JPH04297525A - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH04297525A
JPH04297525A JP3063601A JP6360191A JPH04297525A JP H04297525 A JPH04297525 A JP H04297525A JP 3063601 A JP3063601 A JP 3063601A JP 6360191 A JP6360191 A JP 6360191A JP H04297525 A JPH04297525 A JP H04297525A
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吉男 中村
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穂高 本間
Kizui Ishibashi
希瑞 石橋
Hisakazu Kitagawa
北河 久和
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度B8が通常使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化したときの1kg当りの鉄損W1
7/50を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大
支配因子であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄
損特性が良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くす
ると二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる
場合がある。 これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の粒径
に拘らず、鉄損特性を改善することができる。
【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に<001>軸をもったいわゆるゴス組織を発達さ
せることにより、製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である<001>を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。このような高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造技術として代表的なものに田口
悟等による特公昭40−15644号公報及び今中拓一
等による特公昭51−13469号公報記載の方法があ
る。前者においてはMnS 及びAlN を後者ではM
nS,MnSe,Sb等を主なインヒビターとして用い
ている。従って現在の技術においてはこれらインヒビタ
ーとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態を
適正制御することが不可欠である。MnS に関して言
えば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS 
をいったん完全固溶させた後、熱延時に析出する方法が
とられている。二次再結晶に必要な量のMnS を完全
固溶するためには1400℃程度の温度が必要である。 これは普通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も
高く、この高温スラブ加熱処理には以下に述べるような
不利な点がある。
【0004】1)  方向性電磁鋼専用の高1 スラブ
加熱炉が必要。 2)  加熱炉のエネルギー原単位が高い。 3)  溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出
し等にみられるように操業上の悪影響が大きい。 このような問題点を回避するためにはスラブ加熱温度を
普通鋼並みに下げればよいわけであるが、このことは同
時にインヒビターとして有効なMnS の量を少なくす
るかあるいはまったく用いないことを意味し、必然的に
二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温スラブ
加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以外の析
出物などによりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時の正
常粒成長の抑制を充分にする必要がある。このようなイ
ンヒビターとしては硫化物の他、窒化物、酸化物及び粒
界析出元素等が考えられ、公知の技術として例えば次の
ようなものがあげられる。
【0005】特公昭54−24685号公報ではAs,
Bi,Sn,Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有するこ
とによりスラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲
にする方法が開示された。特開昭52−24116号公
報ではAlの他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,C
r,Mo等の窒化物生成元素を含有することによりスラ
ブ加熱温度を1100〜1260℃の範囲にする方法が
開示された。また、特開昭57−158322号公報で
はMn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にす
ることにより低温スラブ加熱化を行ない、さらにCuの
添加により二次再結晶を安定化する技術が開示された。 一方、これらインヒビターの補強と組み合わせて金属組
織の側から改良を加えた技術も開示された。すなわち特
開昭57−89433号公報ではMnに加えS,Se,
Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、これにス
ラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせることに
より1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を実現し
ている。さらに特開昭59−190324号公報ではS
あるいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体としてイ
ンヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶焼鈍時
にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定化する
技術が公開された。このように方向性電磁鋼板製造にお
ける低温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大
な努力が続けられてきている。
【0006】さて、先に特開昭59−56522号公報
においてMnを0.08〜0.45%、Sを0.007
%以下にすることにより低温スラブ加熱化を可能にする
技術が開示された。この方法により高温スラブ加熱時の
スラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二次再結晶不
良発生の問題が解消された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】低温スラブ加熱による
方法は元来、製造コストの低減を目的としておるものの
、当然のことながら、良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化はできない。他方スラブ加熱を低
温化すると当然、熱延温度が低下する等熱延に関する変
更が生じる。しかしながら、これまでのところ、熱延方
法を組み込んだ低温スラブ加熱の一貫製造方法はほとん
ど検討されていなかった。
【0008】従来の高温スラブ加熱(例えば1300℃
以上)の場合、熱延の主な役割は、■粗大結晶粒の再結
晶による分断、■MnS 、AlN 等の微細析出又は
析出抑制、■{110}<001>方位粒の剪断変形に
よる形成の3点であったが、低温スラブ加熱の場合■は
必要なく、■に関しては本発明者が特願平1−1778
号で開示している如く、脱炭焼鈍後の金属組織を適切な
ものとすればよいので、熱延板での析出物制御は必須で
ない。 従って従来法での熱延に対する制約は低温スラブ加熱の
場合には少ないと言える。
【0009】ところで、一方向性電磁鋼板の製造におい
ては通常熱延後組織の不均一化、析出処理等を目的とし
て熱延板焼鈍が行われている。例えばAlN を主イン
ヒビターとする製造方法においては、特公昭46−23
820号公報に示すように熱延板焼鈍においてAlN 
の析出処理を行ってインヒビターを制御する方法がとら
れている。
【0010】通常一方向性電磁鋼板は鋳造−熱延−焼鈍
−冷延−脱炭焼鈍−仕上焼鈍のような主工程を経て製造
され、多量のエネルギーを必要としており、加えて普通
鋼製造プロセス等と比較して製造コストも高くなってい
る。近年多量のエネルギー消費をするこのような製造工
程に対する見直しが進められ、工程、エネルギーの簡省
略化の要請が強まってきた。このような要請に応えるべ
く、AlN を主インヒビターとする製造方法において
、熱延板焼鈍でのAlN の析出処理を、熱延後の高温
巻取で代替する方法(特公昭59−45730号公報)
が提案された。確かに、この方法によって熱延板焼鈍を
省略しても、磁気特性をある程度確保することはできる
が、5〜20トンのコイル状で巻取られる通常の方法に
おいては、冷却過程でコイル内での場所的な熱履歴の差
が生じ、必然的にAlN の析出が不均一となり最終的
な磁気特性はコイル内の場所によって変動し、歩留が低
下する結果となる。
【0011】そこで本発明者らは、従来ほとんど注目さ
れていなかった仕上熱延最終パス後の再結晶現象に着目
し、この現象を利用して80%以上の強圧下1回冷延に
よる製造法において熱延板焼鈍を省略する方法(特願平
1−85540号、特願平1−85541号)を提示し
た。これらの技術は、仕上熱延最終3パスの強圧下及び
熱延終了後の高温での保持により熱延板を微細再結晶組
織としたことに特徴があり、これらの技術により、12
80℃未満の温度でのスラブ加熱と、熱延板焼鈍の省略
の両立が可能となった。
【0012】一方、これまで一方向性電磁鋼板の熱延に
関しては、高温スラブ加熱(例えば1300℃以上)時
のスラブ結晶粒の粗大成長に起因する二次再結晶不良(
圧延方向に連なった線状細粒発生)を防止するために、
熱延時の960〜1190℃での温度で1パス当り30
%以上の圧下率で再結晶化高圧下圧延を施し、粗大結晶
粒を分断する方法が提案されている(特公昭60−37
172号公報)。確かにこの方法によって線状細粒発生
が減少するが、熱延板焼鈍を施す製造プロセスを前提と
している。
【0013】また、MnS ,MnSe,Sbをインヒ
ビターとする製造方法において、熱延時の950〜12
00℃の温度で圧下率10%以上で連続して熱延し、引
き続き3℃/sec以上の冷却速度で冷却することによ
ってMnS ,MnSeを均一微細に析出させ、磁気特
性を向上させる方法が提案されている(特開昭51−2
0716号公報)。また熱延を低温で行い再結晶の進行
を抑制し、剪断変形で形成される{110}<001>
方位粒が引き続く再結晶で減少するのを防止することに
よって磁気特性を向上させる方法が提案されている(特
公昭59−32526号公報、特公昭59−35415
号公報)。これらの方法においても、熱延板焼鈍無しの
1回冷延法での製造は検討さえされていない。また、超
低炭素を含有する珪素鋼スラブの熱延において、熱延板
で歪を蓄積させる低温大圧下熱延を行い、引き続く熱延
板焼鈍での再結晶により超低炭素材特有の粗大結晶粒を
分断する方法が提案されている(特公昭59−3421
2号公報)。しかしこの方法においても、熱延板焼鈍無
しの1回冷延法での製造は検討さえされていない。
【0014】従って、本発明者らが、先に示した低温ス
ラブ加熱と熱延板焼鈍の省略を両立させた技術(特願平
1−85540号、特願平1−85541号)の意義は
大きいことがわかる。本発明者らは、これらの技術を工
場化するため工場実験を進め、その過程で、コイルの長
手方向に磁性の変動が生じることを確かめた。そこで、
本発明者らは、この磁性変動の原因を詳細に検討した結
果、この現象が低温スラブ加熱時のスラブ内の温度差に
起因することをつきとめた。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)  重量でC:0.021〜0.075%、Si
:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.
