JPH0441618A - 高炭素冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

高炭素冷延鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH0441618A
JPH0441618A JP14723390A JP14723390A JPH0441618A JP H0441618 A JPH0441618 A JP H0441618A JP 14723390 A JP14723390 A JP 14723390A JP 14723390 A JP14723390 A JP 14723390A JP H0441618 A JPH0441618 A JP H0441618A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot
rolled
cooling zone
less
cold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14723390A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Fukui
清 福井
Atsuki Okamoto
篤樹 岡本
Nozomi Komatsubara
小松原 望
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP14723390A priority Critical patent/JPH0441618A/ja
Publication of JPH0441618A publication Critical patent/JPH0441618A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野〉 この発明は、均一な形状、特性を有し、かつ比較的軟質
で良好な加工性を示す高炭素冷延鋼板を工業的に安定し
て製造する方法に関するものである。
〈従来技術とその課題〉 一般に、量産性が重視される高炭素鋼板であっても形状
、特性の均一性確保が重要な要件となっていることは言
うまでもなく、このため、熱延段階において仕上温度と
巻取温度が熱延板の長手方向位置によらず一定になるよ
うに、ホントランテーブル上での冷却(以降“ホットラ
ン冷却″と称す)を制御・管理することが広く行われて
きた。
そして、冷延板を得るに当っては、上記冷却管理を行っ
た熱延板に必要により熱延板焼鈍を実施してから冷間圧
延を施し、更に球状化焼鈍を施して鋼板の強度を低減さ
せ加工性を向上することが図られていた。
ところが、鋼板の材質が低炭素鋼である場合には上記ホ
ットラン冷却の制御・管理による均一特性の確保は比較
的容易であるものの、高炭素鋼の場合には熱延板過程で
金属組織が層状パーライトであるため、第1図で示した
ように、仕上温度と巻取温度がほぼ一定に保たれている
にもかかわらず板材長手方向の特性値(例えば硬さ)に
変動が住じがちであると言う問題があった。なお、上記
第1図からは、材質に最も影響を及ぼすとされてきた“
巻取温度”が板材長手方向におい−て均一であるにもか
かわらず特性の均一性が達成されていないことも明らか
であるが、このように、高炭素鋼では、従来の管理方法
が均一特性を有した鋼板の安定した製造に十分結び付い
ていないことが分かる。
そして、熱延板段階において上述のような特性値の不均
一が生しるとその後の冷間圧延では圧延中の荷重変動が
大きくなり、また最終製品たる冷延板の長手方向におい
て機械的特性のバラツキが生じるなど、製造条件や品質
の管理に問題が生じる恐れがあった。このため、例えば
特公昭551970号公報、特公昭55−1971号公
報或いは特公昭57−53418号公報に見られるよう
に、冷間圧延前にも連続焼鈍や高温域での短時間箱焼鈍
を実施するなど、熱延板段階での組織均一化のために作
業性や熱経済の点からは好ましくない加熱工程を取り入
れることも提案されている。
また、一般に高炭素鋼板はその硬度が高いため、冷間圧
延に際して例えば60%以上と言った高い圧下率を加え
ると鋼板側端部の割れ(以降“耳割れ”と称す)が生じ
ることから、圧下率は低炭素鋼板の製造時に比べ低く制
限せざるを得なかった。
従って、冷間圧延及び焼鈍の回数が増大する結果となる
