JPH04278088A - ビオチンシンセターゼをコードする遺伝子を含むdna断片およびその利用 - Google Patents

ビオチンシンセターゼをコードする遺伝子を含むdna断片およびその利用

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JPH04278088A
JPH04278088A JP3062563A JP6256391A JPH04278088A JP H04278088 A JPH04278088 A JP H04278088A JP 3062563 A JP3062563 A JP 3062563A JP 6256391 A JP6256391 A JP 6256391A JP H04278088 A JPH04278088 A JP H04278088A
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JP
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biotin
plasmid
dna fragment
dna
synthetase
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Application number
JP3062563A
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English (en)
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Kazuhisa Hatakeyama
和久 畠山
Keiko Kohama
恵子 小浜
Mayumi Hosogane
細金 真由美
Miki Kobayashi
幹 小林
Yasurou Kurusu
泰朗 久留主
Hideaki Yugawa
英明 湯川
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビオチンシンタ−ゼ(
すなわちデスチオビオチンからビオチンの生合成反応に
関与する酵素)をコ−ドする遺伝子を含むコリネ型細菌
由来のDNA断片、該DNA断片を含む組換えプラスミ
ド、該組換えプラスミドで形質転換されたコリネ型細菌
及び該コリネ型細菌を用いるビオチンシンセタ−ゼの製
造法に関する。
【0002】ビオチンシンセタ−ゼは、ビオチン生合成
に関与する酵素の一つであり、ビオチン製造における産
業上有用な酵素である。
【0003】またビオチンは、ヒト、動物、植物及びあ
る種の微生物の生育に必要とされるビタミンの1種であ
り、特に皮膚代謝の調整剤として、あるいはヒトの脱毛
防止養毛剤として、あるいは、家畜飼料への添加剤とし
て用いられる有用な物質である。
【0004】従来、微生物を用いたビオチンの製造法と
しては、バチルス(Bacillus)属、エシエリヒ
ア(Escherichia)属、アグロバクテリウム
(Agrobacterium)属、クロモバクテリウ
ム(Chromobacterium)属、シユ−ドモ
ナス(Pseudomonas)属、ア−スロバクタ−
(Arthrobacter)属等の微生物を用いる方
法が知られている(特開昭56−160998号公報)
。またこれら野生株に人工的に突然変異を生起させてビ
オチン生産能を付与する方法も提案されている(例えば
 H.Yamagataet al,Agri.Bia
l.Chem.,47、1611、1983)。
【0005】しかしながら、微生物を用いてビオチンを
製造しようとする場合、野生株はビオチンによる強力な
フイ−ドバツク抑制機構のため(Y.Izumi,K.
Ogata,Adv.Appl.Microbial.
22、155−157、1977)、ビオチンは極少量
しか生成されない。また変異株を用いる方法でも生成量
は必ずしも満足し得るものではなかつた。
【0006】また、工業的利用上多くの利点を有するブ
レビバクテリウム属およびコリネバクテリウム属細菌を
含むコリネ型細菌のある種の菌株、例えばブレビバクテ
リウム・フラバム(Brevibacterium f
lavum)MJ−233、ブレビバクテリウム・ラク
トフア−メンタム(Brevibacterium l
actofermentum)ATCC13869、コ
リネバクテリウム・グルタミカム(Corynebac
terium glutamicum)ATCC318
31、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Bre
vibacterium ammoniagenes)
ATCC13745等はビオチン要求性を有しており、
ビオチンを全く生産しないことが知られている。
【0007】ビオチンの生合成に関与する遺伝子として
は、エシエリヒア・コリ(Escherichia c
oli)由来の遺伝子がよく研究されており、bioA
、bioB、bioC、bioD、bioF、bioH
遺伝子が存在することが知られている。このうち、bi
oAは7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフ
エラ−ゼ、bioBはビオチンシンセタ−ゼ、bioC
はピメリルCoAシンテタ−ゼ、bioDはデスチオビ
オチンシンテタ−ゼ、bioFは7−ケト−8−アミノ
ペラルゴン酸シンテタ−ゼをそれぞれコ−ドすることが
知られ、bioHについては、その働きは、まだ明らか
でない(A.J.Otsuka et. al., J
.Biol.Chem.263、19577−1958
5、1988)。また、bioA、bioB、bioC
、bioD、bioF遺伝子はbioABFCDなるオ
ペロンを形成しており、その発現は、bioAとbio
B遺伝子の間に存在するオペレ−タ−により制御される
ことがわかつている。また、そのオペレ−タ−の制御は
、bioA遺伝子にコ−ドされたビオチンリプレツサ−
が、ビオチンにより活性化されることによりオペレ−タ
−に結合し、ビオチン生合成オペロンの発現を抑制する
ことが知られている(J.Biol.Chem.263
、1013−1016、1988)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、コリネ型
細菌のビオチン生合成に関与する遺伝子を解析・単離し
、該遺伝子を同種であるコリネ型細菌に導入し、該遺伝
子産物を効率的にコリネ型細菌から取得することを目的
としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ビオチン要
求性の大腸菌変異株を用いる交差相補性試験により、ビ
オチン要求性のコリネ型細菌は少くともbioB、bi
oA、bioDの3種のビオチン生合成に関与する遺伝
子を保有していることが明らかとなり、該遺伝子を適当
なベクタ−プラスミドに導入して、コリネ型細菌を形質
転換し、該コリネ型細菌を培養することにより、培養物
中に効率的にビオチン生合成に関与する酵素が生成する
ことを見い出し本発明を完成するに至つた。かくして本
発明によれば、(1) コリネ型細菌由来のビオチンシ
ンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioB)を含むDN
A断片、(2) 該DNA断片が導入された組換えプラ
スミド、(3) 該組換えプラスミドで形質転換された
コリネ型細菌、(4) 該コリネ型細菌を培養し、培養
物中にビオチンシンセタ−ゼを生成せしめることを特徴
とするビオチンシンセタ−ゼの製造法、が提供される。
【0010】以下本発明についてさらに詳細に説明する
。本発明の「ビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子
を含むDNA断片」(以下これを「bioB断片」と略
称することがある)は、デスチオビオチンからビオチン
への変換反応を触媒する酵素、すなわちビオチンシンセ
タ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioB)を含むDNA断
片である。
【0011】上記bioB断片の供給源となる微生物は
、コリネ型細菌であれば特に限定されるものではないが
、一般的には、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−2
33(FERM BP−1497)およびその由来株、
ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevib
acterium ammoniagenes)ATC
C6871、同ATCC13745、同ATCC137
46、ブレビバクテリウム・デバリカタム(Brevi
bacterium divaricatum)ATC
C14020、ブレビバクテリウム・ラクトフア−メン
