【発明の詳細な説明】
再潅流障害の防止又は制限方法
再潅流(reperfusion) 、即ち事前に血液の供給を断たれた組織又
は器官[例えば血栓融解後の心臓、心臓開放手術(open heart su
rgery)後の心臓、又は移植術用の心臓]を通る血流の修復の際に繰り返さ
れる問題は、白血球及びその細胞毒性生成物によるこの組織又は器官の変性の進
行である。
本発明は特殊なN−アリル−ピペラジンアルカンアミド誘導体の施用による再潅
流障害を防止し又は制限する新規方法、及び又移植のために心臓を著しく長(保
存する新規方法を提供する。
本発明で使用できる或種の化合物は虚血、無酸素症又は低酸素症による起こる心
筋障害から心臓を保護するのに有用な薬剤として米国特許第4.766.125
号により既知である。
本発明で使用することができる化合物の或種のものは睡眠を改善し及び睡眠障害
を低減する有用な治療剤として米国特許第4.880.808号に記載されてい
る。
本発明は、血液の潅流が縮小するか又は行われな(なる場合に器官又は筋肉組織
に再潅流する際の再潅流障害を防止し及び/又は制限する方法に関し、本発明の
方法は、下記式
を有する化合物、その立体的異性体又はそれらの製薬学的に許容し得る塩の、再
潅流障害を防止し、及び/又は制限するのに効果的な量を、該器官又は筋肉組織
に投与することを特徴としている。上式中りは下記式の残基であり、
Ar’
又は
Ar’は随意ハロゲン又はC7−、アルキルオキシで置換されたフェニルであり
;
Ar2は随意ハロゲン又はC1−4アルキルオキシで置換されたフェニル、又は
ピリジニルであり:
R1はC1,4アルキル、アミノカルボニル又は(CI−4アルキル)アミノカ
ルボニルであり:
Arは下記式の残基であり
(i) (j) (k)
R2及びR3は各々独立にハロゲン又はCl−4アルキルであり:R4は水素、
ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ(CI−4アルキル)アミノ、C,、
アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C1−4アルキル、Cl
−4アルキルオキシ、CI、アルキルオキシカルボニル、Cl−4アルキルカル
ボニル、アミノカルボニル、モノ−又はジ(CI−4アルキル)アミノカルボニ
ル、シアノ又はアミノエチルでありR5はC1−4アルキルカルボニル、アミノ
カルボニルであり;R6は水素、アミノ、モノ−又はジ(CI−4アルキル)ア
ミノ、c、−4アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、アミノカ
ルボニル又はシアンであり:
R7はCl−4アルキルであり;
R8はハロゲン又はCl−4アルキルカルボニルであり:R9は水素又はCl−
4アルキルであり;RIDはハロゲン又はCl−4アルキルであり;RI 1は
水素、ヒドロキシ又はCl−4アルキルであり:Rl 2はハロゲン又はC3−
4アルキルであり;RI 3は水素であるか、又は
R+ 2及びR+ 3は一緒になって03−5アルカンジイル残基を形成しても
よく:
各R1’はC,−、アルキルであり;及びRI SはC1−4アルキル又はアミ
ノである。
前述の定義において、ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称で
あり:C1−nアルキルという用語は例えばメチル、エチル、プロピル、1−メ
チルエチル、ブチル、1,1−ジメチルエチル等のような工ないし4炭素原子を
有する直鎖状及び分枝状の飽和した炭化水素残基を意味し; Cs−5アルカン
ジイルは、例えば1.3−プロパンジイル、1.4−ブタンジイル及び1.5−
ペンタンジイルのような、3ないし5炭素原子を有する直鎖状及び分校状の飽和
した二価の炭化水素残基を意味する。
RI +がヒドロキシである式(1)の化合物は互変異性的にオキソ形で存在す
ることもできる。オキソ形は上記に明記されていないが、本発明の範囲内に含ま
れるものと考えられる。
本発明の化合物はその構造中に少な(とも一つの不斉炭素原子、即ち、R−又は
S−立体配置で存在することができるR1−残基を有するピペラジン炭素原子を
有する。従って式(
【)の化合物は二種の異なった鏡像体として存在でき、それ
は例えば、鏡像体の混合物を光学的に活性な酸との酸付加塩に転換し、ジアステ
レオマー的塩を例えば選択的結晶化により分離し、アルカリで処理して純粋な鏡
像体を遊離することにより、相互に分離することができる。
Lが一つ又は多数の追加的な対本性中心を有する時には、これらの対掌性中心は
R−又はS−立体配置として存在することができ、そして式(I)の化合物は異
なるジアステレオ化学的形態を有し、それは選択的結晶化及びクロマトグラフィ
ー技術、例えば向流分配、カラム−クロマトグラフィー等の技術のような物理的
金離方法により相互に分離することができる。
純粋な立体化学的異性体形は、反応が立体特異的に行われるならば、適当な出発
物質に対応する純粋な立体化学的異性体形からも誘導することができる。式(り
の化合物の立体化学的異性体形は勿論本発明の範囲内に包含されるものである。
式(Hの化合物はそのまま又は製薬学的に許容し得る酸付那塩形で使用すること
ができ、後者は適当な酸で塩基形を処理することにより便利良く得られる。適当
な酸は例えば塩酸又は臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸;硫酸;硝酸:燐酸
等のような無機酸:例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシ
プロパン酸、2−オキソプロパン酸、エタンジオン酸、プロパンジオン酸、ブタ
ンジオン酸(Z) −2−プタンジオン酸、(E)−2−ブタンジオン酸、2−
ヒドロキシブタンリオン酸、2.3−ジヒドロキシブタンジオン酸、2−ヒドロ
キシ−1、2,3−プロパンジカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、4−メタンスルホンベンゼンスルホン酸、シクロヘキ
サンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安
息香酸及び類似の酸のような有機酸を含んでいる。上記で使用された酸付加塩形
という用語は、式(1)の化合物及びそれらの酸付加塩が形成することができる
溶媒和物をも含んでいる。かような溶媒和物の例は水和物、アルコレート等であ
る。
本発明で使用するための特別な化合物はAr’がフルオロ又はメトキシで随意置
換されたフェニルであり:及び/又は
Ar2がフルオロ又はメトキシで随意置換されたフェニル、又は3−ピリジニル
であり;及び/又は
R1がメトキシ、アミノカルボニル又はメチルアミノカルボニル:及び/又はA
rが式(])、(D、(1)又は(m)の残基である、化合物である。
更に特別な化合物は
Ar’がフェニル、4−フルオロフェニル又は4−メトキシフェニル:及び/又
は
Ar、がフェニル、4−フルオロフェニル、4−メトキシフェニル又は3−ピリ
ジニル;及び/又はArが式(i)又は(Dの残基であるような特定の化合物で
ある。
特に好適な化合物は、Lが5.5−ビス(4−フルオロフェニル)ペンチル、5
.5−ビス(4−フルオロフェニル)ペンテニル、5− (4−フルオロフェニ
ル)−5−(3−ピリジニル)−4−ペンテニル、4− [N−(4−フルオロ
フェニル)−N−(3−ピリジニルカルボニル)アミノコブチル、N、N−ビス
(4−フルオロフェニル)ブタンアミド、2−[[ビス(4−フルオロフェニル
)メチレンコアミノ]オキシ〕エチル又は3−[(4−フルオロフェニル)(3
−ピリジニル)メトキシフェニルであり;及び/又はR1が2−メチル、3−メ
チル、2−アミノカルボニル、3−アミノカルボニル又は3−メチルアミノカル
ボニルであり:及び/又はR2及びR3が両者共クロロ又はメチルであり;及び
/又は
R4が水素、クロロ、ニトロ、アミノ、ジメチルアミノ、エチルカルボニルアミ
ノ、アミノカルボニルアミノ、メトキシ、エトキシカルボニル、アセチル、アミ
ノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、シアン又はアミノメチルであり:又
はR6がアセチルであり;及び/又はR6がアミノ、ジメチルアミノ、エチルカ
ルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニル又はシアノである
、一層特定の化合物である。
細胞膜のヌクレオシド輸送蛋白質と選択的に結合してブロックする、上記の部類
の化合物の鏡像体形は特に興味あるものである。
本発明内で最も興味ある化合物は(1)−(−)−2−(アミノカルボニル)−
N−(4−アミノ−2,6−ジクロロフェニル) −4−[5゜5−ビス(4−
フルオロフェニル)ペンチル]−1−ピペラジンアセトアミド(1−bLその製
薬学的に許容し得る酸付加塩形、特にそのモノ−又は半水和物である。最も興味
ある該化合物は新規であり、独特な組み合わせで薬理学的な選択性と有利な特性
を有し、それは従来既知のN−アリールピペラジンアルカンアミド化合物に見ら
れないものである。
有効な選択的なヌクレオシド輸送阻害剤であることに加えて、それらはCa’″
−拮抗性を有していない。それらの急性又は慢性毒性は極めて低い。更に、該化
合物は血漿蛋白質とそれ程広範囲に結合せず、従ってそれらの生体利用性は優れ
ている。治療における該化合物の使用を大きく簡単化し且つ広げるのは、それら
が容易に吸収され、そのため経口的に投与できるという事実のためである。上記
の性質と関連して、該化合物を投与するこの便利さが、例えば危険性の高い患者
の予防薬又は後記するような継続的(maintenance)治療における長
期使用に特に適するものとなっている。鏡像体的に純粋な化合物を使用する更な
る利点は、不必要で不活性な鏡像体が存在しない故に、投与される薬剤の量を少
な(することができるという事実に存する。この方法は過剰投薬の可能性を軽減
し、及び過剰投薬に際して懸念される心臓機能低下のような潜在的に望ましくな
い副作用を軽減するので特に有利である。
本発明内で更に最も興味ある化合物は、残基R1を有する炭素原子における配置
が上記の化合物(1−b)と同じである、下記に記載するような式(I−c)の
化合物である。式(1−c)の化合物も新規であると考えられる。
し%R1及びArが上記に定義された通りであり、及び1)Lが式(h)の残基
であるか、又は2)ArがRI Sがアミノである式(m)の残基であり、及び
該化合物が式(I−a)により表され、そして残基し及びArが夫々L°及びA
r’により表される
式(I)の化合物、その立体異性体形及びそれらの製薬学的に許容し得る酸付加
塩も新規である。
興味ある化合物は3−(アミノカルボニル) −4−[5,5−ビス(4−フル
オロフェニル)−ペンチル] −N−(6−アミノ−2,4−ジメチル−3−ピ
リジニル)−1−ピペラジンアセトアミド半水和物及び2−(アミノカルボニル
)−4−[2−[[[ビス(4−フルオロフェニル)メチレンコアミノ]オキシ
