JPH04354863A - 真空アーク蒸発源 - Google Patents

真空アーク蒸発源

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JPH04354863A
JPH04354863A JP12595391A JP12595391A JPH04354863A JP H04354863 A JPH04354863 A JP H04354863A JP 12595391 A JP12595391 A JP 12595391A JP 12595391 A JP12595391 A JP 12595391A JP H04354863 A JPH04354863 A JP H04354863A
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JP
Japan
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cathode
shield
evaporation
vacuum chamber
arc
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JP12595391A
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English (en)
Inventor
Tadashi Kumakiri
熊切 正
Atsushi Munemasa
淳 宗政
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば工具鋼の表面
へのTiNなどの耐摩耗性皮膜のコーティングに使用さ
れる、真空アーク蒸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、真空アーク蒸着装置(真
空アークイオンプレーティング装置とも呼ばれる。)は
、真空チャンバ内にて、皮膜形成材料からなる陰極の蒸
発面からその皮膜形成材料をアーク放電により蒸発させ
イオン化し、負のバイアス電圧が印加された被蒸着物の
表面にイオン化された被膜形成材料を蒸着させるように
したものである。
【0003】この場合、アーク放電によって、陰極の蒸
発面に皮膜形成材料からなる陰極物質の激しい蒸発・イ
オン化を伴いながらランダムに動き回る陰極点が形成さ
れるので、陰極の蒸発面から非蒸着面(陰極側面など)
への陰極点の転移を防ぐためにシールドが設けられてい
る。従来、陰極点転移防止用のシールドが設けられた陰
極などにより構成されるアーク蒸発源を備え、アーク放
電を利用して陰極物質を蒸発させこれを被蒸着物の表面
に蒸着させる装置としては、例えば、特公昭52−14
690 号公報に示されたものが知られている。図7は
、従来技術に係る真空アーク金属蒸着装置のアーク蒸発
源の断面構成説明図である。
【0004】図7において、71は真空チャンバであり
、この真空チャンバ71には、軸線Aを有する円柱状の
通電導体72が真空チャンバ71内部にその上面側を突
出した状態でセラミック絶縁体73を介して取り付けら
れており、通電導体72の上面に、内部が水冷される導
電性を有する冷却床74が固定されている。さらに、冷
却床74の上面には円板状の陰極75が固定されている
。冷却床74及び陰極75は、それぞれの軸線(中心線
)が軸線Aに一致するように通電導体72の上に配設さ
れている。
【0005】陰極75は皮膜形成用の金属材料からなり
、その上面が蒸発面751 となるものである。76は
、その軸線を陰極75の軸線Aに一致させた状態で陰極
75の側面を2〜3mm程度の間隙Gをあけて取り囲む
ようにした円筒状のシールドであり、このシールド76
は絶縁体77を介して真空チャンバ71に固定されてい
る。
【0006】上記シールド76は、その上縁部76aの
高さ位置が運転前の蒸発面751 と同じ高さになるよ
うに予め設定されている。これは、シールド76の上縁
部76aが蒸発面751 より高い位置にある場合には
、蒸発された金属がシールド76に付着して間隙Gを埋
め、陰極点のシールド76への転移が起こり、上縁部7
6aが蒸発面751よりも低い位置にある場合には、シ
ールド76によって囲まれていない部分に陰極点が形成
