JP2745922B2 - 焼付硬化性に優れた非時効性深絞り用冷延鋼板とその製造方法 - Google Patents

焼付硬化性に優れた非時効性深絞り用冷延鋼板とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融亜鉛メッキライン
のような過時効帯をもたない連続焼鈍ラインにおいても
容易に製造することができる焼付硬化性、深絞り性に優
れた常温非時効性で、引張強さ30 kgf/mm2 級の軟質
冷延鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用鋼板とくに外板に使用される冷
延鋼板に対しては、常温非時効性でかつ、プレス成形時
には良好な成形性、形状凍結性を有し、プレス成形後の
焼付塗装処理により降伏強度が上昇し、良好な耐デント
性を示す鋼板、すなわち焼付硬化性を有する鋼板が要求
されている。近年、車体軽量化による燃費向上を目的と
して、自動車用鋼板の高強度化が進められているが、成
形性の厳しい部位では高強度鋼板の使用が困難な場合が
あり、軟質で成形性に優れると同時に高い焼付硬化能を
有する鋼板が要求される。
【0003】上述した焼付硬化性を有する冷延鋼板ある
いはその製造方法に関しては、従来より種々提案されて
おり、とくに近年の製鋼脱ガス技術、連続焼鈍技術の進
歩により、C含有量を0.01%以下に下げた極低C鋼をベ
ースに炭化物形成元素であるNb等を添加した鋼板を連続
焼鈍することにより製造する技術が提案されている。即
ち、Nb添加鋼に関しては特公昭60−17004号公
報、V添加鋼に関しては特開昭62−83426号公
報、Nb−V複合添加鋼に関しては特公平2−1212号
公報にそれぞれ製造技術が開示されている。また特開昭
61−67721号公報では非時効性冷延鋼板の製造方
法としてNb−V複合添加鋼が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
技術には、種々の解決すべき問題点が残されている。Nb
単独添加鋼ではNbC が微細に析出するため再結晶温度が
高く、粒成長性が悪い。そのため、降伏強度が高くなり
やすい。さらにNbの添加量を制御することにより固溶C
を残存させるか、焼鈍時にNb炭化物を再固溶させること
により焼付硬化性を付与しているため、充分な焼付硬化
量を得難く、またC量、Nb量の微妙な成分変動による焼
付硬化量のバラツキも大きい。一方、充分な焼付硬化量
を得ようとすると、常温時効性、深絞り性、延性が劣化
する。ここで、焼付硬化量とは2%の予歪み付与後の1
70℃、20分の焼付相当処理による降伏強度の上昇分
であり、2%予歪みによる加工硬化量は含まれない。
【0005】前記した特開昭62−83426号公報に
開示されているようなV単独添加鋼では、極めて多量の
Vを添加しても優れた深絞り性を得ることができない。
また、十分な焼付硬化量も得られない。さらに、前記特
公平2−1212号公報のものは、C量が多いため多量
のNb,Vの添加を必要としており、それにもかかわらず
深絞り性、延性、常温非時効性いずれも満足のいくレベ
ルの特性が得られない。さらに過時効処理を必須とする
ため、過時効帯をもたない連続焼鈍ライン、例えば連続
溶融亜鉛メッキライン等で製造する場合には、焼鈍ある
いはメッキ後いったんコイルに巻取り、別途過時効処理
を施す必要がある。特開昭61−67721号公報のも
のにおいてもN量またはC量が多いため深絞り性が充分
に得られていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記のような従来技術に
おいては、常温非時効性で優れた焼付硬化性を有し、か
つ成形性の良好な冷延鋼板という近年の厳しい要求を満
足することは困難であって、本発明は、上記課題を解決
すべく鋭意研究を重ねた結果、極低炭素鋼にC量に対応
する適量のNbと微量のVを複合添加することにより、常
