JPH08143962A - 磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH08143962A
JPH08143962A JP6282295A JP28229594A JPH08143962A JP H08143962 A JPH08143962 A JP H08143962A JP 6282295 A JP6282295 A JP 6282295A JP 28229594 A JP28229594 A JP 28229594A JP H08143962 A JPH08143962 A JP H08143962A
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hot
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Yasunari Yoshitomi
康成 吉冨
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は電気機器の鉄心に用いられる一方向
性電磁鋼板の磁気特性と被膜特性を向上することを目的
とする。 【構成】 C,Si,酸可溶性Al,N,Mn,S,S
eを含有するスラブを1280℃未満の温度で加熱し、
熱延を行い、引き続き、通常の工程で一方向性電磁鋼板
を製造する方法において、スラブの凝固後、熱延前のス
ラブ加熱までの間のスラブの熱履歴を制御し、さらに
は、熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間
に、鋼板に所定量の窒素吸収を生ぜしめることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度B8 が通常使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テス
ラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子で
あり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が良
好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次再
結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性を改善することができる。
【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に〈001〉軸を持った、いわゆるゴス組織を発達
させることにより製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。このような高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造技術として代表的なものに田口
悟等による特公昭40−15644号公報及び今中拓一
等による特公昭51−13469号公報記載の方法があ
る。前者においてはMnS及びAlNを、後者ではMn
S,MnSe,Sb等を主なインヒビターとして用いて
いる。従って現在の技術においてはこれ等インヒビター
として機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態を適
正に制御することが不可欠である。MnSに関していえ
ば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnSを一
旦完全固溶させた後、熱延時に析出させる方法がとられ
ている。
【0004】二次再結晶に必要な量のMnSを完全に固
溶させるためには1400℃程度の温度が必要である。
これは普通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も
高く、この高温スラブ加熱処理には以下に述べるような
不利な点がある。即ち、1)方向性電磁鋼専用の高温ス
ラブ加熱炉が必要。2)加熱炉のエネルギー原単位が高
い。3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出
し等に見られるように操業上の悪影響が大きい。
【0005】このような問題点を回避するためにはスラ
ブ加熱温度を普通鋼並に下げればよいわけであるが、こ
のことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量を
少くするか、あるいは全く用いないことを意味し、必然
的に二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温ス
ラブ加熱化を実現するためには何等かの形でMnS以外
の析出物等によりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時の
正常粒成長の抑制を充分にする必要がある。このような
インヒビターとしては硫化物の他、窒化物、酸化物及び
粒界析出元素等が考えられ、公知の技術として、例えば
次のようなものがあげられる。
【0006】特公昭54−24685号公報には、A
s,Bi,Sn,Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有さ
せることによりスラブ加熱温度を1050〜1350℃
の範囲にする方法が開示され、特開昭52−24116
号公報には、Alの他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,
V,Cr,Mo等の窒化物生成元素を含有させることに
よりスラブ加熱温度を1100〜1260℃の範囲にす
