JPH0442254B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、ピルフアープルーフ特性を有する合
成樹脂製容器蓋、更に詳しくは、外周面に雄螺条
とこの雄螺条の下方に位置する係止あご部とが形
成されている口頚部を備えた容器に適用される、
ピルフアープルーフ特性を有する合成樹脂製容器
蓋に関する。 〔従来の技術〕 飲料用瓶の如き容器のためのピルフアープルー
フ特性を有する容器蓋として、近時においては、
金属製容器蓋に代えて合成樹脂製容器蓋が提案さ
れ実用に供されるようになつてきた。かような合
成樹脂製容器蓋の典型例としては、特開昭56−
74445号公報、特開昭58−30949号公報及び特開昭
58−51116号公報に開示されている容器蓋を挙げ
ることができる。 上記公報に開示されている容器蓋は、天面壁と
この天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁と
を有する。スカート壁には周方向に延びる弱化ラ
インが形成されていて、スカート壁は弱化ライン
よりも上方の主部と弱化ラインよりも下方のピル
フアープルーフ裾部とに区画されている。主部の
内面には雌螺条が形成されており、ピルフアープ
ルーフ裾部の内面には半径方向内方に突出する複
数個の係止フラツプ片が周方向に間隔を置いて形
成されている。 上記の通りの合成樹脂製容器蓋は、外周面に雄
螺条とこの雄螺条の下方に位置する係止あご部と
が形成されている口頚部を備えた容器に適用され
る。容器の口頚部を容器蓋によつて閉塞する際に
は、口頚部に容器蓋を被嵌して所定方向即ち閉方
向に回転せしめ、容器蓋の雌螺条を口頚部の雄螺
条に螺合せしめる。かくすると、口頚部に対して
容器蓋が閉方向に回転すると共に軸線方向下方に
移動する。この際に、ピルフアープルーフ裾部の
内面に形成されている係止フラツプ片は、口頚部
の外面に形成されている係止あご部に干渉されて
半径方向外方へ弾性的に撓まされる。そして、係
止あご部を完全に通過すると、弾性的に半径方向
内方へ復元して係止あご部の下面に係止する状態
になる。容器の口頚部を開封する際には、容器蓋
を上記閉方向に対して逆方向即ち開方向に回転せ
しめる。かくすると、容器蓋の雌螺条が口頚部の
雄螺条に沿つて移動せしめられる故に、容器蓋は
開方向に回転すると共に軸線方向上方に移動す
る。然るに、容器蓋のピルフアープルーフ裾部
は、その内面に形成されている係止フラツプ片が
口頚部の係止あご部の下面に係合せしめられてい
る故に軸線方向上方に移動することができず、そ
れ故に、容器蓋のスカート壁に形成されている弱
化ラインに相当な応力が生成される。かくして、
弱化ラインが完全に破断されてスカート壁が主部
とピルフアープルーフ裾部とに分離され、或いは
弱化ラインが一部を残して破断されると共に、ピ
ルフアープルーフ裾部に付設されている軸線方向
に延びる弱化ラインが破断されてピルフアープル
ーフ裾部が無端環状から有端帯状に開かれる。し
かる後においては、分離されたピルフアープルー
フ裾部を残して容器蓋の他の部分が、或いはピル
フアープルーフ裾部を含む容器蓋の全体が口頚部
から離脱されて口頚部が開封される。 〔発明が解決しようとする課題〕 而して、上記の通りの容器蓋においては、次の
２つの要件が充足されることが重要である。第１
に、容器の口頚部を容器蓋によつて閉塞する際に
は、係止フラツプ片が充分容易に半径方向外方に
弾性的に撓んで係止あご部を通過することがで
き、従つて比較的小さい回転トルクによつて口頚
部に容器蓋を装着することができ、かくして弱化
ラインに過剰の応力が生成されて弱化ラインが破
断されてしまうことを確実に回避することが重要
である。第２に、容器の口頚部を開封する際に
は、係止フラツプ片が係止あご部に充分確実に係
止し、かくして弱化ラインの所期の通りの破断を
