JPH0442362B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

(A) 産業上の利用分野 本発明は、人体に対して安全なゴキブリの誘引
剤に関する。更に詳しくは、アロエ植物及び／又
はアロエ植物の抽出液を有効成分とすることによ
つて、ゴキブリに対して効果的な誘引剤を提供す
ることに関する。 (B) 従来の技術 ゴキブリ類は、熱帯地方を中心に世界に約44種
類ほど分布しているが、日本の家住性のゴキブリ
としては、例えば、チヤバネゴキブリ、クロゴキ
ブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリなどが知
られている。 これらのゴキブリ類は、食品害虫としてばかり
でなく、病害の伝播者としてイエバエとならんで
衛生上、極めて不潔な害虫である。これらのゴキ
ブリ類は、水分、食物の摂取に好都合な場所の間
隙に集合し、隠れ、夜間台所の食物の残りとかに
歩き回る雑食性の害虫である。 近年、ゴキブリ類の分布地域及び棲息数が著し
く増加する傾向にある。これらの現象は、家庭及
びビルの暖房設備の普及と豊富な食物等により冬
季の棲息活動、増殖活動を助長させたために生じ
たものである。 これらゴキブリ類の防除方法としては、夜間活
動性などの性質を利用して残効性の高い殺虫剤を
ゴキブリの潜伏場所や通路等に噴霧して、又は塗
布した容器、あるいはその集合性を利用して粘着
剤と誘引剤とを併用した容器を用いて捕獲する方
法、更にゴキブリに対する忌避作用を利用して、
忌避剤を塗布した容器を用いて忌避させる方法な
どが知られている。 従来、ゴキブリに対する誘引作用を利用した誘
引剤の例としては、例えば、メーブル樹脂濃縮
物、白樺樹液濃縮物、酵母抽出液、カラメルなど
を有効成分とした誘引剤（特公昭56−4527）ゴマ
油にゴキブリ類の糞を添加した誘引剤（特開昭53
−91140）、木材の乾留によつて得られる木タール
及び木酢液から刺激性の低沸点を除去した残査を
用いた誘引剤（特開昭50−46842）、バニリン、エ
チルバニリン、イソバニリン、ピペロナール、ピ
ペロナールアセトン、２，６−ノナジエナールな
どを有効成分とした誘引剤（特公昭54−155801）
などが知られている。 (C) 発明が解決しようとする問題点 従来、ゴキブリの誘引剤として報告のある例え
ば、上記の誘引剤類によるゴキブリに対する誘引
作用ならびにその持続性は必ずしも満足できるも
のではなく、又、その有効成分が空気中で変化し
易かつたり、また更に、上記の誘引剤類はいずれ
も匂いを有し、使用上の制約があるなどの不利益
乃至欠点がある。 (D) 問題点を解決するための手段 本発明者らは、上述のごとき不利益乃至欠点を
解決すべく多数の生薬類についてゴキブリに対す
る誘引作用について鋭意研究を行つてきた。その
結果、従来、誘引剤として使用されたことのない
古くなら生薬として使用されている、アロエ食物
（ヒビ、アカギレ、火傷、健胃などの効用が知ら
れている）及び／又はアロエ植物の抽出液が、ゴ
キブリに対する誘引作用が極めて優れているこ
と、更にその誘引作用が長時間持続生を有するこ
とを発見した。又、上記従来提案の誘引剤に比べ
て、匂いが極めて弱いことから使用上の制約も回
避できることが分つた。 本発明に使用するアロエは、アロエ属植物（ユ
リ科）に属する植物であればいずれの種類でも利
用できるが、例えば、Aloe ferox Miller，Aloe
africana Milerなどを例示することができる。こ
れらのアロエ植物は、市場で粉末状もしくは細断
状の形で容易に入手することができ、このような
形状の状態のまま誘引剤として本発明で利用でき
る。 又、このような粉末状もしくは細断状のアロエ
から抽出液を製造するには、粉末状もしくは細断
状のアロエを、例えば有機溶媒及び／又は水の存
在下に、例えば、約10゜〜90℃程度の温度範囲で、
例えば約0.5〜５時間程度の範囲の条件下にかき
まぜながら、抽出することにより容易に製造する
ことができる。 上記の抽出において、使用する有機溶媒として
は、例えばメタノール、エタノール、アセトン、
イソプロピルアルコール、酢酸エチルなどを例示
することができる。これら有機溶媒は、単独もし
くは複数種を併用して利用することができる。
又、水単独もしくは上記の有機溶媒の単独又は複
数種と併用して抽出することもできる。これら有
機溶媒及び／又は水の使用量としては、上記の粉
末状もしくは細断状のアロエに対して、例えば、
約１〜20重量倍程度の範囲の使用量をあげること
ができる。 例えば、上述のようにして製造することのでき
る抽出液は、濾過装置を用いて濾過を行つて本発
明の抽出液を容易且つ安価に得ることができる。
更に、必要ならば適当な濃度に濃縮して、用いる
こともできる。 上述のようにして得ることのできる粉末状もし
くは細断状のアロエ植物及び／又はアロエ植物の
抽出液は、そのままゴキブリの誘引剤として使用
することもできるが、適当な担体に吸着、混合ま
たは分散させて用いることができる。担体の例と
しては、例えば、けい藻土、アリミナ、酸性白
土、木炭、カオリン、ベントナイト、活性炭、シ
リカなどをあげることができる。これらの担体
は、必要により１種もしくは２種以上の混合物と
して用いることもできる。又、例えばパン粉、サ
ナギ粉、キナ粉澱粉などを基材として、例えば、
ペースト状、顆粒、錠剤などに製剤し使用するこ
ともできる。また、各種の合成樹脂に含浸又は混
練して用いることもできる。更にまた、必要によ
り、乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、湿閏剤、
安定剤などを添加し、油剤、乳剤、水和剤、粉
剤、錠剤、噴霧剤などの剤型で使用することもで
きる。 また、本発明のゴキブリ誘引剤に殺虫剤、殺菌
剤、防カビ剤などを配合して使用することもでき
る。 上述のようにして得ることのできるゴキブリ誘
引剤は、ゴキブリの棲息場所、潜伏場所または通
路などに、従来の捕獲器内に配置することによつ
て使用することができる。たとえば、粘着剤を使
用して捕獲する場合は、誘引剤を粘着剤の塗布面
の上に適当に配置するか、あるいは粘着剤に混入
して使用することができる。また、トラツプなど
の機械的手段を用いた捕獲器の場合は、該捕獲器
の内部に誘引剤を塗布、散布あるいは設置して利
用することができる。 本発明の誘引剤の有効使用量は、少量で誘引効
果を示すために、その使用量には特別の制約はな
いが、例えば濃縮されたアロエ抽出物を例にとれ
ば、約0.05〜約0.5ｇ／cm²程度の範囲を例示する
ことができる。 (E) 作 用 本発明の上述のゴキブリ誘引剤が、ゴキブリに
対して極めて有効に誘引作用を示めす理由につい
ては、現在のところはつきりしていないが、アロ
エ植物中のある一成分もしくは複成分が誘引作用
に強力に開与しているものと考えられる。 次に本発明の効果を、試験例によつて明らかに
し、また、本発明を実施例によつて説明する。 (F) 試験例 10cm×4.5cmの瀘紙をゴキブリが侵入できる程
度の大きさの波型に折り、この瀘紙に本発明のア
ロエ抽出物の一定濃度のエタノール溶液を0.1ｍ
ｌ塗布する。次に縦40cm、横25cm、高さ28cmのゴ
キブリ飼育用の透明プラスチツクケースの四隅
に、本発明品の誘引剤を塗布した上記の波型の瀘
紙２個と、誘引剤を塗布していないブランクの波
型の瀘紙２個を交互に設置し、誘引効果を観察し
た。 誘引効果の判定は、上記の飼育ケース中にチヤ
バネゴキブリの成虫を雌雄10匹づつ計20匹を放
し、１時間後と５時間後にゴキブリ誘引剤を塗布
した波型の瀘紙中に居るゴキブリの数を調べて判
定した。その結果は、表−１に示した通りで、本
発明のアロエ抽出物は、チヤバネゴキブリの雌成
虫及び雄成虫に対して、優れた誘引効果ならびに
持続性を示した。

