JPH0436138B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0436138B2
JPH0436138B2 JP59173939A JP17393984A JPH0436138B2 JP H0436138 B2 JPH0436138 B2 JP H0436138B2 JP 59173939 A JP59173939 A JP 59173939A JP 17393984 A JP17393984 A JP 17393984A JP H0436138 B2 JPH0436138 B2 JP H0436138B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulin
mice
apoa
insulin action
fraction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP59173939A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6153222A (ja
Inventor
Yoshiro Takeda
Naotoshi Aragaki
Akemichi Ueno
Juzo Kawashima
Tsutomu Uenoyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP59173939A priority Critical patent/JPS6153222A/ja
Publication of JPS6153222A publication Critical patent/JPS6153222A/ja
Publication of JPH0436138B2 publication Critical patent/JPH0436138B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、インスリン作用増強剤、詳しくはイ
ンスリン本来の血糖低下作用を増強し、抗糖尿病
剤として利用できる新しいインスリン作用増強剤
に関する。 技術的背景 一般に糖尿病は、インスリン作用の不足による
代謝異常状態と定義され、その病型は大きく二つ
に分けられる。即ち膵臓におけるインスリン分泌
量の絶対的不足に起因する型糖尿病(インスリ
ン依存性糖尿病)と、主としてインスリンに対す
る感受性の低下による型糖尿病(インスリン非
依存性糖尿病)とに分類される。 型糖尿病は、インスリン量の欠乏によるもの
であるため、その療法としてはインスリンの投与
が不可欠である。一方、型糖尿病においては、
軽症患者に対しては食事療法及び運動療法が、ま
た重症度に応じて経口糖尿病剤の投与やインスリ
ン療法が行なわれている。しかして上記経口糖尿
病剤としては、現在スルホニル尿素系及びビグア
ナイド系の製剤がよく知られているが、いずれも
しばしば低血糖昏睡、アシドーシス、肝臓障害、
胃腸障害、発疹等の副作用を惹起するものであ
り、それらの使用に際しては充分な注意が必要と
されている。また、型及び型を問わず、イン
スリンの長期或いは大量療法においては、製剤中
に含まれる不純物により、或いは現在多用されて
いるインスリンがブタ、ウシ等の動物由来のもの
であること等により、体内で抗体産生が惹起さ
れ、インスリンシヨツクの発現やインスリンの効
果が著しく損われることが知られている。 このように糖尿病の薬物療法、インスリン療法
は、糖尿病合併症の問題をも含め、未だ充分とは
言い難い実情にある。 発明の目的 本発明者らは、上記の環状に鑑み特に糖尿病患
者の大多数を占める型糖尿病を対象として、そ
の主たる病因であるインスリン感受性の低下を改
善するという新しい作用機作を有する薬剤を得る
ことを目的として鋭意研究を重ねた結果、先に動
物の血清アルブミンを蛋白分解酵素を用いて限定
分解することにより得られる新規なペプチドが上
記目的に合致するインスリン作用促進活性を有す
ることを見出し、この知見に基づく発明を完成し
た(特願昭58−148552号及び同58−148553号)。 本発明者らはその後の研究において、ヒト血漿
