JPH0425955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、農作物の抑制栽培等において農作物
に適度の遮光効果を与えるために使用される遮光
シートに関するものである。

［従来の技術］ 従来のこの種の農作物用の遮光シートは、ラツ
シエル編機によつて、ポリエチレン等の合成成樹
脂モノフイラメント糸の鎖編の編目列を柱とし、
合成樹脂のフラツトヤーン（扁平糸）を挿入糸と
して前記編目列に対し横に渡して編成された経編
生地よりなり、その全面が適度の遮光性と通気性
を有する比較的目の粗い同一の組織で編成されて
いる。

そして前記の遮光シートは、農作物が栽培され
ている畝床に沿つて断面略逆Ｕ字形をなすように
農作物を覆い、農作物に対し遮光および遮熱効果
を与えるもので、例えば、レタスの露地栽培にお
ける夏場の抑制栽培に使用する。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、上記の従来の遮光シートは、遮光およ
び遮熱効果はあるが、その全面が比較的目の粗い
同一組織となつているため、降雨に対する防水効
果は殆んどなく、雨天の場合に雨よけの役目を果
せず、雨滴が遮光シートを通過して落下し、これ
が農作物に当つて悪影響を及ぼす。例えば、レタ
スの露地栽培において、レタスに雨滴が当ると痛
みやすく腐敗が生じ易い。

そうかといつて、全体の編組織をあまり密にす
るのは、遮光、遮熱効果は前記と同様またはそれ
以上の効果があるものの、通気性が失われ農作物
の成長に悪影響を及ぼす結果となるため、好まし
いものではない。

［問題点を解決するための手段］ 上記問題点を解決するための本考案は、鎖編の
編目列に対しフラツトヤーンを挿入糸として横に
渡して編成された比較的目の粗い経編生地よりな
る遮光シートであつて、生地幅方向の中央部を両
側部分より密な組織にして、該中央部におけるフ
ラツトヤーンの挿入糸の打込みを多くし、遮光シ
ートの該中央部が、農作物の天井部となるように
張設するものである。

［作用］ 前記構成を有する本考案の遮光シートは、両側
部分より密な組織の中央部が農作物の上方に位置
し、両側部分が農作物両側方に位置するように農
作物を覆うものであり、この使用状態において、
遮光シート全体として適度の遮光性及び遮熱効果
を有する。そればかりか、特に農作物の上方部に
位置するシート中央部が両側部分よりも密な組織
で編成され、フラツトヤーンよりなる挿入糸の打
込みが多くなつているから、それだけ降雨の場合
の雨を通し難く、これが遮光シートの中央部から
両側部分に向つて傾斜した被覆状態をなしかつ前
記フラツトヤーンがこの傾斜方向に挿入されてい
ることと相まつて、雨天の場合に農作物上方のシ
ート中央部に降つた雨は前記挿入糸であるフラツ
トヤーンに沿つて直ちに両側部分へ流れ、シート
を通過侵入して下方の農作物上に落下することが
ない。しかも、両側部分は中央部よりも目の粗い
組織よりなるため、通気性を阻害するおそれもな
い。

［実施例］ 本考案の実施例を第１図〜第３図に基づいて説
明する。

第１図はラツシエル編機によつて編成された本
考案に係る遮光シート１を示しており、この遮光
シート１は、例えば400デニール前後のポリエチ
レン等の合成樹脂モノフイラメント糸を鎖糸４と
し、またポリエチレン等の合成樹脂のフラツトヤ
ーン（例えば1000デニール）を前記鎖糸４による
鎖編の編目列Ｗをつなぐ挿入糸５として、編目列
Ｗに対しフラツトヤーンの挿入糸５をコース毎に
交互に左右に横に渡して編成された比較的目の粗
い経編生地よりなる。

特に本考案の遮光シート１は、第１図に示すよ
うに、生地幅方向の両側部分２，２と中央部３と
の編組織が異なり、両側部分２，２が従来と同様
に適度の通気性と遮光性を有する組織で編成さ
れ、またその間の中央部３は前記の両側部分２，
２より密な組織で編成され、フラツトヤーンの挿
入糸５の打込みが多くなつている。