されてこの部分で陰極金属の蒸発が起こり、その結果、
間隙Gが短絡されて、やはり陰極点がシールド76に転
移することになるからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、アーク
放電を安定に維持するためにはシールドの上縁部と陰極
の蒸発面とを同じ高さに保つ必要がある。ところが、運
転を長時間行うと、陰極の消耗の様子を示す図の図8に
示すように、陰極75の蒸発面751 は、消耗して凹
状に後退し底部と壁部を有する形状となり、蒸発面75
1 の壁部上面751aは、その高さ位置がシールド7
6の上縁部76aよりも図に示す寸法Bだけ低くなる。 このため、従来はこのシールド76の上縁部76aと陰
極75の蒸発面751 とを同じ高さに位置調整できる
ようにした手段が講じられていなかったので、蒸発され
た陰極金属がシールド76の上縁部76a付近の内面に
付着して間隙Gを埋め、これによってシールド76と陰
極75が短絡され、陰極点がシールド76に転移するよ
うになる。そして、陰極点がシールド76に転移したと
き、間隙Gを埋めていた陰極物質がアークによって溶融
蒸発され、シールド76と陰極75間の短絡が開放され
ることにより、一時的なアーク切れ(アーク放電の消弧
)が間欠的に頻繁に発生するようになってアーク放電が
不安定になるという問題がある。なお、アーク切れが起
こると、図示しないトリガ電極が直ちに作動して、再び
アーク放電が行われるようになっている。
【0008】実験によると、標準的な条件で約18時間
運転すると、上記図8に示す寸法Bが0.5〜1mm程
度となり、その結果、アーク放電が一時的に消失する回
数が1時間あたり30回以上と極端に多くなる。このた
め、陰極点の転移によるアーク切れの原因であるシール
ド上縁部と後退した陰極蒸発面との高さ位置の差をなく
すために、まだ使用可能な陰極を新しいものに代えるこ
とになり、陰極の利用効率が悪いという問題もあった。
【0009】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであって、長時間運転により陰極の蒸発面
が後退しても、シールドの上縁部と蒸発面との高さが同
じになるように調整できる手段を設けることにより、ま
た、陰極の側面に加えて陰極における蒸発面側周辺部を
間隔を隔てて覆うシールドを設けることにより、安定し
たアーク放電を維持でき、陰極をその寿命まで使用でき
陰極の利用効率を高めることができる、真空アーク蒸着
装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、皮膜形成材
料からなる陰極と、この陰極の側面を間隔を隔てて取り
囲み前記陰極の軸線と一致する軸線を持つとともに、そ
の上縁部側が前記陰極の蒸発面側に位置するように設け
られたシールドとを真空チャンバ内に備え、前記陰極と
真空チャンバ内に設けられた陽極間にアーク放電を発生
させることにより、前記陰極の蒸発面からその皮膜形成
材料を蒸発させイオン化し、真空チャンバ内に前記陰極
の蒸発面側に配置された被蒸着物の表面にイオン化され
た被膜形成材料を蒸着させる真空アーク蒸着装置におい
て、上記の目的を達成するために次の技術的手段を講じ
ている。
【0011】請求項1の発明による真空アーク蒸着装置
は、シールドをその軸線方向に移動させるシールド移動
機構を備えたことを特徴とするものである。
【0012】請求項2の発明による真空アーク蒸着装置
は、陰極をその軸線方向に移動させる陰極移動機構を備
えたことを特徴とするものである。
【0013】さらに、請求項3の発明による真空アーク
蒸着装置は、シールドは、陰極における蒸発面側周辺部
を上方より間隔を隔てて覆う、上縁から内方に突出した
縁部シールドを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】請求項1の真空アーク蒸着装置では、長時間の
運転により陰極が消耗しその蒸発面が後退した場合、シ
ールドをその軸線方向に移動させるシールド移動機構に
よってシールドを後退させることにより、シールドの上
縁部と陰極の蒸発面との高さが同じになるように位置調
整することができる。
【0015】請求項2の真空アーク蒸着装置では、長時
間の運転により陰極が消耗しその蒸発面が後退した場合
