JPH04247847A - 複合ロールの内層材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は圧延用複合ロールの内層
材に関する。

【０００２】

【従来の技術】複合ロールは、通常、耐摩耗性に優れた
高合金鋳鉄材によって形成された外層の内面に、強靭鋳
鉄材によって形成された内層が溶着一体化して形成され
ており、耐摩耗性と強靭性とを兼備したものである。複
合ロールの形態は、一般的には中実状であるが、形鋼圧
延用のものでは中空状のもの（スリーブロールと呼ばれ
る。）もある。

【０００３】前記中実ロールは、外層を遠心力鋳造した
後、その内面が未凝固ないし凝固直後に遠心力鋳造用金
型鋳型を起立させて、外層の内部に内層（軸部）材を静
置鋳造する。一方、中空ロールは、外層を遠心力鋳造し
た後、その内面が凝固ないし凝固直後に内層を遠心力鋳
造し、両者を溶着一体化する。尚、遠心力鋳造方法とし
ては、回転軸が水平もしくは傾斜した横型もしくは傾斜
型のみならず、鉛直方向の回転軸を有する立型でもよい
。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来、複合ロールの内
層材としては、鋳造が容易で、強度的にも優れた球状黒
鉛鋳鉄材が使用されている。しかし、高合金外層材の合
金成分（例えば、Ｃｒ，Ｍｏ．Ｗ，Ｖ）が溶着時に内層
材中に溶け込むため、内層材質中のセメンタイト量が増
加し、また、Ｖ等の炭化物が晶出し、強靭性が低下する
という問題がある。

【０００５】叙上の問題を解消するため、外層と内層と
の間に中間層を設け、外層材の高合金成分が内層材に混
入するのを防止する方法があるが、鋳造作業が煩雑であ
り、また外層材中に球状化抑制（白銑化）元素を多量に
含む場合には十分な効果が得られにくい。本発明はかか
る問題に鑑みなされたもので、外層材の高合金元素が混
入しても、材質の強靭性劣化が生じにくい内層材を提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の複合ロールの内
層材は、化学組成が重量％で、Ｃ　　：２．８　〜４．
０　％、　　Ｓｉ：１．０　〜４．０％、　　Ｍｎ：０
．２　〜１．０　％Ｎｉ：０．５　〜４．０　％、　　
Ｃｒ：０．０５〜１．５　％、　　Ｍｏ：０．０５〜１
．０　％ Ｃｏ：０．５　〜４．０　％、　　Ｍｇ：０．０１〜０
．１　％を含有し、およびＰ　　：０．１　％以下、　
　　　Ｓ：０．０６％以下、　　　　　　Ｗ：０．７　
％以下 Ｖ　　：０．７　％以下の内一種又は二種以上、残部Ｆ
ｅおよび不可避的不純物で形成されていることを発明の
構成とするものである。

【０００７】

【作用】本発明の内層球状黒鉛鋳鉄材の化学組成（単位
重量％）は以下の理由により限定される。 Ｃ　　：２．８　〜４．０　％ Ｃはその大部分が球状黒鉛となって晶出するが、２．８
　　％未満ではセメンタイトとなる量が増え、材質を脆
くすると共に鋳造性が低下する。一方、４．０　％を越
えると黒鉛が過多となり、強度が低下する。 Ｓｉ：１．０　〜４．０　％ ＳｉはＣの黒鉛化を調整する作用があり、１．０　％未
満では黒鉛化が少なく、セメンタイト量が過多となり、
脆くなる。一方、４．０　％を越えるとフエライト中に
固溶するＳｉ量が過多となり、フエライトを脆くし、伸
びが低下する。 Ｍｎ：０．２　〜１．０　％ ＭｎはＳの害を抑えると共に焼入れ性を増し、強靭化に
寄与する。０．２　％未満ではかかる効果が過少であり
、一方１．０　％を越えると材質が硬く脆くなる。 Ｎｉ：０．５　〜４．０　％ Ｎｉは焼入性を増すと共に黒鉛化作用を有する。０．５
　％未満ではかかる効果が期待できず、一方４．０　％
を越えると焼入れ組織が残存するようになり脆くなる。 Ｃｒ：０．０５〜１．５　％ Ｃｒは黒鉛量の調整とフエライトの生成を抑制する作用
がある。０．０５％未満ではフエライトの析出量が増え
、強度が低下する。一方、０．５　％を越えるとセメン
タイト量が過多となり、材質が脆くなる。 Ｍｏ：０．０５〜１．０　％ ＭｏはＮｉと同様に焼入性を増す。かかる作用を得るに
は０．０５％以上必要であり、一方　１．０％を越える
と硬くなり過ぎて脆くなる。 Ｃｏ：０．０５〜４．０　％ Ｃｏはセメンタイトの析出を抑制し、強度を向上させる
作用を有するため、外層から溶け込んできたセメンタイ
ト生成元素の悪影響を効果的に除去する。０．５％未満
ではその効果が少なく、一方　４％を越えて含有しても
効果が飽和し、不経済である。 Ｍｇ：０．０１〜０．１　％ Ｍｇは黒鉛球状化のために添加される。０．０１％未満
ではその作用が不足し、球状化不良を生じる。一方、０
．１　％を越えるとセメンタイト量が増加し、材質が脆
くなる。 Ｐ：０．１　％以下、Ｓ：０．０６％以下、Ｗ：０．７
　％以下、Ｖ：０．７　％以下の内一種又は二種以上こ
れらの元素は内層材質を劣化させる不純物元素であり、
不可避的に原料中に存在し、あるいは外層から混入する
ものである。これらは球状化を阻止し、あるいはセメン
タイトを生成する等のため、少ない程よいが、本発明の
成分系では各々上記含有量まで許容することができる。