温非時効性で優れた焼付硬化性を有し、かつ良好な延
性、深絞り性を有する冷延鋼板を得ることができるこ
と、さらにこのような組成の鋼板に適切な条件で焼鈍お
よび調質圧延を施すことにより、より良好な特性が得ら
れることを見出し、本発明を完成したものであって、以
下の如くである。
【0007】(1) 重量%で、 C: 0.0015
〜0.0045%, Si:0.02%以下, Mn:0.10〜0.30%, P: 0.015%以下,
S:0.010 %以下、 sol.Al:0.02〜0.07%, N:0.0030%以下 を含有し、かつ、Nbを2.0 ≦ Nb/C ≦ 6.5を満たす範囲
内で含有するとともに、Vを 0.001〜0.030 %かつ 0.4 ≦(V/51)/〔{C-(12/93)Nb }/12 〕≦3.0 を満たす範囲内で含有し、残部Fe及び不可避的不純物よ
りなることを特徴とする焼付硬化性に優れた非時効性深
絞り用冷延鋼板。
【0008】(2) 重量%で、 C: 0.0015
〜0.0045%, Si:0.02%以下, Mn:0.10〜0.30%, P:0.015 %以下,
S:0.010 %以下、 sol.Al:0.02〜0.07%, N:0.0030%以下 を含有し、かつ、Nbを2.0 ≦ Nb/C ≦ 6.5を満たす範囲
内で含有するとともに、Vを 0.001〜0.030 %かつ 0.4 ≦(V/51)/〔{C-(12/93)Nb }/12 〕≦3.0 を満たす範囲内で含有し、残部Fe及び不可避的不純物よ
りなる鋼を、熱間圧延し600〜750 ℃の温度で巻取り、
70%以上の冷圧率で冷間圧延した後、均熱温度Taが 785 + C×104 ≦ Ta ≦845 +C ×104 を満たす温度で連続焼鈍し、その後の冷却過程におい
て、均熱温度から少なくとも700℃までを10℃/s
以上の平均冷却速度で冷却し、さらに伸長率λ(%)が 0.3 + 250× C*≦λ≦ 1.3+250 ×C * ただし C *= C**+{C-(12/93)Nb }(C**≦(12/93)Nb) = C (C**>(12/93)Nb) C**=(7.5×10-7×Ta-6.0×10-4)/Nb Ta :焼鈍均熱温度(℃) を満たす範囲内の調質圧延を施すことを特徴とする焼付
硬化性に優れた非時効性深絞り用冷延鋼板の製造方法。
【0009】
【作用】上記した本発明の詳細を実験結果に基づき以下
に説明すると、本発明者らは、Nb添加鋼、V添加鋼の長
所、短所を詳細に検討した結果、両鋼の特徴を以下のよ
うに考えた。Nb添加鋼はNbC が微細に析出するため、降
伏強度が高い。これを回避するためには、析出物を粗大
化させれば良い。また、NbC はVCに比べ固溶温度が高
いため、高BHと高r値を両立することが困難である
が、これを達成させるためには固溶温度を下げることが
重要である。一方、V添加鋼は多量にVを添加しても完
全にCを析出固定できないため、r値が低い。r値を向
上させるために析出を促進させれば良い。そこで、Nb−
V複合添加により(Nb,V)Cという複合炭化物が析出
し、析出、溶解が促進され、各々の短所を補い合えると
の結論に到達した。
【0010】即ち、図1は、C:0.0025〜0.0030%のNb
添加鋼、V添加鋼、Nb−V複合添加鋼についての各冷延
鋼板を830℃で連続焼鈍したときの材料特性を比較し
て示したものであるが、Nb添加鋼、V添加鋼ともに前述
のような欠点を有しているが、Nb−V複合添加鋼は極微
量のV添加により、材料特性が向上し優れた特性バラン
スを有している。すなわち、降伏強度が低く、高r値、
高BHというNb、Vの単独添加鋼では発揮できない特性
を示している。これは、Nb−Vの複合添加鋼では、NbC
を核としてV炭化物が析出することにより析出が促進さ
れ、析出物が凝集粗大化し、さらに焼鈍時にV炭化物の
溶解が進むことにより、NbC の溶解も促進されることに
よるものと考えられる。
【0011】しかし、単にNbとVを複合添加しただけで