060%、N:0.0030〜0.0130%、S+0
.405 Se :0.014%以下、Mn:0.05
〜0.8%を含有し、残部がFe及び不可避不純物から
なるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行
い、次いで圧下率80%以上の最終冷延を含み、必要に
応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を行い、次いで
脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製
造する方法において、スラブの酸可溶性Al,N,Si
の含有量を重量%を単位として、Al(%)、N(%)
、Si(%)とした時、加熱完了時のスラブ内の温度差
ΔST(℃)を下記の式の範囲に制御し、   ΔST(℃)≦32.8±46060 {Al(%
)−27/14 N(%)}2 +4.25Si(%)
熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
に窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】(2)  Sn:0.01〜0.15重量
%含有するスラブを用いることを特徴とする前項1記載
の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。 (3)  熱延終了温度を850〜1050℃とし、熱
延最終3パスの累積圧下率を40%以上とすることを特
徴とする前項1または2記載の磁気特性の優れた一方向
性電磁鋼板の製造方法。
【0017】(4)  脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍
開始までの一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmと
することを特徴とする前項1または2または3記載の磁
気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。 (5)  熱延板をスラブ加熱温度以下の温度で焼鈍す
ることを特徴とする前項1または2または3または4記
載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
或いは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んで
スラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで
圧下率80%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間
焼鈍をはさむ1回以上の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
を順次行うことによって製造される。
【0019】本発明者らは、熱延板焼鈍を省略した1回
冷延法で低温スラブ加熱材を製造した場合の磁性の変動
の原因とその解消策について詳細に検討した。そしてそ
の結果、この現象がスラブ加熱時のスラブ内の温度差に
基づく、AlNの析出のバラツキに起因し、その磁性変
動の程度が、Al量、N量、Si量によって異るという
新知見を得た。
【0020】そして、その課題の解決策として、■スラ
ブ加熱完了時のスラブ内の温度差をAl量、N量、Si
量に応じて決る所定の範囲内におさえること、■Sn添
加、■熱延最終3パスの強圧下、■脱炭焼鈍完了後最終
仕上焼鈍開始までの一次再結晶粒の平均粒径の制御が有
効であるという新知見を得た。以下詳細に説明する。本
発明者らは、スラブ加熱時のAlN の固溶、析出に着
目した。本発明の前提としている1280℃未満の温度
では、本発明のAl,N,Siの成分範囲では、α相で
のAlN の完全固溶は保障されていない。一方、スラ
ブ加熱の方式は種々あるが、スラブを炉に装入後、プッ
シャーで移動させながら出口から出す方式やスキット上
にスラブをおき、スキットを動かしてスラブを入口から
出口方向へ移動させる方式等が一般に行なわれている。 そして、スラブの中でスキットや炉の下面に接する部分
は、温度が低めとなることが多い。従って、このスラブ
内の温度差に起因するAlN の析出量、固溶N量の差
が生じることが考えられた。そして、熱延から脱炭焼鈍
までの工程で、スラブ加熱時に固溶していたNは、大部
分AlN として微細析出し、その程度がスラブ加熱時
の固溶N量に依存することが考えられた。実際、工場で
実験を行った際、磁気特性の変動が生じたコイルの、脱
炭焼鈍後の一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像
解析機を用いて測定したところ、その平均粒径が変動し
ていることが判明した。そして、そのバラツキの程度は
、Al,N,Si量によって異っていた。
【0021】そこで、まず、α相での固溶N量を測定し
た。まず、重量で、C=0.022%、Si=3.4〜
4.5%、酸可溶性Al=0.025〜0.041%、
N=0.0068〜0.0101%、S=0.007%
、Mn=0.12%を含有し、残部がFe及び不可避的
不純物からなるインゴットを真空溶解で作成した。次い
でインゴットから小試料を切り出し、■1000℃×6
0分の焼鈍後氷塩水中へ焼入れ、■1250℃×60分
焼鈍後氷水中へ焼入れの2条件で処理し、N as A
lN を化学分析で測定し、N−N as AlNを固
溶N量とした。しかる後、2つの温度T1,T2におけ
る固溶N量〔N〕(T1)、〔N〕(T2)は、温度差
に比例すると仮定し、下記の■式を得た。
【0022】
【数1】
【0023】そして、1250℃と1000℃の固溶N
量の差を酸可溶性Al,N,Siの量の関数として表す
実験式を求めた。その結果を下記の■式に示す。
【0024】
【数2】
【0025】ここで、重量%を単位とし、酸可溶性Al
,N,Siの量をAl=Al(%)、N=N(%)、S
i=Si(%)と表記している。次いで、このα相内の
固溶N量の差と製品の磁気特性の変動との関係を調査し
た。まず、図1にスラブ加熱時のα相での固溶N量の差
Δ〔N〕(%)と、製品の磁束密度B8(T)の差ΔB
8(T)との関係を示す。この場合、重量でC=0.0
53%、Si=2.8〜3.6%、酸可溶性Al=0.
