JPH04224665A - 耐食性に優れたチタン合金の製造方法 - Google Patents
耐食性に優れたチタン合金の製造方法Info
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- JPH04224665A JPH04224665A JP41397990A JP41397990A JPH04224665A JP H04224665 A JPH04224665 A JP H04224665A JP 41397990 A JP41397990 A JP 41397990A JP 41397990 A JP41397990 A JP 41397990A JP H04224665 A JPH04224665 A JP H04224665A
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Landscapes
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化剤を含む高温高濃
度の非酸化性酸中において優れた耐食性を示すMo−C
r系及びMo−Cr−Ru系チタン合金の製造方法に関
するものである。
度の非酸化性酸中において優れた耐食性を示すMo−C
r系及びMo−Cr−Ru系チタン合金の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、化学工業はめざましい発展を示し
、新しいプロセスの開発や既存のプロセスの省力化及び
効率化が次々と進んでいる。それにともない、装置材料
にも塩酸や硫酸等を代表とする非酸化性酸のような過酷
な腐食環境における耐食性が要求されるようになってき
た。特に、最近では高温高濃度の非酸化性酸の使用が増
え、装置材料の腐食環境はますます厳しくなってきてい
る。また、環境問題に関わる廃液、廃ガス及び廃棄物処
理においても、そのプロセスにおいて、高温高濃度の塩
酸や硫酸が関与することが多く、それに耐えうる装置材
料が要求されている。以上の背景に加えて、最近では、
経済的な観点から、装置材料におけるイニシャルコスト
よりも、保守保全を容易にすることを考慮したトータル
コストの面が重視されるようになり、上記環境で高価な
高級耐食性材料を使用する例が増加している。
、新しいプロセスの開発や既存のプロセスの省力化及び
効率化が次々と進んでいる。それにともない、装置材料
にも塩酸や硫酸等を代表とする非酸化性酸のような過酷
な腐食環境における耐食性が要求されるようになってき
た。特に、最近では高温高濃度の非酸化性酸の使用が増
え、装置材料の腐食環境はますます厳しくなってきてい
る。また、環境問題に関わる廃液、廃ガス及び廃棄物処
理においても、そのプロセスにおいて、高温高濃度の塩
酸や硫酸が関与することが多く、それに耐えうる装置材
料が要求されている。以上の背景に加えて、最近では、
経済的な観点から、装置材料におけるイニシャルコスト
よりも、保守保全を容易にすることを考慮したトータル
コストの面が重視されるようになり、上記環境で高価な
高級耐食性材料を使用する例が増加している。
【0003】このような耐食性材料は、金属材料と非金
属材料とに大別され、その特性に応じて各分野で利用さ
れている。特に金属材料は、伝熱性を要求される熱交換
器の分野や靭性を要求される設備基幹部分の分野で用い
られていることから、信頼性及び経済性を兼ね備えたも
のが強く要望されている。
属材料とに大別され、その特性に応じて各分野で利用さ
れている。特に金属材料は、伝熱性を要求される熱交換
器の分野や靭性を要求される設備基幹部分の分野で用い
られていることから、信頼性及び経済性を兼ね備えたも
のが強く要望されている。
【0004】現在、このような高温高濃度の非酸化性酸
中で用いられる金属材料としては、Nb、Ta、Zr、
ハステロイ、耐食性チタン合金等が知られている。しか
しながら、Nb及びTaは、耐食性は優れているものの
、極めて高価であるため工業的な利用が制限され、また
、Zr及びハロステロイは、Cl−の存在により耐食性
が劣化するという問題を抱えている。
中で用いられる金属材料としては、Nb、Ta、Zr、
ハステロイ、耐食性チタン合金等が知られている。しか
しながら、Nb及びTaは、耐食性は優れているものの
、極めて高価であるため工業的な利用が制限され、また
、Zr及びハロステロイは、Cl−の存在により耐食性
が劣化するという問題を抱えている。
