JPH0445224B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は被洗浄物（本書ではワークと記す。）
を天井クレーンなどで吊下げ、これを洗浄槽や処
理槽の液中に降して浸漬したのち引上げ、洗浄、
処理を行うワークの洗浄装置に関する。

〈従来の技術〉 酸洗槽、水洗槽、水置換槽、リユーベ槽、引抜
油槽等の全部或いは一部の槽を平行に列設すると
共に、該槽の列の上を横切つて往復動可能に天井
クレーンを配設し、洗浄すべき多数本の細い鋼管
の各端部をロープで縛つて束ね、この鋼管の束を
前記槽の向きと同じにして前記クレーンにより昇
降し、前記槽に順番に浸漬して洗浄、処理を行う
洗浄、処理装置は従来から公知である。

この従来の装置において、一台の天井クレーン
が鋼管の一束を吊下げ、各槽の上に順次移動し、
鋼管束を液中に浸漬しては引上げることを繰返し
て洗浄、後処理を行い、最後の処理槽から引上げ
た鋼管束を搬出台車の上に降し、それから１番目
の洗浄槽の手前の搬入台車上に戻り、次の鋼管束
を持ち上げて吊下げ、同じ様にして洗浄、後処理
を行つたのでは洗浄、処理効率は極めて低く、
又、クレーンの使用効率も悪い。

そのため天井クレーンが一つの槽の液中に一つ
の鋼管束を浸漬したら、その鋼管束のロープをク
レーンのフツクから外し、ロープを槽壁に掛ける
などして保持し、それから天井クレーンを別の槽
の上に移動させてフツクを降し、その槽に浸漬し
ている鋼管束の槽壁に保持されたロープをフツク
に掛け、その鋼管束を引上げて次の槽の上に移動
させ、鋼管束を次の槽の液中に浸漬してロープを
フツクから外し、クレーンは別の槽に浸漬してい
る鋼管束を引上げるためにその槽の上に移動させ
るという具合に、クレーンを有効に使用し、洗
浄、後処理の効率を高めている。

〈発明が解決しようとする課題〉 クレーンのフツクに対する鋼管束のロープの着
脱は作業員が行うが、平行に列設された槽の間の
通路は、その上をクレーンに吊下げられて移動す
る鋼管束から滴下した洗浄液や後処理液で濡れて
滑り易く、作業員はその滑り易い通路を通り、ク
レーンを追つて移動しなければならないので非常
に危険である。

又、洗浄液（通常は酸液）が付着したロープを
持つてクレーンのフツクに着脱するので肌に洗浄
液が付着すると共に、クレーンに吊下げられて移
動する鋼管束から滴下する液も浴びるのでノドの
痛みや目の異常などを伴うことが多く、衛生面で
も問題である。

〈課題を解決するための手段〉 そこで本発明は、複数の液槽を平行に列設する
と共に、該液槽の列の上を横切つて往復動可能に
クレーンを配設し、洗浄すべきワークをロープで
縛り、このワークを前記液槽の向きと同じにして
前記クレーンにより昇降し、前記複数液槽の液中
に順番に浸漬して洗浄、処理を行うワークの洗
浄、処理装置において、 前記液槽と同方向にクレーンから吊設されて昇
降する昇降フレームと、前記ワークを縛つた各ロ
ープの上端を着脱可能に吊下げるフツクを有し、
ワークの一つ宛を平行に吊下げると共に、前記各
液槽上に該槽と平行に横たわることができる複数
の吊り具を備え、上記昇降フレームと各吊り具の
間には該吊り具を昇降フレームと平行に取付ける
着脱可能な連結手段を設けたことを特徴とする。

〈実施例〉 図示の実施例において、Ａ−１，Ａ−２……Ａ
−ｎは平行に前後方向に列設された多数の酸洗
槽、水洗槽等からなる洗浄用の液槽、Ｂ−１，Ｂ
−２……Ｂ−ｎは上記洗浄用液槽列の隣りに同様
に平行に列設された水置換槽、リユーベ槽、引抜
油槽等からなる後処理用の液槽で、この両液槽列
の上方には、その各列の上を横切つて移動できる
自走式の天井クレーンＡとＢが配設してある。各
天井クレーンＡとＢは従来と同様に正逆にモータ
で回転駆動されて一対のワイヤロープ１，１′を
巻き取つたり、巻き出したりする一対のドラムを
備えた巻揚機２，２′を左右対称に搭載している。

