JPH0439380Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、排気サイレンサ構造の改良に関する
ものである。

（従来技術） エンジンから排出される排気ガスは消音器（サ
イレンサ）を通過させ、消音を行つてから大気中
に放出させている。

この消音器としては、第４図に示すように多孔
１ａを有する排気管１の外周に耐熱性、耐振強度
の高い吸音材であるステンレスウール２を配し、
さらにその外周に前記吸音材より耐熱性、耐振動
性の低いグラスウール３からなる吸音層を設け
て、この多孔排気管１の内部を矢印Ａ方向に通過
する排気ガスの消音を行うものが知られている。
（実開昭49−104530号公報）。

しかしこのような排気サイレンサ構造において
は、多孔排気管１内を通過する排気ガスの熱によ
つて生じる温度上昇により吸音材特にグラスウー
ル３が劣化したり、排気振動や管内の内圧の変動
および排気ガス流による負圧のため、多孔排気管
の孔部１ａへ吸音材、特に上記排気ガスの熱によ
り劣化したグラスウール３が引き込まれて排気ガ
ス流により飛散されることが多い。このため、し
だいに吸音材、特にグラスウール３が減少し、消
音器の吸音効果が下がり、長期使用に伴い消音性
能が悪化するおそれがある。

（考案の目的） 本考案は、上記事情に鑑み、吸音材の熱劣化や
吹き抜けのおそれが少なく、従つて長期間にわた
つて確実な消音効果の得られる排気サイレンサ構
造の提供を目的とするものである。

（考案の構成） 本考案の排気サイレンサ構造は、多孔排気管の
外周に吸音材を配設した排気サイレンサ構造にお
いて、該吸音材の一部、即ち多孔排気管から外方
に所定距離離れて位置する吸音材部分を結合剤に
より固結させて固結層とし、この固結層に該固結
層の内周と外周とを連通させる固結層内を貫通し
た小孔を多数形成し、かつ上記固結層の内側には
ステンレースウール等の金属製ウール吸音材を配
設すると共に外側にはグラスウール等の非金属製
ウール吸音材を配設したことを特徴する。

上記吸音材部分を結合剤により固結させると
は、該結合剤により吸音材同志の結合力を強化す
るという意味であり、従つて結合剤としては例え
ば樹脂等の接着剤の如く吸音材同志の結合力を強
化しうるものであればどの様なものでも使用可能
である。

（実施例） 以下図面を用いて本考案による排気サイレンサ
構造の実施例を説明する。

第１図は、エンジンの排気系の一例を示す概略
図である。エンジン４より排出された排気ガスは
キヤタリストコンバータ５を通過し、プリマフラ
６、メインマフラ７で消音されて外部へ排出され
る。本考案に係るサイレンサ構造は、このプリマ
フラ６にもメインマフラ７にも適用され得る。

第２図は本考案に係るサイレンサの一実施例を
示す断面図、第３図は第２図の−線断面図で
ある。

図示のサイレンサ構造は、多数の小孔１０ａが
略均等に形成された多孔排気管１０の外周に吸音
材２０を配設し、該吸音材２０をケーシング３０
によつて囲んで成るものである。

上記吸音材２０は、もちろん上記多孔排気管１
０の小孔１０ａ形成部分を完全に覆う態様で配設
されている。

また、上記吸音材２０は、多孔排気管１０の外
周に直接接して所定厚さに配設されているステン
レスウール２１と該ステンレスウール２１の外周
に配設されたグラスウール２２とから成り、該グ
ラスウール２２の内周側部分には結合剤により固
めた所定厚さのグラスウール固結層２２１が形成
されており、かつ該固結層２２１には該固結層２
２１を貫通して該固結層の内周と外周とを連通さ
せる多数の小孔２２１ａが形成されている。

上記サイレンサ構造においては、耐熱性、耐振
動性の低い吸音材であるグラスウール２２のうち
特に排気ガスの熱によつて劣化しやすく、かつ排
気ガス流によつて吹き抜けしやすい多孔排気管１
０の外周に近接した部分を固結層２２１として成
るので、この固結層２２１部分のグラスウール同
志は互いに強固に結合され一体化されており、従
つてこの固結層２２１部分にグラスウールの熱劣
化や吹き抜けを防止することができ、またこの固
結層２２１より外側の固結していないグラスウー
ルから成る吸音層２２２部分も固結層２２１によ
つて熱劣化が防止されると共に吹き抜けも防止さ
れる。

また、上記固結層２２１は単なる固結層ではな
く、内周と外周とを連通させる多数の小孔２２１
ａを有しているので、この多数の小孔２２１ａを
介して固結層より外方の吸音層２２２は十分にそ
の吸音機能を発揮することができ、従つて固結層
２２１を設けたことによる吸音性能の低下のおそ
れは殆んどない。

上記固結層の小孔２２１ａは、上記吸音層２２
２による吸音機能を十分発揮させるという点から
みればその数は多く、大きさは大径であることが
望ましいが、あまり数が多かつたり大径であると
吸音層２２２のグラスウールがその小孔２２１ａ
を通つて吹き抜けるおそれもあるので、双方を考
慮してバランスの良い数や大きさとするのが良
い。

固結層２２１の厚さは、あまり薄いと固結層を
設けた意味が減少するが厚くすると固結層より外
方の吸音層部分が少なくなり吸音性能が低下する
ので、双方を考慮して決定するのが望ましい。

上記固結層２２１は、その機能を十分に発揮
し、かつ外方の吸音層２２２の吸音機能を十分に
発揮させるために多孔排気管１０の外周に近接し
て設けるべきである。

本考案に係る吸音材としては、グラスウール等
に限らず種々のものを使用し得る。

（考案の効果） 本考案の排気サイレンサ構造は、上記の如く、
多孔排気管の外周に設けた吸音材のうち多孔排気
管から外方に所定距離離れて位置した吸音材部分
を結合剤で固結させて固結層を形成しているの
で、その固結層によつて該固結層部分の吸音材お
よび該固結層より外側の吸音材の熱劣化や吹き抜
けが防止されると共に、その固結層が多孔排気管
に接してではなく所定距離離れたところに設けら
れているので、固結層自体の排熱（排気ガスの
熱）による溶融等が防止される。また、その固結
層には固結層の内周と外周とを連通させる多数の
小孔が形成されているので、この小孔によつて固
結層より外方の吸音層は十分に吸音機能を発揮す
ることができる。さらに、固結層の内側には金属
製ウール吸音材が配設されているので、この金属
製ウールにより上記固結層の小孔を通つて非金属
製ウールが吹き抜けるのを防止することができる
と共に固結層の内側に何も設けない場合に比して
吸音性能の向上が図られる。従つて、本考案の排
気サイレンサ構造によれば吸音性能を低下させる
ことなく吸音材の熱劣化、吹き抜けを防止できる
ので、長期間にわたる確実な消音効果が期待でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は排気系の概略図、第２図は本考案に係
る排気サイレンサの一実施例の水平方向の断面
図、第３図は第２図における−線断面図、第
４図は従来例の水平方向の断面図である。 １０……多孔排気管、２０……吸音材、２２１
……固結層、２２１ａ……小孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多孔排気管の外周に吸音材を配設してなる排気
   サイレンサ構造において、前記吸音材のうち前記
   多孔排気管から外方に所定距離離れて位置する吸
   音材部分を結合剤により固めて固結層を形成し、
   該固結層に該固結層の内周と外周とを連通させる
   小孔を形成し、かつ上記固結層の内側には金属製
   ウール吸音材を配設すると共に外側には非金属製
   ウール吸音材を配設したことを特徴とする排気サ
   イレンサ構造。