JPH04320Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はスタツドボルトの座金着脱用ガイド装
置に係り、特に、原子炉圧力容器の上蓋を開閉す
る際などに、スタツドボルトを保護するととも
に、座金を上蓋と一緒に搬送可能とするガイド装
置に関する。

「従来の技術」 一般に、沸騰水型原子炉における原子炉圧力容
器は、第４図および第５図に示す構造とされ、該
原子炉圧力容器Ａは、容器胴部Ｂの上方を上蓋Ｃ
で覆う構成とされ、容器胴部ＢのフランジＤに多
数立設されたスタツドボルトＥを上蓋Ｃのフラン
ジＦの貫通孔Faに挿通させて、ナツトＧおよび
座金Ｈにより締結するようになつている。

また、原子炉運転開始後の核燃料交換や定期点
検時においては、前記上蓋Ｃを外した状態で各種
の作業が実施されるが、放射性管理区域内の作業
であるため、小さな労力で能率良く実施する必要
性があるとともに、一つの上蓋Ｃに対して例えば
92組使用される前記スタツドボルトＥおよびナツ
トＧについて、その組み合わせを一定に固定する
ように、個々の正確な管理をして混用を防ぐこと
が必要とされている。

そこで、本出願人は、このような上蓋開閉のた
めの装置として、例えば、特公昭59−11433号の
『ナツト着脱作業設備』、特開昭60−141478号の
『原子炉圧力容器上蓋の開閉装置』等を提案し、
ナツトの着脱作業等を省力化して、工期の短縮、
作業員の被曝低減を達成するとともに、取り外し
たナツトをスタツドボルトと対応するようにナツ
ト置き台に並べて、混用の生じない管理を可能に
した。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、前記スタツドボルトには、ナツトと
ともに座金も組み合わせられるようになつてお
り、この座金についても、スタツドボルトに対す
る組み合わせを一定に固定するようにすることが
望ましい。しかしながら、前述した従来技術で
は、座金に対する配慮が不十分で、ナツトを取り
外した後の座金をいかに保管管理するかという問
題点が残される。

本考案は前記問題点を有効に解決するもので、
座金の着脱、保管管理、運搬等を合理的に行なつ
て、スタツドボルトに対する組み合わせに混用を
生じないようにするとともに、その着脱等の際に
スタツドボルトに損傷を与えないようにした座金
着脱用ガイド装置の提供を目的とする。

「問題点を解決するための手段」 本考案のガイド装置は、スタツドボルトに被せ
られるプロテクタと、該プロテクタの頭部に着脱
可能に載置される座金保持キヤツプとからなり、
前記プロテクタは、上蓋フランジの貫通孔とスタ
ツドボルトとの間に隙間よりも薄肉の筒状に形成
されるとともに、前記座金保持キヤツプは、前記
貫通孔より小径に形成されて前記プロテクタの頭
部に同軸状に載置される軸部と、該軸部の頭部に
連設されて座金の穴より大径に形成された鍔部と
から構成されていることを特徴とする。

「作用」 本考案のガイド装置を使用して座金をスタツド
ボルトから取り外す場合には、プロテクタの頭部
に座金保持キヤツプを載置した状態として、ナツ
トを取り外した後のスタツドボルトにプロテクタ
を被せ、上蓋を吊り上げると、座金を載置した状
態の上蓋フランジがプロテクタの回りを通過しな
がら上昇する。そして、該プロテクタ頭部の座金
保持キヤツプの鍔部下面に座金が接触すると、該
座金保持キヤツプが座金を介して上蓋により持ち
上げられることにより、その軸部が座金の穴を経
由して上蓋フランジの貫通孔に挿入するととも
に、鍔部により座金の上面が押さえられた状態と
なつて、該座金が上蓋フランジに固定される。し
たがつて、上蓋と一緒に座金を搬送して保管する
ことができるとともに、座金と貫通孔との組み合
わせを固定した状態とすることができる。

一方、上蓋を取り付けるときは、貫通孔とスタ
ツドボルトとを位置合わせした後、プロテクタの
上から上蓋フランジを吊り下げることにより、貫
通孔との組み合わせが座金保持キヤツプにより固
定されている座金は、スタツドボルトに対しても
正確な組み合わせがなされるものである。

また、プロテクタは、このような上蓋の着脱時
等に、スタツドボルトと上蓋フランジとが直接接
触するなどによるねじ部の損傷を防止することが
でき、これらプロテクタおよび座金保持キヤツプ
は、上蓋にスタツドボルトを挿通させた後、取り
外せばよい。

