JPH0437262Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術的分野〕 この考案は燃料噴射ノズルに係わり、更に詳し
くは主噴孔と副噴孔とを備えた燃料噴射ノズルの
改良に関するものである。

〔従来技術〕

一般にデイーゼルエンジンの燃焼に関する特徴
の一つとしてデイーゼルノツクが知られており、
特にデイーゼルエンジンのアイドリング時には、
所謂アイドルノツクと言われる騒音が発生する。

このアイドルノツクの発生原因としては、例え
ば第１図に示すように副室式デイーゼルエンジン
に設けられた燃料噴射ノズル１の主噴孔２から渦
流室３の内壁面４に噴射された燃料Ｇの着火遅れ
期間中に出来る可燃混合気が一時に爆発的に燃焼
して圧力が急激に上昇するためであり、特にセタ
ン価の低い燃料を使用した場合とか低温時に於け
る着火遅れが長くなつた場合には、一層大きなア
イドルノツクが発生すると言う問題があつた。

ところで、上記のようなアイドルノツクを防止
するためには、その発生原因からみて着火遅れの
期間を短縮することが必要で、一般に燃料噴射ノ
ズル１は着火遅れの期間に噴射する燃料Ｇの量を
少なくするように造られているが、その他の方法
として次にのようなことが考えられている。

セタン価の高い燃料を用いること。

シリンダ内の温度を上げること（圧縮圧力を
高くすること）。

冷却水の温度を適性にすること。

噴射時期を適性にすること。

燃料の噴射圧力及び噴霧状態を適性にするこ
と。

また従来では、燃料Ｇと圧縮空気との混合を助
長させて着火容易にする手段として、第２図に示
すように副室式デイーゼルエンジンの渦流室３
に、主噴孔２と副噴孔５とを備え、かつその始動
性を容易するピントークスノズル６を設けたもの
がある。

然し乍ら、このようなピントークスノズル６に
あつては、副噴孔５から空気流動に逆らう方向で
噴射された副噴霧ｇが燃料室内壁面４に到達する
のに時間がかかり、燃料Ｇの微粒化及び霧化を促
進させることができず燃料Ｇの着火遅れの期間を
短縮することができなかつた。

このため従来ではピントークスノズル６を用い
た副室式デイーゼルエンジンにおいてもアイドリ
ング時に於けるアイドルノツクを有効に低減する
ことができないと言う問題があつた。

そこで、前記ピントークスノズルの副噴孔を設
ける位置に溝を設け、この溝内に副噴孔を開孔さ
せると共に、その溝内に微粒化部材を設けた技術
が実開昭56−134060号公報が提案されている。し
かし、この技術の微粒化部材としてメツシユ状物
質や焼結金属のような多孔質物質などを使用して
おり、噴射された燃料が微粒化部材を通過する際
に微粒化されてシヤワー状に広がり着火し易くな
るように構成したものである。

しかしながら、この先行技術は副噴孔から噴射
される燃料は多孔質物質を通して噴射されるため
に、この多孔質物質内で燃料が炭化して目詰まり
を起こすという問題がある。また、微粒化を効果
的に行うために微細な多孔質物質を使用すると流
動抵抗が大きくなり、好ましい噴流が得られず、
逆に粗い多孔質物質を使用すると好ましい微粒化
が得られないという問題がある。

更に、副室内の渦流に順行して燃料を噴射する
主噴孔と、この渦流に逆行して予熱栓に向かつて
燃料を噴射する副噴孔とを設けた燃料噴射ノズル
が、実開昭56−105660号公報で提案されている。
この燃料噴射ノズルは主噴孔と副噴孔とを本体に
設けているが、副噴孔から噴射される燃料を衝突
させる障壁を本体に設けてはおらず、また、副噴
孔から副室内の渦流に逆行するように燃料を噴射
するものであり、アイドル時にこの副噴孔から燃
料を噴射するものではなく、従つて、着火遅れを
期間を短縮してアイドルノツクを減少させる効果
がないものである。

〔考案の目的〕

この考案は、係る従来の問題点に着目して案出
されたもので、その目的とするところはアイドリ
ング時における副噴孔から噴射される燃料の微粒
化及び霧化を促進させると共に、微粒化した燃料
が容易に着火し主噴孔から噴射される燃料の着火
を促進するように構成して、燃料の着火遅れの短
縮化を図りデイーゼルエンジンのアイドルノツク
の有効に防止し、静寂な燃焼を行なうことが出来
る燃料噴射ノズルを提供するものである。

