JPH04240221A - アクリロニトリル系黒鉛化繊維の製造方法 - Google Patents

アクリロニトリル系黒鉛化繊維の製造方法

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JPH04240221A
JPH04240221A JP626591A JP626591A JPH04240221A JP H04240221 A JPH04240221 A JP H04240221A JP 626591 A JP626591 A JP 626591A JP 626591 A JP626591 A JP 626591A JP H04240221 A JPH04240221 A JP H04240221A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は黒鉛化繊維に関するもの
である。さらに詳細には、特に引張弾性率およびコンポ
ジット圧縮強度に優れた黒鉛化繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】近年黒鉛化繊維が航空宇宙用途および釣
竿、ゴルフシャフトなどのスポーツ用途に広く活用され
るとともに、剛性を維持して材料をより薄くするために
引張弾性率に対する向上要求がますます高くなっている
。そのニーズに応えてポリアクリロニトリル(以下、P
AN)系黒鉛化繊維では引張弾性率約580GPa、ピ
ッチ系黒鉛化繊維では引張弾性率約890GPaの高弾
性率黒鉛化繊維が上市されるようになった。
【0003】しかし、PAN系黒鉛化繊維はピッチ系黒
鉛化繊維に比べて圧縮強度は高いものの、引張弾性率を
向上させることが難かしく、ピッチ系黒鉛化繊維並みの
680GPa以上の高引張弾性率を有するPAN系黒鉛
化繊維を得るのは困難であった。一方、ピッチ系黒鉛化
繊維は引張弾性率は高いものの、圧縮強度が低く実用上
、高弾性率を充分に生かすことができないという問題が
あった。
【0004】本発明者らはピッチ系黒鉛化繊維のコンポ
ジット圧縮強度が低い原因を鋭意検討して結晶サイズが
PAN系炭素繊維に比較して大きいのが原因であること
を突き止め、その知見をもとに、結晶サイズをある一定
サイズ以下にする技術あるいはねじり弾性率をある一定
レベル以上にする技術による、圧縮強度の高い黒鉛化繊
維を提案した(特開昭63−11326号公報、特開平
1−124629号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術をもってしてもなお、引張弾性率が350〜60
0GPaのレベルの黒鉛化繊維しか得られず、680G
Pa以上の高引張弾性率を有する黒鉛化繊維を得ること
はできなかった。
【0006】すなわち、本発明の課題は、引張弾性率が
ピッチ系黒鉛化繊維並みに680GPa以上と高く、か
つコンポジット圧縮強度が600MPa以上という従来
技術では達成し得なかった高性能黒鉛化繊維を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために次の構成を有する。すなわち、結晶配向度π
002 が95〜99%、結晶サイズLc が60〜8
0オングストロームであり、引張弾性率が680GPa
以上、コンポジット圧縮強度が600MPa以上である
ことを特徴とする黒鉛化繊維である。
【0008】以下、本発明の黒鉛化繊維について詳細に
説明する。本発明の黒鉛化繊維は、結晶配向度π002
 を95〜99%と、従来のPAN系黒鉛化繊維に対し
て高めることで引張弾性率を680GPa以上と向上さ
せ、かつ、結晶サイズLc を60〜80オングストロ
ームと従来のピッチ系炭素繊維に対して微細化すること
でコンポジット圧縮強度を600MPa以上と向上させ
た黒鉛化繊維である。
【0009】本発明において結晶サイズLc とは、次
のようにして求めた値をいう。 (結晶サイズLc )繊維束を40mm長に切断して、
