JPH04163318A - 高熱伝導率ピッチ系炭素繊維及びその製造法 - Google Patents

高熱伝導率ピッチ系炭素繊維及びその製造法

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JPH04163318A
JPH04163318A JP27943690A JP27943690A JPH04163318A JP H04163318 A JPH04163318 A JP H04163318A JP 27943690 A JP27943690 A JP 27943690A JP 27943690 A JP27943690 A JP 27943690A JP H04163318 A JPH04163318 A JP H04163318A
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fiber
pitch
thermal conductivity
fibers
oxygen
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JP27943690A
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Takashi Hino
日野 隆
Kikuji Komine
小峰 喜久治
Masaharu Yamamoto
雅晴 山本
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Tonen General Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業」二〇利  野 本発明は、一般には、炭素繊維に関するものであり、特
に、熱伝導率が高く、圧縮強度が大であり、しかも糸扱
い性に優れ、例えば電子機器のプリント基板、丁C基板
、ヒートシンクなどの炭素繊維強化複合材オー1として
広く使用することのできる高熱伝導率ピッチ系炭素3.
ハ雄及びその製造法に関するものである。
従来の支斐 近年、例えば電子機器のプリント基板、■C基板、ヒー
トシンクなどの利料として各種の繊維強  ゛化複合利
科の使用が提案されている。このような繊^1fI強化
複合材料に使用される繊維(i、特に、熱伝導率か高い
ことか必須である。
従来、炭素繊維としては、PAN系及びピッチ系炭素繊
維が広(製造及び使用されているが、PAN系炭素繊維
は機械的特性は高いが熱伝導率が著しく低く、通常10
 W / m / K以下であり、75 W / m 
/ K以上のものは知られていない。又、熱伝導率の向
上をも期待し得す上記の繊維強化複合材料へのPAN系
炭素繊維の使用は不適である。
一方、ピッチ系炭素繊維は熱伝導率は高いものの、機械
的特性、特に圧縮強度や繊維強化複合材料を製造する際
の糸扱い性かバランスよ(十分高いものは知られていな
い。
日か??しようとする課題 上記プリント基板用炭素繊維強化複合材料などに使用さ
れる炭素繊維には、熱伝導率が高いことと同時に、機械
的特性、特に圧縮強度の増大が希求されている。
又、例えば、プリント基板の熱伝導部材或はヒートシン
ク用としての炭素繊維強化複合材料を製造する場合には
、炭素繊維束に金属材料が含浸される場合もあり、特に
このような場合には金属材料の含浸性を増大するべく、
炭素繊維束の融膠着が少ないこと、即ち、糸扱い性が良
好であることが要求される。
本発明者らは、ピッチ系炭素繊維における結晶構造に対
する熱伝導率及び機械的強度との関係を研究する過程に
おいて、炭素繊維の結晶構造、特に積層厚み(L CO
[12)を特定の範囲とすることで、更に詳しくいえば
、積層厚み(L c 002)/密度(ρ)を特定の範
囲内にすることで、所定レベル以上の引張強度、引張弾
性率を具備し、しかも、熱伝導率及び圧縮強度が飛躍的
に増大した良好な高熱伝導率ピッチ系炭素繊維を得るこ
とができ、又、このような炭素j&維は、融膠着度を2
0%以下とすることにより、複合材料を製造する際の糸
扱い性に優れ、良好な炭素繊維強化複合材料を製造し得
ることが分かった。
本発明は、斯る新規な知見に基づきなされたものである
従って、本発明の目的は、引張強度及び引張弾性率を損
なうことなく、熱伝導率が高く、且つ圧縮強度が犬であ
り、しかも糸扱い性に優れた高熱伝導率ピッチ系炭素繊
維及びその製造法を提供することである。
課題を解決するための手段 上記目的は本発明に係る高熱伝導率ピッチ系炭素繊維に