に含まれるHDL(高比重リポタンパク)の構成蛋
白質の一種であるアポリポタンパクA−(以下
「アポA−」という)が優れたインスリン作用
促進活性を有し、インスリン作用増強剤として、
惹いては抗糖尿病剤として有用であることを見出
し、ここに本発明を完成するに至つた。 発明の構成及び効果 本発明は、アポA−を有効成分として含有す
ることを特徴とするインスリン作用増強剤に係わ
る。 本発明インスリン作用増強剤における「インス
リン作用促進活性」とは、インスリンの作用、即
ち生体内において主として筋や脂肪組織へのグル
コースやアミノ酸の取り込み及びグルコースのグ
リコーゲン・脂肪への転換を促進して血糖を低下
させる働きを促進する生理作用を言う。この作用
の詳細については後述する。 本発明のインスリン作用増強剤は、インスリン
作用促進活性を有することにより、インスリンの
感受性の改善を図り得るものであり、従つてイン
スリン作用の不足による代謝異常状態と定義され
る糖尿病、殊に前記型糖尿病の治療に有効であ
る。また型及び型を問わず、インスリン療法
に際して本発明のインスリン作用増強剤を併用す
ることにより、インスリン製剤の使用量を大巾に
節約できると同時に、インスリン療法に見られる
インスリン抗体の産生に起因するインスリンシヨ
ツクやインスリン抵抗性の発現を予防することが
できる。 本発明において有効成分とするアポA−は、
HDLを構成するアポリポタンパク質として知ら
れ、下記の一次構造を有している。尚、下記各ア
ミノ酸の表記は、IUPAC−ICBの略号による。
【表】 |

Gly−Thr−Gln−Pro−Ala−Thr−Gl
n−COOH
即ちアポA−は、N末端がピロリドンカルボ
ン酸(PCA)、C末端がGlnで、残基数77個のポ
リペプチド鎖2個がその6位のCysにおいてジス
ルフィド結合した構造を有する分子量約17400の
ポリペプチドである。 アポA−は、ヒト血清より通常の蛋白質分離
精製手段により単離される。好ましい単離手段と
しては、次の方法を採用できる。即ち、まず原料
とするヒト血清に、低温下に、冷エタノール、冷
アセトン、冷メタノール、冷プロパノール等又は
之等の混合溶媒を攪拌しながら加え、遠心し、上
清を濃縮して乾燥し、更にクロロホルム等の有機
溶媒で脱脂処理し、次いで透析、乾燥することに
よりアポA−を含む粗分画物を得ることができ
る。上記粗分画物の精製分離は通常の手段により
行なうことができる。その例としては、例えばセ
フアデツクスG−100(フアルマシア社製)、バイ
オ−ゲルP−10(バイオ−ラツド社製)等のゲル
過担体を用いるゲル過法、透析法、電気泳動
法、SP−セフアデツクス(フアルマシア社製)、
DEAE−セルロース(ホワツトマン社製)等のイ
オン交換法、疎水又は吸着クロマトグラフイー
法、更にはこれらの高速液体カラムクロマトグラ
フイー等及びこれら各方法を組合せた方法を例示
できる。 アポA−の好ましい精製手段の一例は、次の
通りである。即ち、上記粗分画物の凍結乾燥試料
を0.05〜0.2Mの食塩を含むトリス−塩酸、酢酸、
クエン酸等の緩衝液(PH6.5〜8.0、好ましくは7.0
〜7.5)に溶解させ、予め該緩衝液で平衡化させ
たセフアデツクスG−100等によりゲル過し、
蒸留水に対して透析後、凍結乾燥する。次いで上
記ゲル過で得られた活性画分をTSK−gelODS
−120A(東洋曹達社製)、Hi−PoreRP304(バイ
オ−ラツド社製)等の逆相カラムを用いた高速液
体クロマトグラフイーにより精製し、更に必要に
応じて繰返し高速液体クロマトグラフイーにかけ
ることにより分離精製することができる。 本発明のインスリン作用増強剤は、上記のごと
くして得られるアポA−を有効成分として常法
に従い製剤形態に調製される。また該増強剤はこ
れを単独で或いはインスリンと併用することによ
り抗糖尿病剤として使用することができる。上記
有効成分を含む製剤は、通常の製剤的担体を用い
て調製されるが、中でも注射剤形態に調製される
のが好ましい。注射剤として調製される場合、得
られる製剤は殺菌され且つ血液と等張であるのが
好ましい。注射剤形態に成型するのに際しては、
希釈剤としてこの分野において慣用されているも