伴うことなく所謂すつぽ抜け（係止フラツプ片が
半径方向外方に撓んで係止あご部を通過してしま
うこと）によつて容器蓋が口頚部から離脱してし
まう（かくするとピルフアープルーフ特性が毀損
されてしまう）ことを確実に回避することが重要
である。かような２つの要件を充足するために
は、係止フラツプ片が軸線方向上方から下方に係
止あご部を通過せしめられる時に容器蓋に加えな
ければならない必要下降回転トルクを充分に小さ
くし、係止フラツペ片が軸線方向下方から上方に
係止あご部を通過せしめられんとする場合に容器
蓋に加えねばならない必要上昇回転トルクを充分
に大きくし、そして弱化ラインを所期の通りに破
断せしめるために容器蓋に加えなければならない
必要破断回転トルクを上記必要下降回転トルクと
上記必要上昇回転トルクとの間に設定することが
必要である。 然るに、従来の容器蓋においては、上記必要下
降回転トルクと上記必要上昇回転トルクとの間に
充分な差を生ぜしめることができず、それ故に、
製作誤差等に起因して上記第１の要件又は上記第
２の要件が充足されないことが少なくなかつた。 本発明は上記事実に鑑みてなれたものであり、
その技術的解決課題は、ピルフアープルーフ特性
を有する合成樹脂製容器蓋を改良して、上記必要
下降回転トルクの増大を抑制して上記必要上昇回
転トルクを増大せしめ、かくして上記必要下降回
転トルクと必要上昇回転トルクとの間に充分な差
を生ぜしめて上記第１及び第２の要件が確実に充
足せしめられるようになすことである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明者等は、鋭意検討及び実験の結果、従来
の容器蓋における係止フラツプ片の各々は、その
全体が口頚部に容器蓋を装着する際の容器蓋の回
転方向に対して逆方向に傾斜してピルフアープル
ーフ裾部の内面から一直線上に連続して延ばされ
ていたが、係止フラツプ片の各々を折曲せしめ
て、ピルフアープルーフ裾部の内面から延びる第
１の部分と、かかる第１の部分に対して、口頚部
に容器蓋を装着する際の容器蓋の閉回転方向に傾
斜して、第１の部分の先端から更に延びる第２の
部分とを有するようにせしめると共に、第１の部
分と第２の部分との間の折曲線を、下方に向つて
ピルフアープルーフ裾部の内面から離れる方向に
所要傾斜角度で傾斜せしめれば、上記必要下降回
転トルクの増大を抑制して上記必要上昇回転トル
クを相当増大せしめることができ、かくして上記
技術的解決課題を達成することができることを見
出した。 即ち、本発明によれば、上記技術的解決課題を
達成するために、外周面に雄螺条と該雄螺条の下
方に位置する係止あご部とが形成されている口頚
部を備えた容器のための、ピルフアープルーフ特
性を有する合成樹脂製容器蓋であつて、天面壁
と、該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁
とを具備し、該スカート壁には周方向に延びる弱
化ラインが形成されていて、該スカート壁は該弱
化ラインよりも上方の主部と該弱化ラインよりも
下方のピルフアープルーフ裾部とに区画されてお
り、該主部の内面には該口頚部の該雄螺条に螺合
せしめられる雌螺条が形成され、該ピルフアープ
ルーフ裾部の内面には半径方向内方に突出する複
数個の係止フラツプ片が周方向に間隔を置いて形
成されている容器蓋において； 該係止フラツプ片の各々は、該ピルフアープル
ーフ裾部の内面から延びる第１の部分と、該第１
の部分に対して、該口頚部に容器蓋を装着する際
の容器蓋の閉回転方向に傾斜して、該第１の部分
の先端から更に延びる第２の部分とを有し、該第
１の部分と該第２の部分との間の折曲線は、下方
に向つて該ピルフアープルーフ裾部の内面から離
れる方向に５度＜γ≦80度である傾斜角度γをな
して傾斜して延びる、ことを特徴とする容器蓋が