前述の各液槽は鋼管束Ｗを浸漬するために左右
方向に細長い同大の四角形で、高さないし深さも
ほゞ同じであり、各槽の前後方向の間隔も好まし
くは等しくする。尚、洗浄用液槽群は例えば前か
ら後に向かつてＡ−１……Ａ−ｎであるのに対
し、後処理用液槽群の順番は逆に後から前に向か
つてＢ−１……Ｂ−ｎになつている。

さて、各天井クレーンＡとＢの一対のワイヤロ
ープ１，１′には夫々昇降フレーム３を吊下げ、
巻揚機２，２′の操作で昇降フレーム３を昇降可
能にする。

４は多数用意された左右方向に細長い吊り具
で、鋼管束Ｗの各端部を縛つたロープ５，５の上
端を掛けて鋼管の束を吊下げる一対のフツク６，
６を左右の対称位置に備え、左右方向の長さは前
述の各液槽よりも長く、その上に横たわることが
できる。

本発明では鋼管束Ｗを一つ宛吊り具４に吊下
げ、天井クレーンＡやＢはワイヤロープ１，１′
の下端に吊設した昇降フレーム３を介して吊り具
４を吊下げるため昇降フレーム３と各吊り具４…
…の間には、該吊り具を昇降フレームと平行に取
付ける着脱可能な連結手段７を設ける。

連結手段７として各吊り具４は左右の各端部の
上面に相対向して立設された倒Ｌ形の一対のアー
ム８，８を有し、昇降フレーム３は左右の各端部
３′，３′が上記対のアーム８，８の互いに相手の
方に向いた突出部８′，８′の下に入り込めるよう
になつている。

従つて、自走式の搬入台車９上にロープ５，５
で各端部を縛つて束ねた鋼管束Ｗを載せ、該台車
９上に吊り具４を載せてロープ５，５の上端を吊
り具のフツク６，６に引つ掛け、台車を洗浄用の
第１液相Ａ−１の手前の位置に移動させて停め、
天井クレーンＡの巻揚機２，２′を操作して昇降
フレーム３を最下降する。尚、搬入台車９の高さ
は液槽上に吊り具４を横たえる高さと同じであ
り、最下降した昇降フレーム３の端部３′，３′は
吊り具の上面のアーム８，８の突出部８′，８′の
下面から下に少し離れて入り込める。

このため、天井クレーンＡを前進或いは後進さ
せて昇降フレーム３の端部３′，３′が吊り具のア
ームの突出部８′，８′の下に入り込んだら進行を
停め、巻揚機２，２′でワイヤロープ１，１′を巻
き取つて鋼管束Ｗ、吊り具４ごと昇降フレーム３
を最上昇し、それから天井クレーンを洗浄用の第
１液槽Ａ−１上に移動させて停め、そこで昇降フ
レームを最下降して吊り具４を液槽Ａ−１上に横
たえ、該吊り具４からロープ５，５で下がつてい
る鋼管束Ｗを槽内の液中に浸漬する（第２図）。
このように、天井クレーンは昇降フレームを最下
降し、それから前進或いは後進して昇降フレーム
の各端部を吊り具のアームの突出部の下に入り込
ませ、次いで昇降フレームを最上昇することで鋼
管束を吊下げた吊り具を、作業員の付け換え操作
を必要とせずに掬い上げて移動させることができ
ると共に、掬い上げた吊り具を昇降フレームで最
下降し、それから移動して昇降フレームの端部を
吊り具のアームの突出部の下から抜くことによつ
て吊り具を液槽上に残置し、吊り具から下がる鋼
管束を槽内の液中に浸漬させることができる。

従つて第１液槽での浸漬時間が所定になつたら
吊り具を介してその鋼管束を第２液槽Ａ−２に浸
漬し、第１液槽には搬入台車９が運んで来た次の
鋼管束を吊り具を介して浸漬し、こうして全部の
洗浄用の液槽に鋼管束を浸漬する。

そして、洗浄用の最終液槽Ａ−ｎから引上げた
鋼管束の吊り具は該液槽の傍に待機する自走のト
ラバーサ（中継台車）１０上に横たえ、トラバー
サで後処理用の第１液槽Ｂ−１の手前の位置に移
動させ、こんどは天井クレーンＢを同様に操作
し、後処理用の各液槽に吊り具を介して順番に浸
漬し、その最終液槽から引上げた鋼管束の吊り具
は該槽の傍に待機する搬出台車１１上に横たえ
る。尚、トラバーサ１０、搬出台車１１も搬入台
車９と同じである。

