JPH0416247B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ドラム缶等容器の天板のバーリン
グ加工方法に関する。

従来の技術 従来、ドラム缶の天板のバーリング加工方法と
しては、例えば第６図に示すように、天板４１
（同図イ）の所定箇所にまず円形の孔４２をあけ
（同図ロ）、ついでこの孔４２の周縁部分を一挙に
深く絞つて立上がり筒部４６を形成し（同図ハ）、
ついでこれを下縁に連なる環状段部４５と水平断
面多角形の裾部４４とを成形加工して、フランジ
固定部４３を形成していた（同図ニ）。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、このような従来の方法では、同
図ニに示すように、立上がり筒部４６の上端に
ひゞ割れ４７が生じるという問題があつた。これ
は例えば熱間圧延鋼板のような深絞り性の悪い一
般鋼板を使用したり、あるいは天板４１の大小２
つのフランジ固定部のうち、通常通気側となる口
径の小さいフランジ固定部を成形加工したり、さ
らにはその環状段部４５にガスケツトを封入する
ための環状凸部（図示略）を設けたりするなど、
天板４１の深絞り条件が苛酷であれば、それだけ
ひゞ割れ４７が多発するという問題があつた。勿
論このようなひゞ割れ４７が生じると、圧入形フ
ランジの取付けのさいにガスケツトの一部が露出
したりして、ドラム缶の気密性が損なわれるとい
う問題が生じた。

また、従来の方法により成形された天板４１の
フランジ固定部４３の環状段部４５の上面は平坦
なものであるため、圧入形フランジの鍔との間に
ガスケツトを確実に封入することができないとい
う問題があつた。

この発明の目的は、上記の従来技術の問題を解
決し、一般鋼材等の深絞り性の悪い安価な金属板
よりなる天板に口径の小さいフランジ固定部を設
け、およびその環状段部にガスケツトを封入する
ための環状凸部を設けても、立上がり筒部の上端
にひゞ割れが生じるようなことがないうえに、喋
板のフランジ固定部の環状段部と圧入形フランジ
の鍔との間に、ガスケツトを確実に封入すること
ができ、ひいては気密性にすぐれたドラム缶等容
器を安価に製造することができる、ドラム缶等容
器の天板のバーリング加工方法を提供しようとす
るにある。

課題を解決するための手段 この発明は、上記の目的を達成するために、１
組の金型を用いてドラム缶等容器の天板のバーリ
ング加工をする方法であつて、ドラム缶等容器の
天板の所定箇所に膨出部を形成する第１工程と、
ついで、この膨出部の頂壁を円形に打ち抜く第２
工程と、つぎに、膨出部の残部と膨出部の周辺部
分を深く絞ることによつて、水平断面多角形の裾
部と、環状凸部を有する環状段部と、立上がり筒
部とよりなるフランジ固定部を形成する第３工程
とからなることを特徴とする、ドラム缶等容器の
天板のバーリング加工方法を要旨としている。

実施例 つぎに、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。

この発明の方法を実施する装置の具体例の概略
を示す第１図および第２図において、１１は上
型、１２はポンチ・ホルダ、１３はこのホルダ１
２に固定された上バツク・プレート、１４はこの
バツク・プレート１３に取り付けられたポンチ・
プレートで、これの中央部下面に打抜きポンチ１
５が取り付けられている。１６は打抜きポンチ１
５の先端寄りの部分に設けられた上刃、１７はポ
ンチ・プレート１４の下端に取り付けられかつ打
抜きポンチ１５の周囲にダイス嵌入用間〓１８を
あけて配置された深絞りポンチで、これの内周壁
下端寄りの部分に環状段部１９が設けられ、かつ
この環状段部１９に下向きに開口した環状凹部３
７が設けられている。２０は深絞りポンチ１７の
下面外周縁部に設けられた環状の押え凸部であ
る。なおここで、上刃１６の先端は環状段部１９
と同レベルか、またはこれより若干上方に引つ込
んだレベルに配置されている。