提供される。 〔作用〕 本発明の容器蓋においては、後述する実験例及
び比較実験例から明確に理解される通り、上記必
要下降回転トルクの増大が充分に抑制されて（従
つて上記必要下降回転トルクは従来の容器蓋のそ
れと実質上同一乃至それより若干だけ大きい値に
せしめられて）、上記必要上昇回転トルクが相当
増大せしめられ（従つて上記必要上昇回転トルク
は従来の容器蓋のそれより相当大きな値にせしめ
られ）、かくして上記必要下降回転トルクと上記
必要上昇回転トルクとの間に充分に大きな差が生
成され、従つて上記第１及び第２の要件が確実に
充足され得る。上記必要上昇回転トルクが増大せ
しめられる理由は必ずしも明確ではないが、本発
明者等は、折曲せしめることによつて係止フラツ
プ片の剛性が増大せしめられて弾性変形に対する
抵抗が増大せしめられ、そしてまた折曲線が下方
に向つてピルフアープルーフ裾部の内面から離れ
る方向に延びている故に、開封の際に係止あご部
から係止フラツプ片の上縁に加えられる力によつ
て係止フラツプ片の第２の部分が下方に強制され
ると、これに伴つて係止フラツプ片の第２の部分
が半径方向内側に、即ち上昇に対する抵抗が増大
する方向に変位せしめれる故である、と推定して
いる。また、折曲によつて係止フラツプ片の剛性
が増大せしめられるにもかかわらず、上記必要下
降回転トルクの増大が抑制されるのは、折曲線が
下方に向つてピルフアープルーフ裾部の内面から
離れる方向に延びている故に、容器蓋が閉回転方
向に回転せしめられて下降せしめられる際に、口
頚部の係止あご部から係止フラツプ片の下縁に加
えられる力によつて係止フラツプ片が上方に強制
されると、係止フラツプ片の第２の部分は半径方
向外側に、即ち下降に対する抵抗が減少する方向
に変位せしめられる故である、と推定している。 〔実施例〕 以下、本発明に従つて改良された合成樹脂製容
器蓋の好適実施例を図示している添付図面を参照
して、更に詳細に説明する。 第１図を参照して説明すると、全体を番号２で
示す容器蓋は、円形状の天面壁４とこの天面壁４
の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁６とを
具備する一体に形成された本体を備えている。か
のような本体は、ポリオレフイン系樹脂の如き適
宜の合成樹脂材料から圧縮成形又は射出成形によ
つて形成することができる。 図示の実施例においては、スカート壁６の内面
上端部には、そこから半径方向内方に突出する環
状突条８が形成されており、そしてこの環状突条
８と上記天面壁４の内面とによつて区画される領
域内に、本体とは別個に形成された円形の密封ラ
イナー１０が配設されている。かかる密封ライナ
ー１０は、例えば本体を成形した後に、適宜の合
成樹脂材料からそれ自体は周知の型押成形法によ
つて所要位置に成形することができる。所望なら
ば、密封ライナー１０を本体とは別個に形成する
ことに代えて、天面壁４の内面又はスカート壁６
の内面上端部に適宜の形態の密封用突条を一体に
形成することもできる。 スカート壁６は、比較的肉厚の上部１２と、比
較的肉薄の下部１４と、両者間に位置する中間肉
厚の中間部１６とを有する。そして、中間部１６
には、周方向に延びる弱化ライン１８が形成され
ており、スカート壁６は弱化ライン１８よりも上
方の主部２０と弱化ライン１８よりも下方のピル
フアープルーフ裾部２２とに区画されている。弱
化ライン１８は、材料の厚さを低減せしめること
によつて形成される所謂スコアでもよいが、図示
の実施例においては、周方向に間隔を置いて形成
され周方向に延びる複数個のスリツト（切溝）２
４とかかるスリツト２４間に残留せしめられてい
る複数個の橋絡部２６とから構成されており、ピ
ルフアープルーフ裾部２２は複数個の橋絡部２６
によつて主部２０に接続されている。図示の実施
例においては、複数個の橋絡部２６のうちの特定
