JPH0428263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車室内フロアに配設される車両用回転
シートに関する。

（従来技術） 一般に、車両用回転シートにおいては、車室内
フロアに設けた支持台の上面側に組付けた固定側
連結部材にシートの下面側に組付けた可動側連結
部材を回転可能に連結して前記シートを前記支持
台に対して前記フロアに沿つて回転可能に構成す
るとともに、同シートをロツク手段を介して前記
支持台に対して解除可能にロツクするように構成
されていて、同シートを回転することにより同シ
ートの向きを車両の前方または後方へ選択的に調
整できるようになつている。

ところで、かかる形式の回転シートにおいて
は、シートの回転を可能にすべく同シートの回転
時の回転軌跡を考慮して車室内フロアに配設され
るため、同シートの一側と車室内側壁との間には
所定の間隔が保持されている。従つて、限られた
スペースの車室内に回転シートを配設すること
は、スペースの有効利用の面からは不利である。

かかる問題に対処するため、この種形式の回転
シートにおいては特開昭56−131433号公報に示さ
れているように、シートと同シートを回転可能に
支持する支持台との間に同シートを左右方向へ移
動させる駆動手段を設け、同シートの前記支持台
に対するロツクの解除時に同シートを左右方向へ
移動可能とした回転シートがある。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記公報に示された回転シートにお
いては、シート側が支持台側に対して水平方向へ
移動可能に構成されているとともに、シート側を
支持台側に解除可能にロツクするロツク手段がこ
れら両者側に設けた垂直方向に延びる係止孔と、
これら両係止孔を上下方向へ摺動可能に嵌合しレ
バー操作により支持台側の係止孔から抜出されて
これら両者間のロツクを解除させるロツクピンと
により構成されている。このため、当該シートに
おいてはロツクピンを抜出して操作して支持台側
のロツクを解除し、シート側を水平方向へ移動さ
せかつ所定量回転させた後ロツクピンを支持台側
の係止孔に嵌合させることが難しく、特に細くて
軽量のロツクピンを自重により係止孔である細孔
に嵌合させることは難しい。従つて、当該シート
においてはシート側を回転させた後の支持台側へ
のロツクが常に確実になされるとはかぎらない。

従つて、本考案の目的はかかる問題を解決する
とともに、支持台側に対するシート側のロツク解
除操作および同シート側の左右方向への上下動操
作の両操作の操作性を向上させることにある。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記した形式の車両用回転シートにお
いて、前記固定側連結部材を前記支持台に対して
左右一対のリンクを介して左右方向へ上下動可能
に組付けるとともに、前記固定側連結部材と前記
支持台間に同固定側連結部材を受承し外部操作に
より上下方向へ起伏する駆動手段を介在させ、か
つ前記ロツク手段として前記シート側に設けられ
て下方へ突出する被掛止部材を上方から受承して
同被掛止部材を解除可能に掛止する掛止部材を備
えたロツク手段を採用して、同ロツク手段と前記
駆動手段とを同駆動手段の起立動作と前記ロツク
手段のロツク解除動作とが連動可能に連結したこ
とを特徴とするものである。

（考案の作用・効果） かかる構成の回転シートにおいては、シートを
回転すべく支持台に対するロツクを解除すると同
シートが左方または右方へ上動可能となり、かつ
上動後右方または左方へ下動可能である。このた
め、同シートを回転させるに先立つて車室内の近
接する側壁とは反対側、例えば車室内の通路側へ
上動させるようにすれば、回転シートを上記側壁
に極く近接して配設してもシートを回転させるこ
とができる。従つて、本考案に係る回転シートに
よれば、上記公報に示された回転シートと同様、
車室内の一側壁との間に所定の間隔を確保するこ
となく極く近接して配設することができ、これに
より限られた車室内スペースを有効に利用するこ
とができる。

しかして、本考案に係る回転シートにおいては
所望の方向へ回転させたシートを下動させて、同
シート側に設けた被掛止部材を支持台側に設けた
掛止部材に上方から受承させてシートを支持台側
にロツクさせるものであるから、シートは自重に
より常に確実にロツクする。