【0005】一方、耐食性チタン合金については、Ti
−Pd合金等が知られているが、これらチタン合金は、
塩酸や硫酸のような非酸化性酸に対しては耐食性が不十
分である。唯一、Moを数十%添加したTi−Mo合金
(例えば、TRANSACTIONS OF TH
E ASM、286頁、VOL54、1961年−S
TERN等著−参照)並びに安価な貴金属であるRuを
更に微量添加して一段と耐食性を向上させたTi−Mo
−Ru合金(特開平01−337389参照)が塩酸や
硫酸に対し優れた耐食性を示す。これらのTi−Mo−
(Ru)合金は、組織が均一なβ相であるため加工性に
優れており、装置用材料として種々の形状に加工するこ
とができる。さらに、これら合金は、Nb、Taよりは
安価なMoを使用するため、他の高級耐食材料に比較し
て経済性にも優れている。
−Pd合金等が知られているが、これらチタン合金は、
塩酸や硫酸のような非酸化性酸に対しては耐食性が不十
分である。唯一、Moを数十%添加したTi−Mo合金
(例えば、TRANSACTIONS OF TH
E ASM、286頁、VOL54、1961年−S
TERN等著−参照)並びに安価な貴金属であるRuを
更に微量添加して一段と耐食性を向上させたTi−Mo
−Ru合金(特開平01−337389参照)が塩酸や
硫酸に対し優れた耐食性を示す。これらのTi−Mo−
(Ru)合金は、組織が均一なβ相であるため加工性に
優れており、装置用材料として種々の形状に加工するこ
とができる。さらに、これら合金は、Nb、Taよりは
安価なMoを使用するため、他の高級耐食材料に比較し
て経済性にも優れている。
【0006】しかしながら、Ti−Mo合金は、確かに
、不純物の存在しない塩酸や硫酸のような非酸化性酸中
では優れた耐食性を示すが、非酸化性酸中に不純物とし
てわずか数ppmの酸化剤が混入すると、Moの過不働
態化によって耐食性が著しく劣化するという問題点を呈
する。一般に、実環境ではFe3+やCu2+の微量の
不純物イオンや溶液中の溶存酸素等の酸化剤が混入する
のが普通であるため、これらの酸化剤によって耐食性が
劣化するというのは致命的な欠点であり、そのためにT
i−Mo−(Ru)合金の工業的な利用は著しく制限さ
れていた。本発明者は、この問題点を解決するため、こ
れらの合金にさらにCr を添加することを提案した。 このTi−Mo−Cr合金及びTi−Mo−Cr−Ru
合金は、酸化剤の存在する非酸化性酸の非常にきびしい
腐食環境でも優れた耐食性を示し、かつ加工性及び経済
性にも優れた耐食性材料であり、化学装置用材料として
工業的に著しい効果を発揮するものである。
、不純物の存在しない塩酸や硫酸のような非酸化性酸中
では優れた耐食性を示すが、非酸化性酸中に不純物とし
てわずか数ppmの酸化剤が混入すると、Moの過不働
態化によって耐食性が著しく劣化するという問題点を呈
する。一般に、実環境ではFe3+やCu2+の微量の
不純物イオンや溶液中の溶存酸素等の酸化剤が混入する
のが普通であるため、これらの酸化剤によって耐食性が
劣化するというのは致命的な欠点であり、そのためにT
i−Mo−(Ru)合金の工業的な利用は著しく制限さ
れていた。本発明者は、この問題点を解決するため、こ
れらの合金にさらにCr を添加することを提案した。 このTi−Mo−Cr合金及びTi−Mo−Cr−Ru
合金は、酸化剤の存在する非酸化性酸の非常にきびしい
腐食環境でも優れた耐食性を示し、かつ加工性及び経済
性にも優れた耐食性材料であり、化学装置用材料として
工業的に著しい効果を発揮するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、β安定化元素
であるMoやCrを含むこれらの合金は熱的に不安定な
準安定β型合金であるため、処理の方法によっては、金
属組織が変化しそして耐食性が劣化する場合があること
が認識された。実際、加工後の焼鈍において、冷却速度
の遅いバッチ式真空焼鈍炉を用いると著しく耐食性が劣
化するという問題を生じることがあった。
であるMoやCrを含むこれらの合金は熱的に不安定な
準安定β型合金であるため、処理の方法によっては、金
属組織が変化しそして耐食性が劣化する場合があること
が認識された。実際、加工後の焼鈍において、冷却速度
の遅いバッチ式真空焼鈍炉を用いると著しく耐食性が劣
化するという問題を生じることがあった。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、酸化剤を含む高温高濃度の非酸化性酸中で優れ
