JPH0426732Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は内燃機関のコンロツド構造に係り、特
に、クランクピンへの結合が容易なコンロツド構
造に関する。

［従来の技術］ 一般に、第３図に示すように、内燃機関の組立
に際しては、ピストンａとコンロツドｂとを予め
サブアツセンブリさせ、そのアツセンブリ部品ｃ
をその重力を利用してシリンダｄ内にシリンダヘ
ツド側から垂直に嵌挿し、コンロツドｂの大端部
ｅをクランクピンｆに対して鉛直に係合させてベ
アリングキヤツプｇで連結させるようにしてい
る。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、上記の組立方法では、シリンダｄを
鉛直に保持し、かつクランクシヤフトｈを水平に
してそのクランクシヤフトセンタの直上にクラン
クピンｆ及びピストンピンｉのセンタを位置させ
る必要があり、このため組付性が悪くその作業に
は熟練度が要求されていた。

即ち、ピストンａとコンロツドｂとはピストン
ピンｉにて連結されているため、コンロツドｂは
ピストンａの傾き（つまりシリンダｄの傾き）に
係わらず常に鉛直方向に垂下される。このためシ
リンダｄが傾斜しているとコンロツドｂの大端部
ｅがうまくクランクピンｆに係合せず組付が困難
になる。

またクランクピンｆのセンタｊとピストンピン
ｉのセンタｋとに第４図に示すような角度ずれα
が生じた場合には、その組付性は更に困難になつ
てコンロツドｂの大端部ｅがクランクシヤフトｈ
の鍔部ｌ、あるいはピストンを冷却するためのオ
イルジエツトｍ等と干渉を起こす虞れがある。

一方、実開昭55−167545号公報に「内燃機関の
ピストン組込用保護具」に関する提案がなされて
いるが、この提案はシリンダ内にピストン−コン
ロツドアツセンブリを嵌挿する際に、コンロツド
の大端部が主にシリンダ面を傷つけないように保
護するものであつて、大端部とクランクピンとの
組付性を改善するものではない。

［考案の目的］ 本考案は上記事情を考慮して創案されたもので
あり、その目的は、シリンダが傾斜していても、
またクランクピンとピストンピンとのセンタに角
度ずれが生じていても、コンロツドを容易にクラ
ンクピンに連結することができ、かつその組付時
における部品間同士の干渉を未然に防止できるコ
ンロツド構造を提供することにある。

［考案の概要］ 本考案は上記目的を達成するために、コンロツ
ドの本体側大端部にクランクピンを挾んで取り付
けられるベアリングキヤツプの取付孔を形成し、
その取付孔に、これよりクランンクピンを挾持す
る方向に球面状の頭部を有して円柱体状に延出さ
れる案内部材を着脱自在に螺合させて取り付けた
ものである。

［実施例］ 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
き詳述する。

第１図に示すように、ピストン１とコンロツド
２とは予めピストンピン３で連結されてサブアツ
センブリ化され、そのピストン−コンロツドアツ
センブリ部品４がシリンダ５内にシリンダヘツド
側から嵌挿される。コンロツド２の大端部６はク
ランクピン７に連結させるために２分割されてお
り、コンロツド２本体側の大端部６ａがクランク
ピン７に係合された後に、分割形成されたベアリ
ングキヤツプ６ｂがボルト８で取付けられて、ク
ランクピン７に連結されるようになつている。

ところで、上記コンロツド６本体側の大端部６
ａには、上記クランクピン７側に延出されて、そ
のクランクピン７を予め挟持するようにその両側
に点接触しつつ上記大端部６ａを係合方向に案内
する着脱自在な案内部材９が設けられる。

本実施例では第２図にも示すようにこの案内部
材９はガイドボルト９ａでなつている。ガイドボ
ルト９ａはその基端部１０にネジ部１０ａが形成
されてコンロツド６本体側の大端部６ａに穿設さ
れたベアリングキヤツプ取付孔（ボルト穴）１１
にそれぞれ着脱自在に螺合固定されるようになつ
ている。

また、大端部６ａからクランクピン７を挟持す
る方向に延出された延出部１２は案内部１２ａと
して拡径されて円柱体１３に形成され、その円柱
体１３の径d₁はそれらガイドボルト９ａが大端部
６ａに装着されたときの円柱体１３，１３間の内
のリピツチＰがクランクピン径d₂と略同寸法とな
るように設定される。そして、その円柱体１３の
先端にはこれに一体的に成形された頭部１４が設
けられ、この頭部１４はその径が順次縮径されつ
つ錐体状に形成されると共に、その突端は球面状
に形成される。またネジ部１０ａと案内部１２ａ
との間の延出部１２の外周面１５には、このガイ
ドボルト９ａの脱着を容易にするために、ローレ
ツト加工が施されている。

