JPH04371520A - 母材および溶接熱影響部のCTOD特性の優れた厚肉9%Ni鋼の製造法 - Google Patents
母材および溶接熱影響部のCTOD特性の優れた厚肉9%Ni鋼の製造法Info
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Abstract
め要約のデータは記録されません。
Description
AZとも言う)のCTOD特性が極めて優れた厚肉9%
Ni鋼の製造法に関するものである。
全性に対する危惧から、クリーンなエネルギー源として
天然ガスの需要が急増している。したがって、近年、L
NG貯蔵用タンクの建設が国内外で積極的に推進されて
おり、タンク建造に使用される9%Ni鋼の需要も増加
している。
大させる方向にあり、LNGタンク用材料としての9%
Ni鋼においても、従来製造されてきた板厚である30
mmを超えて40mm以上の鋼材を製造する必要が生じ
てきた。
では、脆性破壊に対する安全性確保の観点から主に母材
の靱性を向上すべく様々な製造方法が研究されてきてい
る。したがって、母材に関しては、板厚が増大しても公
知の技術で十分な靱性が確保できよう。
Zの靱性が低下するため、板厚がさらに増大すると板厚
効果による破壊靱性の低下が懸念され、今後の大容量タ
ンクの安全性をさらに向上させるためには、HAZでの
靱性のさらなる向上が必要である。
として、最近では従来の衝撃試験に替わり、破壊の発生
特性を厳密に定義するCTOD試験が導入されるように
なった。このCTOD試験は、シャルピー衝撃試験が切
欠き近傍の平均的な靱性を評価するのに比べ、疲労亀裂
先端の局所脆化域に敏感であるため、衝撃試験では影響
しないような微細な脆化組織の存在で影響を受ける。そ
の為、CTOD特性を要求されるような鋼材では局部的
な脆化組織の生成を阻止することが必要である。
Zの靱性改善の方法として、例えば、特開昭58−21
7629号公報記載のように、Cr、Mo添加、9%N
i鋼スラブを850℃以下で60%以上の累積圧下を与
える条件の熱間圧延を施した後、直ちに水冷し、続いて
550℃〜Ac1 変態点の温度で焼戻しをする方法が
ある。これは、焼入れ性の高い合金元素を添加すること
で、HAZの細粒域の靱性を低下させる上部ベイナイト
組織の生成を抑制し、強圧下圧延により高い転位密度を
導入し、マルテンサイトを微細分散させることにより靱
性の向上を図っている。また、特開昭61−23891
1号公報に記載されているように、Si0.1%以下、
P0.003%以下の9%Ni鋼スラブを熱間圧延、熱
処理を施し、オーステナイト結晶粒度番号で8.5番以
上の組織を得て熱影響部の靱性を向上させる方法もある
。これは、Si、Pの低減によりHAZ細粒域だけでな
く粗粒域まで含めた靱性の改善が図れるものである。
であるが、LNGタンク材料として従来製造されたこと
のない板厚40mm以上の鋼材を製造しようとする場合
、その効果は十分ではない。すなわち、前者ではHAZ
の靱性は向上するものの、MoやCrを添加しているた
め母材の靱性の低下を招く。また、後者はSiおよびP
を低減しHAZ靱性の向上を意図しているが、Siの低
減のために強度低下を招き、板厚40mm以上の厚肉材
の製造には適さない。また、後者では選択的にMo、C
r等の合金元素を添加しても差し支えない旨記載されて
いるが、厚肉鋼ではこのような合金元素の添加による靱
性の低下がある。したがって、上記両発明からは母材、
HAZともに靱性の優れた厚肉9%Ni鋼の製造をなし
得ない。
で、C:0.03〜0.10%、Si:0.10%以下
、Mn:0.1〜3.0%、Ni:7.5〜10.0%
、Mo:0.04〜0.5%、Al:0.005〜0.
