JPH0415371B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、エンジンの排気ガスにより駆動され
るタービンと、該タービンに回転軸により連結さ
れたブロアとからなるターボ過給機を２個備え、
上記各タービンおよびブロアをエンジンの排気通
路および吸気通路に夫々並設してなるターボ過給
機付きエンジン、特にターボ過給機の潤滑構造に
関するものである。

（従来技術とその問題点） 従来より、ターボ過給機を用いて吸気を昇圧し
て充墳効率を向上させることにより、エンジンの
出力性能の向上を図る技術思想はよく知られてお
り、現今では、エンジンの高速運転時のみなら
ず、低速運転時においても過給によつて出力性能
を向上させたいという要求がある。

ところで、単一のターボ過給機によつて上記の
要求を満足することは、ターボ過給機の効率とい
う面から実際上きわめて困難であり、複数個のタ
ーボ過給機を並設することによつて、かかる要求
に対処しようとする技術思想が提案されている
（実開昭56−159626号公報、特開昭50−118117号
公報参照）。

即ち、上記実開昭56−159626号公報には、エン
ジンの低速域で良好な効率を有する低速用ターボ
過給機と、高速域で良好な効率を有する高速用タ
ーボ過給機とを並設し、エンジンの運転状態に応
じて、低速用、高速用のターボ過給機を切り換え
て使用するようにしたものが提案されている。

また、上記特開昭50−118117号公報には、基本
的には等価な１次，２次ターボ過給機を並設し、
吸気量の少ないエンジンの低速運転時には１次タ
ーボ過給機のみを使用し、吸気量が増大するエン
ジンの高速運転時には、１次，２次両方のターボ
過給機を使用するようにしたものが提案されてい
る。

かかる複数個のターボ過給機を並設したエンジ
ンでは、例えば、前者のものについて言えば、エ
ンジンの低速時には高速用ターボ過給機が、高速
時には低速用ターボ過給機が夫々停止され、また
後者のものについて言えば、エンジンの低速時に
は２次ターボ過給機が停止されるといつたよう
に、エンジンの特定運転域において一部のターボ
過給機が停止されることになる。

ところで、ターボ過給機は10〜20×10⁴rpmと
いつた超高速で駆動されるため、タービンとブロ
アとを連結する回転軸に対する潤滑はきわめて重
要であり、通常は、オイルポンプによつて供給さ
れるエンジンの潤滑油の一部を上記回転軸の軸受
部に供給してその潤滑を図つている。

しかしながら、上記したように、エンジンの特
定運転域で一部のターボ過給機が停止される。即
ち、排気ガスによるタービンの駆動が行なわれな
い場合には、当然のことながら、タービンおよび
ブロアの内圧は大気圧まで低下し、回転軸の軸受
に供給される潤滑油の圧力より低下してしまう。
その結果、ターボ過給機の駆動時には良好に保た
れていた回転軸軸受部の内外の圧力バランスがく
ずれ、潤滑油の一部が軸受部からタービン側、ブ
ロア側に洩れ出し、潤滑油が浪費されることとな
るうえ、タービンやブロアを汚染するといつた問
題を惹起する。

（発明の目的） 本発明の目的は、ターボ過給機により潤滑油が
浪費されることがなく、ターボ過給機のタービン
やブロアが汚染されることのないターボ過給機付
エンジンの潤滑装置を提供することである。