この実施例では後処理液槽列の隣りにも天井ク
レーンＡ，Ｂと同じ昇降フレーム３を備えた天井
クレーンＣが設けてあるので、搬出台車を該クレ
ーンＣの走路の下に停め、鋼管束を縛つているロ
ープの上端を吊り具のフツクから外し、天井クレ
ーンＣで吊り具を持ち上げ、該クレーンの走路の
下で停つている搬入台車９上に吊り具を横たえ、
台車に載つている鋼管束のロープの上端を該吊り
具のフツク６，６に掛け、搬入台車を洗浄用の第
１液槽の手前の位置に行かせ、又、搬出台車１１
は保管庫に行かせ、こうして吊り具を循環して使
用することができる。

昇降フレーム３の左右の端部の上面と、該フレ
ームが掬い上げる吊り具４の対のアームの左右突
出部８′の下面にはピツタリと嵌合する突起と凹
部を設け、昇降フレーム３が吊り具を掬い上げる
位置を位置決めすると共に、天井クレーンの移動
中に吊り具が前後どちらかの方向にずれ動き、昇
降フレームから下に脱落するのを防止することが
好ましい。

又、鋼管束を液に浸漬する際、鋼管束が水平に
なつていると液面に接したとき液が槽外に飛散
し、同様に浸漬した鋼管束を引上げる際、鋼管束
が水平になつていると管内に入つている液の抜け
出しが悪い。このため天井クレーンＡとＢの対の
巻揚機２，２′を駆動する各モータは、上昇指令
があつたときは巻揚機２側を先に駆動し、巻揚機
２′側は遅れて駆動し、又、下降指令があつたと
きは反対に巻揚機２′側を先に駆動し、巻揚機２
側を遅れて駆動するように制御し、これにより第
２図で昇降フレーム３は右側を少し下げて昇降
し、掬い上げたり、降したりする吊り具４と、こ
れから下がる鋼管束Ｗも同じだけ傾くようにする
ことが好ましい（第４図参照）。

そして、この場合、傾いた吊り具４が昇降フレ
ーム３に対して右に滑るのを防止するため、吊り
具４上の左側のアームの突出部８′には、その下
面に開放した錐形の凹部１２を設け、昇降フレー
ム３の左側上面には上記凹部１２に嵌まる錐形の
突起１３を設けて置く。又、吊り具４上の右側の
アームの突出部には下面に開放した左右方向に細
長い溝状の凹部１４を設け、昇降フレーム３の右
側上面には上記凹部１４内で左右方向に滑り動け
る突起１５を設けて置く。これにより昇降フレー
ムが吊り具を掬い上げる際の位置決めができると
共に、天井クレーンの移動中に吊り具が前或いは
後に動いて昇降フレームから脱落するのが防止で
き、更には昇降中に昇降フレームと吊り具が一体
に傾斜しても傾斜にしたがつて吊り具がずれ動く
のも防止できる。そして、昇降中に傾斜していて
も最上昇位置或いは最下降位置では水平に戻る
が、その際は吊り具の突起１５が溝状凹部１４内
を滑る。又、最下降位置或いは最上昇位置から昇
降を開始する当初は、同様に突起１５は溝状の凹
部１４内を逆方向に滑る。この実施例では凹部１
２，１４を吊り具のアームに、突起１３，１５を
昇降フレームに設けたが、凹部を昇降フレーム、
突起を吊り具のアームに設けてもよい。

又、鋼管束Ｗの各端部を縛り、上端を吊り具の
フツク６に掛けるロープ５の長さは一定とし、上
端にはフツクにかける環１６を設けて置く。この
場合、鋼管束の束径が大であると鋼管束が吊り具
から下がる長さは短くなり、逆に束径が小である
と下がる長さは長くなる。この実施例では束径の
大小に関係なく吊り具から鋼管束が下がる長さを
一定にするため、吊り具にはフツク６，６の間に
も左右対称に一対の予備フツク１７，１７を取付
けると共に、左側のフツク６と１７及び右側のフ
ツク６と１７の間に夫々左右対称に２本のピン１
８と１８，１９と１９を左右対称に取付けてあ
る。従つて、束径が大きな鋼管束を縛つたロープ
の上端はフツク６，６に掛け、束径が中位の鋼管
束を縛つたロープの上端は内側のピン１８を経由
して予備フツク１７に掛け、束径が小さい鋼管束
を縛つたロープの上端は外側のピン１９を経由し
て予備フツク１７に掛けることで鋼管束が吊り具
から下がる長さをほゞ一定にすることができる
（第５図参照）。

