JPH0440004B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、誘導コイルに交番磁界を発生させて
鍋を誘導加熱する電気炊飯器に関する。

従来の技術 従来の誘導加熱方式の電気炊飯器として実開昭
53−164964号公報に示す構造の電気炊飯器が知ら
れている。すなわち、第６図に示すように、上下
面が開口する外ケース１０１の下面には支持脚１
０３を有する底板１０３がねじ止めによつて固着
されている。１０４は例えば耐熱性を有するプラ
スツチクによつて形成された鍋収納部で、この鍋
収納部１０４の上端部の鍔部１０４ａを外ケース
１０１の上面にねじ止めによつて固着している。
１０５は鍋収納部１０４の側面部１０４ｂに埋設
した誘導コイルであり、１０６は鍋収納部１０４
の底面部１０４ｃに埋設された誘導コイルであ
る。１０７は磁性材料、例えば鉄製の鍋で、この
鍋１０７は鍋収納部１０４の底面部１０４ｃ上に
着脱自在に載置される。１０８は鍋収納部１０４
の底面部１０４ｃのほぼ中心部に設けられた貫通
孔１０４ｄ内に支持板１０９を介して固着された
例えば磁気式のサーモスタツトで、このサーモス
タツト１０８の感熱部１０８ａは図示しないばね
によつて上方に付勢されて鍋１０７の底面部１０
７ｂに密着するようになつている。１１０は鍋１
０７の側面部１０７ａの温度を検知する例えばサ
ーミスタ等からなる感熱部１１０ａを有する温度
検知スイツチで、前記感熱部１１０ａは基端部が
鍋収納部１０４の側面部１０４ｂに設けられた挿
通孔１１１内に挿通されているとともに、ばね１
１２によつて常に鍋１０７の方向に付勢されてお
り、その感熱部１１０ａの先端部が鍋１０７の側
面部１０７ａに圧着するようになつている。１１
３はツマミ１１４を有する蓋で、これは鍋収納部
１０４の鍔部１１４ａ上の着脱可能に載置され
る。１１５は底板１０３の上面に固着された制御
基板で、この制御基板１１５には電気回路の一部
が配設されている。

制御基板１１５に配設された電気回路の一部は
誘導コイル１０５，１０６に高周波電流を供給す
るために、商用電源の交流を直流に変換する整流
器、さらに、変換した直流を高周波の交流に変換
するトランジスタを備えている。そして鍋１０７
の側面部１０７ａの温度を検知する感熱部１１０
ａの温度に応じて誘導コイル１０５，１０６への
通電制御へ、鍋１０７を誘導加熱し、最終炊き上
げ温度に達すると鍋１０７の底面部１０７ｂに密
着したサーモスタツト１０８が動作し電器回路へ
の通電を断ち炊飯を終了する。

発明が解決しようとする課題 しかし上記従来の構成では、誘導コイル１０５
と１０６とで誘導加熱される鍋１０７からの熱が
鍋収納部１０４を介して誘導コイル１０５，１０
６に伝わり、誘導コイル１０５，１０６を効果的
に冷却することができないという課題を有してい
た。

本発明は上記課題に鑑み、誘導コイルを効率的
に冷却できる電気炊飯器を提供することを目的と
する。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するための本発明は、被調理物
を収納し誘導加熱に対応する鍋と、この鍋を着脱
自在に収納し少なくとも下部を非金属材料で構成
した保護枠と、前記保護枠の非金属部の外側に配
設し、前記鍋の加熱源となる誘導コイルと、前記
誘導コイルに交番磁界を発生させるための電流を
流す電気回路とを備え、前記鍋の外周囲と前記保
護枠の内周囲との間に空気層を形成するともに、
前記誘導コイルを前記保護枠の外側の空気層に露
出する状態で装着した構成である。

作 用 上記構成によれば、誘導コイルにより誘導加熱
された鍋からの熱は、鍋の外周囲と保護枠の内周
囲との間に設けた空気層により遮熱されるので、
保護枠の外側の空気層を鍋からの熱が直接加熱す
ることがなく、保護枠の外側の空気層の温度上昇
を低く抑えることができ、その外側の空気層に配
した誘導コイルを効率良く冷却することができ
る。

実施例 以下、本発明の一実施例を第１図〜第３図によ
り説明する。

図において、１は上面が開口する有底円筒状の
本体で、この本体１の内部には断熱材２を介して
鍋収納部である保護枠３が配設され、かつこの保
護枠３は非金属材料のPPS等の耐熱樹脂材料によ
り有底円筒状に成形され、保護枠３の上端部は前
記本体１の上端部内周囲に嵌着されている。

