置。