の１個の橋絡部２６Ａは、他の橋絡部２６に比べ
て周方向幅が大きく、従つて強度が増大せしめら
れている。そして、かかる特定の橋絡部２６Ａの
周方向片側縁に隣接した位置にて、ピルフアープ
ルーフ裾部２２には軸線方向に延びる弱化ライン
２８が形成されている。この弱化ライン２８は、
スコア又はミシン目でよい。 スカート壁６の主部２０の内面、更に詳しくは
比較的肉厚の上部１２の内面には、雌螺条３０が
形成されている。また、主部２０の外面、更に詳
しくは比較的肉厚の上部１２の外面には、そこに
指をかけて容器蓋２を回転せしめる際の指の滑り
を防止するための凹凸乃至ローレツト形状３２が
形成されているのが好都合である。一方、ピルフ
アープルーフ裾部２２の内面、更に詳しくは比較
的肉薄の下部１４の内面には、周方向に間隔を置
いて複数個（図示の場合は30個）の係止フラツプ
片３４が形成されている。かかる係止フラツプ片
３４の各々は、ピルフアープルーフ裾部２２の内
面に接続されている基縁３６から半径方向内方へ
延びている。 図示の容器蓋２における上述した通りの構成
は、本発明に従つて改良された容器蓋２の新規な
特徴をなすものではなく、本発明が適用される容
器蓋の一例を示すにすぎない。 而して、本発明に従えば、上記係止フラツプ片
３４に次の通りの改良が加えられる。第２図及び
第３図を参照して説明すると、係止フラツプ片３
４の各々は、折曲線３８に沿つて折曲せしめられ
ており、上記基縁３６から折曲線３８まで延びる
第１の部分４０と折曲線３８から自由端まで延び
る第２の部分４２とによつて規定されている。上
記基縁３６は、容器蓋２の中心軸線に実質上平行
に、従つて実質上鉛直に延びている。しかしなが
ら、所望ならば、上記基縁３６を、容器蓋２の中
心軸線に対して適宜の方向に、即ち後述する如く
して容器の口頚部に容器蓋２を装着する際の容器
蓋２の閉回転方向（第１図において上方から見て
時計方向、第２図及び第３図において矢印４４で
示す方向）又はその反対方向に適宜の角度をなし
て傾斜して下方に延びるようになすこともでき
る。第１の部分４０は、好ましくは上記閉回転方
向４４に対して逆方向に傾斜して、上記基縁３６
から半径方向内方に延びている。ピルフアープル
ーフ裾部２２の内面に対する第１の部分４０の傾
斜角度αは、５度≦α≦85度、特に20度≦α≦80
度、殊に30度≦α≦70度であるのが好ましい。上
記折曲線３８から半径方向内方に延びる第２の部
分４２は、第１の部分４０に対して上記閉回転方
向に傾斜して延びていることが重要である。第１
の部分４０に対する第２の部分４２の傾斜角度β
は、０度＜β≦90度、特に０度＜β≦70度、殊に
５度≦β≦45度であるのが好ましい。上記折曲線
３８自体は、下方に向つてピルフアープルーフ裾
部２２の内面から離れる方向に５度≦γ≦80度、
好ましくは10度≦γ≦60度、特に20度≦γ≦50度
である傾斜角度γをなして傾斜して延びているこ
とが重要である。 第１図及び第２図に図示する如く、第１の部分
４０の上縁４６は、滑らかな曲線をなして半径方
向内方に向つて下方に傾斜して延び、第２の部分
４２の上縁４８は、略水平に延びるのが好都合で
ある。一方、第１の部分４０と下縁５０と第２の
部分４２の下縁５２とは、半径方向内方へ向つて
上方へ傾斜して延びるのが好都合である。一般
に、第２の部分４２の下縁５２の傾斜角度δ₂は第
１の部分４０の下縁５０の傾斜角度δ₁よりも幾分
大きくせしめられており、上記傾斜角度δ₁は、１
度≦δ₁≦30度で、上記傾斜角度δ₂は、20度≦δ₂≦
50度であるのが好都合である。 上記の通りの合成樹脂製容器蓋２は、第４図に
図示する通りの形態の口頚部５４を備えた容器に
適用される。それ自体は周知の口頚部５４は円筒
状外周面を有し、かかる外周面には雄螺条５６と
この雄螺条５６の下方に位置する係止あご部５８