021〜0.051%、N=0.0048〜0.008
7%、S=0.007%、Mn=0.14%を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚の20
種類の成分のスラブを作成した。そして1050〜11
50℃の間の2水準の温度を各成分のスラブに対して任
意に選び、60分均熱後6パスで熱延し、約2秒後に水
冷し、550℃まで冷却した後、550℃に1時間保持
して炉冷する巻取りシミュレーションを施した。この場
合、6パスの圧下配分は、40→15→7→3.5→3
→2.6→2.3mmとした。熱延終了温度は883〜
927℃であった。かかる熱延板に熱延板焼鈍を施すこ
となく約85%の強圧下圧延を行って最終板厚0.33
5mmの冷延板とし、840℃に150秒保持し、引き
続き875℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施し、次いで
、750℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中にN
H3 ガスを混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。こ
の窒化処理後のN量は、0.0194〜0.0218重
量%であった。 かかる窒化処理後の鋼板にMgO を主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。しかる後、製
品の磁束密度B8を測定し、同一成分のスラブに対して
とった2つのスラブ均熱条件でのB8の差ΔB8をもと
めた。
【0026】図1から明らかなように、スラブ加熱時の
α相での固溶N量の差Δ〔N〕(%)が0.0010重
量%以下の場合には、製品の磁束密度の差ΔB8(T)
が0.02T以下におさまっている。ここでスラブ加熱
時のα相における固溶N量の差は■,■式を用いて計算
した。この図1の結果から、スラブ加熱時のスラブ内の
温度差に起因するα相での固溶N量の差は0.0010
重量%以下にすることが、製品の磁束密度のバラツキを
小さくするのに有効なことがわかった。そこでスラブ内
の温度差ΔST(℃)を■式におけるT1−T2として
ΔST=T1−T2                
                …■と表記し、また
、T1,T2における固溶N量の差を0.0010重量
%以下とすると、 〔N〕(T1)−〔N〕(T2)≦0.0010   
     …■を得る。そして、■,■,■,■式から
製品の磁束密度のバラツキを少くするためのスラブ内の
温度差の条件として     ΔST(℃)≦32.8±46060 {Al
(%)−27/14 N(%)}2 +4.25Si(
%) …■を得る。
【0027】スラブ加熱時のスラブ内の温度差を、α相
内の固溶N量を0.0010重量%以下にすることによ
って、製品の磁束密度のバラツキが減少するメカニズム
について、本発明者らは、次のように考えている。本実
験では、加熱炉内でのスラブ内の温度差により生じてい
る現象を、研究所でスラブ加熱温度を変えてシミュレー
トした。本発明のAl,N,Siの成分範囲では128
0℃未満のスラブ加熱温度条件の場合、スラブの高温部
と低温部でAlN の固溶、析出量に差が生じる。スラ
ブ加熱時のスラブの高温部では固溶Nが多く、引き続く
熱延及び脱炭焼鈍時に、この固溶Nは、AlN の形で
微細析出する。他方スラブ加熱時のスラブ低温部では固
溶Nが少なく、引き続く熱延及び脱炭焼鈍時に微細に析
出するAlN 量は少ない。このようなAlN の析出
の場所的不均一は、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長
の場所的不均一を生じさせる。つまり、スラブ加熱時の
スラブ内の高温部に相当する部分では、脱炭焼鈍時微細
なAlN が多いため、一次再結晶粒の粒成長は抑制さ
れる。一方、スラブ加熱時のスラブ内の低温部に相当す
る部分では、脱炭焼鈍時微細なAlN が少ないため、
一次再結晶粒は粒成長しやすい。このため、脱炭焼鈍完
了時、コイル内に、スラブ加熱時のスラブ内の温度差に
起因する一次再結晶粒径の場所的不均一が生じる。本発
明者らが、特願平1−1778号で開示した如く、この
脱炭焼鈍完了時の一次再結晶粒径は、製品の磁束密度と
極めて強い相関がある。従って、この一次再結晶粒径の
場所的不均一は、製品での磁束密度の場所的不均一を生
ぜしめることとなる。従って、その磁束密度のバラツキ
の原因となっているスラブ加熱時のスラブ内の固溶N量
のバラツキを所定の範囲に入れれば、製品の磁束密度の
バラツキが低減されるものと考えられる。
【0028】次に本発明の構成要件の限定理由について
述べる。先ず、スラブの成分と、スラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは0.021重量%(
以下単に%と略述)未満になると二次再結晶が不安定に
なり、かつ二次再結晶した場合でもB8>1.80(T
)が得がたいので0.021%以上とした。一方、Cが
多くなり過ぎると脱炭焼鈍時間が長くなり経済的でない
ので0.075%以下とした。
【0029】Siは4.5%を超えると冷延時の割れが
著しくなるので4.5%以下とした。又、2.5%未満