た耐食性を示し、かつ熱的に安定した金属組織を有する
チタン合金を製造する信頼性のある方法を提供すること
を課題としている。
であり、酸化剤を含む高温高濃度の非酸化性酸中で優れ
た耐食性を示し、かつ熱的に安定した金属組織を有する
チタン合金を製造する信頼性のある方法を提供すること
を課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するため、上記合金の耐食性と金属組織との関係
について詳細な検討を加え、β領域で加熱保持後の冷却
速度が重要な因子であることを知見し、本発明を完成さ
せた。
を解決するため、上記合金の耐食性と金属組織との関係
について詳細な検討を加え、β領域で加熱保持後の冷却
速度が重要な因子であることを知見し、本発明を完成さ
せた。
【0010】即ち、本発明は、(1)Mo:10〜40
wt%及びCr:1〜15wt%を含みそして残部がT
i と不可避的不純物とからなる組成を有するチタン合
金をβ領域で加熱保持し、しかる後該加熱保持された合
金を30℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴と
する耐食性に優れたチタン合金の製造方法並びに(2)
Mo:10〜40wt%、Cr 1〜15wt%及び
Ru:0.01〜2.0wt%を含みそして残部がチタ
ン及び不可避的物とからなる組成を有するチタン合金を
β領域で加熱保持し、しかる後該加熱保持された合金を
30℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴とする
耐食性に優れたチタン合金の製造方法を提供するもので
ある。
wt%及びCr:1〜15wt%を含みそして残部がT
i と不可避的不純物とからなる組成を有するチタン合
金をβ領域で加熱保持し、しかる後該加熱保持された合
金を30℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴と
する耐食性に優れたチタン合金の製造方法並びに(2)
Mo:10〜40wt%、Cr 1〜15wt%及び
Ru:0.01〜2.0wt%を含みそして残部がチタ
ン及び不可避的物とからなる組成を有するチタン合金を
β領域で加熱保持し、しかる後該加熱保持された合金を
30℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴とする
耐食性に優れたチタン合金の製造方法を提供するもので
ある。
【0011】
【作用】本発明方法の対象とするチタン合金において、
Moを添加するのは、Moを添加することで材料表面に
Moの濃縮した保護皮膜が形成され、塩酸や硫酸等の非
酸化性酸中での耐食性が著しく改善されるためである。 しかし、これだけでは環境中に数ppm程度の酸化剤が
共存した場合、Moの溶出によって耐食性が著しく劣化
する。そのため、更にCrを添加する必要がある。Cr
を添加することでMoの溶出が抑制され環境中の酸化剤
による耐食性の劣化を防止することができる。
Moを添加するのは、Moを添加することで材料表面に
Moの濃縮した保護皮膜が形成され、塩酸や硫酸等の非
酸化性酸中での耐食性が著しく改善されるためである。 しかし、これだけでは環境中に数ppm程度の酸化剤が
共存した場合、Moの溶出によって耐食性が著しく劣化
する。そのため、更にCrを添加する必要がある。Cr
を添加することでMoの溶出が抑制され環境中の酸化剤
による耐食性の劣化を防止することができる。
【0012】これはTi−Mo合金よりもさらに耐食性
の優れるTi−Mo−Ru合金についても同様であり、
Crを添加することで酸化剤存在下での耐食性は著しく
改善される。
の優れるTi−Mo−Ru合金についても同様であり、
Crを添加することで酸化剤存在下での耐食性は著しく
改善される。
【0013】本発明合金は、以上の作用によって、酸化
剤の存在する高温・高濃度の非酸化性酸中でも優れた耐
食性を示す。
剤の存在する高温・高濃度の非酸化性酸中でも優れた耐
食性を示す。
【0014】ここでMoの含有量の下限を10wt%と
したのは、これより少ない量では表面保護皮膜の形成が
不十分であり、耐食性の向上が期待できないためであり
、またMoの含有量の上限を40wt%としたのは、こ
れより多くMoを添加しても耐食性の向上は僅かであり
、しかも高融点でかつ偏析しやすいMoを大量に含有す
ることから均質なインゴットを得ることが難しく、更に