タム(Brevibacterium lactofe
rmentum)ATCC13869、コリネバクテリ
ウム・グルタミカム(Corynebacterium
 glutamicum)ATCC31831等が有利
に使用される。
【0012】これらの供給源微生物からbioB断片を
調製するための基本的操作の一例を述べれば次のとおり
である。
【0013】すなわち、bioB断片の調製は、上記コ
リネ型細菌、例えばブレビバクテリウム・フラバム(B
revibacterium flavum)MJ−2
33(FERM BP−1497)株の染色体上に存在
し、この染色体を適当な制限酵素で切断することにより
生ずる切断断片の中から以下に述べる方法で分離、取得
することができる。先ず、ブレビバクテリウム・フラバ
ムMJ−233株の培養物から染色体DNAを抽出する
。この染色体DNAを適当な制限酵素、例えばSau3
AIを用いて、DNA断片の大きさが約20〜30kb
になるように部分分解する。
【0014】得られたDNA断片をコスミドベクタ−、
例えばpWE15に挿入し、このコスミドをλDNA 
in vitro Packaging Kitを用い
る形質導入により、bioBの欠損した大腸菌変異株(
Journal of Bacteriology,v
ol 94、p2065−2066、1967及びJo
urnal of Bacteriology vol
 112、p830−839、1972参照)に導入す
る。この大腸菌変異株を、ビオチンを含まない選択培地
に塗沫する。
【0015】得られる形質転換株よりコスミドDNAを
抽出し、制限酵素で解析することにより挿入されたブレ
ビバクテリウム・フラバムMJ−233株染色体由来の
bioB断片を確認・取得することができる。かくして
得られるbioB断片は、大きさが約20〜30kbと
大きく、実用的でないので、さらに短かい断片に特定化
する必要がある。
【0016】次に、上記で得られたbioA、bioD
断片を含むコスミドを適当な制限酵素を用いて切断し、
得られるDNA断片を、大腸菌で複製可能なベクタ−プ
ラスミドに挿入しこのベクタ−プラスミドを通常用いら
れる形質転換法、例えば、塩化カルシウム法、電気パル
ス法による形質転換により、前記bioBの欠損した大
腸菌変異株に導入し、この大腸菌変異株をビオチンを含
まない選択培地に塗沫する。
【0017】得られる形質転換株よりプラスミドDNA
を抽出し、制限酵素で解析することにより挿入されたブ
レビバクテリウム・フラバムMJ−233株染色体由来
のbioB断片を確認・取得することができる。
【0018】このようにして得られるbioB断片の一
つは、上記ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
株の染色体DNAを制限酵素Sau3AIの部分分解に
より切り出し、さらにそれを制限酵素Hind III
で切り出すことによつて得られる大きさが約5.5kb
のDNA断片を挙げることができる。
【0019】この約5.5kbのビオチンシンセタ−ゼ
をコ−ドする遺伝子を含むDNA断片を、各種の制限酵
素で切断したときの認識部位数及び切断断片の大きさを
下記表1に示す。
【0020】なお、本明細書において、制限酵素による
「認識部位数」は、DNA断片又はプラスミドを、過剰
の制限酵素の存在下で完全分解し、それらの分解物をそ
れ自体既知の方法に従い1%アガロ−スゲル電気泳動お
よびポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離可能
な断片の数から決定した値を採用した。
【0021】また、「切断断片の大きさ」及びプラスミ
ドの大きさは、アガロ−スゲル電気泳動を用いる場合に
は、エシエリヒア・コリのラムダフア−ジ(λphag
e)のDNAを制限酵素Hind IIIで切断して得
られる分子量既知のDNA断片の同一アガロ−スゲル上
での泳動距離で描かれる標準線に基づき、また、ポリア
クリルアミドゲル電気泳動を用いる場合には、エシエリ
ヒア・コリのフアイ・エツクス174フア−ジ(φx1
74phage)のDNAを制限酵素Hae IIIで
切断して得られる分子量既知のDNA断片の同一ポリア
クリルアミドゲル上での泳動距離で描かれる標準線に基
づき、切断DNA断片又はプラスミドの各DNA断片の
大きさを算出する。プラスミドの大きさは、切断断片そ
れぞれの大きさを加算して求める。なお、各DNA断片
の大きさの決定において、1kb以上の断片の大きさに
ついては、1%アガロ−スゲル電気泳動によつて得られ
る結果を採用し、約0.1kbから1kb未満の断片の
大きさについては4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
によつて得られる結果を採用した。
【0022】
【表1】                          
    表  1        制限酵素    認
識部位数    切断断片の大きさ(kb)     
   KpnI           1      
       3.0 、 2.5        S
acI           1          
   1.7 、 3.8        EcoRI
          1             0
.6 、 4.9   上記表1中、3.0kbのKpnI切断断片、1.
7kbのSacI切断断片もまたビオチンシンセタ−ゼ
をコ−ドすることが確認されており、従つてこれらの切
断断片もまた、本発明のビオチンシンセタ−ゼをコ−ド
する遺伝子を含むDNA断片に包含されるものである。
【0023】かくして、ビオチンシンセタ−ゼをコ−ド
する遺伝子は、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−2
33の染色体DNAを制限酵素Hind IIIおよび
KpnIで切り出すことにより得られる大きさが約3.
0kbのDNA断片、および同染色体DNAを制限酵素
Hind IIIおよびSacIで切り出すことにより
得られる大きさが約1.7kbのDNA断片中に含まれ
ているものと考えられる。
【0024】上記約3.0kbのDNA断片および約1
.7kbのDNA断片を、さらに各種の制限酵素で切断
したときの認識部位数および切断断片の大きさを、各々
下記表2および表3に示す。
【0025】
【表2】                          
    表  2        制限酵素    認
識部位数    切断断片の大きさ(kb)     
   SacI           1      
       1.7 、 1.3        E
coRI          1          
   0.6 、 2.4
【0026】
【表3】                          
    表  3        制限酵素    認
識部位数    切断断片の大きさ(kb)     
   SphI           1      
       0.2 、 1.5        E
coRI          1          
   0.6 、 1.1        SmaI 
          1             1
.0 、 0.7        Hinc II  
      1             1.5 、
 0.2   一方、上記したブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233の染色体DNAを制限酵素Hind IIIお
よびSacIで切り出すことにより得られる大きさが約
1.7kbのDNA断片については、その塩基配列をプ
ラスミドpUC18またはpUC19を用いるジデオキ
シヌクレオチド酵素法(dideoxy chain 
termination 法)(Sanger,F.e
t al.,Proc.Nat.Acad.Sci.U
SA 74、5463、1977)により決定すること
ができる。このようにして決定した上記約1.7kbの
DNA断片の塩基配列中のオ−プンリ−デイングフレ−
ムの存在から決定したビオチンシンセタ−ゼをコ−ドす
る遺伝子(bioB)は、次の配列を有しており、33
4のアミノ酸をコ−ドする1002の塩基対から構成さ
れる:
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】上記の塩基配列を包含して成る本発明のビ
オチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子を含むDNA断
片は、天然のコリネ型細菌染色体DNAから分離された
もののみならず、通常用いられるDNA合成装置、例え
ばベツクマン社製 System−1Plus を用い
て合成されたものであつてもよい。