はこのような優れた特性が発揮されず、図2に示すよう
にC量を0.0045%以下の極低C域にまで低減することが
上記した各特性を共に向上する上において極めて重要で
ある。本発明はこのような知見に基づいて完成したもの
である。
【0012】上記した本発明の成分限定理由について説
明すると以下の如くである。 :本発明の主目的である焼付硬化性は固溶Cによる転
位の固着現象を利用したものであるため、Cは必須元素
である。このCが0.0015%未満の場合、Nb量、V量とく
にV量の僅かな成分変動により材料特性が大きく変動
し、安定して良好な焼付硬化性を得ることが困難とな
る。このためC量は0.0015%以上とする。一方、C含有
量が多くなると、図2にも示したように焼付硬化性は大
きくなるが常温時効性も大きくなり、同時に深絞り性も
劣化し、本発明の目的に反する。Cが0.0045%を越える
と、このような常温時効性、深絞り性の劣化を防止する
ためには、炭化物形成元素であるNb,Vの極めて多量の
添加を必要とし、これらの析出物の量が増え再結晶温度
を上昇させるとともに粒成長性を劣化させる。その結
果、やはり深絞り性、延性を劣化させることになる。さ
らに、Nb,Vの多量の添加はコスト上昇を招き経済的に
も好ましくない。これらの理由からして、本発明ではC
量を0.0015〜0.0045%に限定する。
【0013】:Sは熱間脆性を引き起こす有害な元素
であり、また延性、深絞り性をも劣化させるため、その
含有量は低いほど好ましい。そのため、Sは0.010 %以
下に限定する。
【0014】:NはCに比べ常温時効性を劣化させる
程度が大きいため、極力低くすることが望ましい。本発
明においては焼付硬化性は固溶Cのみにより付与し、常
温時効性に対し有害な固溶NはAlによりAlN として析出
固定する。NbおよびVも窒化物形成元素であるが、炭化
物形成傾向のほうが強いため、炭化物形成後さらに過剰
のNb,Vがある場合のみ窒化物を形成する。本発明のNb
添加量はCを全量析出固定する量よりも少ないため、Nb
ではNを固定できない。V添加量によりNの一部をVN
として析出固定し得るが、基本的にはほとんどのNはAl
によりAlN として析出固定させる。Nが0.0030%を越え
ると熱延段階で完全にAlN として析出固定させることが
困難となり、固溶Nが残ることにより常温時効性さらに
は深絞り性が劣化する。このため、Nの上限を0.0030%
に限定した。
【0015】sol.Al:NをAlN として析出固溶するため
には0.02%以上のAlの添加が必要である。一方、0.07%
を越える過剰の添加を行なうと、酸化物が増えることに
より深絞り性、延性が劣化する。従って、このsol.Al量
を0.02〜0.07%に限定する。
【0016】Si, P:Si,Pは、いずれもその添加量が
増えると鋼板を硬質化させ降伏強度の上昇をもたらすと
同時に、深絞り性、延性を劣化させる。このような悪影
響を回避するため、Siは0.02%以下、Pは0.015 %以下
に限定した。
【0017】Mn:Mnは熱間脆性の原因となるSをMnS と
して析出固定し無害化させるために添加するものであ
り、そのためには0.10%以上の添加を必要とする。一
方、0.30%を越えると鋼板を硬質化させ降伏強度の上昇
をもたらす。そのため、Mn添加量は0.10〜0.30%に限定
する。
【0018】Nb:Nbは本発明にとって最も重要な元素で
あり、高r値、高BHを両立させるための必須元素であ
る。このNbはCの一部を析出固定するために添加するも
ので、その添加量はC量との関係で限定される。図3は
C:0.0023%,V:0.006 %でNb: 0.004〜0.020 %の
5水準及びC:0.0036%,V:0.011 %でNb: 0.004〜
0.025 %の5水準の鋼板のr値とBHをNb/Cとの関係
で示した図である。この図より明らかなように、Nb/C
<2.0 (原子濃度比でほぼ0.25未満に相当)ではr値が
