JPH0426657Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はシユニーレ掃気式クランク室圧縮２サ
イクルガソリンエンジンの掃気通路に関する。

〔従来の技術〕

第２図ａに従来のシユニーレ掃気式２サイクル
ガソリンエンジンの要部断面図を示す。図で１は
シリンダヘツド、２はシリンダ、３はクランクケ
ース、４はピストン、５は点火プラグ、６は吸気
孔、７は排気孔、８は掃気孔、９は掃気通路、１
１はクランク室であり、この掃気通路９は通常シ
リンダ中心軸と排気孔中心とを含む平面Ｂに対し
て対称に設けられている。

第２図ｂは第２図ａのＥ−Ｅ断面図であり、排
気孔７と掃気孔８の位置関係及び形状を示す。

次に従来例の作用について説明する。

第２図ａにおいて、ピストン４が上昇すると、
即ち圧縮行程でクランク室１１内に生じた負圧に
より吸気孔６から混合気が吸入される。ついで圧
縮行程にうつりシリンダヘツド１、シリンダ２、
ピストン４により囲まれた燃焼室内の混合気は圧
縮され、上死点付近でこの混合気は点火プラグ５
により点火され燃焼して燃焼室内のガス圧は上昇
し、ピストン４が押し下げられる。この爆発行程
の途中で吸気孔６は閉鎖される。

ついで排気孔７が開孔し燃焼ガスが排出され
る。

さらにピストン４が下降すると掃気孔８が開孔
し、クランク室１１内で圧縮された混合気が掃気
通路９を介してシリンダ２内に流入して燃焼ガス
を追い出し、シリンダ内に混合気が充てんされ
る。下死点を過ぎるとまた掃気孔８と排気孔７が
閉孔し再び圧縮行程が始まる。

以上の圧縮及び爆発行程が繰返えされ２サイク
ルエンジンの運転が継続される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところがピストンにより排気孔７と掃気孔８が
開孔される小型２サイクルエンジンでは下死点付
近において、掃気孔８が開孔している間、排気孔
７も同時に開孔しているため、掃気孔８よりシリ
ンダ内に流入した混合気の一部がそのまま排気孔
７に吹き抜けてしまう。そこでシユニーレ掃気式
２サイクルエンジンでは、第２図ｂに示すように
Ｂ平面に対称に配置された掃気孔８の出口方向を
排気孔７と反対側に向け、排気孔７を外れる方向
を向けてシリンダ内に混合気を流入させ、混合気
の吹き抜けを少なくしている。しかし掃気の流出
方向を決める掃気通路９の大部分はシリンダ中心
軸にほぼ平行に作られているため、掃気孔８に近
い出口部分のみ排気孔７と反対側に向けたのみで
は、掃気流に方向性をもたせるだけの助走距離が
不十分で、反排気孔側への強い方向性を持たせに
くい。この為従来形シユニーレ式２サイクルエン
ジンでは、なお掃気孔より排気孔７への混合気の
吹き抜けが多く燃費が悪い欠点がある。

本考案の目的は前記従来装置の欠点を解消し、
排気孔への混合気の吹き抜けが少なく、燃費の大
幅な低減が可能な小型２サイクルエンジンの掃気
通路を提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

クランク室と掃気孔とを連通する掃気通路をシ
リンダの外周に沿つて配設するとともに、通路の
クランク室側を排気孔方向に傾斜させ、通路の掃
気孔側を反排気孔方向に傾斜させ、前記両通路の
つなぎ部分を滑らかに彎曲又は屈曲せしめ、反排
気孔方向への掃気の助走区間を長く設定するよう
に形成している。

〔作用〕

上記のように構成としたので、反排気孔側への
掃気流の助走距離が長くなり、反排気孔側への掃
気流の方向性が強くなり、掃気の排気孔への吹き
抜けが減少し、燃費が大幅に改善される。

〔実施例〕 以下第１図ａ，ｂを参照し本考案の一実施例に
ついて説明する。第１図ａはシユニーレ掃気式２
サイクルガソリンエンジンの掃気通路概略図、第
１図ｂは第１図ａの斜視図である。

図において１はシリンダヘツド、２はシリン
ダ、３はクランクケース、４はピストン、７は排
気孔、８は掃気孔、１０は掃気通路、Ｂは排気孔
中心とシリンダ中心線を含む平面、Ａはシリンダ
中心線を含み平面Ｂに直角な平面である。掃気通
路１０は従来例の掃気通路９にかわるものであ
る。掃気通路１０は長方形、正方形又は円形断面
等よりなりＢ平面に対称にシリンダ２の外周に沿
つて設けられており、掃気通路１０の仮想平面Ｂ
への投影図においてクランクケース３側通路はシ
リンダ中心線に対し排気孔側にθ₁の角度をもつて
傾斜させ、続いて通路１０の掃気孔８側はシリン
ダ中心線に対し反排気孔側にθ₂の角度をもつて傾
斜させられている。そして両通路のつなぎ部分は
滑らかな曲線で連通されている。クランクケース
３で圧縮された混合気は矢印の様に排気孔方向の
掃気通路１０に入り、彎曲部分をへて反排気孔方
向に反転して、さらに掃気通路１０内を流れ反排
気孔側へ強い方向性をもつた状態で掃気孔８より
シリンダ２内に流入する。

〔考案の効果〕

本考案の小型２サイクルエンジンの掃気通路は
前記のとおり構成したので従来のものに較べシリ
ンダ外径寸法を大きくすることなく反排気孔側へ
強い方向性を持つた掃気流れがつくられるため、
排気孔への混合気の吹き抜けが低減し、燃費の大
幅な低減が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシユニーレ掃気式２サイ
クルガソリンエンジンの掃気通路の正面図、第１
図ｂは同斜視図、第２図は従来例で第２図ａは正
面図、第２図ｂは第２図ａのＥ−Ｅ断面図であ
る。 ２……シリンダ、３……クランクケース、６…
…吸気孔、７……排気孔、８……掃気孔、１０…
…掃気通路、１１……クランク室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シユニーレ掃気式クランク室圧縮２サイクルエ
   ンジンにおいて、クランク室と掃気孔とを接続す
   る掃気通路は、ほぼ長方形断面をなすとともに、
   シリンダの外周に沿つて掃気孔中心とシリンダ軸
   心を含む平面Ｂに対称にそれぞれ１通路設けら
   れ、各通路のクランク室側部分を掃気孔側に傾斜
   させ、かつ同掃気孔側部分を反排気孔側に傾斜さ
   せ、前記両通路のクランク室側部分と掃気孔側部
   分の接続部分は滑らかな彎曲又は屈曲部分で連通
   させたことを特徴とする小型２サイクルエンジン
   の掃気通路。