【0031】また、前記の如くブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ−233の染色体DNAから取得される本発
明のDNA断片は、ビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする
機能を実質的に損なうことがない限り、塩基配列の一部
の塩基が他の塩基と置換されていてもよく又は削除され
ていてもよく、或いは新たに塩基が挿入されていてもよ
く、さらに塩基配列の一部が転位されているものであつ
てもよく、これらの誘導体のいずれもが、本発明のビオ
チンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子を含むDNA断片
に包含されるものである。
【0032】以上に詳述した大きさが約5.5kb、約
3.0kb、約1.7kbのDNA断片の制限酵素によ
る切断点地図を図1に示す。
【0033】本発明のビオチンシンセタ−ゼをコ−ドす
る遺伝子を含むDNA断片(bioB断片)は、コリネ
型細菌内でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子を少
くとも含むプラスミドベクタ−に導入することにより、
コリネ型細菌内でビオチンシンセタ−ゼの高発現可能な
組換えプラスミドを得ることができる。
【0034】本発明のbioB断片を導入することがで
きる、コリネ型細菌内での複製増殖機能を司る遺伝子を
少くとも含むプラスミドベクタ−としては、特願平2−
4212号明細書に開示されているプラスミドpCRY
30;特開平2−276575号公報に記載されている
プラスミドpCRY21、pCRY2KE、pCRY2
KX、pCRY3K7、pCRY3KE、pCRY3K
X;特開平1−191686号公報に記載されているプ
ラスミドpCRY2及びpCRY3;特開昭58−67
679号公報に記載のpAM330;特開昭58−77
895号公報に記載のpHM1519;特開昭58−1
92900号公報に記載のpAJ655、pAJ611
及びpAJ1844;特開昭57−134500号に記
載のpCG1;特開昭58−35197号公報に記載の
pCG2;特開昭57−183799号公報に記載のp
CG4及びpCG11等を挙げることができる。
【0035】中でもコリネ型細菌の宿主ベクタ−系で用
いられるプラスミドベクタ−としては、コリネ型細菌内
でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子とコリネ型細
菌内でプラスミドの安定化機能を司る遺伝子とをもつも
のが好ましく、例えばプラスミドpCRY30、pCR
Y21、pCRY2KE、pCRY2KE、pCRY2
KX、pCRY3K7、pCRY3KE、pCRY3K
Xが好適に使用される。
【0036】上記プラスミドベクタ−pCRY30を調
製する方法としては、ブレビバクテリウム・スタチオニ
ス(Brevibacterium stationi
s)IFO12144(FERM BP−2515)か
らプラスミドpBY503DNAを抽出(このプラスミ
ドの詳細は特開平1−95785号公報参照)し、制限
酵素XhoIで大きさが約4.0kbのプラスミドの複
製増殖機能を司る遺伝子を含むDNA断片を切り出し、
制限酵素EcoRIおよびKpnIで大きさが約2.1
kbのプラスミドの安定化機能を司る遺伝子を含むDN
A断片を切り出す。これらの両断片をプラスミドpHS
G298(宝酒造製)のEcoRI、KpnI部位及び
SalI部位に組み込むことにより、プラスミドベクタ
−pCRY30を調製することができる。
【0037】次に、上記プラスミドベクタ−への本発明
のbioB断片の導入は、例えばプラスミドベクタ−中
に1個所だけ存在する制限酵素部位を、該制限酵素で開
裂し、そこに前記bioB断片を必要に応じてS1ヌク
レア−ゼで処理して平滑末端とするか、または適当なア
ダプタ−DNAの存在下にDNAリガ−ゼ処理で連絡さ
せることにより行うことができる。
【0038】プラスミドpCRY30への本発明のbi
oB断片の導入は、プラスミドpCRY30を制限酵素
EcoRIで開裂させ、そこに前記ビオチンシンセタ−
ゼをコ−ドする遺伝子を含むDNA断片(bioB断片
)をSlヌクレア−ゼで処理することにより平滑末端と
した後、DNAリガ−ゼで連結させることにより行うこ
とができる。
【0039】このようにして造成されるプラスミドpC
RY30に本発明のbioB断片を導入した組換えプラ
スミドは、ビオチンシンセタ−ゼの製造に好適に用いる
ことができる組換えプラスミドの一つであり、本発明者
らはこれをプラスミドpCRY30−bio2と命名し
た。プラスミドpCRY30−bio2の作成方法の詳
細については、後記実施例4及び5で説明する。
【0040】このプラスミドpCRY30−bio2の
制限酵素切断点地図を図2に示す。このようにして造成
されるビオチンシンセタ−ゼ遺伝子を含むコリネ型細菌
内で複製増殖可能なプラスミドを、宿主微生物に導入し
培養することにより、ビオチンシンセタ−ゼを安定に効
率よく生産することが可能となる。
【0041】本発明によるプラスミドで形質転換しうる
宿主微生物としては、コリネ型細菌、例えばブレビバク
テリウム・フラバムMJ−233(FERM BP−1
497)、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
−AB−41(FERM BP−1498)、ブレビバ
クテリウム・フラバムMJ−233−ABT−11(F
ERM BP−1500)、ブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233−ABD−21(FERM BP−1
499)等が挙げられる。
【0042】なお、上記のFERM BP−1498の
菌株は、FERMBP−1497号の菌株を親株として
DL−α−アミノ酪酸耐性を積極的に付与されたエタノ
−ル資化性微生物である(特公昭59−28398号公
報第3〜4欄参照)。また、FERM BP−1500
号の菌株は、FERM BP−1497の菌株を親株と
したL−α−アミノ酪酸トランスアミナ−ゼ高活性変異
株である(特開昭62−51998号公報参照)。さら
に、FERM BP−1499の菌株はFERMBP−
1497の菌株を親株としたD−α−アミノ酪酸デアミ
ナ−ゼ高活性変異株である(特開昭61−177993
号公報参照)。
【0043】これらの微生物の他に、ブレビバクテリウ
ム・アンモニアゲネス(Brevibacterium
 ammoniagenes)ATCC6871、同A
TCC13745、同ATCC13746、ブレビバク
テリウム・デバリカタム(Brevibacteriu
m divaricatum)ATCC14020、ブ
レビバクテリウム・ラクトフア−メンタム(Brevi
bacterium lactofermentum)
ATCC13869、コリネバクテリウム・グルタミカ
ム(Corynebacterium glutami
cum)ATCC31831等を宿主微生物として用い
ることもできる。
【0044】なお宿主としてブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233由来の菌株を用いる場合、本菌株が保
有するプラスミドpBY502(特開昭63−3678
7号公報参照)のため、形質転換が困難である場合があ
るので、そのような場合には、本菌株よりプラスミドp
BY502を除去することが望ましい。そのようなプラ
スミドpBY502を除去する方法としては、例えば、
継代培養を繰り返すことにより、自然に欠失させること
も可能であるし、人為的に除去することも可能である[
Bact.Rev.36 p.361〜405(197
2)参照]。上記プラスミドpBY502を人為的に除
去する方法の一例を示せば次のとおりである。
【0045】宿主ブレビバクテリウム・フラバムMJ−
233の生育を不完全に阻害する濃度のアクリジンオレ
ンジ(濃度:0.2〜50μg/ml)もしくはエチジ
ウムブロミド(濃度:0.2〜50μg/ml)等を含
む培地に、1ml当り約10細胞になるように植菌し、
生育を不完全に阻害しながら、約24時間約35℃で培
養する。 培養液を希釈後寒天培地に塗布し、約35℃で約2日培
養する。出現したコロニ−から各々独立にプラスミド抽
出操作を行い、プラスミドpBY502が除去されてい
る株を選択する。この操作によりプラスミドpBY50
2が除去されたブレビバクテリウム・フラバムMJ−2
33由来菌株が得られる。
【0046】このようにして得られるブレビバクテリウ
ム・フラバムMJ−233由来菌株への前記プラスミド
の形質転換法としては、エシエリヒア・コリ及びエルビ
ニア・カロトボラについて知られているように[Cal
vin,N.M.and Hanawalt,P.C.
