JPH0756050B2 - 連続焼鈍による非時効・高焼付硬化・プレス加工用高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

連続焼鈍による非時効・高焼付硬化・プレス加工用高強度冷延鋼板の製造方法

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JPH0756050B2
JPH0756050B2 JP1136667A JP13666789A JPH0756050B2 JP H0756050 B2 JPH0756050 B2 JP H0756050B2 JP 1136667 A JP1136667 A JP 1136667A JP 13666789 A JP13666789 A JP 13666789A JP H0756050 B2 JPH0756050 B2 JP H0756050B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、製鋼での真空脱ガスによる脱炭や、高価なN
b,Tiなどの元素を使用しないで、非時効で高焼付硬化性
(以下、BH(Bake Hardenability)と略称する)を有
し、かつプレス加工性に優れたリン添加高強度冷延鋼板
を連続焼純にて製造する方法に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、自動車の軽量化や耐デント性向上のために、引張
強度が従来の30kgf/mm2前後の軟質冷延鋼板から35〜40k
gf/mm2級の高強度冷延鋼板が用いられるようになってき
た。
この際、鋼板として具備すべき重要な特性には、強度の
みならず、良好なプレス加工性(低降伏強度、高値、
高El)とBH性を維持しつつ耐歪時効特性を有することで
ある。
さて、従来の自動車外板用高強度鋼板の製造方法には、
i)リン添加Alキルド鋼板を箱焼鈍によって製造する方
法、ii)TiやNbを含有する極低炭素鋼板にリンを添加し
た鋼を素材として連続焼純法にて製造する方法がある。
しかし、上記i)の鋼板は、歪時効による材質劣化はな
くプレス成形性も良好であるが、BH性に乏しい欠点と箱
焼純に起因する欠点を有する。また、ii)は製造コスト
が高価になり、かつ非時効であるもののBH性が付与され
難い欠点を有する。
本発明は、このような課題を解決し、自動車用材料とし
て好ましい特性を有する高強度冷延鋼板の製造方法を提
供するものである。
リン添加Alキルド鋼を素材にして、連続焼鈍にて高強度
冷延鋼板を製造する方法に関して、従来から多くの試み
がある。特開昭60-190525号公報記載の発明は、35〜45k
gf/mm2級のリン添加高強度鋼板の製造方法に関するもの
で、非時効に必須となる過時効中の固溶Cの低減を、特
にリンを含有する鋼板ではセメントタイトの析出がリン
によって阻害されやすい観点に立ち再結晶焼鈍後ある温
度(T)まで急冷し、続いてその温度で10〜60秒間保定
し、結晶粒内に存在するMnS上にセメントタイトを核生
成させその後再加熱とそれに続く徐冷の過程(過時効処
理)でセメンタイトを成長させることにより達成してい
る。
しかし、本発明者らが詳細に検討した結果、i)セメン
トタイトを結晶粒内に核生成させるために急冷終点温度
(T)で保定する効果はあるもののその効果は10秒未満
の保定で充分であり、またii)10秒以上の保定は工業的
には長すぎるため実際の連続焼鈍ラインには容易に適用
し難く、設備が大型になる、ということが判明した。ま
た、上記公開公報の実施例において使用している鋼は、
実際にはMnを0.13〜0.33%、Alを0.033〜0.046%含有し
ている。しかし、本発明者らの検討結果によれば、上記
Mn,Al量の範囲においては、製品は硬質気味となり、ま
た深絞り性の指標である値も低いことが判明した。特
