JPH04218389A - 二重特異性抗体および抗体含有薬剤 - Google Patents

二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Info

Publication number
JPH04218389A
JPH04218389A JP3066920A JP6692091A JPH04218389A JP H04218389 A JPH04218389 A JP H04218389A JP 3066920 A JP3066920 A JP 3066920A JP 6692091 A JP6692091 A JP 6692091A JP H04218389 A JPH04218389 A JP H04218389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
moab
thrombolytic
hybrid
reference example
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3066920A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroo Yamazaki
山崎 博男
Kenjiro Tagami
田上 憲次郎
Susumu Iwasa
岩佐 進
Tomofumi Kurokawa
智文 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKYO MET GOV RINSHIYOU IGAKU SOGO KENKYUSHO
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
TOKYO MET GOV RINSHIYOU IGAKU SOGO KENKYUSHO
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKYO MET GOV RINSHIYOU IGAKU SOGO KENKYUSHO, Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical TOKYO MET GOV RINSHIYOU IGAKU SOGO KENKYUSHO
Priority to JP3066920A priority Critical patent/JPH04218389A/ja
Publication of JPH04218389A publication Critical patent/JPH04218389A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二重特異性を有するハイ
ブリッドモノクローナル抗体に関する。さらに詳しくは
二重特異性の一方が活性化血小板に対するものであり、
他方が血栓溶解作用を有する物質に対するものであるハ
イブリッドモノクローナル抗体(以下、ハイブリッドM
oAbと略記することがある)に関する。本発明はまた
、上記のハイブリッドMoAbに血栓溶解作用を有する
物質を免疫結合させてなる血栓溶解剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血栓溶解療法は古くから心筋梗塞,動脈
塞栓症,脳梗塞などの血栓性疾患の治療法として用いら
れ、当初はストレプトキナーゼ(以下、SKと略記する
ことがある)やウロキナーゼ(以下、UKと略記するこ
とがある)などが有用な血栓溶解剤として臨床応用され
た。特にUKはフィブリン溶解能が高いことから比較的
繁用されてきたが、フィブリンに対する選択性が低く、
フィブリノーゲンに対しても作用するため、投与患者に
出血傾向を生ぜしめる欠点を有している。かかる欠点を
踏まえて、次に第2世代の血栓溶解剤としてティッシュ
プラスミノーゲンアクチベータ(以下、TPAと略記す
ることがある)やプロウロキナーゼ(以下、ProUK
と略記することがある)が登場した。これらはUKに比
べてフィブリン選択性が高いため、UKでみられた出血
傾向の副作用を軽減すると予測され、数多くの研究がな
された。特に最近では遺伝子組み換え技術を利用するこ
とによって大量生産の途が開かれたことから、臨床への
応用も盛んである〔European  Cooper
ative  Study  Group  for 
 Recombinant  Tissue−Type
  Plasminogen Activator:ラ
ンセット(The  Lancet), Vol. 1
,842(1985)〕。しかしこれらの臨床応用の結
果、TPAなどにも幾つかの問題があることが分かって
きた。すなわち、■TPAの半減期は非常に短かく(2
〜3分),血栓溶解には多量のしかも長時間の投与が必
要なこと,■かかる大量療法では必ずしも出血傾向の低
減を期待できないことなどである。
【0003】そこでさらに効果的な血栓溶解剤の研究・
開発がなされ、修飾TPAや,UKあるいはProUK
とTPAとのハイブリッド蛋白などが作製された。修飾
TPAに関しては、半減期低下の原因と考えられる糖鎖
構造を一部欠失したTPAムテインを遺伝子工学的に作
製し、肝細胞などの糖鎖レセプターによる捕捉を避け、
血中動態の改善をはかっている。またUK−TPAのハ
イブリッド蛋白ではUKの強い血栓溶解能とTPAのフ
ィブリン親和性とを併用し、投与量の軽減を目指してい
る。これらの血栓溶解剤は従来のものと比べ若干の出血
傾向の減少をもたらすと期待できるが、大巾な改善につ
いてはさらに今後の研究・開発に待たれている。
【0004】次に第3世代の血栓溶解剤として、抗体タ
ーゲッティングを利用した蛋白複合体が登場した。すな
わち実質的にフィブリノーゲンには反応せずフィブリン
にのみ高い親和性を有する抗体をUK〔C.Bodeら
:サイエンス(Science),229,765(1
985)〕やTPA〔M. S. Rungeら:プロ
シーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・サイ
エンス  ユーエスエー(Proc. Natl. A
cad. Sci.USA), 84,7659(19
87)〕に化学結合させることにより、フィブリノーゲ
ンの分解を伴うことなくフィブリンのみを分解する血栓
溶解剤が開発された。かかる抗体ターゲッティング化血
栓溶解剤はin  vitroあるいはin  viv
o実験で、いずれもUKやTPA単剤よりも3−100
倍の効果を示したと報告されている。しかしながらこれ
らの蛋白複合体では、いずれも抗体と血栓溶解酵素とを
化学結合させており、従って■化学結合操作時に抗体活
性および酵素活性の低下を伴うこと,■抗体と酵素との
1:1蛋白複合体を収率良く得ることが困難なこと,あ
るいは■蛋白変性の結果、投与患者体内での代謝が早ま
ったり、免疫応答を惹起すること、などの欠点を有して
いる。
【0005】そこで、一方の結合部位でフィブリンに結
合し、他方の結合部位で血栓溶解活性物質に結合できる
二重特異性MoAbを作製し、この抗体に血栓溶解活性
物質を免疫結合させて、抗体活性および血栓溶解活性の
低下を伴わない二重特異性MoAbと血栓溶解活性物質
との1:1免疫複合体を作製して、フィブリンに特異的
で副作用のない血栓溶解剤が開発された〔特表平2−5
00321号公報,ヨーロッパ特許第363712号公
開公報参照〕。
【0006】上記の二重特異性MoAb−血栓溶解活性
物質免疫複合体は、フィブリノーゲンに対する反応性が
ほとんど無視しうることから、生体内でフィブリンを主
構成成分として形成される血栓の溶解に特異的かつ効率
的に作用する。しかしながら、生体内で形成される血栓
は血小板を伴うものがほとんどで、その中には血小板を
多量に(rich に)包含し形成されるものもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗フィブ
リン−抗血栓溶解活性物質二重特異性MoAbによる血
栓溶解作用をさらに増強させるため、また血小板リッチ
な血栓の溶解を効率的に実施するために、一方の結合部
位で活性化血小板に特異的に反応し、他方の結合部位で
血栓溶解作用を有する物質に特異的に反応する二重特異
性MoAbを作製し、さらにこの抗体に血栓溶解作用を
有する物質を1:1の割合で免疫結合させ、血栓に特異
的で効果的な血栓溶解剤の開発に成功し、さらに研究を
進め本発明を完成した。すなわち本発明は、二重特異性
を有するハイブリッド MoAbであって、二重特異性
の一方が活性化血小板に対するものであり、他方が血栓
溶解作用を有する物質に対するものである抗体を提供す
るものである。また本発明は、上記二重特異性ハイブリ
ッドモノクローナル抗体に血栓溶解作用を有する物質を
免疫結合させてなる血栓溶解剤を提供するものである。
【0008】本発明における活性化血小板としては、血
液凝固に関与する血小板が挙げられ、例えばトロンビン
,コラーゲン,ADP(アデノシン5′−2リン酸)な
ど(好ましくはトロンビン)で活性化された血小板が挙
げられる。また、活性化血小板に特異的なモノクローナ
ル抗体(抗活性化血小板MoAb)としては、活性化血
小板と特異的に結合し、非刺激血小板(resting
  platelet)とは実質的に結合しないMoA
bが挙げられ、例えばトロンビンなどによる活性化に伴
って出現する血小板の膜蛋白〔T. M. Palab
ricaら:プロシーディングス・オブ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス  ユーエスエー(Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA)
, 86,1036(1989); R. P. Mc
Ever:スロンボーシス・アンド・ヘモスターシス(
Thromb. Haemostasis), 62,
3 (1989); N. Akamatsuら:スロ
ンボーシス・アンド・ヘモスターシス(Thromb.