４は上端開口部に外方に突出するフランジ５を
形成した鍋で、この鍋は第２図に示すように、肉
厚1.5mmの高熱伝導率を有するアルミニウム層４
ａと、このアルミニウム層４ａの外面に位置する
肉厚0.3mmのフエライト系ステンレス層よりなる
磁性金属材料４ｂをクラツドしたものを使用し、
さらに、アルミニウム層４ａの内面にはフツソコ
ーテイング層４ｃを施している。また鍋４はフラ
ンジ５を保護枠３の上面に懸架状態に載置するこ
とにより、保護枠３内に着脱自在に配設されてい
る。しかも、鍋４は高さＨ及び外径Ｄがそれぞれ
保護枠３より小に設定されているため、鍋４の外
周囲と保護枠３の内周囲との間に空気層６が形成
される。この空気層６は誘導加熱された鍋４から
の熱が保護枠３の外側に位置する空気層５１に伝
わるのを遮熱するように作用し、保護枠３の外側
の空気層５１が加熱され、温度が上昇するのを低
く抑える。この空気層５１に露出するように保護
枠３の側側に配された誘導コイル７は、最内周及
び最外層の巻を密にしている。さらに、誘導コイ
ル７は、鍋４の外周囲までの距離が一定となるよ
うに、前記保護枠３の外周下部に耐熱性樹脂材料
で成形されたコイルカバー８により支持され、誘
導コイル７を保護枠３の外側の空気層５１に露出
状態、すなわち、通気性を良くした状態で装着
し、誘導コイル７の冷却性能を良好としている。
誘導コイル７の下方には、酸化鉄を主原料としか
つ高透磁率の材料を焼結させたフエライト棒９が
位置し、このフエライト棒９はコイルカバー８の
下面に接着されており、誘導コイル７より発生す
る磁束が下方に漏れるのを防止している。

１０は耐熱樹脂により成形されたサーモケース
で、このサーモケース１０は保護枠３の外底部に
一体成形された案内筒１１にピン（図示せず）に
より上下動可能に支持され、かつ案内筒１１とサ
ーモケース１０の間に配設された圧縮コイルばね
１２により常に上方に付勢されている。１３は高
熱伝導率を有するアルミニウムの金属材料で構成
されたコンタクトで、このコンタクト１３は負特
性サーミスタよりなる温度検知素子１４及び感熱
ケース１５を介してサーモケース１０の上部に嵌
着し、コンタクト１３の上面が鍋４の外底面に圧
接するようにしている。１６は誘導コイル７に交
番磁界を発生させるための電流を流す回路基板
で、この回路基板１６は保護枠３より下方の空間
に装着されている。

１７は合成樹脂製の外蓋で、この外蓋１７は、
保護枠３の上部に一体成形されたヒンジ部材１８
にピン１９を介して回動可能に支持され、かつ上
面に持ち運び用の把手部２０がねじ止めされてい
る。２１は内カバーで、この内カバー２１は断熱
材２２を介して外蓋１７の内面に固着されてい
る。２３はヒンジ部材１８と反対側に位置して保
護枠３の上端部に一体成形された係合部材で、こ
の係合部材２３と対向するように外蓋１７に係合
レバー２４がピン２５を介して回動可能に支持さ
れている。そして、係合部材２３の先端部に設け
られた係合部２３ａは、外蓋１７を閉じたときに
係合レバー２４の係合部２４ａに係合するように
なつている。また係合レバー２４はばね２４によ
つて係合部２４ａが係合部材２３の係合部２３ａ
と常時係合する方向に回動付勢されている。２７
は内蓋で、この内蓋２７は内カバー２１の下面に
下方に突出して設けた支持ピン２８に上下動可能
に支持され、かつパツキン２９により常に下方に
付勢されているもので、前記外蓋１７を閉じたと
きに鍋４のフランジ５に圧接してその鍋４を密閉
するようになつている。

第４図は本発明の一実施例を示す電気炊飯器の
電気回路図を示したものである。図において、３
３は４個のダイオードからなる全波整流回路で、
この全波整流回路３３の交流入力端子３４，３５
は交流電源３６に接続されている。また平滑コン
デンサ３７，３８及びチヨークコイル３９はπ型
平滑回路で、平滑コンデンサ３７の両端に直流出
力端子の正端子４０及び負端子４１を接続してい
る。４２は所定の周波数で発振する発振回路で、
この発振回路４２により駆動回路４３は制御され
る。４４は温度検知素子１４の変化を電気的信号
に変える温度検知回路、４５は温度検知回路４４
からの信号により、駆動回路４３の制御を行うた
めの電力制御回路、４６は駆動回路４３によつて
制御されるNPN形のトランジスタで、このトラ
ンジスタ４６は、コレクタ４７を誘導コイル７及
びコンデンサ４７の一端に接続し、かつエミツタ
４８を直流出力端子の負端子４１に接続し、さら
にベース４９は駆動回路４３に接続されている。
また誘導コイル７及びコンデンサ４８の他端は、
チヨークコイル３９に接続されている。５０はト
ランジスタ４６にかかる逆起電力を逃がすための
ダイオードである。