また、本考案に係る回転シートにおいては、支
持台に対するシート側の駆動手段とロツク手段と
を連結して駆動手段の起立動作とロツク手段のロ
ツク解除動作とを連動させているので、支持台に
対するシート側のロツク解除操作および同シート
側の左右方向への上下動操作の両操作の操作性が
極めて良好である。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する
に、第１図には本考案に係る回転シートが示さ
れ、かつ第２図には同回転シートを多数配設した
小型バスが示されている。当該バスにおいては、
車室内の右側壁WR側に２座席一体のシートSR
が配設されており、また左側壁WL側に単座席の
シートSLが配設されていて、各シートSRとして
本考案に係る回転シートが採用されている。

回転シートSRは第１図および第３図に示すよ
うに、車室内フロアＦと右側壁WRとに固定した
支持台１１上にフロアＦに沿つて回転可能かつロ
ツク可能に組付けられていて、クツシヨンフレー
ム１２にて一体的に組付けた２座席のシート１３
と、シート１３を解除可能にロツクする４個のロ
ツク手段２０ａ〜２０ｄと、駆動手段３０を備え
ている。シート１３は、クツシヨンフレーム１２
の下面に固定した回転上板１４ａの中央部にて回
転下板１４ｂの中央部に回転可能に支持されてい
る。回転上板１４ａおよび回転下板１４ｂは、本
考案の可動側連結部材および固定側連結部材に該
当する。回転下板１４ｂは支持台１１の枠部１１
ａに支持した後述する左右一対のリンク１５に載
置固定されており、これによりシート１３はクツ
シヨンフレーム１２および回転上板１４ａと一体
に支持台１１に対して回転可能になつている。

各リンク１５は支持台１１の枠部１１ａに回転
可能に支持されて前後方向に延びており、各リン
ク１５の中間部に形成した一対の膨出部１５ａ，
１５ｂの頂部にて回転下板１４ｂに回転可能に支
持されている。これにより、シート１３は各リン
ク１５の回転にてクツシヨンフレーム１２および
両回転板１４ａ，１４ｂと一体に左右方向へ上下
動可能であり、本実施例においては各リンク１５
が回転起立したとき上方かつ通路側（左側壁WL
側）へ移動し、また回転倒伏時には下方かつ右側
壁WR側へ移動するようになつている。

ロツク手段２０ａ〜２０ｄは第３図〜第５図に
示すように、支持台１１の架橋部１１ｂに固定し
た左右一対のプレート状ブラケツト１６ａ，１６
ｂに組付けられていて、同様の構成部材にて構成
されて互いに連結されている。第１ロツク手段２
０ａは特に第５図に示すようにロツク部材２１、
ラツチ２２およびテンシヨンスプリング２３から
なり、ロツク部材２１およびラツチ２２は右側ブ
ラケツト１６ａの後方内側面に可動可能に枢着さ
れており、これら両者２１，２２の下端部にテン
シヨンスプリング２３が掛止されている。これに
より、ラツチ２２はテンシヨンスプリング２３の
付勢力にてロツク部材２１に噛合し、この状態に
おいてはフツク部２２ａにてクツシヨンフレーム
１２に設けたストライカ１７ａを掛止し、かつ同
ストライカ１７ａを保持する。また、ロツク部材
２１をテンシヨンスプリング２３に抗して回動さ
せると、ラツチ２２はロツク部材２１に追従して
同方向へ回動してフツク部２２ａに掛止したスト
ライカ１７ａを解放する。第２〜第４ロツク手段
２０ｂ〜２０ｄもこれと同様に構成されていて、
クツシヨンフレーム１２に設けた各ストライカ１
７ｂ〜１７ｄをそれぞれ掛止し、かつこれらを保
持する。右側の第１ロツク手段２０ａと第２ロツ
ク手段２０ｂとは、ロツク部材２１に突設した両
支持ピン２４間に張設したワイヤ２５により互い
に連結されており、また左側の第３ロツク手段２
０ｃと第４ロツク手段２０ｄも同様に連結されて
いる。かかる構成において、ストライカ１７ａ〜
１７ｄは本考案の被掛止部材に該当し、かつラツ
チ２２は本考案の掛止部材に該当する。第１ロツ
ク手段２０ａと第３ロツク手段２０ｃとは駆動手
段３０にて互いに連結されている。