【表】

【表】 表中の数字は、誘引剤を塗布した波型の瀘紙の
中に居たチヤバネゴキブリの数を示す。 (G) 実施例 (1) フラスコにアロエ末40ｇ、95％エタノール
320ｇを仕込み、45〜50℃の温度で１時間かき
まぜながら抽出する。抽出液をサラシ布でこし
た後、セルロース粉末を助剤として濾過を行つ
て、抽出液290ｇを得る。この抽出液を濃縮し
て濃縮液9.1ｇを得た。 (2) 実施例１において、95％エタノールの代りに
アセトンを用いた他は、実施例１と同様に行つ
て抽出液285ｇを得る。この抽出液を濃縮して
濃縮液8.7ｇを得た。 (3) アロエ濃縮液0.4ｇをプロピレングリコール
に溶解して、全体を100部として0.4％油剤を得
る。 (4) アロエ濃縮液10％エタノール溶液10部とシリ
カ99部より粉剤を得る。 (H) 発明の効果 本発明のゴキブリ誘引剤として利用できるアロ
エ植物及び／又はアロエ植物と抽出液は、古くか
ら生薬として使用されていて人体に対して安全で
且つ該植物ならびに該抽出液は、匂いが弱いた
め、その使用場所などに制限されることなく利用
できる。又、本発明のゴキブリ誘引剤は、その誘
引効果ならびに持続性が優れ、且つ工業的に容易
に製造することができ、安価に新しい誘引剤を提
供することができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アロエ植物及び／又はアロエ植物の抽出液を
   有効成分として含有することを特徴とするゴキブ
   リ誘引剤。