]エチル] −N−(2,6−ジクロロフェニル)−1−ピペラジンアセトアミ
ドである。
式(I)の多数の化合物並びにそれらの合成及びそれらの薬理学的な性質は、米
国特許第4,766.125号及びEP−A−0,285,219により既知で
ある。新規な鏡像体的に純粋な式(I)の化合物は下記式の鏡像体的に純粋なピ
ペラジンから便利に製造できる。
上式中、R1は式(T)で定義された通りであり、及び一つ又は二つのピペラジ
ン窒素原子は、例えばフェニルメチル、1−フェニルメチル等のようなl−アリ
ールアルキル基、例えばフェノキシカルボニル、メトキンカルボニル、エトキシ
カルボニル、tert−ブチルオキシカルボニルのような(アリール又は01−
4アルキル)オキシカルボニル基等の類似の保護基のような選択的に脱離可能な
基で随意保護することもできる。
該保護基は水素化分解及び加水分解のような周知の手法に従って除去することが
できる。
該製法は一般に既知の手法により、適当なし一成分又はN−アリールアルカン成
分を用いる、各ピペラジン窒素原子の継続的N−アルキル化又は還元的N−アル
キル化を含む。その典型的な製法は下記のように進められる:
(a)非保護のピペラジン誘導体においては、最も反応性の、最も立体障害の少
ない4位における窒素を最初にN−アルキル化し、次いで出発ピペラジンの最初
の1−位に残る遊離の窒素原子を反応させる:(b)モノ保護されたピペラジン
誘導体においては、遊離の窒素原子をN−アルキル化し、保護基を除去しそして
今度は非保護となった窒素原子を反応させる:又は
(C)ビス保護されたピペラジン誘導体においては、両方の保護基を除去し、(
a)のように進めるか、又は一つの基を選択的に除去し、その上で(b)のよう
に進める。
例えば、下記式
の新規化合物(+)−(−)−2−(アミノカルボニル’)−N−(4−アミノ
−2,6−ジクロロフェニル)−4−[5,5−ビス(4−フルオロフェニル)
ペンチル〕−1−ピペラジンアセトアミドは(−) −(S。
5)−N’、N”−ビス(1−フェニルエチル)−1,2−エタンジアミンよ(
I I)から出発して便利に製造できる。
(IV)
中間体(I I)は塩基の存在において反応に不活性な溶剤中で2,3−ジブロ
モプロパンアミド(III)を用いて二重のN−アルキル化によりピペラジン誘
導体として環化される。適当な溶剤は芳香族炭化水素、例えばベンゼン、メチル
ベンゼン等、ハロゲン化炭化水素、例えばテトラクロロメタン、クロロベンゼン
等である。適当な塩基は例えば炭酸ナトリウム及びカリウムのようなアルカリ及
びアルカリ土類金属炭酸塩である。該環化は好適には反応混合物の還流温度で行
われる。
式(IV)の中間体は例えばメタノール、エタノール等のようなアルカノール中
で、及びパラジウム担持木炭、白金担持木炭等のような水素化触媒の存在におい
て、水素雰囲気中で水素化分解することによりピペラジン(+)−(V)に転化
される。
次に(+)−(V)は例えばメタノール、エタノール等のようなアルカノール中
で、及びパラジウム担持木炭、白金担持木炭等のような水素化触媒の存在におい
て、水素雰囲気中で5,5−ビス(4−フルオロフェニル)ペンタアルデヒド(
VI)を用いる反応により還元的にN−アルキル化される。反応生成物がそれ以
上反応することを防ぐために、反応混合物にチオフェンのような触媒毒を添加す
ることが有利である。反応速度を増大するために反応混合物を僅かに、特に約4
0℃ないし60℃に加熱する。
還元的N−アルキル化
(VI)
(■)
別法として、中間体(fll)は中間体(+)−(V)を成上式中、Wはハロゲ
ン、例えばクロロ、ブロモ、又はスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオ
キシ、4−メチルベンゼンスルホニルオキシである、
の5,5−ビス(4−フルオロフェニル)ペンタン−1−ハライド又はスルホネ
ートを用いてN−アルキル化することにより製造することかできる。該アルキル
化は、例えばアルカノール、即ちメタノール、ブタノール、シクロヘキサノール
等、双極性の非プロトン性溶剤、即ちN、N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド等のような反応不活性溶剤中で、塩基、例えばアルカリ又はアルカ
リ土類金属水酸化物、炭酸塩、即ちナトリウム又はカリウム水酸化物又は炭酸塩
の存在において行うことが便利である。
こうして得られた中間体(VII)は、Wがクロロ、ブロモ等のような式(VI
II)の試薬を用いて、反応不活性溶剤中で塩基の存在にお(IX)
該N−アルキル化反応は撹拌しながら反応剤を加熱することにより、特に約70
℃ないし100℃に加熱することにより行うことが便利である。
適当な溶剤は例えばアルカノール、即ちメタノール、エタノール、ブタノール等
、双極性の非プロトン性溶剤、即ちN、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド等、又は該溶剤の混合物である。適当な塩基は例えばアルカリ又はア
ルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素にアルカリ金属沃化物、例えば沃化
カリウムを添加し工もよい。
式(IX)の中間体は最終的にニトロをアミノへ還元する段階によりて新規化合
物(1)−(−’I −(1−b)に転化される。
該還元は技術上既知の手法に従って反応不活性な溶剤中で行うことが便利である
。例えば中間体(IX)をメタノール、エタノール等のようなアルカノール中で
、パラジウム担持木炭、白金担持木炭、ラネーニッケル等のような水素化触媒の