 Haemostasis),  62,250(19
89)など〕を特異的に認識する MoAbが挙げられ
る。
【0009】本発明で用いられる抗活性化血小板MoA
b産生ハイブリドーマの作製にあたっては、該ハイブリ
ドーマが活性化血小板に特異的でかつ実質的に非刺激血
小板と結合しないMoAbを産生するものであれば、い
ずれのものでもよい。例えばかかる活性化血小板特異M
oAbはトロンビンで活性化された血小板(好ましくは
ヒト血小板)を免疫原として用いることにより作製され
る〔C. L. Bermanら:ジャーナル・オブ・
クリニカル・インベスティゲーション(J. Clin
. Invest.), 78,130(1986)お
よび N. Akamatsuら:スロンボーシス・ア
ンド・ヘモスターシス(Thromb. Haemos
tasis),62,250(1989)〕。また、用
いる血小板は哺乳動物のものであればいずれでもよいが
、好ましくはヒト血小板が挙げられる。この活性化血小
板を動物(例、ウサギ,ラット,マウス,モルモットな
ど)に免疫し抗体産生細胞を得、次いで免疫動物より採
取したこれらの抗体産生細胞、例えば脾臓細胞やリンパ
節細胞などを骨髄腫細胞と融合する。得られるハイブリ
ドーマの中から実質的に非刺激血小板に反応せず活性化
血小板に特異的に結合する抗体産生細胞をスクリーニン
グすることによって、目的とする抗活性化血小板MoA
b産生ハイブリドーマを取得することができる。
【0010】また本発明における血栓溶解作用を有する
物質(以下、血栓溶解作用物質と略記することがある)
としては、血栓溶解能を持つ蛋白あるいは血栓溶解作用
を促進する物質であればいずれのものでも良い。これら
の例として、プロテアーゼおよびその前駆体,あるいは
血栓溶解促進物質(例、TPA,UK,ProUK,S
K,トリプシン,プラスミン,プロテインC,プロテイ
ンSなど)などが挙げられ、なかでもプロテアーゼが好
ましく、さらに好ましくはTPA,UKおよびProU
Kなどが用いられる。また  TPAについては一本鎖
および二本鎖のいずれのものでもよく、またUKについ
ても一本鎖および二本鎖のいずれのものでもよく[E.
 Haberら,サイエンス(Science),24
3,51(1989)]、低分子UK,ProUKなど
を用いてもよい。抗血栓溶解物質MoAb産生ハイブリ
ドーマの作製については、上記の蛋白を常法に従い動物
に免疫し、得られる抗体産生細胞を骨髄腫細胞などと融
合させる方法が用いられる。特に抗UK抗体産生ハイブ
リドーマの作製については、低分子UKを動物に免疫し
て得られる抗体産生細胞を用いるのが好都合である。動
物を免疫し、得られる抗体産生細胞を骨髄腫細胞などと
融合させ、抗体産生ハイブリドーマを得る方法について
は、抗活性化血小板抗体産生ハイブリドーマを得る方法
と同様な操作を行ってもよい。
【0011】免疫動物としては、例えばウサギ,ラット
,マウス,モルモットなどが用いられるが、MoAb製
造の場合にはマウスが特に好ましく用いられる。接種方
法としては、通常実施される方法に従えばよく、例えば
活性化血小板に特異的な抗体を作製する場合にはマウス
に1回108〜1010個,好ましくは0.5〜2×1
09個の洗浄ヒト血小板を生理食塩水,ヘペス緩衝液あ
るいはリン酸食塩緩衝液(以下、PBSと略記すること
がある)に懸濁して、トロンビンで活性化後腹腔内に1
0 〜14日毎に3〜8回接種する方法がとられる。血
栓溶解作用物質に特異的な抗体を作製する場合には、マ
ウスに1回1〜100μg、好ましくは10〜25μg
の血栓溶解作用物質を等容量(0.1ml)の生理食塩
水およびフロイントの完全アジュバンドで乳化して、背
部,腹部の皮下あるいは腹腔内に2〜3週毎に3〜6 
回接種する方法がとられる。これらの免疫動物、例えば
マウスから抗体価の高い個体を選び、最終免疫3〜5日
後に脾臓およびあるいはリンパ節を採取し、それらに含
まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させる。融合操
作は既知の方法に従い実施でき、融合促進剤としてはポ
リエチレングリコール(以下、PEGと略することがあ
る)やセンダイウイルスなどが挙げられるが、好ましく
はPEGが用いられる。骨髄腫細胞としてはNS−1、
P3U1、SP2/0など、特にNS−1やP3U1が
好ましく用いられる。例えば脾臓細胞と骨髄腫細胞との
好ましい比率は1:1〜10:1で、これに分子量1,
000〜9,000のPEGが10〜80%の濃度で添
加され、20〜37℃、好ましくは30〜37℃で3〜
10分インキュベートするのが良い。
【0012】抗活性化血小板MoAb産生ハイブリドー
マのスクリーニングには種々の方法が使用できる。例え
ば、マイクロプレートに非刺激血小板あるいはトロンビ
ン活性化血小板を結合させ、1%ホルマリンで固定化し
て固相抗原として使用する。これにハイブリドーマ培養
上清を添加し、プレートに結合した抗活性化血小板抗体
を酵素標識第2抗体で検出する酵素免疫測定法(以下、
EIAと略記することがある)により培養上清中の抗体
価を測定し、非刺激および活性化血小板との結合の差の
大きなものを選択する。例えば、HAT(ヒポキサンチ
ン・アミノプテリン・チミジン)添加培地で選別、育種
された抗体活性陽性のハイブリドーマは直ちにクローニ
ングに供されるが、通常これは限界希釈法などで容易に
実施される。クローン化されたハイブリドーマ培養上清
の抗体価を上記の方法で測定し、安定的に力価の高い抗
体を産生するハイブリドーマを選択し、目的とするモノ
クローナルな抗活性化血小板特異抗体産生ハイブリドー
マを取得することができる。
【0013】以上のような製造法に従って作製した抗活
性化血小板MoAb産生ハイブリドーマの例として、後
述の実施例1に示したマウスハイブリドーマ2T60が
挙げられる。また血栓溶解作用を有する物質に対するM
oAb(抗血栓溶解作用物質MoAb)を産生するハイ
ブリドーマのスクリーニングは、それぞれ該物質を吸着
させたマイクロプレートを用いるEIAで簡便に実施で
きる。 クローニングも上記した常法に従って実施し、目的の抗
血栓溶解作用物質MoAb産生ハイブリドーマを取得で
きる。以上のような製造法に従って作製した抗TPA 
 MoAb産生ハイブリドーマの例として、後述の参考
例9に示したマウスハイブリドーマTPA1−41,T
PA1−70およびTPA2−14、また抗UK  M
oAb産生ハイブリドーマの例として後述の参考例11
に示したマウスハイブリドーマUK1−3およびUK1
−87あるいは参考例12に示したマウスハイブリドー
マUK1−6が挙げられる。
【0014】本発明の二重特異性を有するハイブリッド
  MoAbを作製するにはいくつかの方法がある。1
つは化学的な方法で、この場合活性化血小板に対して特
異的なMoAbと血栓溶解作用を有する物質に対するM
oAbとを共有結合させる。また別法として、抗活性化
血小板MoAbおよび抗血栓溶解作用物質MoAbをそ
れぞれ産生する2種のハイブリドーマを細胞融合し、ハ
イブリッド・ハイブリドーマ(例、テトラオーマなど)
を作製し目的の二重特異性抗体を作製する方法がある。 一定した高い品質の抗体を大量に収率良く得る手段とし
ては後者のハイブリッド・ハイブリドーマ法が好ましく
用いられる。
【0015】2種のMoAbを化学的に結合させるため
に、抗体分子中に存在している置換基、例えばアミノ基
、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはスルフヒドリ
ル基などを利用することができる。例えば、(1)一方
の抗体の反応性アミノ基と他方の反応性カルボキシル基
とを水溶性カルボジイミド試薬〔 例、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド,
1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)−
カルボジイミド−p−トルエンスルホネートなど〕を用
いて水性溶媒中で脱水縮合させる、(2)一方の抗体の
反応性アミノ基をN−ヒドロキシスクシミドの活性エス
テル〔例、p−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−
カルボキシル−N−ヒドロキシスクシミドエステル,N
−(ε−マレイミドカプロイロキシ)スクシミドエステ
ルなど〕と反応させマレイミド化したのち、i)他方の
抗体をジチオスレイトール(DTT)で還元した抗体、
あるいはii)他方の抗体にN−スクシミジル−3−(
2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)でス
ルフヒドリル基を導入した抗体、あるいはiii)他方
の抗体をペプシン処理後還元して得られるFab’画分
のスルフヒドリル基とチオエーテル結合させる、(3)
2種の抗体双方の反応性アミノ基をスクシンジアルデヒ
ドやグルタルアルデヒドなどのジアルデヒド試薬を用い
て結合させる、(4)2種の抗体をDTTで還元あるい
はSPDPでスルフヒドリル基を導入し、再酸化により
ヘテロダイマーを作製する、(5)2種の抗体をいずれ
もペプシン処理後還元し、Fab’としたのち再酸化し
Fab’ヘテロダイマーを作製する、などの方法がある
。またこれらの方法を種々組み合わせて、2種の抗体活
性をできるだけ損なわずに効率良く目的のヘテロダイメ
リックな二重特異性抗体を作製する報告があり 〔M.