公昭60-46165号公報記載の発明も、連続焼鈍における冷
却方法と過時効条件を制御することによりBH性を付与し
つつ耐歪時効性を有する35〜45kgf/mm2級の高強度冷延
鋼板の製造方法に係わるものである。しかし、本発明者
らが詳細に検討した結果、上記発明は次の2つの基本的
な問題を有する。すなわち、i)上記発明に従って製造
される鋼板はCを0.045〜0.150%含有するため強度のわ
りには、降伏強度が高く、伸びが低く、また値も低
い。したがって、プレス成形性に劣る。ii)一方、プレ
ス成形性が本発明が対象とするような更に優れたレベル
の鋼板においては、C量を0.02%以下まで低減する必要
がある。しかし、このような低Cの領域においては、上
記公報に記載されているような過時効処理(過冷却と再
加熱処理がない過時効)では、必要な過時効時間が長く
かかり過ぎ現実的でなくなり、到底耐歪時効特性を付与
し得ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、従来技術のこのような欠点を克服し低炭素Al
キルド鋼を素材にして、高焼付硬化能を有しつつ、非時
効で、プレス成形性に優れた高強度冷延鋼板を製造する
方法を提供することを目的とするものである。即ち、本
発明により、35〜40kgf/mm2級の強度を保ちつつ焼付硬
化性として3kgf/mm2以上を有し、耐歪時効性として、ス
キンパス後100℃×1時間の人工時効をしても降伏点伸
びが0.2%以下となる高強度冷延鋼板が得られる。ま
た、プレス成形性として、降伏点強度YPが22kgf/mm2
下、伸びElが40%以上、値が1.6以上のプレス加工用
高強度冷延鋼板が得られる。このような、従来にない優
れた特性の高強度冷延鋼板の製造が、本発明によれば連
続焼鈍によって可能となる。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の要旨とするところは、重量%でC:0.01〜0.02
%、Si:0.5%以下、Mn:0.03〜0.13%、P:0.025〜0.10
%、S:0.015%以下、Al:0.04〜0.10%、N:0.0025%以
下、残部は不可避不純物以外はFeから成る低炭素Alキル
ド鋼スラブを、次式を満たす温度(ST) 950℃≦ST≦7Mn/S+1050℃ に均熱して、仕上げ温度がAr3温度以上で熱間圧延し、6
30℃以上で巻き取り、続いて冷延・連続焼鈍を行うにあ
たり、焼鈍・均熱を750〜880℃、30秒〜2分とし、その
後650℃以上の温度から、50℃/s以上の冷却速度で200〜
300℃の範囲の温度(TE)まで急冷し、TEで0〜10秒間
保定したのち、ひき続き300〜370℃の間の温度(TR)ま
で10℃/s以上で再加熱し、次いで250〜300℃の間の温度
(TF)まで冷却することにより、30秒以上の過時効処理
を行うことを特徴とする連続焼鈍による非時効・高焼付
硬化・プレス加工用高強度冷延鋼板の製造方法にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
連続焼鈍のように、短時間の焼鈍においても製品板の加
工性と耐歪時効性を確保するためには、新知見に立脚し
た以下の基本的な考え方に従う必要がある。即ち、優れ
た加工性は、i)充分な粒成長と、ii)深絞り性に好ま
しい{111}再結晶集合組織の形成によって達成され、
そのためには、Pが0.025〜0.10%添加された鋼の場合
には、最適な(C,Mn),(Al,N)量の組み合わせと、熱
延の低温加熱が必須となる。一方、BH性を付与しつつ耐
歪時刻性を達成するためには、比較的短時間の過時効処
理の後に固溶Cを2〜6ppmの狭い範囲に制御することが
必須であり、これは、セメンタイトの結晶粒内での核生
成・成長の速度論に立脚した最適なヒートサイクルによ
って達成がはじめて可能となる。
本発明について、さらに詳細に説明する。