20mgを精秤採取し、試料繊維軸が正確に並行になる
ように揃えた後、試料調整用治具を用いて巾1mmの厚
さが均一な試料繊維束に整える。薄いコロジオン液を含
浸させて形態が崩れないように固定した後、広角X線回
折測定試料台に固定する。X線源としては、理学電機社
製のX線発生装置を用いて、35kV、15mAの出力
のCuKα線(Niフィルターを使用)を用いる。理学
電機社製のゴニオメーターを用い、透過法によりグラフ
ァイトの面指数(002)に相当する2θ=26゜近傍
の回折ピークをシンチレーションカウンターにより検出
する。上記回折ピークにおける半価巾から下式を用いて
結晶サイズLc を求める。 Lc =λ/(β0 COS θ) ここで、λは、本発明において用いるCuKα線の波長
1.5418オングストロームであり、θはBragg
 の回折角である。また、β0 は真の半価巾であり、
次式により求めた値をいう。 β0 2 =βE 2 −β1 2  ここで、βE は見掛けの半価巾、β1 は装置定数(
本発明においては理学電機社製4036A2型X線発生
装置を出力35kV,15mAで使用したので1.05
×10−2rad )をいう。
【0010】本発明において結晶配向度π002 とは
、次のようにして求めた値をいう。(結晶配向度π00
2 )結晶サイズLc の場合と同様に試料を調整し、
同様の解析方法によって次式を用いて配向度を求めた。 結晶配向度π002 ={(180 −H)/180 
}×100 ここで、Hは(002)回折の最高強度を
含む子午線方向のプロフィルの拡がりの半価巾(゜)で
ある。
【0011】結晶配向度π002 が95%未満では、
引張弾性率を680GPa以上にすることが難しく、一
方、結晶配向度πが99%を超える高配向繊維を製造す
ることは事実上困難である。
【0012】さらに、結晶サイズLc が60オングス
トローム未満では、結晶配向度π002 を95%以上
に保ちつつ引張弾性率を680GPa以上とすることが
難しく、一方、結晶サイズLc が80オングストロー
ムを超えるとコンポジット圧縮強度を600MPa以上
とすることが困難となる。
【0013】従来の黒鉛化繊維について、結晶配向度π
002 と結晶サイズLc とは一般に正比例関係にあ
り、結晶サイズLc が大きいほど結晶配向度π002
 が向上する傾向があった。したがって、従来の技術に
よっては、結晶サイズが60〜80オングストロームと
低いにもかかわらず、結晶配向度π002 を95〜9
9%と高くなるような繊維内の結晶構造を形成すること
は不可能であった。
【0014】本発明の黒鉛化繊維は、黒鉛化繊維の結晶
配向度π002 と結晶サイズLc との従来の比例関
係から外れた結晶構造に制御することにより、すなわち
、結晶配向度π002 を95〜99%、結晶サイズL
c を60〜80オングストロームとすることにより、
従来両立が困難であった680GPa以上の高引張弾性
率と600MPa以上の高コンポジット圧縮強度を同時
に達成することがはじめて可能となったものである。
【0015】かかる黒鉛化繊維の引張弾性率は、従来の
どのPAN系黒鉛化繊維に比べても引張弾性率が高く、
かつコンポジット圧縮強度は従来のピッチ系黒鉛化繊維
に対して約1.5倍以上高い値である。
【0016】なお、本発明において引張弾性率とは、次
のようにして求めた値をいう。 (引張弾性率)“ベークライト”ERL−4221/三
フッ化ホウ素モノエチルアミン/アセトン=100/3
/4部を炭素繊維に含浸し、得られた樹脂含浸ストラン
ドを130℃で30分間加熱して硬化させる。得られた
ストランドをJIS R 7601に規定する樹脂含浸
ストランド試験法に従って、直接読取り法により伸度0
.1%〜0.3%の伸度範囲における引張弾性率を求め
る。
【0017】また、本発明においてコンポジット圧縮強
度とは、次のようにして求めた値をいう。 (黒鉛化繊維のコンポジット圧縮強度)黒鉛化繊維を一