ので、製造工程の合理化と言った観点からも高炭素冷延
鋼板製造手段の改善が求められていた。
このようなことから、本発明が目的としたのは、“形状
や特性が均一でかつ良好な加工性を示す高炭素冷延鋼板
を”安定した作業条件の下でコスト安く量産し得る手段
を確立することであった。
く課題を解決するための手段〉 そこで、本発明者等は上記目的を達成すべく様々な観点
からの研究を重ねた結果、次のような知見を得ることが
できた。
即ち、高炭素鋼の熱延工程で特性のバラツキが生じる原
因は熱延後の巻取が終わった後でもパーライト変態が進
行することにあり、このように巻取後にも変態が進行す
ると“巻取の前後における熱延板の冷却速度の大幅な変
化”や“熱延板の位置による冷却速度の差”等によって
生成するパーライトの特性に変化が生じて熱延板特性の
均一性が損なわれる。ところが、高炭素鋼の熱延板を製
造するに際し、第2図で示すようにホットランテーブル
を加速冷却ゾーン(圧延機側)と空冷ゾーン(巻取り機
側)とに2分割し、仕上圧延が終了した銅帯を“冷却ゾ
ーンの長さ”、“通板速度“、“化学成分”で決まる特
定の温度以下にまで加速冷却してやると、短時間の加速
冷却の間にパーライト変態の大部分が進行してしまい続
く僅かな空冷によって該変態が完全に完了してしまうの
で、それから巻取を行えば、微細なパーライト組織を有
した極めて特性の均一な熱延板が長い処理時間(長いホ
ットランテーブル)を要することなく安定して得られる
ようになる。
ここで本発明者は、一つの試験として、高炭素鋼熱延板
製造用ホットランテーブルを、第2図に示す如く、上手
側(圧延機側)を加速冷却ゾーン。
下手側(巻取機側)を空冷ゾーンの2分割とし、仕上圧
延後に種々の加速冷却停止温度(以降“中間温度(T+
++)”と称す)まで加速冷却した後に空冷して巻取る
設備を設計すると共に、加速冷却時の冷却速度を変化さ
せた時の“ホットランテーブル上での鋼板の温度変化”
と“変態率の変化”を材質予測モデルで推定した。その
結果を、それぞれ第3図と第4図に示したが、これらの
図中における片仮名符号はそれぞれ別の試験例を示して
おり、該符号は第3図と第4図とで対応している。
まず、第3図からは、鋼板温度は変態が開始した後で変
態潜熱により上昇し、変態が完了した後再び低下する道
程をたどるが、中間温度が成る一定の範囲にあるときは
巻取温度がほぼ一定になることが分かる。ところが、第
4図から明らかなように、この場合、巻取時における変
態率はおおよそ50〜90%程度の範囲で変化しており
、変態が完全に終わっていないことが分かる。
このように、巻取時に変態が完全に終わっていないと巻
取後に変態が進行することとなるが、その場合には前述
の如く冷却速度が巻取前後で大幅に変化するために生成
するパーライトの量も変化し、また熱延板の位置による
冷却速度の差の影響も受けることとなって同様にパーラ
イトの特性が変化するなど、均一特性の熱延板を製造す
る上での悪影響が極めて大きい。
しかしながら、第3図と第4図の検討から明らかなよう
に、前記“中間温度”を低下させると変態の完了は短時
間側に移行する傾向となる。つまり、上記第3図及び第
4図は「任意の高炭素鋼熱延板の製造条件に対し、空冷
期間をも考慮すると巻取時に変態を完了させることがで
きる成る臨界の中間温度Tm”が存在する」ことを窺わ
せるものであり、従って「中間温度が上記Tm”以下に
なるように加速冷却条件を制御すれば巻取時に変態を完
了させることができて、特性の均一な高炭素鋼熱延板の
製造が可能となる」ことが推測される。
ところで、前記Tm”は加速冷却ゾーンの長さ(1,+
 ) 、空冷ゾーンの長さ(L2)、通板速度(び)の
影響を受けると考えられるため、これらの影響を調査し
たところ、Tm’と加速冷却時間(1+)、空冷時間(
t2)との間には規則的な関係があり、加速冷却時間(
1+)及び空冷時間(t2)によって7.11を推定で
きることが判明した。そして、これらの結果を整理して
次式の関係が導き出された。
Tm”  =4.Ot+ +5.67h + 556そ
こで、−ホットランテーブルを加速冷却ゾーンと空冷ゾ
ーンの2分割とした設備の寸法と通板速度を基に上記式
よりTm”を算出し、高炭素鋼素材を仕上圧延した後の
冷却過程における中間温度Tl+1(加速冷却停止温度
)が上記Tm”値以下となるように冷却条件を制御して
加速冷却及び空冷を施し巻取を行ったところ、パーライ