 J. Glennie ら:ジャーナル・オブ・イム
ノロジー(J. Immunol.), 139,23
67(1987);北川常広:有機合成化学,42,2
83(1984)  〕、本発明の二重特異性ハイブリ
ッドMoAbの作製に利用できる。
【0016】以上のような結合反応終了後、二重特異性
抗体結合物はセファデックスG100もしくはG200
,セファロース6Bもしくは4B(ファルマシア社製)
、ウルトロゲル  AcA44もしくは34(LKB製
),セファクリルS200(ファルマシア社製)などの
ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製・分取できる。 あるいは抗原結合カラムを用いるアフィニティークロマ
トグラフィーを組み合わせることにより選択的な分取も
可能である。
【0017】本発明の二重特異性を有するハイブリッド
モノクローナル抗体を産生するハイブリッド・ハイブリ
ドーマの作製にはいくつかの手法があり〔例、新本洋士
ら:蛋白質・核酸・酵素,33,217(1988)な
ど〕、いずれの方法を用いてもよいが例えば、■前記し
たHAT抵抗性の血栓溶解作用を有する物質に対するM
oAbを産生するハイブリドーマを、5−ブロモデオキ
シウリジン(以下、5−BrdUと略記することがある
)添加の培養液に段階的に馴化させ、チミジンキナーゼ
欠損株をクローン化しHAT感受性とする。同様にHA
T抵抗性の抗活性化血小板特異MoAb産生ハイブリド
ーマを8−アザグアニン(以下、8−AZGと略記する
ことがある)耐性とし、ヒポキサンチン−グアニン−ホ
スホリボシルトランスフェラーゼ欠損株をクローン化し
HAT感受性とする。次いで常法に従い両者を融合して
得られるテトラオーマをHAT添加培地で選別後、活性
化血小板および血栓溶解作用を有する物質の両者に結合
能を有するハイブリッドMoAbを分泌するテトラオー
マをクローン化する、■抗活性化血小板特異MoAb産
生ハイブリドーマをフルオレセイン・イソチオシアネー
ト(以下、FITCと略記することがある)で標識し、
もう一方の血栓溶解作用を有する物質に対するMoAb
を産生するハイブリドーマをテトラメチル・ロダミン・
イソチオシアネート(以下、TRITCと略記すること
がある)で標識後、常法に従い両者を融合する。得られ
た細胞懸濁液をフルオレセイン・アクティベイティッド
・セルソーター(以下、FACSと略記することがある
)に供し、FITCの緑色およびTRITCの赤色の蛍
光を同時に有するテトラオーマを選別・クローン化する
などの方法が挙げられる。また両親株のマーカーを全く
逆にして使用し、テトラオーマを選別・クローン化する
ことも可能である。
【0018】これらの操作における細胞融合に当っては
センダイウイルス、PEGなどの融合促進剤やあるいは
電気刺激などの方法が用いられる。好ましくはPEGが
用いられ、以下にその一例を挙げるが、もちろんこの方
法に限定されるものではない。すなわち、分子量約1,
000〜9,000、濃度約10〜80%等のPEGが
用いられ、処理時間は約0.5〜30分であるが、好ま
しい条件の一例として、約35〜55%のPEG 6,
000を約4〜10分間、37℃で細胞と接触させ、効
率よく融合させることができる。
【0019】ポリドーマ(例、トリオーマ、テトラオー
マなど)の選択は、上記のHAT添加培地などで実施で
きるが、このため8−AZG、6−チオグアニン(6−
TG)あるいは5−BrdUなどの薬剤馴化法により、
それぞれの薬物耐性株が取得される。また新しいマーカ
ーの融合細胞への導入により、種々の選択培地が用いら
れる。このような例として、ネオマイシンやハイグロマ
イシンB添加培地などが挙げられる〔B. Sugde
nら:モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー
(Mol. Cell. Biol.),5,410(
1985)〕。さらに前記したように、異った蛍光色素
で標識したハイブリドーマを融合し、FACSで二重標
識されたハイブリッド・ハイブリドーマをソーティング
する方法もある〔L. Karawajewら:ジャー
ナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ(J.Immu
nol.Methods),96,265(1987)
〕。
【0020】ハイブリッド抗体産生ポリドーマのスクリ
ーニングには種々の方法が使用できる。例えば、■前述
した抗活性化血小板特異MoAb産生ハイブリドーマと
血栓溶解作用を有する物質に対するMoAbを産生する
ハイブリドーマのスクリーニングのための EIAの併
用,■活性化血小板結合マイクロプレートに被検培養上
清を添加し、次にHRP標識した血栓溶解作用を有する
物質を加えて二重特異性を有するハイブリッド抗体検出
のためのEIA、あるいは抗活性化血小板特異抗体と異
なるサブクラスに属する血栓溶解作用を有する物質に対
する抗体を用いる場合は,■活性化血小板結合マイクロ
プレートに被検培養上清を添加し、次にHRP標識した
該抗マウスIgGサブクラス特異抗体を加えて二重特異
性抗体を検出するEIA、およびこれらの変法などを適
宜組み合せて用いることができる。ハイブリッド抗体活
性陽性のポリドーマは直ちにクローニングに供されるが
、これは通常限界希釈法などで容易に実施される。クロ
ーン化されたポリドーマの培養上清については、上記の
方法でその抗体価を測定し、安定的に力価の高い抗体を
産生するポリドーマを選択することにより、目的とする
モノクローナルなハイブリッド抗体産生ポリドーマを取
得することができる。
【0021】上記した本発明のポリドーマの培養は通常
、液体培地中、または動物の腹腔内(例えば、マウス等
哺乳動物の腹腔内)で公知の方法により実施できる。 培養液および腹水中の抗体の精製については公知の生化
学的手法を組み合わせて用いることによりできる。例え
ば、細胞培養液もしくは腹水を遠心分離し、上清を取り
出し、塩析(通常は硫酸アンモニウムもしくは硫酸ナト
リウムを用いる)を実施する。得られたタンパク沈殿物
を適当な溶液に溶解し、透析後カラムクロマトグラフィ
ー(イオン交換カラム、ゲルろ過カラム、プロテインA
カラム、ヒドロキシアパタイトカラム等)に付し、目的
とする抗体を分離精製することができる。以上のような
分離精製操作により、例えば1リットルの培養上清から
タンパク重量比で80%以上の純度のハイブリッドMo
Abを約1〜5mg得ることができる。また、20ml
の腹水液からは同様の抗体が3〜10mg得られる。以
上のようにして得られた二重特異性を有するハイブリッ
ドMoAbは蛋白質として均一であり、蛋白分解酵素(
ペプシンなど)処理などにより、活性化血小板および血
栓溶解作用を有する物質に対する結合能を保持するF(
ab’)2 断片などを得ることができ、これらは本発
明のハイブリッドMoAbと同様の目的で用いることが
できる。
【0022】以上のような製造法に従って作製したハイ
ブリッドMoAb産生ポリドーマの例として、後述の実
施例2に示したマウスハイブリッド・ハイブリドーマ(
テトラオーマ)UP3−175が挙げられる。なお、本
発明のハイブリッドMoAbを産生するポリドーマとし
て、抗活性化血小板MoAb産生ハイブリドーマと血栓
溶解作用を有する物質に対するMoAbを産生するハイ
ブリドーマとのテトラオーマの例を挙げたが、一方のM
oAbを産生するハイブリドーマと他方のMoAbを産
生する細胞とのトリオーマあるいはそれぞれのMoAb
を産生する細胞をエプスタイン・バー・ウイルスなどに
より不滅化後、細胞融合して得られるハイブリドーマな
どであっても、本発明のハイブリッドMoAbを産生す
るものであれば、上記テトラオーマと同様の目的で用い
ることができる。
【0023】特に、抗活性化血小板特異MoAb産生ハ
イブリドーマに、血栓溶解作用物質を免疫した動物の脾
臓細胞を融合させる方法では、増殖能をもつトリオーマ
はいずれも抗活性化血小板MoAb産生能を有するハイ
ブリドーマ由来に限られるため、血栓溶解作用物質に対
する抗体活性測定法だけをスクリーニング法として用い
て、目的の二重特異性抗体産生トリオーマを選択できる
。かかる方法では種々の二重特異性抗体産生トリオーマ
が効率良く取得できる。また、これらのポリドーマがマ
ウスIgG  MoAbを産生する場合には、該二重特
異性ハイブリッドMoAbの抗原認識部位を含む可変領
域あるいは超可変領域をコードするDNAを取得し、こ
れに遺伝子操作技術〔Z. Steplewskiら:
プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・
サイエンス  ユーエスエー(Proc. Natl.
