JPH043980B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 乳児に授乳する際あるいは乳首を利用する場合
に特殊なある作用を生じさせるような補助要素を
備えた授乳用乳首は既に、例えばオーストラリア
特許第321474号で公知であるが、このオーストラ
リア特許は単に例えば２重膜を有する乳首を示し
ているにすぎない。これら公知構造の目的は、大
抵の場合乳首が取付けられるビンの中に収容され
た物品の保存をどうするかという点にのみ関する
ものであり、従来、乳・幼児の口の運動機能を容
易且つ発達させてよくするという目的で乳首を作
ることは行われていなかつた。

本発明の目的は上記の点を考慮して授乳に使え
ると同時に授乳時以外では口の運動を刺激するの
に用いられる「オシヤブリ」のような人工乳首と
しても使えるものを提供することにある。

母乳の量が不足した時には一般に哺乳ビンの人
工ミルクに代えている。母親を解放する哺乳ビン
授乳での保育は、その乳児の口腔の感覚器管能力
を低下させる。新生児の口の感覚に影響を与える
感覚的作用はもはやなくなつている。

母親の乳房からの授乳は、摂取の喜びと満足を
与え、子供の口の粘膜に母親の皮膚の感じ及び乳
頭の隆起とを、馴染ませることができる。母親の
生理学的反応は子供により完全に感じ取られ、味
覚と同時に相互感触を深める。こうして始まる第
２反射は先天的な吸引反射−嚥下反射とともに運
動神経の新生児適応を助け、均整の取れた声顔動
作の発達を助ける。大抵のミルクビン保育の場合
にあつては、乳首にほとんど注意が払われず、授
乳間の代用にはオシヤブリが用いられる。

子供の感覚神経と器官機能の発達中において、
これら器具は重要なものであり、これらが口と外
界との最初の接触を為すのであり口腔の最初の触
覚的刺激を可能にしなければならない。

口の運動動作の種々の医学的研究を行つた結
果、感覚不順や舌打ちや親指シヤブリにおける立
体感的動作不良がみつかつた。これらの子供の大
多数はその過去が長期的なミルク保育であり、歯
と顎骨の位置における異常があつた。

感覚−運動神経の発達と、母親との触覚と、歯
顎的位置の異常との間の関係に対する上記仮説は
決して否定できない。

本発明は以上のことを考慮して行われたもので
あつて、本発明の目的は口の運動作用によつて反
復して変形可能な訓練効果をも与える機能部分
と、この機能部分が変形した時に動作状態となり
且つ機能部分の変形に対する反応とは異なつた作
用を乳児が知覚するようになつていることを目的
とし、授乳においても口の運動を刺激する人工乳
首を提供することにあり、その特徴は、２重の膜
状袋を有し、該２重膜状袋は弾性変形可能な外側
膜と半硬質の内側膜とで構成され、この外側膜は
静止時に前記内側膜に形成された第１乳頭の上に
重なる第２乳頭を備え、かつ該第２乳頭に液体流
出用孔を備える一方、前記半硬質の内側膜は前記
第１乳頭につながる乳通路を備え、該乳通路は前
記外側膜に対する口の吸引運動時に前記内側膜中
に含まれる液体を前記第１乳頭を通つて該外側膜
と該内側膜との間に流入させ、口の吸引運動で膨
張した前記外側膜と前記内側膜との間に形成され
る前室部中に流入するようにし、該前室部に流入
した液体は少なくとも前記外側膜の収縮とともに
前記孔から流出するようになつている点にも独特
の特徴を有する。

これら種々の実施例の任意のものを、以下例示
として添付図面を用いて説明する。

第１，２図に示す乳首１は従来型のビン２に取
付けられるようになつている。この乳首はビン２
のネジ山付首部４に螺合するフランジ状固定リン
グ３と、頂部が以下で詳細に説明する第１乳頭６
となつてのびているつぼ部１１を形作るドーム形
半硬質内側膜５と、この内側膜５より薄く、変形
可能で且つ内側膜５全体を被うようにその上に被
されている外側膜７とによつて構成されている。

これら２枚の膜は、ここでは説明が不要である
通常の手段によつて、前記固定リング３にその基
部が固定されている。好ましい一実施例では、こ
れら２枚の膜を互に一体にすることができる。

第１，２図の断面図は静止状態と膨張状態とに
おける内側膜５と外側膜７の第１・第２乳頭６，
８の状態を示しており、この状態は舌を用いてあ
るいは用いずに歯肉の間で乳児が乳頭をくわえた
ときの垂直平面内の状態を示している。