よって達成される。要約すれば本発明は、繊維軸方向の
熱伝導率が300〜500W/m/K、積層厚み(L 
c 002)/密度(ρ)が70〜180、融膠着度か
0〜20%、そして圧縮強度が0.3〜0.5GPaで
あることを特徴とする高熱伝導率ピッチ系炭素繊維であ
る。
本発明者らは、上述のように、ピッチを原料として熱伝
導性の良好なピッチ系炭素繊維を得るべく研究開発する
過程にて、先ず、繊維軸方向に沿った熱伝導率を増大せ
しめるには、繊維の結晶化を進めるのが必要であるか、
余りにも結晶化が進んだ場合には繊維の機械的特性、特
に圧縮強度が著しく低下してしまうことか分かった。
つまり、本発明者らは、300〜500 W / m/
にの高熱伝導率を有し、しかも圧縮強度が03〜0.5
GPaとされ、且つ、引張強度が25〜4.0GPa、
引張弾性率が7oo〜9o。
GPaとされるバランスのとれた機械的特性を有した高
熱伝導率のピッチ系炭素繊維を得るには、炭素繊維の結
晶構造、特に積層厚み(L c 002)を特定の範囲
内にもたらすことが、つまり、詳しく言えば、積層厚み
(L c 002)/密度(ρ)の値が、70以上、1
80以下とされる範囲内に存在しなければならないこと
を見出した。もし、積層厚み(Lc002)/密度(ρ
)の値が70未満である場合には熱伝導率が300 W
 / m / Kに達せず、又、この値が180を越え
た場合には、圧縮強度が0.3GPaより小さくなり、
引張強度及び引張弾性率とバランスのとれた機械的特性
が得られない。
更に説明すると、本発明に従った高熱伝導率ピッチ系炭
素繊維においては、上述のように結晶構造を決定するフ
ァクターの中でも特に、積層厚み(LcOD2)か重要
であるか、通常本発明にて積層厚み(L c 002)
けコロ0〜400人とされ、又、結晶長さ(’f−a、
 I 10)は200〜500人、そして層間隔(d 
oO9)は3.37〜3.40人とされる。更に、本発
明の繊維の密度(ρ)は、一般に216〜2.22 g
/c+〕〕3とされる。
又、このような本発明に従ったピッチ系炭素繊維は、融
膠霜度を20%以下とすることにより、複合材イ」を製
造する際の糸扱い性か増大し、良好な炭素繊Kl(を強
化複合材料を製造し得る。もし、融膠着度か20%を超
えると、糸扱い性か著しく低下し、例えば、アルミニウ
ムなどの金属を炭素繊維束に含浸させて炭素繊1411
強化複合材料を製造する場合に、通常100−1000
0フィラメン1−からなる炭素繊維束中に溶融全屈か一
様に含浸されず、所望の特性を有した炭素繊維強化複合
A’A料を製造し得ない。
上記本発明に係る高熱伝導率ピッチ系炭素繊維は、炭素
質ピッチを紡糸して得たピッチ45 K[Cを通餡通り
に不融化し、該不融化した不融化繊維な3OO〜500
℃1好ましくは350〜480 ’Cの酸素含有雰囲気
中に極く短詩間通して5〜1.00%の延伸熱処理を施
し、引1)、′ζいて、最高温度か500〜700 ’
C1好ましくは550〜650℃の酸素含有雰囲気中に
短詩間通して5〜100%の延伸予備炭化処理し、その
後、最高温度が2300〜3000℃の不活性ガス雰囲
気中で炭化を行なうことにより好適に製造し得ることか
分かった。
本発明の製造法によると、通常通りに酸化性雰囲気下に
て150〜350℃までに加熱して不融化された脆弱な
不融化繊維か、予備炭化する前に300〜500℃とい
った高調の酸素含有雰囲気中にて短時間処理されるので
、糸の表面か選択的に酸化され、他方、糸の内部IJ高
記の熱にて熱重合及び炭化か進展する。その結果、不融
化繊Iftは強くなり、該不融化繊維の予(′I?ii
炭化炉内での更に延伸処理か可能とされ、予備炭化繊維
の融膠着度か低減するものと考えられる。
更に、上述のように、不融化処理後と、予備炭化処理時
の二段階にわたって延伸熱処理を行なうことにより、繊
維におCづる配向性か改善され、特に熱伝導率を増大せ
しめ、高熱伝導率の糸か得られることか分かった。いず
れか一方の、つまり、−段の延伸熱処理では、本発明に
係る上記構成の高熱伝導率ピッチ系炭素l′L’i M
ftは得られない。
又、不融化処理後の第1段目の延伸熱処理時の酸素含有
雰囲気中の酸素濃度は5〜80%とされ、炉内t(;)
留[11f間は1〜200秒(好ましくは10〜100
秒)、1フイラメン]・当りの張力は0.003〜01
7gか好適であり、又、予備炭化処理時の第2段階L1
の延伸熱処理時の酸素含有雰囲気中の酸累謔度L10.