、陰極をその軸線方向に移動させる陰極移動機構によっ
て陰極を前進させることにより、シールドの上縁部と陰
極の蒸発面との高さが同じになるように位置調整するこ
とができる。
【0016】また、請求項3の真空アーク蒸着装置では
、シールドによって、陰極の側面に加えて陰極における
蒸発面側周辺部が間隔を隔てて覆われている。これによ
り、陰極における蒸発面側周辺部は陰極点が形成されず
消耗することがないので、長時間運転を行って蒸発面側
周辺部の内方に形成される蒸発面が後退しても、シール
ドと陰極における蒸発面側周辺部との位置関係を一定に
保つことができ、蒸発面とシールドとの高さ位置の調整
を行うことなく、安定したアーク放電を維持することが
できる。
【0017】
【実施例】以下、実施例に基づいてこの発明を説明する
。図1は請求項1の発明の一実施例による真空アーク蒸
着装置の概略を示す全体構成説明図、図2は図1に示す
真空アーク蒸着装置のアーク蒸発源の断面構成説明図で
ある。図3は図2に示す陰極の消耗の様子を示す図であ
る。
【0018】図1において、1は真空チャンバであり、
この真空チャンバ1には、アーク放電を維持するための
アルゴンガスを導入するガス導入口2と、内部を真空ポ
ンプ(図示省略)によって真空引きするための排気口3
が設けられている。また、この実施例では真空チャンバ
1の側壁に、陰極点転移防止用のシールドが設けられた
陰極などにより構成される後述するアーク蒸発源Sが取
り付けられている。真空チャンバ1内には回転テーブル
4が設置されており、この回転テーブル4上に被蒸着物
5(試料基板)がアーク蒸発源Sの後述する陰極の蒸発
面に相対する状態で載置されるようになっている。6は
、アーク蒸発源Sの陰極と真空チャンバ1内に設けられ
た陽極(図示省略)との間に陰極側が負となる極性でも
ってアーク放電用の電圧を印加するためのアーク電源、
7は被蒸着物5に負のバイアス電圧を印加するためのバ
イアス電源である。
【0019】次に、上記のアーク蒸発源Sの構成につい
て以下説明する。図2に示すように、真空チャンバ1に
は、軸線Aを有する円柱状の通電導体8が真空チャンバ
1内部にその上面側を突出した状態でセラミック絶縁体
9を介して取り付けられており、アーク電源6から負の
電圧が印加されるこの通電導体8の上面に、内部が水冷
される導電性を有する冷却床10が固定されている。冷
却床10の上面には、皮膜形成材料からなり、図におけ
る上面側が蒸発面111となる円板状の陰極11が固定
されている。冷却床10及び陰極11は、それぞれの軸
線(中心線)が軸線Aに一致するように通電導体8の上
に配設されている。通電導体8、冷却床10及び陰極1
1により陰極部12が構成されている。
【0020】また、真空チャンバ1には、円筒状の下段
シールド13aが、陰極11の軸線Aとその軸線を一致
させるようにして絶縁体14を介して固定されている。 15は、下段シールド13aの上縁部(上端周縁)にお
ける円周を6等分したそれぞれの位置に、上方にネジ部
を突出させて埋め込まれた植え込みボルトである。これ
らの植え込みボルト15に、下段シールド13aの上縁
部から所定の距離をあけて高さ調節用下側ナット16a
を嵌め込んだ状態で、図に示すように、陰極11と同一
の軸線Aを有し陰極11の側面を取り囲むための、下段
シールド13aと同じ内外径を持ちボルト貫通孔が設け
られた円筒状の上段シールド13b、及びこの上段シー
ルド13bの内径よりも小さい内径を持ちボルト貫通孔
が設けられた厚みの薄い円環状の上端シールド13cと
が順に差し込まれている。そして、両シールド13b,
13cは、上端シールド13cが陰極11の側面に対し
間隔Gでもってその上縁部13cuが陰極11の蒸発面
111 と同じ高さ位置になる状態で、高さ調節用上側
ナット16bを締め付けることにより固定されている。
【0021】この実施例では、上記の下段シールド13
a、上段シールド13b及び上端シールド13cにより
シールド13が構成されるとともに、植え込みボルト1
5及び高さ調節用ナット16a,16bは、上段シール
ド13b及び上端シールド13cを中心軸線A方向に進
退させ、上端シールド13cの上縁部13cuと陰極1
1の蒸発面111 との高さが同じになるように位置調
整するシールド移動機構17を構成している。また、1