図示したように、前記第１乳頭６の半硬質壁は
その上側が２重湾曲した球状区域６ａとなつてお
り、その先端は下を向いている。また、この乳頭
の半硬質壁の下側は上側よりも短くなつていて、
一回湾曲した後に乳頭６の先端の開口９までのび
ている。したがつて、この開口はかなり大きな寸
法を有し、斜面に開口し且つその軸線は下へ向い
ている。

静止状態では、内側膜５の第１乳頭６は外側膜
７の第２乳頭８によつて閉じられている。外側膜
７のこの部分には図では１０で示した孔が開いて
いる。この孔は一つまたは複数の孔でよいが、こ
の孔の全断面積は前記開口９の断面積よりはるか
に小さい。静止状態では、孔１０が第１乳頭６の
上側球状区域６ａに対向しているので、乳首は完
全に閉じている。

一方、第２図は乳児が乳頭の基部を歯肉の間で
吸引、加圧したときに外側膜７が取る形を示して
いる。このとき、ビンと乳首のつぼ部１１の中に
入つている液体は第１乳頭６壁と開口９とが形成
する乳通路を介して流れるということは理解でき
よう。液体は矢印Ａ方向に流れて、第２乳頭８の
膨張によつてできる前室部を構成する空間に充填
される。したがつて、外側膜７は前記球状区域６
ａから離れ、液体は矢印Ｂ，Ｃに従つて内側の第
１乳頭６の壁の外側の前室部中へ流入する。この
液体は歯肉によつて圧力が加わると前記孔１０を
通つて口の中へと注入される。

換言すると、乳・幼児が乳首の外側膜の第２乳
頭８部分に加える吸乳力の自然な運動時に起こる
第一の作用は、訓練具の役目をする外側膜７を膨
らませることにあつて、これによつて従来公知の
全ての乳首の構造が持つていなかつた特殊な触覚
感覚を作り出すことができる。この感覚は新しい
反射運動創生の源となる。

この訓練機能は口の器官すなわち、舌、唇、頬
および下顎筋肉の静的および動的運動に関する運
動神経網の所定部の発達に寄与する。口の器官の
機能を良くするだけで骨の発達達障害が防止さ
れ、歯と顎との間の協調的な相互関係の発達に益
する。

特別な実施例では、半硬質内側膜５の内方で第
１乳頭の基部を形成する前記つぼ部１１の寸法
は、現在用いられている通常の乳首よりもかなり
大きくすることもできる。この半硬質内側膜５の
壁は内部圧の低下によつて漬れないようにするた
めに支柱によつて補強することもできる。乳通路
を構成しているつぼ部１１と第１乳頭６内の通路
との間の前記開口は迅速に乳を流すのに十分な寸
法にする。この乳通路の断面は、図示するよう
に、開口９の手前で口蓋と当たるように円形にな
つている前記球状区域６ａの最大断面部の所まで
は手前の縮小部から角度を持つて増加しており、
開口９の断面は再び狭くなるように規制され、そ
の軸線は斜め下を向いている。

外側膜７は容易に膨張可能にするため薄いゴム
で作るのが好ましい。乳首８の構造は吸引時に乳
首８がその静止時の寸法の約１倍半まで膨張でき
るようにする。前室部が充填されたという感覚に
よつて、口蓋前部へ伸した舌の圧力によつて乳・
幼児は孔１０を介して液体を流出させるように仕
向けられるということは明らかである。

以上のように、生れつきの吸引−嚥下反射は、
吸引後に味覚感覚を伴うような吸引動作とともに
自然に発達し得る。上記吸引動作は乳児の触覚が
乳頭８を感じた時に自然に促されて起こり、しか
もこの吸引動作で外側膜７が膨張すると、液体が
開口９を通つて内・外側膜５，７間の前室部に流
入する。次いで、外側膜７の膨張を触覚で感じと
つた乳児が吸引を止めると、膜７の収縮により液
体は孔１０から口内に流入し、味覚を満足させ
る。このような反応は、母親の乳首が口腔を刺激
するのと同様である。味覚の感覚は嚥下を一層誘
う。このように自然な吸引−膨張受感−味覚受感
−嚥下動作の流れは、リズミカルに繰返されて口
腔の器官および神経感覚を発達させることができ
る。

さらに、授乳と次の授乳との間、上記人工乳首
の優れた機能を同じように模擬的に与えるオシヤ
ブリ乳首を用意することが可能である。これらの
併用によつて、乳・幼児の口腔の感覚器官能力を
一層高めることが可能になる。

例えば、第３，４図に示す乳首は、最初の訓練
形態において指導的運動の役目をする吸引運動と
は異なる口の運動作用効力を、この指導的運動を
行う要素の当り具合とは別のものから引出せるよ
うにし、乳児が知覚できるようにしたものであ
る。

