JPH0433570B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、放電加工により微細孔を形成する微
細孔の加工装置に関するもので、特に、数値制御
を用いた微細孔の加工装置に関するものである。

（従来の技術） 例えば、プリンタのインクジエツトノズル、光
フアイバ用の固定プラグ、あるいはエンジンの燃
料噴射ノズル等においては、種々の径の微細な孔
を精密に加工することが求められる。そのような
微細な孔は、通常、放電加工によつて加工され
る。そのように放電加工によつて精密で微細な孔
を加工するために、正確な径の細い孔加工用電極
を用いるとともに、その電極を正確に位置させる
ことが必要である。

最近では、放電加工にも数値制御（以下、NC
という）が採用されるようになつてきている。そ
のようなNC式放電加工装置においては、一般
に、Ｘ−Ｙ平面を有するテーブルに対して、加工
用電極を支持する電極ホルダがＸ方向、Ｙ方向、
及びそれに垂直なＺ方向に相対移動可能とされ、
その電極ホルダの相対位置がNC装置によつて制
御される。最近では、そのNC装置により、電極
ホルダの位置は極めて正確に制御することができ
るようになつている。したがつて、加工位置の制
御は比較的容易となつている。

一方、放電加工自体についても、繰り出し巻き
込み機構によつて走行されるワイヤ電極を用いる
ことによつて、その加工精度を極めて高くするこ
とができる。そこで、上述のような微細な孔を加
工するための孔加工用電極も、ワイヤ電極を用い
て放電加工することにより製作されることが多く
なつている。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、そのようにワイヤ電極により製作さ
れた高精度の孔加工用電極を用い、NC式放電加
工装置によつてその加工位置の制御を行うことと
しても、その電極が電極ホルダに正確に取り付ら
れていなければ、正確な孔の加工は不可能であ
る。そのために、従来は、電極を装着する前に、
電極ホルダに付着している金属粉やほこり等を完
全に取り除く必要があり、その作業に非常な手間
がかかつていた。しかも、細心の注意を払つて
も、電極の軸線を電極ホルダの軸線に完全に一致
させることは困難であつた。

本発明は、このような問題に鑑みてなされたも
のであつて、その目的は、高精度の電極が電極ホ
ルダの軸線に正確に一致するようにされ、それに
よつて、微細な孔を精密に加工することのできる
微細孔の加工装置を得ることである。

また、本発明の他の目的は、テーパ付き、ある
いは段付きのような複雑な形状の孔をも容易に加
工することのできる微細孔の加工装置を得ること
である。

（問題点を解決するための手段） この目的を達成するために、本発明では、孔加
工用のNC式放電加工装置の電極ホルダに電極素
材を装着し、その電極素材をワイヤ放電加工装置
により孔加工用電極に成形して、成形された電極
を電極ホルダから外すことなく、工作物を加工す
ることができるようにしている。

すなわち、そのワイヤ放電加工装置には、繰り
出し巻き込み機構により走行されるワイヤ電極
と、そのワイヤ電極をその外周部が電極素材の側
面に向かつて突出するようにして背面から接触支
持するワイヤ電極ガイドとが設けられている。そ
のワイヤ電極ガイドは、NC式放電加工装置によ
り電極ホルダを相対移動させることのできる範囲
内に配置されている。そして、その電極ガイドに
よりワイヤ電極が背面から接触支持されている部
分あるいはそのごく近傍において、電極ホルダに
装着された電極素材の側面とそのワイヤ電極との
間で放電が行われるようになつている。

（作用） 電極ホルダに装着された電極素材は、孔加工用
のNC式放電加工装置のNC装置によつてその位
置が制御され、ワイヤ放電加工装置によつて孔加
工用の電極に成形される。その場合、電極素材の
放電加工は、走行するワイヤ電極の、電極ガイド
によつて接触支持されている部位あるいはそれに
ごく近接した部位において行われる。したがつ
て、その放電加工中、ワイヤ電極がぶれるような
ことがなく、その加工は極めて高精度になされ
る。そして、成形された電極は、電極ホルダの軸
線に正確に一致したものとなる。したがつて、そ
のままNC装置により位置制御をして工作物の加
工を行えば、工作物には正確な位置で正確な形状
の孔が形成される。

