JPH0440910Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

産業上の利用分野 本考案は、優れた耐薬品性、耐候性、絶縁性、
離型性及び防湿性を有すると共に、層間接着性が
強固であつて、種々の産業資材、特に、工業用高
純度薬品、医薬品等の容器、建材、自動車分野等
の工業資材に対するオーバーレイ用フイルム及び
絶縁フイルム並びに離型用フイルム等として利用
するに適した合成樹脂積層体に関する。 従来技術 ポリフツ化ビニリデン系樹脂は、一般的に耐薬
品性、耐候性、絶縁性、離型性及び耐摩耗性に優
れており、かつ吸水性が全くない特性を有するも
のの、生産コスト上高価であるため、広範囲な分
野での用途に供するには、他の安価な基材との積
層体としての提供が望まれている。 しかし、ポリフツ化ビニリデン系樹脂は、非粘
着性であるため他の基材との接着が困難であるこ
とから、満足すべき積層体を得るに至つていない
のが現状である。 すなわち、従来、ポリフツ化ビニリデン系樹脂
と他の基材との積層性を向上させるための積層性
樹脂として、例えば特定のエチレン−エチルアク
リレート共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合
体またはそれらの変成物（特開昭56−86748号、
特開昭57−12645号及び特開昭59−214645号）、エ
ポキシ基含有ポリオレフイン（特開昭57−8155
号、特開昭57−212055号）及びフツ化ビニリデン
をグラフトした共重合体とメチルメタクリレート
系共重合体との樹脂組成物（特開昭57−12646号）
等が提案されている。しかし、これら公知の積層
性樹脂は、ポリフツ化ビニリデン系樹脂に接着さ
せる基材の種類を限定する必要があり、安価に入
手し得るポリオレフイン系樹脂を接着させるには
接着力が不十分であつて実用性に乏しい。 考案が解決しようとする課題 本考案は、上述した状況に鑑みなされたもので
あつて、ポリフツ化ビニリデン系樹脂層とポリオ
レフイン系樹脂層とからなる層間接着力の強固な
積層体を提供することを課題とする。 本考案者は、ポリフツ化ビニリデン系樹脂層と
ポリオレフイン系樹脂層を、スチレン−ブタジエ
ンブロツク共重合体からなる樹脂層を接着層とし
て中間に介在させて一体に積層させることによつ
て上記課題の解決に成功し、本考案をなすに至つ
た。 以下本考案を詳しく説明する。 考案の構成 本考案に係る積層体の構造上の特徴は、ポリフ
ツ化ビニリデン系樹脂層とスチレン−ブタジエン
ブロツク共重合樹脂層とポリオレフイン系樹脂層
とを組合わせた構造から成り、添付図に示すごと
く、スチレン−ブタジエンブロツク共重合樹脂層
を接着層として中間に介在させたことにある。 なお、図において１はポリフツ化ビニリデン系
樹脂層、２はスチレン−ブタジエンブロツク共重
合樹脂層及び３はポリオレフイン系樹脂層を示
す。 本考案に係る積層体の一層に用いるポリフツ化
ビニリデン系樹脂は、単独重合体又は共重合体も
しくはポリフツ化ビニリデン系樹脂と相溶性のあ
る他の重合体をブレンドしたものであつてもよ
く、更に、各種の無機フイラーや顔料等の通常配
合される添加剤を含んでいてもよい。 また、積層体の他の一層に用いるポリオレフイ
ン系樹脂としては、高密度、中密度及び低密度の
各ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体等を例示し得、これらは通常配合される各種の
無機フイラーや顔料等の添加剤を含んでいてもよ
い。 本考案において上記２層の中間に介在させて接
着層として用いるスチレン−ブタジエンブロツク
共重合樹脂は、スチレンとブタジエンを５：95〜
90：10、好ましくは10：90〜70：30の重量割合で
共重合させたものであつて、ポリフツ化ビニリデ
ン系樹脂とポリオレフイン系樹脂を強固に接着し
得る特性を有する。 なお、スチレンとブタジエンの割合が上記範囲
外になると上記接着力が十分でなくなり、かつ成
形加工性も低下するので留意する必要がある。こ