低く、Nb/C>6.5ではBHが低下してしまう。このた
め、Nb量はNb/Cで 2.0〜6.5 に限定する。
【0019】:Vは前述のNbとともに本発明において
最も重要な元素であり、Nbで固定しきれないCの一部ま
たはすべてを析出固定する。そのため、V量は化学量論
的にNbで固定されないC量すなわち{C-(12/93)Nb }と
の関係で定まる。図4はBH,r値,常温時効性(38
℃×2カ月間の促進時効処理後の降伏点伸びの回復)に
対する{C-(12/93)Nb }量、V量の影響を示した図であ
る。供試鋼はNb:0.010%で一定でC量が0.0018, 0.002
4, 0.0030,0.0038, 0.0043%の5水準の各々に対しV
を 0.001〜0.032 %まで種々変化させた冷延鋼板を83
0℃で連続焼鈍したものである。同図より明らかなよう
に、V添加量が多すぎる場合にはBHが低下し、少なす
ぎる場合にはr値が低下し、常温時効性が問題となる。
V添加量が0.001〜0.030 %かつ0.4 ≦(V/51)/〔{C-
(12/93)Nb }/12 〕≦3.0 のときにのみr値、BH, 常
温非時効性のすべてを良好に保つことができる。これら
のことから上記のようにその添加量を限定した。
【0020】本発明における鋼板は、鋼組成を上記範囲
に調整した上で、常法に従い製造することができる。し
かし、さらに良好な特性とするためには、熱延巻取温
度、冷圧率、連続焼鈍条件、調質圧延条件を以下のよう
に規制することが有効である。即ち、上記組成に調整さ
れたスラブは常法に従い熱間圧延され、巻取られる。ス
ラブ加熱温度、仕上温度についてはとくに限定しない
が、以下のような温度条件で実施することが好ましい。
【0021】スラブ加熱温度は、オーステナイト粒の微
細化を通じてフェライト粒を微細化し、深絞り性の向上
を図るためには低いほうが好ましいが、低くなり過ぎる
と仕上温度をAr3 変態点以上とすることが困難となるた
め、1050〜1250℃とすることが好ましい。また、仕上温
度がAr3 変態点よりも低下すると深絞り性が劣化するた
め、仕上温度はAr3 変態点以上とすることが好ましい。
【0022】巻取温度は、600〜750℃とする。熱
延巻取段階でNをAlN として完全に析出固定させるとと
もに、AlN の凝集粗大化を図り、焼鈍時の粒成長性を向
上させるために、巻取温度は600℃以上とする。しか
し、巻取温度が高くなり過ぎると、熱延板組織が粗粒化
し、また酸洗性が著しく劣化するため、750℃以下と
する。
【0023】その後、酸洗し冷間圧延を行うが、冷圧率
は深絞り性の向上をはかるために70%以上とする。引
き続き行う焼鈍は連続焼鈍で行う。バッチ焼鈍では徐加
熱、徐冷の熱サイクルとなるため、VおよびNbの炭化物
の再固溶、再析出を制御することが困難であり、焼付硬
化性の変動、低下を招く。このため、急速加熱、急速冷
却が可能な連続焼鈍ラインまたは亜鉛メッキやAlメッキ
等の連続溶融メッキラインで連続焼鈍を行う。この連続
焼鈍では、鋼中炭化物の一部を再固溶させ焼付硬化性を
付与することに加え、深絞り性、延性の向上を図るため
には高温の均熱が望ましい。
【0024】一方、均熱温度が高くなり過ぎると、焼付
硬化性はさらに良好となるが、NbCの再固溶量が増え常
温時効性も大きくなる。さらに本発明鋼は不純物が少な
く、Nb単独添加鋼における微細なNbC に比べ炭化物が比
較的大きく粒成長性が良好なため、結晶粒が大きくなり
過ぎて、成形時に肌荒れが発生する可能性がある。すな
わち、連続焼鈍時の均熱温度には最適範囲が存在する。
【0025】図5にC量、焼鈍温度と材料特性との関係
を調査した結果を示すが、次の表1に示す5種類の組成
のスラブを加熱温度1150℃,仕上げ温度900℃,巻取
温度680℃で熱延し、冷延により0.7 mm(冷圧率78
%)の板厚とし、795〜890℃の種々の温度で連続
焼鈍した後、1.3 %の伸長率で調質圧延を施し、r値、