次に作用について説明する。

ガイドボルト９ａはピストン−コンロツドアツ
センブリ４をシリンダヘツド側からシリンダ５内
に嵌挿してそのコンロツド２本体側の大端部６ａ
をクランクピン７に連結させるときに、予めその
大端部６ａのベアリングキヤツプ取付孔１１に螺
合装着する。

ピストン−コンロツドアツセンブリ４をシリン
ダ内に挿入すると、その挿入行程の途中でガイド
ボルト９ａの球面状の頭部１４が先ず最初にクラ
ンクピン７に当接してこれに点接触し、以後２つ
のガイドボルト９ａ，９ａ間にクランクピン７を
挟持するようにして、大端部６ａがクランクピン
７との係合方向に案内され、この大端部６ａの軸
受面６ｂがクランクピン７に鉛直に係合される。
この際、そのガイドボルト９ａの頭部１４とクラ
ンクピン７とが当接したときに、シリンダ５が傾
斜していたりして大端部６ａのセンタとクランク
ピン７のセンタとが若干鉛直方向からずれていて
も、また、ピストン−シリンダアツセンブリ部品
４がその挿入時にあるいは挿入途中で回転する等
してクランクピン７のセンタとピストンピン３の
センタとに角度ずれが生じていても、それらのず
れはガイドボルト９ａによつて強制的に矯正され
る。従つて、大端部６ａはクランクシヤフト１６
の鍔部１７やオイルジエツト１８と干渉すること
を未然に防止されて容易かつ確実にクランクピン
７に案内されてこれに係合される。

そして、コンロツド２本体側の大端部６ａがク
ランクピン７に係合したならば、ガイドボルト９
ａを取外し、そこにベアリングキヤツプ６ｂを装
着してコンロツド２をクランクピン７に連結す
る。

このように、本考案は、ピストン−コンロツド
アツセンブリ部品４のコンロツド２本体側の大端
部６ａに、これが係合されるクランクピン７側に
延出されて、その係合方向に沿つて予めクランク
ピン７を挟持するようにして大端部６ａを案内す
る案内部材９を着脱自在に設けたので、ピストン
−コンロツドアツセンブリ４の組付が容易かつ確
実になり、組立作業に熟練度が要求されなくな
る。

また、組立後の確認が困難である小〓間の条件
下でも他部品との干渉を起こすことなく容易に挿
入して組付けることができ、点検工程の省略も計
れるようになり、作業能率が向上される。

また、ベアリングキヤツプ６ｂの取付孔１１を
利用してこれに案内部材９が螺合されてを取り付
けられるため、本体側大端部６ａおよびベアリン
グキヤツプ６ｂの大型化、構造の複雑化を招くこ
とはないし、案内部材９の着脱を容易になし得
る。さらに、案内部材９が円柱体状に延出されて
球面状の頭部１４を有することから、コンロツド
２の案内を円滑になし得ると共にクランクピン７
に損傷を与えることはない。

尚、ガイドボルト９ａ等その案内部材９の材質
は金属、硬質プラスチツク、及びある程度の弾性
を有する硬質ゴム等の採用が考えられる。

［考案の効果］ 以上要するに、本考案によれば次のごとき優れ
た効果を発揮する。

(1) ピストン−コンロツドアツセンブリをシリン
ダヘツドからシリンダ内に嵌挿して、そのコン
ロツドの大端部をクランクピンに連結させるに
際して、その組立作業に熟練度を要求すること
なく、容易かつ確実にコンロツドの大端部をク
ランクピンに係合させることができる。

(2) 組立後の確認が困難である小〓間の条件下で
も、他部品との干渉を起こすことなく容易にコ
ンロツドの大端部をクランクピンに係合させる
ことができ、点検工程の省略も計れ、作業能率
を向上できる。

(3) ベアリングキヤツプの取付孔を利用して案内
部材が螺合させて取り付けられるため、本体側
大端部およびベアリングキヤツプの大型化、構
造の複雑化を招くことはないし、案内部材の着
脱を容易になし得る。

(4) 案内部材が円柱体状に延出されて球面状の頭
部を有するため、コンロツドの案内を円滑にな
し得ると共にクランクピンに損傷を与えること
はない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るコンロツド構造の好適一
実施例を示す概略斜視図、第２図は第１図中の案
内部材の側面図、第３図は内燃機関の従来の組立
方法を説明する図、第４図はコンロツド大端部が
他部品と干渉を起す場合の一例を示す図である。 図中、２はコンロツド、６ａはそのコンロツド
本体側の大端部、６ｂはベアリングキヤツプ、７
はクランクピン、９は案内部材、１１はベアリン
グキヤツプ取付孔、１３は円柱体、１４は頭部で
ある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンロツドの本体側大端部にクランクピンを挾
   んで取り付けられるベアリングキヤツプの取付孔
   を形成し、該取付孔に、これよりクランンクピン
   を挾持する方向に球面状の頭部を有して円柱体状
   に延出される案内部材を着脱自在に螺合させて取
   り付けたことを特徴とするコンロツド構造。