JPH0438776Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は敷ふとんの改良、特にその中綿に関
する。

「従来の技術及びその問題点」 従来から羊毛皮などの獣皮は、天然の素材とし
ての特性、例えば感触、弾力性、保温性、吸湿性
など他の人工の素材にないすぐれた長所を有して
いるため、服飾関係のみならず敷ふとんとして使
用したいという要望がある。

しかし、一枚皮の獣皮を使用することは高価な
ため一般には購入することが困難である。

そこで、原皮の端切れである獣皮片の周縁部ど
うしを互いに縫合して利用することも考えられ
る。しかし、敷ふとんの大きさに形成するには、
例えば10cm角の獣皮片が略200枚必要であり、そ
の周縁部どうしを手縫いあるいはロツクミシン等
で縫合することは多くの手間、労力を要し、作業
効率が悪く、コストダウンが図れない。更に、各
獣皮片は夫々色なども異なり品質にばらつきがあ
り見栄えが悪く、しかも獣皮の毛部上に直接寝た
りすると、毛部がよじれ、フエルト化して保温性
などの獣皮の特性が失われるとともに、汚損する
などの問題がある。

この考案は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、端切れである獣皮片を利用することにより獣
皮の特性を生かしつつ安価に製造でき、獣皮片の
周縁部どうしを部分的に縫い合わせることにより
縫合の手間等を省きコストダウンを図るととも
に、この連接された獣皮片を敷ふとんの中綿とし
て利用することにより獣皮片の品質のばらつきを
カバーし、かつ毛部のフエルト化、汚損を防止す
ることができる獣皮片を中綿として収納した敷ふ
とんを提供するものである。

「問題点を解決するための手段」 この考案に係る敷ふとんは、互いに隣接して配
置した複数の獣皮片どうしを、それらの周縁部に
交差する方向に縫い合わせることによつて互いに
連結して構成された中綿と、この中綿の上下両面
に配置されて、この中綿を被覆する側地とを備
え、側地と中綿とを、キルテイングによつて互い
に止着した構成となつている。

「実施例」 以下、この考案の第１実施例に係る敷ふとんＡ
について第１図及び第２図を参照して説明する。

図中符号１は、パイル地からなる上側地であ
り、符号２は通常の木綿地などからなる下側地で
ある。上下側地１，２はその周縁部をヘム加工３
により互いに縫着されている。

また上下側地１，２の間には、中綿として獣皮
である羊毛皮４が収納されている。この羊毛皮４
は複数個の羊毛皮片４ａからなつている。そして
各羊毛皮片４ａは、夫々四辺形をなし、略上下側
地１，２の大きさになるように、その周縁部どう
しを互いに接して配置され、かつ、その配置され
た状態で多頭ミシンにより各羊毛皮片４ａどうし
の周縁部１２に直交して一定の間隔で縦横に直線
的に縫われ（縫い目１３）互いに連設されてい
る。

そして、更に上下皮地１，２及び羊毛皮４は、
一定の間隔で、長手方向に縫い合わされてキルテ
イング５を施されている。

上記実施例の敷ふとんによると、安価な羊毛皮
片４ａを連設した羊毛皮４が中綿に使用されてい
るので獣皮の感触、吸湿性などの特性は保持され
つつ、しかも安価に製造することができる。ま
た、仮に、羊毛皮片４ａを、それらの側縁に沿つ
て縫い合わせて連設する構成とした場合には、各
羊毛皮片４ａのそれぞれについて、隣接する羊毛
皮片４ａとの位置合せ作業、縫い合わせ作業を作
業員が目視しつつ行わなければ、敷ふとんの製造
を行うことができず、作業性が悪いばかりか、作
業の自動化、機械化を図ることが難しく、作業効
率が悪いという問題がある。しかしながら本実施
例の敷ふとんによれば、羊毛皮片４ａを、それら
の側縁の交差方向に沿つて縫い合わせて羊毛皮４
を構成し、この羊毛皮４の上下に配置した側地
１，２と羊毛皮４とをキルテイング５によつて縫
い合わせているので、羊毛皮片４ａの側縁どうし
の位置合せ、縫い合わせ作業のように面倒な作業
を行う必要がなく、それぞれの縫い合わせ作業
を、自動化された多頭ミシンによつて自動的に、
極めて高速度で、短時間のうちに製造することが
可能となる。