（発明の構成） このため、本発明は、各々がエンジンの排気ガ
スにより駆動されるタービンと、該タービンが回
転軸により連結されたブロアとからなる１次ター
ボ過給機および２次ターボ過給機を備え、エンジ
ンの排気通路が途中で第１分岐排気通路と第２分
岐排気通路とに分岐される一方、エンジンの吸気
通路が途中で第１分岐吸気通路と第２分岐吸気通
路とに分岐され、１次ターボ過給機のタービンお
よび２次ターボ過給機のタービンが夫々上記第１
分岐排気通路および第２分岐排気通路に配設さ
れ、１次ターボ過給機のブロアおよび２次ターボ
過給機のブロアが夫々上記第１分岐吸気通路およ
び第２分岐吸気通路に配設され、エンジンの高速
運転時には１次ターボ過給機と２次ターボ過給機
とが作動してエンジンに過給気が供給され、エン
ジンの低速運転時には２次ターボ過給機が停止し
て１次過給機から過給気がエンジンに供給され、
第１分岐吸気通路と第２分岐給気通路とが１次タ
ーボ過給機のブロアの下流部分と第２分岐吸気通
路の２次ターボ過給機のブロアの下流部分にて合
流する合流部分と第２分岐給気通路の２次ターボ
過給機のブロア下流との間に開閉弁が配置され、
エンジンが低速運転に入ると上記開閉弁が閉作動
して１次ターボ過給機のブロア下流を２次ターボ
過給機のブロア下流に対して連通を遮断する一
方、オイルポンプに接続された潤滑油供給路から
分岐した１次用潤滑油供給路および２次用潤滑油
供給路を通して夫々上記１次ターボ過給機の回転
軸および２次ターボ過給機の回転軸に潤滑油を供
給するようにしたターボ過給機付エンジンの潤滑
装置であつて、上記第２分岐排気通路の２次ター
ボ過給機のタービンの上流に配置され、エンジン
の低速運転時に閉作動する排気制御弁と、上記２
次用潤滑油供給路に配置された潤滑油の供給量制
御用の弁と、上記排気制御弁の閉弁に同期して潤
滑油の供給制限方向に上記弁を作動させる制御装
置とを備えたことを特徴としている。

（実施例） 以下に、添付の図面を参照して本発明の実施例
を説明する。

第１図において、１はエンジン、２はエンジン
１の吸気通路、３はエンジン１の排気通路、４は
エンジン１の時々刻々の吸気量を計量するために
吸気通路２の最上流部に介設したエアフローセン
サ、５，６は吸気通路２のエアフローセンサ４下
流とスロツトル弁７の上流との間で並列に形成し
た第１、第２分岐吸気通路、３３，３４は夫々基
本的に等価な１次，２次ターボ過給機である。

上記過給機付エンジン１は、吸気量が少ないエ
ンジン１の低速運転時には、上記１次ターボ過給
機３３を用い、吸気量が増大するエンジン１の高
速運転時には、上記１次，２次ターボ過給機３
３，３４の両方で増大した吸気量を分担して過給
を行なう。

上記１次，２次ターボ過給機３３，３４は夫々
第１，第２分岐吸気通路５，６の途中に介設した
ブロア３３ａ，３４ａを、排気通路３の途中を二
又に分岐して形成した第１，第２の分岐排気通路
１０，１１に夫々介設したタービン３３ｂ，３４
ｂに回転軸３３ｃ，３４ｃにより連結してなる。

上記回転軸３３ｃ，３４ｃは、それ自体公知の
構造を有する各一対の軸受３３ｄ，３３ｄ，３４
ｄ，３４ｄによつて軸受されており、オイルジヤ
ケツト３３ｅ，３４ｅに供給される潤滑油によつ
て潤滑される。

また、第１図において、２１は循滑油の循環供
給源であるオイルパン、２２はエンジン１の出力
軸（図示せず。）により駆動されるオイルポンプ、
２３はオイルポンプ２２から吐出される潤滑油を
１次，２次ターボ過給機３３，３４の回転軸３３
ｃ，３４ｃに供給するための潤滑油供給路で、該
潤滑油供給路２３は途中ので、１次ターボ過給機
３３のオイルジヤケツト３３ｅに通ずる１次用潤
滑油供給路２４′と、２次ターボ過給機３４のオ
イルジヤケツト３４ｅに通ずる２次用潤滑油供給
路２５′とに二又に分岐している。そして２次用
潤滑油供給路２５′には、制御回路１４により開
閉が制御されるソレノイド弁３８を介設する。