では素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として
必要な低鉄損が得られないので2.5%以上とした。望
ましくは3.2%以上である。Alは二次再結晶の安定
化に必要なAlN もしくは(Al,Si)N を確保
するため、酸可溶性Alとして0.010%以上が必要
である。酸可溶性Alが0.060%を超えると熱延板
のAlN が不適切となり二次再結晶が不安定になるの
で0.060%以下とした。
【0030】Nについては通常の製鋼作業では0.00
30%未満にすることが困難であり、かつ経済的に好ま
しくないので0.0030%以上とし、一方、0.01
30%を越えるとブリスターと呼ばれる“鋼板表面のふ
くれ”が発生するので0.0130%以下とした。Mn
S ,MnSeが鋼中に存在しても、製造工程の条件を
適性に選ぶことによって磁気特性を良好にすることが可
能である。しかしながらSやSeが高いと線状細粒と呼
ばれる二次再結晶不良部が発生する傾向があり、この二
次再結晶不良部の発生を予防するためには(S+0.4
05Se)≦0.014%とすべきである。Sあるいは
Seが上記値を超える場合には製造条件をいかに変更し
ても二次再結晶不良部が発生する確率が高くなり好まし
くない。また最終仕上焼鈍で純化するのに要する時間が
長くなりすぎて好ましくなく、この様な観点からSある
いはSeを不必要に増すことは意味がない。
【0031】Mnの下限値は0.05%である。0.0
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、就中、ストリップの側縁部が波形状となり
製品歩留りを低下させる問題が発生する。一方、Mn量
が0.8%を越えると製品の磁束密度を低下させ、好ま
しくないので、Mn量の上限を0.8%とした。Snは
、粒界偏析元素として知られており、粒成長を抑制する
元素である。一方スラブ加熱時Snは完全固溶しており
、通常考えられる数10℃の温度差を有する加熱時のス
ラブ内でも、一様に固溶していると考えられる。従って
、温度差があるにもかかわらず加熱時のスラブ内で均一
に分布しているSnは、脱炭焼鈍時の粒成長抑制効果に
ついても、場所的に均一に作用すると考えられる。この
ため、AlN の場所的不均一に起因する脱炭焼鈍時の
粒成長の場所的不均一を、Snは希釈する効果があるも
のと考えられる。 従って、本発明のα相内の固溶N量の差を制限する技術
に加え、Snを添加することはさらに製品の磁気特性の
場所的バラツキを低減させるのに有効である。このSn
の適性範囲を0.01〜0.15%とした。この下限値
未満では、粒成長抑制効果が少なすぎて好ましくない。 一方、この上限値を超えると鋼板の窒化が難しくなり、
二次再結晶不良の原因となるため好ましくない。
【0032】この他インヒビター構成元素として知られ
ているSb,Cu,Cr,Ni,B,Ti,Nb等を微
量に含有することはさしつかえない。特に、B,Ti,
Sb等窒化物構成元素は、スラブ内の温度差に起因する
固溶N量の場所的差を低減するために積極的に添加して
もかまわない。スラブ加熱温度は、普通鋼並にしてコス
トダウンを行なうという目的から1280℃未満と限定
した。好ましくは1200℃以下である。
【0033】スラブの酸可溶性Al,N,Siの含有量
に応じて、加熱完了時のスラブ内の温度差ΔSTを以下
の式の範囲とすると規定した。   ΔST≦32.8+46060{Al−27/14
 N }2 +4.25Siこの条件範囲で、スラブ内
のα相の固溶Nの差が0.0010%以下となり、その
結果として、製品の磁束密度の場所的バラツキが低減さ
れる。
【0034】加熱されたスラブは、引き続き熱延されて
熱延板となる。この熱延の終了温度を850〜1050
℃とし、熱延最終3パスの累積圧下率を40%以上とす
ることは、製品の磁束密度の場所的バラツキを低減する
上でさらに好ましい。熱延工程は、通常100〜400
mm厚のスラブを加熱した後、いづれも複数回のパスで
行う粗熱延と仕上熱延よりなる。粗熱延の方法について
は特に限定するものではなく、通常の方法で行われる。 粗熱延後仕上熱延開始までの時間については、特に限定
するものではないが、1秒以上かけて仕上熱延を開始す
ることは、AlN の析出促進の点で好ましい。本発明
の特徴は粗熱延に引き続く仕上熱延にある。仕上熱延は
通常4〜10パスの高速連続圧延で行われる。通常仕上
熱延の圧下配分は前段が圧下率が高く後段に行くほど圧
下率を下げて形状を良好なものとしている。圧延速度は
通常100〜3000m/minとなっており、パス間
の時間は0.01〜100秒となっている。本発明で限
定しているのは、熱延終了温度と熱延最終3パスの累積
圧下率だけであり、その他の条件は特に限定するもので
はないが、粗熱延、仕上熱延の前段で強圧下を行うこと
も、幾分なりとも加工誘起析出を生ぜしめることになり
好ましい。又、最終3パスでも特に最終パスでの強圧下
が効果的である。通常、100〜300mm厚のスラブ
が1〜5mm厚の熱延板となる熱延工程において、熱延
中板厚が薄くなるにつれて、板厚方向の熱伝導が容易と
なるため、スラブ内にあった温度差は除々に少なくなっ
てくる。この段階で、AlN の析出をさらに促進する