2%BHを調査した。さらに、各鋼板から3個ずつブラ
ンクを採取し張り出し成形を行い、肌荒れ発生状況を確
認した。
【0026】
【表1】
【0027】図5に示した結果から明らかなように、C
量に応じた適切な温度範囲で焼鈍することにより、肌荒
れの発生もなく、r値、BHともに良好な鋼板を得るこ
とができる。このような最適温度範囲は、本来、炭化物
の量とサイズにより定まるものと考えられるが、図5の
結果と以下に示す理由により、焼鈍温度範囲をC量に応
じて定まる下記数式1により規定した。 785 + C×104 ≦ Ta ≦845 + C×104 (数式1) Ta:焼鈍均熱温度(℃) C:C量(%)
【0028】本発明においては前述のようにC量に応じ
てNb量を規定し、C,Nb量に応じてV量を規定している
ため、炭化物の量とC量とは概ね比例する。また、C量
が少ない場合には析出開始温度が低下するため炭化物の
サイズも比較的小さくなり、逆にC量が多い場合にはサ
イズも相対的に大きくなり易い。すなわち、上記の焼鈍
温度の限定は、炭化物の量が少なくサイズも小さいとき
は比較的低温で、炭化物の量が多くサイズも大きいとき
は相対的に高温で焼鈍することを示している。なお、さ
らに付け加えるならば、実際の製造時には炭化物の量と
サイズを調べることは容易ではないため、C量により焼
鈍温度を定めることは合理的であるといえる。均熱時間
については、十分な再結晶、粒成長および炭化物の再固
溶を起こさせ、かつ生産性を低下させないようにするた
めには10秒以上、3分以下とすることが好ましい。
【0029】さらに、均熱温度から少なくとも700℃
までの平均冷却速度を10℃/sec以上とする。10℃
/sec 未満の平均冷却速度の場合には、700℃以上の
高温域において固溶Cの一部が再析出しやすくなり、焼
付硬化性の低下をもたらす。室温まで冷却する途中の7
00℃未満の温度域においても冷却速度は速いほうが好
ましいが、とくに限定するものではない。また、過時効
処理はとくに必要ないが、過時効処理を行っても材料特
性が劣化するということはない。また、その後、調質圧
延を行うが、調質圧延の伸長率λ(%)を適切な範囲に
制御することが望ましい。適切な条件で調質圧延を施す
ことにより、常温時効を抑制することが可能となる。し
かし、必要以上に高い伸長率で調質圧延を行うと、著し
く降伏強度が上昇し延性が低下する。そのため、調質圧
延はNb,Vで固定されていない固溶C量(再固溶分も含
む)に応じて、適性範囲内の伸長率で実施することが重
要となる。
【0030】図6に焼鈍温度と固溶C量の関係を調査し
た結果を示す。C:0.0040%,Nb:0.023 %,V:0.01
0 %の鋼組成の冷延鋼板を810〜890℃の種々の温
度で焼鈍後急冷(WQ処理)し、内部摩擦法により固溶
C量を測定した。図6の縦軸は、実測固溶C量からNbで
固定されていた以外のC量(もともとの固溶CおよびV
で固定されていたC)を差し引いた値(C**と標記)
であり、図6はこのC**とNb量との積が焼鈍均熱温度
Taの一次関数で表されることを示している。これは、本
発明の最適焼鈍温度範囲ではV炭化物の殆んどすべてが
再固溶しており、焼鈍温度が高くなるとともにNb炭化物
の再固溶も増えること、さらに100℃以下の狭い温度
範囲であれば再固溶量が焼鈍温度にほぼ比例することを
示している。他の成分バランスでも同様な調査を行い、
内部摩擦測定法の測定精度を考慮すれば、 (固溶C)−{C-(12/93)Nb }=C** =(7.5×10-7×Ta-6.0×10-4)/Nb で、ほぼ近似できること、さらにC,Nb量と焼鈍温度の
関係によってはCのほぼ全量が再固溶している場合もあ
ることなどが明らかとなった。
【0031】そこで固溶C量と調質圧延の最適伸長率の
関係を調べるため、C:0.0017%,V:0.004 %, Nb:
0.004 %および0.011 %の2鋼種とC:0.0034%, V:
