JPS6144743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は多気筒エンジン用カムシヤフトをエン
ジンに組み付けるときに使用する治具に関する。

エンジン用のカムシヤフトは、軸の全長にわた
つてカム、ジヤーナルなどが複数個形成された異
径体となつており、しかも形状も複雑であるの
で、エンジンに組み付ける作業は熟練を要すると
共に、一人では組み付け作業は出来ず、現状では
二人一組になつて一人がカムシヤフトの先端を持
つてエンジンの方へ案内し他方が後端を持つて挿
入しているのが実状である。このようにカムシヤ
フトの組み付けには、二人一組で作業するので能
率が悪くまたカムシヤフト或るいはエンジン側を
組み付け時に損傷する危険もあつた。

一般に物体を挿入する治具において、挿入する
物体との接触面にねじを設ける技術は例えば実開
昭52−35700号公報に記載されている。しかしな
がら、上記公知技術に示されているキーのように
寸法が比較的に短く、また比較的に軽いものはと
にかく、カムシヤフトのように寸法が長く、かつ
重いものでは公知技術のように治具上に物体を載
置することはできず、したがつて、かかる公知技
術を適用することはできない。

したがつて、本考案の目的は、重いカムシヤフ
トを一人の作業員で安全かつ確実にエンジンに組
み付けることのできるカムシヤフトの組み付け治
具を提供するにある。

本考案によれば、多気筒エンジン用のカムシヤ
フトをエンジンに組み付けるときに使用するカム
シヤフトの組み付け治具において、全体が円柱又
は円筒状を呈する筒状体から成り、その筒状体の
直径は取付けられるカムシヤフトのジヤーナルの
径と略等しく、その筒状体の長さはカムシヤフト
取付け時の有効長が該カムシヤフトの隣接するジ
ヤーナル間より長く形成されていると共に、カム
シヤフトの先端に対して取付け自在に構成された
固着手段を有している。

したがつて、カムシヤフトの先端に固着手段に
より治具を取付け、治具からエンジンのシリンダ
ブロツクの外側の軸受部に挿入する。治具の直径
はカムシヤフトのジヤーナルの直径とほぼ等しい
から、その挿入作業は容易である。このようにシ
リンダブロツクの外側の軸受部に挿入して押し込
むと、カムシヤフトの隣接するジヤーナル間の長
さよりも治具のカムシヤフト取付け時の有効長さ
の方が長いので、次の軸受部に達する。したがつ
て治具を固着したカムシヤフトはその挿入作業に
おいて、少なくとも１つの軸受部で支承されてい
るので、一人の作業員で重いカムシヤフトを容易
にシリンダブロツクに組立てることができる。

そして最後に固着手段をはずせばよく、その取
扱いも簡単である。

本考案の実施に際して、固着手段はおねじとめ
ねじとを用いるのが好ましい。

以下本考案の一実施例を示す添付図面によつて
説明する。

多気筒エンジン用カムシヤフトＳは、第１図に
示すように、カム部３０，３０及びこのカム部よ
り大径のジヤーナル部３１，３１を有する。そし
てカム部とジヤーナル部或るいかカム部間はこれ
らのカム部やジヤーナル部より細径になつてい
る。

またカムシヤフトはその用途により種々な形状
に構成されるが、第１図に示すものは、その先端
に１ヶ所又は複数個、一般には２個めねじ３２，
３２が形成されている。本考案に係る治具１はこ
のめねじを利用してカムシヤフトの先端に取付け
られるように構成されている。

さて第２図および第３図を参照すると、本考案
に係る治具１が全体が円筒状を呈する筒状体か
ら、そして図示の例では中空のパイプ状体から構
成されている。この治具はエンジン本体の中へカ
ムシヤフトが挿入組み付けられるときの先案内作
用をするので、その先端はテーパ２に形成されて
いる。また基部にはフランジ部３が形成されてい
る。フランジ部にはカムシヤフトＳの段部に係合
するインロー部４が設けられていると共に、その
円周部には複数個（図示の例では２個）のボルト
挿通孔５，５が形成されている。また基部は切落
し部６，６が設けられていて、後述するボルトの
螺合操作が容易に出来るようになつている。

カムシヤフトの組み付け治具１の径Ｄはカムシ
ヤフトのジヤーナル３１の径と実質的に等しく形
成されている。またその有効長すなわち治具の先
端から最初のジヤーナルの後端までの長さｌは隣
接するジヤーナル３１，３１間の距離l′（第１図
参照）より長く形成されている。