化学成分を限定する理由は次の通りである。
Cは、0.01%以上、0.02%以下でなければならない。C
が0.02%超となると、製品が硬質化し、また値も劣化
する。これは、Cが0.02%超の鋼では、i)セメンタイ
トの体積分率が高くなり硬質化し、また値も劣化す
る。ii)さらに、Cが0.02%超となると、たとえMn量が
0.13%以下となっても、深絞り性を阻害するMn-C複合体
が多量に焼鈍中に存在するため、{111}集合組織が発
達せず、細粒となるため値も劣化し、硬質化する。一
方、0.01%未満のCは、耐歪時効性を劣化させるので好
ましくない。
Siは、鋼板の強度を向上させるが、反面表面性状を劣化
させることから、外装パネル用には、その上限値を0.5
%とする。
Mnは、熱間脆化対策として0.03%を下限とする。また、
0.13%超となると、たとえCが0.02%以下であってもMn
-C複合体の濃度が高くなり、値が劣化し、また硬質化
する。さらに、0.13%以下の低Mnの場合には、過時効時
に粒内のセメンタイトの核として重要なMnSの数が0.13
%超の材料と比較し、著しく増加するので、低Mn化は過
時効時に結晶粒内のセメンタイトの核生成を促進するの
で非時効化にもきわめて有利である。
Pは、35〜40kgf/mm2の強度を確保するために、0.025〜
0.10%が必須である。0.025%未満のP量では、本発明
鋼のように他の元素が少量にコントロールされた高純度
鋼では、強度を35kgf/mm2級以上に保つことが困難とな
る。また、0.10%超のP量となると、強度が40kgf/mm2
をかなり超え、かつ溶接性や二次加工性、表面処理性も
劣化するので好ましくない。
Sは、低Mn鋼の熱間脆化対策を防止する点から上限を0.
015%とする。
Al量、N量のバランスも加工性の確保の点からきわめて
重要である。すなわち、AlNは粒成長性を阻害するの
で、全N量を減らすことにより析出するAlNの量を少な
くするか、冷延前にできるだけ粗大化し無害化しておく
ことが好ましい。N量が0.0025%超では、AlNの量が多
くなり過ぎ、焼鈍板の結晶粒径が細かくなり硬質化す
る。また、Al量が0.04%未満では、冷延前にAlNを充分
析出させ固定・無害化することが困難となり硬質化を来
す。一方、Al量が0.10%を超えると、熱延加熱時にAlN
は充分析出粗大化するが、コスト上昇を招く。
以上の化学成分範囲に調整された溶鋼をスラブとなし、
熱間圧延−巻き取り−冷間圧延−連続焼鈍−調質圧延の
工程を経て製品となす。熱間圧延条件は、本発明におい
てきわめて重要である。まず、スラブを次式で定めた温
度(ST)に均熱したのち熱間圧延する。
950℃≦ST≦7Mn/S+1050℃ (1) 圧延仕上げ温度はAr3点以上とし、熱延板の巻き取りは6
30℃以上とする。
スラブ加熱温度を上記のように限定する理由は以下の通
りである。本発明鋼は、高強度冷延鋼板の加工性(低Y
P、高値)を向上させる目的で従来鋼と比較して、低M
nの鋼となっている。このような場合に問題となるの
が、熱延板端部に発生する耳割れである。本発明者らが
詳細に検討した結果、上記(1)式で示される低温のス
ラブ加熱が耳割れ防止にきわめて有効であることがはじ
めて判明した。したがって、スラブ加熱温度の上限は、
(1)式で示されている如くに制御する必要があり、そ
れを超えると耳割れが発生する。一方、下限は熱間圧延
ミルに依存するが、仕上げ温度をAr3点以上に確保でき
る最低の温度であり、本発明では950℃とする。耳割れ
発生限界が(1)式のように決定された理由は次のよう
に考える。すなわち、高温加熱するとMnSの溶解度積が
小さくなるためMnはSを充分固定することが不可能とな
り、その結果Mnによって固定されないSがオーステナイ
ト粒界に偏析し、局所的にS濃度が著しく高くなり、Fe
(Sが多量に固溶した溶鋼)→ γFe+FeS(S) (2) なる共晶反応が988℃で生じ、その温度より高温ではγ
