JPH0446891Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、外枠と内枠とからなるコンクリート
型枠に関し、特にその内枠の脱型に関するもので
ある。

（従来の技術の問題点） 雨水桝、マンホールなどの円筒状のコンクリー
ト製品を形成する型枠は、少なくとも外枠と内枠
とから成り、外枠と内枠の間に生コンクリートを
充填し、固化させるものである。

固化後脱型させるためには、コンクリート製品
から外枠と内枠のそれぞれを脱離させることが必
要であるが、この外枠は、通常２分割される１対
の半枠から成つており、その脱枠は半枠をハンマ
ーで叩くかクランプ装置で半枠相互を引き離すか
して行なわれている。

これに対し、内枠の脱型は、内枠の一部を内側
に外すことが出来る『矢』と呼ばれる主として三
角形の開閉部分を設けておき、固化が完了後この
開閉部分をハンマーで叩いてはずし更に他の部分
をハンマーで叩いてコンクリート製品の表面の接
着を徐々に解き、最終的に製品をクレーンなどで
上に持ち上げ脱型させるものである。したがつ
て、内枠の脱型にはかなりの時間がかかるだけで
なく、長時間ハンマーで叩く作業は作業者にとつ
て過大な負担となつており、枠に凹凸や変形が生
じ、精度が落ち、規定寸法のコンクリート製品と
はならないことが多かつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は以上の点に鑑みて為されたものであ
り、作業者が楽に且つ短時間内に内枠の脱型を行
なえ、無理のない脱型が行なえる内枠脱型装置を
提供しようとするものであり、その要旨とすると
ころは、筒状の内枠と、これを囲み且つ２つの半
枠に分割された外枠とからなるコンクリート型枠
において、内枠の一部が開閉枠として内方へ移動
可能に分割されており、この開閉枠の内枠内背後
に開閉枠と連結した回転軸が立設される一方、そ
の反対側に支軸が立設され、この回転軸と支軸と
の間に回転軸の回転により離開緊締するクランプ
装置が装備され、更に前記回転軸に遊嵌し且つ支
軸方向に延長したアームが設けられ、このアーム
の内枠中心付近を支点としてクランプ装置の動作
方向に直交する方向に腕を延ばしてその先端を内
枠に連結して成る伸縮棒を備えたことを特徴とす
るものである。

まず、本考案に係る型枠は、筒状の内枠とこれ
を囲み且つ２つの半枠に分割された外枠とから成
り、更には外枠の離開方向に延長された台座とか
らなるコンクリート型枠である。外枠は、その側
部にクランプ装置を取り付け、クランプ装置の動
作範囲内で外枠の半枠相互を反対方向に移動させ
るものが望ましいが、半枠が台座上でレールなど
で移動可能としておき、レール上を外方に移動す
るもの等どのような外枠脱型機構を備えたもので
も良い。

次に本考案に係る内枠は、中空の円筒となつて
おり、その壁は傾斜壁のもの、直壁のみからなる
ものなどいずれでもよい。

この内枠の一部は開閉枠として内方へ移動可能
となつている。その幅は特に制限はなく、上縁か
ら下縁まで一定の幅であるのがよいが、上下幅を
多少異にしてもよい。

この開閉枠の内枠内背後には、開閉枠に連結し
且つ回転可能な回転軸が立設される。この立設は
開閉枠から水平板を内枠内後方に張り出させ、こ
こに回動自在に支持させるのがよい。この水平板
は、１枚に限らず複数設けることが望ましい。こ
の回転軸の上端には、スパナや操作棒で回転可能
なボルトその他が取り付けられ、操作容易なよう
に内枠の上方に突出させるのがよい。

この回転軸が設けられている内枠の反対側には
内枠から張り出した連結部材に支持された支軸が
同じく設けられている。特に、この支軸が近接す
る内枠部分を垂直方向に分割し、縦リブ、継板そ
の他の連結部材を介して支軸を中心としてその分
割面が両側に開くよう支軸に連結するのがよい。

前記回転軸と支軸との間には回転軸の回転によ
り離開緊締するクランプ装置が装備される。クラ
ンプ装置は、クランプアームとクランプ鈎とクラ
ンプ鈎の端部につずく継杆とから成り、前記回転
軸にクランプアームが固設され、その先端にクラ
ンプ鈎が回動自在に連結し、継杆は支軸に軸支さ
れている。

一方、前記回転軸には、アームが遊嵌しクラン
プ装置と平行にその端部が支軸方向に向つて少な
くとも内枠の中心部まで伸びている。そして、こ
のアームの内枠中心付近からクランプ装置の動作
方向に直交する方向に水平に伸縮棒が対称的に伸
びており、その先端は内枠に連結している。クラ
ンプ装置及び伸縮棒は１組とは限らず２組以上で
もよい。

（作用） 本考案は以上のように構成されているので、ま
ず、内枠と外枠の間の空間に充填された生コンク
リートが固化したら、外枠のクランプ装置を外
し、外枠の半枠を反対方向に離開する。これによ
り、コンクリート製品の外枠からの脱型が完了す
る。

次に、内枠の脱型であるが、まず回転軸を回転
する。その回転は、回転軸の上端部のボルトをス
パナなどで回転させることにより行なう。この回
転により、クランプアームが回転し、クランプ鈎
を引き寄せようとするがクランプ鈎は継杆を介し
て支軸に支持され支軸は内枠に連結しているの
で、力は逆に水平板を介して開閉枠に作用し、開
閉枠を回転軸と一緒に内枠内部に後退させる。こ
の結果、内枠は開閉枠が後退した部分が上下方向
に開口する。