ト変態が巻取直前までの短い時間の間に完全に完了し、
得られた熱延板は非常に均一な特性のものとなることが
確認された。
ところが、この検討の過程で、本発明者は前記Tm”が
合金元素によっても影響を受けがちであることをも認識
することとなり、Tm”に及ぼす合金元素の影響につい
ても詳細な調査を実施したところ、 a)  Tm”は素材鋼のC含有量(XC)が0.8%
以下(以降、成分割合を表わす%は重量%とする)では
該C含有量の減少に伴い低下するが、C含有量が048
%を超える場合には殆んど変化しない。
b)素材鋼のSi含有量(χSi)の増加に伴いTm”
が上昇する。
c)  Tm”はMnf7jB度(χMn)の増加に伴
い低下するとの事実が判明した。
従って、これらの結果をも整理して加味すると、Tl1
1″は次式によって一層的確に算出されることが明らか
となった。
Tm”=4.Ot+ +5.67tz +556+ΔT
、+ΔTsi+ΔTMnこのように、任意のレイアウト
に対しTm”を的確に求めることは可能であって、それ
に従えば特性の均一な高炭素鋼熱延板を安定に製造し得
るようになる。
しかも、本発明者等は、上記手段で得られた均−i細な
パーライト組織を有する高炭素熱延銅板は、その後の“
焼鈍ゝ或いは“冷延・焼鈍”においてセメンタイトの球
状化が非常に促進されて軟質で加工性の良い特性が備わ
ると共に、高炭素熱延鋼板が均一微細なパーライト組織
を有していると冷間圧延において生じる耳割れの発生が
著しく抑制されて圧延限界が80%程度までと大幅に上
昇する(緩和される)ことをも見出した。なお、この圧
延限界の上昇は“組m微細化による延性の向上が好影響
を及ぼすこと”によるものと考えられるが、この効果は
、中間温度に至るまでの加速冷却ゾーン(水冷帯)にお
ける熱延板の冷却速度が5’C/sec以上となって組
織中のセメンタイトラメラ間隔が安定して微細化された
ときに特に顕著化する。
そして、冷間圧延が高い圧下率で実施された場合には仕
上げ焼鈍での再結晶及び球状化が効果的に促進され、製
品の加工性を安定して向上させることが可能になること
も明らかになった。
本発明は、上記知見事項等に基づいてなされたものであ
り、 rc:0.40〜1.50%、   Si : 0.3
5%以下。
Mn : 1.00%以下、     P:0.030
%以下。
S : 0.030%以下、    u : o、os
%以下N : 0.001〜0.010% を含有するか、或いは更に Cr : 0.30%以下 をも含むと共に、残部がFe及び不可避的不純物から成
る綱を熱間圧延し、上手の加速冷却ゾーンと下手の空冷
ゾーンとに分割したホットランテーブル上の加速冷却ゾ
ーンにて式 %式% で与えられる臨界温度Tm”以下、或いは更にTm”=
4.Ot+ + 5.67tz + 556+ΔTc+
ΔT3、+ΔTMnで与えられる臨界温度Tm”以下で
あって、しかも550℃以上の温度域まで加速冷却した
後、引き続いて空冷ゾーンで空冷してパーライト変態を
完了させ巻取った熱延鋼板に、必要に応じて500℃〜
〔Ac1+30℃)の温度域で均熱する軟化焼鈍を施し
た後、圧下率:30〜80%の冷間圧延と均熱温度が[
Ac、点−70℃) 〜[AC+点+30℃〕の箱焼鈍
とを1回以上施すことにより、形状、特性が均一で、加
工性の良好な高炭素冷延鋼板を安定した作業性の下で量
産し得るようにした点」に特徴を有している。
〈作用) 上述のように、本発明では、まず熱延板の製造段階にて
、仕上圧延した高炭素鋼を加速冷却により “冷却ゾー
ンの長さ及び通板速度或いはこれと化学成分で決まると
ころの臨界温度Tll1*”以下の中間温度Tmまで冷
却し、続いて空冷を行うことによりパーライト変態を短
時間に終了させ、該パライト変態が完全に完了した後に
コイルに巻取るので、得られる熱延板はコイル内での金
属組織の変動が小さい非常に均一な特性を有することと
なる。そして、これを冷延圧延に付すと、非常に高い冷
延限界の下で効率的な圧延を実施することができる上、
続く焼鈍においてセメンタイトの球状化が著しく促進さ
れので、軟質で加工性の良い高炭素冷延鋼板の安定生産
が可能となる。
なお・本発明において、素材鋼の成分組成並びに冷延鋼
板の製造条件を前記の如くに限定・したのは次の理由に
よる。
A)素材鋼の成分組成 本発明では主組織がパーライトであるC含有量: 0.
