JPH0438750Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車等の車両用に特に適するリン
ライニングシートの微調整装置に関する。

（従来の技術） 車両、特に自動車のリクライニングシートに
は、傾斜角度を調整した背もたれをさらに微調整
するための手段が設けられているものがある。従
来のこの種微調整装置では、シートの座部に固定
された座部プレートに、横枢軸ピンにより、背も
たれに固定された背もたれプレートが枢着され、
背もたれプレートには、座部プレート側のラチエ
ツトにかみ合う係合歯部を有するセクター部材が
前記横枢軸まわりで回動自在に装着されている。
セクター部材は、通常は背もたれプレートに対し
て不動状態にあるが、微調整時には背もたれプレ
ートに対して前記横枢軸まわりで僅かに相対回転
する。

この相対回転は、背もたれプレートとセクター
部材を貫通する偏心カム付き微調整ピンの回動に
よりなされる。この微調整ピンにはそれに直交す
るように環状板が一体的にはめ込まれ、この環状
板の周縁の一部に微調整ピン回動用の把手が突設
され、また環状板の周縁には環状配列の一連の突
起が板面から突出するように設けられている。そ
して、これらの突起の一部に弾発的に係合する弾
性係合部材が板面に沿つて設けられている（実開
昭51−11146号公報参照）。そして、かかる構造に
より把手を用いて微調整ピンを回動させると、背
もたれプレートとセクター部材が相対回転し、前
記弾性係合部剤が環状板の異なる突起に係合し、
セクター部材の新しい相対回転位置が保持され
る。

（考案が解決しようとする課題） この従来の微調整装置では、振動等の繰返し外
力が作用すると、環状板の突起と弾性係合部材の
係合がはずれ、係合位置のずれが起き易いという
問題がある。

本考案はかかる問題を解消することを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案によれば、偏心カムを有する微調整ピン
の軸部に、背もたれプレートの面に沿う状態で微
調整ハンドルが固定され、微調整ハンドルと背も
たれプレートの間に挟圧された状態で皿ばねが介
装され、この皿ばねは椀状をなすとともに半径方
向外方へ突出する複数の翼片を備え、この各翼片
の周縁部には、前記微調整ピンの軸部を中心とす
る円弧に沿つて複数の係合突起が所定の間隔で形
成され、背もたれプレートの面には、前記複数の
係合突起が同時に弾発的に係合する多数の係合凹
所が前記軸部を中心とする円弧に沿つて前記所定
の間隔と同じ間隔で形成され、各翼片は微調整ハ
ンドルによつて背もたれプレートの前記係合凹所
へ向かつて弾圧され、前記微調整ピンの偏心カム
は、前記セクター部材に形成した円形孔内に回転
摺動可能にはめ込まれている。

（作用） このように、挟圧により背もたれプレートの面
に圧接される皿ばねの翼片の周縁部に複数の係合
突起を設け、それを背もたれプレートの面上の多
数の係合凹所の一部に同時に係合させることによ
り、係合突起は、複数個所で常に係合凹所内へ押
圧され、振動などの外力で簡単に係合がはずれて
位置擦れが起き、微調整位置が狂うことはない。

（実施例） 以下、図面によつて本考案の実施例を説明す
る。

第１図において、２は座部プレートでリクライ
ニングシートの座部の側面後部にボルトなどによ
り固定される。また、３はリクライニングシート
の背もたれの側面下部にボルトなどにより固定さ
れた背もたれプレートである。背もたれプレート
３は背もたれが前方へ傾けられると、３′で示す
ように傾く。背もたれの回動を可能にするため
に、背もたれプレート３は横枢軸ピン４により座
部プレート２に枢着されている。

背もたれプレート３の基部にはセクター部材５
が設けられている。セクター部材５は、前述の横
枢軸ピン４のまわりに装着され、そのまわりで幾
分かの回動変位を行えるようになつている。セク
ター部材５は背もたれプレート３の背後に設けら
れ、横枢軸ピン４を中心とする円弧状の係合歯部
６を有している。