 Acad. Sci.USA),85,4852(1
988)〕を用いてヒトIgGの定常領域をコードする
遺伝子を結合させ、マウス−ヒトキメラ抗体を作製する
こともできる。かかるキメラ抗体はヒトへの投与に際し
、抗原性が小さいため有利に用いられる。
【0024】本発明の二重特異性ハイブリッドMoAb
あるいは血栓溶解作用を有する物質と該二重特異性ハイ
ブリッドMoAbとから作製される選択的な血栓溶解蛋
白複合体を用いる血栓溶解治療法においては、幾つかの
方法が用いられる。例えば、■本発明のハイブリッドM
oAbを予め血栓性疾患患者に投与し、患者体内に形成
された血栓に結合させるべく十分な時間経過後に、血栓
溶解作用を有する物質、例えばTPAやUKを投与する
,■該ハイブリッドMoAbと血栓溶解作用を有する物
質とを同時に血栓性疾患患者に投与する。あるいは■予
め該ハイブリッドMoAbと血栓溶解作用を有する物質
とを反応させ、未反応の血栓溶解物質を分離後、得られ
た選択的血栓溶解蛋白複合体を血栓性疾患患者に投与す
るなどの方法が挙げられる。
【0025】本発明の血栓溶解剤,ハイブリッドMoA
bあるいは血栓溶解作用を有する物質は、必要により例
えばメンブレインフィルター等によるろ過除菌操作の後
に、それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容され得る担
体,賦形剤,希釈剤などと混合し、注射剤などとして製
剤化して、哺乳動物(マウス,ラット,ネコ,イヌ,ブ
タ,ウシ,サル,ヒトなど)に投与し、例えば心筋梗塞
,末梢動・静脈閉塞症,網膜動・静脈閉塞症,脳梗塞,
肺塞栓症などの血栓・閉塞性疾患の治療に用いることが
可能である。
【0026】本発明の血栓溶解剤の投与量は、対象とな
る疾患,症状あるいは投与ルートなどによって異なるが
、例えば心筋梗塞の成人患者に静脈内投与する場合、ハ
イブリッドMoAbとして1日当り約0.02〜1mg
/kg好ましくは約0.04〜0.4mg/kg、血栓
溶解作用を有する物質として1日当りTPAでは約0.
01〜0.5mg/kg好ましくは約0.02〜0.2
mg/kg,UKでは約0.01〜0.5mg/Kg好
ましくは約0.02〜0.2mg/KgあるいはPro
UKでは約0.01〜1mg/kg、好ましくは約0.
02〜0.5mg/kgである。
【0027】以上のような方法で、標的血栓部位に対し
て特異的に結合可能であり、実質的に非刺激血小板と結
合しない本発明のハイブリッドMoAbと血栓溶解作用
を有する物質とを用いることにより、血小板rich 
な血栓であっても選択的かつ効率的に血栓を溶解・除去
することができる。さらに本発明の二重特異性ハイブリ
ッドMoAbは、抗フィブリン−抗血栓溶解作用物質二
重特異性MoAbと併用し、血栓溶解作用物質と同時投
与することにより、より一層効率的にかつ迅速に血栓を
溶解・除去できる。
【0028】
【実施例】以下に参考例・実施例により本発明を具体的
に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するもので
ないことは言うまでもない。なお、参考例および実施例
で用いられている動物細胞は、以下の表に示すように寄
託が行なわれている。
【0029】参考例1  抗血小板抗体測定用EIA■
固定化血小板の作製 クエン酸採血したヒト新鮮血から遠心分離法により多血
小板血漿を取得し、ADP分解酵素を含むタイロード−
ヘペス緩衝液(pH6.5)で洗浄した。この洗浄血小
板を2×107個/ウエルでマイクロプレートに播き、
トロンビン(0.2ユニット/ml)で活性化したのち
遠心した。次いで2%ホルマリンで固定化後、5%牛血
清アルブミン(以下、BSAと略記することがある)含
有PBSでブロッキングして活性化血小板プレートを作
製した。 非刺激血小板プレートは上記の操作中、トロンビン活性
化操作を省略して作製した。 ■EIA操作法 ハイブリドーマ培養上清100μlを血小板プレートに
添加し、室温で3時間反応後0.05% Tween 
20 含有PBS(PBS−Tw)で洗浄、ホースラッ
ディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識ウサギ抗マ
ウスIgG抗体を添加し、さらに室温で2時間反応させ
た。洗浄後、酵素基質としてオルソフェニレンジアミン
およびH2O2を含有する0.1Mクエン酸緩衝液を各
ウェルに加え、室温で酵素反応を実施した。1N硫酸で
反応停止後、マルチスキャン(フロー社製)を用いて波
長492nmで発色色素量を測定した。
【0030】参考例2  抗TPA抗体測定用EIAT
PA 5μg/ml溶液を96穴マイクロプレートに1
00μlずつ分注し4℃で一夜放置後、2%カゼイン,
0.01%チメロサール含有PBS  150μlを添
加して感作プレートを作製した。 上記の液を除去しP
BS−Twで洗浄後、被検ハイブリドーマ培養上清10
0μlを添加し室温で2時間反応させた。以下、参考例
1に記載の方法で酵素反応を実施し抗体価を測定した。
【0031】参考例3  抗UK抗体測定用EIA参考
例2に記載のTPAの代りにUKを使用し、UK感作プ
レートを作製後、同様の方法で抗UK抗体価を測定した
【0032】参考例4  抗低分子UK抗体測定用EI
A参考例2に記載のTPAの代りに低分子UK(2本鎖
低分子UK,JCR社販売)を使用し、低分子UK感作
プレートを作製後、同様の方法で抗低分子UK抗体価を
測定した。
【0033】参考例5  抗活性化血小板−抗UKハイ
ブリッド抗体測定用EIA 参考例1で作製した活性化血小板感作プレートに被検ハ
イブリドーマ培養上清を添加し、室温で2時間反応させ
た。次いでPBS−Twで洗浄後、ビオチン標識したU
Kを添加し、さらに室温で2時間反応させた。次にアビ
ジン−HRP複合体を添加し室温で1時間反応後、固相
に結合したHRP活性を参考例1に示した方法で測定す
る。
【0034】参考例6  抗活性化血小板−抗TPAハ
イブリッド抗体測定用EIA 参考例5に記載のビオチン標識したUKの代りに、ビオ
チン標識TPAを使用し、参考例5と同様の方法で二重
特異性抗体価を測定した。
【0035】参考例7  フィブリン溶解反応中和試験
TPA溶液(最終濃度20ng/ml)もしくはUK溶
液(最終濃度25ng/ml)に被検ハイブリドーマ培
養上清希釈液を添加し、37℃で1時間反応後反応混液
をフィブリンアガロースプレートの1ウェル当り5μl
注入した。 37℃で2〜6時間後にフィブリンの溶解斑(直径)を
測定し、TPAもしくはUKの酵素活性に対するハイブ
リドーマ培養上清に含まれるMoAbの中和能を測定し
た。
【0036】参考例8  UK酵素活性中和試験UK溶
液(最終濃度1.7μg/ml)に被検抗体溶液を添加
し室温で30分反応後、ペプチド合成基質S−2444
(1mM,ピログルタミル・グリシル・アルギニル・パ
ラニトロアニリド,カビ社製)を添加した。さらに37
℃で15分反応後、遊離したパラ・ニトロアニリド(4
05nmにおける吸光度)を測定した。
【0037】参考例9  マウス抗TPAモノクロナー
ル抗体産生ハイブリドーマの作製 ■免  疫 市販の1本鎖TPA(中央科学工業K.K.販売)20