40〜1.50%の高炭素鋼を適用対象としているが、
その理由は、素材鋼のC含有量が0.40%未満ではフ
ェライトの体積率が高いので本発明法によらずとも(従
来の製造方法でも)十分に均質で加工性の良好な製品が
得られ、一方、素材鋼のC含有量が1.50%を超える
ものは熱延板段階での硬度が高くて冷間圧延等の加工が
困難であり、また製品としての重要性も少ないことによ
るものであるうSi Si含有量が0.35%を超えると、フェライトが固溶
硬化する上、前記“Δ”rstの計算式”の適用が困難
な場合が生じることから、これらの弊害を抑制する目的
でSi含有量が0.35%以下の高炭素鋼を対象にする
ことと定めた。
Mn Mnについても、その含有量が1.00%を超えると製
品の硬度上昇と前記“ΔTMnの計算式”の通用が困難
となるような弊害を生じることから、Mn含有量を1.
00%以下と定めた。
Pは、オーステナイト粒界に偏析して高炭素鋼板の熱処
理後の靭性を大きく劣化させる元素である。そして、P
含有量が特に0.030%を超えた場合にこの傾向が著
しくなることから、P含を量の上限を0.030%と定
めた。
Sも、MnSを形成して高炭素鋼板の熱処理後の靭性を
大きく劣化させる元素であり、その含有量が特に0.0
30%を超えるとその弊害が顕著となることから、S含
有量は0.030%以下と定めた。
I Mには、窒化物(以降“AIN″と記す)を形成して熱
処理中のオーステナイト粒の粗大化を抑制する作用を有
しており、このオーステナイトの細粒化は熱処理後の高
炭素鋼板の靭性を大きく向上させる効果をもたらすが、
0.08%を超えて含有させることはコスト上昇や焼鈍
後のフェライトの固溶硬化につながることから、酊含有
量は0.08%以下と限定した。なお、AfN形成によ
る靭性改善効果を十分に確保するためには、A1含有量
を0.01%以上に調整するのが良い。
N含有量は八INの形成に対して大きな影響を及ぼし、
N量が低い場合にはAfNの形成量も少なくなって熱処
理中にオーステナイト粒の粗大化が起きる。このため、
0.001%以上のN含有量を確保する必要があるが、
0.010%を超えて含有させると材質の硬化が目立つ
ようになることから、N含有量は0.001〜0.04
0%と定めた。
Crには、熱延板段階の組織を微細化し、熱延板長手方
向の特性を均一化する作用がある。そして、前記組織の
微細化効果はその後の冷間圧延における圧下率の向上に
も寄与する。このため、必要に応じてCrの添加がなさ
れるが、その含有量が0.30%を超えるとセメンタイ
トの硬化をもたらし、冷延板の加工性を劣化させること
から、Cr含有量は0.30%以下と限定した。
B)仕上げ熱延後の冷却における中間温度本発明では、
仕上げ熱延後の熱延板をまずホットランテーブルの加速
冷却ゾーンで冷却するが、これは巻取り前にパーライト
変態を終了させることを目的としたものである。この加
速冷却ゾーン中の冷却速度は、通板速度、冷却ゾーンの
長さの制約からその下限を5℃/secとするのが良く
、また過度に冷却速度を増大させると板硬度が上昇して
冷間圧延性に弊害を与えることから、冷却速度の上限は
50°C/secとするのが望ましい。
ところで、加速冷却停止温度(中間温度Tm)が前記式
で算出されるTom”を超える場合には巻取りまでにパ
ーライト変態が完了せずに熱延板の特性値変動が増加す
ることとなり、一方、該中間温度を550℃未満にする
とベイナイト等の低温変態生成相が加速冷却中に出現し
て硬質な熱延板となり、冷間加工性が劣化する なお、鋼中のC量、Si量、 Mn量はパーライト変態
に影響を及ぼす因子であるため、パーライト変態の制御
をより安定確実に行う必要がある場合には、Tm”の算
出にC量、 Si量、 Mn量を考慮した前記第2の式
を適用するのが良い。
C)予備焼鈍条件 仕上げ熱延に続いて前記特定条件で冷却し、巻取った熱
延板は、その組織の均一化を狙ったものであるため硬度
が成る程度高くなっているが、これにより冷間圧延にお