のスチレン−ブタジエンブロツク共重合樹脂には
その接着性を損なわない限り、他の重合体、無機
フイラー、安定剤、着色剤等を添加してもよい。 本考案に係る積層体は、上述のごとく、ポリフ
ツ化ビニリデン系樹脂層とポリオレフイン系樹脂
層を、スチレン−ブタジエンブロツク共重合樹脂
層を中間接着層として積層した構造を特徴とする
ものであるから、上記の３層のみから成る積層体
のほかに、上記構造を有する４層以上の積層体を
包含し得るものである。 例えば、ポリオレフイン系樹脂層／スチレン−
ブタジエンブロツク共重合樹脂層／ポリフツ化ビ
ニリデン系樹脂層／スチレン−ブタジエンブロツ
ク共重合樹脂層／ポリオレフイン系樹脂層のよう
な多層からなる積層体を包含する。 本考案に係る積層体を製造するには共押出成
形、共押出ラミネート成形、回転成形等の方法を
適用するとよく、生産コストの観点からは、ポリ
フツ化ビニリデン系樹脂層を薄く、ポリオレフイ
ン系樹脂層を厚く成形するのが得策である。 本考案による積層体は、層間接着性が優れてい
ることから、種々のフイルム、シート及び容器の
成形材料として適しており、建材、自動車分野等
の工業資材に対するオーバーレイ用フイルム、絶
縁フイルム及び離型用フイルム、更には工業用高
純度薬品、医薬品等の容器等に特に有効に利用さ
れる。 以下に実施例を示して本考案の効果を具体的に
説明する。 実施例 １ 積層体の成形： 内層にポリフツ化ビニリデン系樹脂、外層に密
度0.95、メルトインデツクス（M.I.）0.2の高密度
ポリエチレン及び中間層にスチレンとブタジエン
の重量割合が30：70からなるスチレン−ブタジエ
ンブロツク共重合樹脂（商品名；タフプレン
200、旭化成工業社）をそれぞれ用いて多層共押
出ブロー成形機により３層の積層から成る重量50
ｇ、内容量が500c.c.の容器を形成した。得られた
容器の肉厚は３層の合計で1.0mmであつて、各層
の肉厚比は外層／中間層／内層＝8.5／0.5／１／
０である。 積層体の層間接着性： この容器の各層間の接着性を下記手順に従つて
測定した。 積層体を15mm巾の短冊状に切り取り、その各層
間の一部を剥離した後、インストロン試験機のチ
ヤツクに挟み、引張速度500mm／分で剥離に要す
る荷重（ｇ）を測定することにより行つた。 結果は後記表１に示すとおりである。 実施例 ２ 積層体の成形： 内層にポリフツ化ビニリデン系樹脂、外層に密
度0.92、M.I.1.5の低密度ポリエチレン及び中間層
にスチレンとブタジエンの重量割合が40：60から
なるスチレン−ブタジエンブロツク共重合樹脂
（商品名；タフプレン Ａ、旭化成工業社）をそ
れぞれ用いて、多層共押出インフレーシヨン成形
機で３層の積層からなるフイルムを成形した。得
られたフイルムの肉厚は100μｍであつて、各層
の肉厚比は外層／中間層／内層＝7.0／1.0／2.0で
あつた。 このフイルムの接着性を実施例１に記載したと
同様な手順で測定した結果を表１に示す。

【表】 表１にみられるとおり、本考案による積層体の
層間接着力が強固であることがわかる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係る積層体の断面の一部を例示し
たものである。 図において、１……ポリフツ化ビニリデン系樹
脂、２……スチレン−ブタジエンブロツク共重合
樹脂、３……ポリオレフイン系樹脂。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ポリフツ化ビニリデン系樹脂層とポリオレフ
   イン系樹脂層とを、スチレン−ブタジエンブロ
   ツク共重合樹脂層を接着層として中間に介在さ
   せて一体に積層させて成る合成樹脂積層体。 (2) スチレン−ブタジエンブロツク共重合樹脂層
   は、スチレンとブタジエンを10：90〜70：30の
   重量割合で共重合させた樹脂から成るものであ
   る実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の合成樹
   脂積層体。