JPH044714Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、一槽式電気洗濯機の洗濯槽および
パルセータを回転駆動させる電気洗濯機の回転駆
動機構に関するものである。

〔従来の技術〕

一槽式電気洗濯機は、洗濯と脱水を同一槽内で
連続的に行うもので、通常、洗濯時には洗濯槽の
底部に設けられたパルセータのみが低速回転して
衣料等をもみ洗いし、脱水時にはパルセータと洗
濯槽が一体的に高速回転して衣料等を遠心脱水す
るようになつている。

このような洗濯時の回転と脱水時の回転は、例
えば第６図に示すような回転駆動機構によつて制
御されている。図において、１はメインシヤフト
で、下端部１ａにモータ駆動を受けるプーリー２
０が固定されており、モータ（図示せず）と１対
１で回転し、この回転を、上端部１ｂに固定した
太陽歯車７に伝達する。２はパルセータシヤフト
で、上記メインシヤフト１と同軸上に配設されて
おり、後述する遊星歯車群６の回転軸を固定する
蓋体８にスプライン結合によつて固定されてい
る。そして、その上端にはパルセータ１５が取り
付けられており、遊星歯車群６と一体的に回転し
てパルセータ１５を回転させるようになつてい
る。３はメインシヤフト１にオイレスメタル３ａ
を介して外嵌された外筒で、上端部が大径のフラ
ンジ部に形成されて上向き略ラツパ状をしてお
り、その下端部外側にバネクラツチ１６が取り付
けられている。このバネクラツチ１６がONの状
態で外筒３はメインシヤフト１と一体的に回転す
るようになつている。なお、１７は外筒３のフラ
ンジ縁部に設けられた溝部で、油漏れ防止のため
のゴムパツキン１８が装填されている。４はギヤ
ケースで、下端側がお椀を伏せたような大径部に
形成されて下向きラツパ状をしており、上記外筒
３のフランジ部にねじ止めされて外筒３と一体的
に回転するようになつている。なお、その上端部
には軸受３ｂを介して洗濯槽１９が固定されてい
る。５は外輪歯車で、ギヤケース４の内周面に嵌
合されており、その内周面に切られた歯が下記の
遊星歯車群６と噛み合つている。遊星歯車群６
は、メインシヤフト１の軸心と同心円上に等分に
配置されており、内側の歯が前記太陽歯車７と噛
み合い、外側の歯が上記外輪歯車５と噛み合つて
いる。９はブレーキホイールで、ギヤケース４と
外筒３の外側に、両者をねじ止めするねじを利用
して固定されている。このブレーキホイール９の
外周面にはブレーキバンド１０が巻回されてい
る。このブレーキバンド１０の両端はブレーキレ
バー（図示せず）に接続されており、ブレーキレ
バーの操作によりブレーキホイール９を巻き締め
てギヤケース４および外筒３の回転にブレーキを
かけることができるようになつている。なお、２
０は板金で成形されたモータ台である。

このような構成において、洗濯・脱水はつぎの
ようにして行われる。

＜洗濯時＞ モータON、ブレーキON、バネクラツチOFF
の状態が電気的に設定される。この状態では、外
筒３およびギヤケース４は回転せず、遊星歯車群
６はメインシヤフト１の回転が伝達された太陽歯
車７によつて動かされ、その回転数を例えば５分
の１に落としてパルセータシヤフト２に伝達す
る。したがつて、パルセータ１５が低速で回転し
てもみ洗い水流をつくり出し、この水流によつて
衣料が洗濯される。なお、洗濯槽は、ギヤケース
４の停止に伴い停止している。