ためには、歪を加えAlN の析出核としての転移を多
くすることが有効である。従って、鋼板中の温度差が最
も軽減される仕上熱延の後段で加工歪を加え、AlN 
の析出促進をはかることは、スラブ加熱時にスラブ内の
温度差のために生じたNの固溶量、AlN 析出量の場
所的不均一性が後工程まで継承されるのを極力抑制する
のに有効と考えられる。
【0035】次いで上記熱延条件の限定理由について述
べる。熱延終了温度を850〜1050℃とした。10
50℃を超ると、AlN の析出が生じにくく、本発明
のAlN 析出の場所的不均一の解消効果が十分でない
。一方、850℃未満では、熱延終了後に引き続く再結
晶が生じにくく、製品の磁束密度が低下するので好まし
くない。
【0036】一方、仕上熱延最終3パスでの累積圧下率
を40%以上とした。この値未満では、AlN の加工
誘起析出の効果が不十分なので好ましくない。なお、最
終3パスの累積圧下率の上限については特に限定するも
のではないが、工業的には99.9%以上の累積圧下を
加えることは困難である。熱延の最終パス後、通常0.
1〜100秒程度空冷された後水冷され300〜700
℃の温度で巻取られ、徐冷される。この冷却プロセスに
ついては特に限定されるものではないが、熱延後1秒以
上空冷等を行い、鋼板をAlN の析出温度域にできる
だけ長時間保持することは、AlN の析出を進ませる
上で好ましい。
【0037】この熱延板は次いで、圧下率80%以上の
最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以
上の冷延を施す。最終冷延の圧下率を80%以上とした
のは、圧下率を上記範囲とすることによって、脱炭板に
おいて尖鋭な{110}<001>方位粒と、これに蚕
食され易い対応方位粒({111}<112>方位粒等
)を適正量得ることができ、磁束密度を高める上で好ま
しいためである。
【0038】本発明は、熱延板焼鈍省略プロセスを基に
構成したものであるが、スラブ加熱温度以下の温度で熱
延板焼鈍を施す場合も、同様にスラブ加熱時のスラブ内
の温度差に起因する製品の磁束密度の場所的変動が発生
する。従って、この場合も、本発明のスラブ内の温度差
制限、Sn添加、熱延最終3パスの強圧下、後述する脱
炭焼鈍後の粒径の制御を用いることができ、かつ熱延板
焼鈍省略プロセスよりも良好な特性が得られる。
【0039】かかる冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭
焼鈍、焼鈍分離剤塗布、最終仕上焼鈍を施されて最終製
品となる。ここで脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始ま
での間の一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmに制
御することは、さらに好ましい。その理由はこの平均粒
径の範囲で良好な磁束密度が得られやすく、かつ粒径変
動に対する磁束密度の変化が少ないからである。
【0040】そして、熱延後最終仕上焼鈍の二次再結晶
開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したのは、
本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセスでは
、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がちにな
るからである。窒化の方法としては特に限定するもので
はなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガス
を混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍
分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化
物が分解してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終
仕上焼鈍の雰囲気のN2分圧を高めとし、鋼板を窒化す
る方法等いずれの方法でもよい。窒化量につていは特に
限定するものではないが、1ppm 以上は必要である
【0041】
【実施例】以下実施例を説明する。 実施例1 C:0.049重量%、Si:3.21重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.007重量%を基本成分とし
、■酸可溶性Al:0.032重量%、N:0.006
8重量%、■酸可溶性Al:0.020重量%、N:0
.0087重量%なる2種類のAl,N量を添加し、残
部Fe及び不可避的不純物からなる2種類の250mm
厚のスラブを作成した。そして、製品の磁束密度のバラ
ツキの許容範囲に入るスラブ加熱時の温度差を■,■の
成分に対し、■式で計算した。次いで、かかるスラブを
、a  1150℃、b  1095℃の2水準の温度
で60分均熱した後、ただちに熱延を開始し、5パスで
40mm厚とした後、6パスで熱延して2.3mmの熱
延板とした。この時圧下配分を40→15→7→3.5
→3→2.6→2.3(mm)とした。
【0042】次いで、熱延終了後は1秒間空冷後550