【０００８】本発明の内層材は、以上の成分のほか残部
実質的にＦｅで形成される。

【０００９】

【実施例】本発明の内層材は、複合ロールの内層（軸部
を含む。）として使用されるが、外層材としてはＮｉ，
Ｃｒ，Ｍｏ，Ｗ，Ｖ等を含有した各種ロール材（例えば
、高合金グレン材、高クロム鋳鉄材、ハイス系ロール材
）を使用することができる。

【００１０】以下、具体的実施例を掲げて説明する。 （実施例Ａ）（１）　下記表１の球状黒鉛鋳鉄を溶製し
、金型に鋳込んだ。

【００１１】

【表１】

【００１２】（２）　鋳造された試料を、１０８０℃で
オーステナイト化した後、急冷し、その後５５０　℃で
焼戻しを行った。 （３）　熱処理後の試料について、引張強さ、耐力、セ
メンタイト面積率を調べた。その結果を表２に示す。

【００１３】

【表２】

【００１４】（４）　表２より明らかなように、Ｃｏ以
外ほぼ同成分の実施例は比較例に対して、セメンタイト
量がほぼ　１／２　になり、強度は１０ｋｇ／ｍｍ２　
以上向上していることが判る。 （実施例Ｂ）中実複合ロール（胴径φ６００　×胴長１
０００ｍｍ）　の製造実施例を下記に示す。 （１）　表３に示す外層材（ハイス径ロール材）溶湯を
、遠心力鋳造機上で回転する円筒状金型内に鋳込厚さで
５０ｍｍ分鋳込んだ。

【００１５】

【表３】

【００１６】（２）　外層鋳込開始から７分後に外層は
完全に凝固した。その後、速やかに外層を内有した遠心
力鋳造用金型を垂直に立てて、その両端にロール軸部鋳
造用の上型および下型を連設して静置鋳型を構成した。 その内部に前記表３に併記した内層（軸部）材溶湯を鋳
込んで完全に満たした後、上部を押湯保温材でカバーし
た。 （３）　常温まで冷却した後、上記鋳型を解体し、ロー
ル素材を取り出して機械粗加工し、焼入れ、焼戻し、熱
処理を施した。 （４）　内層より試料を採取し、組成を調べたところ、
表３に併記した通りであった。同表より、セメンタイト
生成元素であるＣｒ．Ｍｏ，Ｗ，Ｖの外層から内層への
移行が認められる。しかし、組織を観察したところ、セ
メンタイト面積率は　８％と低い値に止まり、このため
引張強さも５５．２ｋｇ／ｍｍ２　と高い値であった。

【００１７】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明の複合ロール
の内層材は、Ｃｏを０．５　〜４．０　％含有する球状
黒鉛鋳鉄組成としたので、外層からセメンタイト生成元
素が混入しても、その影響を効果的に除去することがで
き、内層に十分な強靭性を付与させることができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　化学組成が重量％で、Ｃ　　：２．８
   　〜４．０　％、　　Ｓｉ：１．０　〜４．０　％、　
   　Ｍｎ：０．２　〜１．０　％Ｎｉ：０．５　〜４．０
   　％、　　Ｃｒ：０．０５〜１．５　％、　　Ｍｏ：０
   ．０５〜１．０　％ Ｃｏ：０．５　〜４．０　％、　　Ｍｇ：０．０１〜０
   ．１　％を含有し、およびＰ　　：０．１　％以下、　
   　　　Ｓ：０．０６％以下、　　　　　　Ｗ：０．７　
   ％以下 Ｖ　　：０．７　％以下の内一種又は二種以上、残部Ｆ
   ｅおよび不可避的不純物で形成されていることを特徴と
   する複合ロールの内層材。