01〜30%とされ、炉内滞留時間は20〜300秒(
好ましくは50〜200秒)、1フィラメント当りの張
力は0.006〜033gが好適である。
次に、本発明に係る高熱伝導率ピッチ系炭素繊維の製j
告方法について更に詳しく説明する。
先ず、炭素質ピッチは当業者には周知の方法によって紡
糸できる。fallえは、石油系ピッチ、石炭系ピッチ
、芳香族炭化水素を原料とするピッチ等の炭素繊維の製
造に適した炭素質ピッチを加熱溶融して1〜2000本
、好ましくは50〜1000本のフィラメントを紡糸し
、各フィラメントには通常使用されているオイリングロ
ーラを使用して集束剤を付与して、こA]ら多数のフィ
ラメントを集束し、1本の糸条としてボビンに巻き取る
集束剤としては、例えば水、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルア
ルコール、等のアルコール類又は粘度5〜100Ocs
t (25℃)のジメチルポリシロキケン、アルギルフ
ェニルポリシロキケン等を、低沸点のシリコーン曲(ポ
リシロキサン)又はパラフィン油等の溶剤で稀釈したも
の、又は乳化剤を入れて水に分散させたもの;同様にク
ラファイト又はポリエチレングリコールやヒンダードエ
ステル類を分散させたもの、界面活性剤を水で稀釈した
もの、その他通常の繊維、例えばポリエステルiff 
iaに使用される各種油剤の内ビッヂ繊1fftを犯さ
ないものを使用することができる。
集束剤のピッチ繊維への付与量は、通常001〜10M
量%とされるが、特に0.05〜5重量%が好ましい。
上述のようにして一旦ボビンに巻取られた多数のフィラ
メントから成る糸条は、複数個の、例え+i 2〜50
個のボビンを同時に解舒することによって、又は複数回
に分けて、例えば1回目は2〜10本を、次いで残余分
をといったように、解舒合糸を繰返し行なうことによっ
て、2〜50本の糸条を合束(合糸)し、100−10
0000本、好ましくは500〜10000本のフィラ
メントからピッチ繊維束(以後単に「ピッチ繊維」とい
う。)が製造され、他のボビンに巻取られる。
斯る合糸時に、不融化時及び予備炭化時の処理を考慮し
てピッチ繊維に耐熱性の油剤が付与される。耐熱性の油
剤としては、アルキルフェニルポリシロキサンが好まし
く、フェニル基を5〜80%、好ましくは10〜50%
含み、又、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プ
ロピル基が好ましく、同一分子に2種以上のアルキル基
を有していても良い。又、粘度は25℃にて10〜10
00cstのものが使用される。更に後述するような酸
化防止剤を添加することもできる。
他の好ましい油剤としては、ジメヂルボリシロキサンに
酸化防止剤を入れたものが使用可能であり、粘度として
は25℃で5〜1000cstのものが好ましい。酸化
防止剤としては、アミン類、有機セレン化合物、フェノ
ール類等、例えばフェニル−α−ナフチルアミン、ジラ
ウリルセレナイド、フェノチアジン、鉄オクトレート等
を挙げることができる。これらの酸化防止剤は、上述し
たように、更に耐熱性を高める目的で上記アルキルフェ
ニルポリシロキサンに添加することも可能である。
更に、好ましい油剤としては、上記各油剤を沸点が60
0℃以下の界面活性剤を用いて、乳化したものを使用す
ることもできる。このとき界面活性剤としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルエステル、ボリオキシエチレン変性シリコーン、
ポリオキシアルキレン変性シリコーン等を使用し得る。