,Journal of Bacteliology,
170,2796(1988);Ito,K.,Nis
hida,T.and Izaki.K.,Agric
ultural and Biological Ch
emistry,52,293(1988)参照]、D
NA受容菌にパルス波を通電することによりプラスミド
を導入することが可能である。
【0047】上記の方法で形質転換して得られるビオチ
ンシンセタ−ゼ産生能を有するコリネ型細菌、例えばブ
レビバクテリウム・フラバムMJ−233由来株の培養
方法を以下に述べる。
【0048】培養は炭素源、窒素源、無機塩等を含む通
常の栄養培地で行うことができ、炭素源としては、例え
ばグルコ−ス、エタノ−ル、メタノ−ル、廃糖蜜等が、
そして窒素源としては、例えばアンモニア、硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等
がそれぞれ単独もしくは混合して用いられる。また無機
塩としては、例えばリン酸−水素カリウム、リン酸二水
素カリウム、硫酸マグネシウム等が用いられる。この他
にペプトン、肉エキス、酵母エキス、コ−ンステイ−プ
リカ−、カザミノ酸、ビオチン等の各種ビタミン等の栄
養素を培地に添加することができる。
【0049】培養は、通常、通気撹拌、振盪等の好気的
条件下に、約20〜40℃、好ましくは25〜35℃の
温度で行うことができる。培養途中のpHは5〜10、
好ましくは7〜8付近で行い、培養中のpHの調整は酸
又はアルカリを添加して行うことができる。
【0050】培養開始時の炭素源濃度は、好ましくは1
〜5容量%、更に好ましくは2〜3容量%である。また
、培養期間は通常1〜7日間とすることができ、最適期
間は3日間である。
【0051】このようにして得られる培養物から遠心分
離等により菌体を取得することができる。
【0052】かくして培養された菌体は、野生株を培養
した場合に比べて、ビオチンシンセタ−ゼをその菌体内
に多量含有している。菌体内に産生された、ビオチンシ
ンセタ−ゼの含量を調べる方法としては、例えば超音波
処理、酵素処理、ホモジナイズ等の通常用いられる手段
にて破砕し得られる無細胞抽出液を、SDSゲル電気泳
動法[例えば、「蛋白質・酵素の基礎実験法」南江堂刊
、314〜333頁等参照]に付することにより、菌体
内の蛋白質を分離した後、Coomassie Bri
lliant Blue R−250による染色法ある
いは、銀染色法により染色した後、例えばフアルマシア
社製 Ultro Scan XL レ−ザ−デンシト
メ−タ−を用いることにより、菌体中の各種タンパク質
量を測定することができる。かくして、菌体内に産生さ
れた、ビオチンシンセタ−ゼ含量の増加を測定すること
が可能である。
【0053】上記の如くビオチンシンセタ−ゼを高含量
含む菌体を用いることにより、少なくともデスチオビオ
チンを含有する前記通常の栄養培地で培養することによ
り、高効率でビオチンを製造することができる。
【0054】本明細書では、ブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233からビオチンシンセタ−ゼをコ−ドす
る遺伝子(bioB)を含むDNA断片を単離し、該D
NA断片を導入した組換えプラスミドを同じくブレビバ
クテリウム・フラバムMJ−233由来株へ導入し、該
微生物によるビオチンシンセタ−ゼの生産能の向上につ
いて主として詳述したが、ブレビバクテリウム・フラバ
ムMJ−233由来株の代りに前記した他のコリネ型細
菌を用いても本発明の目的は達成される。
【0055】いわゆるコリネ型細菌は、コリネバクテリ
ウム属やブレビバクテリウム属等の種々の属名、種々の
菌名が付されているが主な菌学的性質を同じくしている
。これらの菌群は、細胞壁のアミノ酸構成やDNAの塩
基組成が画一的であり、菌種間には70〜80%のDN
Aの相同性があり、非常に近縁な微生物であることは明
らかである(Report of the Ferme
ntation Research Institut
es No.55、p1−5、1980、Intern
ational Journal of System
atic Bacteriology Vol31、p
131−138、1981参照)。
【0056】また、ビオチン要求性のコリネ型細菌、例
えばブレビバクテリウム・フラバムMJ−233(FE
RM BP−1497)、ブレビバクテリウム・ラクト
フア−メンタムATCC13869およびコリネバクテ
リウム・グルタミカムATCC31831について、ビ
オチン生合成に関与する各ステツプの遺伝子が欠損した
ビオチン要求性大腸菌変異株(Journal of 
Bacteriology、vol 112、p830
−839、1972および Journal of B
acteriology、vol 94、p2065−
2066、1967参照)との交差相補性試験(Jou
rnal Bacteriology、vol 96、
p515−524、1968参照)により、そのビオチ
ン生合成系路について検討した結果、これら3種の菌株
は同様にピメリルCoAシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝
子(bioC)および7−ケト−8−アミノペラルゴン
酸シンテタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioF)が欠損
しており、また少くとも7,8−ジアミノペラルゴン酸
アミノトランスフエラ−ゼをコ−ドする遺伝子(bio
A)、デスチオビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝
子(bioD)およびビオチンシンセタ−ゼをコ−ドす
る遺伝子を保有していることが明らかとなつた。これら
の事実を踏まえれば、ブレビバクテリウム・フラバムM
J−233のみならず、コリネ型細菌全般から単離され
たビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioB
)を含むDNA断片も本発明の範囲に含まれ、また、本
発明のプラスミドで形質転換し得る宿主微生物は、ブレ
ビバクテリウム・フラバムMJ−233に限らず、コリ
ネ型細菌が全て含まれることは明らかである。
【0057】
【実施例】以上に本発明を説明してきたが、下記の実施
例によりさらに具体的に説明する。しかしながら、実施
例は本発明の具体的に認識を得る一助とみなすべきもの
であり、本発明の範囲を限定するためのものでないこと
を理解しなければならない。
【0058】
【実施例1】コリネ型細菌とビオチン要求性大腸菌変異
株との相補性試験 (A)コリネ型細菌を含有するビオチン欠乏最少培地プ
レ−トの作製 半合成培地A培地[組成:尿素2g、(NH4)2SO
4 7g、K2HPO4 0.5g、KH2PO4 0
.5g、MgSO4 0.5g、FeSO4・7H2O
 6mg、MnSO4 4〜6H2O 6mg、酵母エ
キス2.5g、カザミノ酸5g、ビオチン200μg、
塩酸チアミン200μg、グルコ−ス20g、純水1l
]1lに、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
(FERM BP−1497)を植菌して、O.D.が
約2.9になるまで培養し、菌体を集めた。得られた菌
体をBM緩衝液[組成:尿素2g、(NH4)2SO4
 7g、K2HPO4 0.5g、KH2PO4 0.