背もたれプレート３に対するセクター部材５の
回動変位を可能にするために、第２図に示すよう
にセクター部材５の上部両側にばか孔８，８が設
けられ、これらのばか孔８，８に、背もたれプレ
ート３の表面から挿通したリベツト９の軸部が比
較的大きな遊〓をもつて挿通されている。リベツ
ト９の一端側は背もたれプレート３に固定され、
他端側は、第２図においてセクター部材５の背後
にある支板１０に固着されている。第３図に示す
ように、背もたれプレート３と支板１０は、リベ
ツト９により一体的にしかも一定の間隔をおいて
固定され、その間にセクター部材５が位置するこ
とになる。

背もたれプレート３、セクター部材５および支
板１０の形状は第４図に示す通りであり、これら
は横枢軸ピン４を通すための孔１１，１２，１３
をそれぞれ有している。孔１１，１３は長孔であ
り、孔１２は丸孔である。また座部プレート２の
形状も同図に示す通りで、横枢軸ピン４を通す孔
１４を有している。背もたれプレート３と支板１
０はさらにスペーサピン１５によつても連結され
ている。

第２図および第４図に示すように、セクター部
材５には、ばか孔８，８の間に円形の受孔１７が
形成されている。そして、この円形受孔１７に
は、第３図に示すように微調整ピン１９が挿通さ
れている。この微調整ピン１９は、軸部１９ａ，
１９ａと、それに対し偏心した円柱形偏心カム１
９ｂと、一方の軸部１９ａに続く角軸部１９ｃと
からなつており、軸部１９ａ，１９ａは背もたれ
プレート３および支板１０に挿通され、偏心カム
１９ｂは前記受孔１７内に回転摺動可能に挿通さ
れている。

微調整ピン１９の角軸部１９ｃには、第３図に
示すように微調整ハンドル２１の基端がはめ込ま
れて固定される。微調整ハンドル２１は、その裏
面と背もたれプレート３の面との間に間隔を有
し、その間に浅い椀状の皿ばね２２が第３図に示
すように介装されている。皿ばね２２は、第４図
に示すように中央に角孔２２ａを有し、また微調
整ハンドル２１も基端に角孔２１ａを有し、これ
らの角孔２２ａ，２１ａは微調整ピン１９の角軸
部１９ｃにはめられている。

皿ばね２２は微調整ハンドル２１と背もたれプ
レート３の間で挟圧されるとともに、その周縁に
直径方向に対向した１対の突出状翼片２３，２３
を有している。翼片２３には、第５図に示すよう
に背もたれプレート３の面へ向かつて係合突起２
４が形成されている。係合突起２４は第１図およ
び第２図に示すように例えば各翼片２３について
複数個設けられ、これらの係合突起は微調整ピン
１９の軸部１９ａを中心とする円弧に沿つて所定
の間隔をおいて配置されている。

係合突起２４に係脱自在に、背もたれプレート
３の面には一連の多数の係合凹所２５が形成され
る。これらの係合凹所２５は、第６図に示すよう
に複数の係合突起２４に同時に係合可能な間隔で
形成され、しかも第１図に示すように、微調整ピ
ン１９の軸部１９ａを中心とする円弧に沿つて配
列される。

微調整ハンドル２１の基端には、間隔をおいて
１対の突部２７，２７が第１図に示すように形成
され、これら突部２７，２７の軌跡上にストツパ
２８が背もたれプレート３上で突設される。

第１図に示すように、座部プレート２にはピン
３０によつてラチエツト３１が枢着され、その先
端の歯部３２がセクター部材の係合歯部６とかみ
合つている。これは、ばね３２によるラチエツト
３１の時計方向付勢により可能になる。このかみ
合いにより、座部プレート２に対し、セクター部
材５および座部プレート３は回動しない。そし
て、操作レバー３３を手で軸３４まわりに押下げ
るとピン３５を介してラチエツト３１が反時計方
向に回動変位し、その歯部３２が係合歯部６との
かみ合い状態を解かれるので、背もたれプレート
３および背もたれの角度を変えることができる。
角度をセツトした後、ラチエツト３１の歯部３２
を係合歯部６に再びかみ合せれば、背もたれの角
度は不変となる。

この状態で背もたれの角度を微調整するには、
微調整ハンドル２１を第１図においていずれかの
方向に手で回動させる。これによつて、それと一
体的な皿ばね２２も回動し、その時その翼片２３
の複数の係合突起２４は複数の係合凹部２５の間
の山を乗越えて移動し、異なる複数の係合凹所２
５内に弾発的に同時に係合する。