とが形成されている。 口頚部５４を容器蓋２によつて閉塞する際に
は、口頚部５４に容器蓋２を被嵌し、容器蓋２を
閉回転方向、即ち第４図において上方から見て時
計方向に回転せしめる。かくすると、容器蓋２に
形成されている雌螺条３０が口頚部５４に形成さ
れている雄螺条５６に螺合され、これによつて容
器蓋２は回転と共に下方に移動せしめられる。容
器蓋２が下方に移動せしめられると、容器蓋２に
形成されている係止フラツプ片３４の各々は、口
頚部５４に形成されている雄螺条５６を通過し、
そして更に係止あご部５８を通ることになるが、
係止あご部５８を通る際には、係止あご部５８に
干渉されることによつて係止フラツプ片３４の
各々は半径方向外方へ弾性的に撓まされる。容器
蓋２の雌螺条３０を口頚部５４の雄螺条５６に充
分に螺合せしめると、第４図に図示する如く、係
止フラツプ片３４の各々は係止あご部５８を完全
に通過して、係止あご部５８に干渉されなくな
り、係止フラツプ片３４の各々は元の状態に向け
て弾性的に復元する。 而して、後に言及する実験例及び比較実験例の
記載から明確に理解される如く、本発明に従つて
改良された容器蓋２においては、係止フラツプ片
３４が弾性的に撓んで係止あご部５８を通過せし
められる時に容器蓋２に加えなければならない必
要下降回転トルクは、第３図に２点鎖線で示す如
く係止フラツプ片３４の第２の部分４２を第１の
部分４０に対して折曲せしめることなく第１の部
分４０と一直線状をなして延びるようにせしめた
従来の容器蓋と略同一であり、充分に小さい値で
ある。従つて、口頚部５４に容器蓋２を装着する
際に、弱化ライン１８及び２８に過剰な応力が生
成され、弱化ライン１８及び２８が破断されてし
まうことが確実に回避される。 係止フラツプ片３４の各々が元の状態に向つて
充分に復元せしめられると、第４図に明確に図示
する如く、係止フラツプ片３４の各々が係止あご
部５８の下面に係止せしめられる。また、容器蓋
２の雌螺条３０を口頚部５４の雄螺条５６に螺合
せしめた状態においては、第４図に図示する如
く、密封ライナー１０が口頚部５４の端面部に密
接せしめられ、かくして口頚部５４が密封され
る。 以上の通りにして口頚部５４に装着された容器
蓋２を、口頚部５４から離脱せしめて口頚部５４
を開封する際には、容器蓋２を装着時における閉
回転方向に対して逆方向、即ち第４図において上
方から見て反時計方向に回転せしめる。かくする
と、容器蓋２に形成されている雌螺条３０が口頚
部５４に形成されている雄螺条５６に沿つて移動
せしめられる故に、容器蓋２は上方に移動せんと
する。しかしながら、口頚部２のピルフアープル
ーフ裾部２２の内面に形成されている係止フラツ
プ片３４が口頚部５４の係止あご部５８の下面に
係止せしめられている故に、ピルフアープルーフ
裾部２２の上方への移動は阻止される。かくし
て、容器蓋２に形成されている弱化ライン１８に
相当な応力が生成され、弱化ライン１８における
橋絡部２６は、周方向幅が大きく強度が増大せし
められている特定の橋絡部２６Ａを除いて破断さ
れ、そしてまたピルフアープルーフ裾部２２に形
成されている弱化ライン２８にも相当な応力が生
成され、弱化ライン２８が破断されてピルフアー
プルーフ裾部２２が無端環状から有端帯状に開か
れる。かくすると、係止あご部５８の下面に対す
る係止フラツプ片３４の係止が解除され、しかる
後においては、破断されずに維持されている上記
特定の橋絡部２６Ａによつて主部２０に連結され
ているピルフアープルーフ裾部２２を含む容器蓋
２の全体が、回転と共に上方へ移動せしめられ、
かくして容器蓋２の全体が口頚部５４から離脱さ
れ、口頚部５４が開封される（弱化ライン１８に
おける上記特定の橋絡部２６Ａも他の橋絡部２６
と実質上同一の強度であり、ピルフアープルーフ
裾部２２に弱化ライン２８が形成されていない時
には、弱化ライン１８が完全に破断されてピルフ