一方、回転軸には、アームを介して伸縮棒がほ
ぼ直交方向に腕を伸ばし内枠内部に連結されてお
り、開閉枠が後退しそれと共に回転軸が後退する
と、回転軸のアームも支軸方向に移動するので、
伸縮棒はその端部の支点側の内枠相互を対向方向
に間隔を狭めようとする。すなわち、伸縮棒は内
枠を内方に引つ張ることになり、それにより内枠
は支軸を中心として、開閉枠の後退した後開いて
いる開口を狭くして縮小する状態となる。このと
き支軸近くの内枠は、任意の線で折れ曲がること
になるが、予め内枠を縦に分割しておく場合に
は、分割線が支軸を中心として開く。この結果、
内枠はコンクリート製品の内面から剥がれ脱型可
能となる。

（実施例） 以下図面に示す実施例に従つて説明すると、１
はコンクリート型枠であり、２は筒状の外枠であ
り、外枠２は２つに分割され、クランプ装置３で
左右に台座４上を移動出来るようになつている。
５は、外枠２の内部で生コンクリートを充填すべ
き間隙ａを開けて設けられた同じく筒状の内枠で
あり、この内枠５は、一部が上下方向にある程度
の幅を有する分離可能な開閉枠６となつており、
その背後には上中下３枚の水平板７が内枠内方に
向けて張り出しており、この水平板７にはこれを
上下に回転自在に貫通した回転軸８が垂設され、
その上端は内枠５の上に突出しそこに回転用のボ
ルト９が嵌められている。１０は、内枠５内に形
成されたリブである。

内枠５は、開閉枠６の反対側において垂直に分
割されており、その分割線部分１１の両側に縦リ
ブ１２，１２′が垂直に植設されている。この近
くであつて、回転軸８のほぼ対称位置に支軸１３
が立設され、継板１４，１４′によつて縦リブ１
２，１２′に連結されている。そして、この支軸
１３と回転軸８の間にはクランプ装置１５が上下
に２組配備されている。１６は回転軸８に固設さ
れたクランプアーム、１７はクランプアーム１６
の他端に回動自在に連結されたクランプ鈎、１８
はクランプアーム１６と支軸１３の間をつなぐ継
杆である。

更に、回転軸８には、２つのクランプ装置１５
の間に位置して内枠５の中心方向に伸びるアーム
１９が軸支されており、そのアーム１９のほぼ内
枠の中心付近からクランプ装置の作用方向とは直
交する方向に水平に腕を伸ばした伸縮棒２０が設
けられ、伸縮棒２０の先端は内枠５に連結してい
る。２１は、開閉枠６の面を内枠５に連続させる
ための位置決めストツパーである。

（効果） 本考案は以上のように、その内枠が一部開閉枠
として後退出来るように分割されており、この開
閉枠の後方の回転軸と反対側の支軸との間にクラ
ンプ装置を設ける一方、回転軸に軸支し且つ内枠
の中心方向に伸びるアームのほぼ内枠の中心付近
からクランプ装置の作用方向とは直交する方向に
水平に腕を伸ばした伸縮棒が設けられているの
で、クランプを緊締したとき開閉枠が後退して内
枠の一部が開口すると同時に伸縮棒の作用で開口
が狭くなる方向に内枠が縮小的に変形して脱型を
行なうので、作業者は、回転棒を回転するだけで
よく、極めて簡単に且つ短時間にコンクリート製
品からの脱型が完了するものである。また、内枠
が開口方向に狭まるとき、内枠は開口と反対側の
いずれかの地点で折れ曲がることになるが、その
折れ曲り部分は一定であり限定されているので、
全体的には、内枠の曲率の変化は動作の前後にお
いて無視できるものであり、変形が少ないため、
永年に亙る反復使用が可能である。特に、その折
れ曲り地点を上下に分割し、内枠が開口方向に狭
められたとき、支軸を中心としてその分割線部分
で両側に開くべく支軸と内枠の分割部分両側とを
連結部材で連結すれば、内枠は、支軸を中心とし
て開閉枠が後退した開口を狭める一方、反対側の
分割部分が開くことにより、脱型時に内枠はいか
なる変形外力が加えられることはなく、脱型時の
内枠への悪影響は完全に阻止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るコンクリート型枠の平
面図、第２図は狭めたときの内枠部分の部分平面
図、第３図は第１図のＡ−Ａ線一部断面図であ
る。 １……コンクリート型枠、２……筒状の外枠、
３……クランプ装置、４……台座、５……内枠、
６……開閉枠、７……水平板、８……回転軸、９
……ボルト、１０……リブ、１１……分割線部
分、１２，１２′……縦リブ、１３……支軸、１
４，１４′……継板、１５……クランプ装置、１
６……クランプアーム、１７……クランプ鈎、１
８……継杆、１９……アーム、２０……伸縮棒。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 筒状の内枠と、これを囲み且つ２つの半枠に
   分割された外枠とからなるコンクリート型枠に
   おいて、内枠の一部が開閉枠として内方へ移動
   可能に分割されており、この開閉枠の内枠内背
   後に開閉枠に連結し且つ回転自在に回転軸が立
   設される一方、その反対側に支軸が立設され、
   この回転軸と支軸との間に回転軸の回転により
   離開緊締するクランプ装置が装備され、更に前
   記回転軸に遊嵌し且つ支軸方向に延長したアー
   ムが設けられ、このアームの内枠中心付近を支
   点としてクランプ装置の動作方向に直交する方
   向に腕を延ばしてその先端を内枠に連結して成
   る伸縮棒を備えたことを特徴とするコンクリー
   ト型枠の内枠脱型装置。 (2) 前記開閉枠の反対側の内枠が垂直方向に分割
   され、その分割部分両側が連結部材を介して前
   記支軸に回動自在に連結していることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のコン
   クリート型枠の内枠脱型装置。