〔考案の構成〕

前記目的を達成するためのこの考案に係る燃料
噴射ノズルは、本体に主噴孔と、この主噴孔の噴
射方向と噴射方向を異ならせて副噴孔が設けられ
ており、アイドル時には前記副噴孔のみから燃料
を噴射するするように構成した燃料噴射ノズルに
おいて、前記本体の先端部に障壁を突出して形成
し、この障壁に副噴孔から噴射される噴霧が衝突
するように副噴孔を穿孔し、更にこの副噴孔から
噴射された燃料を障壁に衝突させて跳ね返つた微
粒化燃料をスワールの流動方向に流下させるよう
に配置して構成されている。

アイドル時には主噴孔はニードルバルブの先端
で閉止されているが、この主噴孔とは異なる場所
に、方向を異ならせて副噴孔を開孔しており、従
つて、主噴孔が開口されていないアイドル時には
この副噴孔のみから副室内にスワールの流動方向
に向けて燃料が噴射されるので、着火遅れをなく
してアイドルノツクを防止することができるので
ある。

以下添付図面の第３図〜第５図に基いて、この
考案の実施例を説明する。

なお第１図及び第２図において説明した従来例
と同一構成要素は同一符号を付して説明は省略す
る。

第３図は、主噴孔２と副噴孔５とを備えたピン
トークスノズル本体６（燃料噴射ノズル本体１）
を副室式デイーゼルエンジンに実施した断面図を
示し、３はシリンダヘツド７に形成された渦流
室、４は渦流室３の内壁面、８はニードルバル
ブ、９はピストン、１０は主燃焼室である。

前記主噴孔２と副噴孔５とが形成されたピント
ークスノズル本体６の先端には、第４図及び第５
図に示すように副噴孔５から噴射される副噴霧ｇ
が衝突する半円弧状の障壁１１が突出されてい
る。この障壁１１は副噴孔５の出口５ａから所定
の距離を隔てて配設され、副噴孔５から噴射され
た副噴霧ｇが障壁１１の内壁面に衝突した後屈曲
して渦流室３の内壁面４に向い、渦流室３内のス
ワールＳの流動方向に流出して空気と混合するも
のである。

この考案は上記のように構成され、機関の始動
時、つまりアイドリング時に副噴孔５から噴射さ
れた副噴霧ｇは、副噴孔５の出口５ａから所定の
距離を隔てて配設され障壁１１の内壁面に衝突す
る。この際副噴霧ｇは、その衝撃力により微粒化
され、また微粒化された副噴霧ｇは屈曲して渦流
室３の内壁面４に向い渦流室３内の加熱された空
気と効率よく混合して短期間に霧化燃焼するもの
である。

〔考案の効果〕

本考案に係る燃料噴射ノズルは、本体に主噴孔
と、この主噴孔の噴射方向と噴射方向を異ならせ
て副噴孔が設けられており、アイドル時には前記
副噴孔のみから燃料を噴射するするように構成し
た燃料噴射ノズルにおいて、前記本体の先端部に
障壁を突出して形成し、この障壁に副噴孔から噴
射される噴霧が衝突するように副噴孔を穿孔し、
更にこの副噴孔から噴射された燃料を障壁に衝突
させて跳ね返つた微粒化燃料をスワールの流動方
向に流下させるように配置されている。

従つて、副噴孔から噴射された燃料はこの副噴
孔の直前に突出して配置されている障壁に確実に
衝突して微粒化される。そしてこの微粒化された
燃料噴霧はスワールと同じ流動方向に流下して副
室内を流動する空気と混合するので、この空気と
効率よく燃料が混合できて着火遅れの期間を短縮
できるという効果が得られる。

しかも、アイドル時にはこの副噴孔のみから燃
料が噴射されるので、着火遅れにより発生するデ
イーゼルエンジンのアイドルノツクを防止するこ
とができ、その結果、アイドルノツクに起因する
騒音を著しく低減して静寂なアイドル運転を行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の燃料噴射ノズルを使
用した副室式デイーゼルエンジンの燃焼室の断面
図、第３図はこの考案にかかる燃料噴射ノズルを
実施した副室式デイーゼルエンジンの燃焼室の断
面図、第４図は第３図のＸ部における拡大断面
図、第５図は第４図の−矢視平面図である。 １……燃料噴射ノズル（ピントークスノズル）、
２……主噴孔、５……副噴孔、６……ピントーク
スノズル本体、１１……障壁、Ｇ……燃料、ｇ副
噴霧。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体に主噴孔と、この主噴孔の噴射方向と噴射
   方向を異ならせて副噴孔が設けられており、アイ
   ドル時には前記副噴孔のみから燃料を噴射するす
   るように構成した燃料噴射ノズルにおいて、前記
   本体の先端部に障壁を突出して形成し、この障壁
   に副噴孔から噴射される噴霧が衝突するように副
   噴孔を穿孔し、更にこの副噴孔から噴射された燃
   料を障壁に衝突させて跳ね返つた微粒化燃料をス
   ワールの流動方向に流下させるように配置した燃
   料噴射ノズル。