しかも、電極ホルダに電極素材を取り付け、工
作物をセツトするだけで、電極の成形から工作物
の孔加工までが、NCによつて一貫して行われる
ようになる。

また、ワイヤ電極は、ワイヤ電極ガイドによ
り、加工される電極素材の側面に向かつて突出す
るようにして支持されるので、その電極素材をテ
ーパ付きあるいは段付きのような複雑な形状に成
形することも可能となる。そして、そのように複
雑な形状に加工された電極を用いて放電孔加工を
行うことにより、それに対応する複雑な形状の微
細孔を形成することができる。

（実施例） 以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。

図中、第１〜３図は本発明による微細孔加工装
置の一実施例を示すもので、第１図はその全体構
造を示す概略斜視図であり、第２図はその微細孔
加工装置に組み込まれているワイヤ放電加工装置
の説明図である。また、第３図はそのワイヤ放電
加工装置に設けられているワイヤ電極ガイド部分
の詳細図である。

第１図に示されているように、この微細孔加工
装置は、NC式放電孔加工装置１とワイヤ放電加
工装置２とから構成されている。それらの加工装
置１，２は、加工電源が共用されるようになつて
いる。

NC式放電孔加工装置１は通常のNC式放電孔
加工装置と同様のもので、工作物３が設置される
テーブル４と、そのテーブル４の側方に固定さ
れ、テーブル４上に延びる電極ホルダ支持部５ａ
を有する固定フレーム５とを備えている。そのテ
ーブル４は、工作物３が設置されるＸ−Ｙ平面を
有しており、Ｘ方向に移動可能とされている。ま
た、固定フレーム５の電極ホルダ支持部５ａに
は、電極ホルダ６が、Ｙ方向及びＸ−Ｙ平面に垂
直なＺ方向に移動可能に支持されている。このよ
うにして、電極ホルダ６は、テーブル４に対し
て、Ｘ方向、Ｙ方向、及びＺ方向に相対移動可能
とされている。そして、その電極ホルダ６の相対
移動は、NC装置（図示せず）により、プログラ
ムに従つて正確に制御されるようになつている。
更に、電極ホルダ６は、Ｚ方向の軸線のまわりに
回転されるようになつている。

ワイヤ放電加工装置２は、第２図に示されてい
るように、ワイヤ電極７を、ワイヤボビン８、巻
き取りピンチローラ９、及び巻き取りボビン１０
からなる繰り出し巻き込み機構１１によつて走行
させるようにしたもので、そのワイヤ電極７に
は、張力調整機構１２によつて適度の張力が加え
られるようになつている。そのワイヤ電極７は、
適宜の補助ガイド１３，１３，…を介して、第１
図に示されるように放電孔加工装置１の固定フレ
ーム５の前面に固定されたワイヤ電極ガイド１４
に導かれている。第３図から明らかなように、そ
の電極ガイド１４はそろばん玉状のもので、その
外周にはガイド溝１４ａが形成されており、ワイ
ヤ電極７が、そのガイド溝１４ａに沿つて滑りな
がら案内されて背面から接触支持されるととも
に、円弧状に湾曲するようにされている。また、
そのガイド溝１４ａは、ワイヤ電極７の直径より
浅いものとされている。こうして、ワイヤ電極７
がその溝１４ａに沿つて支持されるとき、そのワ
イヤ電極７の外周部が電極ガイド１４より外方に
突出するようにされている。

電極ガイド１４は、電極ホルダ６が移動される
範囲内に設けられており、そのガイド１４によつ
て背面から接触支持されたワイヤ電極７の部分と
電極ホルダ６に装着された電極素材１５との間で
放電が行われるようになつている。

なお、上記電極ガイド１４は、固定フレーム５
に回転自在に支持されるようにすることも可能で
ある。そのようにした場合には、ワイヤ電極７と
ガイド１４との間の摩擦抵抗が減少するので、ワ
イヤ電極７の繰り出し巻き込みがスムーズに行わ
れるようになる。

このように構成された微細孔加工装置におい
て、工作物３に微細孔を加工しようとするときに
は、まず、テーブル４上に工作物３をセツトし、
電極ホルダ６に電極素材１５を装着する。次い
で、NC式放電孔加工装置１のNC装置を用いて
電極ホルダ６をＹ方向に移動させ、電極素材１５
を電極ガイド１４上のワイヤ電極７部分に対向さ
せる。このとき、電極素材１５のＹ方向の位置
は、求められる孔加工用電極の径、すなわち加工
される孔の径に応じて正確に制御する。そして、
その位置でワイヤ電極７部分と電極素材１５との
間の放電を行わせ、電極素材１５を、電極ホルダ
６の回転軸線のまわりに回転させながらＺ方向に
移動させて、その放電加工を行う。この放電加工
の間においては、ワイヤ電極７は繰り出し巻き込
み機構１１により常時走行させ、その放電が常に
新しい部分で行われるようにする。ワイヤ電極７
の径は高精度で定められているので、それによつ
て極めて精度の高い電極を得ることができる。