℃まで水冷し、550℃に1時間保持した後炉冷する巻
取りシミュレーションを行った。この熱延板を酸洗して
圧下率約85%で0.335mmの冷延板とし、830
℃で150秒保持し、次いで870℃に20秒保持する
脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持す
る焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ
鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN量は
0.0193〜0.0220重量%であった。次いで、
この鋼板にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
、N225%、H275%の雰囲気ガス中で10℃/時
の速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2100%
雰囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上
焼鈍を行った。
【0043】実験条件と製品の磁気特性を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例2 C:0.051重量%、Si:3.01重量%、Mn:
0.15重量%、S:0.006重量%、N:0.00
85重量%を基本成分とし、酸可溶性Alを、■0.0
19重量%、■0.028重量%、■0.037重量%
なる3水準のレベルで添加し、残部Fe及び不可避的不
純物からなる3種類の250mm厚スラブを作成した。 そして、製品の磁束密度のバラツキの許容範囲に入るス
ラブ加熱時の温度差を■,■,■の成分に対し、■式で
計算した。 次いで、かかるスラブを、a  1150℃、b  1
095℃の2水準の温度で60分均熱した後、1080
℃で熱延を開始して2.3mmの熱延板とした。熱延の
圧下配分、熱延後の冷却条件、及び熱延後最終仕上焼鈍
までの工程条件は、実施例1記載の条件で行った。窒化
後のN量は0.0183〜0.0211重量%であった
【0046】実験条件と製品の磁気特性を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】実施例3 C:0.038重量%、Si:3.05重量%、Mn:
0.15重量%、S:0.006重量%、酸可溶性Al
:0.023重量%を基本成分として含有し、■N::
0.0087重量%、Sn:0.002重量%、■N:
0.0087重量%、Sn:0.07重量%、■N:0
.0045重量%、Sn:0.002重量%、■N:0
.0045重量%、Sn:0.07重量%なる4種類の
成分で、残部Fe及び不可避的不純物からなる4種類の
250mm厚のスラブを作成した。そして磁束密度のバ
ラツキの許容範囲に入るスラブ加熱時の温度差を■,■
,■,■の成分に対して■式で計算した。
【0049】次いで、かかるスラブを、a  1200
℃、b  1150℃の2水準の温度で60分均熱した
後、1100℃で熱延を開始して2.3mmの熱延板と
した。熱延の圧下配分、熱延後の冷却条件、及び冷延ま
での工程条件は、実施例1記載の条件で行った。しかる
後、かかる冷延板を845℃に150秒保持し、次いで
875℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施した。しかる後
750℃に30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中に
NH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。 窒化後のN量は0.0213〜0.0225重量%であ
った。次いで、この鋼板にMgO を主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、N225%、H275%の雰囲気ガス
中で15℃/時の速度で1200℃まで昇温し、引き続
きH2100%雰囲気ガス中で1200℃で20時間保
持する最終仕上焼鈍を行った。
【0050】実験条件と製品の磁気特性を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】実施例4 C:0.044重量%、Si:3.15重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.007重量%、N:0.00
80重量%を基本成分として含有し、酸可溶性Alを、
■0.020重量%、■0.034重量%なる2水準の
レベルで添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる
2種類の成分からなる40mm厚スラブを作成した。そ
して、製品の磁束密度のバラツキの許容範囲に入るスラ
ブ加熱時の温度差を■式で計算した。次いで、かかるス
ラブを、a  1150℃、b  1095℃の2水準
の温度で30分均熱した後、ただちに熱延を開始して、
1.8mmの熱延板とした。この時圧下配分をA  4
0→16→7→2.9→2.5→2.1→1.8(mm
)、B  40→30→20→10→5→2.5→1.