２１は下型、２２はダイス・ホルダ、２３はこ
のホルダ２２の上面に固定された下パツク・プレ
ート、２４はこのバツク・プレート２３の中央部
に取り付けられた筒形の膨出兼打抜きダイスで、
これは上壁周縁部に曲面状の角部２５を有すると
ともに、上壁中央部に環状の下刃２６を有してい
る。２７はこの打抜きダイス２４の外側に配置さ
れかつ下バツク・プレート２３に固定されたダイ
ス・プレートで、これの上端内縁部に環状の押え
凸部２８が設けられるとともに、この押え凸部２
８の上面に上記環状凹部３７に対応して環状凸部
３８が設けられている。３０はこのダイス・プレ
ート２７の外側に配置されたストリツパで、これ
は複数本のストリツパ・ボルト３１によつて昇降
自在に支持されかつ複数個のコイル・スプリング
３２によつて常に上方に付勢せられている。

この発明の方法は、上記の１組の金型を備えた
装置を使用して、つぎのようにして実施する。な
お、図面はドラム缶の天板１に口径の小さいフラ
ンジ固定部３を形成する場合を示している。

まず第１工程において、厚さ0.4〜1.6mmの鋼製
天板１を下型２１の上面にのせる（第１図と第３
図イ）。

つぎに、上型１１を下降させることにより、深
絞り用ポンチ１７下端の環状の押え突部２０によ
つて天板１が上から押え付けられ、相対的にこれ
より内側の天板１部分が下型２１の膨出兼打抜き
ダイス２４によつて押し上げられる。押え凸部２
０は天板１を介してストリツパ３０の上面に当接
するに至り、天板１にダイス２４の頂面とこれの
周囲の曲面状角部２５に沿う膨出部２が形成され
る（第３図ロ）。

つぎに、第２工程において、上型１１をさらに
降下させると、ストリツパ３０がコイル・スプリ
ング３２の弾発力に抗して押し下げられ、天板１
の膨出部２の頂壁２ａが打抜きポンチ１５の上刃
１６とダイス２４の下刃２６とによつて打抜か
れ、円形の孔７があけられる（第３図ハ）。

つぎに、第３工程において、引続き上型１１を
降下させることにより、ストリツパ３０がさらに
押し下げられ、これに伴つてダイス２４が深絞り
ポンチ１７の間〓１８内に嵌め入れられて、天板
１にダイス２４の外周壁に沿う立上がり部６と、
これの下端に連なりかつ環状凸部３５を有する環
状段部５および水平断面六角形の裾部４とよりな
るフランジ固定部３が形成される（第２図と第３
図ニ）。

このような環状凸部３５をフランジ固定部３の
環状段部５に形成するということは、天板１の絞
り加工条件が非常に厳しいものとなるが、この発
明の方法によれば、立上がり筒部６の上端には
ひゞ割れは全く生じない。これは、つぎのような
理由によるものと考えられる。

すなわちこの発明の方法によれば、天板１の所
定箇所にまず膨出部２を設けているから、膨出部
２の頂壁２ａ部分はいわば引き伸ばされた状態と
なつて、その肉厚が薄くなり、これに対し膨出部
２の周縁部の肉厚はあまり薄くならない。そして
この膨出部２の肉厚の薄い頂壁２ａ中央部を打ち
抜き、膨出部２の肉厚があまり薄くない周縁部
と、肉厚が元のまゝである膨出部２の周辺部分と
をさらに深く絞るため、立上がり筒部６の上端に
はひゞ割れが生じないものと考えられる。

この発明の方法により形成された天板１の環状
凸部３５を有するフランジ固定部３に、環状凸部
３９を有する圧入形フランジ８をつぎのようにし
て取り付ける。

ここで、圧入形フランジ８は、第４図と第５図
に示すように、内周面下半部に雌ねじ部を有する
とともに、下端部に平面よりみて六角形の外周縁
を備えた鍔９を有している。鍔９の上面には、天
板１側の環状段部５の環状凸部３５に対応する環
状凸部３９が設けられている。

そしてまず、この圧入形フランジ８の鍔９の上
面に設けられた環状凸部３９の内側にガスケツト
１０を嵌め入れる。ここで、ガスケツト１０とし
ては、シリコンゴムよりなるガスケツトをライニ
ングにより取り付けるのが望ましいが、その他Ｏ
−リングや断面角形の環状ガスケツトを使用して
もよく、あるいはまたドラム缶のいわゆるチヤイ
ム部分に封入するようなシーリング・コンバウン
ドを使用してもよい。