又、この実施例では各液槽Ａ−１……Ａ−ｎ，
Ｂ−１……Ｂ−ｎの左右の端部の外に吊り具４の
左右各端部を受け止める一対の台２０，２０を設
け、この上に吊り具４を受け止めて液槽上に吊り
具を横たえるが、この台を廃し、液槽の左右端部
上に吊り具を受け止めて横たえてもよい。

更に、第６図に示すように吊り具４の下面には
Ｃ型鋼などからなる差込式の対の支持具２１，２
１を複数対設け、上記支持具２１，２１と逆向き
に係合してこれから下がる係合具２２，２２を上
面に備えた蓋２３を上記支持具２１，２１の対の
一つ宛に取付けて隣接させれば、各液槽の上に蓋
を置いて塞いだり、或いは逆に始業の際に各液槽
の上を塞ぐ蓋を取り除いたりすることもできる。
つまり、蓋を置いて液槽の上を塞ぐには、吊り具
３の下面の支持具２１，２１の各対に係合具２
２，２２をスライドさせて蓋２３を支持させ、こ
うして蓋を下面に取付けた吊り具を天井クレーン
ＡやＢの昇降フレームで掬い上げ、一つ宛の液槽
上に移動させて止め、巻揚機２，２′を操作して
昇降フレームを最下降させ、蓋２３の下面を液槽
上に受け止めさせると共に、吊り具を台２０，２
０上に横たえ、それから天井クレーンを前進又は
後進して昇降フレームを吊り具から抜くことによ
り吊り具と蓋を液槽上に残置し、又、蓋を取り除
くには上記操作を逆に行い、蓋ごと吊り具を掬い
上げればよく、これらは鋼管束を液に浸漬するた
めに吊り具を液槽上に横たえて残置する操作と、
液に浸漬した鋼管束を液槽から引上げ、次の液槽
ないしトラバーサや搬出台車に移すために吊り具
を掬い上げる操作と同じである。

尚、この実施例では洗浄、処理を行うワークを
鋼管束として説明したが、ワークは鋼管束に限定
されず、鋼棒束その他何でもよい。

〈発明の効果〉 本発明によれば洗浄などを行う当初にワークの
各端部を縛つたロープを吊り具のフツクに掛け、
作業終了後に吊り具のフツクからロープを外すだ
けで済み、中間ではロープの掛け外しは全く不要
になると共に、作業員が天井クレーンを追つて滑
り易い液槽と液槽の間の通路を移動する必要も無
くなり、当初と最後のロープの掛け外しを除き、
天井クレーンの運転をシーケンサーで制御して自
動化することさえ可能であつて、労働災害の発生
防止に大きく貢献する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の説明図、第２図は
ワークを液槽に浸漬した状態の正面図、第３図は
第２図の側面図、第４図は昇降フレームが昇降途
中の状態の正面図、第５図は束径の異なるワーク
をほゞ一定の状態に吊下げることを示す正面図、
第６図は蓋で液槽上を塞ぐ状態を示す正面図であ
る。 図中、Ａ−１……Ａ−ｎ，Ｂ−１……Ｂ−ｎは
液槽、Ａ，Ｂは天井クレーン、１，１′はそのワ
イヤロープ、２，２′は同じく巻揚機、３は昇降
フレーム、４は吊り具、５はロープ、６はフツ
ク、７は連結手段、Ｗはワークを示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の液槽を平行に列設すると共に、該液槽
   の列の上を横切つて往復動可能にクレーンを配設
   し、洗浄すべきワークをロープで縛り、このワー
   クを前記液槽の向きと同じにして前記クレーンに
   より昇降し、前記複数液槽の液中に順番に浸漬し
   て洗浄、処理を行うワークの洗浄、処理装置にお
   いて、 前記液槽と同方向にクレーンから吊設されて昇
   降する昇降フレームと、前記ワークを縛つた各ロ
   ープの上端を着脱可能に吊下げるフツクを有し、
   ワークの一つ宛を平行に吊下げると共に、前記各
   液槽上に該槽と平行に横たわることができる複数
   の吊り具を備え、上記昇降フレームと各吊り具の
   間には該吊り具を昇降フレームと平行に取付ける
   着脱可能な連結手段を設けたことを特徴とするワ
   ークの洗浄、処理装置。