粒界に液膜が形成され液膜脆化に基づく欠陥が生じる。
また、(1)式で示されるような低温スラブ加熱なら
ば、本発明鋼のような高Alを含有する鋼の場合には、Al
Nが低温加熱中にMnSを核にして析出するという新知見も
得た。そして、このような複合析出物は、従来から考え
られている単独に析出するAlNより充分サイズが大きい
ため、焼鈍時に粒成長を阻害しない。したがって、焼鈍
板の加工性を向上させる効果も同時に有する。
巻き取り温度は、630℃未満となると、i)熱延板でのA
lN析出・粗大化が不十分となり、かつ、ii)熱延板での
セメントタイトが微細分散するので、焼鈍板の値が低
下し、さらに硬質化もする。したがって、巻き取り温度
は、630℃以上でなければならない。
連続焼鈍の条件は、このような新しい成分系の鋼板に、
プレス成形性を具備しつつBH性を付与し、かつ耐歪時効
性とするために、きわめて重要となる。連続焼鈍の焼鈍
・均熱条件は、750〜880℃、30秒〜2分である。上記条
件より低温すぎたり短時間すぎたりすると充分鋼板が焼
鈍されないので、加工性が劣化する。一方、880℃超の
高温焼鈍は、焼鈍中にオーステナイト分率が高くなりす
ぎ値が劣化し、また工業的にも通板性やコストの面で
問題となるので好ましくない。
また、均熱時間が2分超となると通板速度が著しく低下
し、生産性がきわめて悪くなる問題が生じる。また、上
記焼鈍から50℃/s以上の冷却速度で急冷を開始する温度
は、過飽和の固溶Cを確保するために650℃以上が必要
となる。なぜならば、650℃未満の温度から急冷を開始
しても過飽和固溶Cが確保できず耐歪時効性に劣るから
である。冷却速度が50℃/s以上必要となる理由も同様で
ある。これらの条件により、Cの過飽和度が充分維持さ
れ結晶粒内に充分の密度のセメンタイトが析出し得る。
急冷の終点温度およびその温度での保定は、粒内セメン
タイトの密度、そして結果的には固溶C量を決定する重
要な因子であり、本発明の特徴でもあるので検討結果を
用いて詳細に説明する。
第1表に示す本発明の標準的試料を用いて、耐歪時効性
とBH性におよぼす急冷終点温度での保定時間の影響を調
査した。標準的な連続焼鈍ヒートサイクルと得られた特
性値を第1図に示す。
耐歪時効性は、1.5%調質圧延した材料を100℃×60分の
人工歪時効に供したのち引張試験を実施して降伏点伸び
て評価した。そして、降伏点伸びが0.2%以下であれば
耐歪時効性が確保されることが軟質冷延鋼板において良
く知られている。このことは、25〜40kgf/mm2高強度冷
延鋼板においても同様であることを別途明らかにしてい
る。
さて、第1図から明らかなように、耐歪時効性を確保
し、BH性を付与するためには、急冷終点温度(TE)での
保定の効果は著しいが、保定時間(tE)が0〜10秒あれ
ば充分である。このような保定の効果は、結晶粒内にセ
メンタイトを核生成させる役割を有する。また、この効
果は、数秒の保定で飽和し、それ以上保定してもそれほ
ど効果的でない。また工業的にも、10秒超の保定をとる
ことは炉の設備が大きくなり設備費が増大したり、また
ラインスピードが低下して生産性が劣るので好ましくな
い。したがって、保定時間は0〜10秒とする。
保定後、鋼板は再加熱されるが、再加熱速度が10℃/s未
満では、炉の設備が大きくなり過ぎ、工業的には成立し
難い。
次に再加熱温度(TR)であるが、TRが300℃未満であれ
ば、折角結晶粒内にセメンタイトの核が形成されても、
Cの拡散が充分でないためセメンタイトが成長できな
い。また、370℃超になるとCの拡散は充分速くなりセ
メンタイトは成長できるが、再加熱温度幅が大きくなり
過ぎ、製造コスト、設備コストが増大する欠点を有す
る。したがって、上限を370℃とする。
次いで、過時効の終点温度(TF)であるが、TFが250℃
未満となると過時効時間が短い場合には、残存固溶Cが
