JPH0437315Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、主に映像信号を磁気テープに記録
（又は再生）する回転ヘツド型磁気記録再生装置
（以下VTRと呼する。）に関する。

従来の技術 従来VTRは、カセツト内に収納された磁気テ
ープを引き出し、ビデオヘツドを内蔵した回転ヘ
ツド装置等に案内し、所定の磁気テープ走行パス
を形成させて磁気テープを走行させ、映像信号等
を記録（又は再生）する構成が一般的である。

近年VTRの高画質化が進行し、例えば従来の
NTSC映像信号の２倍の水平走査線を有する高品
位VTRやNTSC映像信号をＡ／Ｄ変換して磁気
テープにデジタル記録するデジタルVTR等の提
案がなされている。これらの高品位VTRやデジ
タルVTRでは、従来のVTRに対して高周波の信
号を記録（又は再生）する必要があり、内蔵され
ているビデオヘツドの回転数は従来のVTRのビ
デオヘツド回転数（1800rpm）に対して４〜５倍
の高速回転が要求される。（例えば、特開昭59−
174076号公報）またこれらの高速回転型VTRに
使用する磁気テープは従来のVTRに対して薄形
化傾向にあり、例えば全厚５〜6μｍの薄形磁気
テープを使用する必要がある。

以下従来例の薄形磁気テープを使用した高速回
転型VTRについて第７図〜第１０図を用いて説
明する。第７図は従来例の高速回転型VTRの要
部平面図であり、カセツト（図示せず）から引出
された磁気テープ１はテープガイド２、消去ヘツ
ド３、テープガイド４、ビデオヘツド５，５′の
内蔵された回転ヘツド装置６、テープガイド７，
オーデイオ・コントロールヘツド８、キヤプスタ
ン９の順でテープ走行パスを形成する。１０はピ
ンチローラを示す。第８図は、磁気テープ１と回
転ビデオヘツド５，５′との接触状態を示す断面
図であり、６ａは外側に磁気テープ１を巻付け案
内する外周面１１が設けられた回転上ドラムを示
す。１２はビデオヘツド取付けベースで１３のビ
スにより回転上ドラム６ａの下面に突出して締め
付け固定されている。ビデオヘツド取付けベース
１２の一端にはビデオヘツド５，５′が接着固定
されている。ビデオヘツド５，５′の先端は回転
上ドラム６ａの外周面１１から距離ｌ（数10μｍ）
だけ突出して一体回転する構成である。６ｂは固
定下ドラムで、外周に磁気テープ１を巻付け案内
する固定走行面１４と磁気テープ１の走行高さ位
置をヘリカル状に規制するリード部１５が設けら
れている。固定走行面１４の外径寸法は回転上ド
ラム６ａの外周面１１の外径寸法とほぼ同等に設
定されている。従がつてビデオヘツド５，５′の
先端は固定下ドラム６ｂの固定走行面１４からも
距離ｌだけ突出している。

以上述べた従来例の高速回転型VTRで映像信
号を記録（又は再生）する場合には第７図のビデ
オヘツド５，５′を矢印ａ方向に、キヤプスタン
９を矢印ｂ方向にそれぞれ回転させ、回転してい
るキヤプスタン９に磁気テープ１を挟んでピンチ
ローラ１０を押圧すれば、キヤプスタン９とピン
チローラ１０との共働作用で磁気テープ１が矢印
ｃ方向に走行開始する。この状態でビデオヘツド
５，５′に記録映像信号を供給すれば第９図に示
す如く、矢印ｃ方向に走行している磁気テープ１
に順次傾斜した磁化トラツク５−１，５′−１が
矢印ａ−１方向に形成される。

考案が解決しようとする問題点 以上の如く構成された従来の高速回転型VTR
によれば、ビデオヘツド５，５′の回転速度が通
常のVTR（1800rpm）に対して４〜５倍の
9000rpm程度に至る。そしてビデオヘツド５，
５′と一体回転する回転上ドラム６ａに巻付け案
内された磁気テープ１の接触状態は第８図に示す
如く磁気テープ１の下側１ｂがビデオヘツド５，
５′の先端を超えて浮上することに成る。この原
因は、通常のVTRのビデオヘツドに対して回転
速度が４〜５倍に増大している理由で、磁気テー
プ１とビデオヘツド５，５′との接触が高速に成
り、特に第７図の矢印ｄで示す如く回転ヘツド装
置６の磁気テープ巻付開始部分においてビデオヘ
ツド５，５′の先端が磁気テープ１の下側１ｂを
外側に押圧変形させる変形量が増大する。この結
果、第８図に示すビデオヘツド５，５′と磁気テ
ープ１との接触状態に至り、ビデオヘツド５，
５′の先端部下側には隙間ｈが発生する。従がつ
て、ビデオヘツド５，５′で記録された磁化トラ
ツクは第９図の５−１，５′−１に示す如く磁化
開始部分に未記録部５−２，５′−２が発生し、
VTRの再生状態におけるビデオヘツド５（又は
５′）からの再生信号は第１０図に示す如く５−
３部分で出力低下に成り、再生信号のＳ／Ｎ比が
劣化する問題点があつた。