「実施例」 以下、本考案におけるスタツドボルトの座金着
脱用ガイド装置の一実施例を第１図ないし第３図
に基づいて説明する。なお、原子炉圧力容器の各
部については前記第４図および第５図と共通の符
号により説明する。

このガイド装置１は、第１図に示すように、ナ
ツトＧを取り外した後に上蓋フランジＦ上面に露
出状態となるスタツドボルトＥに被せられるプロ
テクタ２と、該プロテクタ２の頭部に着脱可能に
載置される座金保持キヤツプ３とから構成されて
いる。

前記プロテクタ２は、アルミニウム、ステンレ
ス鋼等により、頭部を閉塞した筒状に形成される
とともに、その胴部４の壁厚は、スタツドボルト
Ｅと上蓋フランジＦの貫通孔Faとの間の隙間よ
りも薄肉に形成され、また、頭部には、先細り状
のテーパ部５が形成されている。そして、第１図
の鎖線で示すようにスタツドボルトＥに被せたと
きに、前記テーパ部５の内面がスタツドボルトＥ
の頭部に搭載されるとともに、胴部４がねじ部
Eaの若干下方位置までを覆い得るようになつて
いるものである。

一方、前記座金保持キヤツプ３は、アルミニウ
ム等からなり、上蓋フランジＦの貫通孔Faより
も小径に形成された軸部６と、該軸部６の頭部に
連設された鍔部７とから構成されている。また、
軸部６には、その中心部をくりぬくように下方に
向けて開口する凹部８が形成され、該凹部８の内
周面が前記プロテクタ２のテーパ部５と嵌合する
テーパ面８ａとされており、これらテーパ部５と
テーパ面８ａとを嵌合することにより、軸部６が
プロテクタ２と同軸状に連結されるものでる。ま
た、前記鍔部７は、座金Ｈの穴Haより大径で座
金Ｈの外径とほぼ同じ外径に形成されている。

次に、このように構成したガイド装置１を使用
して、座金Ｈの着脱、保管管理、運搬等を行なう
方法について説明する。

従来技術で前述した『ナツト着脱作業設備』等
を使用して、スタツドボルトＥからナツトＧを取
り外した後、プロテクタ２に座金保持キヤツプ３
を載置した状態として、第２図の実線で示すよう
に上蓋フランジＦ上方に露出しているスタツドボ
ルトＥの頭部に被せると、プロテクタ２によりス
タツドボルトＥのねじ部Eaが覆われるとともに、
その下端部が座金Ｈの穴Haに若干挿入した状態
となる。次いで、上蓋Ｃをクレーン等により吊持
して矢印で示すように垂直に引き上げると、該上
蓋Ｃは、そのフランジＦに座金Ｈを載置した状態
で上昇させられる。そして、第２図の鎖線で示す
ように、上蓋フランジＦ上面がプロテクタ２の頭
部の高さ付近まで達すると、座金保持キヤツプ３
の軸部６が座金Ｈの穴Haを経由して上蓋フラン
ジＦの貫通孔Fa内に挿入するとともに、座金Ｈ
の上面が鍔部７下面に接触した状態となる。この
第２図の鎖線で示す状態からさらに上蓋Ｃを上昇
させると、座金保持キヤツプ３が座金Ｈを介して
上蓋フランジＦにより持ち上げられることによ
り、プロテクタ２から離脱し、以降、該座金保持
キヤツプ３により座金Ｈの上面が押さえられた状
態で上蓋フランジＦに固定される。したがつて、
第３図に示すように、スタツドボルトＥから上蓋
フランジＦが完全に引き抜かれた状態において
も、軸部６を上蓋フランジＦの貫通孔Faに挿入
した状態の座金保持キヤツプ３によつて座金Ｈが
保持されて、その脱落が防止され、その後、上蓋
Ｃと一緒に座金Ｈを搬送することができるもので
ある。

そして、取り外した上蓋Ｃを保管する場合は、
座金保持キヤツプ３によつて座金Ｈを上蓋フラン
ジＦ上面に保持した状態としておくことにより、
該座金Ｈと上蓋フランジＦの貫通孔Faとの組み
合わせを固定した状態に維持することができる。

このような上蓋Ｃの取り外し時において、前記
プロテクタ２は、スタツドボルトＥのねじ部Ea
が上蓋フランジＦの貫通孔Fa内周面によつてこ
すられることを防止するとともに、上蓋Ｃ取り外
し後もスタツドボルトＥに被せた状態としておく
ことにより、定期点検等の各種作業時にスタツド
ボルトＥを損傷させないように保護することがで
きるものである。