0.013 %, Nb:0.011 %および0.018 %の2鋼種の計4
水準の鋼を溶製して実験を行った。他の成分はS: 0.0
04〜0.005%, N:0.0020〜0.0025%, Si:0.01%,M
n:0.16%, P:0.010 %、sol.Al: 0.030〜0.035 %
である。スラブ加熱温度1200℃, 仕上温度890℃, 巻
取温度640℃で熱延し、冷延により0.8 mm(冷圧率7
5%)の板厚とし、前2鋼種は810℃で後の2鋼種は
830℃で連続焼鈍した後、 0.2〜2.6 %の種々の伸長
率で調質圧延を施し、機械特性、2%BHを調査した。
さらに調質圧延後の鋼板に38℃で2カ月間の促進時効
処理を施した後、引張試験を行い機械特性を測定し、常
温時効性を調査した。これらの鋼板は、いずれも、BH
≧4 kgf/mm2 を示したが、伸長率により降伏点伸び、
降伏強度及び時効処理後の降伏点伸びの回復挙動が異な
っていた。
【0032】図7にこれらの結果を示すが、同図より明
らかなように、 0.3 + 250× C*≦λ≦ 1.3+250 × C* ただし C *= C**+{C-(12/93)Nb }(C**≦(12/93)Nb) = C (C**>(12/93)Nb) C**=(7.5×10-7×Ta-6.0×10-4)/Nb Ta :焼鈍均熱温度(℃) とすることにより、確実に降伏点伸びを消去し、かつ時
効劣化を防止するとともに、降伏強度の上昇を抑制する
ことができる。すなわち、伸長率λを上記範囲に限定す
ることにより、良好な焼付硬化性と常温非時効性を有
し、良好な成形性を有する鋼板とすることができる。
【0033】なお、本発明が対象とする冷延鋼板は、電
気亜鉛メッキ、溶融亜鉛メッキおよび合金化溶融亜鉛メ
ッキ等の表面処理鋼板の素材となる鋼板をも含むもので
ある。
【0034】本発明の実施例について説明すると、以下
の如くである。 〔実施例1〕次の表2に示す鋼組成の鋼をスラブ加熱温
度1200℃、仕上温度890℃、巻取温度680℃の条件
で3.6 mmの板厚に熱間圧延し、酸洗後0.8 mm(冷圧率7
7.8%)の板厚に冷間圧延した。
【0035】
【表2】
【0036】これらの冷延鋼板を830℃の均熱温度で
連続焼鈍(均熱温度から700℃までの平均冷却速度:
20℃/sec )し、伸長率1.3 %の調質圧延を施した
後、機械特性値、r値、BHを測定した。また、38℃
で2カ月間の促進時効処理を施した後、引張試験を行い
機械特性を測定し、常温時効性を調査した。これらの測
定結果を次の表3に示した。なお、BHは2%予歪み後
170℃×20min の熱処理を行い、熱処理前後での降
伏強度の上昇量で評価した。すなわち、BHには予歪み
による加工硬化量は含まれていない。また、本発明鋼の
冷延コイルを分割し、分割コイルを溶融亜鉛メッキライ
ンに通板(均熱温度、伸長率は同様、目付量45/4
5、合金化溶融亜鉛メッキ処理)し、同様に材料特性を
評価したが、ほぼ同等の特性が得られた。
【0037】
【表3】
【0038】〔実施例2〕前記表2に示した鋼番6、
7、17のスラブを加熱温度1150℃,仕上温度900
℃,巻取温度640℃の条件で熱間圧延し、酸洗後0.7
mm(冷圧率78.1%)に冷間圧延した。その後、次の表4
に示す条件で連続焼鈍(均熱温度から700℃までの平
均冷却速度:20℃/sec )、調質圧延し、機械特性
値、r値、BHを測定した。また、張出し成形を行い、
肌荒れの発生状況を調査した。さらに、これらの鋼板を
38℃で2カ月間の促進時効処理を施した後、引張試験
を行い機械特性を測定し、常温時効性を調査した。これ
らの測定結果を次の表4に併せて示した。
【0039】
【表4】
【0040】〔実施例3〕表5に示す鋼番20、21の
スラブを加熱温度1250℃、仕上温度900℃、巻取
温度700℃の条件で熱間圧延し、酸洗後、0.7mm(冷圧
率80.6%)に冷間圧延した。その後、それぞれ、表6お