これら油剤は、ローラ接触、スプレー塗布、泡沫塗布等
により、ピッチ繊維に0.01〜10重量%、好ましく
は0.05〜5重量%が付与される。
上述のように、合糸されたピッチ繊維に耐熱性油剤を付
与することにより、該ピッチ繊維は強度が著しく強くな
り糸扱い性が極めて向上する。
以上の如(にして製造されたピッチ繊維をボビンより解
舒して、不融化炉へと送給する。
不融化炉内の温度は150〜350℃の範囲内の成る一
定温度とすることもできるが、炉入口より炉出口にかけ
て150℃から350℃へと次第に増大する温度勾配を
有するように設定することもできる。
又、不融化炉内は酸化性雰囲気とされ、不融化炉内には
空気、酸素、空気と酸素又は空気と窒素の混合ガス等の
酸化性ガスが供給されるが、好ましいガスとして酸素濃
度30〜90%の富酸素ガスが使用される。
本発明に従えば、不融化処理時に、繊紺束には張力をか
けずに行なうこともできるが、不融化炉内での繊維束の
たるみによる炉底、炉壁をこすることにより生じる引き
ずり傷の発生防止、及び外観が良く且つ引張強度、引張
弾性率などの炭素繊維の物性の向上のために、1フイラ
メント当たり0.001〜0.2gの張力をかけながら
不融化を行なうことが好ましい。
このようにして、不融化繊維の酸素濃度は7〜12重量
%になるように不融化される。
本発明によれば、上述のようにして不融化された酸素濃
度7〜12重量%の不融化繊維は、予備炭化炉にて予備
炭化処理を受ける前に、酸素含有雰囲気中で第1段目の
延伸熱処理が行なわれる。
該延伸熱処理炉内の温度は、不融化温度より100〜2
00℃高い温度が好ましく、一般に、300〜500℃
の範囲内の成る一定温度とされ、例えば450℃とする
こともできるが、炉入口より炉出口にかけて次第に増大
する温度勾配を有するように設定することもてき、この
場合の最高調度は300〜500℃を超えないようにさ
オニる。
例えは、炉入口温度を350℃とし、次第に増大し炉出
口温度か500 ’Cとなるように設定し得る。もし、
該熱処理温度か500℃を超えると、不融化繊維の酸化
か過大となり好ましくなく、又、300 ’C未満だと
熱処理時間が長(なるか、或は不融化繊i′11の表面
酸化が不十分となり、期待した効果を得るのが困難であ
る。
又、該熱処理炉内は酸素含有雰囲気とされ、炉内には空
気、空気と酸素、空気と窒素、又は窒素と酸素の混合ガ
スか供118されるが、酸素濃度は5〜80%、好まし
くは10〜50%とされる。−般に、空気か好適に使用
される。場合によっては、空気にNO,、So、、(1
2,などを含ませた〆見合ガスを用いてもよい。
更に、本発明によれば、該熱処理炉内における不融化繊
維のt(1)留時間は1〜200秒とされ、好ましくは
10〜100秒である。滞留時間は上記熱処理温度との
関係で設定され、200秒を超えると熱処理温度を30
0℃としたとしても不融化繊維の酸化か過大となり好ま
しくなく、又、1秒未満だと熱処理温度を500 ’C
としても不融化繊維の表面酸化か不十分となり、期待し
た効果を得るのが困難である。
更に、本発明に従えば、上記熱処理と同時に不融化繊f
、ftには張力を例与して5〜100%の延伸処理が施
される。従って、通常、不融化繊維に付与される張力と
しては、10〜500g/3000フィラメント、つま
り、1フイラメント当たりOo03〜017gとされる
延伸は張力の大きさを調節して設定してもよいし、2個
以上のロールの差動によって調節してもよい。
上記構成によって、不融化繊維は糸表面のみが選択的に
酸化され、糸の内部は高温の熱による熱重合か更に進展
し、その結果、多数のフィラメントからなる不融化繊維