ける圧延荷重が多少増大する。従って、荷重低減のため
に必要に応じて冷延前の予備焼鈍を実施するのが良い。
この時の焼鈍温度は、500℃未満であると極微細なセ
メンタイトの十分な粗大化がなされずに所望の軟化効果
を確保できず、一方、(−Ac、 +30℃〕の温度を
超えるとセメンタイトの過度の粗大化や粗大ラメラ−化
が起きて好ましくない。また、焼鈍は1〜24時間均熱
する箱焼鈍によるのが良い。
D)冷延圧延の圧下率 仕上げ焼鈍での再結晶及び球状化を促進することで製品
の加工性向上を図るためには、冷間圧延の圧下率を30
%以上とする必要があるが、80%を超える圧下率で圧
延すると耳割れを発生する恐れが住しる。従って、冷延
圧延の圧下率は30〜80%と定めた。
E)仕上げ焼鈍条件 仕上げ焼鈍の均熱温度が[Ac1 70℃〕の温度未満
では、微細なセメンタイトの十分な粗大化と組織の均一
性確保ができないので所望の加工性が得られず、一方、
〔Ac1”30℃〕超える温度に均熱するとセメンタイ
トの過度の粗大化や粗大ラメラ−化が生じることから、
仕上げ焼鈍の均熱温度を(Ac1 70℃) 〜rAc
+ +30℃〕の温度と定めた。なお、十分な焼鈍効果
を確保するために、1〜24時間均熱する箱焼鈍を実施
するものとする。
そして、このような冷延圧延・焼鈍を施した後の高炭素
冷延鋼板では球状化セメンタイトの平均粒径が0.3t
rm以上となり、C含有量の高い高炭素調板であるムこ
もかかわらず強度は引張強さで70kgf/−以下に抑
えられ、従来材に比べ軟質で良好な加工性を示すことと
なる。
ところで、微細なパーライト組織を確保する目的で相変
態を完了させた後に巻取った熱延鋼板を用い、これを冷
間圧延・焼鈍処理して冷延特殊鋼帯を製造する技術が特
公平1−25812号公報に記載されているが、この方
法ではホットランテーブルが加速冷却ゾーン、空冷ゾー
ンに分割されていないので、通板速度を上げるためには
冷却速度を極端に上げる必要がある。従って、得られる
熱延板は硬度が極めて高いものとなり、その後の冷間圧
延における限界冷圧率を極端に下げる結果となって安定
な作業が確保できないばかりか、焼鈍による十分な軟化
も達成できない。また、この方法で熱延板段階での完全
変態と熱延板硬度の低減を両立させようとすると通板速
度を抑える必要があり、生産性が阻害されることは言う
までもない。
これに対して、本発明では、上記相反する問題を解決す
るため、あえて熱延完了後の冷却工程を加速冷却ゾーン
、空冷ゾーンに分割し、変態の完了を加速冷却ゾーンで
、変態完了に伴う硬度の上昇抑制をそれに続く空冷ゾー
ンで行うものとし、その変態状況及び硬度上昇低減の最
適条件を中間温度Tmで制御した訳である。
しかも、本発明は、「加速冷却ゾーンでの加速冷却によ
ってバーラント組織が微細化され、その後の焼鈍或いは
冷間圧延・焼鈍においてセメンタイトの球状化が非常に
促進されると共に、上記微細化組織を有する熱延板では
冷間圧延において生じがちな耳割れが著しく抑制される
」との現象をも積極的に利用した点においても、前記特
公平l−25812号公報所載の発明とは技術思想を全
く異にするものである。
次いで、本発明の効果を実施例によって更に具体的に説
明する。
〈実施例〉 実施例 1 第2図に示す如き、加速冷却ゾーン(長さニア0m)と
空冷ゾーン(長さ:80m)とに2分割されたホットラ
ン冷却設備を準備し、仕上圧延機(1)で圧延した高炭
素鋼鋼帯(3)を加速冷却ゾーン(水冷ゾーンノで冷却
した後、空冷ゾーンを通過させ、続いて巻取機(2)で
巻取って熱延板とする試験を行った。なお、この時、ホ
ットランテーブル上の3ケ所に温度針を設置し、仕上温
度、中間温度2巻取温度を実測すると共に、巻取機(2
)直前に変態率計を設置して巻取直前の変態率を実測し
た。
試験は、圧延素材として第1表に示した供試綱A−Fの
名調を用いて実施した。
第5図は、第1表に示すB鋼を素材とし、C15t+ 
Mn量を加味して算出されたTIIIIが640℃とな
る条件で圧延した場合において、中間温度Tmを570