方向に引き揃え、東レ(株)製#3631樹脂で含浸し
たプリプレグを積層し、ASTM−D695に規定する
試験片および試験方法に従って測定する。
【0018】本発明の黒鉛化繊維を得るための製法例に
ついて以下説明する。本発明の結晶配向度π002 が
95〜99%と高く、該結晶配向度π002 と結晶サ
イズLc の関係が従来の比例関係から外れた結晶構造
を形成するためには、次の6つの要件の組合せが重要で
ある。
【0019】すなわち、第1にプリカーサーに難黒鉛化
性物質であるPAN系重合体を用い、しかも、そのPA
N系重合体として、後述の共重合量が一定量以下のアク
リロニトリル共重合体またはアクリロニトリルホモポリ
マーを用いること、第2にプリカーサーポリマーの重合
度を表す尺度である極限粘度[η]を後述の一定値以上
とすること、第3にプリカーサーの単繊維繊度を前記一
定値以下とすること、第4に炭化工程以降の焼成工程を
後述のとおり、炭化、前黒鉛化、黒鉛化に分けることに
より、各工程における張力を個別に設定すること、第5
に黒鉛化温度を後述のとおり超高温とすること、第6に
黒鉛化の際の張力を後述のとおり一定以上の高張力とす
ることである。
【0020】特に、難黒鉛化性物質であるPANを素材
とする細繊度プリカーサーを用いて焼成するにあたり、
高張力下、超高温で黒鉛化することが最も重要である。
【0021】すなわち、2800〜3200℃という黒
鉛が可塑化するような超高温において高張力下で黒鉛化
することにより、従来の技術では不可能であった、繊維
内部の黒鉛結晶を高度に配向させることが可能となり、
また、プリカーサーの単繊維繊度を0.8d以下とする
ことによって、単繊維の内外構造差を小さくして配向の
低い内層部分を小さくし全体の配向を向上させることが
できるのである。加えて、超高温において高張力下で黒
鉛化するためには、極限粘度[η]を前記の一定値以上
としてポリマーの軟化点を向上させるとともに剛直なポ
リマーとすることによって、従来の技術では糸切れの起
きてしまうような焼成時の高い焼成張力に耐えうるよう
な構造にすることも重要である。
【0022】結晶配向度π002 を95%以上にして
かつ結晶サイズLc を80オングストローム以下にす
るには、前駆体が易黒鉛化性物質である従来のピッチで
は難しく、難黒鉛化性物質であるPAN系重合体を原料
として選択するものである。
【0023】PAN系重合体としては、アクリロニトリ
ルのホモポリマーあるいはアクリロニトリルと共重合可
能なビニル系モノマ、たとえばアクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸およびそれらのアルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミ
ドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスル
ホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類な
どとの共重合体を挙げることができる。
【0024】これら共重合体の共重合量は、3モル%以
下、好ましくは2.0モル%以下、より好ましくは1モ
ル%以下がよい。すなわち共重合量が3モル%を越える
と、後述する黒鉛化での焼成張力を1.3g/d以上ま
で上げると単繊維切れによる毛羽が発生し、品位のよい
黒鉛化繊維が得られず、したがって引張弾性率向上にと
って好ましくないという問題がある。
【0025】重合法については、従来公知の溶液重合、
懸濁重合、乳化重合などを適用することができる。重合
度の尺度として、極限粘度[η]で表現すれば、好まし
くは1.6以上、より好ましくは1.8以上、さらに好
ましくは2.0以上がよい。[η]が1.6未満では後
述する黒鉛化での焼成張力を十分に向上させることが難
しく、引張弾性率向上にとって好ましくない。ここで、