8(mm)の2条件とした。熱延後4秒間空冷後、40
0℃まで水冷し、400℃に1時間保持した後炉冷する
巻取りシミュレーションを行った。この場合、熱延終了
温度は893〜924℃であった。この熱延板を圧下率
約86%で0.260mmの冷延板とし、引き続き最終
仕上焼鈍までの工程条件を実施例3と同じ条件で行った
【0053】実験条件、製品の磁気特性を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】実施例5 C:0.057重量%、Si:3.40重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.007重量%、N:0.00
83重量%を基本成分とし、酸可溶性Alを、■0.0
22重量%、■0.038重量%なる2水準のレベルで
添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる2種類の
40mm厚スラブを作成した。そして、製品の磁束密度
のバラツキの許容範囲に入るスラブ加熱時の温度差を■
,■の成分に対し、■式で計算した。次いで、かかるス
ラブを、a  1150℃、b  1090℃の2水準
の温度で60分均熱した後、ただちに熱延を開始して2
.3mmの熱延板とした。40mmからの熱延の圧下配
分、熱延後の冷却条件、及び冷延までの工程条件は、実
施例1記載の条件で行った。かかる冷延板を、■810
℃に150秒保持、■840℃に150秒保持、■84
0℃に150秒保持し、次いで870℃に20秒保持な
る3条件で脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃に3
0秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガス
を混入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のN量
は、0.0187〜0.0223重量%であった。この
鋼板の断面全厚における一次再結晶粒の平均粒径を光学
顕微鏡と画像解析を用いて測定した。次いで、この鋼板
にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、実施例
1記載の条件で最終仕上焼鈍を行った。
【0056】実験条件と製品の磁気特性を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】実施例6 実施例3記載の4種類の成分のスラブを、a  115
0℃、b  1100℃の2水準の温度で60分均熱し
た後、ただちに熱延を開始し、5パスで40mm厚とし
た。 しかる後、A  40→15→7→3.5→3→2.6
→2.3(mm)、B40→30→20→10→6→4
→2.3(mm)の2条件で熱延し、その後の冷却条件
、及び最終仕上焼鈍までの工程条件を実施例1記載の条
件で行った。この場合、熱延終了温度は925〜947
℃であった。また、窒化後のN量は、0.0193〜0
.0214重量%であった。
【0059】実験条件と製品の磁気特性を表6に示す。
【0060】
【表6】
【0061】実施例7 実施例1記載の4種類の熱延板に950℃×2分(均熱
)後急冷する熱延板焼鈍を施し、次いで約88%の圧下
率で0.285mm厚の冷延板とし、830℃で150
秒保持し、次いで850℃に20秒保持する脱炭焼鈍を
施した。しかる後、760℃で30秒保持する焼鈍を行
い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入し、鋼板に窒素
を吸収せしめた。窒化後のN量は、0.0198〜0.
0215重量%であった。次いでこの鋼板にMgO を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、実施例1記載の条件
で最終仕上焼鈍を施した。
【0062】実験条件と製品の磁気特性を表7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては
、スラブ加熱時のスラブ内のα相の固溶N量の変動規制
、さらにはSn添加及び熱延終了温度と熱延最終3パス
の累積圧下率の制御とさらに脱炭焼鈍完了後、最終仕上
焼鈍開始までの間での一次再結晶粒の平均粒径を制御す
ることにより、熱延板焼鈍を省略して、良好な磁気特性
を場所的バラツキなく安定して得ることができるので、
その工業的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スラブ加熱時のα相での固溶N量の差
と製品の磁束密度の差との関係を表すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量でC:0.021〜0.075%
    、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010
    〜0.060%、N:0.0030〜0.0130%、
    S+0.405 Se :0.014%以下、Mn:0
    .05〜0.8%を含有し、残部がFe及び不可避不純
    物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱
    延を行い、次いで圧下率80%以上の最終冷延を含み、
    必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の冷延を行い、
    次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼
    板を製造する方法において、スラブの酸可溶性Al,N
    ,Siの含有量を重量%を単位として、Al(%)、N
    (%)、Si(%)とした時、加熱完了時のスラブ内の
    温度差ΔST(℃)を下記の式の範囲に制御し、   ΔST(℃)≦32.8±46060 {Al(%
    )−27/14 N(%)}2 +4.25Si(%)
    熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
    に窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】  Sn:0.01〜0.15重量%含有
    するスラブを用いることを特徴とする請求項1記載の磁
    気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】  熱延終了温度を850〜1050℃と
    し、熱延最終3パスの累積圧下率を40%以上とするこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の磁気特性の優れ
    た一方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】  脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始ま
    での一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmとするこ
    とを特徴とする請求項1または2または3記載の磁気特
    性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】  熱延板をスラブ加熱温度以下の温度で
    焼鈍することを特徴とする請求項1または2または3ま
    たは4記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
    方法。
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KR20220089082A (ko) * 2020-12-21 2022-06-28 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 그의 제조방법

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