したがつて、製造効率が高く、製造コストを低
減することことができるという利点がある。

また、羊毛皮４と上下の側地１，２とをキルテ
イングによつて互いに止着しているので、羊毛皮
片４ａの端部のうち、縫い合わせを行つていない
部分のめくれ上がりを防止することができ、敷ふ
とんとしての実用価値を向上させることができる
という利点もある。また羊毛皮４は上下の側地
１，２により被覆されているので、各羊毛皮片４
ａに色等の品質のばらつきがあつても外観上現わ
れず、各羊毛皮片４ａの品質を揃える必要がな
く、比較的品質の低い羊毛皮片を使用することが
可能となるため、この点からも製造コストの低減
を図ることができる。しかも人間の身体が直接的
に触れないので、毛部のフエルト化や、汚損を防
止することができる。さらに、本実施例の敷ふと
んによれば、羊毛皮片４ａからなる中綿が、上下
の側地によつて包まれた状態となつているので、
羊毛皮片４ａの周縁部のうちの縫い合わせていな
い部分がめくれあがることを、上下の側地によつ
て防止することができ、敷ふとんを平坦に維持し
て安眠を得ることができる。

また上下側地１，２及び羊毛皮４がキルテイン
グ５により縫合されているので、一定の間隔で縦
横に縫い合わされた各羊毛皮片４ａのめくりあが
りを一層確実に防止することができる。

次にこの考案の第２実施例に係る敷ふとんＢに
ついて説明するが、上記実施例と異なるのは、上
記実施例の敷ふとんＡの裏面側にクツシヨン体を
設けたことである。なお、同一構成部分について
は同一符号を用いてその説明を省略する。

第３図に示すように敷ふとんＡの裏面側にはク
ツシヨン体６が重ね合わされ、互いにその周縁部
をパイル地からなるまち布７を介して止着されて
いる。

クツシヨン体６は、サテン地を使用した外側地
８ａ及び通常の木綿地を使用した内側地８ｂとか
らなるふとん側地８内に木綿綿からなる中綿９が
収納され、更にキルテイング１０が施されて形成
されている。そしてこのキルテイングの縫い目に
空間１１が形成されている。

上記、敷ふとんＢによると、敷ふとんＡの裏面
側にクツシヨン体６が設けられているため中綿を
羊毛皮４だけにした場合に比べて底つき感がなく
弾力性が増し、寝心地が極めてよくなるととも
に、たと羊毛皮４の皮革部分が硬い場合もその硬
さを感じない。

またキルテイング５，１０の縫い目に空間１１
が形成されているので、保温性、クツシヨン性も
更に向上する。その他の作用効果は第１実施例の
場合と同様である。

なお、上記第１及び第２実施例においては獣皮
片として羊毛皮片を用いたが、他の種類の獣皮で
あつてもよい。また側地、まち布の生地も実施例
のものに限られない。またクツシヨン体６の中綿
は合成綿等でもよく、キルテイング１０を施さな
くてもよい。また羊毛皮片４ａの連設方法は縦横
に限らず斜め方向に縫い合わせてもよい。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案に係る敷ふとん
は、互いに隣接して配置した複数の獣皮片どうし
を、それらの周縁部に交差する方向に縫い合わせ
ることによつて互いに連結して構成された中綿
と、この中綿の上下両面に配置されて、この中綿
を被覆する側地とを備え、側地と中綿とを、キル
テイングによつて互いに止着した構成となつてい
るので、獣皮片どうしの縫い合わせ作業および側
地と中綿との止着作業を、自動化された多頭ミシ
ンによつて自動的に、極めて高速度で、短時間の
うちに製造することが可能となる。

したがつて、製造効率が高く、製造コストを低
減することができる。

また、側地と中綿とをキルテイングによつて互
いに止着したので、獣皮の端部がめくれ上がるこ
とを防止することができ、敷ふとんとしての実用
性を向上させることができる。

また、獣皮の表面を側地によつて被覆したの
で、獣皮片が表面に現れず、このため、比較的品
質の低いのもを使用することができ、更にコスト
ダウンが図れるとともに、獣皮の毛部に人間の身
体が直接ふれないので毛部のフエルト化、汚損の
防止ができ、長期間にわたつて同一品質の敷ふと
んとして使用することができるなどの効果が得ら
れる。

さらに、この考案の敷ふとんでは、獣皮片から
なる中綿が、上下の側地によつて包まれた状態と
なつているので、獣皮片の周縁部のうちの縫い合
わせていない部分がめくれあがることを、上下の
側地によつて防止することができ、敷ふとんを平
坦に維持して安眠を得ることができるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、この考案に係る敷ふとん
の第１実施例を示すもので、第１図は一部破断斜
視図、第２図は第１図−線部分の一部断面
図、第３図は、この考案に係る敷ふとんの第２実
施例の一部断面図である。 １，２，８ａ，８ｂ……側地、４ａ……羊毛皮
片、Ａ，Ｂ……敷ふとん。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに隣接して配置した複数の獣皮片どうし
   を、それらの周縁部に交差する方向に縫い合わせ
   ることによつて互いに連結して構成された中綿
   と、この中綿の上下両面に配置されて、この中綿
   を被覆する側地とを備え、前記側地と中綿とは、
   キルテイングによつて互いに止着されていること
   を特徴とする敷ふとん。