8は、陰極部12とシールド13との間に設けられ、真
空チャンバ1に固定された円筒状の遮蔽板であって、こ
の遮蔽板18は、植え込みボルト15を陰極部12から
遮蔽するためのものである。アーク蒸発源Sは、陰極部
12、シールド13、シールド移動機構17、遮蔽板1
8により構成されている。なお、シールド13は鋼より
なるものである。また、アークを点弧するためのトリガ
電極は図示省略している。
【0022】上記構成になる真空アーク蒸着装置の動作
を、図1乃至図3を参照しながら、以下に説明する。装
置の運転開始前には、上端シールド13cの上縁部13
cuは、陰極11の蒸発面111 に対してその高さが
同じになるようにシールド移動機構17によって高さ調
整されている。この場合、上端シールド13cと陰極1
1の側面との間隔寸法Gは、 100アンペア程度のア
ーク電流を流す通常の運転条件による実験結果によれば
、最もアーク放電が安定して行える値として0.5 m
m程度に設定されるものである。なお、上端シールド1
3cの厚みとしては2mm程度が適当である。このよう
に、上端シールド13cの上縁部13cuと陰極11の
蒸発面111 との高さが同じになるように設定して、
運転を開始し、真空チャンバ1内にて陰極11と図示し
ない陽極間にアーク放電を発生させ、陰極11の蒸発面
111 からその皮膜形成材料を蒸発と同時にイオン化
し、被蒸着物5の表面にイオン化された被膜形成材料を
蒸着させる。
【0023】そして、装置を長時間運転すると、図3に
示すように、陰極11が消耗することにより、その蒸発
面111 は、凹状に後退し、底部と壁部を有する形状
となり、上端シールド13cの上縁部13cuと蒸発面
111 の壁部上面111aとに高さの差Cが生じるこ
とになる。この状態でなおも運転を続けると、先に述べ
たように、一時的なアーク切れが頻繁に発生しアーク放
電が不安定となる。
【0024】そこで、この高さの差Cが所定の値、例え
ば 0.5mmを超えると、高さ調節用ナット16a,
16bを緩めて上段シールド13b及び上端シールド1
3cを上記の高さの差Cがなくなるまで図における下方
に後退させてから、上記高さ調節用ナット16a,16
bを締め付け、上端シールド13cの上縁部13cuと
蒸発面111 の壁部上面111aとの高さが同じにな
るように高さ位置調整を行う。以後、蒸発面111 の
壁部上面111aと上端シールド13cの上縁部13c
uとの高さの差Cが所定値を超える都度、上記のような
高さ位置調整が行われることになる。
【0025】このことにより、アーク切れをおこすこと
なく安定したアーク放電を維持できるとともに、従来行
っていた陰極11の交換をすることなく、陰極11をそ
の寿命まで使用することができる。なお、シールド移動
機構17は、シールドの上縁部と陰極の蒸発面との高さ
が同じになるようにシールドをその軸線方向に移動でき
るようにしたものであればよく、種々の設計変更が可能
である。
【0026】図4は請求項2の発明の一実施例による真
空アーク蒸着装置のアーク蒸発源の断面構成説明図であ
る。アーク蒸発源の構成が異なる点以外は、請求項1の
構成と同一なので、請求項1のものと実質的に共通する
部分には同一の符号を付してアーク蒸発源の構成につい
てのみ説明する。
【0027】図4において、21は真空チャンバ1に設
けられた貫通孔であり、貫通孔21の軸線から等距離の
部位における真空チャンバ1の周壁面には、図に示すよ
うに、外側にネジ部を突出させて複数本の植え込みボル
ト22が埋め込まれている。各植え込みボルト22のネ
ジ部の長さ方向における所定位置には、このネジ部に螺
合された高さ調節用ナット23を締め付けることにより
、陰極部支持板24が支持固定されており、この陰極部
支持板24に、軸線Aを有する円柱状の通電導体8が真
空チャンバ1内部にその上面側を貫通孔21から突出し
た状態でセラミック絶縁体9を介して支持固定されてい
る。
【0028】この通電導体8の上面に、内部が水冷され
る導電性を有する冷却床10が固定されている。冷却床
10の上面には、皮膜形成材料からなり、図における上
面側が蒸発面111 となる円板状の陰極11が固定さ
れている。 冷却床10及び陰極11は、それぞれの軸線(中心線)
が軸線Aに一致するように通電導体8の上に配設されて