る方法が開示され、また特開昭57−158322号公
報には、Mn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以
下にすることにより低温スラブ加熱化を行い、さらにC
uの添加により二次再結晶を安定化する技術が開示され
ている。
【0007】一方、これ等インヒビターの補強と組み合
わせて金属組織の側から改良を加えた技術も開示されて
いる。即ち、特開昭57−89433号公報では、Mn
に加え、S,Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元
素を加え、これにスラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を
組み合わせることにより1100〜1250℃の低温ス
ラブ加熱化を実現している。さらに特開昭59−190
324号公報では、SあるいはSeに加え、Al及びB
と窒素を主体としてインヒビターを構成し、これに冷却
後の一次再結晶焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより、
二次再結晶を安定化する技術が開示されている。このよ
うに方向性電磁鋼板製造における低温スラブ加熱化実現
のためには、これまでに多大な努力が続けられてきてい
る。
【0008】さて、特開昭59−56522号公報に
は、Mnを0.08〜0.45%、Sを0.007%以
下にすることにより低温スラブ加熱化を可能にする技術
が開示されているが、この技術により高温スラブ加熱時
のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二次再結晶
不良発生の問題が解消された。この技術をベースに、低
温スラブ加熱技術を開発してきたが、熱延後から最終仕
上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に窒素吸収を生
ぜしめることが、この技術を工業化するために必要であ
った。
【0009】一方、鋼板中の窒素は、最終仕上焼鈍中に
鋼板から焼鈍雰囲気中に放出され、最終製品中の鋼板窒
素量は、通常20ppm 以下である。この最終仕上焼鈍中
の窒素の鋼板からの放出はフォルステライトを中心とし
たグラス被膜に欠陥を生じさせる原因となる。
【0010】従って、鋼中の窒素量を高める窒化という
処理は、グラス被膜欠陥を増加させ、結果的には、製品
の歩留りを低下させる原因となる。このため、この窒化
処理を軽減する技術開発が求められてきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】低温スラブ加熱による
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら、良好な磁気特性を安定して得る
技術でなければ、工業化はできない。窒化処理を軽減す
ることが歩留り向上に繋がるため、このための手段を広
範にわたって検討した結果、スラブ凝固から熱延までの
熱履歴を制御することによって、低温スラブ加熱で、か
つ窒化処理にあまり頼らずに良好な磁気特性を安定して
得られ、かつ、被膜性状も良好であるという新知見に達
した。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記の通りである。 (1)重量比でC:0.025〜0.100%、Si:
2.2〜5.0%、酸可溶性Al:0.015〜0.0
80%、N:0.0130%以下、S+0.405S
e:0.0400%以下、Mn:0.30%以下を含有
し、残部がFe及び不可避不純物からなるスラブを12
80℃未満の温度で加熱し、熱延を行い、引き続き必要
に応じて熱延板焼鈍を行い、次いで圧下率80%以上の
最終冷延を含み必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の
冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一
方向性電磁鋼板を製造する方法において、スラブの凝固
後、熱延前のスラブ加熱までの間に、スラブを1300
〜1450℃の温度域に少くとも5分間保持することを
特徴とする磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼
板の製造方法。
【0013】(2)熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶
開始までの間に鋼板に増窒素量で、0.0010〜0.
0150重量%の窒素吸収を行わしめる前項(1)記載
の磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法。
【0014】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟ん
でスラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次い
でこの熱延板に必要に応じて焼鈍を施し、次いで圧下率
80%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍を
挟む1回以上の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を順次行
うことによって製造される。
【0015】本発明者等は、低温スラブ加熱を前提とす
るプロセスにおいて、窒化処理を軽減する方策について
種々検討した結果、スラブ凝固後、熱延前のスラブ加熱
前までの熱履歴を制御することが極めて有効であるとい
う新知見を得た。以下実験結果を基に詳細に説明する。