アープルーフ裾部２２が主部２０から完全に分離
され、従つてピルフアープルーフ裾部２２を残し
て容器蓋２のその他の部分が口頚部５４から離脱
される）。 而して、後に言及する実験例及び比較実験例の
記載から明確に理解される如く、口頚部５４から
容器蓋２を離脱せしめる際には、第３図に２点鎖
線で示す如く係止フラツプ片３４の第２の部分４
２を第１の部分４０に対して折曲せしめることな
く第１の部分４０と一直線状をなして延びるよう
にせしめた従来の容器蓋に比べて、本発明に従つ
て改良された容器蓋２においては、係止フラツプ
片３４が相当強く係止あご部５８の下面に係止す
る。換言すれば、係止フラツプ片３４を弾性的に
撓ませて下方から上方に係止あご部５８を通過せ
しめんとする場合に容器蓋２に加えねばならない
必要上昇回転トルクは、本発明に従つて改良され
た容器蓋２においては、従来の容器蓋に比べて相
当増大せしめられる。従つて、破断ライン１８及
び２８が所期の通りに破断されることなく口頚部
５４から容器蓋２が離脱されることが確実に回避
され、かくしてピルフアープルーフ特性が確保さ
れる。 所望ならば、ピルフアープルーフ裾部２２の外
面に、好ましくは弱化ライン２８の右側に隣接せ
しめて把持突片を付設し、口頚部５４から容器蓋
２を離脱せしめて口頚部５４を開封する際には、
上記把持突片を引張ることによつて弱化ライン２
８を破断すると共に弱化ライン１８をその全体に
渡つて破断し、しかる後に容器蓋２を第４図にお
いて上方から見て反時計方向に回転せしめるよう
になすこともできる。 〔実施例〕 ポリプロピレン（メルトインデツクス2.0、密
度0.90）を使用して、弱化ライン１８及び弱化ラ
イン２８が形成されていないことを除けば第１図
乃至第３図に図示する容器蓋２の本体と実質上同
一の形態である容器蓋本体を10個成形した。成形
した容器蓋本体の雌螺条内径ｄ＝25.4mm、上部外
径Ｄ＝30.0mm、全高Ｈ＝19.0mmであつた。また、
ピルフアープルーフ裾部２２の内面に形成されて
いる係止フラツプ片３４の各々において、厚さｔ
＝0.35mm、第１の部分４０の下縁５０の長さl₁＝
1.9mm、第２の部分４２の下縁５２の長さl₂＝2.0
mm、傾斜角度α＝50度、傾斜角度β＝10度、傾斜
角度γ＝30度、傾斜角度δ₁＝20度、傾斜角度δ₂＝
45度、第１の部分４０の上縁４６は半径0.5mmの
円弧、第２の部分４２の上縁４８は実質上水平、
であつた。 かような容器蓋本体を、第４図に図示する通り
の形態で呼称28mmである、ガラス製容器の口頚部
５４に装着し、この際の必要回転トルク、即ち必
要下降回転トルクを測定した。また、口頚部５４
に装着した容器蓋を強制的に口頚部５４から離脱
し、この際の必要回転トルク、即ち必要上昇回転
トルクを測定した。その結果は下記第１表の通り
であつた。 〔比較実験例〕 比較のために、ピルフアープルーフ裾部２２の
内面に形成されている係止フラツプ片３４の各々
や第３図に２点鎖線で示す通りの形態（即ち、第
２の部分４２が第１の部分４０に対して折曲せし
められておらず第１の部分４０と一直線状に延び
る形態）である点を除き、実験例と同様な容器蓋
本体を10個成形した。 そして、実験例と同様にして、必要下降回転ト
ルク及び必要上昇回転トルクを測定した。その結
果は下記第１表の通りであつた。

〔発明の効果〕

本発明に従つて構成されたピルフアープルーフ
特性を有する合成樹脂製容器蓋においては、容器
の口頚部に容器蓋を装着する際に、弱化ラインに
過剰な応力が生成されて弱化ラインが破断されて
しまうことが確実に回避される。また、容器の口
頚部から容器蓋を離脱せしめる際には、破断ライ
ンが所期通りに破断されることなく容器の口頚部
から容器蓋が離脱されることが確実に回避され、
かくしてピルフアープルーフ特性が毀損されるこ