多くなり過ぎ耐歪時効性でなくなる。一方、過時効時間
が充分長い場合には、固溶Cが減少しすぎて、BH性が付
与できなくなる。また、TFが300℃超となると残存固溶
Cが多過ぎ、耐歪時効性でなくなる。また、過時効時間
が30秒未満では、本発明のような小規模の過冷却と再加
熱、さらに傾斜過時効の技術をもってしても耐歪時効性
が得られない。
〔実施例1〕 第2表に示す化学成分を有する鋼を転炉にて出鋼し、連
続鋳造にてスラブとした後、1050〜1100℃に加熱し、仕
上げ温度が880〜920℃、板厚が4.0mmとなるように熱延
を行い、続いてランアウトテーブル上での平均冷却速度
が20℃/sとなる冷却を行い、その後700〜720℃で巻き取
った。酸洗後0.8mmまで冷延を行い、続いて実験室的に
連続焼鈍を実施した。
連続焼鈍条件は、焼鈍温度:800℃、均熱:50s、最初の徐
冷速度:700℃まで7℃/s、急冷速度:150〜300℃まで100
℃/s、過冷条件:150〜300℃で4秒保定、再加熱速度:80
℃/s、傾斜条件:(再加熱温度(TR)=350℃、傾斜終
了温度(TF)=270℃、時間=150秒直線的な傾斜)、TF
からは水冷、とした。その後1%の調質圧延を加えて、
試験に供した。
引張試験は、JIS Z 2201、5号試験片を用い、同Z 2241
記載の方法に従って行った。値は、15%引張ひずみで
求めた面内平均である。時効性に関しては、まず100℃
×60分の人工時効後のYP-Elを測定した。BH性は、2%
の引張予ひずみ後、170℃×20分の塗装焼付相当の熱処
理を加え再引張試験をし、熱処理後の降伏点強度から熱
処理前の変形応力を引いた値である。
試験結果を第2表に示す。本発明鋼は、鋼B,E,H,Iであ
り、耐歪時効で高い焼付硬化能を有しプレス成形性に優
れた35〜40kgf/mm2の高強度冷延鋼板である。一方、鋼
A,Kは、C量が低すぎるため本発明のような過時効処理
をもってしても耐歪時効性に劣る。さらに鋼KはAl量が
低すぎN量が多すぎるため、値が劣り、またN時効も
生じる。鋼C,Jは、Mn量が高すぎるため、値が低く、
かつYPが高い。さらに、鋼Jは鋼KよりC量が高いため
値がさらに劣化している。鋼Dは、Al量が低いため、
若干値に劣る。鋼Fは、C量が高すぎるため、硬質化
している。鋼Gは、N量が多すぎるため、硬質化しかつ
値も劣る。
〔実施例2〕 第3表に示す化学組成を有する鋼を転炉にて出鋼し、連
続鋳造にてスラブとした後、1060℃に加熱し仕上げ温度
が895℃、板厚が4.0mmとなる熱延を行い、続いてランア
ウトテーブル上で平均冷却速度が20℃/sの冷却を行い、
その後700℃で巻き取った。酸洗後0.7mmまで冷却を行
い、続いて実験室的に第2図に示す連続焼鈍を実施し
た。その後、1%の調質圧延を加えて、試験に供した。
引張試験は、JIS Z 2201、5号試験片を用い、同Z 2241
記載の方法に従って行った。本実施例においては、特に
冷却速度(β1)と冷却終点温度(TE)が、耐歪時効特
性とBH性におよぼす影響について示す。ここで、耐歪時
効時性に関しては、調質圧延材に100℃×60分の人工促
進時効を施してからYP-Elを測定することにより評価し
た。一方、BH性の評価方法は、実施例1と同様であり、
2%の引張予ひずみ後、170℃×20分塗装焼付相当の熱
処理を加えて再び引張試験をし、熱処理後の降伏点強度
から熱処理前の変形応力を引いた値である。試験結果を
第3図、第4図に示す。第3図から明らかなように、過
時効時間を工業的に問題の生じない150秒に限定する
と、終点温度が250℃の場合には、耐歪時効特性(YP-El
≦0.2%)を達成するためには、β1が50℃/s以上の急冷
となる必要がある。さらに、β1が50℃/s以上でもBHは3
kgf/mm2以上付与される。次に、TEの影響を第4図に示
す。これは、β1が100℃/sの場合である。第4図から明