0μg/ml生理食塩水溶液に等量のフロイント完全ア
ジュバンドを添加し十分乳濁後、BALB/cマウス(
♀,20μg/0.2ml/マウス)に腹腔および背部
皮下投与し、2〜3週間隔で追加免疫を実施した。3回
の追加免疫後、10日で最大の血清抗体価を示した個体
について、TPA抗原液(50μg/0.1ml生理食
塩水/マウス)を静脈内投与した。 ■細胞融合 最終免疫後3日で脾臓を摘出し、脾臓細胞懸濁液を常法
により調製した(約108個)。次いでマウス骨髄腫細
胞(P3U1)2×107個を添加し、PEG 600
0を用いてケーラーとミルスタインの方法〔ネーチャー
(Nature),256,495(1975)〕に準
じて細胞融合に供した。融合終了後、細胞混液をヒポキ
サンチン・アミノプテリンおよびチミジンを含む、いわ
ゆるHAT培地中に懸濁し、10日間培養した。以後は
、親細胞の選択が終了次第、HAT培地からアミノプテ
リンを除いたHT培地に代え培養を続けた。 ■ハイブリドーマの選択およびクローニング固相にTP
Aを吸着させたマイクロプレートを用いる参考例2に記
載のEIAでハイブリドーマ培養上清の抗体価を測定し
た。融合10日から20日後でハイブリドーマの出現を
認め、かつTPAに特異結合する抗体がみられた。特に
結合活性の強いハイブリドーマについて、限界希釈法に
よるクローニングに供した。クローン化したハイブリド
ーマの培養上清を同様に参考例2のEIAのスクリーニ
ングに供し、TPA結合能の強い3種の抗TPAMoA
b産生マウスハイブリドーマTPA1−41,TPA1
−70およびTPA2−14が得られた。これらのハイ
ブリドーマが産生するマウスMoAbの免疫グロブリン
クラス、サブクラスはオークターロニー法による測定で
、それぞれIgG2b,IgG1およびIgG1であっ
た。 ■モノクローナル抗体の作製 予め0.5ml鉱油を腹腔内投与したBALB/cマウ
スに5×106個の抗TPA  MoAb産生ハイブリ
ドーマを腹腔内接種した。約10−15日後に腹水の貯
溜が見られた。抗体の精製は常法により、45−50%
飽和硫酸アンモニウムで分画後、DEAE−セルロース
およびプロテインAカラムクロマトグラフィーに供し実
施し、マウスハイブリドーマTPA1−41,TPA1
−70およびTPA2−14からそれぞれマウス抗TP
Aモノクローナル抗体TPA1−41,TPA1−70
およびTPA2−14を得た。
【0038】参考例10  抗TPAモノクローナル抗
体のTPAフィブリン溶解能に対する中和活性参考例9
−■で作製した抗TPA  MoAbを、参考例7に記
載のフィブリンアガロースプレートを用いるフィブリン
溶解反応中和試験に供し、TPAに対する中和活性を測
定した。抗体TPA1−41は弱い中和活性を、抗体T
PA1−70は強い中和活性を示したが、抗体TPA2
−14は全く中和活性を示さなかった。
【0039】参考例11  マウス抗UKモノクローナ
ル抗体産生ハイブリドーマの作製 ■免  疫 参考例9−■に記載のTPAの代りにUK(日本製薬製
造)を用いて、以下全く同様の方法でマウスへの免疫を
実施した。 ■細胞融合 参考例9−■に記載の方法に従い細胞融合を実施した。 ■ハイブリドーマの選択およびクローニングUK結合マ
イクロプレートを用いる参考例3に記載のEIAでハイ
ブリドーマをスクリーニングし、以下参考例9−■と同
じ方法で抗UK MoAb産生ハイブリドーマを取得し
た。これらのうち、フィブリン溶解能を損うことなくU
Kに特異結合する抗UK MoAb産生ハイブリドーマ
としてマウスハイブリドーマ UK1−3およびUK1
−87が得られた。得られたハイブリドーマからそれぞ
れ産生されるマウス抗UK MoAb UK1−3およ
びUK1−87の免疫グロブリンクラス,サブクラスは
オークターロニー法による測定で、それぞれIgG1お
よびIgG2bであった。
【0040】参考例12  マウス抗低分子UKモノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマの作製 ■免  疫 参考例9−■に記載のTPAの代りに市販の二本鎖低分
子UK(JCR社販売)を用いて、以下全く同様の方法
でマウスへの免疫を実施した。 ■細胞融合 参考例9−■に記載の方法に従い細胞融合を実施した。 ■ハイブリドーマの選択およびクローニング低分子UK
結合マイクロプレートを用いる参考例4に記載のEIA
でハイブリドーマをスクリーニングし、以下参考例9−
■と同じ方法で抗低分子UK  MoAb産生ハイブリ
ドーマを取得した。これらの中、フィブリン溶解能を損
うことなくUKに特異結合する抗低分子UK  MoA
b産生ハイブリドーマとしてマウスハイブリドーマ  
UK1−6が得られた。得られたハイブリドーマから産
生されるマウス抗UK MoAb UK1−6の免疫グ
ロブリンクラス,サブクラスはオークターロニー法によ
る測定で、IgG1(κ鎖)であった。
【0041】参考例13  抗UKモノクローナル抗体
の精製 参考例11および12で得た抗UKモノクローナル抗体
産生ハイブリドーマUK1−3,UK1−87およびU
K1−6を参考例9−■と同様の方法で腹水化し、さら
にその腹水液を塩析処理およびカラムクロマト操作によ
り精製し、マウス抗UKモノクローナル抗体UK1−3
,UK1−87およびUK1−6を取得した。
【0042】参考例14  抗UKモノクローナル抗体
の中和活性 参考例13で得たマウス抗UKモノクローナル抗体UK
1−3,UK1−87およびUK1−6を、参考例8に
記載のペプチド合成基質S−2444を用いるUK酵素
活性中和試験に供した。いずれのマウス抗UKモノクロ
ーナル抗体もUK抗体活性を阻害しなかった。
【0043】参考例15  抗フィブリン抗体測定用E
IA 3.3M尿素,0.01% EDTA含有リン酸食塩緩
衝液(PBS,pH7.3)に溶解したヒトフィブリン
モノマー溶液1mg/mlを、96穴マイクロプレート
に50μlずつ分注し4℃で一夜放置後、2%カゼイン
,0.01%チメロサール含有PBS150μlを添加
して感作プレートを作製した。次に100単位/mlヘ
パリン,3mMフェニルメチルスルホニルフルオリド含
有PBSに溶解したヒトフィブリノーゲン溶液10mg
/mlを、等量の被検ハイブリドーマ培養上清と混じ、
室温で30分間反応後、その100μlを上記のフィブ
リン感作プレートに添加し室温で2時間反応させた。 
0.05% PBS−Twでプレートを十分に洗浄後、
HRP標識ウサギ抗マウスIgG抗体を添加し、さらに
室温で2時間反応させた。以下、参考例1に記載の方法
で酵素反応を実施し抗体価を測定した。
【0044】参考例16  抗フィブリン−抗UKハイ
ブリッド抗体測定用EIA 参考例3で作成したUK感作プレートにハイブリッド抗
体含有検液を添加し、室温で2時間反応させた。PBS
−Twで洗浄後、ビオチン標識した参考例17−■に記
載のヒトフィブリンβ鎖N末端ペプチド(1−11)−
BSA複合体を添加し、さらに室温で2時間反応させた
。 次にアビジン−HRP複合体を添加し室温で1時間反応
後、固相に結合したHRP活性を参考例1に示した方法