極限粘度[η]とは次のとおり測定した値をいう。 (極限粘度[η])PAN系重合体の乾燥試料75mg
を25mlのメスフラスコに入れ、0.1Nチオシアン
産ソーダ−ジメチルホルムアミド溶液25mlを加えて
完全に溶解した後、オストワルド粘度計を用いて25℃
で比粘度ηspを測定する。 [η]={( 1+ 1.327ηsp)1/2 − 
1}/0.198 比粘度ηspから、上式より算出し
た値を極限粘度[η]とする。
【0026】紡糸方法には、湿式紡糸法、乾式紡糸法、
乾湿式紡糸法などを採用することができるが、緻密性の
高いプリカーサーが得られる観点からは湿式紡糸法ある
いは乾湿式紡糸法が好ましい。
【0027】弾性率の高い炭素繊維を得るためには、緻
密性の高いプリカーサーが有効である。かかる観点から
は、緻密性の尺度とされるヨウ素吸着法によるΔLの値
が50以下、好ましくは30以下、さらに好ましくは1
0以下の緻密なプリカーサーが好ましい。ΔLが50以
下の緻密なプリカーサーを得るための条件としては、凝
固時の実質ドラフトを好ましくは5以下とし、工程油剤
の付着量を好ましくは3%以下にするのが良い。
【0028】本発明においてヨウ素吸着法によるΔLと
は、次のようにして求めた値をいう。 (ヨウ素吸着法によるΔL)繊維長5〜7cmの乾燥試
料を約0.5g精秤し、200mlの共栓付き三角フラ
スコに採り、これにヨウ素溶液(I2 :51g、2,
4−ジクロロフェノ−ル10g、酢酸90gおよびヨウ
化カリウム100gを秤量し、1 lのメスフラスコに
移して水で溶かして定容とする)100mlを加えて、
60℃で50分間振盪しながら吸着処理を行なう。ヨウ
素を吸着した試料を流水中で30分間水洗した後、遠心
脱水(2000 rpm、1分)してすばやく風乾する
。この試料を開繊した後、ハンタ−型色差計[カラ−マ
シン(株)製、CM−25 型]で明度(L値)を測定
する(L1 )。一方、ヨウ素の吸着処理を行なわない
対応の試料を開繊し、同様に前記ハンタ−型色差計で明
度(L0 )を測定し、明度差L0 −L1 をΔLと
する。また、弾性率の高い黒鉛化繊維を得るためには、
配向度の高いプリカーサーが好ましく、特に広角X線回
折による配向度(π400 )が85%以上、好ましく
は90%以上、さらに好ましくは95%以上のPAN繊
維がよい。広角X線回折による配向度(π400 )が
85%以上のPAN繊維を得るには、湿式紡糸法あるい
は乾湿式紡糸法などにより得られた凝固糸に、熱水延伸
、スチーム延伸あるいはグリセリンなどの溶剤中延伸な
どの延伸を施し、その延伸倍率を好ましくは5倍以上、
より好ましくは10倍以上、さらに好ましくは12倍以
上とするのが良い。
【0029】本発明においてプリカーサーの配向度π4
00 とは、次のようにして求めた値をいう。 (プリカーサーの配向度π400 )X線源としてNi
フィルターで単色化されたCuKα線を使用し、 2θ
=17.0゜付近に観察される面指数(400 )のピ
ークを円周方向にスキャンして得られたピークの半値幅
より、次式から求める。 π400 ={(180 −H)/180 }×100
 (%)ここで、Hは上記半値幅(゜)である。
【0030】プリカーサーの単繊維繊度としては0.8
d以下、好ましくは0.75d以下、より好ましくは0
.7d以下の細繊度が良い。0.8dを越える太繊度で
は680GPa以上の引張弾性率を得るのが極めて難し
く、好ましくない。
【0031】かかるプリカーサーを焼成する際の耐炎化
条件としては、240〜300℃の酸化性雰囲気中で密
度が1.35g/cm3 以上、好ましくは1.40g
/cm3 以上、より好ましくは1.45g/cm3 
以上まで加熱することが、炭化工程以降の焼成張力の向
上ひいては弾性率の向上に有効な手段である。耐炎化で
の焼成張力は、0.2g/d以上、好ましくは0.25
g/d以上、さらに好ましくは0.3g/d以上にする
