JPH0441282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は磁気式ロータリエンコーダに係わり、
特に磁気抵抗素子を読み取りセンサとして用い
Ｓ／Ｎ比の高い出力信号が得られるアブソリユー
トタイプの磁気式ロータリエンコーダ（磁性回転
センサ）に関するものである。

〔発明の背景〕

一般に磁気式ロータリエンコーダは、例えば各
種のNC工作機械等に使用されるモータの回転数
および回転角度等を正確に測定する手段として多
く採用されている。そして、この磁気式ロータリ
エンコーダにはモータの回転数およびび回転角度
のみを計測するインクリメンタルタイプのエンコ
ーダと、これに加えてモータが起動し始める最初
の位置をも同時に計測することができるアブソリ
ユートタイプのエンコーダとがあり、本発明は後
者のアプソリユートタイプのエンコーダに関する
ものである。また、このアブソリユートタイプの
エンコーダには単に回転に応じてパルス信号を発
生させる手段のみを有するものと、これに加えて
１周に１回毎に別にパルス信号を発生させて基準
点を明らかにする手段を備えたものとの２種類が
あり、本発明は後者のタイプに関するもので、か
くこの方式を磁気式で実現させるものである。

第１図は近年発明者らによつて提案されている
（未公開）アブソリユートタイプの磁気式ロータ
リエンコーダの一例を示す構成図である。同図に
おいて、モータ１によつて駆動されるシヤフト２
に、周面に全周にわたつて一定のピツチで着磁さ
れた磁気パターンを有する磁気記録媒体３を備え
た磁気ドラム４が結合されている。また、回転体
ハウジングに固定された支持台５の上に基板６が
固定されている。そして、この基板６の表面上に
は薄膜状の磁気抵抗素７が形成され、前記磁気ド
ラム４の周面上の磁気記録媒体３と一定の間隔８
を隔てて対向している。

第２図ａ，ｂは第１図に示す磁気ドラム４の拡
大構成図、そのＡ−A′断面図である。同図に示
すようにモータ１（第１図参照）の回転数、回転
角度および回転駆動の基準点等を正確に計測する
ために磁気ドラム４の周面上に塗布形成された磁
気記録媒体３には、該主表面上にドラム軸方向と
同一方向のＳ−ＮまたはＮ−Ｓ磁極を周方向に連
続して長さおよび幅の異なる複数種の磁気パター
ンを着磁して４種類の磁気トラツク３ａ，３ｂ，
３ｃ，３ｄが形成されたアブソリユートトラツク
部３Ａおよびドラム軸と直交する方向の１個のＳ
−ＮまたはＮ−Ｓ磁極の磁気パターンを着磁して
基準点の磁極３ｅが形成された基準点トラツク部
３Ｂが設けられている。

このように磁気記録媒体３上に形成されたアブ
ソリユートトラツク部３Ａおよび基準点トラツク
部３Ｂは、例えばアブソリユートトラツク部３Ａ
においては第３図に平面図で示すようにＮ−Ｓ磁
極が着磁された磁気トラツク３ａ，３a′上に、感
磁部R₁、R₂およびR₈、R₄に安定電源Ｅを、接続
してなる磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗素子７
が対向配置され、磁気ドラム４を回転させること
により、磁気トラツク３ａ，３a′の着磁、非着磁
領域に対応して電圧の差動出力によるパルス信号
が出力端子７ａ，７ｂからそれぞれ得られる。

しかしながら、前述した磁気抵抗検出方法によ
ると、磁気記録媒体３上に形成されるアブソリユ
ートトラツク部３Ａおよび基準点トラツク部３Ｂ
の着磁構成では磁極着磁されていない非着磁領域
も差動出力検出のための信号として利用されるこ
とになる。この場合、着磁されないはずの非着磁
領域が何等かの原因により外部磁界により着磁さ
れ、第３図に点線の矢印で示すように不要磁極Ｐ
が形成されると、この領域の磁極（不要磁極Ｐ）
は磁気的な雑音となり、したがつて前述した差動
出力による磁気抵抗検出方法ではＳ／Ｎ比の高い
出力信号が得られないという問題があつた。ま
た、基準点トラツク部３Ｂにおいても比着磁領域
が長いため、その磁気的雑音の発生率は特に顕著
であつた。