のを使用できる。例えば水、生理食塩水等を挙げ
ることができる。なおこの場合等張性の溶液を調
製するに充分な量の食塩或いはグリセリンを注射
剤の形態の製剤中に含有させてもよい。また上記
製剤には通常の緩衝剤、無痛化剤、保存剤等や他
の医薬品をも含有させることができる。また上記
有効成分は使用時に生理食塩水等に溶解し、用時
溶解剤としても使用できる。 上記のごとくして調製される本発明製剤は、そ
の形態に応じた方法で投与される。注射剤の場合
には単独で又はアミノ酸等の通常の補液と混合し
て静脈内投与することができる。有効成分の投与
量は、使用目的、症状等により適宜増減される
が、通常一人一日当り、1〜100mg/Kg程度の範
囲とするのがよく、また一日に2〜4回に分割し
て投与することができる。 実施例 以下、本発明を更に詳しく説明するためアポA
−の製造例を挙げ、次いで試験例を挙げる。
尚、製造例及び試験例1〜3における試料のイン
スリン作用促進活性は、以下の方法により測定し
た。 〈インスリン作用促進活性〉 雄性ウイスター(Wistar)系ラツト(体重150
〜300g)より副睾丸脂肪組織を摘出し、脂肪組
織塊(Explant)を調製する。10個の脂肪組織塊
(湿重量として7.5〜10mg)を単独で、或いはこれ
に供試試料を添加して、D−〔U−14C〕グルコ
ース0.05μCi/ml、重曹1.5mg/ml、ペニシリン
35U/ml及びストレプトマイシン0.1mg/mlを含
むM−199培地〔「医学のあゆみ」第62巻、第6
号、435頁、昭和42年8月5日発行参照〕に浮か
べたシリコン処理レンズペーパー上に載せ
〔Topper.Y.J.,et al,Methods in
Enzymology,39,443(1975)〕、3%炭酸ガス含
有気相下に、37℃で20時間培養する。培養後、脂
肪組織塊の湿重量を測定し、その全量を2N−
KOHの50%エタノール溶液1ml中で、100℃で2
時間加水分解する。6N−硫酸0.5mlで酸性化した
水解物より3mlの石油エーテルで脂肪酸を抽出
し、常法により放射能を測定し、グルコースの脂
肪酸への転換量を、培地中の比放射能より算出す
る。 試料のインスリン作用促進活性は、試料とイン
スリン(0.2mU/ml)とを培地に添加した場合に
得られる上記比放射能算出値を、インスリンの単
独添加により得られる同算出値に対する百分率で
表わす。 製造例 1 4℃のヒト血清1に攪拌下、4℃に保ちつ
つ、−20℃に冷却した冷エタノール2を徐々に
加えた。冷エタノールを添加後、更に4℃で30分
間攪拌を続け、その後同温度下で10分間遠心し、
(10000×g)、上清と沈澱層を分離した。 次いで上清に消泡剤であるAntifoam−AF−
Emulsion(半井化学工業社製)を少量加え、全量
を約300mlにまで濃縮した。濃縮液に等量のクロ
ロホルムを加え、充分に混合した後、4℃下で一
晩放置した。その後、水層をクロロホルム層から
分離して、約200mlまで濃縮し、蒸留水に対して
透析した後、凍結乾燥して1.2gの粗分画物を得
た。該粗分画物につきローリー(Lowry)法に
よる蛋白定量を行なつたところ、300mgであつた。 上記で得られた粗分画物の凍結乾燥標品1.0g
を、0.1Mの食塩を含む0.01Mのトリス−塩酸緩
衝液(PH7.4)15mlに溶解し、予め同緩衝液で平
衡化させたセフアデツクスG−100(フアルマシア
社製、4.4×90cm)のカラムを用いてゲル過
(流速25ml/時間、8.7ml/フラクシヨン)して、
フラクシヨンNo.63〜83の活性画分を集め、蒸留水
に対して透析した後、凍結乾燥して0.5gの粉末
を得た。該粉末は、ローリー法による蛋白定量の
結果180mgであつた。 上記セフアデツクスG−100を用いたゲル過
における溶出活性パターンを第1図に示す。第1
図において、横軸はフラクシヨンNo.を、縦軸は
280nmでの吸光度及びインスリン作用促進活性
(%)を示す。また図において(1)は280nmでの吸
光度曲線であり、(2)はインスリン作用促進活性
(%)のグラフである。 上記で得た凍結乾燥標品3mgを下記条件下に逆
相カラムを用いた高速液体クロマトグラフイーに