この人工乳首は後方プレート１４で閉じられて
いる中心孔１３を有するプラスチツク材料製の比
較的硬い環状台１２を有している。この環状台１
２の内部には乳児が知覚できる信号を出すことが
できる装置１５が収容されている。一般に、この
信号は任意のもの、例えば、視覚信号、嗅覚信
号、味覚信号または聴覚信号でよい。すなわち、
上記装置１５は例えば、スイツチによつて接続と
遮断ができ且つ小型電池で作動できる完全電子式
の音楽モジユール、または小型オルゴール装置で
構成できる。第３，４図の実施例では、環状構造
をしているこの装置の複合物品は、密閉ケース１
５ａ中に収容されている。このケースからはスイ
ツチに接続される２本の接続線１６，１７のみが
引き出されている。これらの線は例えばこの乳首
の背面である後方プレート１４に固定もできる。

これら２本の接続線１６，１７は、口の中に入
れた硬質または半硬質要素に当たる乳児の舌の圧
力のような口の運動作用下で接続と遮断が行われ
るスイツチの接点に接続される。

第３，４図に示した実施例では、前記環状台１
２から第１図の乳首の乳頭の形を模した可撓性の
ある弾性膜１８がのびている。また、この場合、
乳頭内部に位置させた訓練具は、半硬質材料で作
られた円筒形棒１９であり、この棒の区域１９ａ
は機械的振動の作用で導体となるように構成され
ている。例えば、この棒１９はゴムで作られ、上
記区域１９ａは公知のようにゴム本体に細かい銅
の粒子を埋設して作ることができる。この粒子は
収縮作用によつて互いに接触して上記区域１９ａ
を導体にする。第３，４図からわかるように、上
記区域１９ａの両端で棒１９の囲りには２つの導
体リング２０，２１が取付けられており、前記接
続線１６，１７がこれらリングに接続されてい
る。

また例えば上記訓練具相当の棒１９を２つの剛
体片で構成し、これら剛体片を互いに関節結合ま
たは噛み合わせ、例えばゴムを使つて訓練具の当
該棒が静止しているときに直線位置を保持するよ
うにすることも当然できる。これによつて口の運
動の複雑さあるいは巧妙さの程度によらずに応動
するように構成できる。すなわち、好ましい実施
例では、半剛性棒で構成する代りに、通常は、外
部スリーブによつて剛体化されているが弾性的に
伸張可能な直線部材で作り、上記スリーブは動作
外に置かれ、所定長さまで伸びた後の湾曲運動を
妨げないようにされる。このスリーブ構造を用い
ると、訓練具に加わる吸引力と舌により加わる曲
げ運動の作用が加わつた時に前記応答装置が作動
状態になる。

いずれの場合でも、乳児が乳頭８を歯肉の間に
くわえた状態で、訓練具の棒１９を下から上へ矢
印Ｄ方向に舌で押すと、該棒１９は環状台１２の
内方側に押されながら、この訓練具の棒は上へ湾
曲する。この変形は口の筋肉によつても感じら
れ、加えて、前記区域１９ａの収縮は接点を閉ざ
し、前記装置１５から音楽を出させる。

上記の実施例では、棒１９が後方プレート１４
の壁と一体の軸受２２の内部に摺動自在に取付け
られており、その外側端にはループ１９ｂが形成
されている。この１９ｂには引き輪２３がはめら
れている。したがつて、乳児が環状台１２部分を
口の中にくわえたまま引き輪２３を引くと、自分
の意志で音楽を鳴らすことができる。しかし、一
般には摺動棒を引くか舌で上げるかして棒の端部
を直すと音楽がかかるようにする。この戻し自在
な端部と摺動棒の一部は、口内吸引を可能とする
ゴムの被覆スリーブを有している。この被覆ゴム
は上面と側面が円形を保持し、下面は偏平形にな
つている。

各回の吸乳の間で自分が満足する吸引ができる
状態をさがす怒力をする際に、乳児は受信機の音
響、視覚、嗅覚または味覚信号を感知し且つそれ
と同時の乳首の戻りとによつて、下顎の戻しと舌
の突き出しを条件付けられることになる。

本発明の授乳用人工乳首が有する口の運動を刺
戟する機能は、こうして第３〜５図のようなオシ
ヤブリ用の人工乳首にも持たせることができ、口
の運動を刺戟する人工乳首の構造は、授乳用に限
らず口の器官すなわち、舌、唇、頬および下顎筋
肉の静的および動的運動に関する運動神経網の所
定部の発達を促進する総合的な人工乳首となつて
いる。