〔発明の目的〕

したがつて本発明は、前述した問題点に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、
磁気記録媒体のアブソリユートラツク部および基
準点トラツク部において、磁気記録媒体に以前か
ら着磁されていた不特定の磁気的な雑音を除去
し、Ｓ／Ｎ比の高い出力信号が得られる磁気式ロ
ータリエンコーダを提供することにある。

〔発明の概要〕

このような目的を達成するために本発明は、磁
気記録媒体のアブソリユートトラツクク部には信
号用磁場と直交する方向の磁極を着磁するととも
に、基準点トラツク部には基準点の着磁方向とは
逆方向の磁極を着磁することによつて、前歴の影
響を除去したものである。

〔発明の実施例〕

次に図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明
する。

第４図は本発明による磁気式ロータリエンコー
ダに係わる磁気ドラムの一例を示す側面図であ
り、前述の図と同信号は同一要素となるのでその
説明は省略する。同図において、磁気記録楳体３
上に４本の磁気トラツク３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ
が形成されたアブソリユートトラツク部３Ａの周
面全面には、ドラム軸と直交する方向、つまり磁
気トラツク３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄの着磁方向と
直交する方向にＮ−Ｓ磁極１１が着極されてい
る。この場合、このＮ−Ｓ磁極１１の磁気の強さ
は信号用磁極よりも小さく、かつ個々の磁極の周
方向の長さは前述した磁気抵抗素子７の感磁部
R₁、R₂、R₃、R₄の周方向の長さの約1/2以下の
寸法で形成されている。また、この磁気記録楳体
３上の一部に基準点の磁極３ｅが形成された基準
点トラツク部３Ｂには、基準点の磁極３ｅの着磁
方向とは全く逆方向に着磁された磁極１２が形成
されている。この場合も前述と同様にこの磁極１
２の磁気の強さは信号用磁極としての基準点の磁
極３ｅより小さく、かつ個々の磁極の周方向の長
さが感磁部R₁、R₂、R₃、R₄の周方向の長さの約
１／２以下の寸法で形成されている。また、この場
合、前記磁極１１，１２は磁気トラツク３ａ〜３
ｂ、基準点の磁極３ｅを形成する以前に着磁され
る。

このような構成によれば、信号用磁極を着磁す
る以前に、磁気低控素子に感知しない方向に予め
磁極を着磁しておくことによつて、信号磁極着磁
前の不特定の磁極の前歴が皆無となり、したがつ
て磁気的雑音の極めて少ない高Ｓ／Ｎ比の出力信
号が得られる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、Ｓ／Ｎ比
の高い出力信号を確保することができるので、品
質および信頼性の高い基準点およびアブソリユー
ト信号付磁気式ロータリエンコーダの実用化が可
能となるという極めて優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は近年提案されている（未
公開）アブソリユートタイプの磁気式ロータリエ
ンコーダの一例を説明するための図、第４図は本
発明による磁気式ロータリエンコーダの一例を示
す磁気ドラムの要部側面図である。 １……モータ、２……シヤフト、３……磁気記
録媒体、３Ａ……アブソリユートトラツク部、３
Ｂ……基準点トラツク部、３ａ，３a′，３ｂ，３
ｃ，３ｄ……磁気トラツク、３ｅ……基準点の磁
極、４……磁気ドラム、５……支持台、６……基
板、７……磁気抵抗素子、７ａ，７ｂ……出力端
子、８１……間隔、１１，１２……磁極。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 磁気ドラムの周面上に形成された磁気記録媒
   体上に前記ドラム軸と同一方向に磁極を着磁して
   形成された信号用磁気トラツクを有するアプソリ
   ユートトラツク部と、前記ドラム軸の同一方向も
   しくは直交する方向に基準点となる磁極を着磁し
   て形成された基準点トラツク部とを具備してなる
   磁気式ロータリエンコーダにおいて、前記アブソ
   リユートトラツク部の前記磁気トラツクを除く非
   着磁領域には前記ドラム軸と直交する方向の磁極
   を着磁させるとともに、前記基準点トラツク部に
   は前記基準点磁極とは逆方向の磁極を着磁するこ
   とを特徴とした磁気式ロータリエンコーダ。 ２ 前記アブソリユートトラツク部に形成される
   ドラム軸と直交する方向の磁極および前記基準点
   トラツク部に形成される逆方向の磁極は、信号用
   磁極よりも磁気の強さを小さくかつ磁極の長さを
   磁気抵抗素子の感磁部の長さの1/2以下としたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の磁気
   式ロータリエンコーダ。