で測定した。
【0045】参考例17  マウス抗ヒトフィブリンモ
ノクロナール抗体産生ハイブリドーマの作製■免疫原の
調製 公知の固相合成法によりペプチド合成機(アプライド・
システム,モデル430A型)を用いて作製されたヒト
フィブリンβ鎖N末端ペプチド(1−11)−Cys3
.3mgを、予めマレイミド化したBSA(BSA1モ
ル当り13モルのマレイミド基を導入)12 mg/2
ml水溶液に加え30℃で1時間反応させ、ヒトフィブ
リンβ鎖N末端ペプチド(1−11)−BSA複合体を
得た。次いで生理食塩水で3回透析後(3リットル×3
)、凍結保存し免疫原として用いた。 ■免  疫 ペプチド−BSA複合体1mg/ml生理食塩水溶液に
等量のフロイント完全アジュバンドを加え、マウス(♀
,n=10:0.1mg/0.2ml/マウス)の背部
および腹部皮下への免疫を開始した。追加免疫は免疫原
に等量のフロイント不完全アジュバンドを加えて、2−
3週毎に5回接種し実施した。 ■細胞融合 最終免疫後3日で脾臓を摘出し、脾臓細胞懸濁液を常法
により調製した(約108個)。次いでマウス骨髄腫細
胞(P3U1)2×107個を添加し、PEG 600
0を用いてケーラーとミルスタインの方法〔ネーチャー
(Nature),256,495  (1975)〕
に準じて細胞融合に供した。融合終了後、細胞混液をヒ
ポキサンチン・アミノプテリンおよびチミジンを含む、
いわゆるHAT培地中に懸濁し、10日間培養した。以
後は、親細胞の選択が終了次第、HAT培地からアミノ
プテリンを除いたHT培地に代え培養を続けた。 ■ハイブリドーマの選択およびクローニング固相にヒト
フィブリンモノマーを吸着させたマイクロプレートを用
いる参考例1に記載のEIAでハイブリドーマ培養上清
の抗体価を測定した。融合10日から20日後でハイブ
リドーマの出現を認め、かつヒトフィブリンに特異結合
する抗体がみられた。特に結合活性の強いハイブリドー
マについて、限界希釈法によるクローニングに供した。 クローン化したハイブリドーマの培養上清を同様にEI
Aのスクリーニングに供し、ヒトフィブリン結合能の強
いものを選択した。これらの結果、高濃度ヒトフィブリ
ノーゲン存在下でフィブリンに特異結合するMoAb産
生マウスハイブリドーマ  FIB1−11が得られた
。得られたハイブリドーマから産生される抗体FIB1
−11の免疫グロブリンクラス、サブクラスはオークタ
ーロニー法による測定で、IgG1であった。
【0046】参考例18  抗UK−抗ヒトフィブリン
二重特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体の
製造 ■細胞融合 参考例17で取得した抗ヒトフィブリン抗体産生ハイブ
リドーマFIB1−11および参考例11で取得した抗
UK抗体産生ハイブリドーマUK1−3を、実施例2−
■に示した方法に従いそれぞれをFITCおよびTRI
TCで蛍光染色したのちPEG6000を用いて細胞融
合した。次にFACSに供し二重染色細胞を選別・培養
した。 ■ハイブリッド・ハイブリドーマの選択およびクローニ
ング 融合後1−2週で細胞増殖のみられたウエルの培養上清
を、それぞれ参考例3,15および16に記載のEIA
に供し抗体活性を測定した。最大のハイブリッド抗体活
性を示したウエルについて限界希釈法によるクローニン
グを実施し、目的の二重特異性抗体産生マウスハイブリ
ドーマ  FU1−74を取得した。 ■ハイブリッド抗体の精製 実施例2−■に記載の方法に従い腹水を取得し、さらに
硫安塩析およびフィブリン結合カラムとUK結合カラム
とを用いるイムノアフィニティークロマトグラフィーに
より約20mlの腹水から本発明の抗UK−抗ヒトフィ
ブリン二重特異性抗体FU1−74  14mgを得た
【0047】実施例1  マウス抗活性化血小板抗体産
生ハイブリドーマの作製 ■免  疫 クエン酸採血で得たヒト新鮮血より遠心分離法で洗浄血
小板を取得した。血小板約109個にトロンビン0.1
単位/mlを添加し、37℃で5分間インキュベートし
たのち、BALB/cマウスの腹腔内に注射した。2週
毎に6−8回免疫した。 ■細胞融合 参考例9−■記載のマウス骨髄腫細胞P3U1の代わり
にNS−1を用いて、以下全く同様の方法で細胞融合を
実施した。 ■ハイブリドーマの選択およびクローニング血小板結合
マイクロプレートを用いる参考例1記載のEIAでハイ
ブリドーマをスクリーニングし、以下参考例9−■と同
じ方法で抗活性化血小板MoAb産生ハイブリドーマを
取得した。これらの結果、ヒトおよびウサギ活性化血小
板に特異的に結合するMoAb産生ハイブリドーマ2T
60が得られた。 ■モノクローナル抗体の作製 参考例9−■に記載の方法に従い、マウス腹水よりマウ
ス抗活性化血小板MoAb 2T60を得た。抗体2T
60の免疫グロブリンクラス,サブクラスはオークター
ロニー法による測定で、IgG1(κ鎖)であった。上
記の抗活性化血小板MoAb 2T60をヒト血小板結
合マイクロプレートを用いる参考例1に記載のEIAで
測定した結果を〔図1〕に表わす。またヒト血小板の代
りにウサギ血小板を用いて、参考例1に記載のEIAと
全く同様の手法で測定した結果を〔図2〕に表わす。〔
図1〕および〔図2〕から、抗体2T60はヒトおよび
ウサギの活性化血小板にのみ反応性を示し、非刺激血小
板に対しては実質的に反応性を示さない。
【0048】実施例2  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体の製造
(1) ■細胞融合 実施例1で取得した抗活性化血小板MoAb産生ハイブ
リドーマ2T60および参考例12で取得した抗低分子
UK MoAb産生ハイブリドーマUK1−6を、それ
ぞれ0.5μg/mlFITCおよび1.5μg/ml
TRITC含有イスコフ−ハムF・12混合培地で37
℃, 30分間インキュベートし、蛍光染色した。次い
で、LSM溶液(和光純薬工業K.K.販売)を添加し
死細胞を除去したのち、 両ハイブリドーマを1:1の
割合で混じ、PEG6000を用いて参考例9−■に記
載の方法で細胞融合した。37℃で2時間インキュベー
ト後、FACSに供することによりフルオレセインおよ
びローダミンで二重染色された細胞25000個を分取
し、次にフィーダーとしてマウス胸腺細胞を5×105
個/ウエル播種した96穴マイクロプレートに、上記の
二重染色細胞を10個/ウエルの割合で播種し培養した
。 ■テトラオーマの選択およびクローニング参考例5に記
載のEIAで陽性を示すウエルについて限界希釈法によ
るクローニングを実施し、高いハイブリッド抗体活性を
示すマウスハイブリッド・ハイブリドーマUP3−17
5を取得した。 ■ハイブリッド抗体の精製 予め0.5ml鉱油を腹腔内投与したBALB/cマウ
ス6匹に5×106個/マウスのマウスハイブリッド・
ハイブリドーマUP3−175を腹腔内接種した。約1
0〜20日後に腹水の貯溜が認められたのでそれを採取
し、45−50%飽和硫酸アンモニウムで塩析してIg
G画分を得た。次いで20mM PBS(pH8.0)
で平衡化したUK結合カラムに供し、pH2.3の0.