しかして、駆動手段３０は第３図〜第６図に示
すように連結ロツド３１、作動ロツド３２および
操作ロツド３３を主要構成部材としている。連結
ロツド３１は支持台１１の枠部１１ａに回転可能
に支持されて左右方向に延び、その両端には第１
連結アーム３１ａ，３１ｃが上方へ突出して設け
られており、かつその中間部には第２連結アーム
３１ｂが前方へ突出して設けられている。各第１
連結アーム３１ａ，３１ｃの上端部には上下方向
に延びる長孔３１ｄが形成されており、各長孔３
１ｄに各ロツク手段２０ａ，２０ｃの支持ピン２
４が貫通している。これにより、両ロツク手段２
０ａ，２０ｃは互いに連結し、連結ロツド３１の
回転により両第１連結アーム３１ａ，３１ｃが揺
動して各ロツク部材２１を同時に回動させる。

作動ロツド３２は支持台１１の支持枠１１ａに
回動可能に支持されて前後方向の延び、その前後
方向の直線部３２ａの中間部には側方へ延びる筒
状支持部３２ｂが設けられており、かつ直線部３
２ａの前端部にコ字状の屈曲部３２ｃが形成され
ている。この屈曲部３２ｃは回転下板１４ｂの下
面側の略中央部にて倒伏状態で介在し、回動起立
時に回転下板１４ｂを受承してこれを持ち上げ
る。

操作ロツド３３は長尺のロツド部３３ａとその
先端部に屈曲形成された短尺のペダル部３３ｂと
からなり、ロツド部３３ａの内端を筒状支持部３
２ｂに挿入して支持されている。このロツド部３
３ａは筒状支持部３２ｂに回転可能に支持されて
いて、その内端に設けた連結ピン３３ｃが筒状支
持部３２ｂの長孔３２ｄを貫通し、連結ロツド３
１の第２連結アーム３１ｂの斜め上方に臨んでい
る。連結ピン３３ｃと第２連結アーム３１ｂとは
ワイヤ３４にて連結されていて、連結ピン３３ｃ
は長孔３２ｄと協働してロツド部３３ａの回転を
所定量に規制するとともに、筒状支持部３２ｂか
らの抜止めを図り、かつその回転時ワイヤ３４を
介して連結ロツド３１を所定量回転させる。かか
る操作ロツド３３においてペダル部３３ｂを踏込
むと、操作ロツド３３はその踏込み初期において
第４図の矢印ア方向に所定量回転して連結ロツド
３１を所定量回転させ、その後矢印イ方向に押下
げられて作動ロツド３２を所定量回転してその屈
曲部３２ｃを回動起立させる。

このように構成した回転シートSRにおいては、
第１図の２点鎖線で示すように車室内の右側壁
WRに対して極めて近接して配設されている。こ
の状態において、クツシヨンフレーム１２に設け
た各ストライカ１７ｂ〜１７ｄは各ロツク手段２
０ａ〜２０ｄのラツチ２２に掛止され、かつこの
状態に保持されている。このため、シート１３は
支持台１１に確実にロツクされている。また、こ
の状態においては駆動手段３０の操作ロツド３３
は通路側へ突出している。

当該回転シートSRはこの状態で前方へ向いて
おり、これを回転して後方へ向けるにはこれに先
立つて操作ロツド３３のペダル部３３ｂを踏み込
む。この踏み込み初期において、操作ロツド３３
は矢印ア方向へ所定量回転して連結ロツド３１を
矢印ウ方向へ所定量回転させる。この結果、第１
および第３ロツク手段２０ａ，２０ｃのロツク部
材２１がテンシヨンスプリング２３に抗して回動
してラツチ２２を回動させ、同時にワイヤ２５を
介して第２および第４ロツク手段２０ｂ，２０ｄ
のロツク部材２１を回動して各ラツチ２２を回動
させる。このため、４つのロツク手段２０ａ〜２
０ｄの全てがクツシヨンフレーム１２の各ストラ
イカ１７ｂ〜１７ｄを同時に解放して、シート１
３の支持台１１に対するロツクを解除する。