のが弾性率向上にとって好ましい。耐炎化雰囲気として
は、公知の空気、酸素、二酸化窒素、塩化水素などの酸
化性雰囲気を採用できるが、経済性の面から空気が好ま
しい。
【0032】なお、本発明において焼成張力とは、以下
の方法により求めた値をいう。 (焼成張力)各焼成工程における工程出の繊度で焼成張
力を除して求める。
【0033】得られた耐炎化繊維を不活性雰囲気中、5
00〜1000℃で炭化した後、1500〜2000℃
で前黒鉛化し、さらに2800〜3200℃で黒鉛化す
ることが、引張弾性率および圧縮強度を向上させるうえ
で有効である。黒鉛化温度は、高いほど高弾性率を得る
には有利であるが、炉材の寿命を考慮すると、2800
〜3200℃、好ましくは2900〜3100℃とする
のがよい。
【0034】このように炭化、前黒鉛化、黒鉛化を分け
ることによって各張力を個別に設定することが可能とな
り、それによっての高張力黒鉛化が可能になる。
【0035】炭化工程での焼成張力は0.15g/d以
上とするのが高弾性率を得るために好ましく、さらに好
ましくは0.2g/d以上がよい。
【0036】前黒鉛化工程での焼成張力は1.0g/d
以上とするのが高弾性率を得るために好ましく、さらに
好ましくは1.5g/d以上がよい。
【0037】特に、2800〜3200℃の黒鉛化工程
において焼成張力を1.3g/d以上、好ましくは1.
5g/d以上、さらに好ましくは2.0g/d以上とす
ることが680GPa以上の高引張弾性率を得るために
重要である。すなわち、焼成張力を1.3g/d未満と
した場合には、黒鉛化糸品位は向上するが、結晶サイズ
Lc が60〜80オングストロームの領域において、
引張弾性率を680GPa以上と高くすることが難しい
【0038】一般に黒鉛化温度が高い程、同一延伸比に
対する焼成張力は低下する関係にあり、2800〜32
00℃の超高温において1.3g/d以上の高張力で黒
鉛化することが弾性率向上のために重要である。設定黒
鉛化温度に対して引張弾性率および品位のバランスから
1.3g/d以上の範囲で張力を最適化することが好ま
しい。
【0039】黒鉛化張力を1.3g/d以上にするため
には、前述のように共重合体の共重合量が3モル%以下
のPANポリマーを用い、さらに、黒鉛化において15
%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは25
%以上の延伸を行なえば良い。くりかえせば、共重合体
の共重合量が3モル%を越えるPANポリマーでは1.
3g/d以上まで黒鉛化張力を上げると単繊維切れによ
る毛羽が発生し、品位のよい黒鉛化繊維が得られないの
である。
【0040】昇温速度については、300〜500℃の
温度領域での昇温速度を500℃/分以下、好ましくは
200℃/分以下とし、1000〜1200℃の温度領
域での昇温速度を500℃/分以下、好ましくは200
℃/分以下とし、さらに2000℃以上最高温度までの
昇温速度を1000℃/分以下、好ましくは500℃/
分以下とすることが延伸性を向上させ、毛羽の発生を防
止するうえで有効である。
【0041】炭化、前黒鉛化および黒鉛化工程での各焼
成雰囲気としては窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気を
採用できるが、3000℃附近の高温では窒素が炭素と
反応するおそれがあるので、黒鉛化雰囲気については物
性および安全上アルゴン雰囲気が好ましい。
【0042】得られた黒鉛化繊維は、さらに必要に応じ
て、表面処理およびサイジング剤付与され、熱硬化、熱
可塑性樹脂あるいは金属、セラミックス等の各種マトリ
ックスと組み合せて複合材料となる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 (実施例1)アクリロニトリル99.5モル%とメタク
リル酸0.5モル%からなる共重合体を用いて、濃度が