【0016】図1にスラブの凝固後熱延前のスラブ加熱
までの間のスラブの1300〜1450℃の温度域の滞
在時間と磁気特性の関係を示す。この場合、C:0.0
55重量%(以下%と略述)、Si:3.20%、酸可
溶性Al:0.029%、N:0.0078%、Mn:
0.078%、S:0.020%を含有し、残部Fe及
び不可避不純物からなる珪素鋼を250mm厚のスラブと
して凝固させた。
【0017】しかる後、スラブの冷却速度を種々制御す
る方法、各温度で保温する方法、所定の温度で保熱炉に
入れる方法等を組み合わせて、熱延前のスラブ加熱炉に
入れるまでの種々の熱履歴を実現させた。
【0018】しかる後、スラブを1150℃に2時間加
熱した後2.3mm厚まで熱延した。得られた熱延板に、
1100℃に30秒保持し、引き続き900℃に30秒
保持して急冷する熱延板焼鈍を施した後、0.285mm
まで冷延した。
【0019】次いで850℃に150秒保持する脱炭焼
鈍(焼鈍雰囲気N2 :25%、H2:75%、DP =6
0℃)を施した。しかる後、この鋼板にMgOを主成分
とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃に20時間保持
する最終仕上焼鈍を施した。
【0020】図1から明らかなように、スラブの凝固
後、熱延前のスラブ加熱までの間に、スラブを1300
〜1450℃の温度域に少くとも5分間保持することに
より、B8 ≧1.88Tなる優れた磁気特性が得られ
た。また、この条件範囲では、最終仕上焼鈍後の被膜欠
陥も全く見られなかった。
【0021】図1で示された磁気特性向上効果のメカニ
ズムについては必ずしも明らかではないが、本発明者は
以下のように推察している。方向性電磁鋼板は二次再結
晶現象を用いて製造されるが、この二次再結晶現象を発
現させるためには、一次再結晶粒の成長を抑制するイン
ヒビターが必要となる。図1に示した実験の場合には、
このインヒビターとして、AlNとMnSが用いられて
いる。
【0022】そして、本実験の如く1150℃という低
温で、熱延に先立つスラブ加熱を行う場合には、このス
ラブ加熱の時にAlN,MnSは完全には固溶しない。
そして、その結果、一次再結晶粒の粒成長抑制に効果的
な微細な析出物は不足することとなる。
【0023】しかしながら、二次再結晶前の一次再結晶
粒の成長は、隣接する粒の粒径差、粒界の易動度の
粒界性格依存性、粒界エネルギーの粒界性格依存性、
インヒビター強度(体積分率/サイズ)によって支配
されている。,は、一次再結晶集合組織と関係する
因子であり、本発明と直接関係するものでない。につ
いては、本発明の如く、低温スラブ加熱を施す場合に
は、インヒビター強度を高めることは困難である。
【0024】しかしながら、このインヒビター強度を場
所的に均一化することは可能である。このインヒビター
強度の場所的均一化は結果として、一次再結晶粒径の均
一化に結び付く。この一次再結晶粒径分布整粒化は、隣
接する粒の粒径差の減少を生じ、結果的には、粒界移動
の駆動力を低下せしめ、粒成長を抑制することとなる。
【0025】本発明の場合、スラブの凝固後、1300
〜1450℃のα単相またはほぼα単相域で、所定の時
間保持することによって、Si,Al,Mn,S等の凝
固偏析の軽減、スラブ内の成分の均一化を実現し、その
結果一次再結晶粒成長を抑制するAlN,MnSの場所
的均一化を実現したものと推定される。このインヒビタ
ーの場所的均一化が、一次再結晶粒径分布の整粒化を実
現せしめ、隣接する粒の粒径差の減少(粒成長の駆動力
低下)を生ぜしめ、結果として、粒成長を抑制して、二
次再結晶の発現を可能ならしめたものと考えられる。
【0026】また、本発明の場合、表面部のSi,A
l,Mn,S等の凝固偏析も低減されるため、脱炭焼鈍
時の酸化挙動の場所的不均一性が軽減され、結果的には
被膜欠陥が生じにくいものと考えられる。さらに、本発
明の場合、後工程での窒化処理が必ずしも必要でないた
め、最終仕上焼鈍時の脱窒起因の被膜欠陥が生じにくい
と考えられる。
【0027】次に本発明の構成要件に限定理由について
述べる。先ず、スラブの成分とスラブ加熱温度までの工
程に関して限定理由を詳細に説明する。
【0028】Cは0.025%未満になると二次再結晶
が不安定になり、かつ二次再結晶した場合でもB8
1.80(T)が得がたいので0.025%以上とし
た。一方、Cが多くなりすぎると脱炭焼鈍時間が長くな
り経済的でないので0.100%以下とした。
【0029】Siは5.0%を超えると冷延時の割れが
著しくなるので5.0%以下とした。また、2.2%未
満では素材の固有抵抗が低すぎ、本発明の目的であるト
ランス鉄心材料として必要な低鉄損が得られないので
2.2%以上とした。Alは二次再結晶の安定化に必要
なAlNまたは(Al,Si)Nを確保するため、酸可
溶性Alとして0.015%以上が必要である。酸可溶
性Alが0.080%を超えると熱延板のAlNが不適
切となり、二次再結晶が不安定になるので0.080%
以下とした。Nについては、0.0130%を超えると
ブリスターと呼ばれる“鋼板表面のふくれ”が発生する
ので0.0130%以下とした。
【0030】S+0.405Seについては、スラブ加
熱時、MnS,MnSeが固溶して、熱延以降に微細析
出することとなる。この微細析出するMnS,MnSe
が多すぎると、脱炭焼鈍時及び仕上焼鈍時の一次再結晶
粒成長が抑制され、一次再結晶粒径の制御が困難とな
る。本発明では、この問題を解決するためS+0.40
5Se≦0.0400%とした。0.0400%を超え
ると、上記一次再結晶粒径の制御が困難となり好ましく
ない。下限値は特に限定するものではないが、S+0.