存在において、水素雰囲気中で撹拌してもよい。別法として該還元は、中間体(
IX)を例えば亜硫酸ナトリウム、硫イビ水素ナトリウム、塩化チタン(III
)等のような試薬中で処理することによっても達成することができる。
上記のような式(I−a)及び(I−c)の他の新規化合物も前述の方法により
製造される。即ち、式(V−a)のピペラジンは適当なアルキル化剤L−W (
VI−b)を用いてN−アルキル化され、又はLI=○が二つの一対の水素原子
がオキソ基により置換された式L−Hの試薬を表す、試薬L’=0 (Vl−c
)を用いて還元的にN−アルキル化され、次いで反応は上記に詳述した手法に従
って行われる。こうして得られた中間体
W CHI C−NH−A r (V I I I a)の適当なN−アリール
アルカンアミドを用いてN−アルキル化される。
総ての前記の反応段階において、中間体及び最終化合物は技術上既知の方法、特
に液体クロマトグラフィー及び結晶化により単離及び精製することができる。
前述のように式(I)の化合物は心筋障害から心臓を保護し、睡眠を改善し及び
睡眠障害を低減することが知られている。多数の該化合物、特にミオフラジンと
して一般に知られている3−(アミノカルボニル)−4−[4,4−ビス(4−
フルオロフェニル)−ブチル] −N−(2゜6−ジクロロフェニル)−1−ビ
ペラジンアセトアミドニ塩酸塩、−水和物は膜を通過するヌクレオシド輸送の阻
害剤として記載されている[Mo1ecular I’hysiologys
8.615−630 (1985)コ。下記に記載される方法で使用するための
本発明の式(I)の化合物の重要な共通の利点は、それらがミオフラジンとは対
照的に経口的に活性であり、及びそれらは一般に血漿蛋白質と結合しないから優
れた生体利用性を有するという事実である。
特に上記で挙げた器官又は筋肉組織は心臓又は心臓組織である。該器官又は筋肉
組織中で血液再潅流が減少するか又は存在しない典型的な状況は、例えば血栓症
及び心臓停止法、即ち、心臓開放外科手術の前又は移植の前に心臓を停止するこ
とを含む。再潅流障害は任意の上記の状況の発生の後、血液の潅流が常態に回復
した時に、例えば自然の又は刺激による血栓崩壊に際し、又は心臓停止法後心臓
の再潅流の際に一般に生起する。本出願で使用されるような、再潅流損傷(in
jury)とも呼ばれる再潅流障害(damage)という用語は、再潅流、即
ち組織又は器官を流れる血流の回復に際し、前に血液の供給を奪われた該組織又
は器官への障害と定義される。再潅流障害は再潅流に際し直ちに起こり、それゆ
えに適時に看護しなければならない急性の症状である。
本発明の方法における式(1)の活性成分の量は該器官又は組織への投与に際し
、再潅流障害の効果的な防止又は制限が得られるような量である。
本発明の別な態様において、自然の血栓崩壊、刺激による血栓融解(血栓融解療
法)、又は心臓開放外科手術後に心臓の再潅流を受ける患者、又は供与者の心臓
を受容した後に、再潅流障害を防止し及び/又は制限するのに効果的な量の上記
の式(1)の化合物を用いて患者を治療する方法が提供される。
上記で使用された血栓融解とは、血栓の溶解、特に血栓の物質内での蛋白質溶解
酵素プラスミンの局部的作用によって生じた溶解を称する。
本文で使用される血栓融解療法とは、血栓症に罹患している患者に効果的な血栓
融解量の血栓融解剤を投与し、随意例えばヘパリン、エチルビスクムアセテート
、チクロピジン等のような抗凝血剤を用いる継続的療法を続けて行うことを意味
する。該療法で普通に使用される血栓融解剤とは例えばウロキナーゼ、ストレプ
トキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化剤(t−PA) 、フィブリノリシン
等を含んでいる。かように本発明は刺激による血栓融解に続く再潅流の際の再潅
流障害を防止又は制限する方法を提供し、該方法は血栓融解療法を受けている患
者に再潅流障害を防止又は制限するのに有効な量の式(I)の化合物を投与する
ことを含んで成る。
更に詳細には、該方法は同時に、別個に又は継続して効果的な量の血栓融解剤、
特に上に挙げたような血栓融解剤、及び再潅流障害を防止し及び/又は制限する
のに有効な量の式(1)の化合物を患者に投与することを含んで成る。該方法は
又予防的又は継続療法の際に、同時に、別個に又は継続して有効量の抗凝血剤、
特に上に挙げたような抗凝血剤、及び有効量の式(I)の化合物を患者に投与す
ることを含んで成る。
本発明による方法における活性成分、血栓融解剤及び本発明による式(I)の化
合物の各々の量は、該患者に投与する際に効果的な再潅流障害の防止又は制限に
伴って、効果的な血栓融解が得られるような量である。継続療法がとられる時に
は、活性成分、血栓融解剤及び本発明による式(I)の化合物の各々の量は、各
活性成分を患者に投与する際に、効果的な再潅流障害の防止又は制限に伴って、
効果的な血栓の形成の防止が得られるような量である。本発明の方法で使用する
血栓融解剤の量は、既往技術で既知の血栓融解療法において普通に使用される血
栓融解剤の量に等しい量で充分である。例えばストレプトキナーゼは30ないし
60分間に亙って250.000ないし600.000単位の投薬量で投与され
、次いで最高72時間、しばしば144時間もの間1時間当たり約100.00
0単位を継続投与することができる:ウロキナーゼは10分間に亙って体重1k
g当たり約4400単位の初期投薬量を用いて静脈輸液され、続いて最高12時
間に亙って約4400単位を継続投与することができる;組織プラスミノーゲン