この問題点を解決する手段としては磁気テープ
１のテープテンシヨンを増大させて第８図に示す
ビデオヘツド５，５′の先端と磁気テープ１の下
側１ｂとの接触による磁気テープ１の変形量を減
少させる対策が考えられるが、使用する磁気テー
プ１の全厚は５〜6μｍの薄形であり、磁気テー
プ１のテープテンシヨンを増加させれば、ビデオ
ヘツド５，５′との接触圧力も増加し、磁気テー
プ１及びビデオヘツド５，５′の摩耗を早める等
の新規な問題点発生に至つていた。

本考案は、従来の問題点を除去し磁気テープの
テンシヨンを増加することなく安定な磁気テープ
とビデオヘツドとの接触状態を保ち、高品位な再
生信号を可能にする高速回転型VTRの提供を目
的とする。

問題点を解決するための手段 本考案は、ビデオヘツドを配設し、回転可能な
外周面に磁気テープを巻き付け案内する回転ヘツ
ド装置と、磁気テープを回転ヘツド装置に案内す
るテープガイドと、回転ヘツド装置の外周面に対
し所定量離間した回転ヘツド対向面からテープガ
イドと回転ヘツド装置との間に架張された磁気テ
ープに接触する磁気テープ接触面の磁気テープ幅
方向端部に臨んで空気流通穴を有する磁気テープ
端部規制ガイドとを備えた磁気記録再生装置であ
る。

作 用 本考案は、前記した構成により、VTR使用状
態において回転ヘツド装置の回転可能な外周面を
ビデオヘツドとともに回転させ、これにより発生
する外周面周辺の空気流を回転ヘツド装置の外周
面に対し所定量離間した回転ヘツド対向面を有す
る磁気テープ端部規制ガイドに配設された空気流
分離端部で分離し、回転ヘツド装置の外周面と回
転ヘツド対向面との間に流入する空気流を減少さ
せる。次いで磁気テープ端部規制ガイドの回転ヘ
ツド対向面からテープガイドと回転ヘツド装置と
の間に架張された磁気テープに接触する磁気テー
プ接触面の磁気テープ幅方向端部の間に設けら
れ、その磁気テープ接触面の磁気テープ幅方向端
部から回転ヘツド対向面に向けて拡大する断面を
もつ空気流通穴部において回転ヘツド装置の外周
面と回転ヘツド対向面との間隔は拡大され、この
部分での空気圧力が減少する。そして磁気テープ
は外側の空気圧力によつて磁気テープ接触面の空
気流通穴部に押圧され、開口部を閉ざすことに成
る。これに伴つて磁気テープ接触面に接触してい
る磁気テープ端部を空気流通穴に吸引する吸引力
が発生する。この結果、回転ヘツド装置の磁気テ
ープ巻付け開始部における磁気テープ幅方向変形
に対する抗力が増加し、ビデオヘツドとの接触に
よる磁気テープ下側の押圧変形量が減少し、隙間
の無い安定なビデオヘツドと磁気テープとの接触
状態が得られる。

実施例 以下本考案の一実施例を図面とともに説明す
る。なお第７図〜第１０図の従来例と同一番号、
同一符号のうち、本考案と直接関係の無い部分は
重複説明を省略する。

第１図は本考案における一実施例の高速回転型
VTRの要部平面図であり、１６は回転ヘツド装
置６の磁気テープ巻付け開始部附近に至る回転上
ドラム６ａの外周面１１の周辺に設けられた磁気
テープ端部規制ガイド、１７は回転上ドラム６ａ
の外周面１１との間に所定の隙間１８を介して磁
気テープ端部規制ガイド１６に設けられた回転ヘ
ツド対向面、１９は回転ヘツド対向面１７の下側
に設けられ、ビデオヘツド５，５′が非接触で案
内される凹状溝、２０は磁気テープ端部規制ガイ
ド１６の空気流分離端部２１で分離された空気流
の一方を回転ドラム６ａの外側方向に導びくため
の分離壁面、２２はテープガイド４と回転ヘツド
装置６との間に架張された磁気テープに接触する
如く設けられた磁気テープ接触面、２３，２４は
回転ヘツド対向面１７から磁気テープ接触面２２
の磁気テープ幅方向端部に臨んで設けられた空気
流通穴で、図示の２本の破線で示される如く、回
転ヘツド対向面１７側の開口部が磁気テープ接触
面２２側の開口部に対して大きくなるよう設定さ
れている。２５は磁気テープ端部規制ガイド１６
を固定下ドラム６ｂ（図示せず）に締め付け固定
するビスを示す。第２図は本考案一実施例の磁気
テープ端部規制ガイドの斜視図を示し、磁気テー
プ端部規制ガイド１６の磁気テープ接触面２２に
設けられた空気流通穴２３，２４の開口部は一点
破線で示される磁気テープ１の幅方向端部にそれ
ぞれ対応する如く設けられている。第３図は本考
案一実施例の磁気テープ端部規制ガイドの断面図
を示し、回転ヘツド対向面１７は回転上ドラム６
ａの外周面１１に対向して構成され、下側にはビ
デオヘツド５，５′を案内する凹状溝１９が設け
られている。また凹状溝１９の下側１９′は固定
下ドラム６ｂの外周面に密着されている。第４図
は本考案一実施例の磁気テープ端部規制ガイドに
設けられた空気流通穴の断面図を示し、空気流通
穴２３は一点破線で示される磁気テープ１の上側
端部に、空気流通穴２４は磁気テープ１の下側端
部にそれぞれ対応している。以上が本考案一実施
例の構成である。