このようにして電極ホルダ６の回転軸線のまわ
りに回転させながら成形された電極は、でき上が
つた状態では、その軸線が電極ホルダ６の回転軸
線と必ず一致する。すなわち、その電極は、正確
に電極ホルダ６に装着されていることになる。

そこで、成形された電極をその電極ホルダ６に
装着したまま、その電極ホルダ６をテーブル４に
対してＸ方向及びＹ方向に相対的に移動させ、電
極と工作物３との間で放電させて工作物３に放電
孔加工を施す。このとき、電極ホルダ６の位置制
御は、通常のNC放電加工装置と同様にNC装置
によつて行われるので、その位置決めも極めて正
確に行われる。こうして、工作物３には、正確な
位置で正確な径の孔が加工されることになる。

なお、電極成形時の電極素材１５とワイヤ電極
７、及び孔加工時の電極と工作物３の各給電極性
は、それぞれ材質等に応じてNC装置により切り
換えられるようにすることができる。

このように、この微細孔加工装置によれば、電
極ホルダ６に装着されて回転する電極素材１５
が、その状態のままで、走行するワイヤ電極７に
よつて孔加工用電極に成形されるので、その成形
が正確になされるとともに、成形された電極は電
極ホルダ６の回転軸線に正確に一致することにな
る。したがつて、成形された孔加工用の電極を正
確に電極ホルダ６に取り付けるという作業が不要
となり、微細孔の加工作業が容易となる。しか
も、電極ホルダ６に電極素材１５を取り付け、工
作物３をセツトするだけで、孔加工用電極の成形
から工作物３への孔加工までが、NCによつて一
貫して行われるようになるので、その全自動化も
可能となる。

また、ワイヤ電極７は、ワイヤ電極ガイド１４
により、その外周部が、加工される電極素材１５
の側面に向かつて突出するようにして支持される
ので、電極素材１５をその外側面から内側に食い
込むように加工することもできる。したがつて、
そのワイヤ電極７により、電極素材１５の端面を
平坦に加工することができる。そして、その平坦
な端面を基準位置として長さ方向に加工すること
により、長さ方向にも精度の高い孔加工用電極を
得ることができる。その結果、その電極素材１５
を、所定の位置にテーパあるいは段部などを有す
る複雑な形状に成形することも可能となる。そし
て、そのように複雑な形状に加工された電極を用
いて放電孔加工を行うことにより、テーパ付きあ
るいは段付きのような複雑な形状の微細孔を形成
することが可能となる。

ところで、上記実施例においては、ワイヤ電極
７に放電を行わせる部分の電極ガイド１４をそろ
ばん玉状のものとしているが、ワイヤ電極ガイド
１４としては、その放電が行われるワイヤ電極７
の部分を突出させるとともに正確に位置決めする
ことができるものであればよく、種々の形状のも
のとすることができる。

第４図は、そのようなワイヤ電極ガイド１４の
他の実施例を示すものである。

この例においては、ワイヤ電極ガイド１４は、
平面図で見て長円形状のガイド部材１４ｂと、こ
れを上下から挟持する一対の補助ガイド部材１４
ｃとによつて構成されている。ガイド部材１４ｂ
のガイド面（図で左側の外周端面）部分は、ワイ
ヤ電極７の直径よりも小さな厚さとされ、補助ガ
イド部材１４ｃから突出するようにされている。
ガイド部材１４ｂの補助ガイド部材１４ｃに挟ま
れている部分は、ワイヤ電極７の径よりもわずか
に厚くされており、補助ガイド部材１４ｃ間でワ
イヤ電極７が案内支持されるようになつている。

このようにすることによつて、ワイヤ電極７は
ガイド１４から突出した状態で正確に位置決めさ
れて保持されるようになり、その部分で放電を行
わせることができる。

なお、ワイヤ電極７の放電が行われる部分を、
このように電極ガイド１４によつて背面から接触
支持される部位とすれば、ワイヤ電極７の走行や
放電によつてもその位置が変動することはなく、
孔加工用電極の成形が高精度で行われるようにな
る。しかしながら、そのごく近傍であれば、実際
上はほとんど問題はない。