いる。通電導体8、冷却床10及び陰極11により陰極
部12が構成されている。
【0029】25は、一端側が真空チャンバ1の貫通孔
21の周端部に接続され、他端側が通電導体8を取り囲
むようにして陰極部支持板23に接続されたベローズで
あり、このベローズ25によって真空チャンバ1内部の
気密が保たれるようになっている。この実施例では、上
記の植え込みボルト22、高さ調節用ナット23、陰極
部支持板24及びベローズ25は、陰極11をその軸線
A方向に移動させるための陰極移動機構26を構成して
いる。
【0030】真空チャンバ1には、陰極11の軸線Aと
その軸線を一致させた状態で陰極11の側面を取り囲む
ようにした円筒状の側面部シールド27aが、絶縁体1
4を介して固定されている。この側面部シールド27a
の上には、側面部シールド27aの内径よりも小さい内
径を持つ厚みの薄い円環状の上端シールド27bが固定
されおり、側面部シールド27a及び上端シールド27
bによりシールド27が構成されている。陰極部12、
シールド27及び陰極移動機構26は、アーク蒸発源S
を構成している。
【0031】このように構成される真空アーク蒸着装置
の動作を、図4を参照しながら、以下に説明する。装置
の運転開始前には、上端シールド27bの上縁部27b
uは、陰極11の蒸発面111 に対してその高さが同
じになるように陰極移動機構26によって高さ調整され
ている。そして、装置を長時間運転すると、陰極11が
消耗することにより、その蒸発面111 は、凹状に後
退し底部と壁部を有する形状となり、その壁部上面が上
端シールド27bの上縁部27buよりも低くなり、シ
ールド上縁部27buと蒸発面111 壁部上面とに高
さの差が生じる(図3参照)。この状態でなおも運転を
続けると、先に述べたように、一時的なアーク切れが頻
繁に発生しアーク放電が不安定となる。
【0032】そこで、上記の高さの差が所定値、例えば
 0.5mmを超えると、高さ調節用ナット23をそれ
ぞれ緩め、陰極部12が取り付けられた陰極部支持板2
4を図における上方に前進させてから高さ調節用ナット
23を再度締め付け、上端シールド27bの上縁部27
buと蒸発面111 の壁部上面との高さが同じになる
ように高さ位置調整を行う。以後、蒸発面111 の壁
部上面と上端シールド27bの上縁部27buとの高さ
の差が所定値を超える都度、上記のような高さ位置調整
が行われることになる。
【0033】このことにより、アーク切れをおこすこと
なく安定したアーク放電を維持できるとともに、従来行
っていた陰極11の交換をすることなく、陰極11をそ
の寿命まで使用することができる。なお、陰極移動機構
26は、陰極の蒸発面とシールドの上縁部との高さが同
じになるように陰極をその軸線方向に移動できるように
したものであればよく、種々の設計変更が可能である。
【0034】図5は請求項3の発明の一実施例による真
空アーク蒸着装置のアーク蒸発源の断面構成説明図であ
る。アーク蒸発源のシールドの構成が異なる点以外は、
請求項1の構成と同一なので、請求項1のものと実質的
に共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略
し、シールドの構成についてのみ説明する。
【0035】図5に示すように、真空チャンバ1には、
陰極11の軸線Aとその軸線を一致させた状態で陰極1
1の側面を取り囲むようにした側面部シールド31aが
、絶縁体14を介して固定されている。そして、側面部
シールド31aには、その上縁から内方に突出し、陰極
11の蒸発面側周辺部11aを上方より所定間隔Dを隔
てて覆う円環状の縁部シールド31bが取り付けられて
おり、この側面部シールド31aと縁部シールド31b
とによりシールド31が構成されている。この実施例で
は、アーク蒸発源Sは、通電導体8、冷却床10及び陰
極11によりなる陰極部12と、上記のシールド31と
により構成されている。
【0036】なお、陰極11の蒸発面側周辺部11aと
縁部シールド31bとの間隔寸法Dは、100 アンペ
ア程度のアーク電流を流す通常の運転条件による実験結
果によれば、最もアーク放電が安定して行える値として
0.5 mm程度に設定されるものである。また、縁部
シールド31bの厚みとしては2mm程度が適当である
【0037】上記のように構成されるアーク放電型イオ