つぎに、天板１のフランジ固定部３の内側に、
ガスケツト１０付きフランジ８を下から圧入し、
フランジ固定部３の環状段部５に環状凸部３５の
内側に圧入形フランジ８の鍔９上面の環状凸部３
９を嵌め入れて、このフランジ８の上端部８ａを
立上がり筒部６の上端部６ａに巻き止めるととも
に、鍔９の環状凸部３９をフランジ固定部３の環
状凸部３５の内面に密着せしめて、ガスケツト１
０を封入するものである。このとき、立上がり筒
部６の上端部６ａにひゞ割れが生じるようなこと
は勿論なく、またこのようにすると、ガスケツト
１０を確実に封入することができて、天板１のフ
ランジ８の固定部分をより一層完全に密封するこ
とができるという利点がある。

なお、上記においては、ドラム缶の天板１に口
径の小さいフランジ固定部３を形成する場合につ
いて説明したが、天板１に口径の大きいフランジ
固定部３を形成する場合も上記と同様に実施する
ものであり、ただこの場合には裾部４の水平断面
を通常八角形とする。

なお、裾部４はその他の多角形であつても勿論
よい。

また上記においては、ドラム缶の天板のバーリ
ング加工について説明したが、勿論この発明の方
法は、その他の金属板のバーリング加工にも同様
に適用しうるものである。

発明の効果 この発明によるドラム缶等容器の天板のバーリ
ング加工方法は、上述のように、１組の金型を用
いてドラム缶等容器の天板のバーリング加工をす
る方法であつて、ドラム缶等容器の天板の所定箇
所に膨出部を形成する第１工程と、ついで、この
膨出部の頂壁を円形に打ち抜く第２工程と、つぎ
に、膨出部の残部と膨出部の周辺部分を深く絞る
ことによつて、水平断面多角形の裾部と、環状凸
部を有する環状段部と、立上がり筒部とよりなる
フランジ固定部を形成する第３工程とからなるも
のであるから、一般鋼材等の深絞り性の悪い安価
な金属板よりなる天板に口径の小さいフランジ固
定部を設け、およびその環状段部にガスケツトを
封入するための環状凸部を設けても、立上がり筒
部の上端にひゞ割れが生じるようなことがないう
えに、天板のフランジ固定部の環状段部と圧入形
フランジの鍔との間に、ガスケツトを確実に封入
することができ、ひいては気密性にすぐれたドラ
ム缶等容器を安価に製造することができるという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の方法を実施する装置の概略
縦断面図で、成形前の状態を示している。第２図
は同概略縦断面図で、成形後の状態を示してい
る。第３図はこの発明の方法を工程順に示す概略
説明図、第４図は第３図ニの拡大図、第５図はこ
の発明の方法によりバーリング加工を施した天板
と圧入形フランジの部分縦断面図で、フランジの
取付前の状態を示している。第６図は同部分縦断
面図で、フランジの取付後の状態を示している。
第７図は従来のドラム缶等容器の天板のバーリン
グ加工方法を工程順に示す説明図である。 １……天板、２……膨出部、２ａ……頂壁、３
……フランジ固定部、４……裾部、５……環状段
部、６……立上がり筒部、７……孔、８……圧入
形フランジ、９……鍔、１０……ガスケツト、３
５，３９……環状凸部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ １組の金型を用いてドラム缶等容器の天板１
   のバーリング加工をする方法であつて、ドラム缶
   等容器の天板１の所定箇所に膨出部２を形成する
   第１工程と、ついで、この膨出部２の頂壁２ａを
   円形に打ち抜く第２工程と、つぎに、膨出部２の
   残部と膨出部２の周辺部分を深く絞ることによつ
   て、水平断面多角形の裾部４と、環状凸部３５を
   有する環状段部５と、立上がり筒部６とよりなる
   フランジ固定部３を形成する第３工程とからなる
   ことを特徴とする、ドラム缶等容器の天板のバー
   リング加工方法。