405Seを0.0001%以下にすることは、工業的
には難しい。
【0031】Mnの上限値は0.30%である。Mn量
が0.30%を超えると磁束密度が低下して好ましくな
い。Mnの下限値は特に限定しないが、0.0001%
以下にMn量を下げることは工業的には難しい。この
他、インヒビター構成元素として公知なSn,Sb,T
i,Zr,Bi,Nb等を添加することは差し支えな
い。また、製品での電気抵抗を増加する等の理由で、
P,Cr等を添加することは差し支えない。
【0032】上記成分に調整されたスラブを凝固させた
後、熱延前のスラブ加熱までの熱履歴を制御する必要が
ある。具体的には、スラブの凝固後、熱延前のスラブ加
熱までの間に、スラブを1300〜1450℃の温度域
に少くとも5分間保持する必要がある。
【0033】図1に示した如く、この条件を実現するこ
とによって、B8 ≧1.88Tなる良好な磁気特性が得
られる。1300〜1450℃の温度域にスラブを保持
する時間の上限については、特に限定するものではない
が、100時間以上も保持することは、工業的には好ま
しくない。
【0034】上記スラブ凝固後の熱履歴を制御する方法
については、特に限定しない。凝固後の冷却を緩和する
方法、保熱装置を用いる方法、保熱炉等で一時期積極的
に加熱する方法等いずれの方法を用いてもよいし、組み
合わせても構わない。
【0035】スラブ加熱温度は、普通鋼並にしてコスト
ダウンを行うという目的から1280℃未満と限定し
た。好ましくは1200℃以下である。加熱されたスラ
ブは、引き続き熱延されて熱延板となる。この熱延板
に、必要に応じて800〜1200℃での熱延板焼鈍を
施し、次いで圧下率80%以上の最終冷延を含みかつ必
要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷延を施す。最終
冷延の圧下率を80%以上としたのは、圧下率を上記範
囲とすることによって、脱炭板において尖鋭な{11
0}〈001〉方位粒と、これに蚕食され易い対応方位
粒({111}〈112〉方位粒等)を適正量得ること
ができ、磁束密度を高める上で好ましいためである。
【0036】圧延後、鋼板には順次、脱炭焼鈍、焼鈍分
離剤塗布、仕上焼鈍が施されて最終製品となる。ここで
特に限定しないが、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始
までの間の一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmに
制御することが、良好な磁気特性を得るためにさらに好
ましい。そして、熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開
始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したのは、本
発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセスでは、
二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がちになる
からである。
【0037】窒化の方法としては特に限定するものでは
なく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガスを混
入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍分離
剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化物が
分解してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終仕上
焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化する方
法等いずれの方法でもよい。窒化量については、増窒素
量で10〜150ppmは必要である。10ppm 未満で
は、インヒビター強度向上の効果が少く、150ppm を
超えると製品に被膜欠陥が増加して好ましくない。
【0038】
【実施例】
実施例1 C:0.061%、Si:3.20%、Mn:0.08
%、S:0.0130%、酸可溶性Al:0.025
%、N:0.0078%を含有し、残部Fe及び不可避
不純物からなる250mm厚のスラブを凝固させ、10
00℃まで水冷、1450℃まで水冷した後1300
℃まで10分間かけて徐冷後1000℃まで水冷、1
000℃まで水冷した後、1350℃で10分間保定な
る3水準でスラブを作成した後、1150℃に90分間
加熱した後熱延して、2.3mm厚の熱延板とした。
【0039】この熱延板に、1120℃に30秒保持
し、900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍を施
し、次いで圧下率約88%で冷延して、0.285mm厚
の冷延板とし、840℃に150秒保持する脱炭焼鈍を
行い、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、12
00℃まで15℃/hrで昇温し、1200℃に20時間
