JPH0448378Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、機体の回転軸部を軸封する高圧仕様
のメカニカルシールに関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種のメカニカルシールにおいては、
第３図に例示するように、機体のハウジング１内
に挿通された回転軸２の軸周を軸封する際、前記
回転軸２にＯリング３を介して回転摺接環である
シールリング４を配置し、このシールリング４を
前記回転軸２にセツトスクリユー５により固定さ
れたカラー６に支持させてなるコイルスプリング
７の付勢力で後述する固定摺接環側の軸方向に弾
性的に摺接するように押圧してなる一方、前記機
体のハウジング１側にノツクピン８で廻り止めさ
れたリテーナ９をＯリング１０を介して設け、こ
のリテーナ９に固定摺接環であるフローテイング
シート１１をＯリング１２を介して摺動可能に保
持させるとともに、このフローテイングシート１
１と前記リテーナ９の互いの接触支持面を球面１
１ｂ，９ｂとして、前記回転軸２の撓みに追従さ
せてフローテイングシート１１を揺動可能にした
構成を有するものがある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このような従来のメカニカルシ
ールにあつては、リテーナ９とフローテイングシ
ート１１との互いの摺動面である球面１１ｂ，９
ｂの精度に僅かな誤差があると、回転軸２からの
こじり入力に対するフローテイングシート１１の
追従性が悪くなつて密封摺動面Ｓの荷重が周方向
に極端に不均一になり、これによつて、シール性
能に大きな影響を及ぼすといつた問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、球面部の仕上げの
精度が固定摺接環と回転摺接環との摺接面に影響
を及ぼすことのないようにしたメカニカルシール
を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記した問題点を解決するために、本考案は、
本考案のメカニカルシールは、固定摺接環とリテ
ーナの互いに同心をなす球面のいずれか一方にゴ
ムを焼付けまたはライニングし、このゴムに、相
手球面と圧接する断面半円状の複数の突起を形成
してなる構成としたものである。

［作用］ すなわち、本考案は、上記の構成とすることに
よつて、固定摺接環とリテーナ球面同士は直接接
触せず、したがつて球面の精度誤差による作動不
良が生じないものである。また、両球面間に介在
するゴムは複数の突起において相手球面に圧接す
るので、突起以外の部分の接触圧は小さく、こじ
り（揺動）方向の入力を受けると断面半円状をな
す前記突起は剪断方向へ柔軟に変形するので、固
定摺接環の良好な追従動作が可能になる。

［実施例］ 以下、本考案を第１図に示す一実施例を参照し
ながら説明する。なお、本考案に係る図示の実施
例において、第３図に示す従来のメカニカルシー
ルと構成が重複する部分は同一符号を用い、その
説明は省略する。

すなわち、本考案に係るメカニカルシールは、
第１図に示すように、固定摺接環であるフローテ
イングシート１１とリテーナ９の対向面を互いに
同心の球面１１ａ，９ａとし、フローテイングシ
ート１１の球面１１ａにゴム弾性体２０を焼付け
またはライニングしたもので、このゴム弾性体２
０の摺動面２０ａに形成した断面半円形をなす複
数の突起２１が、リテーナ９の球面９ａに圧接す
るように構成されている。ここで、第２図Ａに示
す形状のゴム弾性体２０は、装着状態では第２図
Ｂに示すように突起２１が圧縮変形され、これに
伴い突起２１以外の部分の摺動面２０ａがリテー
ナ９の球面９ａから離れる方向へ追随変形するた
め、ゴム弾性体２０自体は良好な摺動性を有する
ものでないにも拘らず、摺動面２０ａと球面９ａ
の摩擦抵抗は小さく、しかも第２図Ｃに示すよう
に、フローテイングシート１１がこじり方向の入
力Ｆを受けると、前記突起２１は図中破線で示す
状態から実線で示す状態へ柔軟に変形するので、
ゴム弾性体２０は、こじり方向へのフローテイン
グシート１１の良好な追従動作を許容する。

なお、上記の実施例においては、ゴム弾性体２
０を固定摺接環であるフローテイングシート１１
の球面１１ａ側に添着したが、これには限定され
ず、リテーナ９の球面９ａ側に添着しても、本考
案の作用・効果を同様に発揮させることが可能で
ある。

その他、本考案は、本考案の要旨を変えない範
囲で種々変更実施可能なことは勿論である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、ゴムの介在によつて固定摺接環とリテーナの
球面の精度誤差による作動不良を防止し、このゴ
ムの複数の突起によつて、こじり方向への固定摺
接環の良好な追従性を確保したもので、これによ
つて、長期において安定したシール性を維持する
ことができるというすぐれた効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るメカニカルシールの一実
施例を示す要部概略的断面図、第２図Ａ，Ｂ，Ｃ
は同じくメカニカルシールを構成する固定摺接環
の拡大断面図、第３図は従来のメカニカルシール
を示す要部概略的断面図である。 １……機体（ハウジング）、２……回転軸、４
……回転摺接環、９……リテーナ、９ａ……球
面、１１……固定摺接環、１１ａ……球面、２０
……弾性体（ゴム）、２０ａ……摺動面、２１…
…突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転摺接環に摺接する固定摺接環を、ハウジン
   グ側に固定されたリテーナを介して保持し、かつ
   この固定摺接環とリテーナとの互いの対向面を球
   面に形成して、前記固定摺接環を回転軸の撓みに
   追従させて揺動可能にしたメカニカルシールにお
   いて、前記固定摺接環とリテーナの互いに同心を
   なす球面のいずれか一方にゴムを焼付けまたはラ
   イニングし、このゴムに、相手球面と圧接する断
   面半円状の複数の突起を形成したことを特徴とす
   るメカニカルシール。