JPH0439214B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、樹脂磁石、特に高精度回転磁気セン
サ等に適した多極のリング状樹脂磁石の製造法に
関する。 従来の技術 多極のリング状樹脂磁石は、例えば、第３図に
示すように、回転軸１を備えたヨーク２と一体に
なつたリング状樹脂磁石３の外周面に、複数個の
Ｎ極とＳ極を交互に着磁したものであつて、
VTRのFG（周波数発電機）などに用いられてい
る。磁石素材は、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性
樹脂と強磁性粉末、そのほか必要に応じて添加剤
を混合混練して得た成形材料であり、これを磁場
中で射出成形して、リング状の磁石を得ている。 従来のリング状磁石の射出成形は、生産性や材
料歩留り等の配慮から、第４図に示すように、成
形されるリング状樹脂磁石３の側面に配置された
サイドゲート７から金型キヤビテイに溶融樹脂を
射出することが行なわれている。あるいは、第５
図に示すように、成形されるリング状樹脂磁石３
の上面に配置されたピンポイントゲート８からキ
ヤビテイに溶融樹脂を射出することが行なわれて
いる。 発明が解決しようとする問題点 ところで、前述のFGなどに用いられるリング
状樹脂磁石は、高い着磁性能、すなわち、表面磁
束密度のピーク値のバラツキが少なく、着磁され
たＮ極とＳ極の幅が規則正しく正確なものでなけ
ればならない。そのためには、着磁前の樹脂磁石
成形品は、密度が均一でかつ磁性粉末が均質に分
散していなければならない。 しかし、従来の射出成形では、成形品の均一性
という点では非常に問題がある。すなわち、従来
の方法では、溶融樹脂が短時間でゲートより金型
キヤビテイに注入され固化するので、成形品には
鬆の発生に伴う密度の不均一、表面の樹脂膜厚み
の不均一が生じる。また、金型キヤビテイ内での
溶融樹脂の流動が不十分であるために、磁性粉末
の部分的配向や偏在が起こり、これがウエルドと
して成形品に残る。 このような不均一なリング状樹脂磁石に多極着
磁をしたときには、表面磁束のピーク値のバラツ
キが大きくなり、Ｎ極とＳ極の幅、いわゆる極ピ
ツチが不規則で、ワウフラツターが大きく、FG
としては使用できるものではなかつた。 本発明は、溶融樹脂を十分に撹拌して磁性粉末
の分散を均一にし、FG等の多極着磁に適したリ
ング状樹脂磁石を提供することを目的とする。 問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明は、強磁性
粉末を配合した溶融樹脂を金型キヤビテイに射出
し磁揚中でリング状樹脂磁石を成形するに際し、
前記キヤビテイと全周でつながるリング状ランナ
に、該ランナのリングの接線方向から左回りまた
は右回りのいずれか一方向に溶融樹脂を導入す
る。そして、さらに、リング状ランナの全周か
ら、金型キヤビテイに溶融樹脂を導入する点に特
徴を有するものである。 作 用 本発明によれば、リング状ランナに、そのリン
グの接線方向から左回りまたは右回りのいずれか
一方向に溶融樹脂が導入されるので、リング状ラ
ンナ中を溶融樹脂が十分に流動し、リング状ラン
ナの全周から金型キヤビテイに溶融樹脂が導入さ
れたときは、渦巻状に流動して撹拌が良好に行な
われ、磁性粉末は均一に分散する。また、溶融樹
脂は、金型キヤビテイの全周から（ゲートが全周
に存在する）導入されるため、成形されたリング
状樹脂磁石の着磁面にウエルドが発生せず、リン
グ状樹脂磁石は均一化、均質化されるものであ
る。 実施例 次に、本発明の実施例を説明する。 実施例 １ バリウムフエライト80部、12ナイロン20部を混
合混練して得た成形材料を、射出成形機のシリン
ダ内で溶融し、金型キヤビテイ内に射出した。こ
の過程は、第１図、第２図に示すように、まず、
金型キヤビテイ９と同心に、その外側に配置した
リング状ランナ５へ、周方向ランナ６より溶融樹
脂を導入する。周方向ランナ６は、リング状ラン
ナ５の周囲に複数個配置し、リング状ランナ５へ
その接線方向から左回りに溶融樹脂を導入した。
そして、金型キヤビテイ９とリング状ランナ５
は、ゲート４により全周でつながつているので、
溶融樹脂は渦巻状に流動して撹拌されながら金型
キヤビテイ９に導入される。 本実施例では、ヨーク２をインサートとして、
その外周にリング状樹脂磁石３を一体成形した。
得られた成形品の中央に35φの軸を取付け、機械
加工でリング状樹脂磁石３の外側面を滑らかに仕
上げ、外径を68φ、軸に対して外径の芯振れを5μ
ｍ以内とし、第３図に示すような形状とした。 このリング状樹脂磁石の外周面に、着磁ヘツド
により1440極（極ピツチ148μｍ）の着磁を行な
い、評価した結果を第１表に示した。 実施例 ２ 実施例１で、ヨーク２がない成形品を得、成形
後にヨーク２を接着して一体化した以外は同様に
加工して評価した結果を第１表に示した。 実施例 ３ 実施例１で、リング状ランナ５を金型キヤビテ
イ９の内側に同心に配置し、両者を全周でつない
で、他は実施例１と同様に行ない、評価した結果
を第１表に示した。 比較例 １ 第４図に示すように、一般的なサイドゲート一
ケ所より溶融樹脂を射出して成形し、他は実施例
１と同様に加工して評価した結果を第１表に示し
た。 比較例 ２ 第５図に示すように、ピンポイントゲート四ケ
所より溶融樹脂を射出して成形し、他は実施例１
と同様に加工して評価した結果を第１表に示し
た。

【表】 発明の効果 第１表で明らかな様に、比較例１のサイドゲー
ト、比較例２のピンポイントゲートは、ウエルド
が発生して磁性粉末の分散が不均質になり、着磁
の再生波形が乱れて、リツプルやワウ・フラツタ
が悪くなり、実用上使用できるものでなかつた
が、本発明によれば、ウエルドがなく磁性粉末の
分散が均一で均質なリング状樹脂磁石が得られ
た。この事から、高い着磁性能FGが得られる点
工業的価値は極めて大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を説明する平面図、第
２図は本発明の実施例を説明する断面図、第３図
は本発明を適用するリング状樹脂磁石の一例を示
す斜視図、第４図、第５図は従来の射出成形法を
示す断面図である。 ３はリング状樹脂磁石、４はゲート、５はリン
グ状ランナ、６は周方向ランナ、９は金型キヤビ
テイ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 強磁性粉末を配合した溶融樹脂を金型キヤビ
   テイに射出し磁場中でリング状樹脂磁石を成形す
   るに際し、前記金型キヤビテイと全周でつながる
   リング状ランナに該ランナのリングの接線方向か
   ら左回りまたは右回りのいずれか一方向に溶融樹
   脂を導入し、更にリング状ランナの全周から金型
   キヤビテイに溶融樹脂を導入することを特徴とす
   るリング状樹脂磁石の製造法。