＜脱水時＞ モータON、ブレーキOFF、バネクラツチON
の状態が電気的に設定される。この状態では、外
筒３、ギヤケース４がモータと同一の高速回転を
行い、よつて外筒３に一体的に取り付けられた外
輪歯車５も同様に高速回転を行う。したがつて、
パルセータシヤフト２にも高速回転が伝達され、
高速回転する洗濯槽と一体的な高速回転を行い、
この高速回転によつて衣料が脱水される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように、従来の減速機構は、ギヤケース４
に直接ギヤ部を形成することが困難で、また加工
するにしても非常にコスト高につくため、ギヤケ
ース４の内側にわざわざ外輪歯車５を内蔵させた
構造のものであつた。このため、歯車群が、外輪
歯車５、遊星歯車群６、太陽歯車７の組み合わせ
という複雑な構成をとることになり、ギヤケー
ス４が大形とならざるをえず、がたつきが大き
い、外輪歯車５の歯がモジユールの小さいもの
となり遊星歯車群６の歯もこれに拘束されるため
一定の強度を確保しようとすれば樹脂素材に置き
換えることができず、歯車がいずれも金属製で音
が大きい、各歯車のセンター出しが困難なた
め、配置にガタ（余裕）をとつており音が大き
い、各歯車の損傷が激しく、部品交換の頻度が
高い、等の問題がある。また、ギヤケース４は、
通常アルミニウムか鋳鉄によつてつくられるが、
アルミニウム製のものはブレーキのON，OFFに
よつてかかる荷重に対して強度的な問題があり、
鋳鉄製のものはコストが非常に高くつくという難
点を有している。さらに、ギヤケース４と外筒３
の接合をねじ止めによつて行つているため、ど
うしても隙間からの油漏れが発生し、充分に接合
部をシールする必要があり、ゴムパツキン１８を
介在させる等の手間がかかり、ねじ止め作業と併
せて非常に組立てが煩雑である、高速回転によ
つてねじ止め部分が緩み、がたついて騒音を生じ
る等の問題がある。

この考案は、このような事情に鑑みなされたも
ので、組み立てが容易で、騒音、油漏れの心配等
のない良好な電気洗濯機の回転駆動機構の提供を
その目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この考案の電気洗
濯機の回転駆動機構は、プーリーを介してモータ
駆動を受けるメインシヤフトと、上記メインシヤ
フトに外嵌されバネクラツチの切り換えによつて
メインシヤフトの回転が断続的に伝達される上向
き略ラツパ状の外筒と、上記メインシヤフトの回
転を減速する遊星歯車群と、上記遊星歯車群を被
覆し上記外筒と一体的に回転しその回転力によつ
て洗濯槽を回転させる下向き略ラツパ状のギヤケ
ースと、上記遊星歯車全体の回転が伝達されその
回転力によつてパルセータを回転させるパルセー
タシヤフトを備える電気洗濯機の回転駆動機構で
あつて、上記メシンシヤフトの上端部外周面がギ
ヤ部に形成されて上記遊星歯車群に内側から直接
噛み合い、上記ギヤケースの拡径部内周面がギヤ
部に形成されて上記遊星歯車群に外側から直接噛
み合い、しかも上記ギヤケースは、全体がアルミ
ニウム冷間鍛造によつて一体成形され、かつギヤ
ケースの下端部が上記外筒上端部にかしめられて
ギヤケースと外筒が一体化されているという構成
をとる。

〔作用〕

すなわち、この考案は、従来ギヤケース内面に
遊星歯車群と噛み合うギヤ部を安価に加工できず
減速機構を簡単にすることができなかつたのに対
し、ギヤケースをアルミニウム冷間鍛造製品とす
ることにより、この内側に直接ギヤ加工を施して
遊星歯車の外側と噛み合うようにしたものであ
る。そして、メインシヤフトの上端部を遊星歯車
の内側と噛み合うギヤ部に形成したことと相俟つ
て、従来必要であつた太陽歯車と外輪歯車とを省
略することができ、ギヤケースを大幅にコンパク
トにしたものである。したがつて、遊星歯車のモ
ジユールを大きく設計できるとともに各歯車のセ
ンター出しも容易になつている。また、ギヤケー
スをアルミニウム冷間鍛造によつて一体成形し、
ギヤケースを外筒に一体的にかしめているため、
ねじ止めによる接合を用いなくてもよく、接合部
にパツキン等が不要で組み立て作業が容易であ
る。