10%、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラ
ブを850〜1200℃に加熱し、700〜850℃で
の累積圧下率が30〜80%の熱間圧延を施し、その後
、Ac3 変態点〜850℃の間に加熱して冷却する焼
入れ処理、Ac1 〜Ac3 変態点の間に加熱して冷
却する中間焼入れ処理、および550℃〜Ac1 変態
点で焼き戻す処理を行うか、あるいは熱間圧延後、直ち
に5℃/s以上の冷却速度で冷却し、その後、Ac1
〜Ac3 変態点の間に加熱して冷却する中間焼入れ処
理、および550℃〜Ac1 変態点で焼き戻す処理を
行うことを特徴とする肉厚が40mm以上の母材および
溶接熱影響部のCTOD特性の優れた厚肉9%Ni鋼の
製造法である。
母材の強度を確保しながらHAZのCTOD特性を向上
させる方法を多くの実験により検討した結果、Siの低
減と同時にMoを適量添加することで、HAZのCTO
D特性が著しく改善できる事を見いだした。
た時の強度変化に対する継手CTOD特性を示す図であ
る。試験に用いた継手の開先形状はX開先を用い、TI
G溶接により溶接を行った。また、ノッチはフュージョ
ンライン部に導入した。なお、供試鋼の化学成分は表1
に示す。低Si鋼は従来鋼に比較して靱性は優れている
が、H2鋼のように強度が低下する欠点がある。しかし
ながら、それにH3鋼のようにMoを添加すると、靱性
を阻害せずに強度の著しい向上が図れることが分かる。
が生じるため、高い安全性が要求されるLNGタンク用
鋼に用いるには母材の靱性を改善する必要がある。そこ
で、本発明者らはさらに実験を重ねた結果、Moを添加
した9%Ni鋼でも適切な製造プロセスを採用すること
で優れた靱性を付与できることを見いだした。
の(●)と何ら規制せずに実施した比較鋼(○)の母材
の靱性に及ぼす加熱温度の影響を図示したものである。 なお、本実験で用いた供試鋼は表1中のH3鋼であり、
圧延後の熱処理はすべて焼入れ:800℃、中間焼入れ
:670℃、焼戻し:575℃を実施した。
製造プロセスを用いて製造したものはいずれも優れた靱
性を示しているのに対し、圧延条件に何ら規制のない比
較鋼はスラブ加熱温度が高くなるのに伴い靱性の低下が
認められ、安定して高い靱性を得るには至っていない。
用鋼材として強度を確保しながら優れた母材、HAZ靱
性を得ようとすると、Si、Moの添加量を限定すると
同時に、適切な製造プロセスを採用することが必須であ
ることが分かる。
、転炉等の溶解炉で溶製し、連続鋳造あるいは造塊分塊
工程を経て、C:0.03〜0.10%、Si:0.1
0%以下、Mn:0.1〜3.0%、Ni:7.5〜1
0.0%、Mo:0.04〜0.5%、Al:0.00
5〜0.10%を含有するスラブを製造する。この成分
を限定した理由を以下に述べる。
03%以上の添加が必要であるが、0.1%を超えて添
加されると母材およびHAZ の靱性低下を招く。
添加は図1に示したようにCTOD特性を損なうため、
0.10%以下の添加量とする。
、0.1%以上添加しないとその効果がなく、3.0%
を超える添加では焼戻し感受性を増大させ、靱性の低下
を招く。
入れ性を増加させ、焼入れ処理後、あるいは熱間圧延後
の急冷によりマルテンサイト組織を得るために添加され
るものであり、7.5%以上の添加が必要であるが、1
0.0%を超える添加ではその効果が飽和してしまい、
その有効性が得られない。
場合、強度の上昇を図ると同時に焼戻し脆化感受性を低
下させ靱性を向上させるために添加される元素である。 したがって、0.04%以上添加されるが、0.5%を
超える添加では靱性の低下を招く。
晶粒の細粒化にも効果があるため0.005%以上の添
加が必要であるが、0.10%を超えて添加すると粗大
なAl2 O3 が生成する。
元素として多量の添加で母材、HAZの靱性を著しく低
下させるためその添加量は少ないほど良く、一般には0
.01wt%以下が望ましい。
後、あるいは造塊分塊後、高温に保持したまま、あるい
はその温度から一旦低温に冷却された後、スラブ温度が
850〜1200℃になるような加熱を行い、その後、
700〜850℃での累積圧下率が30〜80%の熱間
圧延を施す。通常、Mo添加等による強度の上昇は靱性
の低下を招くが、本発明ではそれを防止するため、加熱
、圧延を制御することで圧延後の結晶粒の細粒化を図り
、その後の熱処理工程後のミクロ組織を微細化する。 加熱温度の制約はその後の圧延工程と密接に結びついて
設けられたものであって、850℃未満の低い加熱温度
では上述の仕上げ温度の制約を守ることができず、12
00℃を超える過剰の温度では加熱γ粒が著しく粗大化
し、圧延後の結晶粒が微細化できない。
る温度での加工はオーステナイトの再結晶が瞬時に起こ
るため、圧延による細粒化を達成するためにはこの温度
以下で圧延を系統的に行う必要がある。すなわち、85
0℃以下の温度であっても、30%未満の累積圧下率で
は目的とする圧延後の組織の微細化が達成されず、80
%を超える圧下率では細粒化は達成されるものの、靱性
を阻害する集合組織が発達する。また、この集合組織は
圧延温度にも依存し、700℃未満での圧延により発達
するため、圧延温度を700〜850℃の範囲に規制す
る。
了して製造された鋼板は一旦冷却された後、Ac3 変
態点〜850℃の間に加熱して冷却する焼入れ処理、A
