JPH0421121B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、機械部品等の寸法測定に使用される
ノギス、特に、狭い複数の溝を有する部品の溝と
溝との内側寸法を測定するのに適したノギスに関
する。

〔従来の技術〕

従来、機械部品等の寸法測定に使用されている
ノギスは、第１図に示すように本尺目盛７とスラ
イダ６のバーニア目盛８により、本尺目盛の読取
りを正確にした測長器具であつて、JISB7507で
規定されたＭ形が、一般的なノギスであり、スラ
イダがみぞ形で、内側測定用くちばし４が設けら
れ、呼び寸法300mm以下のものには、深さ測定用
のデプスパー３がある。

スライダ６は本尺５に組込まれ、滑らかに移動
することができる。本尺に付属する外側ジヨウ１
と、スライダの外側ジヨウ２の測定用面１′，
２′が合致したとき、本尺とバーニアの０目盛が
一致するように調整している。また、内側測定用
面、深さ測定用のデプスバーと本尺の端面も合致
する。

このようなノギスを使用して、通常、機械部品
等の寸法測定を行うが、例えば複写機、フアクシ
ミリ等の紙送り部分に用いられるロール１０は、
第２図に示すようにズレ防止のためのＥリングを
嵌入する溝１１，１２（以下Ｅリング溝という）
が、ロールの両側に切削形成されており、この両
側の溝と溝の間が紙送りに使用されるため、その
寸法は正確さが要求される。一例を示すと、Ｅリ
ング溝は巾0.7mm、深さ0.2mmである。

そして、このような溝と溝の内側間の長さを測
定するため、従来は次の３通りが行われている。

(1) このようなＥリング溝付ロールが大量に製造
される場合、第３図ａ，ｂのように、溝１１，
１２の外側部分１３を切削してロール径を１
３′のように小さくし、ノギスのジヨウ１，２
により所定部分の寸法を測定する。

(2) 先の細いくちばし４，４により、第４図のよ
うにＥリング溝１１，１２の外側と外側の間の
寸法を測り、この寸法から両側溝の幅分を差引
いて所定部分の寸法をきめる。

(3) ノギスのジヨウ１，２の先端幅を、第５図の
ように狭い尖つた形状とし、Ｅリング溝に入る
ようにしたもので寸法測定を行なう。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、前記したＥリング溝付きロール
の従来の寸法測定方法では、次のような問題点が
ある。

すなわち、(1)の場合、ロールの両端部に切削加
工を施す必要があり、１工程余分となるため、ロ
ールの生産コストが上昇する。また(2)の場合、溝
幅の測定を正確に行わなければならず、差引計算
の結果の正確さに問題が残る。さらに(3)の場合、
特別にジヨウの先端を幅狭く尖つたノギスが必要
であり、このような特殊なノギスは機械構造上強
度が弱く、取扱いに細心の注意を払う必要がある
と共に、長期間あるいは大量の部品の寸法測定に
使用すると、ジヨウの摩耗、変形などにより測定
寸法精度が低下するという欠点があつた。

本発明は、前述した問題点を解消し、Ｅリング
溝付ロールの寸法測定が正確に行えるノギスを提
供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明は、ノギスの
外側測定用ジヨウ１，２の中央部分に、測定面
１′，２′に沿つてＥリング溝幅よりも幅の小さい
縁部９′を残して、ロールが入り込むための凹部
９を形成し、測定されるＥリング溝付ロールの溝
１１，１２に、前記縁部９′が嵌入されるように
して測定を行なうようにしたノギスとしたもので
ある。

〔作用〕

図面によつて、本発明を詳しく説明する。

第１図、第２図ａに示すように、ノギスのジヨ
ウ１，２の中央部側面に、ジヨウの測長面１′，
２′に沿つた幅狭い縁部９′を残して、Ｅリング溝
付ロール１０の入り込む凹部９を形成するもので
ある。第２図ｂは第１図におけるAA線の部分断
面図を示している。そして、上記測長面１′，
２′に沿つて形成された縁部９′は、第２図に示す
平面図ａおよび側面図ｂから明らかなように、ノ
ギス上にＥリング溝付ロールが載置されたときに
溝１１，１２内に嵌入され、Ｅリング溝相互間の
寸法ｌを正確に測定することができる。そして、
ジヨウに形成された凹部９により、載置されたロ
ールが外れることはない。

このＥリング溝間測定用縁部９′，９′は、ノギ
スのジヨウの該当部分に、グラインダ加工、電解
加工、放電加工等、任意の手段を採用して形成す
ることができる。また、ノギスのジヨウを作成す
るに当り、凹部９および縁部９′が形成されるよ
うにした金型を使用すれば、前記のような後加工
の必要はなくなる。

〔実施例〕

市販のノギスの外側測定用ジヨウの中央部分に
幅0.5mm、長さ10mm、高さ0.2mmの縁部９′が形成
されるよう、第２図ａ，ｂのとおりグラインダ加
工を施し、小型のエアグラインダにより仕上を行
つた。Ｅリング溝付ロールの溝幅や深さは、ロー
ルの直径によつて変更されるので、前記縁部９′
の各寸法は、測定しようとするＥリング溝付ロー
ルのサイズに適合して決定すればよい。

本発明のノギスによつて測定を行なつた場合、
ノギスによる支障は何ら生じなかつた。市販の先
端が狭く尖つたジヨウのノギスは、数ケ月の使用
で、測定値に誤差を生じるようになり、廃棄せざ
るを得なかつた。

〔発明の効果〕

本発明は、以上説明したように構成されたこと
により、従来寸法測定がきわめて困難であつたＥ
リング溝付ロールの溝間寸法測定を能率よく正確
に行なうことが可能となり、しかし使用するノギ
スの寿命は何ら損われないという効果が奏され、
産業上極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明ノギスの全体を示す概要図、
第２図ａ，ｂは、Ｅリング溝付ロールの溝間寸法
を、本発明ノギスにより測定している状態の説明
図、第３図ａ，ｂ、第４図、第５図は、それぞれ
従来例による測定状態の説明図である。 １……本尺側の外側測定用ジヨウ、１′……測
定面、２……スライダ側の外側測定用ジヨウ、
２′……測定面、３……デプスバー、４……内側
測定用くちばし、５……本尺、６……スライダ、
７……本尺目盛、８……バーニア目盛、９……凹
部、９′……Ｅリング溝へ嵌入される縁部、１０
……Ｅリング溝付ロール、１１……Ｅリング溝、
１２……Ｅリング溝、１３……Ｅリング溝外側部
分切削代、１３′……Ｅリング溝外側部分。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 本尺に設けたジヨウと、バーニア目盛のつい
   たスライダのジヨウおよび本尺に設けたくちばし
   と前記スライダのくちばしとにより、被測定物の
   外側寸法あるいは内側寸法を測定するようにした
   ノギスにおいて、本尺およびスライダの各ジヨウ
   の中央部側面に、測定面に接する幅狭い縁部を残
   して被測定物が入り込むための凹部を形成してな
   るロール等のＥリング溝間測定用ノギス。