熱間及び冷間加工性も悪化するためである。
したのは、これより少ない量では表面保護皮膜の形成が
不十分であり、耐食性の向上が期待できないためであり
、またMoの含有量の上限を40wt%としたのは、こ
れより多くMoを添加しても耐食性の向上は僅かであり
、しかも高融点でかつ偏析しやすいMoを大量に含有す
ることから均質なインゴットを得ることが難しく、更に
熱間及び冷間加工性も悪化するためである。
【0015】次に、Crの含有量の下限を1wt%とし
たのは、これより少ない量では前述のCrの作用効果が
不十分であり、従って酸化剤存在下での耐食性の改善に
効果が不十分なためであり、他方その上限を15wt%
としたのは、これを超えて添加すると加工性が劣化し、
板や条の製造が困難となるためである。更に、Ruの下
限を0.01wt%としたのは、これより少ない量では
十分な耐食性の改善が確保できないためであり、他方上
限を2.0wt%としたのは特性上の効果が飽和するこ
とから、経済的な不利を避けるためである。
たのは、これより少ない量では前述のCrの作用効果が
不十分であり、従って酸化剤存在下での耐食性の改善に
効果が不十分なためであり、他方その上限を15wt%
としたのは、これを超えて添加すると加工性が劣化し、
板や条の製造が困難となるためである。更に、Ruの下
限を0.01wt%としたのは、これより少ない量では
十分な耐食性の改善が確保できないためであり、他方上
限を2.0wt%としたのは特性上の効果が飽和するこ
とから、経済的な不利を避けるためである。
【0016】以上の本発明の対象とする合金、すなわち
従来提唱されたTi−Mo合金或いはTi−Mo−Ru
合金にCrを添加した合金は、酸化剤の存在する高温高
濃度の非酸化性環境中での耐食性が著しく優れており、
工業的に十分な耐食性を発揮する。
従来提唱されたTi−Mo合金或いはTi−Mo−Ru
合金にCrを添加した合金は、酸化剤の存在する高温高
濃度の非酸化性環境中での耐食性が著しく優れており、
工業的に十分な耐食性を発揮する。
【0017】本発明に関わるチタン合金はMoの添加に
より、非酸化性酸中でMoの濃縮した保護皮膜が形成さ
れ、これにより耐食性の向上がもたらされ、さらに、環
境中に酸化剤が存在した場合、Moの溶出によって生じ
る耐食性の劣化をCrの添加で防止するものである。こ
の効果は金属組織が単一β相を示しているときに最も効
力を発揮する。
より、非酸化性酸中でMoの濃縮した保護皮膜が形成さ
れ、これにより耐食性の向上がもたらされ、さらに、環
境中に酸化剤が存在した場合、Moの溶出によって生じ
る耐食性の劣化をCrの添加で防止するものである。こ
の効果は金属組織が単一β相を示しているときに最も効
力を発揮する。
【0018】しかし、上記合金は熱的に不安定な準安定
β型合金であるため、熱処理温度や冷却速度によって、
β相が分解し、平衡相であるα相や種々の非平衡相が析
出することがある。その結果、β相と析出物との間で局
部電池を形成し耐食性を劣化させる。そのため、上記合
金の優れた耐食性を有効に且つ安定して発揮させるため
には、金属組織を析出相の無い単一β相にすることが必
要である。
β型合金であるため、熱処理温度や冷却速度によって、
β相が分解し、平衡相であるα相や種々の非平衡相が析
出することがある。その結果、β相と析出物との間で局
部電池を形成し耐食性を劣化させる。そのため、上記合
金の優れた耐食性を有効に且つ安定して発揮させるため
には、金属組織を析出相の無い単一β相にすることが必
要である。
【0019】本発明者らは、そのための熱処理方法とし
て、β域で加熱保持後30℃/分以上の冷却速度で冷却
することで単一β相を達成し、優れた耐食性を安定して
得ることに成功した。
て、β域で加熱保持後30℃/分以上の冷却速度で冷却
することで単一β相を達成し、優れた耐食性を安定して
得ることに成功した。
【0020】ここで、合金をβ域で加熱保持するのは、
α+β域で加熱した場合には、α相が析出し、いくら冷
却速度を大きくしてもα相が残留し、耐食性が劣化する
からである。また、冷却速度を30℃/分以上としたの
はこれより低い冷却速度では冷却の過程でα相や種々の
非平衡相が析出し、耐食性を劣化させるからである。3
0℃/分以上の冷却速度で金属組織は単一β相となり、
上記合金の本来持つ耐食性を有効に発揮できる。この冷
却速度は、少なくとも加熱保持温度から200℃までの
間は必要である。
α+β域で加熱した場合には、α相が析出し、いくら冷