この時、微調整ピン１９も同時に回動し、その
偏心カム１９ｂは、受孔１７を介して、セクター
部材５を横枢軸ピン４まわりで第２図の矢印Ａで
示すいずれかの方向に回転変位させる。したがつ
て、背もたれプレート３および背もたれは横枢軸
ピン４まわりで僅かに回動し、その傾斜角度が微
調整される。セクター部材５はその回転変位時に
偏心カム１９ｂにより上下動しなければならない
ので、それを可能にするために孔１１，１３が長
孔とされる。

（考案の効果） 本考案では、以上のようにして微調整を行う時
に、皿ばねが背もたれプレートの係合凹所に挟圧
力により押付けられているので、微調整後皿ばね
の係合突部が係合凹所からはずれることがなく、
振動等の外力による微調整位置がずれことが防止
される。また、本考案では、特に皿ばねの外方へ
突出する複数の翼片に複数個の係合突起を所定間
隔で円弧状に配列し、一方、それに係合する係合
凹所も同じ間隔で円弧状に多数配列してあるの
で、微調整操作により係合突起が係合する係合凹
部が変わつても、常に複数の係合突起が係合凹部
に係合し続けるので、１個所の係合が外れそうに
なつても他の個所の係合がそれを阻止し、振動等
によりそれらの係合が外れることが阻止され、係
合の確実性が高まる。また、浅い椀状の皿ばねが
微調整ハンドルと背もたれプレートの間で挟圧さ
れているので係合突起の係合凹所内への押しつけ
力は強力で、係合がさらに確実なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のリクライニングシート微調整
装置の側面図、第２図は同装置の要部のみを示す
拡大一部断面図、第３図は第２図の−線断面
図、第４図は本考案の装置の分解斜視図、第５図
は第３図の−線断面図、第６図は背もたれプ
レートの係合凹部に沿う断面部分図である。 ２……座部プレート、３……背もたれプレー
ト、４……横枢軸ピン、５……セクター部材、６
……係合歯部、８……ばか孔、９……リベツト、
１０……支板、１７……円形受孔、１９……微調
整ピン、１９ａ……軸部、１９ｂ……偏心カム、
２１……微調整ハンドル、２２……皿ばね、２３
……翼片、２４……係合突起、２５……係合凹
所、３１……ラチエツト、３２……歯部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 座部に固定された座部プレートと、この座部プ
   レートに対し横枢軸ピンにより基端で枢着される
   とともに背もたれに固定された背もたれプレート
   と、前記横枢軸ピンまわりに支持されるととも
   に、前記背もたれプレートに対して横枢軸ピンま
   わりに相対回動変位可能に装着され、かつ横枢軸
   ピンと同心的な円弧状係合歯部を周縁部に有する
   セクター部材と、座部プレートに変位可能に装着
   され、前記円弧状係合歯部に係脱可能にかみ合う
   歯部を有するラチエツトと、ラチエツトの操作手
   段と、背もたれプレートに前記横枢軸ピンに平行
   に設けた受孔と、この受孔に回動自在に貫挿支持
   された軸部およびこの軸部に偏心状態で連なる円
   柱形偏心カムよりなる微調整ピンと、この微調整
   ピンの軸部に背もたれプレートの面に沿う状態で
   連結され微調整ピンを回動させる微調整ハンドル
   と、微調整ハンドルと背もたれプレートの間で挟
   圧され、微調整ピンの軸部に一体的にはめ込まれ
   た浅い椀状の皿ばねとを備え、皿ばねは半径方向
   外方へ突出する複数の翼片を備え、この各翼片の
   周縁部には、前記微調整ピンの軸部を中心とする
   円弧に沿つて複数の係合突起が所定の間隔で形成
   され、背もたれプレートの面には、前記複数の係
   合突起が同時に弾発的に係合する多数の係合凹所
   が前記軸部を中心とする円弧に沿つて前記所定の
   間隔と同じ間隔で形成され、各翼片は、微調整ハ
   ンドルによつて背もたれプレートの前記係合凹所
   へ向かつて弾圧され、前記微調整ピンの偏心カム
   は、前記セクター部材に形成した円形孔内に回転
   摺動可能にはめ込まれていることを特徴とするリ
   クライニングシートの微調整装置。