5g、MgSO4 0.5g]で2回洗浄した。この菌
体を10mlのBM緩衝液に懸濁し、その内1mlを、
滅菌後、50℃に放置しておいたビオチン検定用C培地
(尿素0.2%、硫酸アンモニウム0.7%、KH2P
O4 0.05%、K2HPO4 0.05%、MgS
O4・7H2O 0.05%、FeSO4・7H2O 
6ppm、MnSO4・4〜6H2O 6ppm、チア
ミン・HCl 100μg/l、ビタミン・アツセイ用
カザミノ酸0.1%、グルコ−ス0.2%、寒天1.0
%)に添加し、撹拌後、プレ−トに流し、固化した。
【0059】同様にして、ブレビバクテリウム・フラバ
ムMJ−233(FERM BP−1497)の代わり
に、ブレビバクテリウム・ラクトフア−メンタムATC
C13869、あるいは、コリネバクテリウム・グルタ
ミカムATCC31831を用いて各種のコリネ型細菌
を含んだビオチン欠乏最少培地プレ−トを作製した。 (B)ビオチン要求性大腸菌変異株との相補性試験ビオ
チン生合成系路の各ステツプの欠損したビオチン要求性
大腸菌変異株と各種コリネ型細菌との相補性試験により
、各種コリネ型細菌のビオチン生合成系路を推定するこ
とができる。
【0060】上記(A)で作製した、3種のコリネ型細
菌含有ビオチン欠乏最少培地のプレ−トに、各種ビオチ
ン要求性大腸菌変異株を線状に植菌した。用いたビオチ
ン要求性大腸菌変異株は、エシエリヒア・コリ(Esc
herichia coli)R873(bioA4)
、同R874(bioF12)、同R875(bioB
17)、同R876(bioC18)、同R877(b
ioC19)である[(  )内は各菌株の遺伝子型(
Genotype)を示す、またこれらの菌株の詳細お
よび取得方法については、Journal of Ba
cteriology、vol 94、p2065−2
066(1967)、Journal of Bact
eriology、vol 112、p830−839
(1972)参照)。
【0061】これらのビオチン要求性大腸菌変異株とコ
リネ型細菌が相補した場合は、コリネ型細菌がビオチン
欠乏最小培地のプレ−ト中に生育し、黄色いコロニ−を
形成する。各種ビオチン要求性大腸菌変異株に対応する
コリネ型細菌のコロニ−形成の有無により、コリネ型細
菌がビオチン生合成に関与する遺伝子のどの部分を欠損
し、その部分を保有しているか容易に判別することがで
きる。
【0062】本相補試験の結果、ブレビバクテリウム・
フラバムMJ−233(FERMBP−1497)、ブ
レビバクテリウム・ラクトフア−メンタムATCC13
869、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC3
1831は、各菌株共、エシエリヒア・コリR873(
bioA4)、同R875(bioB17)、同R87
7(bioD19)を相補したが、同R874(bio
F12)、同R876(bioC18)を相補しなかつ
た。即ち、各々のコリネ型細菌は、少なくとも、同様に
7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフエラ−
ゼをコ−ドする遺伝子(bioA)、デスチオビオチン
シンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioD)およびビ
オチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioB)を
有していることが明らかとなつた。
【0063】
【実施例2】ブレビバクテリウム・フラバムMJ−23
3由来のビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(b
ioB)を含むDNA断片のクロ−ン化(A)ブレビバ
クテリウム・フラバムMJ−233の全DNAの抽出 半合成培地A培地[組成:尿素2g、(NH4)2SO
4 7g、K2HPO4 0.5g、KH2PO4 0
.5g、MgSO4 0.5g、FeSO4・7H2O
 6mg、MnSO4 4〜6H2O 6mg、酵母エ
キス2.5g、カザミノ酸5g、ビオチン200μg、
塩酸チアミン200μg、グルコ−ス20g、純水1l
]1lに、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
(FERM BP−1497)を対数増殖期後期まで培
養し、菌体を集めた。得られた菌体を10mg/mlの
濃度にリゾチ−ムを含む10mM NaCl−20mM
トリス緩衝液(pH8.0)−1mM EDTA−2N
a溶液15mlに懸濁した。次にプロテナ−ゼKを、最
終濃度が100μg/mlになるように添加し、37℃
で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナトリウムを最
終濃度が0.5%になるように添加し、50℃で6時間
保温して容菌した。この溶菌液に、等量のフエノ−ル/
クロロホルム溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに
振盪した後、全量を遠心分離(5,000×g、20分
間、10〜12℃)し、上清画分を分取し、酢酸ナトリ
ウムを0.3Mとなるように添加した後、2倍量のエタ
ノ−ルをゆつくりと加えた。水層とエタノ−ル層の間に
存在するDNAをガラス棒でまきとり、70%エタノ−
ルで洗浄した後、風乾した。得られたDNAに10mM
トリス緩衝液(pH7.5)−1mM EDTA・2N
a溶液5mlを加え、4℃で一晩静置し、以後の実験に
用いた。
【0064】(B)組換え体の創製 上記(A)項で得たブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233の全DNA90μlを制限酵素Sau3AI 
1unitを用い、37℃で20分間反応させ部分分解
した。 この部分分解DNAにコスミドpWE15(ストラダジ
−ン社製)を制限酵素BamHIで切断した後、脱リン
酸化処理したものを混合し、50mMトリス緩衝液(p
H7.6)、10mMジチオスレイト−ル、1mM A
TP、10mM MgCl2及びT4DNAリガ−ゼ1
unitの各成分を添加し(各成分の濃度は最終濃度で
ある)、4℃で15時間反応させ、結合させた。
【0065】(C)ビオチン生合成に関与する酵素をコ
−ドする遺伝子を含むコスミドの選抜 上記(B)項で得たコスミド混液を用い、前記エシエリ
ヒア・コリR875(bioB17)株を形質導入し、
アンピリシン50mgを含む選択培地[K2HPO4 
7g、KH2PO4 2g、(NH4)2SO4 1g
、MgSO4・7H2O 0.1g、カザミノ酸10g
、グルコ−ス2g及び寒天16gを蒸留水1lに溶解]
に塗沫した。なお形質導入には、宝酒造より販売されて
いるλDNA in vitro Packaging
 Kit を用いて行つた。培地上の生育株を常法によ
り、液体培養し、培養液よりコスミドDNAを抽出し、
該コスミドを制限酵素により切断し、アガロ−スゲル電
気泳動を用いて調べたところ、コスミドpWE15の長
さ8.8kbのDNA断片に加え、長さ約30kbのD
NA断片が認められた。本コスミドをpWE15−bi
o2と命名した。
【0066】(D)ビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする
遺伝子を含むDNA断片(bioB断片)のプラスミド
pHSG399へのサブクロ−ニング 上記(C)項で得たコスミドpWE15−bio2に含
まれるDNA挿入断片は約30kbと大きく、実用的で
ないので、得られた断片のうち必要な部分だけに小型化
するために、プラスミドpHSG399(宝酒造より市
販)へビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子を含む
DNA断片を下記のとおりサブクロ−ニングした。