本発明の第３実施例もまたこのような人工乳首
によつて構成されている。この目的は唇の訓練に
ある。この乳首は唇緊張低下症を呈する乳児より
も大きな小児に例えば用いられる。剛性部分は支
持カプセル２４を構成し、且つ円盤形状をしてい
る。この円盤は舌顎歯肉（ガムバツズ）と唇との
間に係合する前方遮蔽板の役目をする。ケースの
形をした台の内部には前記実施例の装置１５と同
じ電子装置２５が収容されている。音楽信号をだ
すために閉じられる電気接点はこの場合マイクロ
スイツチ２６で構成され、このスイツチ２６はカ
プセル２４の中心を形成する壁２７の内部の上部
又は下部に固定できる。この装置はさらにカプセ
ル２４、軸受２９，３０の開口中を摺動する剛性
棒２８を有し、この棒はそれに取付けた円盤３２
と壁２７中に配置された固定円盤３３との間に配
置されたバネ３１によつて保持されている。この
棒２８は歯肉内部に挿入される円盤形の第２側部
要素３４となつて後方へのびている。要素３４の
膜は棒２８の後部と要素３４を被覆し、棒２８が
カプセス２４に対して軸方向移動自在な状態とな
るようにこの被覆が形成される。この場合も、棒
２８を手で引けるようにリング３５が付いてい
る。棒２８は軸受２９，３０中を摺動し、マイク
ロスイツチ２６は円盤３２が駆動する。

この実施例では、前記前方遮蔽板が唇を閉じる
ことによつて、下顎を上げることにたよらずに前
記リングに加わる力に抵抗するのを助ける役目を
する。音楽がなつた時には小児に唇で口の訓練具
を押出すような引く力に打勝つていることを知ら
せ、その努力を続けるように刺激する（生物フイ
ードバツク現象）。乳首端によつて上を向かされ
た舌はこの動作を助ける。

これと同じ原理に基づく他の訓練具も考えるこ
とができる。さらに大きな子供に対しては延伸し
得るようにした口内の戻し自在端を省略すること
もできる。この場合には唇と前庭フイルターの所
に加えられる引張作用だけで音楽を鳴らすことが
できる。

以上のように、従来の乳首から授乳できなかつ
たような乳・幼児でも自然に口腔の感覚器官能力
を発達させる本発明の人工乳首は、同じ機能効果
を持たせ得る授乳用、オシヤブリ用の乳首を構成
し、従来の問題を一掃することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例で乳児用哺乳ビンに
取付けた乳首の断面図であり、乳首は静止位置に
ある。第２図は膨張状態の乳首の乳頭を示す第１
図と類似の図。第３図、４図は本発明乳首を応用
した参考オシヤブリ乳首の水平および垂直断面
図。第５図は別の参考オシヤブリ乳首の断面図。 １：乳首、２：ビン、５：内側膜、６：乳頭、
６ａ：球状区域、７：外側膜、８：乳頭、９：開
口、１０：孔、１２：環状台、１５：装置、１
８：膜、１９：棒、１９ｂ：ループ、２３：引き
輪、３２，３３：円盤、３４：要素。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ２重の膜状袋を有し、該２重膜状袋は弾性変
   形可能な外側膜と半硬質の内側膜とで構成され、
   この外側膜は静止時に前記内側膜に形成された第
   １乳頭の上に重なる第２乳頭を備え、かつ該第２
   乳頭に液体流出用孔を備える一方、前記半硬質の
   内側膜は前記第１乳頭につながる乳通路を備え、
   該乳通路は前記外側膜に対する口の吸引運動時に
   前記内側膜中に含まれる液体を前記第１乳頭を通
   つて該外側膜と該内側膜との間に流入させ、口の
   吸引運動で膨張した前記外側膜と前記内側膜との
   間に形成される前室部中に流入するようにし、該
   前室部に流入した液体は少なくとも前記外側膜の
   収縮とともに前記孔から流出するようになつてい
   ることを特徴とする口の運動を刺戟する人工乳
   首。 ２ 上記外側膜の第２乳頭に一つないし数個の孔
   が形成されており、当該孔は静止時には上記内側
   膜の第１乳頭壁に対して重なつており、上記乳通
   路の開口は前記外側膜の孔とは別の方向を向いて
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の口の運動を刺戟する人工乳首。 ３ 上記乳通路の開口が上記外側膜の孔より大き
   いことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   口の運動を刺戟する人工乳首。 ４ 上記第１乳頭がその先端の手前に縮小部を作
   る角度を有することを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の口の運動を刺戟する人工乳首。 ５ 上記外側膜と内側膜との間が拡張される空間
   にある幼児の舌を、該外側膜の吸引膨張とともに
   該膜が刺戟して口腔の触覚的運動機能を活発にさ
   せる刺戟訓練ゾーンが該空間領域に構成されるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の口の
   運動を刺戟する人工乳首。