この状態のペダル部３３ｂをさらに踏み込む
と、操作ロツド３３は矢印イ方向へ押し下げられ
て作動ロツド３２を回転させ、その屈曲部３２ｃ
を回動起立させる。この結果、屈曲部３２ｃは回
転下板１４ｃを受承してこれを持ち上げ、シート
１３をクツシヨンフレーム１２および回転上板１
４ａと一体的に通路側へ斜め上方へ移動させる。
第１図の実線はかかる状態を示しており、ペダル
部３３ｂを踏み込んでいるかぎりかかる状態に保
持される。この状態においてシート１３を回転さ
せると、シート１３はクツシヨンフレーム１２お
よび回転上下方向上板１４ａと一体的に回転し、
シート１３を180°回転させて後方へ向けた後ペダ
ル部３３ｂの踏み込みを解除すると、シート１３
の自重により作動ロツド３２Ｇの屈曲部３２ｃが
倒伏状態に復帰して、各ストライカ１７ｂ〜１７
ｄが各ロツク手段２０ａ〜２０ｄのラツチ２２に
掛止される。この結果、シート１３はその向きを
後方へ変更した状態にて支持台１１にロツクされ
る。

このように、当該回転シートSRにおいては、
シート１３を回転させるのに先立つて右側WRと
は反対の通路側へ移動させるものであるから、回
転シートSRを第１図の２点鎖線で示すように右
側壁WRに極く近接して配設しても、シート１３
の回転操作には何等支障がない。従つて、当該回
転シートSRによれば、限られた車室内スペース
を有効に利用することができる。

また、当該回転シートSRにおいては、各ロツ
ク手段２０ａ〜２０ｄと駆動手段３０とを連結し
て、ロツク解除とシート１３の左右方向への上下
動とを連動させて、これらのロツク解除と左右方
向への上下動を操作ロツド３３の踏み込み操作の
みにて行うように構成したので、ロツク手段２０
ａ〜２０ｄおよび駆動手段３０の操作性が極めて
良好である。

さらにまた、当該回転シートSRにおいては、
所望の方向へ回転させたシートを下動させて、同
シート側に設けた各ストライカ１７ｂ〜１７ｄを
支持台１１側に設けたラツチ２２に上方から受承
させてシートを支持台１１側にロツクさせるもの
であるから、シートは自重により常に確実にロツ
クする。

なお、本考案に係る回転シートは１座席のシー
トを備えたものにも実施し得ることは勿論であ
り、この場合には上記実施例におけるシートSL
に採用し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る回転シートの概略を示す
正面図、第２図は同回転シートを装備したバスの
概略的平面図、第３図は同回転シートの主要部を
示す拡大分解斜視図、第４図は同回転シートのロ
ツク手段および駆動手段を示す拡大斜視図、第５
図は第４図の矢印部分の拡大図、第６図は第４
図の矢印部分の拡大図である。 符号の説明、SR……回転シート、１１……支
持台、１３……シート、１４ａ……回転上板（可
動側連結部材）、１４ｂ……回転下板（固定側連
結部材）、１７ａ〜１７ｄ……ストライカ（被掛
止部材）、２０ａ〜２０ｄ……ロツク手段、２１
……ロツク部材、２２……ラツチ（掛止部材）、
２３……テンシヨンスプリング、３０……駆動手
段、３１……連結ロツド、３２……作動ロツド、
３２ｃ……屈曲部、３３……操作ロツド、３３ｂ
……ペダル部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車室内フロアに設けた支持台の上面側に組付け
   た固定側連結部材にシートの下面側に組付けた可
   動側連結部材を回転可能に連結して前記シートを
   前記支持台に対して前記フロアに沿つて回転可能
   に構成するとともに、同シートをロツク手段を介
   して前記支持台に対して解除可能にロツクするよ
   うにした車両用回転シートにおいて、前記固定側
   連結部材を前記支持台に対して左右一対のリンク
   を介して左右方向へ上下動可能に組付けるととも
   に、前記固定側連結部材と前記支持台間に同固定
   側連結部材を受承し外部操作により上下方向へ起
   伏する駆動手段を介在させ、かつ前記ロツク手段
   として前記シート側に設けられて下方へ突出する
   被掛止部材を上方から受承して同被掛止部材を解
   除可能に掛止する掛止部材を備えたロツク手段を
   採用して、同ロツク手段と前記駆動手段とを同駆
   動手段の起立動作と前記ロツク手段のロツク解除
   動作とが連動可能に連結したことを特徴とする車
   両用回転シート。