より精製して活性画分0.5mgを得た。 〈高速液体クロマトグラフイー条件〉 機器;ウオーターズ社、ALC/GPCモデル244、
液体クロマトグラフイーシステム、M−
660溶媒プログラマー カラム;TSK−gelODS−120A(東洋曹達社製、
7.8mm×300mm) 流速;1ml/分 温度;22〜25℃ チヤートスヒード;30cm/時間 注入量;3mg/100μ 溶出;48〜90%アセトニトリル(直線濃度勾配) その結果を第2図に示す。第2図において横軸
は保持時間(分)を、縦軸は220nmでの吸光度、
インスリン作用促進活性(%)及びアセトニトリ
ルの濃度勾配(%)を示し、図中(1)は220nmでの
吸光度曲線、(2)はアセトニトリルインスリン作用
促進活性のグラフ及び(3)は濃度勾配である。 上記活性画分0.1mgを更に下記条件下に逆相カ
ラムを用いた高速液体クロマトグラフイーにか
け、0.065mgの活性画分を得た。同一条件下で再
クロマトグラフイーを行ない最終精製画分(アポ
A−)0.045mgを得た。ヒト血清1当りに換
算した最終精製物の収量は、16.8mgであつた。 〈高速液体クロマトグラフイー条件〉 機器;ウオーターズ社、ALC/GPCモデル244、
液体クロマトグラフイーシステム、M−
660溶媒プログラマー カラム;Hi−PoreRP304(バイオ−ラツド社製、
4.6mm×250mm) 流速;1ml/分 温度;22〜25℃ チヤートスヒード;30cm/時間 注入量;100μg/100μ 溶出;0〜90%アセトニトリル(直線濃度勾配) 上記精製操作において再クロマトグラフイーに
供した結果を第3図に示す。第3図において横軸
は保持時間(分)を、縦軸は220nmでの吸光度、
インスリン作用促進活性(%)及びアセトニトリ
ルの濃度勾配(%)を示し、図中(1)は220nmでの
吸光度曲線、(2)はインスリン作用促進活性のグラ
フ及び(3)は濃度勾配である。 該図より、約48分に最大活性を示すピークが現
われることが判る。 かくして得られた最終精製物は、以下の理化学
的性質を有し、アポA−であると同定された。 (a) 分子量 後述するアミノ酸配列自動分析機(アプライ
ド バイオシステム社製、470−A型)による
アミノ酸配列の一次構造から求めた分子量は、
17382であつた。 (b) 紫外線吸収スペクトル(UV;nm) 0.04%水溶液を用いてUVスペクトルを測定
した結果を第4図に示す。該第4図より276nm
に極大吸収を示し、吸光係数(E,1%、1
cm)は14.1であつた。 (c) 溶剤に対する溶解性 水、0.5%水酸化ナトリウム水溶液、食塩水
及び酢酸水溶液に溶解し、メタノール、エタノ
ール、アセトン、クロロホルム及びエーテルに
は不溶である。 (d) 呈色反応 呈色反応試験結果は次の通りであつた。 ・ ローリーフオーリン反応(ペプチド結合)
陽性 ・ ニンヒドリン反応(アミノ酸) 陽性 ・ フエノール硫酸反応(糖) 陰性 ・ エルソンモルガン反応(アミノ糖) 陰性 (e) 物質の色及び性状 白色不定形である。 (f) 等電点 オフアーレル(O′Farrell,P.H.)の方法
〔J.Biol.Chem.,250,4007(1975)〕に準じて等
電点電気泳動を行なつた結果、等電点(P)
は4.7±0.2であつた。 (g) 構成アミノ酸 最終精製物(乾燥品)を、4Nメタンスルホ
ン酸(0.2%の3−(2−アミノエチル)インド
ールを含有)を用いてシンプソンら(Simpson
R.T.,et al)の方法〔J.Biol.Chem.,251
193(1976)〕に従い、110℃で24時間、48時間及
び72時間加水分解した。各加水分解物を中和
後、日立835型アミノ酸自動分析計を用いて
各々分析した。結果をその平均値として下記第
1表に示す。尚表中各アミノ酸は、IUPAC−
IUBの略号で示し、各アミノ酸組成は試料
12μg当りの各アミノ酸のnmol量で表わす。ま
た1/2Cysはモノヨード酢酸で処理して、S−
カルボキシメチルシステインとして測定した。
【表】 (h) アミノ酸配列 最終精製物(乾燥品)20μgをアプライドバ
イオシステム社製470−A型アミノ酸配列自動
分析機を用いて分析した結果、前記したアポA