はその強度が増大する。そのために、本発明によれば不
融化繊維か予備炭化前に酸化されるが、糸の表面のみが
酸化されるだけであるので、製品である炭素繊1tの物
性を低下させることはない。
更に、本発明によれば、不融化繊維の表面を酸化するこ
とにより、次いで行なわれる予備炭化炉内での不融化繊
維の糸表面での融膠着度が低減される。
更に又、本発明によれば、不融化繊維の糸表面のみか選
択的に酸化され、糸の内部は熱重合が更に進展し、その
結果、不融化Hhlt−の強度か増大することとなり、
該不融化1′ハ維に対する延伸処理によって繊維の配向
性が改善され、得られる炭素繊維の物性が向上する。
次いで、このようにして熱処理及び延伸処理された不融
化繊ii[I−ば、予備炭化炉へと送給され、予備炭化
処理、即ち、酸素含有雰囲気中で第2段目の延伸熱処理
か施される。
予(lii+炭化炉内は、最高温度が500〜700℃
になるように設定される。例えば入り口部から出口部に
かけて400’C,500’C0600℃というように
、最高調度か500〜700℃の間の或る温度にまで達
するように、段階的に昇温することができる。熱処理温
度か700℃を超えると、予備炭化繊維の酸化が過大と
なり好ましくなく、又、最高温度が500 ’C未満だ
と熱処理時間か長くなるか、或は予備炭化繊維の表面酸
化が不十分となり、期待した効果を得るのが困難である
又、該熱処理炉内には不活性ガスに少量の酸素又は空気
を混合して供給することにより、低濃度の酸素含有雰囲
気に維持される。酸素濃度は001〜30%、好ましく
は0.05〜10%とされる。不活性ガスとしては窒素
ガス又はアルゴンガスが使用され、酸素又は空気の代わ
りにNO8、SOX、水蒸気、炭酸ガス、ハロゲンガス
、強酸の蒸気を使用しても良い。
更に、本発明によれば、該予備炭化炉内における繊維の
滞留時間は20〜3’ O0秒とされ、好ましくは50
〜200秒である。滞留時間は上記熱処理温度及び酸素
濃度との関係で設定される。
つまり、低濃度の酸素含有雰囲気の酸素含有量か0.0
1%未満であると少なすぎて、予備炭化時の短時間加熱
では不融化繊維の表面を有効に酸化させることができす
、逆に30%を超えると多すぎて、短時間の熱処理であ
っても不融化繊維の表面のみを選択的に酸化することが
できず、酸化が繊維の内部まで進み不都合を生じる。
又、低濃度の酸素含有雰囲気下での不融化繊維の予備炭
化時の熱処理時間は、20秒未満であると短かすぎて、
雰囲気の酸素含有量を多くしても不融化繊維の表面を有
効に酸化することができず、逆に300秒を超えると長
すぎて、雰囲気の酸素含荷量を少なくしても不融化繊維
の内部まで酸化が起こるのを免れない。
更に、本発明に従えば、上記熱処理と同時に繊維には張
力を付与して5〜100%の延伸処理が施される。従っ
て、通常、不融化繊維に付与される張力としては、20
〜1000g/30oOフィラメント、つまり、1フイ
ラメント当たり0006〜0.33gとされる。延伸は
張力の大きさを調節して設定してもよいし、2個以上の
ロールの差動によって調節してもよい。
本発明によれば、予備炭化炉内では不融化繊維は低濃度
の酸素含有雰囲気下で短時間加熱処理され、繊維の表面
を選択的に酸化して表面を強固にしながら繊維の予備炭
化が行なわれるので、不融化繊維の予備炭化炉内での更
に延伸処理が可能とされ、予備炭化繊維の融膠着度が低
減するものと考えられる。
上述のように、不融化処理後と、予備炭化処理時の二段
階にわたって延伸熱処理を行なうことにより、炭素繊維
の融膠着度は20%以下にまで低減される。と同時に、
繊維における配向性が改善され、特に熱伝導率を増大ぜ
しめ、高熱伝導率の糸が得られる。いずれか一方の、つ
