JPH0446935Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は積層された感圧複写紙に係り、特に特
定層の複写シートの裏面に粘着処理が施されてい
るタツク付複写紙に関する。

（従来の技術） 発送票、仕分票、納品票、控え票等の多数の帳
票類を積層し、これら各層の帳票に感圧発色剤お
よび／または顕色剤を塗布して表面から各帳票に
一括して書込み複写ができるようになされたいわ
ゆるノンカーボン型の感圧複写紙が広く用いられ
ている。

これらの感圧複写紙の各帳票は所定事項を書込
み複写した後、天のり部分等から互いに分離され
て夫々の目的に応じて商品等や台紙等に貼付けた
りもしくは綴りとして保管される。ここで前記の
ように分離後他物に貼着される帳票では糊付けの
労力を省くために予め裏面に感圧性接着剤等によ
る粘着処理を施しておくことが好ましい。

（考案の解決すべき問題点） ところで、前記のような多層の感圧複写紙にお
いて、特定層の複写シートの裏面に粘着処理を施
す場合には、それが隣接するシート等に粘着しな
いような構成をとる必要がある。

しかしたとえばタツク紙等に通常見られるよう
なシリコン剥離紙をそのまま多層構造中に介在さ
せると下層への感圧転写が不可能になる。

このため最下層の複写シートに粘着層を設けて
その裏面に剥離紙を結合させることが考えられる
が、この場合シリコン処理等を施した剥離紙自体
は複写紙としては用いられない。すなわちシリコ
ン処理を施した表面には印刷ないしは複写をする
ことが不可能なので、この剥離紙のシートは帳票
としては利用できず複写紙を使用する都度廃棄さ
れることになるので帳票の処理業務が繁雑にな
り、かつその分だけ製造コストが増大する。

特に最近の事務処理のコンピユータ化にともな
つて帳票をプリンタ処理できるようにロール紙の
形態とされているものでは剥離紙の使用量が膨大
になり、情報保存の上では全く利用できないコス
トの高い剥離紙を無駄に使用せねばならないこと
になる。

このために、積層された最下層およびこれに隣
接する上層の複写紙の間にいわゆる両面接着テー
プの条片を介在させその両側に塗布された粘着剤
よつて両層を剥離可能に接着させる構造も提案さ
れている。

しかし、この場合は構造が極めて複雑であると
共にコストの高い両面接着テープを用いねばなら
ず、またこれらの両面接着テープを両層の間に所
定間隔で介在させる作業は極めて困難である。

したがつて、たとえば積層された感圧複写紙等
のような多層帳票の特定の一層の裏面に粘着剤層
を設ける際に、何等特別な構造ないしは追加的な
剥離紙を用いる必要がなく製造が容易でコストの
嵩まないものが望まれていた。

（問題点を解決するための手段） 前記従来技術の問題点は複数枚の複写シートを
積層しそれらの中の特定の複写シートの裏面側に
粘着処理を施したタツク付複写紙において、前記
特定の複写シートの裏面側に隣接する複写シート
を低級ポリオレフインフイルムで形成し、かつ前
記裏面側の粘着処理が前記低級ポリオレフインフ
イルムからなる複写紙の印刷域外に対応する部分
においてこの低級ポリオレフインフイルムに対し
て実質的に接着性を示さないアクリル系感圧性接
着剤をパターンコートすることによつて施されて
いることを特徴とする前記タツク付複写紙によつ
て解決される。

（作用） 本考案のタツク付複写紙においては積層された
各層の複写シートならびに裏面に粘着処理を施さ
れた特定層の複写シートおよびこれに隣接するポ
リオレフインフイルムからなる複写シートに対し
て一括して書込み複写がなされる。

また前記のポリオレフインフイルムは通常その
極性が極めて低いので、隣接する上層の複写シー
トの裏面に対して感圧性接着剤によつて結合され
た状態でもこの接着剤がポリオレフインに対して
実質的に接着しないので、複写紙の使用時に必要
に応じて上層の複写シートから比較的容易に剥離
される。一方上層の複写シートはポリオレフイン
フイルムから剥離された後裏面に施された接着剤
によつて通常のよう所定の物品面や台紙等に接着
させられる。

尚、ポリオレフインフイルムとしてはポリエチ
レン、ポリプロピレン等を用いることができる
が、原材料の入手の容易さ、加工性および価格等
の点ではポリエチレンフイルムが好ましい。

また接着剤としては任意のものを用いることが
できるが、たとえば極性の低いポリエチレンに対
して実質的に接着強度を示さないものとしては、
２−エチルヘキシルアクリレート系の溶剤型接着
剤等を挙げることができる。

またポリオレフインフイルムはその極性が低い
ために本来接着剤に対して低い接着強度しか示さ
ないが、その接着性をたとえば梨地加工等によつ
てさらに減少させればかかる性質がさらに顕著に
なる。またこの梨地加工によつてポリオレフイン
フイルム表面の印刷適性が向上し、かつ複写紙
（Ｃ紙）として必要な顕色剤の塗布も容易に行な
われる。

一方ポリオレフインフイルムと隣接する上層の
複写シートに接着強度を増加させるためのコロナ
放電処理やアンカコート等を施せばこれら両層間
の接着剤に対する接着強度の差異が相対的にさら
に強調される。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基いてさらに詳細
に説明する。