本考案に係る治具は上記のように構成されてい
るので、今その作用・効果を説明すると、エンジ
ンに組み付けられるカムシヤフトＳの先端に、第
１図に示すように、２本のボルト７，７によつて
治具１のフランジ部３を取付ける。このとき治具
には切落し部６，６が形成されているので、ボル
ト７，７の螺合操作は簡単に出来る。このように
治具１の取付けが済んだら治具１の方を先にして
エンジン内へ挿入する。このとき治具１はガイド
の役をする。また治具はその径がジヤーナル３１
の径と同一であるので、シリンダブロツクの軸受
部３１′，３１′に都合よく嵌まる。しかも治具１
の有効長ｌはジヤーナル間の距離l′すなわちシリ
ンダブロツクの軸受部間の距離より長いので、カ
ムシヤフトの組み付け時にカムシヤフトの細径部
３３が軸受部３１′に落ちることなく次の軸受部
へ案内する。組み付け作業が終つたらボルト７，
７をゆるめて治具１をカムシヤフトから取り外
す。

以上説明したように、本考案に係る治具を使用
すると、カムシヤフトの組み付けがきわめて簡単
に出来るものである。しかも治具は十分の長さを
有するので、都合よくシリンダブロツクの軸受間
を案内し、一人で組み付け作業が、カムシヤフト
或るいはシリンダブロツク側を損傷することな
く、出来るものである。またエンジンへの組み付
け作業時にカムシヤフトの先端部を従来のように
支える必要がないので、カムチヤンバの点検孔を
小さくすることも、更には廃止することもできる
というメリツトも有する。

本考案に係るカムシヤフトの組み付け治具は、
以上のように実施されるが、又種々な変形例も考
えられる。例えば、カムシヤフトの先端におねじ
を有する場合は第４図に示すように実施される。
すなわち、カムシヤフトの先端の先端におねじ４
０が形成されていると、治具１をカムシヤフトＳ
に取付ける手段はボルト状体４１が使用される。

このボルト状体は、第４図に示すように、一方
の端部はおねじ４０に螺合するめねじ４２が形成
され、他端には頭部４３が形成されている。従つ
て治具１をカムシヤフトＳに取り付けるには、治
具の中心孔にボルト状体４１を通し、めねじ４２
とおねじ４０とを螺合すれば、頭部４３が治具の
先端部を押えて取付けが完了する。治具の外径、
全長等は、第１〜３図によつて説明した実施例と
同じであり、又作用効果も、治具の取付け取り外
し操作を異にする以外は同じである。

なお治具をカムシヤフトに取付ける固定手段に
は種々な実施例が考えられるが、それらはいちい
ち図示されていない。

【図面の簡単な説明】

第１図はカムシヤフトに、本考案に係るカムシ
ヤフトの組み付け治具が装着された状態を示す
図、第２図は本考案に係る治具の第１実施例を示
す正面図で、第３図は同側面図、第４図は他の実
施例を第１図と同様な装着状態で示す一部断面図
である。 Ｓ……カムシヤフト、１……カムシヤフトの組
み付け治具、３……フランジ部、７，７……ボル
ト、３２……めねじ、４０……おねじ、４１……
ボルト状体、４２……おねじ、４３……頭部、１
……治具の全長、ｌ……ジヤーナル部間の距離、
Ｄ………治具の径。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 多気筒エンジン用のカムシヤフトをエンジン
   に組み付けるときに使用するカムシヤフトの組
   み付け治具において、全体が円柱又は円筒状を
   呈する筒状体から成り、その筒状体の直径は取
   付けられるカムシヤフトのジヤーナルの径と略
   等しく、その筒状体の長さはカムシヤフト取付
   け時の有効長が該カムシヤフトの隣接するジヤ
   ーナル間より長く形成されていると共に、カム
   シヤフトの先端に対して取付け自在に構成され
   た固着手段を有していることを特徴とするカム
   シヤフトの組み付け治具。 (2) 固定手段がカムシヤフトの先端に形成されて
   いるめねじと、該めねじに螺合してカムシヤフ
   トの組み付け治具の基部に形成されているフラ
   ンジ部をカムシヤフトの先端に取付けるための
   ボルトから成る実用新案登録請求の範囲第１項
   記載のカムシヤフトの組み付け治具。 (3) 固定手段がカムシヤフトの先端に形成されて
   いるおねじと、一方端に前記おねじに螺合する
   めねじをそして他端に頭部を有するボルト状体
   とから成る実用新案登録請求の範囲の第１項記
   載のカムシヤフトの組み付け治具。