まり、−段の延伸熱処理では、本発明に係る上記構成の
高熱伝導率ピッチ系炭素繊維は得られない。
このようにして予備炭化された繊維は次いで、炭化炉へ
と送給され、最高温度が2300〜3゜00℃の不活性
ガス雰囲気中で炭化される。
上記製造法にて、繊維軸方向の熱伝導率が300〜50
0W/m/に、繊維結晶構造の積層厚み(L c 00
2)/密度(ρ)が70〜180、融膠着度が0〜20
%、そして圧縮強度が03〜0゜5GPaであり、又、
引張強度は2.5−4.0GPa、引張弾性率は700
〜900 G P aとされる、本発明に従った高熱伝
導率ピッチ系炭素繊維が好適に得られる。
尚、本明細書において、炭素繊維の特性は下記の如き測
定方法を採用した。
・熱伝導率 炭素繊維束をエポキシ植(脂に含浸したサンプルをレー
ザーフラッシュ法で測定した。
・X線構造パラメータ 積層厚さ(L c 002)、積層長さ(LallO)
、層間隔(doo2)はX線回折法により求められる炭
素繊維の微細構造を表わすパラメータである。
積層厚さ(L c 002)は炭素結晶中の(002)
面の見掛けの積層の厚さを表わし、一般に積層厚さくL
c002)が大きい程結晶性が良いと見なされる。積層
長さ(L a 110)は炭素結晶中の(110)面の
積層の長さを表わし、一般に積層長さ′V   20 (L a 110)が大きい程結晶性が良いと見なされ
る。又、層間隔(d 002+は結晶の(002)面の
層間隔を表わし、層間隔(doo2)が小さい程結晶性
が良いと見なされる。
積層厚さ(L c 002)、積層長さ(L a 11
0)、層間1tM(doo2)は炭素繊維を乳鉢で粉末
状にし、字種法[人造黒鉛の格子定数および結晶子の大
きさ測定法」に準処して測定・解析を行ない、以下の式
から求めた。
Lc002=にん/βaose LallD=にん/β’  cosθ。
doo2=χ/ 2 s i nθ ここで、K=1.0.  ん= 1.5418人θ :
  (002)面の回折角20より求める。
θ’  :  (110)面の回折角2θより求める。
β  補正により求めた( 002)面の回折帯の半価
幅。
β° ・補正により求めた( +10)面の回折帯の半
価幅。
・密度(ρ) 密度勾配管にて測定した。
・融膠イ1度 3000フィラメントからなる炭素繊維束を15 m 
m幅に切り取り、これをエタノールに浸漬し、30秒間
エアーを吹き込み、その後顕微鏡下で20倍の倍率で融
膠着しているフィラメントの総本数(+1)なりえるこ
とにより次の式にて求められる。
融膠着度二(N/3000)x l 00 (%)・圧
縮強度 炭素繊維束をエポキシ樹脂に含浸したケンプルをAST
M  D3410に従って測定した。
以下、本発明に係る高りJ)伝導率ピッチ系炭素繊維の
製造方法を実施例について説明する。
実施例1 ピッチ繊tarpを製造するに当り、光¥的異方性相を
45%含有し、軟化点か226℃である戻素質ピッチを
前駆体ピッチとして使用した。この前駆体ピッチを遠心
分Ei[+により光学的異方性相の多いピッチと光学的
等方性相の多いピッチとを連続的に分離し、それぞれ抜
き出した。
得られた光学的異方性相を多く含むピッチは、光学的異
方性相を100%含み、軟化点Cま270℃、ギノリン
不溶分は280重量%であった。
該炭素繊維用ピッチを500孔の紡糸口金を有するl容
融紡糸機(ノズル孔径 直径0.3mm)に通し、33
5℃で紡糸した。
紡糸した500本のフィラメン1〜はエアーザラカーで
略集束してオイリングローラルこ導き、糸(こ対して約
0,2重量%の割合で集束用油剤を供給し、500フィ