20重量%のジメチルスルホキシド(以下、DMSO)
溶液を作製した。極限粘度[η]は1.85であった。 この溶液を温度55℃に調整し、孔径0.05mm、ホ
ール数6000の紡糸口金を通して、温度50℃、濃度
55%のDMSO水溶液中で凝固させた。凝固時の実質
ドラフトは2.2であった。凝固糸条を水洗後、3段の
温水延伸浴で3.5倍に延伸しシリコーン系油剤を付与
した後、130〜160℃に加熱されたローラー表面に
接触させて乾燥緻密化し、さらに3.7 kg/cm2
 の加圧スチーム中で3倍に延伸して単糸繊度0.7d
、トータルデニール4200Dの繊維束を得た。得られ
たPAN繊維の油剤付着量は1.5%、ΔLは45、配
向度(π400 )は92%であった。
【0044】得られた繊維束を240〜280℃の空気
中で30分間加熱し、密度1.36g/cm3 の耐炎
化繊維に転換した。耐炎化張力は0.25g/dであっ
た。ついで、窒素雰囲気で900℃まで焼成張力0.2
g/dで炭化した後、さらに1800℃まで焼成張力1
.8g/dで前黒鉛化した。300〜500℃および1
000〜1200℃での昇温速度はそれぞれ200℃/
分および600℃/分であった。さらに連続して最高温
度3000℃のアルゴン雰囲気中で焼成張力1.6g/
dで黒鉛化することにより黒鉛化繊維を得た。2000
〜3000℃の昇温速度は500℃/分であった。
【0045】得られた黒鉛化繊維は引張弾性率が710
GPaで引張強度が4.5GPaと高弾性率高強度黒鉛
化糸であった。X線で構造解析した結果、結晶サイズL
c は74.3オングストロームであり、配向度は95
.8%であった。この黒鉛化繊維のコンポジット圧縮強
度を測定した結果、650MPaと高物性であった。得
られた黒鉛化繊維の特性を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】(実施例2〜3、比較例1〜5)実施例1
においてメタクリル酸の共重合量、重合度、プリカーサ
ー繊維の単繊維繊度、黒鉛化温度および黒鉛化張力を表
1のように変える以外は実施例1と同じ条件で黒鉛化し
て黒鉛化繊維を得た。得られた黒鉛化繊維の特性を表1
に併せて示す。
【0048】(比較例6)A社製ピッチ系黒鉛化繊維の
特性を測定した結果、引張弾性率は800GPaと高物
性であったが、引張強度が2.5GPaと低く、コンポ
ジット圧縮強度も400MPaと低物性であった。X線
構造解析の結果、結晶サイズLc は96.3オングス
トロームと大きく、配向度は97.0%であった。
【0049】(比較例7)B社製ピッチ系黒鉛化繊維の
特性を測定した結果、引張弾性率が620GPaで引張
強度が3.0GPaと低く、コンポジット圧縮強度も4
20MPaと低物性であった。X線構造解析の結果、結
晶サイズLc は87.0オングストロームと大きく、
配向度は94.6%であった。
【0050】
【発明の効果】本発明の黒鉛化繊維は、従来のPAN系
の高圧縮強度とピッチ系の高弾性率というそれぞれの長
所を併せ持った非常にバランスのとれた黒鉛化繊維であ
り、これによって高引張弾性率と高圧縮強度の両方が求
められる用途への炭素繊維強化複合材料の使用が可能と
なった。具体的には、より軽量化および高剛性化が求め
られる超音速飛翔体などの航空機用途、ロケット、トラ
スなどの宇宙用途、鮎竿、磯竿などの釣竿用途およびゴ
ルフクラブなどのスポーツ用途における複合材料用炭素
繊維として好適に用いることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶配向度π002 が95〜99%、結
    晶サイズLcが60〜80オングストロームであり、引
    張弾性率が680GPa以上、コンポジット圧縮強度が
    600MPa以上であることを特徴とする黒鉛化繊維。
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