つぎに、この考案を、実施例にもとづいて説明
する。

〔実施例〕

第１図はこの考案の一実施例を示している。

この電気洗濯機の回転駆動機構では、メインシ
ヤフト２１の上端部２１ａがギヤ部に形成され
て、後述する遊星歯車群２６に内側から直接噛み
合つている。また、ギヤケース２４の下端部が、
外筒３（第６図参照）のフランジ部にかしめられ
て一体化されており、外筒３と一体的に回転する
ようになつている。そして、このギヤケース２４
の、拡径部内周面２４ａがギヤ部に形成されて、
遊星歯車群２６に外側から直接噛み合つている。
上記遊星歯車群２６は、メインシヤフト２１の軸
心と同心円上に等分に配置されており、内側の歯
が前記メインシヤフト２１の上端部２１ａのギヤ
部と噛み合い、外側の歯が上記ギヤケース２４の
内周面２４ａのギヤ部と噛み合つている。そし
て、上記ギヤケース２４の外周面には、直接ブレ
ーキバンド１０が巻回されている。

なお、上記ギヤケース２４は、アルミニウム冷
間鍛造製で、一体的に成形されている。

他の構成は第６図と同様であり、この考案の要
旨ではないので省略している。

このように、上記実施例では、従来減速機構と
して必要とされていた太陽歯車７（第６図）と遊
星歯車群６と外輪歯車５を、遊星歯車群２６のみ
に簡略化したため、ギヤケース２４が大幅にコン
パクトなものとなり、ギヤケース２４の内周面２
４ａに形成したギヤ部の歯をモジユールの大きな
大形のものに設計することができた。ちなみに従
来のモジユールが0.7であつたところ、上記実施
例では1.0にすることができた。したがつて、遊
星歯車群２６の各歯車の強度も充分なものとなる
ため、その材質を鉄等にする必要がなく、樹脂製
のものに置き換えることができた。そして、各歯
車（ギヤ）のセンター出しも容易で、がたつくこ
とがなかつた。すなわち、ギヤケース２４、遊星
歯車２６、メインシヤフト２１は、第２図に示す
ように、ギヤケース内周面２４ａのギヤ部に、蓋
体８によつて回転軸が固定され一体化された遊星
歯車群２６の外側を噛み合わせながら挿入したの
ち、さらに上記遊星歯車群２６の内側に、メイン
シヤフト上端部２１ａのギヤ部を噛み合わせなが
ら挿入すれば、容易に組み立てることができ、そ
れぞれのギヤ部の噛み合わせによつて充分なセン
ター出しが達成されている。

また、上記実施例ではギヤケース２４としてア
ルミニウムの冷間鍛造製品を用いているため、単
なるアルミニウム製品より強度が大きく、その外
周面に直接ブレーキバンド１０を巻回することが
できた。そして、ギヤケース２４を外筒３にかし
めて取り付けることができるようになり、従来の
ねじ止めが不要となつた。したがつて、ねじ止め
に由来する手間の煩雑さや回転時のがたつき、油
漏れ等の問題を解消することができた。

なお、上記実施例において、外筒３にギヤケー
ス２４をかしめて固定する際、第３図に示すよう
に、外筒３の上端面に、円周方向に数本の突条３
０を設けておくと、矢印のようにギヤケース２４
を外嵌してかしめるときに、この突条３０がアル
ミニウム冷間鍛造製であるギヤケース２４の下端
面に食い込むため、両者の接合部がより充分にシ
ールされるため、一層効果的に油漏れを防ぐこと
ができる。

また、上記実施例では、ギヤケース２４の外周
面に、直接ブレーキバンド１０を巻回している
が、第４図に示すように、ギヤケース２４の外周
面に、ローレツト筋目のような突条を設けておい
てからリング条の鉄製ブレーキホイール３１を圧
入嵌合させ、このブレーキホイール３１の外周面
にブレーキバンド１０を巻回するようにしてもよ
い。