ラメン1−から成るピッチl1M維を形成した。油剤と
しては、25℃における粘度か14cstのメチルフェ
ニルポリシロキサンを使用した。
該ピッチ繊維は、ノズル下部に設けた高速で回転する直
径210mm、幅200mmのステンレス鋼製のボビン
に巻き取り、約500 m 7分の巻き取り速度で10
分間紡糸した。ボビン1回転当たつのトラバースのビッ
グ−ζ:I: I Om m / 1回転であった。紡
糸の間に糸切れば発生しなかった。
次いで、ピッチ繊S((を巻いた前記ボビン6個を解舒
し、そしてオイリンクローラを使用して耐熱性油剤を付
巧しなから合糸し、3000フィラメントから成るピッ
チ1ffi# 維を形成し、他のステンレス製ボビンに
巻取った。
合糸時に油剤としては25℃で40cstのメチルフェ
ニルポリシロキサン(フェニル基含有量45モル%)を
使用した。イ」重量は糸に対し、05%であった。
このようにして得た、ボビン巻のピッチ繊維をボビンか
ら解舒しつつ、炉入口温度180″G、最高温度295
℃の温度勾配を持つ富酸素雰囲気(酸素/窒素=60/
40)の連続不融化炉に線状て連続的に導入した。胃温
速度は6℃/分てあり、不融化時間1j19分であった
。繊維にかけた張力は1フイラメント当たり0.007
g (3000フイラメンj・の1′M糸11束に文・
1して20g)であった。不融化後の不融化繊:ill
の酸素濃度は95重量%であった。
不融化中、ホビンからのビッグ−繊)1¥の解舒は円滑
に行なわれ、不融化炉内での繊維束の断糸もなく円滑に
不融化処理かできた。
このようにして得られた不融化繊維は、予(Iiii炭
化炉へと通糸する前に、450℃に保持された熱処理炉
へと供給した。g6.’A GIには張力が1フイラメ
ント当たり0.007g(”I加された。炉内に(′:
r空気か導入された。
上記構成にて、不融化46j IIIを熱処理するのに
要した時間は25秒であった。
熱処理炉内での繊11Fの断糸もなく円滑に熱処理がで
きた。この熱処理に、おける糸の延伸率は20%であっ
た。
この酸素含有雰囲気下で熱処理した繊維は、炉入口温度
400℃,最高温度600℃の温度勾配を有する酸素含
有雰囲気(酸素/窒素= 5 / 95)の予備炭化炉
に線状で連続的に導入した。繊維にC」、1フィラメン
ト当たり0.017gの張力が1」与され延伸率は15
%であった。予備炭化時問は25秒であった。24時間
連続に処理したが、この間、炉内での断糸、糸切れは全
く生じなかった。
この予備炭化iハ維をアルゴンガス雰囲気中で2500
℃まで昇温しで炭素繊維を得た。糸径ば8.7μmであ
った。
この炭素繊維の特性は表1に示す。
実施例2 実施例1と同様の材料及び方法にて不融化繊維を製造し
、この不融化繊維を実施例1と同様に、予備炭化炉へと
通糸する前に、450℃に保持された熱処理炉へと供給
した。繊維には張力が1フイラメント当たり0.007
g付加され、25秒間熱処理を行なった。炉内には空気
が導入された。
熱処理炉内での繊維の断糸もなく円滑に熱処理ができた
。この熱処理における糸の延伸率は20%であった。
この酸素含有雰囲気下で熱処理した繊維は、実施例1と
同じく炉入口温度400℃1最高温度6OO℃の温度勾
配を有する酸素含有雰囲気(酸素/窒素=5/95)の
予備炭化炉に線状で連続的に導入した。このとき繊維に
は、実施例1と異なりlフィラメント当たり0.067
gの弓長力がイ月与され延伸率は19%であった。予備
炭化時間は25秒であった。24時間連続に処理したが
、この間、炉内での断糸、糸切れば全く生じなかった。
この予備炭化縁オ、「をアルゴンガス雰囲気中で280
0℃まで昇温して炭素1’M tIを得た。糸径は84