℃、620℃、660℃とした時の“前記3温度測定点
を含むホットランテーブル各部分での温度変化”と“巻
取り直前の変態率”の測定結果を示したものである。こ
れによると、中間温度が本発明の規定条件通りの570
℃、620℃に設定されたものでは巻取り直前の変態率
が100%となっているのに対して、中間温度が本発明
の規定条件から外れた660℃に設定されたものでは巻
取り直前の変態率が60%でしかなく、この場合には熱
延板長手方向での強度差が生じているものと推測される
そこで、この結果を踏まえて中間温度と変態率との関係
を把握すべく、第1表に示した6種の鋼を素材として熱
延し、各々530〜680℃の範囲内の7段階に中間温
度を設定して冷却した場合の、巻取り直前での変態率を
測定した。
この結果を第6図に整理して示したが、第6図からは次
のことがfi!認される。
即ち、熱延後の加速冷却停止温度(中間温度Tm)がC
,Si、 Mn量を加味して算出されたTm”を超えた
状態で冷却を行い巻取った場合には、鋼種によって程度
に差があるものの変態率は低下する傾向を示す(もっと
も、C量が低くて本発明の対象外である鋼Eでは、フェ
ライトの体積率が大きいことから中間温度がTm”を上
回っていても100%の変態率を示しており、C含有量
が低い鋼では従来法によっても格別な問題を生じないで
あろうことが窺える)。 しかし、何れの鋼種であって
も、中間温度をTm”以下に設定した場合には安定して
変態率が100%となることが明らかである。
このように、中間温度を低下させると変態率と100%
となるが、該中間温度を低くしすぎて例えば550℃を
下回る“530℃”に設定したような場合には、第7図
に示される如く、巻取り後の引張強度が130kgf/
−を上回るものも出るようになり、冷延性や打ち抜き性
等の加工性に弊害をもたらすことが懸念される。
ところで、第8図は前記中間温度を種々ムこ設定して得
られた熱延板に関する限界冷圧率の調査結果を示したグ
ラフであるが、この第8図からは、鋼種によって程度に
差があるものの、中間温度を本発明の規定条件内に設定
することにより冷間圧延に際しての冷圧限界が向上する
ことも確認できる。これは、変態率が向上したことによ
って綱板中の強度バラツキが抑えられた結果によるもの
と考えられる。
そこで、熱延板長手方向における強度バラツキの抑制効
果を確認すべく、中間温度を種々に設定して得られた熱
延板コイルの“中央部と外周部との引張強度差”を調査
し、その結果を整理して第9図に示した。なお、熱延板
コイルにおける引張強度の測定位置は第10図のa及び
bの位置とし、引張強度差は (a位置の引張強度)−(b位置の引張強度)で算出し
た。
上記第9図に示される結果からも、中間温度が丁m”を
超えると熱延板長手方向における強度差の増大を引き起
こすことが明らかである。
次に、得られた前記各熱延板を冷圧率:50%で冷間圧
延し、その後680℃で24時間の箱焼鈍を施して冷延
鋼板を製造したが、この冷延鋼板の引張強度測定結果を
前記中間温度で整理し、第11図に示した。
この第11図に示される結果からは、前記中間温度が本
発明の規定範囲内であると冷間圧延後の焼鈍でのセメン
タイトの球状化が非常に速やかになされ、軟質で加工性
の良好な冷延鋼板が得られるのに対して、中間温度が本
発明の規定範囲を外れて上昇したものでは、冷延・焼鈍
後の引張強度が上昇して加工性を悪化を引き起こすこと
が確認できる。
なお、第12図は、綱りを素材とした冷延鋼板における
セメンタイトの球状化状態を示した顕微鏡組織写真図で
あり、第12図(alは熱延時の前記中間温度が本発明
の規定条件を満たす600℃であったもの、そして第1
2開山)は該中間温度が本発明の規定条件を外れる68
0℃(Tm”を超えている)であったものの組織である
。この第12図からも分かるように、中間温度が600
℃のものではセメンタイトの粒径が大きく均一に球状化
されているのに対して、中間温度が680℃であったも
のでは熱延板でのラメラ−形状が残留しやすく、球状化