なお、第１図において、２８は第１，第２分岐
排気通路１０，１１の分岐部３３ａとエンジン１
の間の上流側排気通路３ｕから、１次，２次ター
ボ過給機３３，３４のタービン３３，３４の両方
をバイパスして下流側排気通路３ｄに通ずる排気
バイパス通路、２９は排気バイパス通路２８の途
中に設けた弁座３０を開閉する過給圧制御弁、３
１は過給圧制御弁２９をロツド３１ａを介してダ
イヤフラム３１ｂに支持した過給圧制御弁２９の
制御用ダイヤフラム装置、３２は制御用ダイヤフ
ラム装置３１の正圧室３１ｃに、第１，第２分岐
吸気通路５，６の合流部２ａ下流の下流側吸気通
路２ｄの過給圧を導入する過給圧導入通路であ
る。この制御用ダイヤフラム装置３１のダイヤフ
ラム３１ｂによつて正圧室３１ｃとは仕切られた
いま一つの室３１ｄは大気開放孔３１ｅによつて
大気に連通された大気室として形成され、この大
気室３１ｄ内には、コイルスプリング３１ｆを縮
装し、このコイルスプリング３１ｆの設定荷重
を、制御目標である最高過給圧に応じて設定す
る。この最高過給圧は、前述したように、基本的
にはエンジン１の信頼性を考慮して設定する。

上記２次ターボ過給機３４のブロア３４ａを介
設した第２分岐吸気通路６のブロア下流には、逆
止弁３５を介設する一方、２次ターボ過給機３４
のタービン３４ｂを介設した第２分岐排気通路１
１のタービン上流には、排気制御弁３６を設けて
２次ターボ過給機３４の制御を行なう。上記排気
制御弁３６、制御回路１４により制御される。

即ち、制御回路１４は、第２図にも示すよう
に、エアフローセンサ４の吸気検出信号を設定値
と比較し、吸気量が設定値を越えたときには、比
較回路１９が増幅回路２０を介して、排気制御弁
３６に対して設けたアクチユエータ３７を作動し
て排気制御弁３６を開作動し、第２分岐排気通路
１１を開く。また、上記制御回路１４は、噴射パ
ルス発生回路１８によりエアフローセンサ４によ
つて検出される吸気量に応じて決まる開弁時間の
間、燃料噴射弁１５を開作動する。

上記のように、第２分岐吸気通路１１が開かれ
ると、この通路１１を流下する排気ガスによつ
て、タービン３４ｂが駆動され、２次ターボ過給
機３４が過給を開始する。２次ターボ過給機３４
の駆動が開始されると、逆止弁３５が開かれ、第
１，第２分岐吸気通路５，６が合流する合流部２
ａより下流の下流側吸気通路２ｄからは１次ター
ボ過給機３３によつて供給される過給気と、２次
ターボ過給機３４によつて供給される過給気の両
方がエンジン１に供給される。

上記のことから明らかなように、１次ターボ過
給機３３は、常時駆動される一方、２次ターボ過
給機３４は、エンジン１の低速運転時に停止さ
れ、高速運転時にのみ駆動される。

このため、１次ターボ過給機３３のオイルジヤ
ケツト３３ｅには、潤滑油供給路２３の途中から
分岐した１次用潤滑油供給路２４′によつて常時
潤滑油を供給し、軸受３３ｄ，３３ｄに軸支され
る回転軸３３ｃを潤滑する一方、２次ターボ過給
機３４のオイルジヤケツト３４ｅに通ずる２次用
潤滑油供給路２５′の途中には、ソレノイド弁３
８を介設して、低速時における潤滑油の供給をカ
ツトする。

このソレノイド弁３８はノーマルクローズタイ
プのソレノイド弁とし、第２図に示すように、制
御回路１４の比較回路１９、増幅回路２０に対し
て、排気制御弁３６のアクチユエータ３７ととも
に並列に接続する。