【0067】上記(C)項で得たコスミドpWE15−
bio2を制限酵素Hind IIIで切断したものと
、プラスミドpHSG399を制限酵素Hind II
Iで切断したものを混合し、50mMトリス緩衝液(p
H7.6)、10mMジチオスレイト−ル、1mM A
TP、10mM MgCl2及びT4DNAリガ−ゼ1
unitの各成分を添加し(各成分の濃度は最終濃度で
ある)、12℃で15時間反応させ、結合させた。
【0068】得られたプラスミド混液を用い、塩化カル
シウム法(Journal of Molecular
 Biology、53、159、1970)によりエ
シエリヒア・コリR875(bioB17)株を形質転
換し、クロラムフエニコ−ル50mgを含む選択培地[
K2HPO4 7g、KH2PO4 2g、(NH4)
2SO4 1g、MgSO4・7H2O 0.1g、カ
ザミノ酸10g、グルコ−ス2g及び寒天16gを蒸留
水1lに溶解]に塗沫した。
【0069】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロ−スゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミドpHSG399の長さ
2.2kbのDNA断片に加え、長さ約5.5kbの挿
入DNA断片が認められた。各種の制限で切断したとき
の、長さ約5.5kbのDNA断片の制限酵素認識部位
数および切断断片の大きさは前記表1に示したとおりで
あつた。 このDNA断片の制限酵素切断点地図を図1に示す。
【0070】また上記で得たプラスミドを各種制限酵素
で切断して、切断断片の大きさを測定した。その結果を
下記の表4に示す。
【0071】
【表4】   表4    プラスミドpHSG399−bioB
5.5              制限酵素    
認識部位数    切断断片の大きさ(kb)    
    HindIII       2      
     5.5 、  2.2          
SacI           2         
  6.0 、  1.7        KpnI 
          2           4.7
 、  3.0   上記の制限酵素により特徴づけられるプラスミドを
pHSG399−bioB5.5と命名した。
【0072】以上により、ビオチンシンセタ−ゼをコ−
ドする遺伝子(bioB)を含む大きさが約5.5kb
のDNA断片(Hind III断片)を得ることがで
きた。
【0073】(E)ビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする
遺伝子を含むDNA断片(bioB断片)のプラスミド
 pBluescript II へのサブクロ−ニン
グ上記(D)項で得たプラミドpHSG399−bio
B5.5は、bioBを含む長さが約5.5kbの挿入
DNA断片を有しているがさらに得られた断片のうち必
要な部分だけに小型化するために、プラスミド pBl
uescript II(ストラタジ−ン社より市販)
へビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子を含むDN
A断片を下記のとおりサブクロ−ニングした。
【0074】上記(D)項で得たプラスミドpHSG3
99−bio5.5を制限酵素Hind IIIおよび
SacIで切断したものと、プラスミド pBlues
cript IIを制限酵素Hind IIIおよびS
acIで切断したものを混合し、50mMトリス緩衝液
(pH7.6)、10mMジチオスレイト−ル、1mM
 ATP、10mM MgCl2及びT4DNAリガ−
ゼ1unit の各成分を添加し(各成分の濃度は最終
濃度である)、12℃で15時間反応させ、結合させた
【0075】得られたプラスミド混液を用い、前記の方
法に従い前記エシエリヒア・コリR875(bioB1
7)株を形質転換し、アンピシリン50mgを含む選択
培地[K2HPO4 7g、KH2PO4 2g、(N
H4)2SO4 1g、MgSO4・7H2O0.1g
、カザミノ酸10g、グルコ−ス2g及び寒天16gを
蒸留水1lに溶解]に塗沫した。
【0076】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロ−スゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミド pBluescri
pt IIの長さ2.95kbのDNA断片に加え、長
さ約1.7kbの挿入DNA断片が認められた。各種の
制限酵素で切断したときの、長さ約1.7kbのDNA
断片の制限酵素認識部位数および切断断片の大きさは前
記表3に示したとおりであつた。このDNA断片の制限
酵素切断点地図を図1に示す。
【0077】また上記で得たプラスミドを各種制限酵素
で切断して、切断断片の大きさを測定した。その結果を
下記の表5に示す。
【0078】
【表5】   表5     プラスミドpBS−bioB−HS
1.7                制限酵素  
  認識部位数    切断断片の大きさ(kb)  
      Hind III      1    
           4.65        Sa
cI           1           
    4.65        HincII   
      1               4.6
5   上記の制限酵素により特徴づけられるプラスミドを
pBS−bioB−HS1.7とと命名した。
【0079】以上により、ビオチンシンセタ−ゼをコ−
ドする遺伝子(bioB)を含む大きさが約1.7kb
のDNA断片(Hind III−SacI断片)を得
ることができた。
【0080】
【実施例3】ビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子
(bioB)の塩基配列の決定実施例2の(E)項で得
られたビオチンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bi
oB)を含む長さが約1.7kbのDNA断片について
、その塩基配列をプラスミドpUC18またはpUC1
9を用いるジデオキシヌクレオチド酵素法(dideo
xy chain termination 法)(S
anger,F.et al.,Proc.Nat.A
cad.Sci.USA74、5463、1977)に
より図2に示した戦略図に従つて決定した。その塩基配
列中のオプンリ−デングフレ−ムの存在から、ビオチン
シンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioB)は、下記
の配列を有する334のアミノ酸をコ−ドする1002
の塩基対より構成されていることが判明した。
【0081】
【化7】
【0082】
【化8】
【0083】
【化9】
【0084】
【実施例4】コリネ型細菌内で複製し安定なプラスミド
ベクタ−pCRY30の作成 (A)プラスミドpBY503の調製 プラスミドpBY503は、ブレビバクテリウム・スタ
チオニスIFO12144(FERM BP−2515
)から分離された分子量約10メガダルトンのプラスミ
ドであり、特開平1−95785号公報に記載のように
して調製した。半合成培地A培地[尿素2g、(NH4
)2SO4 7g、K2HPO4 0.5g、KH2P
O4 0.5g、MgSO4 0.5g、FeSO4・
7H2O 6mg、MnSO4・4〜6H2O 6mg
、酵母エキス2.5g、カザミノ酸5g、ビチオン20
0μg、塩酸チアミン200μg、グルコ−ス20g及
び純水1l]1lに、ブレビバクテリウム・スタチオニ
ス1FO12144を対数増殖期後期まで培養し、菌体
を集めた。得られた菌体を10mg/mlの濃度にリゾ
チ−ムを含む緩衝液[25mMトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン、10mMのEDTA、50mMグル