が不十分となっている。
実施炭−1 第2表に示す各画を素材として、実施例1におけると同
様の設備により熱延板を製造した後、これを冷間圧延し
く一部については予備焼鈍を施してから冷間圧延した)
、続いて球状化焼鈍(箱焼鈍)を施して冷延鋼板を得た
次に、得られた冷延鋼板の特性を調査し、その結果を製
造条件及び製造状況と共に第3表に示した。
この第3表からも、本発明で規定する条件に従えば、加
工性等の特性が良好な高炭素冷延鋼板を安定して製造で
きることが確認できる。
く効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、特性が均一で
良好な加工性を示す高炭素冷延鋼板を安定して量産する
ことが可能となるなど、産業上極めて有用な効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、高炭素鋼熱延板の長手方向に亥ける熱延仕上
温度2巻取温度、ビッカース硬さの変動例を示したグラ
フである。 第2図は、加速冷却ゾーンと空冷ゾーンとに2分割され
たホットラン冷却装置の概念図である。 第3図は、ホットランテーブル上での鋼板温度変化の測
定結果を示すグラフである。 第4図は、ホットランテーブル上での鋼板温度変化に対
応した変態率の変化を示すグラフである。 第5図は、実施例での特定鋼種についてのホットランテ
ーブル上での鋼板温度変化と巻取り直前の変態率との調
査結果を示したグラフである。 第6図は、実施例での各鋼種熱延板についての中間温度
(加速冷却停止温度)と変態率との関係を測定した結果
を示すグラフである。 第7図は、実施例での各鋼種熱延板についての中間温度
と巻取り・冷却後の引張強度との関係を測定した結果を
示すグラフである。 第8図は、実施例での各鋼種熱延板についての中間温度
と限界冷圧率との関係を測定した結果を示すグラフであ
る。 第9図は、実施例での各鋼種熱延板コイルについての中
間温度とコイル中心・外周の引張強度差との関係を測定
した結果を示すグラフである。 第10図は、熱延板コイルの引張強度測定位置を説明す
る概念図である。 第11図は、実施例での各鋼種についての中間温度と冷
延・焼鈍後の引張強度との関係を測定した結果を示すグ
ラフである。 第12図は、実施例で得られた冷延鋼板における球状化
状態を示した金属顕微鏡&g織写真図であり、第12図
(alは本発明に係るものの例を、そして第12図fb
)は比較例をそれぞれ示している。 図面において、 1・・・仕上圧延機、    2・・・巻取機。 3・・・鋼帯。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)重量割合にて C:0.40〜1.50%、Si:0.35%以下、M
    n:1.00%以下、P:0.030%以下、S:0.
    030%以下、Al:0.08%以下、N:0.001
    〜0.010% を含有するか、或いは更に Cr:0.30%以下 をも含むと共に、残部がFe及び不可避的不純物から成
    る鋼を熱間圧延し、上手の加速冷却ゾーンと下手の空冷
    ゾーンとに分割したホットランテーブル上の加速冷却ゾ
    ーンにて式 Tm^*=4.0t_1+5.67t_2+556但し
    、 t_1=60L_1/υ、t_2=60L_2/υ、L
    _1:加速冷却ゾーンの長さ(m)、 L_2:空冷ゾーンの長さ(m)、 υ:通板速度(m/min)、 で与えられる臨界温度Tm^*以下550℃以上の温度
    域まで加速冷却した後、引き続いて空冷ゾーンで空冷し
    てパーライト変態を完了させ巻取った熱延鋼板に、圧下
    率:30〜80%の冷間圧延と均熱温度が〔Ac_1点
    −70℃〕〜〔Ac_1点+30℃〕の箱焼鈍とを1回
    以上施すことを特徴とする、高炭素冷延鋼板の製造方法
  2. (2)重量割合にて C:0.40〜1.50%、Si:0.35%以下、M
    n:1.00%以下、P:0.030%以下、S:0.