活性剤は3時間に亙って約100mgの静脈輸液により投与することができる。
本発明で使用する式(I)の化合物の量は一般に体重1kg当たり約0.01な
いし約100mgの範囲、特に体重1kg当たり約0.1ないし約10mg、及
び一層特別には体重1kg当たり約0.2ないし約5mgの範囲であることがで
きる。
式(I)の化合物又はその製薬学的に許容し得る酸付加塩は、血栓融解剤の投与
と式(I)の化合物の投与との間の時間が、再潅流障害を効果的に防止し又は制
限するようなものであれば、血栓融解剤の投与の間又は直後に投与することがで
きる。血栓融解剤と式(I)の化合物の同時投与が考えられる時には、血栓融解
剤と式(I)の化合物の両者を含む組成物が特に便利である。又は血栓融解剤と
式(1)の化合物は適当な組成物の形態で別個に投与できる。同様に、抗凝血剤
を用いる継続治療又は予防の時には、式(1)の化合物は抗凝血剤の投与の事前
、最中又は事後に投与してもよい。
本発明は更に自然の又は刺激による血栓融解に続いて起こる、又は心臓停止後の
再潅流障害を防止又は制限するための組成物を含んで成り、該組成物は製薬学的
に許容し得るキャリヤー及び活性成分として再潅流障害を効果的に防止し、又は
制限する量の式(1)の化合物を含んで成る。
刺激による血栓融解に続く再潅流の際の損傷を防止又は制限するための組成物は
、更に血栓融解に効果的な量の血栓融解剤、特に上記の血栓融解剤を含むことが
できる。継続治療のための予防用の組成物は効果的な抗凝血量の抗凝血剤、特に
上記の抗凝血剤を含むことができる。
前記の組成物中の上記の各成分、式(I)の化合物及び随意血栓融解剤又は抗凝
血剤の各々の量は、効果的な血栓融解又は効果的な凝血の防止を伴って投薬でき
る場合には、投与に際して再潅流障害の効果的な防止又は制限が得られるような
量である。
以上及び以下に記載される組成物の部類の間で興味ある組成物は、錯化剤及び/
又は可溶化剤としてのシクロデキストリン(CD)、又はそのエーテル誘導体で
ある。かようなシクロデキストリンの例としてα−CD、β−CD、及びそれら
のエーテル又は混合エーテル誘導体を挙げることができる。かようなシクロデキ
ストリン誘導体は米国特許第3゜459.731号、EP−A−0,149,1
97及びEP−A−0,197,571に記載されている。
一般にこれらのエーテル又は混合エーテル誘導体は一つ又は多数のヒドロキシ基
がC1−6アルキル、特にメチル、エチル又はイソプロピル;ヒドロキシCl−
6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシブ口ピ
ル:カルポキシC1−6アルキル、特にカルボキシメチル又はカルボキシエチル
:又はC2−、アルキルオキシ−カルボニルC+−Sアルキルで置換されている
α−1β−又はγ−CDを含んでいる。特に錯化剤及び/又は可溶化剤として注
目されるものはβ−CD。
2.6−シメチルーβ−CD及び特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD、2−
ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD1及び2−ヒド
ロキシプロピル−γ−CDである。上記のシクロデキストリン誘導体において、
DS(置換度、即ちグルコース単位当たり置換されたヒドロキシ官能基の平均数
)は好適には0.125ないし3、特に0.3ないし2、一層好適には0.3な
いし1である。MS(置換のモル度即ち、グルコース単位当たり置換剤の平均モ
ル数)は好適には0゜125ないし10の範囲、待にC13ないし2、及びより
特に0,3ないし1.5、好適には0.35ないし0.50である。該組成物は
シクロデキストリン又はその誘導体を水に溶解し、それに式(T)の化合物並び
に例えば塩化ナトリウム、硝酸カリウム、グルコース、マンニトール、ソルビト
ール、キシリトールのような他の助剤又は成分、及び例えば燐酸塩、酢酸塩又は
クエン酸塩緩衝液のような緩衝液を添加し;及び随意減圧下での蒸発又は凍結乾
燥により溶液を濃縮又は乾燥することにより便利に製造することができる。最終
生成物中のシクロデキストリン又はそのエーテル誘導体の量は一般に約1ないし
約40重量%、特に2.5ないし25重量%、及び一層特別には5ないし20重
量%の範囲である。
該最終組成物中の式(1)の活性成分の量は一般に約0.01ないし約1.0重
量%、特に0.025ないし0.5重量シロ及び一層特別には0.05ないし0
.2重量%である。特に興味ある組成物は活性成分として(1’)−(−)2−
(アミノカルボニル)−N−(アミノ−2,6−ジクロロフェニル)−4−[
5,5−ビス(4−フルオロフェニル)ペンチル]−1−ピペラジンアセトアミ
ド及び錯化剤及び/又は可溶化剤として2−ヒトロキシブロピルーβ−シクロデ
キストリンを含む組成物である。
本発明の製薬学的な組成物を製造するために、酸又は塩基付加塩又は塩基形とし
て効果的な量の活性成分は、投与に必要な製剤の形に応じて広範囲な形態を取る
ことができる、製薬学的に許容し得るキャリヤーとの緊密な混合物として混和さ
れる。これらの製薬学的な組成物は好適には経口的、直腸的、経皮的な投与、又
は非経口的な注射による投与に適した単位投薬量形態にあることが望ましい。例
えば、経口的投薬量形態にある組成物を製造する時に、懸濁液、シロップ、エリ
キシル及び溶液の場合には例えば水、グリコール、油、アルコール等:粉末、丸
薬、カプセル及び錠剤の場合には殿粉、砂糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊
剤等の固体キャリヤーというように、任意の通常の製薬学的な媒体を使用するこ
とができる。投薬の容易性からして、錠剤とカプセルが最も有利な単位経口的投
薬形態を表し、その場合明らかに固体状の製薬学的キャリヤーが使用される。非
経口的組成物の場合は、例えば溶解性を助けるために他の成分を含むこともでき
るが、通常キ七リヤーは少なくとも大部分は滅菌水を含んで成る。例えば注射用
溶液はキャリヤーが食塩溶液、グルコース溶液又は食塩とグルコースの混合物の
溶液を含んで製造される。適当な液状キャリヤー、懸濁剤等を使用して注射用懸
濁液も製造できる。経皮的投与に適当な組成物においては、キャリヤーは随意少
量の比率で、皮膚に少しも悪影響を与えない、任意の性質の適当な添加剤と随意
併用して、浸透向上剤及び/又は適当な湿潤剤を含む。該添加剤は皮膚への投与
を容易にし、及び/又は所望の組成物の製造に役立つことができる。これらの組
成物は例えば経皮的膏薬として、スポットオン(spot−on)塗布剤として
又は軟膏として、各種の方法で投与することができる。式(1)の酸付加塩は対
応する塩基形よりも水溶性が大きいので、水性組成物の製造には明らかに一層適
当である。
本発明で使用するための式(1)の化合物の特に興味ある特徴は該化合物が経口
的に投与でき、従つて極めて危険な患者に、特に継続療法又は抗凝血剤を受けて
いる患者への該化合物の投与を事実上簡単にすることができるという事実である
。
投与の容易さ及び投薬量の均一化のために前述の製薬学的組成物を投薬量単位に
製剤化することは特に有利である。本発明の明細書及び請求の範囲で使用される
単位投薬量形態とは、単位投薬量として適当な物理的に不連続な単位を称し、各
単位は必要な製薬学的なキャリヤーと共に、所望の治療効果を生じるように計算
された予め定められた活性成分の量を含んでいる。かような単位投薬量形態の例
は錠剤(刻み目をつけた又は被覆された錠剤を含む)、カプセル、丸薬、粉末分
包剤、ウェファ剤、注射用溶液又は懸濁液、茶さじ一杯量、大さじ一杯量等であ
り、及びそれらの分離された集合体である。
更に本発明は文武(1)の化合物、及び付随的な再潅流障害の防止又は制限の目
的で血栓融解療法において同時に、別々に又は逐次的に使用するための併用製剤
として血栓融解剤を含む生成物を含んで成る。かような生成物は例えば式(T)
の化合物又はその製薬学的に許容し得る酸付加塩を含む適当な組成物を容れた容
器及び血栓融解剤との組成物を容れた他の容器を含むキットを含むことができる
。かような生成物は再潅流障害の防止又は制限の目的で血栓融解療法を施すこと
を望む医者が、治療すべき患者の診断に基づいて各成分の適当量及びそれらの投
与の順序及び適時を選択できる利点を有する。
本文で使用された心臓開放外科手術という用語は、循環機能から一時的に開放さ
れた心臓に対する外科的介入を意味する。本発明の方法は特に手術された心臓の
再潅流に際して再潅流障害を防止又は制限する方法を提供し、該方法は心臓開放
外科手術を受ける患者に再潅流障害の防止又は制限に有効な量の式(1)の化合
物を投与することを含んで成る。
更に詳細には、該方法は外科手術前、最中及び事後に再潅流障害を防止及び/又
は制限する量の式(I)の化合物を用いて処置することを含んで成る。特に診療
上有利な点は効果的に再潅流障害を防止し及び/又は制限する量の式(I)の化
合物を含む心臓停止(cardioplegic)溶液を用いて外科手術を行う
際の心臓の停止にある。
本文で使用される移植術という用語は組織の移植、特に器官及び更に特別には一
つの温血動物から他の温血動物内の同一の受容部位への心臓の移植を意味し、該
温血動物とは特に人間である。本発明の方法は特に移植された心臓の再潅流に際
して再潅流障害を防止又は制限する方法を提供し、該方法は供与者の心臓を受け
取る患者に投与すること、並びに移植される心臓に有効量の式(I)の化合物を
投与することを特徴とする。
一層特別には、該方法は有効量の式(1)の化合物を含む心臓停止溶液を用いて
移植のために供与者の心臓を停め、該心臓を該心臓停止溶液中に冷時に貯蔵し、
及び該心臓を有効量の式(I)の化合物で予め処置された他の被験者に移植し、
引き続き酸素付加された血液を該心臓に再潅流することを特徴とする。
本文で使用される心臓停止溶液とは心臓停止のために一般に使用される正常な平
衡塩製剤を意味する。心臓を停止させるために普通に使用される心臓停止溶液は
例えば、高カリウム血NIH心臓停止溶液、UW心臓停止溶液、コリンズ(Co
lli、ns)心臓停止溶液M (115meqK’/L)、セント・トーマス
(St、 Thomas)病院心臓停止溶液、トロメタミン(3,6%)で緩衝
されたリンガ−(Ringer)液、炭酸水素ナトリウム(8,4%)で緩衝さ
れたブレジゾル(Plegisol) (登録商標)[アボット(Abbott
)]液、改質クレーブス(Modffied Krebs)高K (34meq
/L)溶液及び類似の心臓停止溶液を含む。移植のために心臓を貯蔵する典型的
な温度は0℃ないし約1.0℃、特に約O℃ないし約7℃、及び一層特別には約
0℃ないし約4℃の範囲にある。
本発明の方法における活性成分、心臓停止溶液及び式(I)の化合物の各々の量
は、外科手術が行われる場合の心臓の再潅流の場合に、及び移植された心臓の再
潅流の場合に再潅流障害の効果的な防止又は制限と共に、投与に際して効果的な
心臓停止が得られるような量である。例えば本発明に使用する心臓停止溶液中の
式(I)の化合物の量は典型的には約0.1μMないし約10μM、特に約0.