コ−ス]20mlに懸濁し、37℃で1時間反応させた
。反応液にアルカリ−SDS液[0.2N NaOH、
1%(W/V)SDS]40mlを添加し、緩やかに混
和して室温にて15分間静置した。次に、この反応液に
酢酸カリウム溶液[5M酢酸カリウム溶液60ml、酢
酸11.5ml、純水28.5mlの混合液]30ml
を添加し、充分混和してから氷水中に15分間静置した
【0085】溶菌物全量を遠心管に移し、4℃で10分
間、15,000×gの遠心分離にかけ、上澄液を得た
【0086】これに等量のフエノ−ル−クロロホルム液
(フエノ−ル:クロロホルム=1:1混和液)を加え懸
濁した後、遠心管に移し、室温下で5分間、15,00
0×gの遠心分離にかけ、水層を回収した。水層に2倍
量のエタノ−ルを加え、−20℃で1時間静置後、4℃
で10分間、15,000×gの遠心分離にかけ、沈澱
を回収した。
【0087】沈澱を減圧乾燥後、TE緩衝液[トリス1
0mM、EDTA1mM;HClにてpH8.0に調整
]2mlに溶解した。溶解液に塩化セシウム溶液[5倍
濃度のTE緩衝液100mlに塩化セシウム170gを
溶解させた液]15mlと10mg/mlエチジウムブ
ロマイド溶液1mlを加えて、密度を1.392g/m
lに合わせた。この溶液を12℃で42時間、116,
000×gの遠心分離を行つた。
【0088】プラスミドpBY503は紫外線照射によ
り遠心管内で下方のバンドとして見い出される。このバ
ンドを注射器で遠心管の側面から抜きとることにより、
プラスミドpBY503を含む分画液を得た。
【0089】次いでこの分画液を等量のイソアミルアル
コ−ルで4回処理してエチジウムブロマイドを抽出除去
し、その後にTE緩衝液に対して透析を行つた。このよ
うにして得られたプラスミドpBY503を含む透析液
に3M 酢酸ナトリウム溶液を最終濃度30mMに添加
した後、2倍量エタノ−ルを加え、−20℃1時間静置
した。この溶液を15,000×gの遠心分離にかけて
DNAを沈降させ、プラスミドpBY503を50μg
得た。
【0090】(B)プラスミドベクタ−pCRY30の
作成 プラスミドpHSG298(宝酒造製)0.5μgに制
限酵素SalI(5units)を37℃1時間反応さ
せ、プラスミドDNAを完全に分解した。
【0091】前記(A)項で調製したプラスミドpBY
503の2μgに制限酵素XhoI(1unit)を3
7℃で30分間反応させ、プラスミドDNAを部分分解
した。
【0092】両者のプラスミドDNA分解物を混合し、
制限酵素を不活性化するために65℃で10分間加熱処
理した後、該失活溶液中の成分が最終濃度として各々5
0mMトリス緩衝液pH7.6、10mM MgCl2
、10mMジチオスレイト−ル、1mM ATP及びT
4DNAリガ−ゼ1unitになるように各成分を強化
し、16℃で15時間保温した。この溶液を用いてエシ
エリヒア・コリJM109コンピテントセル(宝酒造製
)を形質転換した。
【0093】形質転換株は30μg/ml(最終濃度)
のカナマイシン、100μg/ml(最終濃度)のIP
TG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド
)100μg/ml(最終濃度)のX−gal(5−ブ
ロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクト
ピラノシド)を含むL培地(トリプトン10g、酵母エ
キス5g、NaCl 5g及び純水1l、pH7.2)
で37℃にて24時間培養し、生育株として得られた。 これらの生育株のうち、白いコロニ−で生育してきたも
のを選択し、各々プラスミドをアルカリ−SDS法[T
.Maniatis,E.F.Fritsch,J.S
ambrook,“Molecular clonin
g”(1982)p90〜91参照]により抽出した。
【0094】その結果、プラスミドpHSG298のS
alI部位にプラスミドpBY503由来の約4.0k
bの断片が挿入されたプラスミドpHSG298−or
iが得られた。
【0095】次に同様の方法を用い、前記(A)項で得
られたプラスミドpBY503DNAを制限酵素Kpn
I及びEcoRIにて処理して得られる約2.1kbの
DNA断片を上記プラスミドpHSG298−oriの
KpnI及びEcoRI部位にクロ−ニングし、プラス
ミドベクタ−pCRY30を調製した。
【0096】
【実施例5】プラスミドpCRY30−bio2の作成
及びコリネ型細菌への導入 実施例2の(E)項で得られたプラスミドpBS−bi
oB−HS1.75μgを制限酵素Hind III及
びSacIを各々5unitづつ用い、37℃で1時間
反応させ分解したものと、実施例4の(B)項で得られ
たプラスミドpCRY30 1μgを制限酵素EcoR
I 1unitを用い、37℃で1時間反応させ分解し
たものを混合し、S1ヌクレア−ゼで処理することによ
り平滑末端とした後、50mMトリス緩衝液(pH7.
6)、10mMジチオスレイト−ル、1mM ATP、
10mM MgCl2およびT4 DNAリガ−ゼ1u
nitの各成分を添加し(各成分の濃度は最終濃度であ
る)、12℃で15時間反応させ結合させた。このプラ
スミドを用いて、前記方法に従いエシエリヒア・コリR
875(bioB17)株を形質転換し、カナマイシン
50μg/mlを含む選択培地[K2HPO4 7g、
KH2PO4 2g、(NH4)2SO4 1g、Mg
SO4・7H2O 0.1g、カザミノ酸10g、グル
コ−ス2g及び寒天16gを蒸留水1lに溶解]に塗抹
した。
【0097】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロ−スゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミドpCRY30の長さ8
.6kbのDNA断片に加え、大きさ1.7kbの挿入
DNA断片が認められた。
【0098】上記の如く調製されたプラスミドDNAを
、コリネ型細菌へ形質転換した。
【0099】形質転換は、電気パルス法を用いて行つた
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233(FERM
 BP−1497)プラスミドpBY502除去株を1
00mlの前記A培地で対数増殖初期まで培養し、ペニ
シリンGを1ユニツト/mlになるように添加して、さ
らに2時間振盪培養し、遠心分離により菌体を集め、菌
体を20mlのパルス用溶液(272mM Sucro
se、7mM KH2PO4、1mM MgCl2:p
H7.4)にて洗浄した。さらに菌体を遠心分離して集
め、5mlのパルス用溶液に懸濁し、0.75mlの細
胞と、前記で得られたプラスミドDNA溶液50μlと
を混合し、水中にて20分間静置した。ジ−ンパルサ−
(バイオラド社製)を用いて、2500ボルト、25μ
FDに設定し、パルスを印加後氷中に20分間静置した
。全量を3mlの前記A培地に移し30℃にて1時間培
養後、カナマイシン15μg/ml(最終濃度)を含む
前記A寒天培地に植菌し30℃で2〜3日間培養した。 出現したカナマイシン耐性株より、前記実施例4(A)
項に記載の方法を用いてプラスミドを得た。このプラス
ミドを各種制限酵素で切断して、切断断片の大きさを測
定した。その結果を下記の表6に示す。
【0100】
【表6】   表6       プラスミドpCRY30−bi
o2                   制限酵素
    認識部位数    切断断片の大きさ(kb)
        XhoI           1 
             10.3        
BamH1          1         
     10.3        KpnI    
       1              10.