    030%以下、Al:0.08%以下、N:0.001
    〜0.010% を含有するか、或いは更に Cr:0.30%以下 をも含むと共に、残部がFe及び不可避的不純物から成
    る鋼を熱間圧延し、上手の加速冷却ゾーンと下手の空冷
    ゾーンとに分割したホットランテーブル上の加速冷却ゾ
    ーンにて式 Tm^*=4.0t_1+5.67t_2+556+Δ
    T_c+ΔT_S_i+ΔT_M_n[但し、 t_1=60L_1/υ、t_2=60L_2/υ、L
    _1:加速冷却ゾーンの長さ(m)、 L_2:空冷ゾーンの長さ(m)、 υ:通板速度(m/min)、 ΔT_c=6.0(%C)−4.5{(%C)≦0.8
    }0{(XC)>0.8}、 ΔT_S_i=1.6(%Si)−0.32、ΔT_M
    _n=−43.7(%Mn)^2+40(%Mn)−9
    で与えられる臨界温度Tm^*以下550℃以上の温度
    域まで加速冷却した後、引き続いて空冷ゾーンで空冷し
    てパーライト変態を完了させ巻取った熱延鋼板に、圧下
    率:30〜80%の冷間圧延と均熱温度が〔Ac_1点
    −70℃〕〜〔Ac_1点+30℃〕の箱焼鈍とを1回
    以上施すことを特徴とする、高炭素冷延鋼板の製造方法
  3. (3)冷間圧延の前に500℃〜〔Ac_1+30℃〕
    の温度域に均熱する軟化焼鈍を施すことを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の高炭素冷延鋼板の製造方法。
JP14723390A 1990-06-07 1990-06-07 高炭素冷延鋼板の製造方法 Pending JPH0441618A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14723390A JPH0441618A (ja) 1990-06-07 1990-06-07 高炭素冷延鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14723390A JPH0441618A (ja) 1990-06-07 1990-06-07 高炭素冷延鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0441618A true JPH0441618A (ja) 1992-02-12

Family

ID=15425585

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14723390A Pending JPH0441618A (ja) 1990-06-07 1990-06-07 高炭素冷延鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0441618A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006307281A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Jfe Steel Kk 打抜き後の平坦度に優れる冷間圧延ままの薄鋼板およびその製造方法
JP2007031761A (ja) * 2005-07-26 2007-02-08 Jfe Steel Kk 打抜き加工性に優れた高炭素冷延鋼板の製造方法および高炭素冷延鋼板
JP2011012316A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Nippon Steel Corp 打抜き性に優れた軟質高炭素鋼板及びその製造方法
JP2011530659A (ja) * 2008-08-14 2011-12-22 ポスコ 高炭素熱延鋼板およびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006307281A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Jfe Steel Kk 打抜き後の平坦度に優れる冷間圧延ままの薄鋼板およびその製造方法
JP2007031761A (ja) * 2005-07-26 2007-02-08 Jfe Steel Kk 打抜き加工性に優れた高炭素冷延鋼板の製造方法および高炭素冷延鋼板
JP2011530659A (ja) * 2008-08-14 2011-12-22 ポスコ 高炭素熱延鋼板およびその製造方法
JP2011012316A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Nippon Steel Corp 打抜き性に優れた軟質高炭素鋼板及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100401272B1 (ko) 박강판 및 박강판의 제조방법
US4898629A (en) Method of producing hot rolled steel strip
JP3800902B2 (ja) 面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板およびその製造方法
JPS6114213B2 (ja)
JPH0441618A (ja) 高炭素冷延鋼板の製造方法
JP3644216B2 (ja) 高炭素熱延鋼板の製造方法
JP2002069534A (ja) 薄鋼板および薄鋼板の製造方法
JPH0718382A (ja) 深絞り性に優れた冷延鋼板の製造方法
JP3417587B2 (ja) 伸びフランジ成形性に優れた高強度熱延鋼板を高い歩留まりで製造する方法
JPS62192539A (ja) 高f値熱延鋼板の製造方法
JP2745922B2 (ja) 焼付硬化性に優れた非時効性深絞り用冷延鋼板とその製造方法
JP7368692B2 (ja) 中炭素鋼板の製造方法
JP7355994B2 (ja) 高炭素鋼板およびその製造方法
JP3596045B2 (ja) 成形性に優れる焼付硬化型冷延鋼板の製造方法
JPH07228921A (ja) 加工性に優れた表面処理鋼板用原板の製造方法
JP2000265214A (ja) 打抜き部品の平坦度に優れる冷間圧延まま鋼板の製造方法
JPH0617140A (ja) 深絞り用冷延鋼板の製造方法
JPH08269538A (ja) 伸びフランジ性にすぐれる熱延鋼板の製造方法
JPS6289813A (ja) 低降伏比高張力電縫鋼管用熱延鋼帯の製造方法
JPS61204325A (ja) 耐リジング性と強度−伸びバランスに優れる加工用アズロ−ルド薄鋼板の製造方法
KR100530079B1 (ko) 재질이방성이 적은 심가공용 열간압연 연강판의 제조방법
JPH01188627A (ja) 焼付硬化性およびプレス成形性に優れた冷延鋼板の製造方法
JP2000140905A (ja) 鋼帯長手方向の材質均一性が良い冷延鋼帯の製造方法
JPS62253733A (ja) 深絞り性に優れた薄鋼板の製造方法
JPH01188626A (ja) 焼付硬化性およびプレス成形性に優れた冷延鋼板の製造方法