保持する最終仕上焼鈍を施した。
【0040】この最終仕上焼鈍の昇温中の焼鈍雰囲気を
2 :35%、H2 65%とし、1200℃保持中の焼
鈍雰囲気をH2 とした。工程条件と磁気特性、被膜性状
の関係を表1に示す。表1から明らかなように、本発明
の条件である,の場合、良好な磁気特性、被膜性状
が得られている。
【0041】
【表1】
【0042】実施例2 C:0.050%、Si:3.31%、Mn:0.10
%、S:0.0105%、酸可溶性Al:0.028
%、N:0.0081%を含有し、残部Fe及び不可避
不純物からなる250mm厚のスラブを凝固させ、10
00℃まで水冷、1450℃まで水冷した後1300
℃まで8分間かけて徐冷後1000℃まで水冷なる2水
準でスラブを作成した後、1100℃に90分間加熱し
た後熱延して、2.3mm厚の熱延板とした。
【0043】この熱延板に、1100℃に30秒保持
し、900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍を施
し、次いで圧下率約88%で冷延し、0.285mm厚の
冷延板とし、830℃に150秒保持する脱炭焼鈍を行
った。
【0044】しかる後、この鋼板の一部に対して750
℃に30秒保持する焼鈍中にNH3ガスを焼鈍雰囲気に
混入させ、鋼板に窒化処理を施した。そして、のスラ
ブ冷却条件の鋼板に、(A)この窒化処理なし、(B)
増窒素量0.0105%の窒化処理、(C)増窒素量
0.0175%の窒化処理、なる3水準の処理で鋼板を
作成した。一方、のスラブ冷却条件の鋼板には、
(A),(B)の2水準の処理を施した。
【0045】しかる後、これ等の鋼板にMgOを主成分
とする焼鈍分離剤を塗布し、1200℃まで15℃/hr
で昇温し、1200℃に20時間保持する最終仕上焼鈍
を施した。この最終仕上焼鈍の焼鈍雰囲気を、昇温中は
2 :50%、H2 :50%とし、1200℃保持中を
2 とした。
【0046】工程条件と磁気特性、被膜性状の関係を表
2に示す。本発明の条件である1の場合、良好な磁気特
性、被膜性状が得られており、この条件と(B)の条件
を組み合わせると、磁気特性がさらに向上した。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明に従って、スラブの凝固後、熱延
前のスラブ加熱までの間のスラブの熱履歴を制御するこ
とによって、低温スラブ加熱で、かつ、窒化処理を軽減
してなお、磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼
板を安定して製造することができるので、その技術の工
業的意義は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラブの凝固後、熱延前のスラブ加熱までの間
に、スラブを1300〜1450℃の間に保持する時間
と磁束密度との関係を示す図表である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比でC :0.025〜0.100
    %、 Si:2.2〜5.0%、 酸可溶性Al:0.015〜0.080%、 N :0.0130%以下、 S+0.405Se:0.0400%以下、 Mn:0.30%以下残部がFe及び不可避不純物から
    なるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行
    い、引き続き必要に応じて熱延板焼鈍を行い、次いで圧
    下率80%以上の最終冷延を含み必要に応じて中間焼鈍
    を挟む1回以上の冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕
    上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法におい
    て、スラブの凝固後、熱延前のスラブ加熱までの間に、
    スラブを1300〜1450℃の温度域に少くとも5分
    間保持することを特徴とする磁気特性と被膜性状の優れ
    た一方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始
    までの間に鋼板に増窒素量で、0.0010〜0.01
    50重量%の窒素吸収を行わしめることを特徴とする請
    求項1記載の磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁
    鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004506093A (ja) * 2000-08-09 2004-02-26 ティッセンクルップ アッチアイ スペチアリ テルニ ソシエタ ペル アチオニ 方向性電磁鋼帯の製造におけるインヒビター分散の調整方法
JP2016505706A (ja) * 2012-11-26 2016-02-25 バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド 方向性ケイ素鋼及びその製造方法

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