5μMないし約5μM、及び一層特別には約0.8μMないし約2μMの範囲に
亙ることができる。
供与者の心臓を受容する患者に投与する場合の活性成分、式(I)の化合物の量
は、移植された心臓の再潅流の場合に再潅流障害の有効な防止又は制限が得られ
るような量である。例えば、本発明の方法で使用するだめの式(I)の化合物の
量は、典型的には体重1kg当たり約0゜01ないし約100mg、特に体重1
kg当たり約0.1ないし約10mg、及び一層特別には体重1kg当たり約0
.2ないし約5mgの範囲である。
本発明の更に別な態様においては、冷時心臓停止溶液中に移植のための心臓を貯
蔵する方法を提供し、該方法は該心臓の貯蔵を長引かせるのに有効な、上記に定
義されたような式(1)の化合物の量を該心臓停止溶液に投薬することを特徴と
する。
移植のために心臓を貯蔵する本発明の方法の特に興味ある特徴は、式(I)の化
合物を含む心臓停止溶液中に移植用の心臓を好結果で貯蔵する持続期間を大幅に
長期化することができるという事実である。移植のために心臓は式(I)の化合
物がなくても冷時普通の心臓停止溶液中に約4時間好結果で貯蔵できるが、冷時
式(r)の化合物を含む心臓停止溶液中に移植用のために心臓を貯蔵する新規方
法は、該心臓を少な(とも24時間貯蔵し、そして引き続き該心臓を首尾良く移
植することを可能とする。更に本発明の方法は心臓を冷時心臓停止溶液、特に供
与者の心臓を有効に保護する量の式(I)の化合物を含んで成る上記に特に言及
した心臓停止溶液中に移植のために貯蔵する方法を提供する。移植のための心臓
を貯蔵する本発明の方法に使用するための心臓停止溶液中の供与者の心臓を有効
に保護する式(1)の化合物の量は、典型的には約0.1μMないし約10μM
、特に約0.5μMないし約5μM、及び一層特別には約0.8μMないし約2
μMの範囲に亙ることができる。
【実施例11 (−)−2−(アミノカルボニル)−N−(4−アミノ−2,6
−ジクロフェニル)−4−[5,5−ビス(4−フルオロフェニル)−ペンチル
]−1−ピペラジンアセトアミドの製造108.4部の(−)−(S、5)−N
l、N2−ビス(フェニルエチル)−1,2−エタンジアミン、93.8部の2
,3−ジブロモプロパンアミド、334.5部の炭酸カリウム及び2958部の
メチルベンゼンの混合物を水分分離器を用いて24時間還流した。熱時反応混合
物を濾過し、沈澱を水とジクロロメタンの間に分配した。有機層を分離し、濾液
と一緒にした。全体を乾燥し、濾過し及び蒸発した。残渣をカラム・クロマトグ
ラフィー[リクロプレブ(Lichroprep)RP 18 : H2O(0
,5%CHsCOONH<)/CHsCN 55 : 45]により精製した。
所望の画分の溶離液を蒸発し、20,8部(15,4%)の[1(S) 、2A
、4 (S)]−]1.4−ビス1−フェニルエチル)−2−ピペラジンカルボ
キシアミド(中間体1)を得た。
20.8部の中間体(1)及び198部のメタノールの混合物を2部のパラジウ
ム担持木炭触媒10%を用い常圧及び室温で水素化した。計算量の水素が吸収さ
れた後、触媒を濾別し、濾液を蒸発して7,8部(90,0%)の(+)−2−
ピペラジンカルボキシアミド(中間体2)を得た。
3.9部の中間体(2L8.3部の5.5−ビス(4−フルオロフェニル)−ペ
ンタアルデヒド、2部のチオフェンのメタノール溶液(4%)及び198部のメ
タノールの混合物を2部のパラジウム担持木炭触媒10%を用いて常圧及び50
℃で水素化した。計算量の水素が吸収された後、触媒を濾別し、濾液を蒸発した
。残渣をエタノール中でエタンジオエートに転化した。エタノールとメタノール
の混合物から塩を再結晶した。生成物を濾別し、そして乾燥すると8.82部の
(+) −4−[,5゜5−ビス(4−フルオロフェニル)ペンチルツー2−ピ
ペラジンカルボキシアミドエタンジオエート(1:1);[α] D”=++1
0.02゜(濃度=DMF中0.5%)(中間体3)を得た。
8.82部の中間体3を水中に溶出してNH4OHを用いて遊離塩基に転化した
。塩基をジクロロメタン(3×)で抽出し、抽出物を一緒にして乾燥し、濾過し
そして蒸発した。残渣に6.5部の1−クロロ−N−(2,6−ジクロロ−4−
二トロフェニル)アセトアミド、3.75部のN、N−ジエチルアミン及び11
3部のN、N−ジメチルホルムアミドを添加した。全体を週末に亙って70℃で
撹拌し、次いで蒸発した。残渣をジクロロメタンとNaHCOs(5%水溶液)
の間に分配した。有機層を分離し、乾燥し、濾過し及び蒸発した。残渣をカラム
・クロマトグラフィー[シリカゲル: CHzC12/ (CHzC1!+10
%CHs OH)70:30]により精製した。所望の画分の溶離液を蒸発し、
残渣を2−プロパツール中で塩酸塩に転化した。生成物を濾別し、50℃で真空
乾燥すると、3.78部(30,5%)の(−)−2−(アミノカルポニ(2,
6−ジクロロ−4−二トロフェニル)−1−ピペラジンアセトアミド−塩酸塩;
(中間体4)を得た。