したがつて、このソレノイド弁３８は、エンジ
ン１の高速運転時において、排気制御弁３６が開
かれるのと同期して開作動され、潤滑油が２次用
潤滑油供給路２５′を通して２次ターボ過給機３
４のオイルジヤケツト３４ｅに供給され、軸受３
４ｄ，３４ｄに軸支される回転軸３４ｃを良好に
潤滑する。

上記実施例では、潤滑油の供給を制御するソレ
ノイド弁３８をオン，オフ式の開閉弁としたが、
ターボ過給機の使用時油洩れを生じないように潤
滑油量を減少させるような流量制御弁を用いても
よいことはいうまでもない。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、休止ターボ過給機の軸受から吸気通路や排気
通路へ潤滑油が洩れるのを確実に防止することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すエンジン系統
説明図、第２図は第１図の制御回路のブロツク説
明図である。 １…エンジン、２…吸気通路、３…排気通路、
５，６…第１，第２分岐吸気通路、１０，１１…
第１，第２分岐排気通路、１４…制御回路、２２
…オイルポンプ、２３…潤滑油供給路、２４′…
１次用潤滑油供給路、２５′…２次用潤滑油供給
路、３３，３４…１次，２次ターボ過給機、３３
ａ，３４ａ…ブロア、３３ｂ，３４ｂ…タービ
ン、３３ｃ，３４ｃ…回転軸、３３ｄ，３４ｄ…
軸受、３３ｅ，３４ｅ…オイルジヤケツト、３５
…逆止弁、３６…排気制御弁、３７…アクチユエ
ータ、３８…ソレノイド弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 各々がエンジンの排気ガスにより駆動される
   タービンと、該タービンが回転軸により連結され
   たブロアとからなる１次ターボ過給機および２次
   ターボ過給機を備え、エンジンの排気通路が途中
   で第１分岐排気通路と第２分岐排気通路とに分岐
   される一方、エンジンの吸気通路が途中で第１分
   岐吸気通路と第２分岐吸気通路とに分岐され、１
   次ターボ過給機のタービンおよび２次ターボ過給
   機のタービンが夫々上記第１分岐排気通路および
   第２分岐排気通路に配設され、１次ターボ過給機
   のブロアおよび２次ターボ過給機のブロアが夫々
   上記第１分岐吸気通路および第２分岐吸気通路に
   配設され、エンジンの高速運転時には１次ターボ
   過給機と２次ターボ過給機とが作動してエンジン
   に過給気が供給され、エンジンの低速運転時には
   ２次ターボ過給機が停止して１次過給機から過給
   機がエンジンに供給され、第１分岐吸気通路と第
   ２分岐給気通路とが１次ターボ過給機のブロアの
   下流部分と第２分岐吸気通路の２次ターボ過給機
   のブロアの下流部分にて合流する合流部分と第２
   分岐給気通路の２次ターボ過給機のブロア下流と
   の間に開閉弁が配置され、エンジンが低速運転に
   入ると上記開閉弁が閉作動して１次ターボ過給機
   のブロア下流を２次ターボ過給機のブロア下流に
   対して連通を遮断する一方、オイルポンプに接続
   された潤滑油供給路から分岐した１次用潤滑油供
   給路および２次用潤滑油供給路を通して夫々上記
   １次ターボ過給機の回転軸および２次ターボ過給
   機の回転軸に潤滑油を供給するようにしたターボ
   過給機付エンジンの潤滑装置であつて、 上記第２分岐排気通路の２次ターボ過給機のタ
   ービンの上流に配置され、エンジンの低速運転時
   に閉作動する排気制御弁と、上記２次用潤滑油供
   給路に配置された潤滑油の供給量制御用の弁と、
   上記排気制御弁の閉弁に同期して潤滑油の供給制
   限方向に上記弁を作動させる制御装置とを備えた
   ことを特徴とするターボ過給機付エンジンの潤滑
   装置。