らかなように、YP-El≦0.2%でかつBH≧3kgf/mm2を満足
するためには、TEは200℃以上かつ300℃以下とする必要
がある。また、TEが200℃未満となると、粒内の炭化物
数が多くなりすぎ、降伏強度も22kgf/mm2以上となり硬
質化する。一方、TEが300℃超となると、非時効でなく
なる。
〔実施例3〕 真空溶解した重量%で、C:0.016%、Si:0.01%、Mn:0.0
2〜0.25%、P:0.07%、S:0.007%、Al:0.066%、N:0.00
2%の成分からなるMn/Sが3〜36の範囲で変化したリン
添加低酸素Alキルド相当鋼を、1050〜1250℃の範囲で1
時間均熱したのち、熱間圧延を行い、室温まで空冷し
た。仕上げ温度は910℃以上であり、最終板厚は4.0mmで
ある。熱延板の端部に発生した耳割れ状況を詳細に調査
した。第5図には、耳割れが熱延加熱温度,Mn/S比によ
っていかに影響されるかを示す。図から明らかなよう
に、熱延加熱温度(ST)が、 ST≦7Mn/S+1050℃ を満たせば、Mnが低下しても耳割れを回避できる。
〔発明の効果〕 本発明によれば、製鋼に負担をかけず経済的に非時効・
高焼付硬化能を有するプレス加工用の高強度冷延鋼板を
連続焼鈍を用いて製造することができる。その結果、連
続焼鈍の長所、たとえば材質の均一性、高生産性、省力
・省エネルギー、短納期などを亨受でき、経済的効果は
極めて大きい。
また、本発明における連続焼鈍は、冷延鋼板のみなら
ず、溶融ZnメッキやAlメッキなど種々の表面処理鋼板を
製造するプロセスにもその効果が発揮されるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は、急冷終点温度における保定の影響をし
らべるために用いた連続焼鈍サイクルであり、同図
(b)は、そのBHおよびYP-Elにおよぼす効果を示す図
である。第2図は、冷却速度(β1)および急冷終点温
度(TE)の影響をしらべるために用いた連続焼鈍サイク
ルであり、第3図、第4図は各々β1およびTEのBHおよ
びYP-Elにおよぼす効果を示す図である。第5図は、熱
延板の耳割れ発生状況とMn/S比および熱延加熱温度との
関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC:0.01〜0.02%、Si:0.5%以下、
    Mn:0.03〜0.13%、P:0.025〜0.10%、S:0.015%以下、A
    l:0.04〜0.10%、N:0.0025%以下、残部は不可避不純物
    以外はFeから成る低炭素Alキルド鋼スラブを、次式を満
    たす温度(ST) 950℃≦ST≦7Mn/S+1050℃ に均熱して、仕上げ温度がAr3温度以上で熱間圧延し、6
    30℃以上で巻き取り、続いて冷延・連続焼鈍を行うにあ
    たり、焼鈍・均熱を750〜880℃、30秒〜2分とし、その
    後650℃以上の温度から、50℃/s以上の冷却速度で200〜
    300℃の範囲の温度(TE)まで急冷し、TEで0〜10秒間
    保定したのち、ひき続き300〜370℃の間の温度(TR)ま
    で10℃/s以上で再加熱し、次いで250〜300℃の間の温度
    (TF)まで冷却することにより、30秒以上の過時効処理
    を行うことを特徴とする連続焼鈍による非時効・高焼付
    硬化・プレス加工用高強度冷延鋼板の製造方法。
JP1136667A 1989-05-30 1989-05-30 連続焼鈍による非時効・高焼付硬化・プレス加工用高強度冷延鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JPH0756050B2 (ja)

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