となく確保される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に従つて改良された容器蓋の
一実施例を、一部を断面で示す側面図。第２図
は、第１図の容器蓋における係止フラツプ片を示
す部分斜視図。第３図は、第１図の容器蓋におけ
る係止フラツプ片を示す部分底面図。第４図は、
第１図の容器蓋を容器の口頚部に装着して口頚部
を閉塞した状態を、一部断面で示す側面図。 ２…容器蓋、４…天面壁、６…スカート壁、１
８…弱化ライン、２０…スカート壁の主部、２２
…ピルフアープルーフ裾部、３０…雌螺条、３４
…係止フラツプ片、３８…折曲片、４０…係止フ
ラツプ片の第１の部分、４２…係止フラツプ片の
第２の部分、５４…口頚部、５６…雄螺条、５８
…係止あご部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外周面に雄螺条と該雄螺条の下方に位置する
   係止あご部とが形成されている口頚部を備えた容
   器のための、ピルフアープルーフ特性を有する合
   成樹脂製容器蓋であつて、天面壁と、該天面壁の
   周縁から垂下する筒状スカート壁とを具備し、該
   スカート壁には周方向に延びる弱化ラインが形成
   されていて、該スカート壁は該弱化ラインよりも
   上方の主部と該弱化ラインよりも下方のピルフア
   ープルーフ裾部とに区画されており、該主部の内
   面には該口頚部の該雄螺条に螺合せしめられる雌
   螺条が形成され、該ピルフアープルーフ裾部の内
   面には半径方向内方に突出する複数個の係止フラ
   ツプ片が周方向に間隔を置いて形成されている容
   器蓋において； 該係止フラツプ片の各々は、該ピルフアープル
   ーフ裾部の内面から延びる第１の部分と、該第１
   の部分に対して、該口頚部に容器蓋を装着する際
   の容器蓋の閉回転方向に傾斜して、該第１の部分
   の先端から更に延びる第２の部分とを有し、該第
   １の部分と該第２の部分との間の折曲線は、下方
   に向つて該ピルフアープルーフ裾部の内面から離
   れる方向に５度≦γ≦80度である傾斜角度γをな
   して傾斜して延びる、ことを特徴とする容器蓋。 ２ 該傾斜角度γは10度≦γ≦60度である、特許
   請求の範囲第１項記載の容器蓋。 ３ 該傾斜角度γは20度≦γ≦50度である、特許
   請求の範囲第２項記載の容器蓋。 ４ 該第１の部分は該閉回転方向に対して逆方向
   に傾斜して該ピルフアープルーフ裾部の内面から
   延びる、特許請求の範囲第１項から第３項までの
   いずれかに記載の容器蓋。 ５ 該ピルフアープルーフ裾部の内面に対する該
   第１の部分の傾斜角度αは５度≦α≦85度であ
   る、特許請求の範囲第４項記載の容器蓋。 ６ 該傾斜角度αは20度≦α≦80度である、特許
   請求の範囲第５項記載の容器蓋。 ７ 該傾斜角度αは30度≦α≦70度である、特許
   請求の範囲第６項記載の容器蓋。 ８ 該第１の部分に対する該第２の部分の傾斜角
   度βは０度＜β≦90度である、特許請求の範囲第
   １項から第７項までのいずれかに記載の容器蓋。 ９ 該傾斜角度βは０度＜β≦70度である、特許
   請求の範囲第８項記載の容器蓋。 １０ 該傾斜角度βは５度≦β≦45度である、特
   許請求の範囲第９項記載の容器蓋。 １１ 該第１の部分の上縁は半径方向内方に向つ
   て下方に傾斜して延び、該第２の部分の上縁は略
   水平に延びる、特許請求の範囲第１項から第１０
   項までのいずれかに記載の容器蓋。 １２ 該第１の部分の上縁は滑らかな曲線であ
   る、特許請求の範囲第１１項記載の容器蓋。 １３ 該第１の部分の下縁及び該第２の部分の下
   縁は半径方向内方に向つて上方に傾斜して延び
   る、特許請求の範囲第１項から第１２項までのい
   ずれかに記載の容器蓋。