よび表7に示す条件で連続焼鈍(均熱温度から700℃
までの平均冷却速度:10℃/sec)、調質圧延し、機械
特性、r値、BH、肌荒れ発生の有無、38℃×2ヵ月
間の時効処理後の機械特性を測定した。これらの測定結
果を表6および表7に併せて示した。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるとき
は、焼付硬化性、深絞り性に優れた常温非時効性で、引
張強さ30 kgf/mm2 級軟質冷延鋼板を提供してめっき
その他の表面処理用などに広く採用せしめ、近時の成形
性の厳しい部位における鋼板の採用を可能となし、しか
も斯かる鋼板を過時効帯を有しない連続焼鈍ラインにお
いても容易に製造し得るなどの効果を有しており、工業
的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nb添加鋼,V添加鋼およびNb−V複合添加鋼の
材料特性を比較して示した図表である。
【図2】Nb−V添加鋼の材料特性に対するCの影響を示
した図表である。
【図3】Nb/Cとr値、BHの関係を示した図表であ
る。
【図4】BH,r値,常温時効性に対する{C-(12/93)N
b }量、V量の影響を示した図表である。
【図5】BH,r値,肌荒れ発生に対する焼鈍均熱温
度、C量の影響を示した図表である。
【図6】焼鈍均熱温度と固溶C量の関係を示した図表で
ある。
【図7】調質圧延後の降伏点伸び、降伏強度、常温時効
性に対するC量、調質圧延の伸長率λの影響を示した図
表である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C: 0.0015 〜0.0045%,
    Si:0.02%以下, Mn:0.10〜0.30%, P: 0.015%以下,
    S:0.010 %以下、 sol.Al:0.02〜0.07%, N:0.0030%以下 を含有し、かつ、Nbを2.0 ≦ Nb/C ≦ 6.5を満たす範囲
    内で含有するとともに、Vを 0.001〜0.030 %かつ 0.4 ≦(V/51)/〔{C-(12/93)Nb }/12 〕≦3.0 を満たす範囲内で含有し、残部Fe及び不可避的不純物よ
    りなることを特徴とする焼付硬化性に優れた非時効性深
    絞り用冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C: 0.0015 〜0.0045%,
    Si:0.02%以下, Mn:0.10〜0.30%, P:0.015 %以下,
    S:0.010 %以下、 sol.Al:0.02〜0.07%, N:0.0030%以下 を含有し、かつ、Nbを2.0 ≦ Nb/C ≦ 6.5を満たす範囲
    内で含有するとともに、Vを 0.001〜0.030 %かつ 0.4 ≦(V/51)/〔{C-(12/93)Nb }/12 〕≦3.0 を満たす範囲内で含有し、残部Fe及び不可避的不純物よ
    りなる鋼を、熱間圧延し600〜750 ℃の温度で巻取り、
    70%以上の冷圧率で冷間圧延した後、均熱温度Taが 785 + C×104 ≦ Ta ≦845 + C×104 を満たす温度で連続焼鈍し、その後の冷却過程におい
    て、均熱温度から少なくとも700℃までを10℃/s
    以上の平均冷却速度で冷却し、さらに伸長率λ(%)が 0.3 + 250× C*≦λ≦ 1.3+250 ×C * ただし C *= C**+{C-(12/93)Nb }(C**≦(12/93)Nb) = C (C**>(12/93)Nb) C**=(7.5×10-7×Ta-6.0×10-4)/Nb Ta :焼鈍均熱温度(℃) を満たす範囲内の調質圧延を施すことを特徴とする焼付
    硬化性に優れた非時効性深絞り用冷延鋼板の製造方法。
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