JPH0438273B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ 本発明は鉄筋コンクリート造の耐震壁に関す
る。

≪従来の技術≫ 鉄筋コンクリートラーメン構造の建物では、柱
と梁で構成した架構内に鉄筋コンクリート壁を設
置するのが一般的である。

遮音性、施工の容易性などの点で充分に高い信
頼性が得られるからである。

≪発明が解決しようとする問題点≫ しかしながら、鉄筋コンクリート壁は剪断剛性
が大きいことから剪断力の集中を受けやすく、振
動エネルギーの吸収という点では必ずしも理想的
であるとは言えなかつた。鉄筋コンクリート造
（以下RC造）の高層建築物を構築する場合には特
にこの点が建物全体の重量増加と相俟つて剛構造
ゆえに却つて好ましくないのである。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであつ
て、その目的は柔構造による耐震特性を具備した
鉄筋コンクリート造の鋼板耐震壁を提供するにあ
る。

既存のRCラーメン内に剛構造壁を構築して補
強するのではなく、柔構造壁を具備したRCラー
メン構造建築物を構成するものである。

≪問題点を解決するための手段≫ 上記目的を達成するために、本発明に係る鉄筋
コンクリート造の鋼板耐震壁は、RCラーメンの
架構に沿つて埋設される複数の埋込みアンカー
と、この埋込みアンカー間に渡設され該埋込みア
ンカーの露出部に一体的に固設された補強鋼板お
よび該補強鋼板から前記架構内に向けて突出形成
された側板とからなる長手通し状のＴ字状断面を
有する取付金物とを備え、前記壁板の端部を前記
取付金物の側板に重ね合わせ溶接してなることを
特徴とする。

≪作 用≫ RC造建築物の耐震壁が弾力性のある鋼板で構
成してあるため、地震に抵抗して建物の変形をで
きるだけ少なくすることによる過度の剪断力集中
を受けるのではなく、変形して振動エネルギーを
吸収し、弾力的に紡錘型の復元力特性を得てい
る。

≪実施例≫ 以下、本発明の好適な実施例について図面を参
照にして詳細に説明する。

第１図に鋼板耐震壁１の一部正面を示し、柱２
と梁３とが交差するRCラーメン内に鋼製壁板４
を取着している。この取着構造の詳細は次のよう
になつている。

梁３の上下には頭頂部を膨出させたボルト状の
埋込みアンカー５の一端部が梁３の表面に沿つて
他の部材を溶接できる程度だけ突出するように一
定の間隔でこれを多数本配している。同様に柱２
の側面にも埋込みアンカー５を配している。

上記埋込みアンカー５は夫々梁３と柱２とが構
成するラーメン架構内面に他端部を臨ませて突出
されており、この埋込みアンカー５の露出部間に
鋼製壁板４取付け用の取付金物６が一体的に固設
される。取付金物６は、埋込みアンカー５間に渡
設されてその露出部に溶接固定された補強鋼板６
ａ、および補強鋼板６ａからラーメン架構内に向
けて突出形成された側板６ｂとからなり、長手通
し状のＴ字状断面を有している。

このように柱２または梁３に埋設した埋込みア
ンカー５に固設された取付金物６の側板６ｂと、
鋼製壁板４の端部とを重ね合わせてスミ肉溶接す
ることにより、鋼製壁板４がラーメン架構内に固
定される。

鋼製壁板４の撓みに対する弾力的復元力を補強
するため、その両面には縦横方向にリブ８を設け
ている。リブ８は帯鋼を縦横に溶接して得てい
る。

第２図に第１図中の−矢視線方向にみた端
面を示す。図から理解できるように、埋込みアン
カー５の端部にラーメン内に当接させた補強鋼板
６を設け、補強鋼板６と一体に取付けた側板７に
鋼製壁板４を溶接している。

したがつて、側板７及び補強鋼板６は予め埋込
みアンカー５と一体に構成しておいてもよい。

このような構成において、RCラーメン内の捩
れや地震入力に対して鋼製壁板４は適度に補強鋼
板６に反力をとりながら撓んで応力を吸収する。

≪効 果≫ 以上詳しく述べたように、本発明に係る鉄筋コ
ンクリート造の鋼板耐震壁は、RC造ラーメンの
架構内に先端を若干突出させて配した埋込みアン
カーがあるので、これにより柱、梁と鋼製壁板と
を後から一体に結合することができる。また、
柱、梁の表面に密着させて埋込みアンカー間に渡
設した補強鋼板を設けているので、埋込みアンカ
ーにかかる支圧応力の分散は勿論の事、鋼製壁板
の捩れ等によるアンカーへの曲げモーメント等を
原因とするRCラーメン内に臨むコンクリート表
面の破壊防止に有効である。更に、埋込みアンカ
ーと補強鋼板とを設けることによつて埋込みアン
カーと鋼製壁板との取合いが容易であり、構成も
極めて簡略になつている。

鋼製壁板４には両面に格子状のリブが形成され
ているので、鋼製壁板４の厚さおよびリブの数や
厚さを調整して弾性または剛性を任意に設定する
ことにより、地震エネルギーを効果的に吸収する
と共に、柱、梁の剪断破壊に対する補強を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は梁と柱とで囲む開口部に設けた鋼板耐
震壁の隅角部を示す正面図、第２図は第１図中の
−矢視線で示す端面図である。 １……鋼板耐震壁、２……柱、３……梁、４…
…鋼製壁板、５……埋込みアンカー、６……取付
金物、６ａ……補強鋼板、６ｂ……側板、８……
リブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鉄筋コンクリート造ラーメンの架構内に鋼板
   製の壁板を取付けてなる鉄筋コンクリート造の鋼
   板耐震壁であつて、前記ラーメンの架構に沿つて
   埋設される複数の埋込みアンカーと、この埋込み
   アンカー間に渡設され該埋込みアンカーの露出部
   に一体的に固設された補強鋼板および該補強鋼板
   から前記架構内に向けて突出形成された側板とか
   らなる長手通し状のＴ字状断面を有する取付金物
   とを備え、前記壁板の端部を前記取付金物の側板
   に重ね合わせ溶接してなることを特徴とする鉄筋
   コンクリート造の鋼板耐震壁。 ２ 前記壁板の表裏両面には、補強用のリブを格
   子状に設けてなることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の鉄筋コンクリート造の鋼板耐震
   壁。