却速度を大きくしてもα相が残留し、耐食性が劣化する
からである。また、冷却速度を30℃/分以上としたの
はこれより低い冷却速度では冷却の過程でα相や種々の
非平衡相が析出し、耐食性を劣化させるからである。3
0℃/分以上の冷却速度で金属組織は単一β相となり、
上記合金の本来持つ耐食性を有効に発揮できる。この冷
却速度は、少なくとも加熱保持温度から200℃までの
間は必要である。
【0021】また、Mo、Crに加えて、さらに非酸化
性酸中での耐食性を向上させるためにRuを添加した合
金の場合には、添加量が微量(0.01〜2.0wt%
)のため、金属組織に及ぼすRuの影響はほとんどなく
、前述と同様な熱処理方法で優れた耐食性を発揮できる
。
性酸中での耐食性を向上させるためにRuを添加した合
金の場合には、添加量が微量(0.01〜2.0wt%
)のため、金属組織に及ぼすRuの影響はほとんどなく
、前述と同様な熱処理方法で優れた耐食性を発揮できる
。
【0022】なお、以上の本発明製造方法では、得られ
た合金が、酸化剤の存在する高温高濃度の非酸化性酸中
での耐食性が優れているばかりでなく、上記本発明の範
囲内で金属組織が析出相がなく、加工性のよい単一β相
となるため、曲げ加工、プレス加工の成形加工が容易で
あり装置材料として必要な種々の形状にたやすく加工で
きるという特徴も併せ持っている。
た合金が、酸化剤の存在する高温高濃度の非酸化性酸中
での耐食性が優れているばかりでなく、上記本発明の範
囲内で金属組織が析出相がなく、加工性のよい単一β相
となるため、曲げ加工、プレス加工の成形加工が容易で
あり装置材料として必要な種々の形状にたやすく加工で
きるという特徴も併せ持っている。
【0023】
【実施例及び比較例】次に本発明を具体的な実施例及び
比較例に基づいて説明する。
比較例に基づいて説明する。
【0024】試験材料としては、TiにMo、Cr及び
Ruを所定量添加したボタンインゴットを溶製し、これ
らの合金を熱間圧延及び冷間圧延後、それぞれのβ変態
点+100℃(β域)及びβ変態点−100℃(α+β
域)の温度で加熱保持し、しかる後5、20、30、1
00(℃/分)の冷却速度で冷却した。これらを20m
m×20mmの板に切断し、表面を600番研磨紙で仕
上げ、表面を清浄化しそしてFe3+を50ppm 含
む90℃の10%HCl 中で全面腐食試験に供した。 その結果を表1に示した。
Ruを所定量添加したボタンインゴットを溶製し、これ
らの合金を熱間圧延及び冷間圧延後、それぞれのβ変態
点+100℃(β域)及びβ変態点−100℃(α+β
域)の温度で加熱保持し、しかる後5、20、30、1
00(℃/分)の冷却速度で冷却した。これらを20m
m×20mmの板に切断し、表面を600番研磨紙で仕
上げ、表面を清浄化しそしてFe3+を50ppm 含
む90℃の10%HCl 中で全面腐食試験に供した。 その結果を表1に示した。
【0025】表1において、供試材No.1〜6は、冷
間圧延後、β変態点−100℃の温度に加熱保持し、そ
の後呈示される冷却速度で冷却したものであるが、α+
β域で加熱したため、冷却速度にかかわらず、耐食性は
よくない。
間圧延後、β変態点−100℃の温度に加熱保持し、そ
の後呈示される冷却速度で冷却したものであるが、α+
β域で加熱したため、冷却速度にかかわらず、耐食性は
よくない。
【0026】一方、供試材No.7〜12は、供試材N
o.1〜6と同組成の合金であり、β変態点+100℃
の温度(β域)に加熱保持後、各冷却速度で冷却したも
のであるが、Crを含むものは30℃/分以上の冷却速
度の場合に著しく耐食性が改善されており、本発明の有
効性が理解される。
o.1〜6と同組成の合金であり、β変態点+100℃
の温度(β域)に加熱保持後、各冷却速度で冷却したも
のであるが、Crを含むものは30℃/分以上の冷却速
度の場合に著しく耐食性が改善されており、本発明の有
効性が理解される。
【0027】さらに、供試材No.13〜17は、Ru
を0.1wt%添加したもので、加熱保持温度をβ変態
点−100℃としたもの、そして供試材No.18〜2
4は加熱保持温度をβ変態点+100℃としたものであ
るが、Ruの微量添加は加熱保持温度及び冷却速度に影
響を与えず、供試材No.1〜12と同様にβ域での加
熱保持と30℃/分以上の冷却速度で冷却することによ
り著しく耐食性が改善されることがわかる。
を0.1wt%添加したもので、加熱保持温度をβ変態
点−100℃としたもの、そして供試材No.18〜2