さらに、上記リング状ブレーキホイール３１の
両縁部３１ａを、第５図に示すように、ギヤケー
ス２４に対し外側に折り曲げた形状にしてもよ
い。このようにすると、上記折れ曲げ部が、高速
回転時に内部から漏れる油を矢印のように外側に
はじき飛ばし、ブレーキホイール３１の外周面の
油汚れを防止するため、ブレーキバンド１０が油
で滑つたりせず、経時的にブレーキがきかなくな
るという事態を回避することができる。上記ブレ
ーキホイール３１の両縁部３１ａの折り曲げ角度
は、ギヤケース２４の外周面に対して鋭角となる
ように設定することが効果的である。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案の電気洗濯機の回転駆
動機構は、ギヤケースがアルミニウムの冷間鍛造
製で、その内周面にギヤ部を形成したものであ
り、しかもメインシヤフトの上端部外周面にもギ
ヤ部を形成したため、従来遊星歯車群を動かすの
に必要であつた太陽歯車と外輪歯車とを省略する
ことができ、ギヤケースがコンパクトになる。し
たがつて、モジユールの大きな樹脂製歯車を用い
ることができ、回転時の騒音が小さくなるという
利点を有する。また、部品点数が少なくするため
組み立てが容易となり各歯車のセンター出しが簡
単にできるため、がたをとる必要がなく、やはり
回転時の騒音が小さくなるという利点を有する。
そして、部品点数が少なくなる分、重量が軽くな
つて電気洗濯機全体の軽量化を実現することがで
きる。さらに、これらの効果に加えて、ギヤケー
スがアルミニウムの冷間鍛造製品であるため、ギ
ヤケースと外筒をかしめることが可能となり、両
者をかしめによつて一体化したため、ギヤケース
の拡径部に穴を開けてねじ止めする必要がなく、
外部への油漏れやがたつきによる騒音発生の問題
を解消することができる。このように、この考案
の回転駆動機構を備えた電気洗濯機は、回転時の
音が静かで、がたつかず、重量も軽くて良好な製
品とする。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の要部を示す縦断
面図、第２図はその分解斜視図、第３図は他の実
施例を示す部分的な断面図、第４図はさらに他の
実施例を示す部分的な断面図、第５図はその応用
例を示す部分的な断面図、第６図は従来の電気洗
濯機の回転駆動機構を示す縦断面図である。 ２……パルセータシヤフト、３……外筒、１６
……バネクラツチ、２０……プーリー、２１……
メインシヤフト、２４……ギヤケース、２６……
遊星歯車群。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) プーリーを介してモータ駆動を受けるメイン
   シヤフトと、上記メインシヤフトに外嵌されバ
   ネクラツチの切り換えによつてメインシヤフト
   の回転が断続的に伝達される上向き略ラツパ状
   の外筒と、上記メインシヤフトの回転を減速す
   る遊星歯車群と、上記遊星歯車群を被覆し上記
   外筒と一体的に回転しその回転力によつて洗濯
   槽を回転させる下向き略ラツパ状のギヤケース
   と、上記遊星歯車全体の回転が伝達されその回
   転力によつてパルセータを回転させるパルセー
   タシヤフトを備える電気洗濯機の回転駆動機構
   であつて、上記メインシヤフトの上端部外周面
   がギヤ部に形成されて上記遊星歯車群に内側か
   ら直接噛み合い、上記ギヤケースの拡径部内周
   面がギヤ部に形成されて上記遊星歯車群に外側
   から直接噛み合い、しかも上記ギヤケースは、
   全体がアルミニウム冷間鍛造によつて一体成形
   され、かつギヤケースの下端部が上記外筒上端
   部にかしめられてギヤケースと外筒が一体化さ
   れていることを特徴とする電気洗濯機の回転駆
   動機構。 (2) ギヤケース外周に、鉄製であつてリング状の
   ブレーキホイールを圧入嵌合している実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の電気洗濯機の回転
   駆動機構。 (3) 上記リング状ブレーキホイールの両縁部が、
   ギヤケース外周面と鋭角を成すように、ギヤケ
   ースに対し外側に折り曲げられている実用新案
   登録請求の範囲第２項記載の電気洗濯機の回転
   駆動機構。 (4) 外筒上端部上面に、円周方向に沿う突条を少
   なくとも一本設け、この突条をアルミニウム冷
   間鍛造製ギヤケースの下端面に食い込ませてギ
   ヤケースがかしめられている実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の電気洗濯機の回転駆動機
   構。