05Mグリシン・塩酸緩衝液で溶出する蛋白画分を採取
し、さらにヒドロキシアパタイトカラムを用いる高速液
体クロマトグラフィーで本発明のマウス抗UK−抗活性
化血小板二重特異性MoAb UP3−175を得た。 精製結果は〔図3〕および〔図4〕に示した通りであっ
た。〔図3〕では、ヒドロキシアパタイトカラムで二重
特異性MoAbを含む蛋白画分が得られたことを示した
。〔図4〕では、塩析処理して得られた抗体IgG画分
およびUK結合カラムのpH2.3酸溶出画分の二重特
異性抗体活性を示した。
【0049】実施例3  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体の製造
(2) ■抗UK抗体のマレイミド化 参考例13で取得した抗UKモノクローナル抗体UK1
−3  10mgを5mM酢酸緩衝液(pH5.0)2
mlに溶解後、2倍モルのN−(ε−マレイミドカプロ
イロキシ)スクシミドエステルのジメチルホルムアミド
溶液50μlを添加し30℃で20分間反応させた。反
応混液を0.1Mリン酸緩衝液(PB;pH6.5)で
平衡化したセファデックスG−25カラムに供し結合試
薬を除去した。 ■抗活性化血小板抗体のスルフヒドリル化実施例1−■
で作製した抗活性化血小板モノクローナル抗体2T60
  10mgを2mlの0.05M  PBS(pH7
.3)に溶解後、2倍モルのSPDPメタノール溶液5
0μlを添加した。30℃で30分間反応後、0.1M
  DTT水溶液50μlを添加し還元後、■に記載の
セファデックスG−25カラムに供して過剰の試薬を除
去した。 ■二重特異性抗体の作製 ■で得たマレイミド化抗UK抗体8mgに、■で作製し
たスルフヒドリル化抗活性化血小板抗体8mgを氷冷下
撹拌しながらゆっくりと添加し、一夜反応させた。反応
混液をセファクリルS−200カラム(ファルマシア社
製)に供し、未反応の抗体を化学結合二重特異性抗体か
ら分離除去した結果、約12mgの抗UK−抗活性化血
小板二重特異性ハイブリッドモノクローナル抗体を得た
【0050】実施例4  抗TPA−抗活性化血小板二
重特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体の製
造■抗TPA抗体のマレイミド化 参考例9−■で取得した抗TPAモノクローナル抗体T
PA2−14  10mgを実施例3−■と同様の方法
で処理し、マレイミド化TPA2−14約8mgを得た
。 ■二重特異性抗体の作製 ■で得たマレイミド化抗体8mgに、実施例3−■で作
製したスルフヒドリル化抗活性化血小板抗体8mgを添
加し、実施例3−■と同様の方法で約12mgの抗TP
A−抗活性化血小板二重特異性ハイブリッドモノクロー
ナル抗体を得た。
【0051】実施例5  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体の製造
(3) ■HAT感受性株の取得 実施例1で取得した抗活性化血小板特異MoAb産生ハ
イブリドーマ2T60を5μM8−AZG添加培地で培
養し、順次8−AZG濃度を100μMまで段階的に上
昇させ、数週間継代培養した。得られた8−AZG耐性
・HAT感受性株の中で最大の抗活性化血小板MoAb
産生能を有する株を選び、細胞融合に供した。 ■細胞融合 上記■で取得したHAT感受性の抗活性化血小板MoA
b産生ハイブリドーマ2T60に、参考例11−■で取
得した抗UK  MoAb産生脾臓細胞を1:5の割合
で混じ、PEG6000を用いて参考例9−■に記載の
方法で細胞融合した。 ■トリオーマの選択およびクローニング融合終了後、細
胞混液をHAT培地中に懸濁し、参考例9−■に記載の
方法に従いHAT選択培養を実施、目的のトリオーマを
作製した。これらのトリオーマの培養上清を参考例3に
記載のEIAに供して抗UK抗体活性陽性を示すウェル
を選択した。さらに参考例5に記載のEIAで抗活性化
血小板−抗UKハイブリッド抗体活性を測定した。高い
二重特異性抗体活性を示すウェルについて限界希釈法に
よるクローニングを実施し、マウスハイブリッド・ハイ
ブリドーマUP4−33を取得した。 ■ハイブリッド抗体の精製 実施例2−■に記載の方法に従い、マウスハイブリッド
・ハイブリドーマUP4−33を腹水化し、さらにUK
結合カラムおよびヒドロキシアパタイトカラムを用いて
マウス抗UK−抗活性化血小板二重特異性MoAbUP
4−33を得た。
【0052】実施例6  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体による
フイブリン溶解能の増強(1) 公知の方法[D. Collenら:スロンボーシス・
アンド・ヘモスターシス(Thromb.Haemos
tasis),  45, 225(1981)]に従
い、多血小板血漿凝塊溶解試験(plasma clo
t lysis assay)を実施した。すなわち、
一定量のUK(最終濃度25ng/ml)に種々の濃度
の二重特異性MoAbを添加し、室温で20分間反応さ
せた。このUK−MoAb混液にヒト多血小板血漿を添
加し、次いでヒトトロンビンを最終濃度1.0単位/m
lとなるように加えて血漿を凝固させた。60分後にフ
ェニルメチルスルホニルフルオリド(最終濃度1mM)
を添加してUK活性を停止させ、次いで16,000回
転/分で5分間遠心分離した。上清のFDP(fibr
inogen  degradation  prod
ucts)含量を市販のEIAキット(富士レビオ社製
)で測定し、二重特異性MoAbのUK活性増強能を判
定した。結果は〔図5〕に示した通りであった。実施例
3に記載の化学結合二重特異性抗体および実施例5に記
載の二重特異性MoAb  UP4−33のいずれもが
その濃度に比例してUKのフィブリン溶解能を顕著に増
強した。一方、これら二重特異性抗体の親抗体である、
参考例11に記載の抗UK  MoAb  UK1−3
および実施例1に記載の抗活性化血小板MoAb  2
T60はいずれもUK活性を増強しなかった。
【0053】実施例7  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体による
フィブリン溶解能の増強(2) 実施例6に記載の方法に従い、多血小板血漿凝塊溶解試
験を実施した。ヒトトロンビンにより血漿を凝固させた
後、種々の時間経過後にフェニルメチルスルホニルフル
オリドを添加してUK活性を停止させ、実施例6に記載
の方法と同様にして遊離したFDP量を測定した。結果
は〔図6〕に示した通りであった。実施例3に記載の化
学結合二重特異性抗体の共存下では、UK単独の場合に
比べて迅速に血漿凝塊が溶解することが判明した。
【0054】実施例8  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体による
フィブリン溶解能の増強(3) 一定量のUK(最終濃度25ng/ml)に実施例5に
記載の種々の濃度の抗UK−抗活性化血小板二重特異性
MoAbを添加し、室温で20分間反応させた。次いで
実施例6に記載の方法に従い、ヒト多血小板血漿および
ヒト乏血小板血漿を添加し、ヒトトロンビンで凝固させ
凝塊溶解試験を実施した。生成した上清中のFDPをE
IAキットで測定し二重特異性MoAbのUK活性増強
能を判定した。結果は〔図7〕に示した通りであった。 乏血小板血漿凝塊に対しては二重特異性MoAb  U
P4−33はUK活性を増強しなかったが、多血小板血
漿凝塊に対してはUP4−33の濃度に比例してUKの
フィブリン溶解能を顕著に増強した。
【0055】実施例9  抗UK−抗活性化血小板二重
特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体による
フィブリン溶解能の増強(4) 50ng/ml UK溶液に等量の150ng/ml 
二重特異性MoAb(1.実施例5に記載の抗UK−抗
活性化血小板二重特異性MoAb UP4−33、2.
参考例18に記載の抗UK−抗フィブリン二重特異性M
oAb FU1−74、3.二重特異性MoAb UP
4−33とFU1−74の等量混合物)を添加し反応後
、ヒト多血小板血漿を添加して実施例6に記載の方法に
従い凝塊溶解試験を実施した。結果は〔図8〕に示した
通りであった。参考例18に記載の二重特異性MoAb
FU1−74および実施例5に記載の二重特異性MoA
b  UP4−33はいずれもUKのフィブリン溶解能
を増強したが、その1:1抗体混合物はそれぞれ単独の
場合よりUKのフィブリン溶解速度および溶解量を相乗
的に増強させた。
【0056】実施例10  抗UK−抗活性化血小板二
重特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体によ
るフィブリン溶解能の増強(5) (1)125I標識プラズマ塊の作製 市販の125I標識ヒトフィブリノーゲン(10μg/
10μl;室町化学工業販売)をヒト多血小板血漿60
0μlに加えたのち、ウシトロンビン(1単位/100
μl)を添加し迅速に撹拌した。10%Tween80
で処理したカテーテルに吸い上げ室温で1分間放置後、
さらに37℃で30分間インキュベートした。得られた
プラズマ塊を生理食塩水を入れたシャーレに押し出し、
メスで1cm間隔に切断し、各切片の放射活性をγ−カ
ウンターで測定した。 (2)ハムスター肺動脈塞栓モデル実験ハムスター(体
重80−100g)にペントバルビタール(6mg/0
.3ml)を腹腔内投与後、大腿静脈に採血用カテーテ
ルを挿入した。次に(1)で作製した125I標識プラ
ズマ塊をカテーテルに吸い上げ頸静脈から注入後、サン
プル投与用カテーテルを挿入した。頸静脈からNaI(
0.2mg/0.1ml)とヘパリン(100単位/0
.1ml)とを投与後、さらにプロウロキナーゼ(Pr
oUK)もしくはProUKに2倍モルの実施例5に記
載の二重特異性MoAbを添加した免疫複合体350μ
lを投与した。室温で90分間放置後採血(1ml)し
、さらに胸部を開き、右肺、左肺および心臓を摘出し、
それぞれの臓器の放射活性をγ−カウンターで測定した
。投与した全放射活性量に対する3つの臓器における残
存放射活性量の割合から、プラズマ塊の溶解率を測定し
た。結果は〔表1〕に示した通りであった。二重特異性
MoAb UP4−33の添加によりProUKの溶解
能が2倍以上増強した。
【表1】   ───────────────────────
──────      サンプル  (mg/kg)
  ─────────────      プラズマ
塊溶解率(%)    ProUK  二重特異性Mo
Ab    ───────────────────
──────────        コントロール 
                  10± 7  
  0.5            −       