ワイヤ放電加工装置２のワイヤ電極ガイド１４
は、固定位置に設けられなければならないという
ものではなく、それに支持されるワイヤ電極７の
放電部分と電極ホルダ６との間の相対的位置関係
が把握されるようにさえなつていれば、それを可
動部分、例えばテーブル４上に設けることもでき
る。また、本発明は、電極ホルダ６を固定して、
テーブル４をＸ方向及びＹ方向に移動させるよう
にしたものや、テーブル４を固定して、電極ホル
ダ６、あるいはそれを支持するフレーム５がＸ方
向及びＹ方向に移動されるようにしたもの等、
種々のタイプのNC式放電孔加工装置に適用する
ことができることは明らかであろう。場合によつ
ては、テーブル４と電極ホルダ６との相対位置
が、Ｘ方向あるいはＹ方向の一方のみに制御され
るものであつてもよい。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、孔加工用電極の成形を、放電孔加工用の電極
ホルダに装着したままで行うようにしているの
で、その電極は正確に装着されることになり、電
極の着脱に伴う誤差の発生の防止することができ
るとともに、電極素材を電極ホルダに装着する際
の傾き等を厳密に考慮する必要もなくなるので、
その作業も容易となる。

また、孔加工用電極の成形をワイヤ放電加工に
よつて行うようにし、しかも、そのとき放電が、
ワイヤ電極の電極ガイドによつて背面から接触支
持された部分、あるいは少なくともその近接部分
で行われるようにしているので、その電極成形時
の放電位置をほとんど変動のないものとすること
ができる。そして、その電極成形時における電極
素材の位置制御を、NC式放電孔加工装置のNC
装置を利用して行うようにしているので、種々の
径の電極の電極を極めて高い精度で成形加工する
ことができる。更に、そのワイヤ電極が電極素材
の側面に向かつて突出する状態で支持されるよう
にしているので、テーパ付きあるいは段付き等、
複雑な形状の電極も容易に形成することが可能と
なる。

このようにして、工作物に、種々の径の微細な
孔を正確に加工することができるようになる。し
かも、電極素材の装着と工作物のセツトとのみを
作業者が行えば、後はプログラムに従つて電極成
形から孔加工までを自動的に行うようにすること
ができるので、高い技術の必要もなくすことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による微細孔加工装置の一実
施例を示す概略斜視図、第２図は、その微細孔加
工装置に組み込まれているワイヤ放電加工装置の
説明図、第３図は、そのワイヤ放電加工装置のワ
イヤ電極ガイド部分を示すもので、ａはその側面
図、ｂはその要部の拡大縦断面図、第４図は、そ
のワイヤ電極ガイド部分の他の実施例を示すもの
で、ａはその縦断面図、ｂはその平面図である。 １……NC式放電孔加工装置、２……ワイヤ放
電加工装置、３……工作物、４……テーブル、６
……電極ホルダ、７……ワイヤ電極、１１……繰
り出し巻き込み機構、１４……ワイヤ電極ガイ
ド、１５……電極素材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 工作物設置用のＸ−Ｙ平面を有するテーブル
   ４と、 そのテーブル４に対して、Ｘ方向、及びＸ−Ｙ
   平面に垂直なＺ方向に相対移動可能とされた電極
   ホルダ６と、 その電極ホルダ６の前記テーブル４に対する相
   対位置を制御する数値制御装置と、 を備えた数値制御式放電孔加工装置１に； 繰り出し巻き込み機構１１により走行され、前
   記電極ホルダ６に装着された電極素材１５の側面
   との間で放電が行われるワイヤ電極７と、 その放電が行われる部位あるいは少なくともそ
   れにごく近接した部位において、前記ワイヤ電極
   ７を、その外周部が前記電極素材１５の側面に向
   かつて突出するようにして背面から接触支持する
   ワイヤ電極ガイド１４と、 を有するワイヤ放電加工装置２を組み込んでな
   る、 微細孔の加工装置。 ２ 前記数値制御式放電孔加工装置１の電極ホル
   ダ６が、前記テーブル４に対してＹ方向にも相対
   移動可能とされていることを特徴とする、 特許請求の範囲第１項記載の微細孔の加工装
   置。 ３ 前記数値制御式放電孔加工装置１の電極ホル
   ダ６が、Ｚ方向の軸線のまわりに回転可能とされ
   ていることを特徴とする、 特許請求の範囲第１項記載の微細孔の加工装
   置。