−の一次構造と一致した。 試験例 1 製造例1で得た冷エタノール処理後の上清画分
と沈澱画分とについて、脂肪組織における脂肪酸
合成を指標として、前記方法によりインスリン作
用促進活性を測定した。結果を下記第2表に示
す。
【表】 上記第2表より、沈澱画分ではインスリンの添
加の有無によらず、脂肪酸合成の亢進は認められ
ないのに対し、上清画分においては単独では活性
は認められないが、脂肪酸合成の亢進をほとんど
示さない濃度のインスリン共存下で著明な脂肪酸
合成の亢進が見られ、インスリン作用促進活性を
有することが明らかである。 試験例 2 製造例1で得た最終精製物(アポA−)のイ
ンスリン作用促進活性を試験例1と同様にして測
定した。その結果を下記第3表に示す。
【表】 上記第3表より最終精製物は、単独では作用を
ほとんど示さないが、脂肪酸合成の亢進をほとん
ど示さない濃度のインスリンの共存下において著
明な脂肪酸合成の亢進が見られ、このことよりイ
ンスリン作用促進活性を有することが明らかであ
る。 試験例 3 製造例1で得た最終精製物(アポA−)の各
種濃度下におけるインスリン作用促進活性を、前
記した脂肪組織の脂肪酸合成量を指標として測定
した。その結果を第5図に示す。 第5図において横軸は試料(アポA−)添加
濃度を、縦軸は脂肪酸合成量を示す。また図にお
いて線(1)は0.2mU/mlインスリン共存下での脂肪
酸合成量を、線(2)はアポA−単独の場合の脂肪
酸合成量をそれぞれ示す。 第5図より、アポA−単独では、20μg/ml
の濃度においても脂肪酸合成の亢進は認められな
いが、インスリン共存下では2μg/mlの濃度にお
いて既に明確な脂肪酸合成の亢進が見られ、優れ
たインスリン作用促進活性を有することが判る。
しかもその活性は濃度に依存して増加し、
15μg/mlにてほぼ最大値となることが判る。 試験例 4 KKマウスに対するインスリン感受性増強作用
試験 (1) 実験方法 体重20g前後、10〜15週齢の雄性KKマウス
(実験動物中央研究所より入手)を実験に使用し
た。 KKマウスのインスリン感受性の測定は、タケ
トミ(S.Taketomi)らの方法〔Hormon
Metabolism Research,14,14(1982)〕に従つ
て行なつた。即ち、エピネフイリン(メルク社
製)10μg/ml、プロプラノロール(住友化学工
業社製)0.5mg/ml及びグルコース0.3g/mlを含
む生理食塩液混液の12.5ml/Kgをマウスの背部皮
下に投与し、定常高血糖状態を作成した。インス
リン(結晶ブタインスリン、シグマ社製)の投与
は、0.25U/Kg量を同じくマウス背部皮下より行
なつた。 試料としては、製剤例1で得た最終精製画分
(アポA−)を凍結乾燥し、これを生理食塩液
に溶解して用いた。 20時間絶食させた15匹のKKマウスを、無作為
に1群5匹よりなる3群に分け、第1群(定常高
血糖群)及び第2群(定常高血糖+インスリン投
与群)にはそれぞれ5ml/Kg量の生理食塩液を、
また第3群(定常高血糖+インスリン+試料投与
群)には200mg/Kg量のアポA−を含む試料液
を、いずれもマウスの腹腔内に投与した。投与24
時間後に、前記エピネフイリン、プロプラノロー
ル及びグルコースを含む生理食塩液混液を全群の
マウスに投与し、更に第2群及び第3群のマウス
には、前記の方法によりインスリンを同時投与し
た。生理食塩液混液或いはインスリンの投与2時
間後に全群のマウスの尾動脈を切断し、出血さ
せ、ヘパリン処理を行なつた毛細ガラス管を用い
て血液20μを採取し血糖値の測定に供した。 血糖値の測定は、全血20μに0.3N−Ba(OH)
2液及び5%−ZnSO4液を各々100μ加え除蛋白
し、遠心分離(3000回転/分、10分間)を行なつ
た後、その上清100μにつき、グルコースオキ
シダーゼ法によつた。 (2) 結果 自然発症糖尿病動物の一種であるKKマウス
は、インスリンの感受性が低下しており、ヒトの
前糖尿病状態(prediabetes)の病態モデル動物
として知られている。 本発明インスリン作用増強剤有効成分とするア
ポA−を含む試料を腹腔内に投与して、KKマ
ウスに対するインスリン感受性増強作用を検討し