ンプレーティング装置の動作を、図5に示す陰極の消耗
の様子を示す図の図6を参照しながら、以下に説明する
。装置が運転されると、シールド31によって陰極11
の側面及びその蒸発面側周辺部11aが間隔を隔てて覆
われているので、蒸発面側周辺部11aには陰極点は形
成されず、蒸発面側周辺部11aの内側部分が蒸発面1
11 となる。このことにより、図5に示すように、長
時間運転を行って蒸発面111 が後退しても、縁部シ
ールド31bと陰極11における蒸発面側周辺部11a
との位置関係を一定に保つことができ、蒸発面111 
とシールド縁部31bとの高さ位置の調整を行うことな
く、陰極11の寿命に至るまで、安定したアーク放電を
維持することができる。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1の発明によ
る真空アーク蒸着装置は、陰極点転移防止用のシールド
をその軸線方向に移動させるシールド移動機構を備え、
請求項2の発明による真空アーク蒸着装置は、陰極をそ
の軸線方向に移動させる陰極移動機構を備えたものであ
るから、請求項1、2の発明による真空アーク蒸着装置
では、長時間の運転により陰極が消耗しその蒸発面が後
退しても、シールドの上縁部と陰極の蒸発面との高さが
同じになるように高さ位置調整することができ、これに
より、蒸発面からの陰極点の転移を防ぎアーク切れをお
こすことなく安定したアーク放電を維持できるとともに
、蒸発面が後退しただけのまだ使用可能な陰極を新しい
ものに交換することなく、陰極をその寿命まで使用する
ことが可能となり、陰極の利用効率を高めることができ
る。
【0039】請求項3の発明による真空アーク蒸着装置
は、陰極の側面に加え陰極における蒸発面側周辺部を上
方より間隔を隔てて覆うようにしたシールドを備えてい
る。これにより、陰極における蒸発面側周辺部は陰極点
が形成されず消耗することがないので、長時間運転を行
って蒸発面側周辺部の内方に形成される蒸発面が後退し
ても、シールドと陰極における蒸発面側周辺部との位置
関係を一定に保つことができ、蒸発面とシールドとの高
さ位置の調整を行うことなく、安定したアーク放電を維
持することができるとともに、陰極をその寿命まで使用
できる。すなわち、本発明によれば、安定したアーク放
電を維持できるとともに陰極の利用効率を高めることが
可能な真空アーク蒸着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の一実施例による真空アーク蒸
着装置の概略を示す全体構成説明図である。
【図2】図1に示す真空アーク蒸着装置のアーク蒸発源
の断面構成説明図である。
【図3】図2に示す陰極の消耗の様子を示す図である。
【図4】請求項2の発明の一実施例による真空アーク蒸
着装置のアーク蒸発源の断面構成説明図である。
【図5】図5は請求項3の発明の一実施例による真空ア
ーク蒸着装置のアーク蒸発源の断面構成説明図である。
【図6】図5に示す陰極の消耗の様子を示す図である。
【図7】従来技術に係る真空アーク金属蒸着装置のアー
ク蒸発源の断面構成説明図である。
【図8】図7に示す陰極の消耗の様子を示す図である。
【符号の説明】
1…真空チャンバ  4…回転テーブル  5…被蒸着
物  6…アーク電源  7…バイアス電源  8…通
電導体  10…冷却床  11…陰極  11a…陰
極の蒸発面側周辺部  111 …蒸発面  111a
…蒸発面の壁部上面  12…陰極部  13…シール
ド  13a…下段シールド  13b…上段シールド
  13c…上端シールド  13cu…上縁部15,
22…植え込みボルト  16a…高さ調節用下側ナッ
ト  16b…高さ調節用上側ナット  17…シール
ド移動機構  23…高さ調節用ナット  24…陰極
部支持板  25…ベローズ  26…陰極移動機構 
 27…シールド  27a…側面部シールド  27
b…上端シールド  27bu…上縁部  31…シー
ルド  31a…側面部シールド  31b…縁部シー
ルド  S…アーク蒸発源  A…軸線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  皮膜形成材料からなる陰極と、この陰
    極の側面を間隔を隔てて取り囲み前記陰極の軸線と一致