3.6部の中間体(4)、1部のチオフェンのメタノール溶液(4%)及び11
9部のメタノールの混合物を2部のパラジウム担持木炭触媒10%を用いて常圧
及び室温で水素化した。計算量の水素が吸収された後、触媒を濾別し、濾液を蒸
発した。残渣をカラム・クロマトグラフィー[IJ りoブレプRP18 :
HzO(0,5%CHsCOONH4)/CHsOH/CHsCN 40・20
:40]により精製した。所望の両分を濃縮し、得られる水溶液から生成物を結
晶化した。それを濾別し、60℃で真空乾燥すると、1.19部(43,4%)
の(−)−2−(アミノカルボニル)−N−(4−アミノ−2,6−ジクロロフ
ェニル’) −4−[5,5−ビス(4−フルオロフェニル)−ペンチル]−1
−ピペラジンアセトアミド半水和物;融点123.4℃: [αコ、”=−29
,63° (濃度=CHs OH中0.5%)(化合物I−b)を得た。
【実施例2】 :生物学的実施例
高カリウム血NIH心臓停止剤(cardioplegia) (グループ■、
n=6)で、又は2−(アミノカルボニル)−N−(4−アミノ−2,6−ジク
ロロフェニル)−4−[5,5−ビス(4−フルオロフェニル)−ペンチル]−
1−ピペラジンアセトアミドを添加した後の同じ心臓停止剤(グループI l5
n=6)のいずれかを用いて犬の心臓を停止させた。
心臓をO−5℃(氷−水)で心臓停止溶液中に24時時間時貯蔵し、正常位的に
移植した。受容式には移植前に2−(アミノカルボニル)−N−(4−アミノ−
2,6−ジクロロフェニル)−4−[5,5−ビス(4−フルオロフェニル)−
ペンチル]−1−ピペラジンアセトアミドを投与した。高エネルギー燐酸塩(H
EP)の心筋含量が一連の生検で測定された。グループ■ではATPは50%で
、24時間貯蔵後の対照のCrPは18%であった。心肺バイパス(CPB)経
由で60分間再潅流後HEP含量は減少しくp<0.05)、そして総ての動物
は移植後“ストーン・ハート(stone heart) (左心室の虚血性拘
縮)”を発現した。
グループII中に24時間貯蔵後、ATPは82%であり、対照のCrPは28
%(グループIに対しp<0.05)であった。移植後HEPは要定を保ち、総
ての心臓はイソプレナリン以外は筋変カ性(inotropic)支持がなくて
もCPBから離脱することができた。こうして心臓停止とヌクレオシド輸送阻害
の併用で最適の心筋の保存が得られた。
活性成分*1g
塩酸 0.IN O,041
2−ヒドロキシ−β−シクロデキストリン 50g塩化ナトリウム 5.5g
水酸化ナトリウム IN pH3,7−3,9までクロロフェニル)−4−[5
,5−ビス(4−フルオロフェニル)−ペンチルコー1−ピペラノンアセトアミ
ド製剤方法
50gのHP−β−シクロデキストリンを0.51の水に溶解する。
順次0.041の0.IN塩酸及び1gの2−(アミノカルボニル)−N−(4
−アミノ−2,6−ジクロロフェニル)−4−[5,5−ビス(4−フルオロフ
ェニル)−ペンチル]−1−ピペラジンアセトアミドを添加する。透明な溶液が
得られるまで全体を撹拌する。水で0.91まで希釈後、撹拌しながら5.5部
の塩化ナトリウムを溶解する。INの水酸化ナトリウムで酸度をp)f、3.7
−3.9に調節する。溶液を水で11に希釈すると、1ml当たり1mgの活性
成分を含む注射用溶液が得られる。
2、経口溶液
活性成分*1g
2−ヒドロキシ−β−シクロデキストリン 50g塩酸 0.IN O,041
ソルビト一ル70% 0.11
プロピレングリコール 0.11
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 2g安息香酸 3g
含そう薬芳香剤 1g
水酸化ナトリウム IN pH4,0まで純水 11まで
*2−(アミノカルボニル)−N−(4−アミノ−2,6−ジクロロフェニル)
−4−[5,5−ビス(4−フルオロフェニル)−ペンチル]−1−ピペラジン
アセトアミド製剤方法
50gのHP−β−シクロデキストリンを0.61の水に溶解する。
順次0.041の0゜IN塩酸及び1gの2−(アミノカルボニル)−N−(4
−アミノ−2,6−ジクロロフェニル)−4−[5,5−ビス(4−フルオロフ
ェニル)−ペンチル〕−1−ピペラジンアセトアミドを添加する。透明な溶液が
得られるまで全体を撹拌する。撹拌しながら2gのN a t (E D T
A )を溶解し、そして次いで領11の70%ソルビトールを添加する。均質な
溶液に順次0,11のプロピレングリコールに溶解した3gの安息香酸の溶液及
び1gの含そう薬芳香剤を添加する。
1Nの水酸化ナトリウムで酸度をp)I:3.7−3.9に調節する。溶液を水
で11に希釈すると、1ml当たり1mgの活性成分を含む経口溶液が得られる
。
国際調査報告
1m@r+tsw−^・−m−wes−PCT/EP 901019851町哩
−・醪ム赫11+s++a11嚇 PCT/ΣP 90101985国際調査報
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