例えば、上記の両側部分２，２と中央部３とを
ラツシエル機により第２図のごとく同時に編成す
るものであり、両側部分２，２では、前記鎖糸４
を編針に導いて鎖編の編目列Ｗが８(Q)間に９列存
在するようにかなり低ゲージで編成するととも
に、挿入糸５であるフラツトヤーンを前記鎖糸４
による各編目列Ｗに対してコース毎に交互に左右
に１ウエール横振りさせてジグザグ状に挿入して
編成している（第３図のＡ部）。また中央部３で
は、鎖糸４による鎖編の編目列Ｗが４(Q)間に９列
存在するように両側部分２，２の略1/2の間隔で
編成するとともに、これらの各編目列Ｗに対して
挿入糸５であるフラツトヤーンをコース毎に交互
に左右に２ウエール横振りさせてジグザグ状に挿
入して編成している（第３図のＢ部）。その結果、
中央部３ではフラツトヤーンの挿入糸５の打込み
が両側部分２，２の約２倍の密度になつている。

また生地の編幅方向の両側端部は、編目列の間
隔を他の部分より狭くして鎖糸４や挿入糸５が容
易に解けないように編成し、また両側端部および
編幅方向の所要間隔毎に必要に応じて編成方向直
線状の補強糸条を挿入しておくのが望ましい。

上記の遮光シート１は、第４図のようにレタス
等の農作物の露地栽培において夏場の抑制栽培を
行なうのに使用するものである。すなわち畑にお
ける農作物が栽培された畝に沿つて等間隔に逆Ｕ
字形の支持骨６を立てておき、畝の長さに合わせ
た長さの経編生地よりなる遮光シート１を、その
長さ方向を畝方向にするとともに、生地幅方向の
両側部分２，２より密な組織の中央部３がレタス
等の農作物の上方部に位置するように前記支持骨
６の外側に張り、これを針金等により支持骨６に
止着して使用する。

上記の使用状態において、レタス等の農作物
は、遮光シート１によつて覆われるため、この遮
光シート１による適度な遮光および遮熱効果のた
め成長が抑制される。

遮光シート１における農作物の上方部の位置に
あたる中央部３が、前記のように密な組織になつ
ており挿入糸５であるフラツトヤーンの打込みが
多くなつているため、雨天の場合の雨が前記挿入
糸であるフラツトヤーンに沿つて直ちに両側へ流
れ、上部から侵入して下方に落下することがな
く、レタス等の農作物にあたらないため、レタス
等が腐敗したりすることがない。

また両側部分２，２は、前記中央部３より目の
粗い組織となつているため、適度な通気性をこの
両側部分で確保でき、レタス等の成長に悪影響を
及ぼすことがない。

尚、本考案の遮光シート１は、生地幅方向の両
側部分２，２とこれより密な組織の中央部３と
を、別々に編成した後に１枚に縫製して構成する
こともできる。またその組織は前記実施例に限定
されず、本考案の効果をもたらすものであれば、
鎖糸による編目列とフラツトヤーンの挿入糸とか
らなる他の組織によるものでもよい。

［考案の効果］ 上記したように本考案によれば、レタス等の農
作物に対し適度な遮光及び遮熱効果を発揮するば
かりか、特に雨天の場合雨が該シートを通して内
部に侵入し下方に落下するのを防止できるので、
農作物に雨滴が当ることがなく、農作物が傷つい
たり腐敗することがない。しかも農作物の成長に
必要な通気性を両側部分で確保できるので、農作
物の成長に悪影響を及ぼさない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例における遮光シー
トの斜視図、第２図は、同じく一部の編目拡大
図、第３図は、同じく編組織図、第４図は、同じ
く使用状態図。 符号の説明、１……遮光シート、２……両側部
分、３……中央部分、４……鎖糸、５……挿入
糸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 鎖編の編目列に対しフラツトヤーンを挿入糸と
   して横に渡して編成された経編生地よりなる遮光
   シートであつて、生地幅方向の中央部を両側部分
   より密な組織にして、該中央部におけるフラツト
   ヤーンの挿入糸の打込みを多くし、 遮光シートの該中央部が、農作物の天井部とな
   るように地面等に張設する ことを特徴とする遮光シート。