    する軸線を持つとともに、その上縁部側が前記陰極の蒸
    発面側に位置するように設けられたシールドとを真空チ
    ャンバ内に備え、前記陰極と真空チャンバ内に設けられ
    た陽極間にアーク放電を発生させることにより、前記陰
    極の蒸発面からその皮膜形成材料を蒸発させイオン化し
    、真空チャンバ内に前記陰極の蒸発面側に配置された被
    蒸着物の表面にイオン化された被膜形成材料を蒸着させ
    る真空アーク蒸着装置において、前記シールドをその軸
    線方向に移動させるシールド移動機構を備えたことを特
    徴とする真空アーク蒸着装置。
  2. 【請求項2】  皮膜形成材料からなる陰極と、この陰
    極の側面を間隔を隔てて取り囲み前記陰極の軸線と一致
    する軸線を持つとともに、その上縁部側が前記陰極の蒸
    発面側に位置するように設けられたシールドとを真空チ
    ャンバ内に備え、前記陰極と真空チャンバ内に設けられ
    た陽極間にアーク放電を発生させることにより、前記陰
    極の蒸発面からその皮膜形成材料を蒸発させイオン化し
    、真空チャンバ内に前記陰極の蒸発面側に配置された被
    蒸着物の表面にイオン化された被膜形成材料を蒸着させ
    る真空アーク蒸着装置において、前記陰極をその軸線方
    向に移動させる陰極移動機構を備えたことを特徴とする
    真空アーク蒸着装置。
  3. 【請求項3】  皮膜形成材料からなる陰極と、この陰
    極の側面を間隔を隔てて取り囲み前記陰極の軸線と一致
    する軸線を持つとともに、その上縁部側が前記陰極の蒸
    発面側に位置するように設けられたシールドとを真空チ
    ャンバ内に備え、前記陰極と真空チャンバ内に設けられ
    た陽極間にアーク放電を発生させることにより、前記陰
    極の蒸発面からその皮膜形成材料を蒸発させイオン化し
    、真空チャンバ内に前記陰極の蒸発面側に配置された被
    蒸着物の表面にイオン化された被膜形成材料を蒸着させ
    る真空アーク蒸着装置において、前記シールドは、前記
    陰極における蒸発面側周辺部を上方より間隔を隔てて覆
    う、上縁から内方に突出した縁部シールドを備えたこと
    を特徴とする真空アーク蒸着装置。
JP12595391A 1991-05-29 1991-05-29 真空アーク蒸発源 Pending JPH04354863A (ja)

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DE69226725T DE69226725T2 (de) 1991-05-29 1992-05-28 Beschichtungsanlage mittels Kathodenzerstäubung und Methode zur Steuerung derselben
US07/889,422 US5269896A (en) 1991-05-29 1992-05-28 Cathodic arc deposition system
EP92304855A EP0516425B1 (en) 1991-05-29 1992-05-28 Cathodic arc deposition system and a method of controlling same

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008101236A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Ulvac Japan Ltd 蒸着源、蒸着装置
US10378097B2 (en) 2016-08-10 2019-08-13 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Film forming apparatus

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JP4717776B2 (ja) * 2006-10-18 2011-07-06 株式会社アルバック 蒸着源、蒸着装置
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