次に本考案一実施例の動作を説明する。VTR
を使用状態にし、回転ドラム６ａを第１図で示す
矢印ａ方向に回転させれば、外周面１１の外側に
空気流が発生する。この空気流は第１図の矢印２
６に示す如く、回転上ドラム６ａの回転方向であ
る矢印ａ方向と同じ方向に発生し、回転に伴なつ
て磁気テープ端部規制ガイド１６の空気流分離端
部２１に当接する。そして空気流分離端部２１で
矢印２７の如く隙間１８と矢印２８の如く分離壁
面２０の外側とにそれぞれ案内される。分離され
た矢印２７の空気流は隙間１８を回転上ドラム６
ａの外周面１１の回転とともに進行し、空気流通
穴２３，２４部分に至る。空気流通穴２３，２４
部分に至達した空気流２７は、隙間１８を通過す
る状態に対して、回転上ドラム６ａの外周面１１
と空気流通穴２３，２４の壁面とで構成される間
隔が拡大されることにより、空気圧力が減少し、
磁気テープ接触面２２に磁気テープ１が案内され
ていなければ外側の空気が矢印２９方向に流入す
る。この状態で磁気テープ接触面２２に磁気テー
プ１が案内されれば、磁気テープ１によつて磁気
テープ接触面２２の空気流通穴２３，２４の開口
部が閉ざされる事になり、空気流通穴２３，２４
の空気圧力がさらに減少するから磁気テープ１は
外側の空気圧力によつて矢印３０方向に押圧され
ることに成る。従がつてこの状態で磁気テープ１
を矢印ｃ方向に走行させれば、磁気テープ１の幅
方向端部が空気流通穴２３，２４の磁気テープ接
触面２２の開口部に吸引規制されることに成る。
この結果、矢印３１で示す回転ヘツド装置６の磁
気テープ巻付け開始部における磁気テープ幅方向
変形に対する抗力が増加し、ビデオヘツド５，
５′との接触による磁気テープ１の下側の押圧変
形量が減少する。そして、第５図の磁気テープ１
とビデオヘツド５，５′との接触状態に示す如く、
ビデオヘツド５，５′の先端と磁気テープ１との
接触は隙間の無い安定な状態に至る。その結果、
第６図に示す如く磁気テープ１に完全な磁化トラ
ツク５−４，５′−４を形成することが可能であ
る。

考案の効果 以上述べた如く、本考案によれば回転ヘツド装
置の磁気テープ巻付け開始部におけるビデオヘツ
ドと磁気テープとの接触状態を隙間が無く安定に
することが可能であるから、磁気テープに完全な
磁化トラツクを形成するとともに出力低下の無い
高品質な再生信号が得られ、この種の高速回転型
VTRの普及に寄与出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の高速回転型VTRの
要部平面図、第２図は同磁気テープ端部規制ガイ
ドの斜視図、第３図は同断面図、第４図は同空気
流通穴の断面図、第５図は同磁気テープとビデオ
ヘツドとの接触状態図、第６図は同磁化トラツク
パターン図、第７図は従来例の高速回転型VTR
の要部平面図、第８図は同磁気テープとビデオヘ
ツドとの接触状態図、第９図は同磁化トラツクパ
ターン図、第１０図は同再生信号の波形図であ
る。 １……磁気テープ、４……テープガイド、５，
５′……ビデオヘツド、６ａ……回転上ドラム、
１６……磁気テープ端部規制ガイド、１７……回
転ヘツド対向面、２１……空気流分離端部、２２
……磁気テープ接触面、２３，２４……空気流通
穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 回転可能な外周面にビデオヘツドを配設し、こ
   の回転可能な外周面に磁気テープを巻き付けて案
   内する回転ヘツド装置と、 磁気テープを前記回転ヘツド装置に案内するテ
   ープガイドと、 前記テープガイドと前記回転ヘツド装置との間
   に架張された磁気テープに接触する磁気テープ接
   触面、前記回転ヘツド装置の回転可能な外周面と
   所定量離間した回転ヘツド対向面ならびに前記回
   転ヘツドの回転可能な外周面周辺部の空気流の回
   転ヘツド対向面への流入を制限する空気流分離端
   部を有する磁気テープ端部規制ガイドとを備え、 前記磁気テープ端部規制ガイドには、その磁気
   テープ接触面の磁気テープ幅方向端部から回転ヘ
   ツド対向面に向けて拡大する断面をもつ空気流通
   穴を配設してなる磁気記録再生装置。