た結果を第6図に示した。 第6図より、第1群のマウスではエピネフイリ
ン、プロプラノロール及びグルコースの投与によ
り、血糖は252±58mg/100mlと高値を示し定常高
血糖状態にある。これに0.25U/Kg量のインスリ
ンを同時投与した第2群のマウスでは、第1群に
比べほとんど血糖値の低下はなく、KKマウスで
はインスリンの感受性が低下していることが判
る。これに対し、予め24時間前に本発明試料を投
与し、且つ第2群と同様にインスリンを投与した
第3群のマウスでは、第2群に比べ著明な血糖値
の低下(危険率1%以下で有意)が見られ、本発
明有効成分がインスリン感受性増強作用を有する
ことが判る。 試験例 5 自然発症糖尿病マウスに対する血糖降下作用 (1) 実験方法 体重50g前後、15〜20週齢のC57BL/KSJ−
dbm系の雌雄マウス(Jackson Lab.より入手)
を20時間絶食させて試験に供した。 試料としては、製造例1で得た最終精製画分
(アポA−)を凍結乾燥して用いた。 上記試料を生理食塩液に溶解した後、その100
mg/Kgをマウスの腹腔内に投与した。投与後一定
時間毎に尾動脈をメスにて切断し、出血させ、ヘ
パリン処理をした毛細ガラス管を用いて血液20μ
を採取し、血糖値の定量に供した。対照群のマ
ウスには、試料溶液に代え生理食塩液を投与し
た。なお、実験中マウスは絶食下におき、水のみ
を与えた。血糖値の定量は、前記試験例1と同様
の方法によつた。 (2) 結果 本発明インスリン作用増強剤有効成分(アポA
−)を含む試料を、C57BL/KSJ−dbm系の
自然発症糖尿病マウスに腹腔内投与し、その血糖
値の変化を調べた結果を下記第4表に示す。
【表】 尚、表中(1)はP<0.01%にて有意を示す。 第4表より、本発明試料の投与によれば、投与
24時間後より血糖の低下が見られ、28時間及び32
時間後には最も顕著に血糖は低下し、いずれも生
理食塩液投与群マウスの血糖値に比較して有意
(危険率1%以下)に低値であることが判る。な
お投与48時間後には血糖は前値に復した。 以上の通り、アポA−は、肥満、高血糖及び
インスリン抵抗性を示し、ヒトの重篤な型糖尿
病に類似した病態モデルとされるC57BL/KSJ
−dbm系マウスに対し、著明な血糖降下作用を示
すと共に、その効果は投与翌日において持続的に
発現されることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は製造例1におけるゲル過溶出活性パ
ターンを示し、第2図は同例1におけるTSK−
gelODS−120Aを用いた高速液体カラムクロマト
グラフイーでの溶出活性パターンを示し、第3図
は第2図に示す活性画分を再クロマトグラフイー
に供した結果を示し、第4図は本発明有効成分の
UVスペクトル分析図を示し、第5図は本発明有
効成分の各種濃度でのインスリン作用促進活性を
示すグラフであり、また第6図は本発明有効成分
のKKマウスにおけるインスリン作用促進活性を
示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 アポリポタンパクA−を有効成分として含
    有することを特徴とするインスリン作用増強剤。
JP59173939A 1984-08-21 1984-08-21 インスリン作用増強剤 Granted JPS6153222A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59173939A JPS6153222A (ja) 1984-08-21 1984-08-21 インスリン作用増強剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59173939A JPS6153222A (ja) 1984-08-21 1984-08-21 インスリン作用増強剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6153222A JPS6153222A (ja) 1986-03-17
JPH0436138B2 true JPH0436138B2 (ja) 1992-06-15