μmであった。
この炭素繊維の特性は表1に示す。
比較例1 実施例1と同様の材料及び方法にて不融化繊維を製造し
、この不融化jハ維を、予備炭化の前の熱処理を行なわ
ずに、直接酸素含有雰囲気(酸素/窒素=5/95)の
予備炭化炉内へと線状で連続的に導入し、予備炭化を行
なった。予備炭化炉は、炉入口温度が400 ’C1最
高温度か900 ’Cの温度勾配を有しており、250
秒間かけて予備炭化処理を行なった。繊維には、張力が
1フイラメント当たり0.017g付与され、この時延
伸率は15%であった。
この予備炭化繊維をアルゴンガス雰囲気中で2500℃
まで昇温しで、糸径95μmの炭素繊維を得た。
この炭素繊維の特性は表1に示す。
比較例2 実施例1と同様の材料及す方法にて不融化繊維を製造し
た。この不融化繊維を、実施例1と同様に、450℃に
保持された熱処理炉へと供給し、繊維に1フイラメント
当たり0.007gの張力を付与しなから、25秒間熱
処理を行なった。炉内には空気が導入された。この熱処
理における糸の延伸率は20%であった。
この酸素含有雰囲気下で熱処理した繊維は、実施例1と
異なり、直ちにアルゴンガス雰囲気中で2500 ’C
まで昇温しで炭素繊維を得た。糸径は92μmであった
この炭素繊維の特性は表1に示す。
4豆至吃浬 以上説明した如(本発明に係る高熱伝導率ピッチ系炭素
繊維は、引張強度及び引張弾性率を損なうことなく、熱
伝導率が高く、且つ圧縮強度が大であり、しかも糸扱い
性に優れているという特長を有している。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)繊維軸方向の熱伝導率が300〜500W/m/K
    、繊維結晶構造の積層厚み(Lc002)/密度(ρ)
    が70〜180、融膠着度が0〜20%、そして圧縮強
    度が0.3〜05GPaであることを特徴とする高熱伝
    導率ピッチ系炭素繊維。 2)引張強度は2.5〜4.0GPa、引張弾性率は7
    00〜900GPaである請求項1記載の高熱伝導率ピ
    ッチ系炭素繊維。 3)炭素質ピッチを紡糸して得たピッチ繊維を不融化し
    、該不融化した不融化繊維を300〜500℃の酸素含
    有雰囲気中に1〜200秒間通して5〜100%の延伸
    熱処理を施し、引続いて、最高温度が500〜700℃
    の酸素含有雰囲気中に20〜300秒間通して5〜10
    0%の延伸予備炭化処理し、その後、最高温度が230
    0〜3000℃の不活性ガス雰囲気中で炭化を行なうこ
    とを特徴とする高熱伝導率ピッチ系炭素繊維の製造法。
JP27943690A 1990-10-19 1990-10-19 高熱伝導率ピッチ系炭素繊維及びその製造法 Pending JPH04163318A (ja)

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CA 2053669 CA2053669A1 (en) 1990-10-19 1991-10-17 High thermal conductivity pitch-based carbon fiber and method of producing the same

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006070164A (ja) * 2004-09-02 2006-03-16 Toray Ind Inc 可視光硬化性樹脂組成物

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