4は加熱保持温度をβ変態点+100℃としたものであ
るが、Ruの微量添加は加熱保持温度及び冷却速度に影
響を与えず、供試材No.1〜12と同様にβ域での加
熱保持と30℃/分以上の冷却速度で冷却することによ
り著しく耐食性が改善されることがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】以上、本発明の方法は、Mo−Cr系及
びMo−Cr−Ru系チタン合金をβ域で加熱保持し、
しかる後30℃/分以上の冷却速度で冷却することによ
り、酸化剤を含む高温高濃度の非酸化性酸中でのこれら
合金の耐食性安定性及び信頼性を改善し、工業的に著し
い効果を発揮するものである。
びMo−Cr−Ru系チタン合金をβ域で加熱保持し、
しかる後30℃/分以上の冷却速度で冷却することによ
り、酸化剤を含む高温高濃度の非酸化性酸中でのこれら
合金の耐食性安定性及び信頼性を改善し、工業的に著し
い効果を発揮するものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mo:10〜40wt%及びCr:1
〜15wt%を含みそして残部がTi と不可避的不純
物とからなる組成を有するチタン合金をβ領域で加熱保
持し、しかる後該加熱保持された合金を30℃/分以上
の冷却速度で冷却することを特徴とする耐食性に優れた
チタン合金の製造方法。 - 【請求項2】 Mo:10〜40wt%、Cr 1
〜15wt%及びRu:0.01〜2.0wt%を含み
そして残部がチタン及び不可避的物とからなる組成を有
するチタン合金をβ領域で加熱保持し、しかる後該加熱
保持された合金を30℃/分以上の冷却速度で冷却する
ことを特徴とする耐食性に優れたチタン合金の製造方法
。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP41397990A JPH04224665A (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 耐食性に優れたチタン合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP41397990A JPH04224665A (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 耐食性に優れたチタン合金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04224665A true JPH04224665A (ja) | 1992-08-13 |
Family
ID=18522525
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP41397990A Withdrawn JPH04224665A (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 耐食性に優れたチタン合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04224665A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012115187A1 (ja) * | 2011-02-23 | 2012-08-30 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | Ti-Mo合金とその製造方法 |
-
1990
- 1990-12-26 JP JP41397990A patent/JPH04224665A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012115187A1 (ja) * | 2011-02-23 | 2012-08-30 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | Ti-Mo合金とその製造方法 |
JP5885169B2 (ja) * | 2011-02-23 | 2016-03-15 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | Ti−Mo合金とその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19980312 |