Family

ID=15969864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP59173939A Granted JPS6153222A (ja) 1984-08-21 1984-08-21 インスリン作用増強剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS6153222A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1335077C (en) * 1988-02-08 1995-04-04 Henri Isliker Process for the manufacture of apolipoproteins from human blood plasma or serum

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6153222A (ja) 1986-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FR2501692A1 (fr) Nouveau produit d'erythropoietine et procede pour sa preparation
JP4519324B2 (ja) 共有結合で架橋されたインスリンダイマー
RU2546520C2 (ru) Применение ave0010 для производства лекарственного средства для лечения сахарного диабета 2 типа
JP5180074B2 (ja) サイモシンβ4誘導体及びその使用方法
JPH0720992B2 (ja) ヒルディン−paとその誘導体、それらの製造法と応用
JPS60184098A (ja) 新規なペプチド及びこれを有効成分とする利尿剤
JP3068656B2 (ja) 新規なペプチド及びアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド並びにそれらを含有する経口摂食組成物
CN114716523B (zh) 具有α-葡萄糖苷酶抑制活性的小米醇溶蛋白肽
JP2947657B2 (ja) 神経成長因子産生促進剤
JPH0436138B2 (ja)
JP2016026194A (ja) 血圧降下剤
US7947313B2 (en) Compositions for diabetes treatment and prophylaxis
US4657891A (en) Diuretic peptide, and production and use thereof
EP0432400A2 (en) Pharmacologically active substance BPC, the process for its preparation and its use in the therapy
EP3653639A1 (en) Polypeptide and composition thereof for treating diseases of metabolic system
JPS61171431A (ja) アミラ−ゼ阻害物質およびその製造法
CN113476591B (zh) 一种乳源多肽衍生物在制备糖尿病防治药物、保健品以及食品添加物中的应用
WO1992004368A1 (en) Pharmacologically active substance bpc, the process for its preparation and its use in the therapy
JPH0542264B2 (ja)
CN117919377A (zh) 水解酪蛋白寡肽及其在辅助降血压中的应用
CN116444606A (zh) 驴皮寡肽及其应用
JPS6041699A (ja) ウシ血清アルブミン由来ペプチド
JPH07304677A (ja) 血圧降下剤
JPH03218321A (ja) 抗脳浮腫用医薬組成物
JPS5946928B2 (ja) 糖尿病治療及び予防薬