c1 〜Ac3 変態点の間に加熱して冷却する中間焼
入れ処理、および550℃〜Ac1 変態点での焼戻し
処理を施す。焼入れ処理は微細なマルテンサイト組織を
生成させ、後続の熱処理と有機的に組み合わせることで
優れた強度靱性を得るために行われる。従って、均一な
オーステナイト組織から冷却するためAc3 変態点以
上に加熱する必要があるが、850℃を超えた温度では
オーステナイト粒の粗大化が生じ靱性が低下するため、
加熱温度をAc3 変態点〜850℃の範囲に限定する
。
理後に生成する安定な析出オーステナイトを多量に生じ
させるために行うものである。すなわち、鋼板を二相域
状態に加熱することで、フェライトとオーステナイトの
二相組織を生成させ、これを急冷することでフェライト
と高合金を含んだマルテンサイト組織を生成させること
を目的としている。したがって、加熱はAc1 〜Ac
3 変態点の中間の温度域で行われる必要がある。
ルテンサイト組織の転位密度を低下させると同時に、安
定な析出オーステナイトを生成するために行われるもの
であって、Ac1 変態点以下の温度で実施されるが、
微細なオーステナイトの析出を得るために550℃以上
の温度で行われる必要がある。
間圧延後直ちに急冷することで代用することができるが
、その場合の冷却速度が5℃/s以上であると、先に述
べた焼入れ処理と同等の効果を得ることができる。
スラブにそれぞれ厚板加熱、熱間圧延および熱処理を施
し、板厚50〜65mmの鋼板を製造した。その後、母
材の機械試験(引張、衝撃試験)、およびX開先の継手
(TIG溶接 入熱:35kJ/cm)を作成し、フ
ュージョンラインにノッチを入れたCTOD試験(−1
70℃)を実施した。
表3に示す。
t部から採取した。
8)の母材の降伏強度はすべて60kgf/mm2 以
上、引張強度は70kgf/mm2 以上、および母材
靱性は20kgf・m以上といずれも優れた特性を示す
と同時に、継手CTOD試験結果においても0.5mm
以上の良好な破壊靱性値を有する。
、12は本発明の要件を満たさないものである。その中
でも、鋼板10,11,12はSi、Mo量の範囲を逸
脱している。すなわち、鋼板10はSi量が上限を超え
ており、母材強度、靱性は良好であるが、継手CTOD
特性が極めて低下している。鋼板11はSiが上限を超
えて添加されていると同時に、Mo添加量が下限を下回
っている例である。この場合、母材強度が低下している
と同時に、継手CTOD値も著しく低下している。鋼板
12はMoが下限値を下回っている例である。この場合
、継手CTOD特性は良好であるが、母材強度が低下し
てしまう。
発明の要件を満たすが、製造工程がその要件を満たさな
い例である。すなわち、鋼板3はスラブ加熱温度が上限
を超えているものであり、強度および継手のCTOD特
性は良好であるが、結晶粒の細粒化が十分得られず母材
の靱性が低下している。鋼板6は制御圧延開始温度が逸
脱している場合である。この場合も、圧延温度が高いた
めに熱間圧延による組織の微細化が十分得られず、母材
の靱性のみが低下している。最後に、鋼板9は熱間圧延
の累積圧下率が上限を超えている例である。この場合も
、圧延集合組織の発達等で母材の靱性が低下する傾向が
認められる。
以上の厚肉9%Ni鋼板は、優れた母材の強度、靱性お
よび継手CTOD特性を有しており、大容量LNGタン
クの安全性を飛躍的に高めることができる。
す図である。
示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.03〜0.10%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.1〜3.0%、 Ni:7.5〜10.0%、 Mo:0.04〜0.5%、 Al:0.005〜0.10%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを85
0〜1200℃に加熱し、700〜850℃での累積圧
下率が30〜80%の熱間圧延を施し、その後、Ac3
変態点〜850℃の間に加熱して冷却する焼入れ処理
、Ac1 〜Ac3 変態点の間に加熱して冷却する中
間焼入れ処理、および550℃〜Ac1 変態点で焼き
戻す処理を行うことを特徴とする肉厚が40mm以上の
母材および溶接熱影響部のCTOD特性の優れた厚肉9
%Ni鋼の製造法。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.03〜0.10%、 Si:0.10%以下、 Mn:0.1〜3.0%、 Ni:7.5〜10.0%、 Mo:0.04〜0.5%、 Al:0.005〜0.10%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを85
0〜1200℃に加熱し、700〜850℃での累積圧
下率が30〜80%の熱間圧延を施し、直ちに5℃/s
以上の冷却速度で冷却し、その後、Ac1 〜Ac3
変態点の間に加熱して冷却する中間焼入れ処理、および
550℃〜Ac1 変態点で焼き戻す処理を行うことを
特徴とする肉厚が40mm以上の母材および溶接熱影響
部のCTOD特性の優れた厚肉9%Ni鋼の製造法。
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