           29± 1    1.0  
          −              
    48± 8    2.0         
   −                  67±
14    4.0            −   
               73±11    0
.5            3.0        
         35± 6    1.0    
        6.0              
   68±10    2.0          
 12.0                 86±
 4  ─────────────────────
────────
【0057】実施例11  抗UK−
抗活性化血小板二重特異性を有するハイブリッドモノク
ローナル抗体の血小板のADP凝集に対する効果 ヒト多血小板血漿200μlを6チャンネル凝集計(二
光バイオサイエンス社製;NKK  Hematrac
er  I−モデルT−634)のキュベットに添加し
37℃で撹拌し、さらにプラスミノーゲン液12.5μ
l(最終濃度0.5μg/ml)とUK/二重特異性M
oAb免疫複合体液25μlとを同時添加した。1分後
にADP液20μl(最終濃度1.2μM)を加えて凝
集曲線を観察した。 UK/二重特異性MoAb免疫複合体はUK(最終濃度
5.6μg/ml)に等モルのMoAb(最終濃度16
.6μg/ml)を加え室温で30分間インキュベート
し作製した。コントロールとしてはUKに等モルの正常
マウスIgGを加えた混合液を使用した。得られた結果
は〔図9〕に示した通りであった。UK/正常マウスI
gG混合液ではADP凝集にほとんど影響を及ぼさない
が、UK/二重特異性MoAb免疫複合体はヒト血小板
のADP凝集の二次凝集波を顕著に解離した。
【0058】
【発明の効果】本発明の二重特異性ハイブリッドMoA
bは、実質的に非刺激血小板と反応せず活性化血小板と
のみ特異的に結合し、またフィブリン溶解能を損なうこ
となく血栓溶解作用を有する物質とも特異的に結合する
ことが可能である。従って、二重特異性ハイブリッドM
oAbと血栓溶解作用を有する物質との1:1免疫複合
体を容易に作製することができ、また両者を併用するこ
とにより、選択的かつ効率的な血栓の溶解・除去が可能
である。さらに、抗フィブリン−抗血栓溶解作用物質二
重特異性MoAbと組み合わせ、血栓溶解作用物質と併
用すれば、より効率的で迅速な血栓溶解が可能となる。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1に記載の抗活性化血小板抗体2T6
0のヒト活性化血小板(○)および非刺激血小板(●)
に対する反応性を、参考例1に記載のEIAで測定した
結果を表す(実施例1参照)。
【図2】は実施例1に記載の抗活性化血小板抗体2T6
0のウサギ活性化血小板(○)および非刺激血小板(●
)に対する反応性を、参考例1に記載のEIAで測定し
た結果を表す(実施例1参照)。
【図3】は実施例2に記載の抗UK−抗活性化血小板二
重特異性MoAb  UP3−175の精製結果を表す
。すなわち、抗体UP3−175を含有する腹水液より
塩析処理によりIgG画分を取得し、さらにUK結合カ
ラムで精製したのち、ハイドロキシアパタイトカラムに
供した結果を示す。実線は溶出液の280nmでの吸光
度(蛋白質含量)を、点線は参考例5に記載のEIAで
測定した二重特異性抗体活性を示す。
【図4】は参考例5に記載のEIAで測定した二重特異
性抗体活性を表す。抗体UP3−175を含有する腹水
液の塩析IgG画分(○)およびUK結合カラムのpH
2.3酸溶出画分(●)の抗体希釈曲線を示す(実施例
2参照)。
【図5】
【図6】は実施例7に記載のFDP−EIAキットで測
定したFDP含量を示し、UK単独( □ )およびU
K/化学結合二重特異性抗体複合体( × )の血漿凝
塊溶解曲線を示す。
【図7】
【図8】は実施例9に記載のFDP−EIAキットで測
定したFDP含量を示すが、この場合経時的に反応混合
物を遠心分離し、上清のFDP量を測定した。UK単独
(○)、抗UK−抗活性化血小板二重特異性MoAb 
 UP4−33(□)、抗UK−抗フィブリン二重特異
性MoAb  FU1−74(●)および二重特異性M
oAb  FU1−74とUP4−33の等量混合物(
△)の血漿凝塊溶解曲線を示す。
【図9】は実施例11に記載のヒト血小板のADP凝集
曲線を示す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二重特異性を有するハイブリッドモノクロ
    ーナル抗体であって二重特異性の一方が活性化血小板に
    対するものであり、他方が血栓溶解作用を有する物質に
    対するものである抗体。
  2. 【請求項2】活性化血小板がトロンビンで活性化したヒ
    ト血小板である請求項1記載の二重特異性抗体。
  3. 【請求項3】血栓溶解作用を有する物質がプロテアーゼ
    である請求項1記載の抗体。
  4. 【請求項4】プロテアーゼがウロキナーゼである請求項
    3記載の抗体。
  5. 【請求項5】プロテアーゼがプロウロキナーゼである請
    求項3記載の抗体。
  6. 【請求項6】プロテアーゼがティッシュプラスミノーゲ
    ンアクチベータである請求項3記載の抗体。
  7. 【請求項7】請求項1記載の抗体に、血栓溶解作用を有
    する物質を免疫結合させてなる血栓溶解剤。
  8. 【請求項8】血栓溶解作用を有する物質がプロテアーゼ
    である請求項6記載の血栓溶解剤。
  9. 【請求項9】プロテアーゼがウロキナーゼである請求項
    7記載の血栓溶解剤。
  10. 【請求項10】プロテアーゼがプロウロキナーゼである
    請求項7記載の血栓溶解剤。
  11. 【請求項11】プロテアーゼがティッシュプラスミノー
    ゲンアクチベータである請求項7記載の血栓溶解剤。
JP3066920A 1990-04-02 1991-03-29 二重特異性抗体および抗体含有薬剤 Withdrawn JPH04218389A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3066920A JPH04218389A (ja) 1990-04-02 1991-03-29 二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8898590 1990-04-02
JP2-88985 1990-04-02
JP2-177121 1990-07-03
JP3066920A JPH04218389A (ja) 1990-04-02 1991-03-29 二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH04218389A true JPH04218389A (ja) 1992-08-07

Family

ID=26408126

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3066920A Withdrawn JPH04218389A (ja) 1990-04-02 1991-03-29 二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH04218389A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5496549A (en) Bispecific monoclonal antibodies, thrombolytic agent and method of cell lysis
Reardan et al. Antibodies against metal chelates
KR100585473B1 (ko) 혈액 응고를 억제하기 위한 항체 및 그의 사용 방법
JP2003055398A (ja) 血管系の特異的凝固のための方法および組成物
US20110104184A1 (en) Antibodies for inhibiting blood coagulation and methods of use thereof
EP0146050B1 (en) Site selective plasminogen activator and method of making and using same
JP2635343B2 (ja) ヘテロ二官能性抗体および利用方法
JPH05304992A (ja) ハイブリッド・モノクローナル抗体および抗体含有薬剤
CA2015888A1 (en) Monoclonal antibodies specific for an immunoglobulin isotype
EP0159025B1 (en) Monoclonal antibody specific to human alpha2-plasmin
JP3177776B2 (ja) ハイブリッドモノクローナル抗体,抗体産生ポリドーマおよび抗体含有薬剤
EP0478366A2 (en) Recombinant hybrid immunoglobulin molecules and method of use
JPH04218389A (ja) 二重特異性抗体および抗体含有薬剤
JPH0213395A (ja) 組織プラスミノーゲンアクチベーターに対するモノクローナル抗体
JPH05168494A (ja) ハイブリッド・モノクローナル抗体および抗体含有薬剤
EP0491351A2 (en) Chimeric antibodies and their use
JP2938214B2 (ja) 血小板凝集阻害作用を持つ新規なモノクローナル抗体、およびその断片
Charpie Monoclonal antibodies specific for single-chain urokinase: applications in targeted thrombolysis
JPS61181964A (ja) 人正常細胞由来の組織型プラスミノーゲンアクチベーターに対するモノクロナル抗体を用いる免疫学的測定試薬
JPS633795A (ja) モノクローナル抗体
JPH04211363A (ja) 二重特異性を有するハイブリッドモノクローナル抗体
JPS61186399A (ja) 抗ヒトアンジオテンシン変換酵素抗体
JP2001321167A (ja) モノクローナル抗体
JPS6169794A (ja) 抗atlvモノクロナ−ル抗体
JPH0995500A (ja) モノクローナル抗体および血栓溶解促進剤

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19980514