JPH043868Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、貨客兼用車等において用いられる、
前傾可能のリヤシートの支持装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 貨客兼用車では、リヤシートを前傾させて荷室
を広くとることがある。この場合、背当部を座部
の上に重ねる状態にし、その状態で座部を前方に
略90°起こして起立状態にし、その姿勢を適当な
ロツク手段でロツクすることになる。（このとき
のリヤシートの姿勢については第１図の実線で表
わしたものを参照）。このロツク装置としては、
ブラケツトとレバーおよび板ばねを用いた実公昭
54−9481号公報記載のものがあり、またこれとは
別に、背当部上端裏側と床板との間をバンドとフ
ツクとを用いて結合するようにしたものがある。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来技術のうちの前者のものは、リヤ
シートを前傾させたときのロツクが確実であり、
また操作性もよいものであるが、構造をさらに簡
略化できる余地を残しており、後者のものは、構
造は簡単であるが、なにぶんにも外観性が悪く、
また手作業でバンドをフツクに掛ける必要があつ
て煩雑である問題があつた。本考案はこれらの問
題を解決することを目的として成されたものであ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するための手段とし
て、リヤシートの支持装置の構造を、リヤシート
の座部先端下面と床の上面との間にヒンジを設
け、該ヒンジにより前記リヤシートを前傾させ得
るようにした車輛において、前記ヒンジを、リヤ
シートの座部から下方に突出させたブラケツトと
床面から突出して前記ブラケツトに軸着されるブ
ラケツトとの両ブラケツトで形成し、該両ブラケ
ツトの外周部の前記軸着部から同一の距離のとこ
ろに凹溝を設けて該凹溝に嵌合する力を有するロ
ツクスプリングを係合させ、前記ブラケツトの一
方に、前記スプリングを凹溝から脱出させるレバ
ーを軸着したものとしたことである。

（作用） このような構成とすれば、もともとヒンジとし
て必要な上下両方のブラケツト（シートの両側部
においてそれぞれ設けられる）と軸に加えて、ロ
ツクスプリングとロツクを解除するレバーのみを
設ければよいので構造が簡単となり、また操作も
ロツク解除のときにレバーを回動させるのみでよ
いことになるので、操作性が著しく向上すること
になる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図について説明す
る。まず第１図において１はリヤシートであつ
て、２はその座部、３は背当部、４は座部２と背
当部３とを結合するヒンジ、５は車輛の床、６は
この床５にリヤシート１を前傾自在に支持する本
考案に係るヒンジ、７はリヤシート１の脚であ
る。第２図に示すものはロツクスプリング８であ
つて、１本のバネ鋼を略コ字状に、すなわち、中
間部８ａと、この中間部８ａの両端から交差方向
に延長したアーム部８ｂ，８ｃと、このアーム部
８ｂ，８ｃの先端を内側に折り曲げた係止部８
ｄ，８ｅとを有するような形状としたものであ
る。アーム部８ｂとアーム部８ｃとは長さが変え
てある。

第３図以降の図は、第１図のヒンジ６を拡大し
て示したものである。これらの図において９，１
０はブラケツトである。ブラケツト９はリヤシー
ト１の座部２から下方（着座できる状態で下方）
に突出させた板状のものであり、ブラケツト１０
は床面（床５の図示省略）から上方に向けて突出
させた板状のものである。

これらブラケツト９，１０は軸１１で軸着さ
れ、ブラケツト１０に対してブラケツト９が回動
自在となつている。そして両ブラケツト９，１０
の外周部の軸着部から同一の距離のところには、
それぞれ凹溝１２，１３，１４が設けられ、（第
６図参照）ブラケツト１０側の凹溝１４から所定
距離はなれたところのブラケツト１０の２個所に
は、孔１５，１６が穿設されている。この孔１
５，１６には前述したロツクスプリング８の係止
部８ｄ，８ｅが挿入されて係止する。ロツクスプ
リング８はこのように係止したとき、アーム部８
ｂ，８ｃの長さが異なることに基因して捩り力が
発生し、この力が中間部８ａを凹溝１２，１３，
１４に嵌合する方向に作用することになる。

床側に設けられたブラケツト１０には、後端を
ロツクスプリング８のアーム部８ｂに接触させた
レバー１７が軸１８によつて軸着されている。し
たがつてこのレバー１７を所定の方向（図におけ
る時計方向）に回動させれば、ロツクスプリング
８は押されて、ブラケツト１０の凹溝１４と、ブ
ラケツト９の回動位置によつてそのとき凹溝１４
に重合している凹溝１２または凹溝１３に嵌合し
ているロツクスプリング８は上記凹溝から脱出す
ることになる。

次に、このように構成されたこの装置の作動を
説明する。第１図に破線で示す着座状態から荷室
を広くするためにリヤシート１を折り畳むには、
まず背当部３を矢印方向に倒し、次にこれら全体
をヒンジ６を中心にして同方向に倒す（図におい
ては左方が車両輛の前部なので前傾となる）。こ
のようにして第１図に実線で示すような状態とな
つた場合、ブラケツト９の凹溝１３はブラケツト
１０の凹溝１４に合致する。そこでロツクスプリ
ング８の中間部は８ａはこれら凹溝１３，１４に
嵌入し、ストライカの作用をしてリヤシート１を
その姿勢に保持することになる（第３図の状態）。

リヤシート１を着座状態に戻すには、第４図に
示すようにレバー１７を時計方向に回動させ、そ
の後端でロツクスプリング８を押圧し、中間部８
ａを凹溝１３，１４から脱出させる。この状態で
座部２に手を掛けてブラケツト９を軸１１を中心
にして時計方向に回動させ（第５図参照）。ある
角度（座部２が着座に適した角度）回動すると凹
溝１４が凹溝１２と合致し、ロツクスプリング８
はそれ自体の弾発力でこれら凹溝１４，１２に嵌
合し、その状態を保持することになる。以上の操
作において凹溝１２，１３の形状を、図示するよ
うにブラケツト９を時計方向に回動させる側で緩
やかなものとすれば、リヤシート１を前傾すると
きにはレバー１７の操作は行わないで済むことに
なる。

（考案の効果） 本考案は上述のように構成したものであるか
ら、１本のバネ鋼を折り曲げて形成できるロツク
スプリングにより、ロツクに必要なスプリング機
能とストライカの機能を同時に果し得るので、部
品数も少ない簡単な構造となり、軽量化とコスト
ダウンが図れることになる。そして操作が簡単
で、確実なロツク機能を得られることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したリヤシートの側面
図、第２図は本考案に係るロツクスプリングの斜
視図、第３図ないし第６図は第１図のヒンジの拡
大側面図である。 １……リヤシート、２……座部、３……背当
部、５……床、６……ヒンジ、８……ロツクスプ
リング、９，１０……ブラケツト、１１……軸、
１２，１３，１４……凹溝、１５，１６……孔、
１７……レバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リヤシートの座部先端下面と床の上面との間に
   ヒンジを設け、該ヒンジにより前記リヤシートを
   前傾させ得るようにした車輛において、前記ヒン
   ジを、リヤシートの座部から下方に突出させたブ
   ラケツトと床面から突出して前記ブラケツトに軸
   着されるブラケツトとの両ブラケツトで形成し、
   該両ブラケツトの外周部の前記軸着部から同一の
   距離のところに凹溝を設けて該凹溝に嵌合する力
   を有するロツクスプリングを係合させ、前記ブラ
   ケツトの一方に、前記スプリングを凹溝から脱出
   させるレバーを軸着したことを特徴とするリヤシ
   ートの支持装置。