次にこのように構成した本実施例の動作を説明
する。鍋４内に被調理物を収納し、保護枠３の上
面に懸架状態に載置する。そして外蓋２３を閉じ
た後、操作手段（図示せず）により、動作を開始
させる。この動作を開始することにより、発振回
路４２、駆動回路４３、温度検知回路４４および
電力制御回路４５が作動し、駆動回路４３の出力
端子４３ａを高電位と底電位に、発振回路４２の
周波数に応じて切替え動作させる。すなわち、駆
動回路４３の出力端子４３ａが高電位のときには
トランジスタ４６がON状態となり、その結果、
誘導コイル７にチヨークコイル３９側からトラン
ジスタ４６側にかけて電流が流れるとともに、コ
ンデンサ４８に充電される。、また、駆動回路４
３の出力端子４３ａが底電位のときには、トラン
ジスタ４６はOFF状態となるため、コンデンサ
４８に充電された電荷が誘導コイル７を介して放
電される。このようにして、誘導コイル７には発
振回路４３の発振周波数によつて制御される電流
が流れて交番磁界を発生させる事になり、これに
よつて鍋４に過電流が流れ、この過電流によるジ
ユール熱で、鍋４が誘導加熱されて、被調理物が
加熱調理される。この場合、温度検知素子１４の
温度により、電力制御回路４５にあらかじめ入力
されている調理パターンにより調理を行う。

また、鍋４は誘導コイル７により誘導加熱され
鍋４から熱が外側に放熱されるが、鍋４の外周囲
と保護枠３の内周囲との間に形成した空気層の断
熱作用により、鍋４の熱が保護枠３の外側に配し
た誘導コイル７側に伝わるのを低く抑える。よつ
て、保護枠３の外側の空気層５１が鍋４からの熱
影響を受けて温度上昇するのを最小限に抑えるこ
とができ、この外側の空気層５１に露出した状態
で装着した誘導コイル７の冷却効率を高めること
ができる。また、保護枠３の外側の空気層５１に
はトランジスタ４６等の発熱部品を配した制御基
板１６が置かれているが、外側の空気層５１は鍋
４からの熱影響が低く抑えられるため、制御基板
１６上の部品も効率良く冷却することができる。
さらに、鍋４からの熱を空気層６で遮熱する構造
であるので、鍋４の外周囲全体に別部材の断熱材
を新たに巻く必要もないので、簡易な構成で遮熱
効果が得られる。

次に、第５図に、本発明の電気炊飯器に用いる
鍋の他の実施例を示している。図において、４ａ
は肉厚1.5mmの高熱伝導率のアルミニウム層で、
このアルミニウム層４ａの内面にはフツソコーテ
イング層４ｃを施し、かつアルミニウム層４ａの
外面には、SUS304などよりなる肉厚0.15mmのオ
ーステナイト系ステンレス層４ｄと、肉厚0.3mm
のフエライト系ステンレス層４ｅと、肉厚0.15mm
のオーステナイト系ステンレス層４ｆを順次積層
してクラツドしている。この材料構成では、第２
図に示すアルミニウム層とステンレスとの鍋構造
に比べ、オーステナイト系ステンレス層４ｄ，４
ｆを有しているため、材料の伸びが良く、その結
果、深絞りがしやすくなる。また、この鍋４の外
面はオーステナイト系ステンレス層4fが存在する
ため、腐食に対しても強くなる。

なお、上記第５図の実施例においては、オース
テナイト系ステンレスのような非磁性材料を２層
形成しているが、アルミニウム層４ａの外面に複
数の層を形成したとき、そのうち少なくとも１層
を磁性材料で構成すれば誘導加熱に対応した鍋と
することができる。

発明の効果 以上の実施例の説明から明らかな通り、本発明
によれば、鍋の外周囲と保護枠の内周囲との間に
空気層を形成しているので、誘導加熱された鍋か
らの熱を上記空気相違の断熱作用により遮熱し、
鍋の熱が保護枠の外側の空気層を加熱し、空気層
の温度上昇を低く抑えることができ、よつて、こ
の保護枠の外側の空気層に露出して装着した誘導
コイルの冷却を効率良く行うことができるととも
に、鍋からの熱を遮熱する構造も空気層を形成す
るだけでよく、あらたに断熱材を配設しなくてす
み、簡単な構造で冷却効果を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す電気炊飯器の
断面図、第２図は第１図のＡ部の拡大断面図、第
３図は同電気炊飯器における誘導コイルの斜視
図、第４図は同電気炊飯器の電気回路図、第５図
は同電気炊飯器における鍋構造の他の実施例を示
す断面図、第６図は従来例を示す電気炊飯器の断
面図である。 ３……保護枠、４……鍋、６……空気層、７…
…誘導コイル、１６……回路基板、５１……外側
の空気層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被調理物を収納し誘導加熱に対応する鍋と、
   この鍋を着脱自在に収納し少なくとも下部を非金
   属材料で構成した保護枠と、前記保護枠の非金属
   部の外側に配設し、前記鍋の加熱源となる誘導コ
   イルと、前記誘導コイルに交番磁界を発生させる
   ための電流を流す電気回路とを備え、前記鍋の外
   周囲と前記保護枠の内周囲との間に空気層を形成
   するともに、前記誘導コイルを前記保護枠の外側
   の空気層に露出する状態で装着した電気炊飯器。