3        SacI           1
              10.3       
 Sph I           2       
        8.6 、 1.7   上記制限酵素により特徴づけられるプラスミドをp
CRY30−bio2と命名した。このプラスミドpC
RY30−bio2の制限酵素地図を図3に示す。なお
、プラスミドpCRY30−bio2により形質転換さ
れたブレビバクテリウム・フラバムMJ−233−bi
o2は、茨城県つくば市東1丁目1番3号の工業技術院
微生物工業技術研究所に、平成3年2月26日付で:微
工研菌寄第12040号(FERM P−12040)
として寄託されている。
【0101】
【実施例6】プラスミドpCRY30−bio2の安定
性 前記のA培地100mlを500ml容三角フラスコに
分注し、120℃で15分間滅菌処理したものに、実施
例5で得た形質転換株MJ−233−bio2を植菌し
、30℃にて24時間振盪培養を行つた後、同様にして
調製したA培地100mlを500ml容三角フラスコ
に分注し、120℃で15分間滅菌したものに、1ml
当たり50cells の割合になるように植継し、同
じく30℃にて24時間振盪培養を行つた。次に遠心分
離して集菌し、菌体を洗浄後、カナマイシンを15μg
/mlの割合で添加したA培地及び無添加のA培地を用
いて調製した平板培地に一定量塗抹し、30℃にて1日
培養後生育コロニ−をカウントした。
【0102】この結果、カナマイシン添加および無添加
培地に生育したコロニ−は同数であること、さらにA培
地生育コロニ−は全てカナマイシン添加培地に生育する
こと、すなわち該プラスミドの高度の安定性を確認した
【0103】
【実施例7】ビオチンシンセタ−ゼの製造培地(尿素0
.2%、硫酸アンモニウム0.7%、KH2PO4 0
.05%、K2HPO4 0.05%、MgSO4・7
H2O 0.05%、FeSO4・7H2O 6ppm
、MnSO4・4〜6H2O 6ppm、チアミン・H
Cl 100μg/l、及びビオチン200μg/l)
100mlを500ml容三角フラスコに分注、滅菌(
滅菌後pH7.0)した後、ブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233−bio2株を植菌し、無菌的にグル
コ−スを最終濃度2%(W/V)なるように加え、30
℃にて3日間振とう培養を行つた。
【0104】対照としてプラスミドpCRY30−bi
o2を保持しないブレビバクテリウム・フラバムMJ−
233株を植菌し、同様に培養を行つた。
【0105】培養液をベツクマン遠心機 Model 
J2−21を用いて、8000rpmで10分間、遠心
し、菌体を集菌する。本試量菌体約5mgに、0.5M
 Tris−HCl(pH6.8)を0.125ml、
10%(W/V)SDSを0.200ml、β−メルカ
プトエタノ−ルを0.050mlを添加し、水で全量を
1.0mlに合わせる。この試料液を沸騰水中で約3分
間処理する。上記の試料液1mlに対して、0.05%
(W/V)BPBと70%(V/V)グリセロ−ルを含
む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)の0
.1mlを加えたものを泳動用試料液とする。
【0106】試料液を「第一化学薬品(株)」製SDS
−PAGプレ−ト10/20−1010を用い、試料を
5μlアプライした後、60mAの定電流で、約60分
間泳動する。
【0107】Coomassie Brilliant
 Blue R−250の0.25%(W/V)(正味
の濃度)を含むエタノ−ル−酢酸−水(9:2:9、V
/V)混液にゲルプレ−トを浸して分離ゲル中の試料蛋
白質の染色を行う。室温で約6時間染色した後、エタノ
−ル、酢酸、水(25:8:65、V/V)混液(脱色
液)に浸し、軽く振盪し、直ちに、新しい脱色液と交換
する。以後は、約1時間ごとに新しい脱色液と交換する
。この脱色操作を分離ゲル中の蛋白質のバンドがかなり
明瞭に見えるようになるまで繰り返す(3〜5時間)。 つぎに、分離ゲルをメタノ−ル−酢酸−水(10:15
:175、V/V)混液(保存液)に浸して、蛋白質の
存在していない部分(バツクグランド)を完全に脱色す
る。かくして、ゲル上に分子量約3万のタンパク質のバ
ンドとして染色されていることにより、ビオチンシンセ
タ−ゼが菌体内で産生されていることを確認することが
できる。このバンドの濃度を、フアルマシア社製「Ul
tro Scan XLレ−ザ−デンシトメ−タ−」を
用いて、測定した結果、ブレビバクテリウム・フラバム
MJ−233−bio2株中に含まれるビオチンシンセ
タ−ゼの含量は、pCRY30−bio2を保持しない
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株に比べて
、約5倍に上昇していることが明らかとなつた。
【0108】
【発明の効果】本発明の新規なDNA断片は、コリネ型
細菌のビオチン生合成に関与する酵素にうち、ビオチン
シンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子(bioB)を含むD
NA断片であり、該DNA断片を含む本発明のプラスミ
ドを用いることにより、コリネ型細菌に属する微生物の
遺伝子操作による改良が可能となる。
【0109】また、このようにして改良された本発明の
コリネ型細菌に属する微生物を培養することにより、微
生物菌体内でビオチンシンセタ−ゼの産生が増加し、該
酵素の菌体内への高度蓄積が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】  本発明のビオチンシンセタ−ゼをコ−ドす
る遺伝子(bioB)を含むDNA断片の制限酵素によ
る切断点地図。
【図2】  大きさが約1.7kbの本発明DNA断片
の塩基配列決定のための戦略図。
【図3】  本発明のプラスミドpCRY30−bio
2の制限酵素切断点地図。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  コリネ型細菌由来のビオチンシンセタ
    −ゼをコ−ドする遺伝子を含むDNA断片。
  2. 【請求項2】  コリネ型細菌がビオチン要求性の菌株
    である請求項1記載のDNA断片。
  3. 【請求項3】  ビオチン要求性のコリネ型細菌がブレ
    ビバクテリウム・フラバム(Brevibacteri
    um flavum)MJ−233である請求項2記載
    のDNA断片。
  4. 【請求項4】  大きさが約5.5kb、約3.0kb
    または約1.7kbである請求項2記載のDNA断片。
  5. 【請求項5】  次のDNA塩基配列で表されるビオチ
    ンシンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子DNA断片。 【化1】
  6. 【請求項6】  次のアミノ酸配列に表されるビオチン
    シンセタ−ゼをコ−ドする遺伝子DNA断片。 【化2】 【化3】
  7. 【請求項7】  請求項1〜6のいずれかに記載された
    DNA断片が導入された組換えプラスミド。
  8. 【請求項8】  請求項1〜6のいずれかに記載された
    DNA断片と、プラスミドpBY503に由来するコリ
    ネ型細菌内で複製増殖機能を司る遺伝子を含むDNA断
    片及び安定化機能を司る遺伝子を含むDNA断片を保有
    する組換えプラスミド。
  9. 【請求項9】  請求項7〜8のいずれかに記載の組換
    えプラスミドで形質転換されたコリネ型細菌。
  10. 【請求項10】  請求項9記載のコリネ型細菌を培養
    し、培養物中にビオチンシンセタ−ゼを生成せしめるこ
    とを特徴とするビオチンシンセタ−ゼの製造法。
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