一方、原子炉の定期点検等の終了後に上蓋Ｃを
容器胴部Ｂに取り付ける際には、座金保持キヤツ
プ３により座金Ｈを保持した状態として上蓋Ｃと
一緒に搬送し、容器胴部Ｂの上方で上蓋フランジ
Ｆの貫通孔Faを対応するスタツドボルトＥと位
置合わせした後、吊り降ろすと、前述した取り外
し時とは逆順に第３図、第２図の鎖線で示す状態
を経て、第２図の実線で示すように、プロテクタ
２のテーパ部５が座金保持キヤツプ３の凹部８に
嵌合するとともに、スタツドボルトＥと座金Ｈと
が取り外し時と同じ組み合わせに復帰させられる
ものである。この場合、プロテクタ２のテーパ部
５は、上蓋Ｃを吊り降ろす際に、貫通孔Faを誘
導して、スタツドボルトＥと正確に位置合わせす
ることができる。そして、上蓋Ｃ搭載後は、座金
保持キヤツプ３およびプロテクタ２を撤去して、
例えば従来技術で前述したようにスタツドボルト
Ｅと対応させて並べておいたナツトＧによつて、
上蓋Ｃを締結することが行なわれる。

なお、本考案の座金着脱用ガイド装置において
は、前記一実施例の他、例えば次のような実施態
様を包含するものである。

プロテクタの頭部に窪部を設けて、該窪部に
座金保持キヤツプを嵌合すること。

プロテクタの頭部上面に取り扱い用の取つ手
を設けて、該取つ手に外嵌するように座金保持
キヤツプを取り付けること。

プロテクタ頭部上面に取つ手を設けるととも
に、座金保持キヤツプに上下に貫通する穴を設
けて、該穴に取つ手を挿通させて座金保持キヤ
ツプの上方に突出させること。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案におけるスタツド
ボルトの座金着脱用ガイド装置によれば、次のよ
うな効果を奏することができる。

（） プロテクタに座金保持キヤツプを載置し
た状態として、ナツトを取り外したスタツドボ
ルトに被せて、座金を載置した上蓋を引き上げ
ることにより、座金を介して上蓋により持ち上
げられる座金保持キヤツプがプロテクタから離
脱するとともに、該座金保持キヤツプの軸部が
座金の穴を経由して上蓋フランジの貫通孔に挿
入して、該座金の上面を鍔部により押さえた状
態とし得るので、該座金の脱落を防止して上蓋
と一緒に搬送することができる。

（） 取り外した上蓋を保管する際には、座金
保持キヤツプによつて座金を押さえた状態とし
ておくことにより、該座金と上蓋フランジの貫
通孔との組み合わせを固定した状態維持してお
くことができ、その管理を容易にすることがで
きる。

（） スタツドボルトに被せられるプロテクタ
により、上蓋着脱時等にスタツドボルトが損傷
を受けることを有効に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案におけるスタツドボルトの座金
着脱用ガイド装置の一実施例を示す縦断面図、第
２図はナツトを取り外した後のスタツドボルトに
第１図のガイド装置を取り付けた状態を示す縦断
面図、第３図は第２図に示す状態から上蓋を持ち
上げてスタツドボルトから外した状態を示す縦断
面図、第４図は原子炉圧力容器の構造を示す一部
省略の縦断面図、第５図は第４図の鎖線Ｖで示す
部分の拡大図である。 Ａ……原子炉圧力容器、Ｂ……容器胴部、Ｃ…
…上蓋、Ｄ……胴フランジ、Ｅ……スタツドボル
ト、Ｆ……上蓋フランジ、Fa……貫通孔、Ｇ…
…ナツト、Ｈ……座金、Ha……穴、１……ガイ
ド装置、２……プロテクタ、３……座金保持キヤ
ツプ、４……胴部、５……テーパ部、６……軸
部、７……鍔部、８……凹部、８ａ……テーパ
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上蓋フランジの上面からナツトを取り外した状
   態のスタツドボルトに被せられるプロテクタと、
   該プロテクタの頭部に着脱可能に載置される座金
   保持キヤツプとからなり、前記プロテクタは、ス
   タツドボルトが挿通する上蓋フランジの貫通孔と
   スタツドボルトとの間の隙間よりも薄肉の筒状に
   形成されるとともに、前記座金保持キヤツプは、
   上蓋フランジの前記貫通孔より小径に形成されて
   前記プロテクタの頭部に同軸状に載置される軸部
   と、該軸部の頭部に連設されて座金の穴より大径
   に形成された鍔部とから構成されていることを特
   徴とするスタツドボルトの座金着脱用ガイド装
   置。