第１図は本考案のタツク付複写紙の断面を示す
説明図である。

本実施例のタツク付複写紙は裏面に発色剤層
（図示せず）を施した最上層の複写シート１（い
わゆるＡ紙）、表面に顕色剤層を裏面に発色剤層
を夫々施した複写シート２，３（いわゆるＢ紙）
および表面に顕色剤層を施した複写シート４（い
わゆるＣ紙）からなり、これらシートを一方の端
部における天のり部分９で一括した形態となつて
いる。この中、最下層の複写シート４は紙基材５
の表面に無極性のポリエチレンフイルム６をラミ
ネートして形成されている。このポリエチレンレ
ミネートの上面にはエンボスローラによつて梨地
加工（図中７で示す）が施され実効接着面積を減
少させると共にポリエチレンフイルム６の表面に
対する印刷インクおよび感圧性顕色剤の塗布を容
易なものとしている。

各複写シート１〜４の対応する位置には予め所
定事項を記載するための枠や表示（図示せず）が
印刷されており、最上層の複写シート１から適宜
な筆記具等で加圧記入することにより次層以降の
複写シート２〜４の表面に周知の発色剤−顕色剤
の感圧発色反応で所定事項が夫々発色複写される
ようになされている。

最下層の複写シート４のポリエチレンフイルム
６に対して隣接する上層の複写シート３の下面の
一部には、印刷枠にかからない適宜な位置にポリ
エチレンに対しては実質的に接着しない２−エチ
ルヘキシルアクリレート系の感圧性接着剤層８が
適宜な幅（約５mm）でパターンコートされてい
る。

本実施例のタツク付複写紙を使用する際には、
前記のようにして最上層のシート１から所定事項
を加圧下に書込み、次層以降の各複写シート２，
３，４の表面に感圧発色により複写を行なう。次
いで各シートは天のり部分９から相互に分離され
目的に応じて夫々使用される。

ここで最下層の複写シート４のポリエチレンフ
イルム６とその上層の複写シート３とは感圧性接
着剤層８のパターンコートによつて結合されてい
るが、この感圧性接着剤はポリエチレンフイルム
６にはほとんど接着しないので、複写シート３は
その裏面に接着剤層８のパターンコートを残した
ままポリエチレンフイルム６から容易に剥離さ
れ、あとで目的に応じて商品に貼着したりまたは
台紙等に適宜に接着させて保存する。

本実施例では最下層の複写シート４として基材
５の表面にラミネートしたポリエチレンフイルム
６を用いこれに隣接する上層の複写シート３の下
面に感圧性接着剤層８がパターンコートとして施
してあるので、全体としてのシートは天のり部分
および前記パターンコートの部分で互いに一体化
した形態とすることができる。

そして各複写シート１，２，３，４を分離する
際、前記複写シート３はその裏面に感圧性接着剤
層８のパターンコートが施されているのでこの部
分で通常のタツク紙のように台紙等に貼付して保
存することができる。

またこの接着剤層８のパターンコートに接する
最下層の複写シート４には無極性のポリエチレン
フイルム６がラミネートされているので、容易に
上層の複写シート３から剥がすことができる。こ
のためこの接着部を層間に設ける際には単に接着
剤を適宜なパターンで複写シート３の下面に施す
るだでよく、従来の場合のように両面接着テープ
の細片を介在させる等の複雑な加工を必要としな
い。

尚、本考案はたとえば第２図に示すようにコン
ピユータ印刷のためプリンタに掛けられるように
なされたロール紙型の帳票に用いる際に特に実用
的な効果が得られる。

すなわち第２図に示すように前記第１図示の複
写シート１，２，３に相当する（Ａ−Ｂ−Ｂ）紙
構成の感圧複写紙からなる多層複写シート１１
が、ポリエチレンフイルム１２をラミネートした
ロール紙基材１３に適宜な間隔で貼着されてい
る。ポリエチレンフイルム１２に隣接する上層の
各複写シート１１の下面の一方の端部には前記第
１図示の実施例の場合と同様な感圧性接着剤層１
４がパターンコートとして施されている。前記ロ
ール紙基材１３のポリエチレンフイルム１２の面
には梨地加工１５が施され、さらにその上から顕
色剤層１６をおよび所定の印刷が施されている。

第２図示の実施例の使用方法および効果は前記
第１図の実施例の場合と基本的には同一であり、
特に多量の帳票をロール紙に沿つて貼着する際の
作業およびコストが従来の両面接着テープを用い
る場合に比較して著しく低減される。

以上本考案をタツク付複写紙を例として説明し
たが、本考案は粘着面を有するシート類に対して
印刷適性のあるシートを剥離可能に接着させる
種々の用途に適用することができる。

（考案の効果） 本考案によれば下面に粘着層を有する特定の複
写シートを含むタツク付複写紙を極めて容易にか
つ低コストで製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面を示す説明
図、第２図は本考案の別の実施例を示す説明図で
ある。 １，２，３，４……複写シート、５……紙基
材、６……ポリエチレンフイルム、７……梨地加
工、８……感圧性接着剤層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数枚の複写シートを積層しそれらの中の特
   定の複写シートの裏面側に粘着処理を施したタ
   ツク付複写紙において、前記特定の複写シート
   の裏面側に隣接する複写シートを低級ポリオレ
   フインフイルムで形成し、かつ前記裏面側の粘
   着処理が前記低級ポリオレフインフイルムから
   なる複写紙の印刷域外に対応する部分において
   この低級ポリオレフインフイルムに対して実質
   的に接着性を示さないアクリル系感圧性接着剤
   をパターンコートすることによつて施されてい
   ることを特徴とする前記タツク付複写紙。 (2) 前記ポリオレフインフイルムの表面に接着性
   を低下させるための梨地加工等の粗面化処理が
   施されている前記実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のタツク付複写紙。 (3) 前記感圧性接着剤を施される複写シートの裏
   面に接着性を増大させるコロナ放電加工等の処
   理が施されている前記実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のタツク付複写紙。